(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、超臨界乾燥において用いた乾燥防止液を再利用して省液化できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置は、超臨界乾燥の前処理としてリンス液により加工物の洗浄を行うリンス部と、前記リンス液で洗浄された前記加工物に対して超臨界乾燥を行う超臨界乾燥部と、前記リンス部と前記超臨界乾燥部との間で前記加工物の搬送を行う搬送部と、を備え、前記超臨界乾燥部は、前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を供給する乾燥防止液供給部と、前記乾燥防止液供給部から前記超臨界乾燥部に供給した前記乾燥防止液を回収し、前記超臨界乾燥部から回収された前記乾燥防止液を前記リンス部へ送液する乾燥防止液送液部と、を有し、前記超臨界乾燥部から回収された前記乾燥防止液を少なくとも前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0011】
これにより、超臨界乾燥の際に用いた乾燥防止液をリンス液として再利用することができ、その結果、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥処理及び超臨界乾燥の前工程の洗浄処理を行うことができる。
【0012】
前記リンス部は、1次リンスを行う1次リンス部と、前記1次リンス部で洗浄された前記加工物を前記超臨界乾燥部へ搬送する前に洗浄するための2次リンスを行う2次リンス部と、を含み、前記超臨界乾燥部から回収された前記乾燥防止液を前記1次リンス部で用いてもよい。
【0013】
これにより、新たなリンスを使用する量を削減することができるとともに、2次リンス部においては新たなリンスのみ用いることで、複数回のリンス洗浄によりリンス液への液置換をより確実に行うことができるとともに、リンス洗浄後の加工物の表面をより清浄な状態とすることができる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置は、超臨界乾燥の前処理として加工物をリンス液により洗浄し、かつ前記加工物を搬送するリンス及び搬送部と、前記リンス液で洗浄された前記加工物に対して超臨界乾燥を行う超臨界乾燥部と、前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を前記超臨界乾燥部に供給する乾燥防止液供給部と、前記乾燥防止液供給部から前記超臨界乾燥部に供給した前記乾燥防止液を回収し、前記超臨界乾燥部から回収された前記乾燥防止液を前記リンス部へ送液する乾燥防止液送液部と、を有し、前記超臨界乾燥部から回収された前記乾燥防止液を少なくとも前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0015】
これにより、超臨界乾燥の際に用いた乾燥防止液をリンス液として再利用することができ、その結果、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥処理及び超臨界乾燥の前工程の洗浄処理を行うことができる。
【0016】
前記リンス液による洗浄の前処理として前記加工物の水洗洗浄を行う水洗部をさらに有し、前記水洗部では、前記加工物の洗浄面が垂直状態で置かれ、前記リンス及び搬送部は前記加工物を洗浄面が垂直ないし下向きとなるように前記水洗部より取出し、その後前記加工物を姿勢変形して前記加工物の洗浄面を水平ないし上向きに変換して前記加工物を搬送してもよい。
【0017】
これにより、加工物を搬送部において自動で姿勢変換することができ、かつ水平状態にすることで加工物の表面の乾燥を防止することができる。
【0018】
また、前記超臨界乾燥部は、その内部で前記加工物の超臨界乾燥を行う処理部と、前記処理部へと高圧流体を供給する高圧流体供給部とを有し、前記処理部と前記高圧流体供給部との間は第1の配管により接続され、前記処理部と前記乾燥防止液供給部との間は第2の配管により接続され、前記処理部と前記乾燥防止液送液部との間は第3の配管により接続され、前記処理部、前記第1の配管、前記第2の配管及び前記第3の配管はそれぞれ酸化被膜を有してもよい。
【0019】
これにより、リンス及び乾燥処理部と各配管からの金属排出が低減され、超臨界乾燥部の清浄度が良好に保たれ、リンス及び乾燥処理部内、使用済み乾燥防止液及び加工物の金属汚染を防止することができる。
【0020】
また、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置は、加工物に対して超臨界乾燥を行う超臨界乾燥部を備え、前記超臨界乾燥部は、超臨界乾燥の前処理としてリンス液により前記加工物の洗浄を行い、前記リンス液を排出した後に前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を供給されて超臨界乾燥を行うリンス及び乾燥処理部と、前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を前記リンス及び乾燥処理部に供給する乾燥防止液供給部と、前記乾燥防止液供給部から前記リンス及び乾燥処理部に供給した前記乾燥防止液を回収し、前記リンス及び乾燥処理部から回収された前記乾燥防止液を前記リンス及び乾燥処理部へ送液する乾燥防止液送液部と、を有し、前記リンス及び乾燥処理部から回収された前記乾燥防止液を少なくとも前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0021】
これにより、乾燥防止液をリンス液として再利用することができるとともに、リンス洗浄を実施するスペースを超臨界乾燥部と別途設ける必要がなく、装置全体を小さくすることができる。
【0022】
また、前記超臨界乾燥部は、前記リンス及び乾燥処理部へと高圧流体を供給する高圧流体供給部と、前記リンス及び乾燥処理部へと前記リンス液を供給するリンス液供給部とを有し、前記リンス及び乾燥処理部と前記高圧流体供給部との間は第1の配管により接続され、前記リンス及び乾燥処理部と前記乾燥防止液供給部との間は第2の配管により接続され、前記リンス及び乾燥処理部と前記乾燥防止液送液部との間は第3の配管により接続され、前記リンス及び乾燥処理部と前記リンス液供給部との間は第4の配管により接続され、前記リンス及び乾燥処理部、前記第1の配管、前記第2の配管、前記第3の配管及び前記第4の配管はそれぞれ酸化被膜を有してもよい。
【0023】
これにより、リンス及び乾燥処理部と各配管からの金属排出が低減され、超臨界乾燥部の清浄度が良好に保たれ、リンス及び乾燥処理部内、使用済み乾燥防止液及び加工物の金属汚染を防止することができる。
【0024】
また、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥方法は、加工物をリンス液で洗浄し、洗浄された前記加工物を超臨界乾燥部に搬送し、前記超臨界乾燥部に前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を供給して、前記加工物を前記乾燥防止液に曝し、前記超臨界乾燥部を超臨界状態の流体で満たし、前記乾燥防止液を超臨界状態の流体で置換し、その後超臨界状態の流体を気化して前記加工物を乾燥し、前記超臨界乾燥部に供給した前記乾燥防止液を回収し、少なくとも別の加工物を洗浄する際の前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0025】
これにより、超臨界乾燥の際に用いた乾燥防止液をリンス液として再利用することができ、その結果、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥処理及び超臨界乾燥の前工程の洗浄処理を行うことができる。
【0026】
前記リンス液での洗浄は、1次洗浄及び2次洗浄を含み、前記乾燥防止液は、別の加工物を洗浄する際の前記1次洗浄の際の前記リンス液の一部として用いてもよい。
【0027】
これにより、新たなリンスを使用する量を削減することができるとともに、2次リンス部においては新たなリンスのみ用いることで、複数回のリンス洗浄によりリンス液への液置換をより確実に行うことができるとともに、リンス洗浄後の加工物の表面をより清浄な状態とすることができる。
【0028】
また、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥方法は、加工物をリンス液で洗浄しつつ超臨界乾燥部に搬送し、前記超臨界乾燥部に前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を供給して、前記加工物を前記乾燥防止液に曝し、前記超臨界乾燥部を超臨界状態の流体で満たし、前記乾燥防止液を超臨界状態の流体で置換し、その後超臨界状態の流体を気化して前記加工物を乾燥し、前記超臨界乾燥部に供給した前記乾燥防止液を回収し、少なくとも別の加工物を洗浄する際の前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0029】
これにより、超臨界乾燥の際に用いた乾燥防止液をリンス液として再利用することができ、その結果、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥処理及び超臨界乾燥の前工程の洗浄処理を行うことができる。
【0030】
前記リンス液による洗浄の前処理として前記加工物の水洗洗浄を行い、前記水洗の際には、前記加工物の洗浄面が垂直状態であり、その後前記加工物を姿勢変形して前記加工物の洗浄面を水平ないし上向きに変換して前記加工物を搬送してもよい。
【0031】
これにより、加工物を搬送の際において水平状態にすることで加工物の表面の乾燥を防止することができる。
【0032】
また、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥方法は、加工物を超臨界乾燥部においてリンス液で洗浄し、前記超臨界乾燥部より前記リンス液を排出し、前記超臨界乾燥部へと前記リンス液と同一の成分を含む乾燥防止液を供給して、前記加工物を前記乾燥防止液に曝し、前記超臨界乾燥部を超臨界状態の流体で満たし、前記乾燥防止液を超臨界状態の流体で置換し、その後超臨界状態の流体を気化して前記加工物を乾燥し、前記超臨界乾燥部に供給した前記乾燥防止液を回収し、少なくとも別の加工物を洗浄する際の前記リンス液の一部として用いることを特徴とする。
【0033】
これにより、乾燥防止液をリンス液として再利用することができるとともに、リンス洗浄を実施するスペースを超臨界乾燥部と別途設ける必要がなく、装置全体を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、新たなリンス液の使用量を省液化できる、超臨界乾燥処理及び超臨界乾燥の前工程の洗浄処理を行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながらいくつかの実施形態として説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されることはなく、種々の変形を行なって実施することが可能である。また、図面においては、幅および高さなどは誇張している場合があり、実際の幅および高さなどの間の割合を正確に示していない場合がある。更に、同様の機能を有する部材には同じ符号を用い、説明を省略する場合がある。
【0037】
(本発明に至る経緯)
超臨界乾燥でリンス後超臨界乾燥前の乾燥防止液として用いられたVOCを、再度超臨界乾燥室内に戻して乾燥防止液として再利用として用いると、リンス洗浄で清浄化されたウェハに再利用の乾燥防止液に含まれるパーティクルが付着する虞があるとの知見に至った。本発明者は鋭意検討した結果、乾燥防止液を超臨界乾燥室前のリンス洗浄液として、または超臨界乾燥室内でのリンス洗浄液として再利用することで、ウェハを清浄に保ちつつ洗浄及び乾燥を通じて使用されるVOCの量を減らすことができるとの知見を得た。
【0038】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置の全体構成を示すブロック図である。
【0039】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置は、リンス部110、超臨界乾燥部120、搬送部130、乾燥防止液供給部140、高圧流体供給部150、排出液回収部160、送液部170、及びリンス液供給部180を備える。
【0040】
加工物10は、フォトリソ、エッチング、イオン注入などの工程を経た物品であって、洗浄および乾燥を行う対象物である。加工物10には、例えば、極微細にパターニングされたレジストや、MEMS技術で製造された微細空間などが形成されている。加工物10は、そのまま又は加工物ホルダに保持された状態で、洗浄、搬送、乾燥等の各処理が行われる。以下において加工物10とさす場合に、加工物10そのものだけでなく、加工物10及びこれを保持する加工物ホルダも含むことがある。加工物10は、純水で洗浄された後、またはエッチング後そのままリンス部110へと搬送される。なお、図面および以下の説明では加工物を枚葉処理することを例にして説明を行うが、複数の加工物を一括にバッチ処理してもよいものとする。
【0041】
リンス部110は、超臨界乾燥の前処理としてリンス液20により加工物10のリンス洗浄を行う部分である。リンス部110には、リンス液供給部180及び送液部170からリンス液20が供給される。リンス液20は、通常純水よりも表面張力が小さい液体であり、アルコール溶媒が用いられる。リンス液20として、例えばIPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。リンス液供給部180は通常、アルコールの入ったタンクがつながれ、タンク内のアルコールを送液してリンス部110に供給する。一方、送液部170は超臨界乾燥に用いられた乾燥防止液をリンス部110に供給する。この機構については、後で詳述する。リンス部110において、リンス液20による加工物10の洗浄とリンス液20による液置換を行う。
【0042】
リンス部110で洗浄処理された加工物10は、搬送部130により超臨界乾燥部120へ搬送される。搬送部130は、一般的な搬送用ロボットアームであり、加工物10を安定的に把持して搬送できる機構であればよく、その機構は特に限定されるものでない。
【0043】
超臨界乾燥部120は、加工物10に対して超臨界乾燥を行う部分である。超臨界乾燥部120は、処理部121、気液分離部122、加工物回収部123を少なくとも備える。処理部121には乾燥防止液供給部140、高圧流体供給部150、気液分離部122が接続され、処理部121及び気液分離部122は排出液回収部160と接続される。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置の超臨界乾燥部の構成を説明するための図である。超臨界乾燥部120、乾燥防止液供給部140、高圧流体供給部150、及び排出液回収部160の構成の詳細について、
図1とともに、
図2を参照しつつ説明を行う。
【0045】
処理部121は、その内部で加工物10に対して超臨界乾燥を行う耐圧容器(チャンバー)である。
図2を参照すると、加工物10を搬送部130により処理部121内に設置する際、処理部121は開状態とする。処理部121内に搬送された加工物10に対して超臨界乾燥を行う際、処理部121は閉状態とする。なお、図示は省略しているが乾燥が終了した後、処理部121が再び開状態となり、搬送部130により加工物10は処理部121外に搬出され、加工物回収部123に格納される。なお、加工物10の搬送作業を搬送部130で行ってもよいし、個別の搬送手段により加工物10を搬送してもよい。加工物10は、
図2に示すように、加工物の洗浄面が水平状態となる状態で処理部121へと搬送し、横置きとしてもよく、また、
図3に示すように、加工物の洗浄面が垂直状態となる状態で処理部121へと搬送し、縦置きとしてもよい。さらに、リンス部110が複数の加工物10を処理でき、処理部121が複数の加工物10を処理できるようにし、バッチ処理により複数の加工物10に対して一度に超臨界乾燥を行ってもよい。
【0046】
処理部121には、配管を通じて乾燥防止液供給部140より乾燥防止液30が供給される。乾燥防止液30は通常、純水よりも表面張力が小さく、かつ超臨界流体に親和性を有する薬液を用いる。さらに本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置においては、リンス液20と同じ材料を含んでいることが望ましい。取り扱い性やコストを考慮すると、乾燥防止液30とリンス液20はアルコールを用いるのが望ましく、例えばIPAを用いるとよい。また、リンス液には乾燥防止液の他に、乾燥防止液に用いた薬液に対して相溶性のある薬液を混合させてもよい。乾燥防止液30をリンス液20と同じ成分を含む薬液を用いることにより、乾燥防止液30として使用されたIPAを、リンス液20として再利用することができる。本実施形態では処理部121には、超臨界乾燥を行う加工物ごとに乾燥防止液供給部140より清浄な乾燥防止液30が供給される。
【0047】
搬送部130により搬送された加工物10の上面位置よりも高い位置に乾燥防止液30の溶媒界面がくるように、乾燥防止液30が処理部121に供給される。これにより、加工物10が高圧流体供給前に乾燥してパターン倒壊やスティッキングが発生することを防止するとともに、加工物10表面に残存する純水を置換することにより、気相と液相の界面における純水の界面張力によりパターン倒壊が発生することも防止する。
【0048】
また、処理部121には、高圧流体供給部150より、配管を通じて高圧で液化状態となった流体40が供給される。流体40は、温度と圧力を調整して超臨界状態にできるものであればよい。中でも二酸化炭素は臨界点が低く(7.38MPa、31.1℃)かつ化学的に安定であるため、超臨界流体として好適に用いることができる。なお、流体40は、超臨界状態で処理部121に供給されてもよく、また液化状態で処理部121に供給された後に処理部121で超臨界状態としてもよい。液化状態の二酸化炭素を導入すると乾燥防止液が流動して加工物10の一部に損傷を与えてしまう虞があるため、超臨界状態の二酸化炭素を処理部121に導入することが望ましい。
【0049】
超臨界状態となった流体40は、乾燥防止液30の界面付近から溶解していく。流体40をさらに供給しながら、乾燥防止液30(超臨界状態の流体40を含む)を排出液回収部160で回収して処理部120の外へ排出する。このように、超臨界状態の二酸化炭素を供給して、加工物10の周りの雰囲気を乾燥防止液30から超臨界状態の二酸化炭素に置換していく。
【0050】
加工物10の周りの雰囲気が超臨界状態の二酸化炭素に置換されると、処理部121は減圧される。圧力変化により二酸化炭素は気体状態となり、加工物10の乾燥が完了する。二酸化炭素を処理部121から回収した後、加工物10が加工物回収部123により処理部121の外部へと搬出され、回収される。
【0051】
超臨界乾燥後、処理部121内には乾燥防止液30の一部と高圧流体40とが混合された液体及び気体が蔓延している場合がある。この混合物は、気液分離部122を通じて処理部121から回収される。気液分離部122は、処理部121の排出液及び排気用の配管及びバルブを通じて処理部121内のこの混合物を回収する。
【0052】
気液分離部122において、回収された混合物について、気体と液体とに分離される。気液分離部122は、例えば処理部121に設けられた2組の配管とバルブである。一方が気体排出用の配管及びバルブであり、超臨界乾燥後、バルブを開放することにより排ガス、すなわち超臨界乾燥に用いた高圧流体40及び気体の状態の乾燥防止液30が処理部121から排出される。排ガスについては、大気に影響を及ぼさないよう、除害のうえ、廃棄される。
【0053】
また、他方は液体排出用の配管及びバルブであり、超臨界乾燥後、バルブを開放することにより、排出液50が処理部121から排出される。排出液50の内容物は主に超臨界乾燥に用いた乾燥防止液30であり、乾燥防止液30に高圧流体40及び加工物に微量に付着していたパーティクル等が混ざり合っている。排出液は、排出液回収部160へと送られる。
【0054】
排出液回収部160は、気液分離部122から送られた排出液を回収する。例えば、排出液回収部160はタンクであってもよく、回収した排出液50を蓄液してもよい。気液分離部122から排出液回収部160へは、配管を通じて排出液50が回収される。排出液回収部160において、フィルタを設けて排出液50から不純物を取り除いてもよい。
【0055】
送液部170は、排出液回収部160とリンス部110とを接続する配管と、排出液回収部160で回収した液体をリンス部110へ送る機構を有し、送液部170を通じて排出液が排出液回収部160からリンス部110へと送液される。
【0056】
搬送部130は、リンス部110内に置かれた加工物10を超臨界乾燥部120の処理部121へと搬送し、処理部121に置かれる。搬送部130は、リンス液により洗浄された加工物10の表面が乾燥するまでに加工物10が処理部121へ移すよう、速やかに加工物10を処理部121へと搬送する。搬送部130は、前工程の装置からリンス部110へと加工物10を搬送してもよい。
【0057】
図4は、本発明の実施形態に係る超臨界乾燥装置において、リンス洗浄の前工程として、水洗が行われる場合の装置の概要を示したブロック図である。
【0058】
図4を参照すると、
図1で参照した構成に加えて、リンス部110の前工程を実施する水洗部220及び水洗部220からリンス部110へと加工物を搬送する190を有する。
【0059】
水洗部220においては、純水を用いて加工物10の洗浄を行う。水洗部220では、加工物10を純水で洗浄し、パーティクル等を除去する。また、純水洗浄により、加工物10の乾燥も防止する。水洗部220は、複数の加工物10を一括してバッチ処理するものであってもよい。
【0060】
水洗部220において洗浄された加工物10は、搬送部190によりリンス部110へと搬送される。搬送部190として、前述の搬送部130を用いるのが望ましい。搬送部を共通化することにより、装置全体の小型化を図ることができるからである。以上のよう超臨界乾燥装置は、水洗部220を含めてシステム化されていてもよい。
【0061】
本実施形態に係る超臨界乾燥装置により、処理部121において用いられた乾燥防止液30を、リンス部110において再利用することができ、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥装置が提供される。また、超臨界流体は、粘性が低くパターンにダメージを与えないという利点がある反面、パーティクルを除去する能力が弱い。本実施形態では処理部121には、乾燥を施す加工物ごとに乾燥防止液供給部140より清浄な乾燥防止液30が供給されるため、上記のようにコストに優れるとともに洗浄性も優れたものとなる。
【0062】
本実施形態に係る超臨界乾燥装置において、リンス部110を複数設けて、加工物10を複数回リンス洗浄してもよい。そのうちいずれかのリンス部において行うリンス洗浄にのみ乾燥防止液を再利用してもよい。以下、リンス部110にて複数回リンス洗浄を行う態様について説明する。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態に係る超臨界乾燥装置において、複数のリンス部を設けた例を示すブロック図である。
【0064】
図5を参照すると、
図5の超臨界乾燥装置においては、リンス部110として、1次リンスを行う第1リンス部111及び2次リンスを行う第2リンス部112を備える。送液部170は、第1リンス部111と接続されるが、第2リンス部112とは接続されていない。回収された乾燥防止液を第1リンス111及び第2リンス部112のいずれで利用してもよいが、リンス洗浄を複数回行う場合、後のリンス洗浄に用いるリンス液20が、より清浄であることが望ましいことから第1リンス部111で利用する態様が望ましい。
図5のような構成により、第1のリンス部111においては、送液部170より送液された排出液50をリンス洗浄に用いて、新たなリンス液の使用量を削減することができるとともに、第2のリンス部112においては新たなリンス液のみ用いることで、複数回のリンス洗浄により純水からリンス液20に対する液置換をより確実に行うことができるとともに、リンス洗浄後の加工物10の表面を清浄な状態とすることができる。
【0065】
第1リンス部111と第2リンス部112との間で加工物10を搬送する場合には、前述の搬送部130により行いし、別の搬送部を設けてもよい。搬送部を共通化すれば装置全体の小型化を図ることができ望ましい。
【0066】
なお、本明細書において、1次リンス、2次リンスとは、加工物の清浄度レベルに応じて呼称している。2次リンスとは超臨界乾燥部120に搬送する直前に行う最も清浄度のレベルが高いリンス洗浄をさし、1次リンスとは2次リンス前のリンス洗浄全般をさすものである。したがって、1次リンス部がさらに複数のリンス部を有していてもよい。
【0067】
(実施形態2)
以下で、
図6を参照して本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置の構成について説明する。なお、上述した実施形態に係る超臨界乾燥装置と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0068】
図6は、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置の概要を示すブロック図である。
【0069】
図6を参照すると、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置は、リンス及び搬送部210、超臨界乾燥部120、乾燥防止液供給部140、高圧流体供給部150、排出液回収部160、送液部170、リンス液供給部180、及び水洗部220を備える。本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置においては、上述の実施形態(実施形態1)におけるリンス部110と搬送部130とが一体とされて、リンス及び搬送部210を構成する。
【0070】
送液部170及びリンス液供給部180は、リンス液をリンス及び搬送部210へと送液する。
【0071】
リンス及び搬送部210の具体的な構成を
図7を参照しつつ説明する。
【0072】
図7は、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥装置におけるリンス及び搬送部210の構成を説明するための概要図であり、
図7(A)は水洗部220から加工物10を引き上げる動作を説明するための概略図、
図7(B)は加工物10のリンスを行いながら搬送する動作を説明するための概略図である。
【0073】
図7(A)及び
図7(B)を参照すると、リンス及び搬送部210は、加工物把持部211、回転機構212、及び配管213を有する。加工物把持部211により加工物10を機械的に把持する。加工物把持部211により把持された加工物10の姿勢を回転機構212により変化させる。配管213によりリンス液供給部180及び送液部170から供給されるリンス液を加工物10に導く。
【0074】
図7(A)を参照すると、水洗部220では加工物10が垂直状態(洗浄面が水平面に対して垂直である状態)で静置され、その状態で上方へ引上げられる。加工物10がウェハである場合、水洗部220内でウェハキャリア内に静置されてもよい。加工物10は引き上げられる間、配管213から加工物10にリンス液が供給され、純水からアルコールに液置換が行われる。加工物10を垂直状態とすることで重力により純水が下方に流れやすくなり、液置換を効率的に行うことができる。加工物10を引き上げ中においても、純水からアルコール置換を行うために加工物を垂直状態とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。つまり、純水が下方に流れるように洗浄面を下向きにして引き上げることができる。例えば、洗浄面を垂直状態から±30°の範囲内で傾けて加工物10の洗浄面を下向きにして上方へ引き上げてもよい。
【0075】
次に
図7(B)を参照すると、加工物10を水洗部220から引き上げた後、回転機構212により加工物把持部211を回転させ、加工物を垂直状態から上向きの水平状態(洗浄面が水平面に対して平行である状態)へと移行する。超臨界乾燥部120の処理部121では通常、加工物10が水平状態で設置されるため、リンス工程において水平状態へ姿勢変化しておくことで、スムーズに超臨界乾燥部120へ搬送することが可能となる。したがって、水平状態で超臨界乾燥部120への搬送中に洗浄を行うことで、加工物10の洗浄及び搬送に要する処理時間を短縮することが出来る。また、加工物10を水平状態として搬送することで、リンス液が加工物10の表面に留まるようにすることで搬送中の加工物10の乾燥を防止できる。加工物10を搬送する中においても、リンス液により効果的に乾燥を防止するには洗浄面を上向きにした水平状態とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。つまり、リンス液が下方に流れにくくなるように、洗浄面を上向きにして搬送することができる。例えば、洗浄面を上向きの水平状態から±30°の範囲内で傾けて加工物10の洗浄面を上向きにして搬送してもよい。なお、図示を省略しているが、リンス及び搬送部210には水平方向に伸縮可能な機構を備え、加工物10の移動を可能としている。
【0076】
これにより、基板を平易に自動搬送可能とすることができる。また、リンス部と搬送部を別個に設けるよりも、リンス及び搬送部210として一体に構成することで、装置全体を小さくすることができる。
【0077】
なお、実施形態2に類似の他の実施形態として、実施形態1で説明した第1リンス部111及び第2リンス部112のいずれかをリンス及び搬送部210とし、その両方またはいずれかに送液部170を接続し、乾燥防止液30を再利用する構成としてもよい。
【0078】
また、加工物10を垂直状態のまま超臨界乾燥部120に置く場合には、
図8に示すように、リンス及び搬送部210は回転機構212を備えなくともよく、加工物10の姿勢を変化させることなく加工物10を水洗部220から超臨界乾燥部120へと搬送してもよい。また、加工物10がウェハの場合、1以上のウェハが格納されたウェハキャリアごと1以上のウェハを水洗部220から超臨界乾燥部120へと搬送してもよい。
【0079】
(実施形態3)
図9を参照して、本発明の実施形態3に係る超臨界乾燥装置について説明する。
【0080】
図9は、本発明の実施形態3に係る超臨界乾燥装置の概要を示すブロック図である。
【0081】
図9の基本的な構成及び各構成の詳細は、実施形態1や実施形態2と同様であるが、実施形態1や実施形態2の処理部121が、リンス洗浄の工程も行うことが可能なリンス及び乾燥処理部124であり、リンス及び乾燥処理部124に対して、リンス液供給部180及び送液部170よりリンス液20が供給される点で異なる。処理部121は、リンス洗浄処理と超臨界乾燥の処理を行うので、装置の小型化や搬送動作を簡略化が期待される。
【0082】
本実施形態において、リンス及び乾燥処理部124は、処理部121の機能に加えて、その内部においてリンス洗浄を行うことができる機能を有する。すなわち、具体的には、リンス及び乾燥処理部124に対して、リンス液供給部180及び送液部170から、リンス液20が供給される。なお、乾燥防止液供給部140からは、乾燥防止液30が供給されるが、リンス液20及び乾燥防止液30は同じ成分を含む液でもよい。
【0083】
リンス及び乾燥処理部124において、供給されたリンス液20を用いて、リンス洗浄を実施し、リンス及び乾燥処理部124へ搬送された加工物10に液置換を実施する。
【0084】
リンス洗浄が行われた後、リンス液20については、気液分離部122を通じ、リンス及び乾燥処理部124より排出され、排出液回収部160により回収される。
【0085】
リンス液20の排出後、リンス及び乾燥処理部124に対して、乾燥防止液供給部140より乾燥防止液30を供給する。その後の処理は、実施形態1及び実施形態2において説明したとおりである。なお、本実施形態において、
図9におけるリンス及び搬送部210は、リンス部110及び搬送部130でもよく、また、いずれの構成も有さず、水洗部220よりリンス及び乾燥処理部124に直接加工物10が搬送されてもよい。
【0086】
なお、回収した排出液50を、リンス及び乾燥処理部124において乾燥防止液30としても再利用することも考えられる。しかし、一度リンス洗浄や乾燥処理の際に用いた排出液50を、乾燥防止液30として用いると、乾燥処理後の加工物10が清浄な状態であるための妨げとなる虞があるため、本発明においては、乾燥防止液30としては排出液50を用いていない。
【0087】
本実施形態により、乾燥防止液30をリンス及び乾燥処理部124においてリンス液20として再利用することができるとともに、リンス洗浄を実施するスペースを超臨界乾燥部と別途設ける必要がなく、装置全体を小さくすることができる。
【0088】
図9に係る実施形態においては、
図15(a)に示すように、加工物10が設置されたリンス及び乾燥処理部124に対して、まずリンス液20を供給して加工物10に対して液置換を行う。その後、リンス及び乾燥処理部124から、リンス液20を全て排出し、それから乾燥防止液30を供給してリンス及び乾燥処理部を乾燥防止液30で満たしてもよい。また、
図15(b)に示すように、加工物10が設置されたリンス及び乾燥処理部124に対して、まずリンス液20を供給して加工物10に対して液置換を行う。その後、リンス及び乾燥処理部124から、リンス液20を一部排出、例えば半抜きし、それから乾燥防止液30を供給し、リンス及び乾燥処理部124をリンス液20及び乾燥防止液30により満たしてもよい。リンス及び乾燥処理部124への、こうしたリンス液20及び乾燥防止液30の供給方法については、加工物10に求められる清浄度などにより変化し得る。
【0089】
また、
図9に係る実施形態の変形例として、
図16に係る超臨界乾燥装置を説明する。
図16に係る超臨界乾燥装置においては、超臨界乾燥及びその前処理を行う超臨界乾燥部120と、前記超臨界乾燥部内に搬送された加工物10に対し、前記超臨界乾燥部内で液置換を行うための置換液(リンス液)20を供給するリンス液供給部180と、液置換処理後であって、超臨界乾燥の前処理として前記加工物の乾燥を防止し、かつ前記置換液と同一の成分を含む乾燥防止液30を前記超臨界乾燥部に供給する乾燥防止液供給部140と、前記乾燥防止液30を前記超臨界乾燥部120から回収し、回収した乾燥防止液30を置換液20の一部として保存する排出液回収部160と、前記回収した乾燥防止液30を、液置換処理の際に置換液20の少なくとも一部として前記排出液回収部160から前記超臨界乾燥部120に送液する送液部170と、を備えることを特徴とする。
図9におけるリンス及び搬送部210に代えて、搬送部215を有する。搬送部215の構成は、搬送部130や搬送部190と同様である。搬送部215による搬送中においては、純水及び/又はリンス液20を供給してもよい。回収した排出液50を、送液部170より、リンス及び乾燥処理部124にリンス液20として送液する。送液部170から、送液する際に、吸着剤等のフィルタを設けて排出液50から不純物を取り除いてもよい。なお、送液部170からリンス及び乾燥処理部124へとリンス液20を送液する際の配管の構成としては、直接リンス及び乾燥処理部124へとリンス液20を送液する配管を設けてもよく、リンス液供給部180からリンス及び乾燥処理部124へとリンス液20を送液する配管へと接続する配管を設けてもよく、またリンス液供給部180へと送液する配管を設けてもよい。
【0090】
リンス及び乾燥処理部124においては、まず、リンス液20による液置換を行う。次に、液置換に用いたリンス液20をリンス及び乾燥処理部124より排出して廃棄する。それから乾燥防止液30をリンス及び乾燥処理部124へと供給した後に流体40をリンス及び乾燥処理部124へと供給して超臨界乾燥を実施する。乾燥実施後、乾燥防止液30をリンス及び乾燥処理部124より排出し、流体40を排出する。
【0091】
リンス及び乾燥処理部124と、リンス及び乾燥処理部124と各構成を接続する配管は、後述する不動態化処理がなされていてもよい。
【0092】
本実施形態により、リンス液20及び乾燥防止液30をリンス液20として再利用することができるとともに、リンス洗浄を実施するスペースを超臨界乾燥部と別途設ける必要がなく、装置全体を小さくすることができる。
【0093】
(実施形態4)
以下で、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥方法について、
図10を参照しつつ説明する。なお、上述した実施形態1ないし実施形態3において説明した内容と重複する内容については説明を省略する。
【0094】
図10は、本発明の他の実施形態に係る超臨界乾燥方法の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、加工物10に対して、フォトリソ、エッチング、イオン注入等の前工程が行われる(S110)。
【0096】
前工程が行われた加工物10は、キャリア230などにより、水洗部220へと搬送され、純水に浸漬して洗浄される(S120)。水洗部220にキャリア230を浸漬する際、加工物10の洗浄面を垂直状態とすることで微細なパターンへのダメージを抑えることができる。
【0097】
純水により洗浄された加工物10は、リンス部110やリンス及び搬送部210において、リンス液20により洗浄され、純水からリンス液への液置換が行われる(S130)。液置換は複数回行われてもよい。水洗部220からの加工物10の引き上げは垂直状態で行い、リンス液を供給しながら水平状態に姿勢変形していくことが望ましい。
【0098】
リンス洗浄された加工物10は、搬送部130やリンス及び搬送部210により超臨界乾燥部120へと搬送され、開状態の処理部121内に格納される。加工物10が格納された処理部121を閉状態とした後、乾燥液供給部140より乾燥防止液30が供給され、超臨界乾燥処理前に加工物10が乾燥することを防止する(S140)。
【0099】
なお、上述したとおり、リンス及び乾燥処理部124において、搬送部215やリンス及び搬送部210による搬送後にリンス液への液置換が行われてもよい。
【0100】
流体40が、高圧流体供給部150より処理部121へと供給される(S150)。流体40は、予め超臨界状態あるいは供給後に液体状態から超臨界状態にしてもよい。液化状態の流体を導入すると乾燥防止液が流動して加工物10の一部に損傷を与える虞があるため、予め超臨界状態となった高圧流体40を処理部121に導入することが望ましい。
【0101】
導入された高圧流体40が超臨界状態でない場合には、処理部121内において超臨界状態となるまで昇圧・昇温される。超臨界状態となった流体40は、乾燥防止液30の界面から溶解していく。並行して流体40の供給と乾燥防止液30の排出を行う。その後、処理部121内を大気圧状態まで減圧し、流体を気化させて乾燥処理を行う(S160)。
【0102】
乾燥処理後、気液分離部122において、排出液50、排ガスを分離して、排出液50を排出液回収部160において回収する(S170)。分離された排ガスは、除害される。
【0103】
回収した排出液50を、リンス部110又はリンス及び搬送部210へと、送液部170を通じて送液する(S180)。送液された排出液50は、リンス液20の一部として、次の加工物10を洗浄する際に用いられる。また、乾燥処理が行われた加工物10を回収する(S190)。
【0104】
なお、上述したとおり、回収した排出液50を、リンス及び乾燥処理部124へと、送液部170を通じて送液し、リンス液20の一部として、次の加工物10を洗浄する際に用いてもよい。
【0105】
この一連の処理により、処理部121において用いられた乾燥防止液30を、リンス部110やリンス及び搬送部210において再利用することができ、新たなリンス液を使用する量が削減でき、コストに優れ、環境汚染の少ない超臨界乾燥工程を行うことができる。
【0106】
(実施形態5)
次に、
図11及び
図12を参照して、本発明の実施形態5に係る超臨界乾燥装置について説明する。その前に実施形態5に係る超臨界装置に関する理解を容易にするため、発明に至る経緯を簡単に述べる。
【0107】
超臨界乾燥においては、超臨界流体を用いる際に、超臨界乾燥を行うチャンバ及びチャンバまで超臨界流体を導く配管に高圧の負荷がかかる。チャンバ及び配管には、ステンレス鋼が用いられるが、このとき、高圧の超臨界流体にかけられた負荷により、ステンレス鋼に起因するFe、Cr、Ni等がチャンバや配管より排出され、金属汚染が発生してしまうという虞があった。そこで本発明者は、チャンバや配管の内側に不動態化処理等を施し、表面に酸化皮膜を形成することを、以下では提案する。
【0108】
(不動態化処理)
本実施形態では、超臨界乾燥装置のリンス部及び乾燥処理部、及び各構成を接続する配管に不動態化処理を施すことが特徴である。特に、上述の各実施形態(実施形態1〜4)に係る超臨界乾燥装置に当該不動態化処理を施すことが好ましい。以下では各実施形態に係る超臨界装置における処理部ないしリンス部及び乾燥処理部、及び各構成を接続する配管の不動態化処理について説明する。
【0109】
図11は、本発明の実施形態1及び2に係る超臨界乾燥装置の構成を説明するための配管を含む概要図である。また、
図12は、本発明の実施形態3に係る超臨界乾燥装置の構成を説明するための配管を含む概要図である。上述した実施形態1から3における配管を除く各構成の詳細については、以下では説明を省略する。
【0110】
図11を参照すると、高圧流体供給部150と、処理部121とは、第1の配管310により接続されている。第1の配管310を通じて、高圧流体40が高圧流体供給部150から処理部121へと供給される。
【0111】
乾燥防止液供給部140と、処理部121とは、第2の配管320により接続されている。第2の配管320を通じて、乾燥防止液30が乾燥防止液供給部140から処理部121へと供給される。
【0112】
気液分離部122と、処理部121とは、第3の配管330により接続されている。超臨界乾燥後に排出される流体ないし気体を含む排出液50が、第3の配管330を通じて、処理部121から気液分離部へと送られる。
【0113】
気体について除害し廃棄を行うブロック190と、処理部121とは、他の配管335により接続されている。気体40が、他の配管335を通じて、処理部121から気体について除害し廃棄を行うブロック190へと送られる。
【0114】
図12を参照すると、
図12の超臨界乾燥装置においては、
図11における処理部121の代わりに、リンス及び乾燥処理部124を有する。そして、リンス及び乾燥処理部124と高圧流体供給部150、乾燥防止液供給部140、気液分離部122、気体について除害し廃棄を行うブロック190との間が、それぞれ各配管310、320、330、335で接続されているのは
図11の超臨界乾燥装置と同様である。
【0115】
図12においては、リンス液供給部180と、処理部121とは、第4の配管340により接続されている。リンス液20が、第4の配管340を通じて、リンス液供給部180からリンス及び乾燥処理部124へと供給される。
【0116】
処理部121と、リンス及び乾燥処理部124のチャンバの内部は、通常、ステンレス鋼により、製造される。また、各配管310〜340の材料としても、通常、ステンレス鋼が用いられる。
【0117】
流体40として、例えば二酸化炭素を用いた場合、処理部121、リンス及び乾燥処理部124、及び各配管310〜340には約12MPaの圧力がかかり、この高い圧力により、Fe、Cr、Niなどがステンレス鋼を材料とする処理部121、リンス及び乾燥処理部124、及び各配管310〜340より排出され、処理部121内、リンス及び乾燥処理部124内、各配管310〜340内、及び基板表面が金属汚染されてしまう虞がある。処理部121内が金属汚染されると、超臨界乾燥処理後、回収された排出液50も結果として金属汚染されることとなり、排出液50がリンス液20として再利用される際にも、リンス液20が金属汚染された状態となってしまう。
【0118】
そこで、好ましくは各構成よりFe、Cr、Niなどの金属が排出されることを防止するため、本発明の各実施形態に係る超臨界乾燥装置においては、処理部121、リンス及び乾燥処理部124、及び各配管310〜340の表面処理を行い、各構成の内部表面に被膜を施して金属の排出を防止するとよい。ここで、表面処理としては、各構成がステンレス鋼により形成されている場合には、不動態化処理が好ましい。
【0119】
不動態化処理は、処理部121、リンス及び乾燥処理部124、及び各配管310〜340の各構成の内部へと、オゾンを供給し、各構成の内部表面のCrを酸化させて酸化被膜を形成することにより行われる。
【0120】
次に、
図13及び
図14を参照して、本発明の実施形態1ないし3に係る超臨界乾燥装置における不動態化処理の方法の一例を説明する。
図13は、本発明の実施形態1及び2に係る超臨界乾燥装置における不動態化処理の方法の一例を説明するための概要図である。
図14は、本発明の実施形態3に係る超臨界乾燥装置における不動態化処理の方法の一例を説明するための概要図である。
【0121】
図13及び
図14を参照すると、高圧流体供給部150の代わりに、オゾン供給部400が第1の配管310を通じて処理部121ないしリンス及び乾燥処理部124と接続されている。ステンレス鋼の表面がオゾンに暴露されると、ステンレス鋼の表面に酸化被膜が形成される。
【0122】
図13及び
図14において、処理部121又はリンス及び乾燥処理部124を各構成と各配管310〜340により接続後、オゾン供給部400から高濃度で圧縮されたオゾンガス60を供給する。オゾンガス60は、第1の配管310を通じて処理部121又はリンス及び乾燥処理部124へと供給され、処理部121又はリンス及び乾燥処理部124から、各配管320〜340へと供給される。各配管320〜340の端部は封止され、二重鎖線で囲まれた領域P内の各構成をオゾンガス60に暴露する。また、これと異なり、各配管320〜340のバルブを閉じることにより、各配管320〜340のバルブ手前までをオゾンガス60に暴露してもよい。
【0123】
オゾンガス60により、ステンレス鋼で形成された処理部121、リンス及び乾燥処理部124及び各配管310〜340を暴露し、その結果、各構成のステンレス鋼の内部表面に酸化被膜が形成され、不動態化処理が完了する。酸化被膜の厚さは数nmである。不動態化処理完了後、オゾン60を他の配管335を通じて、気体について除害し廃棄するブロック190へと排気し、除害後に廃棄する。その後、オゾン供給部400を高圧流体供給部150と置換し、超臨界乾燥処理を実施する。
【0124】
以上の不動態化処理により、リンス及び乾燥処理部と各配管からの金属排出が低減され、これにより超臨界乾燥部の清浄度が良好に保たれ、リンス及び乾燥処理部内、使用済み乾燥防止液及び加工物の金属汚染を防止することができる。使用済み乾燥防止液の金属汚染が防止されることにより、乾燥防止液のリンス液への再利用の際に、より清浄なリンス液を使用することができる。