(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
はじめに、
図1〜4を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の構成および動作について具体的に説明する。
【0020】
ここに、
図1は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な左側面図(その1)であり、
図2は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な平面図であり、
図3は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な背面図であり、
図4は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分平面図(その1)である。
【0021】
本実施の形態の乗用草刈機は、モアー100と、ブロワー200と、コレクター300と、を備えている。
【0022】
モアー100は、車両本体の前方に設けられた、草を刈り取る手段である。
【0023】
ブロワー200は、刈り取られた草を搬送するための送風を行う手段である。
【0024】
コレクター300は、刈り取られた草を収容する手段である。
【0025】
車両本体の前部には、作業者が運転を行うための運転席1940が設けられている。
【0026】
車両本体の前端には、作業者が操縦を行うためのステアリングハンドル1941が設けられている。
【0027】
モアー100とブロワー200とは、刈り取られた草を搬送する刈草搬送シュート1950によって連通されている。
【0028】
車両本体の左右両側には、支柱1960が設けられている。
【0029】
支柱1960は、運転席1940よりも後方に位置している。
【0030】
そして、支柱1960には、コレクタードア1970の開閉をともなうコレクター300のダンプ動作を行うための昇降リンク機構1980の前端が連結されている。
【0031】
昇降リンク機構フレーム部材1981は、昇降リンク機構1980の後端に設けられており、コレクター300の後方を左右方向に通過している。
【0032】
つぎに、本実施の形態の乗用草刈機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0033】
本実施の形態の乗用草刈機は、エンジン1100と、伝動ケース1200と、前側支持フレーム1300と、後側支持フレーム1400と、を備えている。
【0034】
エンジン1100は、ブロワー200よりも後方に設けられた、動力を発生する手段である。
【0035】
伝動ケース1200は、ブロワー200とエンジン1100との中間に設けられた、エンジン1100によって発生された動力をブロワー200に伝達する手段である。
【0036】
前側支持フレーム1300は、前輪1310を支持する手段である。
【0037】
後側支持フレーム1400は、後輪1410を支持する手段である。
【0038】
伝動ケース1200とエンジン1100とは、連結されている。
【0039】
前側支持フレーム1300は、伝動ケース1200と連結し、伝動ケース1200から前方に向かって延びている。
【0040】
後側支持フレーム1400は、エンジン1100と連結し、エンジン1100から後方に向かって延びている。
【0041】
前側支持フレーム1300は、伝動ケース1200の左右両側に配置されている。後側支持フレーム1400の前部は、エンジン1100の幅狭部1101の左右両側に取り付けられている。
【0042】
前輪1310の走行用モーター1311および後輪1410の走行用モーター1411を駆動するHST(Hydro Static Transmission)のポンプ1600は、エンジン1100よりも後方に設けられている。HSTのポンプ1600は、後輪1410のアクスル1420の上方に配置されている。
【0043】
ボンネット1500は、エンジン1100とHSTのポンプ1600を覆う手段である。ボンネット1500の後部は、上下方向に空間ができるようにボンネット1500の前部を支点として矢印Zで示される方向について回動可能であり、開閉自在に構成されている。
【0044】
ブロワー伝動ケースとして機能する伝動ケース1200とエンジン1100とは前後方向において連結されており、伝動ケース1200およびエンジン1100の前後部分は前側支持フレーム1300および後側支持フレーム1400によって支持されている。
【0045】
前側支持フレーム1300と後側支持フレーム1400とは別体であるので、伝動ケース1200とエンジン1100とが連結されていることは重要である。
【0046】
本実施の形態においては、伝動ケース1200とエンジン1100とが連結プレート1910を利用して連結されている。
【0047】
このため、堅牢な支持構造を簡易な構成によって実現することが可能である。
【0048】
前側支持フレーム1300は伝動ケース1200の左側部および右側部に設けられた伝動ケース取り付けプレート1210を挟み込んでおり、後側支持フレーム1400はエンジン1100の左側部および右側部を挟み込んでいる。
【0049】
一対の前側支持フレーム1300の左右方向の幅は、一対の後側支持フレーム1400の左右方向の幅よりも広く形成されている。そのため、前側支持フレーム1300は左右方向の幅が比較的に広い伝動ケース1200の左右両側に連結可能であり、後側支持フレーム1400は左右方向の幅が比較的に狭いHSTのポンプ1600の左右両側に連結可能である。
【0050】
ボンネット1500を開けるときには、本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な左側面図(その2)である
図12に示されているように、昇降リンク機構1980を昇降シリンダー1982を利用することによって上昇させ、コレクター300を初期位置から上昇させる。そして、ボンネット1500の後部に設けられた取っ手1501を把持し、ボンネット1500を開ける。すると、エンジン1100およびHSTのポンプ1600の上面が、露出する。
【0051】
このため、エンジン1100およびHSTのポンプ1600のメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
【0052】
なお、本実施の形態の構成はボンネット1500を開けたときに伝動ケース1200の後部の一部のみが露出する構成であるが、伝動ケース1200の上面全体が露出する構成も可能である。
【0053】
HSTのポンプ1600は、後輪1410のリアアクスルとして機能するアクスル1420の上方に配置されている。
【0054】
このため、HSTのポンプ1600がアクスル1420の下方に配置されている構成と比較して、HSTのポンプ1600のメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
【0055】
後側支持フレーム1400の後部は、後ろ上がりに傾斜し、後方に向かって延びている。HSTのポンプ1600は、後側支持フレーム1400の後部と連結する。エンジン1100は、後側支持フレーム1400の前部と連結する。
【0056】
エンジン1100の左側部および右側部を挟み込んでいる後側支持フレーム1400は、アクスル1420の上方に向かう傾斜を利用して延長され、その後端部近傍の平坦部でHSTのポンプ1600の左側部および右側部を支持している。
【0057】
このため、HSTのポンプ1600を安定に支持することが可能である。
【0058】
ここで、本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分平面図(その2)である
図11を参照しながら、前側支持フレーム1300などのフレームに関するフレーム構成について詳細に説明する。
【0059】
側面視において台形枠状の支柱支持フレーム1961は、前側支持フレーム1300の上部から取り付けられている。支柱支持フレーム1961は左右一対で設けられており、それぞれの上部が左右の支柱1960の下部を支持している。
【0060】
平面視においてコの字の形状のボンネット支持フレーム1210は、支柱支持フレーム1961の後部から後方に向かって設けられている。ボンネット支持フレームはボンネット1500を受けるように設けられており、ボンネット支持フレームの後部は後側支持フレーム1400の上方を通過している。
【0061】
低重心化を促進するために低い位置で保持されるエンジン1100からHSTのポンプ1600への動力の伝達は、動力伝達ベルト1920を利用して行われる。
【0062】
このため、メンテナンス作業が容易である上述の構成が実現されるとともに、車両本体の安定性を保障しつつ、コレクター300が刈り取られた草を収容するための収容量を十分に確保することが可能である。
【0063】
後側支持フレーム1400の後端部には、昇降リンク機構フレーム部材1981を支持する左右方向のフレーム部材1930が設けられている。
【0064】
このため、刈り取られた草を収容するコレクター300の重量が大きくなったときにも、コレクター300を安定に支持することが可能である。
【0065】
つぎに、
図5および6を主として参照しながら、本実施の形態の乗用草刈機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0066】
ここに、
図5は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分拡大平面図であり、
図6は本発明における実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分背面図である。
【0067】
本実施の形態の乗用草刈機は、シューター2100と、首振り部2200と、モーター2300と、第一ロッド2400と、弾性体2500と、第二ロッド2600と、をさらに備えている。
【0068】
シューター2100は、送風によって搬送されてくる草をコレクター300内に排出する手段である。
【0069】
首振り部2200は、シューター2100の先端部側に設けられた、排出されてくる草の飛散方向を変更する手段である。
【0070】
首振り部2200は左右方向に往復させられる排出案内板2910を有しており、排出案内板2910の左側部および右側部は排出されてくる刈り取られた草をコレクター300の内部へスムーズに案内できるように折り曲げられている。
【0071】
このため、刈り取られた草はコレクター300の内部の全体にわたって均一に堆積するので、コレクター300の充填率を向上することが可能である。
【0072】
モーター2300は、首振り部2200に首振りを行わせるための動力を発生する手段である。
【0073】
第一ロッド2400は、モーター2300に連結された手段である。
【0074】
弾性体2500は、第一ロッド2400に連結された手段である。
【0075】
第二ロッド2600は、弾性体2500と首振り部2200との間に連結された手段である。
【0076】
たとえば、コレクター300の集草部が草で満杯になったときには、首振りが草との衝突のために妨げられ、首振り部2200のロックが発生しやすいので、首振り部2200のロックにともなうモーター2300の拘束を防止するための安全装置として機能する弾性体2500は第一ロッド2400と第二ロッド2600との間のリンク部分に設けられている。
【0077】
このため、首振り部2200のロックにともなうモーター2300の破損およびヒューズ切れなどの故障の発生を、モーター2300の拘束を防止するモーター拘束防止リンク機構として機能する弾性体2500を利用する簡単な構成で抑制することが可能である。
【0078】
モーターステー2310は、モーター2300を着脱自在にコレクター300に取り付けるための、モーター2300を内蔵する手段である。
【0079】
コレクター300の集草部からモーター2300を隔離するモーターケースとして機能するモーターステー2310は、たとえば、コレクター300のメンテナンス作業のためのメンテナンス開口部を兼ねたモーターステー開口部にコレクター300の内部からネジによる四隅での固定などを利用して取り付けられている。
【0080】
このため、モーターステー2310に内蔵されたモーター2300は湿気を帯びた草に直接的に接触しないので、モーター2300のメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
【0081】
スプリング2700は、首振り部2200に取り付けられた手段である。シューター2100の先端部は、コレクター300の左右両側の内の何れか一方側寄りに配置されている。一方側とは反対側に草の飛散方向を変更している時間は、首振り部2200に対するスプリング2700の弾性力を利用して、一方側に草の飛散方向を変更している時間よりも大きくされる。
【0082】
コレクター300の内部へ刈り取られた草を排出する排出筒として機能するシューター2100が、たとえば、コレクター300の右側寄りに配置されている場合には、草はコレクター300の内部の右側寄りに偏って堆積しやすいので、抵抗スプリングとして機能するスプリング2700は、その長さが右側の首振り位置で自然長よりも短くなるように、コレクター300の内壁に設けられた抵抗調節ボルト2920を介して取り付けられている。
【0083】
このため、刈り取られた草はコレクター300の内部の全体にわたって均一に堆積するので、コレクター300の充填率を向上することが可能である。
【0084】
なお、シューター2100の先端部近傍には、草の排出を促進するための拡散ファンなどが追加的に設けられていてもよい。
【0085】
また、首振り部2200が有する排出案内板2910は、
図7に示されているように、左右方向に往復させられる代わりに鉛直軸の回りに回転させられてもよい。
【0086】
ここに、
図7は、本発明における別の実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分拡大平面図である。
【0087】
回転運動のための機構は往復運動のための機構よりもしばしば単純であるので、装置構成の簡単化および/または消費電力の削減を実現することが可能である。
【0088】
また、首振り部2200は、
図8に示されているように、箱形をしていてもよい。
【0089】
ここに、
図8は、本発明における別の実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分左側面図である。
【0090】
シューター2100の先端部は、コレクター300の左右両側の内の何れか一方側寄りに配置されている。首振り部2200は、箱形をしており、箱形の一方側とは反対側の側面に形成された切り欠き2210を有している。
【0091】
コレクター300の内部へ刈り取られた草を排出する排出筒として機能するシューター2100が、たとえば、コレクター300の右側寄りに配置されている場合には、草はコレクター300の内部の右側寄りに偏って堆積しやすいので、箱形をした首振り部2200は左側部が切り欠かれている。
【0092】
このため、刈り取られた草はコレクター300の内部の全体にわたって均一に堆積するので、コレクター300の充填率を向上することが可能である。
【0093】
もちろん、箱形をした首振り部2200が切り欠き2210を有している場合には、首振りが行われなくても刈り取られた草はコレクター300の内部の全体にわたってある程度は均一に堆積するので、首振りを行わないまたはその回数などを減らして首振りを行うことによって装置構成の簡単化および/または消費電力の削減を実現することが可能である。
【0094】
そして、このような箱形の具体的な形状は、コレクター300の集草部が草で満杯になったことを検出するための満杯センサー2930の取り付けが容易であるような形状であることが望ましい。
【0095】
また、コレクター300の内部には、
図9(a)および9(b)に示されているように、コレクター天井プレート2940側の空気排出路として機能する上方の空気排出部から下方の集草部を分離するパーティション2950が水平に設けられていてもよい。
【0096】
ここに、
図9(a)は本発明における別の実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分斜視図であり、
図9(b)は本発明における別の実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分拡大斜視図である。
【0097】
パーティション2950は、パーティション枠体2951と、パーティションメッシュ部2952と、コレクター嵌合部2953と、ストッパー2954、2955および2956と、を有している。
【0098】
パーティション枠体2951は、パーティションメッシュ部2952を支持する枠状の手段である。
【0099】
パーティションメッシュ部2952は、パーティション枠体2951によって支持される通気性が高い素材を利用して構成された手段である。
【0100】
コレクター嵌合部2953は、コレクター300の内壁の左右両側の内の少なくとも何れか一方側に設けられた溝などに嵌合する手段である。
【0101】
このような構成のため、パーティション2950は着脱自在にコレクター300に取り付けられるので、清掃などのメンテナンス作業は容易である。
【0102】
ストッパー2954および2955は、コレクター天井プレート2940に接し、上方への移動を規制する手段である。
【0103】
ストッパー2956は、パーティション枠体嵌合部2961と、ロックバー2962と、ロックレバー2963と、ロックスプリング2964と、ロールピン2965と、をもち、後方への移動を規制する手段である。
【0104】
パーティション枠体嵌合部2961は、パーティション2950がコレクター300の内部に引き込まれた際にパーティション枠体2951と嵌合する手段である。
【0105】
ロックバー2962は、パーティション枠体嵌合部2961に設けられた上下方向の二つの貫通孔を貫通してパーティション枠体嵌合部2961に取り付けられ、ロック実行時には上端部がコレクター天井プレート2940に設けられた穴に挿入される手段である。
【0106】
ロックレバー2963は、ロックバー2962の上端部近傍に固定され、ロック解除時には矢印Xで示される下向きへの作業者の押し下げによってロックバー2962を下向きにスライドさせる手段である。
【0107】
ロックスプリング2964は、ロックレバー2963とパーティション枠体嵌合部2961との間においてロックバー2962に巻回され、ロック解除時にはその長さが自然長よりも短くなるように圧縮される手段である。
【0108】
ロールピン2965は、ロックバー2962の下端部近傍に挿入され、パーティション枠体嵌合部2961に取り付けられたロックバー2962の上方への抜けを防止する手段である。
【0109】
このような構成のため、コレクター300に取り付けられたパーティション2950の上方および後方への移動が規制されるので、パーティション2950はダンプ動作などの際にもコレクター300から脱落しない。
【0110】
そして、ロックレバー2963が、ロック解除時には、
図10に示されているように、押し下げられる代わりに矢印Yで示される手前向きに引かれる構成も、考えられる。
【0111】
ここに、
図10は、本発明におけるさらに別の実施の形態の乗用草刈機の模式的な部分拡大斜視図である。
【0112】
ロックバー2962がパーティション枠体2951に上下の固定ピンで固定されたパイプ2970を上下方向に貫通しており、ロックバー2962が手前向きに引かれると、ロックバー2962に差し込まれているロックバーピン2972の両端部はパイプ2970に形成されている二重らせん状のパイプ溝2971に案内されて下向きに移動し、ロックバー2962が下向きにスライドさせられる。
【0113】
ロックバー2962を手前向きに引く操作はロックバー2962を押し下げる操作よりも多くの作業者にとってしばしば容易であるので、操作性を向上することが可能である。