(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明のいくつかの実施形態を説明する。なお、以下に記載する実施形態は発明内容の説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、それらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る送電装置及び受電装置から構成される非接触電力伝送システムの図である。送電装置100は、受電装置200に対して、非接触で電力を伝送し、受電装置200は、送電装置100から伝送された電力を受電し、当該電力を用いて装置本体の充電を行う。送電装置100は、
図2に示すように、1台以上の受電装置200を置くことができる充電台(充電装置)であり、置かれた受電装置200を充電することができる。
図2は、送電装置100の上に受電装置200aを乗せて充電を開始し、さらに、受電装置200bを乗せて充電を行っている状態を示している。受電装置200は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、携帯型音楽プレーヤ、ワイヤレスヘッドセット等の、充電可能なバッテリを備えた任意の機器である。送電装置100と受電装置200とは、受電装置200の充電状態(例えば、充電中、充電完了、充電停止、充電不可等)を確認するために、データ通信を行う機能を有しているが、以下では、受電装置200から送電装置100への片方向にしかデータを送信しないものとして説明する。
【0015】
(送電装置の構成)
図1により、本実施形態1に係る送電装置100の内部構成について説明する。送電装置100は、送電部110と、送信電力検出部111と、データ受信部112と、電源部113と、受電装置検出部114と、表示部115と、記憶部116と、制御部117とを備える。
【0016】
送電部110は、例えば、発振回路と共振回路(図示せず)とを備え、受電装置200に対して電力を送信する。ここで、共振回路は、1次コイルとコンデンサとを備え、所定の共振周波数で発振するように設計された回路である。送電部110は、発振回路が生成した共振周波数の発振信号を用いて、電源部113から入力された直流電圧を交流電圧に変換する。そして、送電部110は、変換した交流電圧を1次コイルとコンデンサとで共振させることにより送信電力を生成し、磁気共鳴現象を利用することにより、受電装置200に非接触で電力を供給する。
【0017】
送信電力検出部111は、例えば、電力計を備え、送電部110が生成する送信電力の電力値を検出する。
【0018】
データ受信部112は、例えば、無線アクセスに利用されるアンテナ、通信用の無線通信回路、及び復調部を備え、所定の通信プロトコルに従って通信を行い、受電装置200から受信した通信データを復調してデータとして取得する。
【0019】
電源部113は、非接触で伝送する電力を供給する直流電源であり、送電部110に対して、任意の電力を供給する。
【0020】
受電装置検出部114は、受電装置200が送電装置100上に置かれた場合など、受電装置200と送電装置100とが所定距離内にあることを検出する。具体的な検出方法としては、例えば、静電容量センサを用いて装置の接触(接近)を検出する、また、予め受電装置200の内部にマグネットを内蔵しておき、磁気センサを用いて受電装置200に内蔵しているマグネットからの磁場強度を検出することにより、装置の接触(接近)を検出する。また、受電装置200が備える
2次コイルが近づくことで磁界が変化し、これに伴って変化するインピーダンスを検出することにより、装置の接触(接近)を検出する方法がある。受電装置検出部114は、任意の方法により、送電装置100と受電装置200との接触(接近)を検出する。
【0021】
表示部115は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル、もしくは、LED(Light Emitting Diode)、及び、ドライバ回路等から構成され、現在の充電状態に関する情報を利用者に対して適宜表示する。表示部115は、例えば、LEDの点灯や点滅により充電状態を表示したり、また、液晶パネルを用いて、文字列や画像を表示することにより充電状態を表示したりする。表示部115は、利用者が認識できる任意の方法により、充電状態の表示を行う。
【0022】
記憶部116は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリ、あるいはRAM(Random Access Memory)等の揮発性半導体メモリから構成され、制御部117が実行する動作プログラム(アプリケーション)の他、各処理の実行に必要なデータや各処理の実行によって生成されたデータなどを格納する。また、記憶部116は、受電制御に用いる充電制御テーブル300を格納している。
【0023】
図3は充電制御テーブル300のいくつかの例を示す。充電制御テーブル300は、
図3(a)〜(c)に示すように、同一の受電装置200から受信した、乱数値401、要求電力値402、固有番号403、受信電力値404、充電状態405をレコードとして格納する。充電制御テーブル300の各レコードは、乱数値401あるいは固有番号403により識別可能である。ここで、乱数値401は、後述する初期化コマンド501を受電装置200から受信することで取得される。また、固有番号403は、後述する固有番号コマンド502を受電装置200から受信することで取得される。また、受信電力値404は、後述する受信電力通知コマンド503を受電装置200から受信することで取得される。また、充電状態405は、後述する充電状態通知コマンド504を受電装置200から受信することで取得される。送電装置100は、制御部117を介して、充電制御テーブル300を管理することにより、それぞれの受電装置200の充電に関する状況を把握することが可能になる。
【0024】
図1に戻って、制御部117は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM等から構成され、記憶部116に格納された動作プログラムに従って、送電装置100全体の動作を制御する。制御部117は、送電部110からデータ受信部119までの動作を制御することにより、送電装置100を制御する。
【0025】
(受電装置の構成)
次に、実施形態1に係る受電装置200の内部構成について説明する。受電装置200は、
図1に示すように、受電部210、受信電力検出部211、データ送信部212、蓄電池213、充電管理部214、表示部215、乱数値生成部216、記憶部217、制御部218、及びホスト制御部219を備える。
【0026】
受電部210は、例えば、共振回路及び整流回路(図示せず)を備える受電回路を有し、送電装置100から送信された電力を受信する。ここで、共振回路は、2次コイル及びコンデンサを備え、送電装置100が電力送信に使用する共振周波数と同じ共振周波数を有するように設計された回路である。受電部210は、磁気共鳴現象を利用することにより、送信側の共振回路と受電側の共振回路との間の共振により受電側の共振回路で発生した交流電圧を電力として受信(受電)する。受電部210は、受信した交流電圧を整流回路で整流して直流電圧に変換し、変換後の直流電圧により、充電管理部214経由で蓄電池213を充電する。
【0027】
受信電力検出部211は、例えば、電力計を備え、受電部210に供給された電力値を検出する。
【0028】
データ送信部212は、例えば、無線アクセスに利用されるアンテナ、通信用の無線通信回路、及び変調部を備え、所定の通信プロトコルに従って通信を行い、送電装置100に送信するデータを変調し、送信する。データの変調方式としては、例えば、負荷変調を用いる方法があるが、他の任意の変調方式であってもよい。また、データの符号化方式としては、例えば、NRZ(Non Return to Zero)符号化やマンチェスター符号化を用いる方法があるが、他の任意の符号化方式であってもよい。
【0029】
蓄電池213は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等から構成され、受電装置200を駆動するための電力を供給する、充電が可能な電池である。蓄電池213は、送電装置100から送信された電力を蓄えることができる任意の電池である。
【0030】
充電管理部214は、受電部210が生成する直流電圧や蓄電池213の電圧などを監視して、蓄電池213の充電が正常に行われるように制御を行う。
【0031】
表示部215は、例えば、LCD、有機ELパネル、もしくは、LED、及び、ドライバ回路等から構成され、視覚情報や音声情報を出力して、受電装置200の利用者に対して充電状態を提示する。
【0032】
乱数値生成部216は、乱数値を生成する。乱数値生成部216は、典型的には、送電装置100が受電装置200を同時に充電できる台数の範囲内の整数値からなる乱数値を生成する。例えば、送電装置100が4台の受電装置200を同時に充電することができる場合、乱数値生成部216は、0、1、2、3の4種類の乱数値を生成する。乱数値生成方法としては、例えば、線形帰還シフトレジスタを用いて擬似乱数値を生成する方法、あるいは電気回路の熱雑音を用いて真性乱数値を生成する方法があるが、他の任意の方法を用いて擬似乱数値や真性乱数値を生成してもよい。いずれもランダム過程を介して乱数を生成する。なお、乱数値の範囲は、受電装置200の台数に限定されず、任意に設定されてもよい。
【0033】
記憶部217は、例えば、ROMやフラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリ、あるいはRAM等の揮発性半導体メモリから構成され、制御部218が実行する動作プログラム(アプリケーション)の他、各処理の実行に必要なデータや各処理の実行によって生成されたデータなどを格納する。また、記憶部217は、充電制御で用いる乱数値401、固有番号403を格納している。ここで、固有番号403は、受電装置200を一意に識別するための番号である。固有番号403は、例えば、受電装置200の製造メーカに一意に割当てられた番号と製造メーカごとに管理している製品のシリアル番号とを連結したものとする。固有番号403をこのような番号にすることにより、その一意性が保証される。しかし一意性が保証される他の番号体系であってもよい。
【0034】
制御部218は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、記憶部217に格納された動作プログラムに従って、受電部210からホスト制御部219までの動作を制御することにより、受電装置200を制御する。制御部218は、典型的には、電力伝送により発生する受電部210からの起電力で電源がオンとなり動作を開始し、電力伝送が停止して受電部210からの起電力が無くなると電源がオフとなり動作を終了する。但し、一部については蓄電池213に蓄電された電力を用いて動作を継続させてもよい。
【0035】
また、制御部218は、送電装置100の動作を制御するために使用される制御コマンドを作成し、当該制御コマンドを送電装置100へ送信する。制御部218は、データ送信部212を制御して、変調方式として例えば負荷変調を用い、符号化方式として例えばマンチェスター符号化を用いることによって、制御コマンドの変調及び符号化を行い、符号化により生成されるビット列を送電装置100に送信する。
図4に、制御コマンドのフォーマット例を示す。
【0036】
図4(a)は、初期化コマンド501のフォーマット例を示した図である。初期化コマンド501は、電力伝送を初期化するためのコマンドである。受電装置200が電力伝送により発生した電力により電力供給を開始し、制御部218の電源がオンしたら、直ちに送電装置100に1回だけ初期化コマンド501が送信される。
【0037】
初期化コマンド501は、同図に示すように、ヘッダ511、レングス512、データ513、チェックコード514から構成される。ヘッダ511は、初期化コマンド501を識別する所定の値を格納する。ヘッダ511には、送電装置100に、コマンドの開始を認識させ、同期をとるタイミングを与えるための特定パターン(プリアンブル)を先頭に含めてもよい。レングス512は、初期化コマンド501のサイズを格納する。データ513は、乱数値401と要求電力値402とから構成される。乱数値401は、受電装置200が備える乱数値生成部216で生成された乱数値であり、異なる装置から送信されたコマンドを識別すると共に、受電装置200の受電状態を切替えるために用いられる。要求電力値402は、受電装置200が備える蓄電池213を充電するために必要な電力を示す値であり、送電装置100に伝えるためにデータ513の一つとして初期化コマンドに格納される。チェックコード514は、通信路上等でエラーが発生した場合に誤り検出を行うために用いられる。例えば、ヘッダ511、レングス512、データ513の各バイトの排他的論理和が、チェックコード514となる。なお、排他的論理和の代わりにCRC(Cyclic Redundancy Check)を用いてもよい。
【0038】
図4(b)は、固有番号コマンド502のフォーマット例を示した図である。固有番号コマンド502は、受電装置200に割当てられている固有番号403を送電装置100に伝えるためのコマンドである。固有番号コマンド502は前述した初期化コマンド501と同様に、ヘッダ511、レングス512、データ513、チェックコード514から構成される。ヘッダ511は、固有番号コマンド502を識別する所定の値を格納する。受電装置200は、前述の初期化コマンド501を送信した後、所定の時間が経過したら、固有番号コマンド502を送信する。データ513は、乱数値401と固有番号403とを格納する。受電装置200は、電力伝送が継続していて制御部210の電源が一旦オフしない限りは、初期化コマンド501と固有番号コマンド502とに格納する乱数値401は同じ値にする。
【0039】
図4(c)は、受信電力通知コマンド503のフォーマット例を示した図である。受信電力通知コマンド503は、受電装置200が電力伝送により現在受信している電力の値である平均受信電力値404を送電装置100に伝えるためのコマンドである。受信電力通知コマンド503は、前述した初期化コマンド501と同様に、ヘッダ511、レングス512、データ513、チェックコード514から構成される。ヘッダ511は、受信電力通知コマンド503を識別する所定の値を格納する。データ513は、乱数値401と受信電力値404を格納する。受電装置200は、前述の固有番号コマンド502を送信した後、定期的に受信電力通知コマンド503を送電装置100に送信する。受電装置200は、電力伝送が継続していて制御部210の電源がオフしない限りは、初期化コマンド501と受信電力通知コマンド503とに格納する乱数値401は同じ値にする。
【0040】
図4(d)は、充電状態通知コマンド504のフォーマット例を示した図である。充電状態通知コマンド504は、受電装置200が送電装置100から伝送された電力を受電することにより充電を行っている蓄電池213の現在の充電状態を送電装置100に伝えるためのコマンドである。充電状態通知コマンド504は、前述した初期化コマンド501と同様に、ヘッダ511、レングス512、データ513、チェックコード514から構成される。ヘッダ511は、充電状態通知コマンド504を識別する所定の値を格納する。データ513は、乱数値401と充電状態405とを格納する。充電状態405は、充電処理の完了の有無や充電が完了していない場合は充電率などを格納する。また、充電状態405は、充電処理に何らかのエラーが発生した場合は、発生したエラーに対応したエラーコードを格納する。受電装置200は、前述の固有番号コマンド502を送信した後、定期的に充電状態通知コマンド504を送電装置100に送信する。受電装置200は、電力伝送が継続していて制御部210の電源がオフしない限りは、初期化コマンド501と充電状態通知コマンド504とに格納する乱数値401は同じ値にする。
【0041】
なお、上述の制御コマンドは、同等の機能を有するならば他のコマンドフォーマットであってもよい。例えば、初期化コマンド501と固有番号コマンド502とを組み合わせ、要求電力値402と固有番号403とを同じコマンドで送信してもよい。また、受信電力通知コマンド503と充電状態通知コマンド504とを組み合わせ、受信電力値404と充電状態405とを同じコマンドで送信してもよい。
【0042】
図1に戻って、ホスト制御部219は、非接触電力伝送による充電処理以外で受電装置200に必要な機能を制御し、蓄電池213からの供給電力により動作する。ホスト制御部219は、例えば、受電装置200が携帯電話である場合は通話機能やメール機能を実現し、受電装置200が携帯音楽プレーヤの場合は音楽再生機能を実現する。ホスト制御部219が動作することにより、受電装置200が備える、充電処理以外の任意の機能が実現できる。
【0043】
(送電装置の動作)
次に、送電装置100の動作について説明する。
図5は、送電装置100が行う送電処理を説明するためのフローチャートである。以下、図面を参照して説明する。
【0044】
送電装置100は、電源がオンされると、受電装置200の充電を行うように利用者に促して、受電装置200が送電装置100上に置かれることにより、送電処理を開始する。
【0045】
制御部117は、受電装置検出部114を制御して、送電装置100上に置かれた受電装置200を検出する(ステップS101)。
【0046】
受電装置200を検出できない場合(ステップS101;No)、所定時間待機した後、制御部117は、受電装置200の検出を再び行う(ステップS101)。
【0047】
一方、受電装置200を検出できた場合(ステップS101;Yes)、制御部117は、記憶部116を制御して、充電制御テーブル300を初期化(すべてのレコードをクリア)する(ステップS102)。そして、制御部117は、送電部110を制御して、受電装置200に対して所定の電力で電力伝送を開始する(ステップS103)。
【0048】
次に、制御部117は、データ受信部112を制御して、受電装置200から送信される初期化コマンド501を受信したか否かを判定する(ステップS104)。
【0049】
初期化コマンド501の受信が成功した場合(ステップS104;受信成功)、制御部117は、記憶部116を制御して、受信した初期化コマンド501を保存し(ステップS105)、ステップS106に進む。
【0050】
初期化コマンド501を受信していない場合(ステップS104;受信なし)、そのままステップS106に進む。
【0051】
初期化コマンド501の受信を失敗した場合(ステップS104;受信失敗)、制御部117は、送電部110を制御して、受電装置200に対する電力伝送を停止する(ステップS112)。そして、制御部117は、記憶部116を制御して、充電制御テーブル300を初期化する(ステップS102)。初期化コマンドの受信に失敗する原因として、例えば、受電装置200が初期化コマンドではない他のコマンドを送信した場合が考えられる。また、受電装置200が送電装置100上に複数台置かれており、それぞれの受電装置200が同じタイミングで初期化コマンド501を送信したため、データ受信時に受信信号の衝突(コリジョン)が発生した場合が考えられる。この場合、受電装置100は、初期化コマンド501を正しく復調することができずに受信エラーとなるか、あるいは間違ったデータを受信することになる。なお、受電装置100が間違ったデータを受信したことは、コマンドに付加されているチェックコード514を用いることにより検出することができる。
【0052】
次に、制御部117は、電力伝送を開始してから所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、所定の時間とは、利用者があらかじめ設定した時間、前回設定された時間等、任意に設定できる時間である。この時間は、送電装置100上に設置され得る最大台数の受電装置200から送信される初期化コマンド501の受信を待つための待ち時間である。この時間はデータ受信時の受信信号の衝突を避けるために所定の方法で各受信装置200からの初期化コマンド501の送信タイミングを互いにずらすことにより発生する。
【0053】
電力伝送を開始してから所定の時間が経過していない場合(ステップS106;No)、ステップS104に戻り、制御部117は、初期化コマンド501を受信したか否かを再び判定する。
【0054】
一方、電力伝送を開始してから所定の時間が経過した場合(ステップS106;Yes)、制御部117は、受信した初期化コマンド501の数を判定する(ステップ
S107)。
【0055】
初期化コマンド501の数が0個あるいは所定の上限値以上であった場合(ステップS107;0又は上限値以上)、制御部117は、送電部110を制御して、電力伝送を停止する(ステップS113)。そして、制御部117は、送電装置100上に置かれた受電装置200を再び検出する(ステップS101)。電力伝送を停止する理由は、初期化コマンド501の数が0個であるならば、正規の受電装置200以外の異物が送電装置100の上に置かれていると判断できるからである。また、初期化コマンド501の数が所定の上限値以上であるならば、規定以上の数の受電装置200が送電装置100の上に置かれているため充電処理を保証できないと判断できるからである。なお、所定の上限値は、送電装置100が同時に充電できる受電装置200の台数値、利用者が予め設定した値等、任意に設定できる値である。
【0056】
初期化コマンド501の数が1個以上且つ所定の上限値未満であった場合(ステップS107;1以上、上限値未満)、制御部117は、受信した各初期化コマンド501に含まれる乱数値401が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS108)。
【0057】
全乱数値401が所定の条件を満たす場合(ステップS108;Yes)、制御部117は、初期化コマンドの数に基づき、送電電力量を調整する(ステップS109)。これはステップS103で送電するときの所定の電力量を初期化コマンド501の数が確定した時点で、すなわち充電対象となる受電装置200の台数が確定した時点で、この台数に基づき送電電力量を調整することを目的とする。なお、この処理は省いてもよい。次に、制御部117は、記憶部116を制御して、受信した初期化コマンド501に格納されている乱数値401と要求電力値402とを、新しいレコードとして充電制御テーブル300に
追加することにより、充電制御テーブル300を更
新する(ステップS110)。
【0058】
一方、全乱数値401が所定の条件を満たさない、すなわち、乱数値401の少なくとも一部が、所定の条件を満たさない場合、(ステップS108;No)、制御部117は、送電部110を制御して、受電装置200に対する電力伝送を停止する(ステップS112)。そして、制御部117は、記憶部116を制御して、充電制御テーブル300を初期化する(ステップS102)。すなわち、受電装置200から送信される初期化コマンド501に含まれる乱数値401が全て所定の条件を満たすまで、ステップS102に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0059】
受電効率は乱数値と対応づけられている。乱数値401についての所定の条件とは、乱数値401が、受電効率に対応付けられた乱数値を含み、かつ、最小受電効率以外の受電効率に対応する乱数値を少なくとも1つ含むということである。受電効率については後述する。
【0060】
なお、所定の条件に、更に全ての乱数値が異なっているという条件を付加しても良い。全ての乱数値が異なっているという条件は、次の事情により設定されることがある。複数の受電装置200から送電装置100に送信される初期化コマンド501が、受信側の送電装置100で衝突を起こさないように、初期化コマンド501の送信タイミングを複数の受信装置200毎に変えて送信する場合がある。送信タイミングを各受電装置200の生成する乱数値に応じて設定するようにした場合に、全乱数値が異なっているという条件を付加する。これにより上記衝突を確実に避けることができる。
【0061】
ステップS110の処理の実行後、制御部117は、電力伝送を継続し、データ受信部112を介して受電装置200からの各種コマンドを受信し、受信した各種コマンドに基づいて充電制御テーブル300を更新する(ステップS111)。ステップS111での更新では乱数値401は変わらない。
【0062】
次に、制御部117は、充電制御テーブル300が格納する充電状態405に基づいて、受電装置200の状態を確認する(ステップS114)。
【0063】
全ての受電装置200の充電状態405が「充電完了」である場合(ステップS114;全て充電完了)、制御部117は、送電部110を制御して、電力伝送を停止して(ステップS113)、所定時間待機した後、受電装置200の検出を再び行う(ステップS101)。
【0064】
受電装置200の充電状態405が「充電完了」となり、受電装置200の充電がすでに完了しているにもかかわらず、充電状態405が「充電中」となった場合、受電装置200の充電が完了していないのに、充電状態405が「充電停止」となっている場合など、受電装置200の充電状態405を変更する必要がある場合、すなわち、受電装置200の充電状態405をリセットする必要がある場合(ステップS114;リセット必要)、制御部117は、送電部110を制御して、受電装置200に対する電力伝送を停止する(ステップS112)。そして、制御部117は、記憶部116を制御して、充電制御テーブル300を初期化する(ステップS102)。受電装置200の詳細な動作については後述するが、受電装置200は、電力伝送が再開される(ステップS103)と、乱数値401を生成し、初期化コマンド501に含めて、送電装置100に送信するとともに、初期化コマンド501に格納した乱数値401に対応して、受電部210の受電効率を切り換える。送電装置100は、受信した初期化コマンド501に含まれる乱数値401が乱数値に関する所定の条件を満たすかどうかを判定し(ステップS108)、満たす場合に(ステップS108;Yes)、制御部117は、初期化コマンドの数、すなわち受電装置200の台数に応じて、送電電力を調整する(ステップS109)。その後、充電制御テーブルを更新して(ステップS110)、受電装置200への電力伝送を継続する(ステップS111)。このとき、受電装置200は、この乱数値401に対応した受電効率で受電を継続する。従って、送電装置100は、上記過程を通じて、送電装置100の上に設置されている受電装置200のどれにどの程度の電力を送信するかを制御することが可能になる。それぞれの受電装置200に供給する電力の比率を変えたい場合は、乱数値401に関する所定の条件を変更設定し、ステップS108を経由して乱数値401が所定の条件を満たすまで、電力伝送を停止する処理(ステップS112)と電力伝送の開始処理(ステップS103)、及び再び初期化コマンドを受信する処理を繰り返す(ステップS104)。これにより、受信装置200では、それぞれの受電装置200に割り振られる乱数値401を変更することになるため、受電装置200の充電状態405を変更することができる。
【0065】
送電装置100が複数台の受電装置200の充電を伴う受電処理を制御するための動作についてもう少し詳しく説明する。受電装置200を複数台同時に充電するためには、受電装置200が1台置かれる場合に比べて、送電装置100は多くの電力を伝送する必要がある。もし送電装置100が伝送できる最大電力の値が、それぞれの受電装置200が要求する電力の合計より小さい場合は、受信電力が少なすぎるために、それぞれの受電装置200を同時に充電することが出来ない可能性がある。一方で、それぞれの受電装置200が要求する合計電力以上の電力を送電装置100が供給できたとしても、受電装置200それぞれに電力がどのように分配されるかを把握して、いずれかの受電装置200に過度の電力が供給されないように制御する必要もある。このため、送電装置100は、充電制御テーブル300を更新することにより、受電装置200の充電状態を変化させる。ここでは、
図2に示すように、送電装置100の上に2台の受電装置200aと200bとが置かれている場合について説明するが、受電装置200が3台以上の場合も同じ方法が適用可能である。
【0066】
図3の(b)は、送電装置100が2台の受電装置200aと200bとに電力伝送を行っている場合の、送電装置100が保持している充電制御テーブル300の一例である。同図に示すように、充電制御テーブル300は、受電装置200aの乱数値401が0で、受電装置200bの乱数値401が3となっている。それぞれの受電装置200a、200bは、乱数値401の値に応じて受電効率を切り替える。後述する
図9の(a)〜(d)は乱数値401と受電効率の関係を例示する。受電効率とは、送電装置100から送電した電力に対して、受電装置200で受電した電力の比を言う。最大受電効率を、送電部110と受電部210のそれぞれの共振周波数が等しいとき、すなわち両者間が共振状態のときの受電効率とし、最小受電効率を、送電部110と受電部210のそれぞれの共振周波数が全く異なり両者間が非共振状態のとき(例えば、互いの共振特性を示す共振ピーク間の周波数の差がそれぞれの共振ピークの標準偏差のk倍以上の場合で、kはたとえば4以上等)の受電効率とする。今、
図9(a)に示すように、乱数値401が0のときを最大受電効率が継続するパターンに対応させ、
図9(d)に示すように、乱数値401が3以上のときを最小受電効率が継続するパターンに対応させたとする。
図3(b)に示す例では、受電装置200aは、最大受電効率で電力を継続して受信し、受電装置200bは、最小受電効率で電力を継続して受信しているので電力を殆ど受信しない。このため、受電装置200aの受信電力値404は、要求電力値に近い値となっており、受電状態も「充電中」となっている。一方、受電装置200bの受信電力値404は、非常に小さくなっていて充電を行えないため、充電状態は「充電停止」となっている。乱数値401がこのような組み合わせになることで、受電装置200aのみを優先的に充電することが可能になる。
【0067】
また、
図3(c)に示した充電制御テーブル300の一例では、受電装置200aの乱数値401が0で、受電装置200bの乱数値401が1となっている。
図9(b)は乱数値401が1であるときの受電効率の例を示す。この例では、受電効率は最大受電効率と最小受電効率との間で周期的に変化する。従って、乱数値401が1のときの受電装置200の受電電力値の時間平均値は乱数値401が0のときよりも小さく、乱数値401が3のときよりも大きくなる。
図3(c)に示した充電制御テーブル300に格納されているそれぞれの充電状態は「充電中」となっているが、受電装置200aの受信電力値404の方が受電装置200bの受信電力値404よりも大きい数値となるため、受電装置200aの充電スピードは速く、受電装置200bはよりゆっくりと充電する結果となる。このように、それぞれの受電装置200a、200bが生成した乱数値401の組み合わせにより、それぞれの受電装置200a、200bの受電効率を変更することが可能になる。
【0068】
なお、
図3(c)に例示するような乱数値401の組み合わせについては、
図5のステップS108の所定の条件に、例えば、乱数値401が最大受電効率に対応した値を含むという条件を付加することにより得られる。
【0069】
送電装置100の制御部117は、充電制御テーブル300を参照することで、受電装置200aと200bとに電力がどのように分配されるかを把握する。そして、それぞれの受電装置に電力が適切に配分されていない場合(ステップS114;リセット必要)、制御部117は、一旦電力伝送を停止し(ステップS112)、充電制御テーブル300の初期化(ステップS102)を経て、再び電力伝送を開始する(ステップS103)。受電装置200aと200bは、電力伝送の再開により再度乱数値401を生成し直し、初期化コマンド501に格納して送電装置100に送信する。送電装置100は、受電装置200aと200bとから初期化コマンド501や他のコマンドを受信することで(ステップS104等)、新たに充電制御テーブル300を追加生成又は更新する(ステップS111)。送電装置100は、送電する電力が受電装置200aと200bとに適切に配分されるようになるまで、ステップS112からステップS102以降ステップS113までの処理を繰り返す。
【0070】
次に、送電装置100が複数台の受電装置200の充電を行っている時に、いずれかの受電装置200の充電が完了した場合の動作について説明する。もし、送電装置100の上に受電装置200が1台しか乗っていない場合は、送電装置100は、充電状態通知コマンド504を受信し(ステップS111)、当該充電状態通知コマンド504に格納される充電状態405に基づいて、受電装置200の充電が完了したことを確認したら(ステップS114)、電力伝送を停止するだけでよい(ステップS113)。しかし、送電装置100の上に受電装置200が複数台乗っている場合は、いずれかの受電装置200の充電が完了しても、充電が完了していない他の受電装置200の充電処理を継続する必要がある。ここでは、
図2に示すように、送電装置100の上に2台の受電装置200aと200bとが置かれている場合を例にして説明するが、受電装置200が3台以上の場合も同じ方法が適用可能である。
【0071】
図6(a)に示した充電制御テーブル300の例では、受電装置200aの乱数値401が0で、受電装置200bの乱数値401が4である。受電装置200aは、最大受電効率で電力を受電しているが、充電状態は「充電完」である。一方で、受電装置200bは、最小受電効率が継続的に低い状態で電力を受電しているため、実質的には受電しておらず、充電状態が「充電停止」となっている。ここで、制御部117は、乱数値401に対する所定の条件に対して、「充電完」となった受電装置200aの乱数値401を3以上の値とするという条件を付加する。このような状態において、送電装置100は、一旦電力伝送を停止した後に電力伝送を再開する。送電装置100は、電力伝送の停止により、受電装置200aと200bとの充電処理、すなわち受電処理をリセットする。一方、受電装置200a、200bは、電力伝送の再開により、それぞれの乱数値401を更新する。その結果、充電制御テーブル300が
図6(b)に示す設定状態になったとする。
図6(b)では、受電装置200aの乱数値401が5(すなわち3以上である)であり、受電装置200aは
図9(d)に示すように最小受電効率で継続して受電する。一方で、受電装置200bの乱数値401は0であり、最大受電効率で継続して受電するため、充電状態が「充電中」に変わっている。もし送電装置100が電力伝送を停止し、充電制御テーブルを初期化後、電力伝送を再開するという、電力伝送のリセットを行った結果、充電制御テーブル300が
図6(b)に示すような望ましい設定にならなかった場合は、送電装置100は、充電制御テーブル300が望ましい設定なるまで電力伝送のリセットを繰り返す。
【0072】
受電装置200の充電状態405が「充電中」である場合(ステップS114;充電中)、制御部117は、所定時間待機した後、送信電力のロスを算出する(ステップS115)。制御部117は、送電装置100の上に乗っている受電装置200から受信した受信電力通知コマンド503に格納されている受信電力値404の少なくとも1台の受電装置200についての合計値と、送信電力検出部111が測定した送信電力との差分電力値を計算する。当該差分電力値が、送信電力のロスであり、通常は、電磁波として放出されるか、あるいは送電装置100や受電装置200に熱として吸収される。しかしながら、あまりにも差分電力値(送信電力のロス)が大きい場合は、送電装置100の上に乗っている金属物や同じ共振周波数で共振する異物(例えば、非接触ICカードやRFIDタグなど)が、送信電力のロス分を吸収している可能性がある。このため、制御部117は、送信電力のロスが、所定の値以上であるか否かを判定する(ステップS116)。これにより、送電装置100の上に異物があるか否かを判別する。なお、所定の値は、任意の値に設定可能である。
【0073】
送信電力のロスが所定の値以上の場合(ステップS116;Yes)、制御部117は、送電部110を制御して、電力伝送を停止し(ステップS113)、所定時間待機した後、受電装置検出部114を介して受電装置200の検出を再び行う(ステップS101)。なお、送信電力のロスが所定の値以上の場合には、送電装置100の上に異物があると考えられるため、電力伝送を停止し(ステップS113)、その後、利用者に対して警告を行うこともできる。
【0074】
一方、送信電力のロスが所定の値以上でない場合(ステップS116;No)、制御部117は、電力伝送を継続して、受信した各種コマンドに基づいて充電制御テーブル300を更新する(ステップS111)。
【0075】
以上の処理により、送電装置100は、非接触電力伝送を行う際に、受電装置200から送電装置100への片方向通信であっても、受電装置200に対して的確な電力伝送制御を行うことができる。また、片方向通信によって受電装置200の受電制御を行うことができるため、装置を簡素化でき、コストを削減することができる。
【0076】
(受電装置の動作)
次に、受電装置200の動作について説明する。
図7は、受電装置200が行う充電処理を説明するためのフローチャートである。以下、図面を参照して説明する。
【0077】
受電装置200は、受電装置200の充電を行うように利用者に対して促して、受電装置200が送電装置100上に置かれることにより、充電処理を開始する。このとき受電部210の共振周波数は所定の値に予め設定されている。すなわち、所定の受電効率で受電を開始する。通常は最大受電効率に設定されている。なお、受電装置200に対するリセットが発生したときはどのステップでの処理を行っていても、フローチャートの最初のステップの処理から始める。最初のステップはステップS201である。
【0078】
まず、受電部210が、送電装置100からの電力伝送により電力を受信すると、制御部218は、乱数値生成部216を制御して、乱数値401を生成する(ステップS201)。なお、送電装置100が電力伝送を一旦停止した後、再開した時は、制御部218への電力供給が一旦停止され、その後再開されることになるため、制御部218は、
図7に示すどのステップの処理を行っていても、ステップS201の処理から始めて、再度乱数値生成部216を制御し、乱数値401を生成する。
【0079】
次に、制御部218は、生成した乱数値401に応じた所定時間だけ待機する(ステップS202)。例えば、制御部218は、乱数値401に比例した時間だけ待機する。後述するステップS203の処理である初期化コマンド501を送信する前に、ステップS202の処理を行う理由は、送電装置100の上に受電装置200が複数台載っている場合、受電装置200が電力を受信後に初期化コマンド501を一斉に送信してしまうと、送信データの衝突(コリジョン)が発生してしまうからである。このため、ステップS202の処理において、生成した乱数値401に応じた時間だけ待機してから、初期化コマンド501を送信することでコリジョンを防ぐことができる。ただし、ステップS202の処理の所定時間は、必ずしも乱数値401に応じた時間でなくてもよい。
【0080】
次に、制御部218は、データ送信部212を制御して、生成した乱数値401を格納した初期化コマンド501を、送電装置100に対して送信する(ステップS203)。
【0081】
次に、制御部218は、受電部210を制御して、乱数値401に基づいて、受電効率を切り替えて(ステップS204)、所定時間待機する(ステップS205)。
【0082】
ここで、受電効率を切り替える方法について説明する。
図8は、受電装置200が備える受電部210の共振回路の一部を示している。2次コイル230は、コンデンサ250と直列につながると共に、コンデンサ251と並列につながっている。また、コンデンサ251は、スイッチ252とつながっており、スイッチ252は、制御部218の制御により、オンとオフとが切り替えられる。ここで、スイッチ252をオフにした状態で、送電装置100が備える送電部110が発生する交流電力の周波数、すなわち送電側共振周波数と、受電部210が備える共振回路の共振周波数、すなわち受電側共振周波数とが等しいとする。このとき受電効率は最大となるため、最大受電効率と呼ぶ。一方、スイッチ252をオンにした時には、コンデンサ251の容量が加わることで受電側共振周波数が変化し、送電部110が発生する交流電力と非共振状態となるほどに異なる周波数となる。送電側共振周波数と受電側共振周波数の違いを、例えば、共振特性として表れる共振ピークの標準偏差のk倍とし、kは例えば4以上にする。このような非共振状態のとき受電効率は最小に近い値となるため、説明の便宜上最小受電効率と呼ぶ。受電装置200は、この方法により受電効率を著しく低減することが可能になる。すなわち、受電装置200は、このように、乱数値401に基づき受電側共振周波数を制御することにより、電力伝送から受電する電力の受電効率を切り換えることができる。
【0083】
以上の説明では、受電効率は最大受電効率と最小受電効率の2種類となる。受電効率をこの間の値に設定するためには、スイッチ252の切り替えの時間を制御することにより最大受電効率と最小受電効率の時間配分を変える。受電効率の時間平均である実効受電効率は時間配分を変えることにより制御できる。この場合、乱数値401は受電効率に対応付けられ、受電効率は実効受電効率としてスイッチ252の切り替え時間配分、すなわち受電効率の時間変化と対応付けられる。
図9は乱数値と受電効率との対応例を示す図で、受電効率は、乱数値に対応させたスイッチ252の切り替え時間配分により制御される。
図9(a)〜(d)は乱数値401が0、1、2、及び3以上の場合のそれぞれに対する受電効率の時間変化を示す。
図9(a)はスイッチ252をオフにしたままの状態に対応する。このとき受電効率として最大受電効率が継続される。
図9(d)はスイッチ252をオンにしたままの状態に対応する。このとき受電効率として最小受電効率が継続される。
図9(b)、(c)は乱数値401が1又は2のそれぞれの場合に応じて、スイッチ252のオン/オフ状態の時間配分を変えている。乱数値401が1のときのスイッチ252をオフにした状態の時間比率は、乱数値401が2のときのスイッチ252をオフにした状態の時間比率よりも大きい。従って最大受電効率の継続時間と最小受電効率の継続時間との比率が
図9(b)(c)に示すように変化し、その時間平均である実効受電効率は乱数値401が1の時の方が2の時より大きくなる。このような方法で実効受電効率を乱数値401により制御できる。
【0084】
受電効率を変える他の方法について説明する。この方法では、
図10に示す共振回路を使用する。
図10に示す共振回路は、
2次コイル
230とコンデンサ250とに並列に接続されるコンデンサとスイッチとをコンデンサ251とスイッチ252に対して、更に増やす。
図10ではコンデンサ253とスイッチ254、コンデンサ255とスイッチ256、及びコンデンサ257とスイッチ258をそれぞれ並列に接続している。どのスイッチを開閉するかにより複数の異なる共振周波数が設定されるため、送電側と受電側の共振周波数のずれの程度を共振ピークの標準偏差のk倍よりも小さい値に設定できるようにすることにより、3通り以上の異なる受電効率、すなわち、最大受電効率、最小受電効率、両者の間の1以上の受電効率に切り換えられるようにすることができる。
図11はこのときの乱数値401と受電効率の関係の例を示す。
図11の(a)〜(d)は、乱数値401が0、1、2、および3以上のときのそれぞれに対応する受電効率を示す。図に示す受電効率の大小関係は、最大受電効率=受電効率a>受電効率e>受電効率f>受電効率d=最小受電効率となる。
【0085】
なお、送電部110が発生する交流電力の周波数と受電回路の共振周波数とが、スイッチ252をオンにした状態で等しくなり、オフにした状態で全く異なるように設定してもよい。
2次コイル
230とコンデンサ250とに並列に、コンデンサとスイッチとを複数セット接続する場合も同様である。
2次コイル230以外のコイルを各スイッチに直列に追加してもよい。受電回路の共振周波数を切り替えて、受電効率を変更できるならば、他の任意の回路構成であってもよい。
【0086】
ここで、
図9(a)〜(d)を用いて説明した例では、乱数値401が0の場合に、受電効率を落とさずに継続的に電力を受電しているが、0の乱数値401に代え、他の任意の値に対応させてもよい。また、乱数値401が所定の値未満の場合に、
図9(a)に示すように制御してもよい。また、乱数値401が所定の値以上の場合に、
図9(a)に示すように制御し、乱数値401が所定の値未満の時に、
図9(d)に示すように受電効率を継続的に低い状態にし、受電電力を定常的に小さくするように制御してもよい。また、乱数値401が偶数の場合に、
図9(a)に示すように制御し、乱数値401が奇数の場合に、
図9(d)に示すように制御してもよい。なお、乱数値401と、受電効率との対応関係は任意に設定することができる。このことは
図11の場合についても同様である。
【0087】
次に、制御部218は、乱数値401を格納した固有番号コマンド502を送電装置100に送信する(ステップS206)。
【0088】
次に、制御部218は、充電管理部214を制御して、蓄電池213の充電が完了しているかを判定する(ステップS207)。
【0089】
蓄電池213の充電が完了している場合(ステップS207;Yes)、制御部218は、受電部210を制御して、受電効率を最小受電効率に切り替える(ステップS208)。受電効率を最小受電効率に切り替えることにより、受電装置200が、余計な電力を受電しないように制御することができる。充電完了した受電装置200の乱数値は最小受電効率に対応する乱数値に自動的に設定することにより実現できる。一方、蓄電池213の充電が完了していない場合(ステップS207;No)、次のステップS209に移行する。
【0090】
次に、制御部218は、データ送信部212を制御して、生成した乱数値401を格納した受信電力通知コマンド503を送電装置100に送信する(ステップS209)。
【0091】
次に、制御部218は、生成した乱数値401を格納した充電状態通知コマンド504を送電装置100に送信する(ステップS210)。そして、制御部218は、所定の時間だけ待機した後(ステップS211)、充電管理部214を制御して、蓄電池213の充電が完了しているかを再び判定する(ステップS207)。なお、制御部218は、受信電力通知コマンド503と充電状態通知コマンド504とのどちらのコマンドを先に送信してもよい。
【0092】
以上の処理を繰り返すことにより、受電装置200の充電が行われて、利用者が受電装置200を送電装置100上から所定の距離以上に離すことにより、充電処理が終了する。
【0093】
以上の処理により、非接触電力伝送を行う際に、受電装置から送電装置への片方向通信で、的確な電力伝送制御を行うことができる。また、片方向通信によって受電装置の受電制御を行うことができるため、装置を簡素化でき、コストを削減することができる。
【0094】
図12は、本実施形態1の簡略化された送電装置100及び受電装置200の構成を示す図である。
図1と同じ番号の構成要素は
図1に関する説明と同じである。
【0095】
簡略化された送電装置100は、少なくとも1台の受電装置200に共振現象を利用して非接触で電力を伝送する送電装置であり、送電部110、データ受信部112、及び制御部117を備える。送電部110は、受電装置200が有する、電力を受電する部位である受電部210の共振周波数と所定の関係にある共振周波数で、共振現象を利用して受電装置200に非接触で電力を伝送する。なお、
図1に示す電源部113については
図12では図示が省略されているが、送電部110に含まれていると解してもよい。データ受信部112は、送電部110が電力の伝送を開始した後、すなわち受電装置200が受電を開始した後、受電装置200から乱数値を含むコマンドを前記受電装置から受信する。この乱数値は、受電装置200が新たに受電を開始する毎に生成されるもので、受電装置200の受電状態を表す。制御部117は、少なくとも1台の受電装置200から受信したコマンドに含まれる乱数値の全てが上述した所定の条件を満たすかどうかを判定し、満たす場合に、送電部110を介して、受電装置200に対して電力の伝送を継続し、満たさない場合に、送電部110を介して、受電装置200に対する電力の伝送を一旦停止した後、電力の伝送を再開し、データ受信部112を介して、受電装置200から新たな乱数値を含むコマンドを受信する制御を行い、新たな乱数値が所定の条件を満たすまで、先に説明したように電力の伝送の一旦停止とその後の再開、及びデータ受信部112を介した、更に新たな乱数値を含むコマンドの受信とを繰り返す制御を行う。動作については
図5で説明した通りなので説明を省略する。
【0096】
この送電装置100は、
図5に示す処理により、非接触電力伝送を行う際に、受電装置200から送電装置100への片方向通信で、受電装置200に対して的確な電力伝送制御を行うことができる。また、片方向通信によって受電装置200に対して受電制御を行うことができるため、装置を簡素化でき、コストを削減することができる。
【0097】
簡略化された受電装置200は、非接触で電力を伝送する送電装置から電力を受電する受電装置であり、乱数値と受電効率とを対応させた情報を有し、受電部210、データ送信部212、乱数値生成部216、及び制御部218を備える。受電部210は、送電装置100が有する電力を送電する部位である送電部110の共振周波数である送電側共振周波数と同じ周波数を含む可変の共振周波数を有し、可変の共振周波数の範囲内で設定された共振周波数である受電側共振周波数で送電装置100から伝送された電力を受電する。乱数値生成部216は、乱数値を生成する。データ送信部212は、送電装置100に対して乱数値を含むコマンドを送信する。制御部218は、送電装置100からの電力の伝送が開始されることにより、予め設定された共振周波数で電力の受電を開始するとともに、電力の受電の開始の都度、乱数値生成部216を介して乱数値を生成し、生成した乱数値を含むコマンドを生成し、データ送信部212を介して送電装置100に送信する制御を行うとともに、生成した乱数値に対応する受電効率に基づき、可変の共振周波数の範囲内で、受電側共振周波数を制御することにより、前記受電部210による受電を継続する制御を行う。動作については
図7で説明した通りなので説明を省略する。
【0098】
この受電装置200は、
図7に示す処理により、非接触電力伝送を行う際に、受電装置200から送電装置100への片方向通信であっても、的確な電力伝送制御を行うことができる。また、片方向通信によって受電装置200の受電制御を行うことができるため、装置を簡素化でき、コストを削減することができる。
【0099】
(実施形態2)
実施形態1に係る送電装置100及び受電装置200では、受電装置200が所望の電力を受電していない場合は、送電装置100が電力伝送を停止して、乱数値401を更新することにより、受電装置200が受信する受信電力値404を変更する場合について説明した。本実施形態2では、所定の受電装置200を優先的に充電させるための優先度を設けて、優先度の高い受電装置200が受信する受信電力値404を変更する場合について説明する。なお、実施形態1に係る送電装置100及び受電装置200と同様の構成、動作については、説明を適宜省略する。
【0100】
図13は、本発明の実施形態2に係る送電装置100及び受電装置200から構成される非接触電力伝送システムを示す図である。実施形態2に係る送電装置100及び受電装置200は、実施形態1に係る送電装置100及び受電装置200と同様の構成である。本実施形態2に係る送電装置100は、実施形態1に係る送電装置100と同様に、
図5に示す送電処理のフローに従って動作する。また、本実施形態に係る受電装置200は、実施形態1に係る受電装置200と同様に、
図7に示す受電処理のフローに従って動作する。異なる点として、送電装置100が備える記憶部116が記憶する充電制御テーブル300が、優先度406を格納している。また、受電装置200が備える記憶部217が優先度406を記憶している。優先度406は、送電装置100の上に受電装置200が複数台置かれた場合に、それぞれの受電装置200を充電する充電処理の優先度を表し、送電装置100がどの受電装置200を優先的に充電するかを判定するために用いられる。優先度406は、例えば、0から100の間の値をとり、100に近いほど優先度が高いことをあらわす。あるいは他の方法で優先度の大小を定義してもよい。また、利用者が優先度406の値を自由に設定することもできる。例えば、受電装置200が毎日使用するスマートフォンの場合は優先度406を高く設定しておき、受電装置200が頻繁には使用しないデジタルカメラの場合は優先度406を低く設定しておくことが考えられる。
【0101】
受電装置200が優先度406を送電装置100に通知する方法としては、
図14に示すように、初期化コマンド501のデータ513の一部に優先度406を格納して送電装置100に送信することが考えられる。制御部218は、データ送信部212を制御して、優先度406を含む初期化コマンド501を、変調及び符号化を行い送電装置100に送信する。なお、受電装置200は、任意の方法によって、優先度406を送電装置100に通知することができる。
【0102】
送電装置100は、優先度406を含む初期化コマンド501を受信したら、
図15(a)、(b)に示すように、優先度406を充電制御テーブル300に格納して管理する。これにより、それぞれの受電装置200の優先度406を比較して、充電を優先すべき受電装置200を選択して、優先的に充電処理を行っていくことができる。
図15(a)に示した例では、受電装置200aの優先度406は、受電装置200bの優先度406より高くなっている。このため、受電装置200aの乱数値401には例えば0が割り当てられ、受電効率を落とさずに充電を行う。一方で受電装置200bの乱数値401には3が割り当てられ、受電効率を落としているため、充電停止状態となっている。また、
図15(b)に示した例では、受電装置200aは受電装置200bより優先度が高いが、受電装置200aの充電は完了しているため、受電装置200bの乱数値401に0を割り当てることで、受電装置200bに充電処理を行っている。
【0103】
実施形態2に係る受電装置200は、優先度406を設定して、設定した優先度406を送電装置100に送信する初期化コマンドに含める。また、この初期化コマンドを受信した送電装置100は、乱数値401に関する所定の条件を、乱数値401が優先度406に対応するものであることという条件を加えたものにする。この2点を除けば、送電装置100は
図5、受電装置200は
図7でそれぞれ説明した処理と同じ処理を実行する。なお、優先度406に対応する乱数値401の生成は実施形態1で説明したように、電力の伝送を一旦停止した後、再開するというリセット処理に伴って実行される。
【0104】
このように、送電装置100は、充電制御テーブル300で受電装置200の受電状態405に加えて優先度406を管理するので、さらにきめ細かく電力伝送制御を行うことが可能になる。
【0105】
(実施形態3)
実施形態3では、その都度同じ処理により乱数値401を生成するのではなく、ある条件下で、使用する乱数値401を、前回使用された乱数値401を利用して所定の演算式に基づき決定する。ある条件については後述する。
【0106】
図16〜
図19に、送電装置100で複数台の受電装置200を充電する場合の充電制御の例をしめす。図中、送電装置100上に配置された複数台(図では3台を例示)の受電装置200のうち、実線で示す受電装置200が充電対象である。
図16、17は、3台の受電装置200a〜200cに対して、一定時間毎に時分割で、受電対象となる受電装置200を切替えながら充電を行う時分割充電モードを示す。
図18は、1台の受電装置200の充電が完了した時点で別の1台の受電装置200の充電を開始して、1台ずつ順番に充電を行う優先順序充電モードを示す。
図19は、複数の受電装置200に対して同時に充電を行う同時充電モードを示す。
【0107】
受電装置200は、
図20に示すような、乱数値401と受電効率の対応関係に従って動作をする場合、
図16から
図19のそれぞれの充電モードにおいて、受電装置200にて生成されるべき乱数値401をR
Tで表すと、R
Tの組み合わせは、
図16から
図19のそれぞれに記載した値でなければならない。図中、TはT回目の受電過程であることを示し、R
Tは、T回目の受電過程における乱数値401であることを示す。ここで、受電過程とは送電装置100からの電力伝送が開始され、乱数値401が所定の条件を満たすと判定されたときの受電を意味することとする。
図16から
図19では、受電装置200の乱数値生成部216は、0、1、2の3種類の乱数値を生成するものとする。すなわち乱数値401に関する所定の条件は、乱数値401は0、1、2のいずれかであるという条件になる。但し、乱数値生成部216が生成する乱数値は上記のもの限る必要はなく、例えば、0からmまでのm種類の乱数値を生成し(mは任意の整数)、その乱数値が偶数か奇数かに応じて、その後の動作を可変にするようにしても良い。
【0108】
図16〜
図19に示す、ある受電過程における乱数値R
Tと、その1回前の受電過程における乱数値R
T−1の間には下記関係式(1)が成立する。
R
T=R
T−1−1(R
T<0の場合はR
T=2とする)
・・・(1)
【0109】
図16から
図19における、各受電過程において、実施形態1や2で説明した動作フローチャートを用いて、受電装置200が毎回ランダム過程を経由して乱数値を生成した場合、受電装置200で生成されるべき乱数値の組み合わせが乱数値401に関する所定の条件を満足するまで乱数値の生成を繰り返すことになり、ある程度の時間を要する。そのため、送電装置100の充電対象である受電装置200の受電状態を切替えるためには、ある程度の時間がかかってしまう。
【0110】
しかしながら、各受電装置200にて生成された乱数値401の組み合わせが乱数値401に関する所定の条件を一旦満足した後は、各受電装置200は、受電状態の切り替えに伴い必要となる新たな乱数値401を関係式(1)に従った演算により生成することで、乱数値401に関する所定の条件を満たす乱数値401を得ることができる。そのため、毎回ランダム過程を経由して乱数値401を生成する場合に比べて、受電装置200の受電状態の切り替えに要する時間を短縮化できる。
【0111】
実施形態3では、送電装置100によって少なくとも1台の受電装置200の受電制御を行う場合、実施形態1で説明した乱数値401の更新頻度を極力少なくして、送電装置100より、受電装置200の受電状態の切り替えに要する時間を短縮化した新たな受電制御シーケンスについて説明する。
【0112】
具体的には、実施形態1のように受電装置200にて毎回ランダム過程を通して乱数値401を生成するのではなく、一旦生成した乱数値401を加工することで規則的に乱数値401を生成する処理を新たに設け、ランダム過程を通して乱数値401を生成する処理と、乱数値401を規則的に生成する処理を併用する。受電装置200が乱数値401を生成する際、どちらの処理を用いるかについては、送電装置100から電力伝送が停止されたタイミングに応じて、受電装置200側で判定を行って決定する。但し、実際の判定はタイミングを具現化した他の基準を利用する。
【0113】
なお、実施形態3は、実施形態1、2と同一の構成、機能、及び要素等を含む。そのため、
図1から
図15までに記載されている構成、又は処理と同一の構成又は処理については、同じ番号を付し基本的には説明を省略する。
【0114】
実施形態3に係る送電装置100と受電装置200の構成例を、それぞれ
図21及び
図22に示す。
【0115】
(送電装置)
図21に示す送電装置100は、
図1で示した送電装置100と比較して、充電制御処理部118を新たに備え、記憶部116にリセット実行フラグ301を保持する構成とする。その他の処理部については送電装置100と同一の構成であるため、同じ番号を付し説明を省略する。
【0116】
リセット実行フラグ301は受電装置200に対して送電開始後、受電装置200から送信される初期化コマンド501を全て受信し終わる前に、電力伝送を停止して受電装置200のリセットを行うかどうかを判定するために利用されるフラグである。受電装置200のリセットとは受電装置200の受電が一旦停止し、その後再開されることに該当する。このリセットは、送電装置100による電力伝送の一旦停止とその後の再開に伴って実行される。
【0117】
リセット実行フラグ301がオンのときは、送電装置100は、受電装置200から送信される初期化コマンド501を全て受信し終える前に、電力伝送の一旦停止とその後の再開を実行することにより、受電装置200のリセットを行う。一方、リセット実行フラグ301がオフのときは、受電装置200から送信される初期化コマンド501を全て受信し、そのコマンドの解析結果に応じて、電力伝送を継続するか、受電装置200のリセットが実行されるように電力伝送の一旦停止と再開を実行するかどうかを決定する。
【0118】
充電制御処理部118は、乱数値組合せ解析部600と、リセット実行フラグ設定部601と、リセット実行フラグ判定部602とを備える。
【0119】
乱数値組合せ解析部600は、受電装置200より受信した初期化コマンド501内に格納される乱数値401の解析を行う。
【0120】
リセット実行フラグ設定部601は、受電装置200より受信した初期化コマンド501内に格納された乱数値401の値に応じて、記憶部116のリセット実行フラグ301をオン又はオフに設定する。
【0121】
リセット実行フラグ判定部602は、記憶部116に格納されるリセット実行フラグ301の状態(オン又はオフ)を判定する。
【0122】
(受電装置)
図22に示す受電装置200は、
図1で示す受電装置200に対して、乱数値生成処理部220を新たに備える。その他の処理部については受電装置200と同一の構成であるため、同じ番号を付し説明を省略する。
【0123】
乱数値生成処理部220は、ランダム過程を介して乱数値を生成する乱数値生成部216とは異なる方法で乱数値を生成する場合の各種処理と、生成された乱数値の記憶部217への保存、及び削除を実行する。乱数値生成処理部220は、乱数値加工部700と、乱数値生成判定部701と、乱数値保存削除部702と、タイマ703とを備える。
【0124】
乱数値加工部700は、記憶部217に格納された乱数値401に対して所定の演算を施すことにより新たな乱数値401を加工して生成する。具体的には、受電装置200が3台の場合を例に取り、生成された乱数値401が0、1、2であるとする。格納された乱数値401を前回使用された乱数値として、これをR
T−1で表し、演算により新たに生成される乱数値401をR
Tとすると、R
Tは、R
T−1を使って、既に説明した関係式(1)に基づく演算により求められる。制御部218は、生成された乱数値401を各種コマンドに格納する。
【0125】
乱数値生成判定部701は、新たに乱数値401を、乱数値生成部216で生成するのか、乱数値加工部700で加工して生成するのかを判定する。判定の詳細については後述する。
【0126】
乱数値保存削除部702は、記憶部217への乱数値401の格納による保存、及び記憶部217からの乱数値401の削除を実行する。
【0127】
タイマ703は、時間の計測を行う。なお、
図22ではタイマ703は
乱数値生成処理部220に含まれているが、これに限定されない。送電装置100内のどこに備えられていてもよい。
【0128】
(送電装置の動作)
次に、送電装置100の動作について説明する。
図23は、送電装置100が行う
送電処理を説明するためのフローチャートである。なお、
図5に示すフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付す。以下では
図5に示すフローチャートと異なる部分を中心に説明を行う。
【0129】
ステップS101からステップS103までの処理は
図5で説明したとおりである。次に、リセット実行フラグ判定部602は、記憶部116に格納されているリセット実行フラグ301がオンであるかどうかの判定を行う(ステップS120)。リセット実行フラグ301がオンであると判定された場合(ステップS120;Yes)、送電装置100の制御部117は、リセット実効フラグ設定部601を介して、記憶部116のリセット実効フラグ301をオフに設定し(ステップS121)、電力伝送の停止を行い(ステップS113)、ステップS101、S102を経由した後、電力送電を再開する(ステップS103)。ステップS121の処理により、その後にステップS120を実行するときのリセット実効フラグはオフに設定されている。なお、電力伝送の開始により、受電装置200はリセットされ、受電装置200は新たな乱数値401の生成を行う。
【0130】
一方、リセット実行フラグ301がオフであると判定された場合(ステップS120;No)、受電装置200から送信される初期化コマンド501の受信の有無を判定し(ステップS104)、受信があった場合(ステップS104;Yes)、送電装置100は、ステップS105〜S108で
図5の同じステップ番号の処理と同じ処理を行い、その後、以下で説明するように、初期化コマンド501に格納されている乱数値401の解析を行う。
【0131】
ステップS108において、乱数値組合せ解析部600は、受信した全乱数値401が所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップS108;No)、制御部117は送電部110を制御して、電力伝送の停止を行い(ステップS112)、その後再開することで(ステップS103)、受電装置200に乱数値401を再生成させる。このときの所定の条件は、最大受電効率に対応する乱数値401を含むという条件を含むものとする。なお、
図5のステップS108では、制御部117が、全乱数値401が所定の条件を満たすかどうかの判定を実行するが、実施形態3では、充電制御処理部118の乱数値組合せ解析部600が、制御部117の機能を一部分担してこの判定を実行する。従って、広義には制御部117がこの判定を実行するということができる。
【0132】
一方、ステップS108において、乱数値組合せ解析部600は受信した全乱数値401が所定の条件を満たすと判定した場合(ステップS108;Yes)、制御部117は、受電装置200の台数に応じて、送電電力量を調整する(ステップS109)。次に、乱数値組合せ解析部600は、受信した乱数値401の中に
、受電装置200が最大受電効率で受電するための乱数値401に1を加算した値が含まれるかどうかの判定を行う(ステップS122)。本判定は受電装置200をリセットして乱数401を再生成させるとき、関係式(1)による演算を行った場合に、その結果得られる乱数値R
Tに、最大受電効率で受電するための乱数値401が含まれるかどうかの判定である。この判定でYesとなった場合は乱数値に関する所定の条件を満たすことが担保されるため、受電装置200は、次の処理に進むことができる。
【0133】
受信した乱数値401の中に、受電装置200が最大受電効率で受電するための乱数値401に1を加算した値を含まないと判定された場合(ステップS122;No)、リセット実行フラグ設定部601はリセット実行フラグ301をオン状態にして(ステップS123)ステップS110に遷移する。
【0134】
ステップS122おいて、受信した乱数値401の中に、受電装置200が最大受電効率で受電(
図20の(a))するための乱数値401に1を加算した値を含むと判定された場合(ステップS122;Yes)、送電装置100は、リセット実行フラグ301をオフにしたまま、ステップS110に遷移する。ステップS110及びその後のステップS111〜S116の処理は
図5のステップS110〜S116の処理と同じである。
【0135】
以上の処理では、ステップS122、S123の処理により、リセット実行フラグ301がオフの場合には乱数値401の中に最大受電効率に対応した乱数値に1を加えた乱数値401を含む。従って、次の受電装置のリセット時の乱数値の生成は、関係式(1)に基づき生成することができる。乱数値加工部700により生成された乱数値401は、最大受電効率に対応した乱数値401を含むため、乱数値に関する所定の条件を満たすことができる。一方、リセット実行フラグ301がオンの場合には、乱数値401の中に最大受電効率に対応した乱数値に1を加えた乱数値401を含まないことになるので、関係式(1)に基づき、乱数値加工部700により乱数値を生成した場合、生成された乱数値401は、最大受電効率に対応した乱数値401を含まないことになる。そのため、乱数値に関する所定の条件を満たすことができない。更に、リセット実行フラグ301がオンの場合(ステップS120;Yes)、送電処理の初期段階で電力伝送の一旦停止と再開が実行されるが、リセット実行フラグ301がオフの場合(ステップS120;No)の電力伝送の一旦停止と再開、すなわち受電装置200のリセットは、電力伝送を継続して実行した後になるため、所定の時間が経過してから実行されることになる。一方、リセット実行フラグ301がオンの場合(ステップS120;Yes)の電力伝送の一旦停止と再開、すなわち受電装置200のリセットは、送電処理の早い段階で実行される。受電装置200はこのリセットのタイミングの違いを判定して乱数値の生成方法を決定する。所定の時間については後述する。
【0136】
以上説明した動作フローにより、送電装置100は、受電装置200から受信した乱数値401の組み合わせに応じて、電力伝送を継続して実行するか停止するかの判定を行い、電力伝送を停止する場合は、その停止タイミングをリセット実行フラグ301がオンかオフかにより調整する。この電力伝送の停止タイミングにより、受電装置200は、後述するように、記憶部217に生成した乱数値401を格納するかどうかを決定する。受電装置200は、記憶部217に乱数値401が格納されているかどうかに応じて、送電装置100から送電される電力を受電した際、新たに乱数値401を生成すべきか、それとも前回既に生成した乱数値401を加工して新たな乱数値401を生成すべきかを判定する。これにより、送電装置100が受電制御を行う際に、受電装置200の受電状態の切り替えに要する時間を短縮化でき得ることとなる。
【0137】
(受電装置の動作)
次に、受電装置200の動作について説明する。
図24は、受電装置200が行う受電処理を説明するためのフローチャートである。なお、
図7に示すフローチャートと異なる部分についてのみ説明を行い、
図7と同一の処理については、
図7と同じ番号を付し基本的にはその説明を省略する。
【0138】
本フローチャートに示される処理は、送電装置100から送電される電力を受電装置200が受電することにより開始される。なお、
図7の場合と同様に、明示してはいないが、受電装置200に対するリセットが発生したときはどのステップでの処理を行っていても、フローチャートの最初のステップの処理から始める。実施形態3では最初のステップはステップS220である。
【0139】
乱数値生成判定部701は、記憶部217に、前回生成した乱数値R
T−1を保持しているかどうかの判定を行う(ステップS220)。
【0140】
乱数値R
T−1を保持していないと判定された場合(ステップS220;No)、乱数値生成部216はランダム処理により乱数値401を新たに生成する(ステップS201)。この処理は
図7のステップS201と同じである。一方、乱数値R
T−1を保持していると判定された場合(ステップS220;Yes)、乱数値加工部700は、記憶部217に保持される乱数値R
T−1に、所定の演算式、例えば関係式(1)に基づく演算を施すことにより乱数値R
T−1を加工して、乱数値R
Tを生成し、これを新たな乱数値401とする(ステップS221)。また、乱数値保存削除部702は、記憶部217に保存されている乱数値401を削除する(ステップS222)。
【0141】
その後、
図7の処理フロー同様、受電装置200は、ステップS202からS205の処理を実行する。すなわち、初期化コマンドの送信を行い(ステップS203)、生成された乱数値401に応じて、受電効率(例えば
図20参照)を切替える(ステップS204)。そして、所定時間が終了するのを待つ(ステップS205)。
【0142】
次に、タイマ703は、時間計測を開始する(ステップS223)。この時間計測の満了する時間をT
1とする。T
1は、
図16や
図17で示した時分割で複数の受電装置200を充電するための受電制御方式にて、充電する受電装置200を順番に切替えていく時間よりも小さな値であれば良い。制御部218はタイマ703による計測時間が時間T
1を経過したかどうかを判定する(ステップS224)。経過していなければ(ステップS224;No)経過するまで待ち、経過していれば(ステップS224;Yes)、生成したR
Tを記憶部217に保存する(ステップS225)。そして、
図7のステップS206からステップS211の処理と同じ処理を行う(ステップS226)。なお、ステップS226の処理内容は、
図7に示すステップS206からステップS211のそれぞれの処理内容だけではなく、処理後の処理の遷移先も含んで
図7と同じ内容である。従って、内部に処理のループを含む。
【0143】
以上説明した動作フローにより、ステップS223で時間T
1が経過するまでは記憶部217に乱数値401は保存されておらず、時間T
1が経過した後は記憶部217に乱数値401が保存されている。受電装置200は、送電装置100が電力送電を停止したタイミング、すなわち受電装置200のリセットのタイミングが時間T
1が経過した後であるかどうかに応じて、記憶部217に乱数値401が保存されているかどうかが変わる。従って、その後、送電装置100が送電を開始した際に、記憶部217に前回生成した乱数値R
T−1が保存されているかどうかで新たに乱数値401を生成すべきか、それとも既に生成した乱数値401を加工すべきかどうかを判定する。これは、送電装置100が電力送電を停止したタイミングによって新たに乱数値401を生成すべきか、それとも既に生成した乱数値401を加工すべきかどうかを判定するということと同じである。この処理により、送電装置100が充電制御を行う際に、乱数値401の加工により新たな乱数値を生成する場合は、乱数値401に関する所定の条件を満たすことが担保されるので、所定の条件を満たすための乱数値の更新処理が不要となり、乱数値401の生成に要する時間も小さくなる。そのため、受電装置200の受電状態の切り替えに要する時間を短縮化できる。
【0144】
なお、本実施形態3では、3台の受電装置200を受電制御する方法を示したが、受電装置200の台数が3台以外の場合であっても、上述した装置構成及び動作フローを用いることで、送電装置100が充電制御を行う際に、充電を行う受電装置200の切り替えに要する時間を短縮化できる。例えばm台の場合は、関係式(1)において、R
T<0の場合はR
T=m−1とする。(m:2以上の整数)
【0145】
更に、乱数値401の値も、0〜m−1に限定する必要はなく、例えばkから始まるnずつ増加していくm個の数値とし、前回の乱数値R
T−1から新規の乱数値R
Tを演算するときの式を、関係式(1)式に代えて次の関係式(2)にしてもよい。このとき、kは任意の数値、nは任意の正の整数である。
R
T=R
T−1−n (R
T<kの場合はR
T=k+(m−1)*nとする)
・・・(2)
【0146】
なお、乱数値加工部700による乱数値401の加工生成に関係式(2)を使用する場合は、
図23に示す送電処理のうち、ステップS122の処理内容は、受信した乱数値401の中に、受電装置200が最大受電効率で受電するための乱数値401にnを加算した値が含まれるかどうかの判定となる。更により一般化すると、乱数値組合せ解析部600によるステップS122の処理内容は、乱数値加工部700で新たに乱数値を生成するために使用する関係式中の新たに生成する乱数値R
Tを最大受電効率で受電するため乱数値として、関係式中の前回使用した乱数値R
T−1を算定したとき、算定した乱数値R
T−1に一致する乱数値が、受信した乱数値401に含まれているかどうかを判定するという内容になる。
【0147】
以上の処理では、乱数値401が最小のときを最大受電効率とし、乱数値401が大きくなるに従って受電効率を低下させるとしてもよいし、乱数値401が最大のときを最大受電効率とし、乱数値401が小さくなるに従って受電効率を低下させてもよい。
【0148】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0149】
1次コイル及び2次コイルの形状、素材等は任意である。例えば、1次コイルの直径を大きくすることにより、送電装置100の上に複数の受電装置200aを同時に自由な位置に配置することもできる。
【0150】
送電装置100と受電装置200との間で通信を行う方法は任意である。例えば、IEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n規格等の無線LAN(Local Area Network)、赤外線通信、RFID、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式により、通信を行うこともできる。
【0151】
その他、前記のハードウエェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0152】
送電装置100及び受電装置200の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する送電装置100及び受電装置200を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで送電装置100及び受電装置200を構成してもよい。
【0153】
また、送電装置100及び受電装置200の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0154】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS; Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0155】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0156】
(付記1)
少なくとも1つの受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置であって、
前記受電装置が有する電力を受電する部位の共振周波数である受電側共振周波数と所定の関係にある周波数の共振周波数である送電側共振周波数を有し、該送電側共振周波数で、非接触で電力を伝送する送電部と、
前記送電部より前記受電装置への電力の伝送を開始したときに、該電力の伝送の開始により受電を開始する毎に前記受電装置で生成される該受電装置の受電状態を表すための乱数値を含むコマンドを前記受電装置から受信するデータ受信部と、
前記乱数値の全てが所定の条件を満たすかどうかを判定し、満たす場合に、前記送電部を介して、前記受電装置に対して電力の伝送を継続し、満たさない場合に、前記送電部を介して、前記受電装置に対する電力の伝送を一旦停止した後再開するリセット処理を実行し、前記データ受信部(112)を介して、前記受電装置から新たな乱数値を含む前記コマンドを受信する制御を行い、該新たな乱数値が前記所定の条件を満たすまで、前記電力の伝送の一旦停止、その後の再開、及び前記データ受信部を介した、更に新たな乱数値を含む前記コマンドの受信を繰り返す制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする送電装置。
【0157】
(付記2)
前記送電装置からの電力の伝送により前記受電装置の受電が可能な位置である受電可能位置に前記受電装置が存在することを検知する受電装置検出部を備え、
前記制御部は、前記受電装置検出部により、少なくとも1つの前記受電装置が受電可能位置に存在していると検知されたことを条件として前記送電部を介して前記電力の伝送を継続する制御を行う、
ことを特徴とする付記1に記載の送電装置。
【0158】
(付記3)
リセット実行フラグを有し、オン及びオフのいずれかを前記リセット実行フラグに設定するリセット実行フラグ設定部と、
前記リセット実行フラグのオン/オフを判定するリセット実行フラグ判定部と、
を備え、
前記制御部は、前記送電部によって前記受電装置への電力の伝送を開始した後、前記リセット実行フラグ判定部を介して、前記リセット実行フラグがオンかオフかを判定し、該判定結果がオンの場合のみ、前記リセット実行フラグ設定部を介して前記リセット実行フラグをオフに設定して、前記乱数値を含む前記コマンドの受信を待たずに、前記受電装置に対する電力の送電を一旦停止した後再開するというリセット処理を実行し、前記受電装置から新たな乱数値を含む前記コマンドを受信し、前記判定結果によらず前記乱数値が予め定められた特定の値を含
まない場合に、前記リセット実行フラグ設定部を介して前記リセット実行フラグをオンに設定する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の送電装置。
【0159】
(付記4)
前記データ受信部は、前記受電装置が受信している電力を示す受信電力値を含むコマンドを受信し、
前記制御部は、受信した前記受信電力値の合計値と前記受電装置に対して送信している電力を示す送信電力値との差分値が、所定の値以上である場合、当該受電装置に対して電力の伝送を停止する、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の送電装置。
【0160】
(付記5)
前記データ受信部は、前記受電装置の充電状態を含むコマンドを受信し、
前記制御部は、受信した前記充電状態のいずれかが充電完了を示す状態である場合、前記受電装置に対して電力の送電を停止した後、電力の送電を開始し、前記受電装置から新たな乱数値を含むコマンドを受信する、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の送電装置。
【0161】
(付記6)
前記データ受信部は、前記受電装置を優先的に受電させるための優先度を含むコマンドを受信し、
前記制御部は、前記乱数値に対する所定の条件を前記優先度に応じて設定する、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の送電装置。
【0162】
(付記7)
非接触で電力を伝送する送電装置から電力を受電する受電装置であって、
乱数値と受電効率とを対応させた情報を有し、
前記送電装置が有する電力を送電する部位である送電部の共振周波数である送電側共振周波数と同じ周波数を含む可変の共振周波数を有し、該可変の共振周波数の範囲内で制御された共振周波数である受電側共振周波数で、前記送電装置から伝送された電力を受電する受電部と、
乱数値を生成する乱数値生成部と、
前記送電装置に対してデータを送信するデータ送信部と、
前記送電装置からの電力の伝送が開始されることにより、予め設定された共振周波数で前記電力の受電を開始するとともに、該電力の受電の開始の都度、前記乱数値生成部を介して前記乱数値を生成し、生成した該乱数値を含むコマンドを生成し、前記データ送信部を介して前記送電装置に送信する制御を行うとともに、生成した前記乱数値に対応する受電効率に基づき、前記可変の共振周波数の範囲内で、前記受電側共振周波数を制御することにより、前記受電部による受電を継続する制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする受電装置。
【0163】
(付記8)
前記乱数値に基づく前記受電部の共振周波数の制御は、前記受電側共振周波数を、前記送信側共振周波数と同じ周波数、及び前記送電部と非共振状態となる周波数の二つの周波数のいずれかに、前記乱数値に応じた時間配分で切り替える制御である、
ことを特徴とする付記7に記載の受電装置。
【0164】
(付記9)
前記乱数値に基づく前記受電部の共振周波数の制御は、前記受電側共振周波数を、前記乱数値に応じて、前記送信側共振周波数と同じ周波数、及び前記送電部と非共振状態となる周波数を含む、複数の互いに異なる周波数だけ異なる周波数のいずれかに切り替える制御である、
ことを特徴とする付記7に記載の受電装置。
【0165】
(付記10)
更に、記憶部と、
所定の演算により乱数値を加工して新たな乱数値を生成する乱数値加工部と、
前記記憶部に生成した前記乱数値を保存し、又は該記憶部に保存された前記乱数値を削除する乱数値保存削除部と
を備え、
前記制御部は、前記送電装置からの電力の伝送が開始されると、前記記憶部に前記乱数値が保存されていない場合は、前記乱数値生成部を介して新たに乱数値を生成し、前記乱数値が保持されている場合は、乱数値加工部を介して保存されている前記乱数値を加工して新たな乱数値を生成し、前記乱数値とする、
ことを特徴とする付記7乃至9のいずれかに記載の受電装置。
【0166】
(付記11)
前記制御部は、前記乱数値の生成後、前記記憶部に保存されている前記乱数値があれば該保存されている乱数値を削除し、生成した前記乱数値に対応する前記受電効率を設定した後、所定の時間が経過した後、前記記憶部に生成した前記乱数値を保存する、
ことを特徴とする付記10に記載の受電装置。
【0167】
(付記12)
制御部は、前記データ送信部を介して受電の優先度を含むコマンドを、前記送電装置に対して送信する、
ことを特徴とする付記7乃至11のいずれかに記載の受電装置。
【0168】
(付記13)
少なくとも1つの受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置の送電方法であって、
前記受電装置の電力を受電する部位の共振周波数である受電側共振周波数と所定の関係にある周波数を共振周波数とする送信側共振周波数で、非接触で電力を伝送する送電ステップと、
前記送電ステップで前記受電装置への電力の伝送を開始したときに、該電力の伝送の開始により前記受電装置が受電を開始する毎に前記受電装置で生成される該受電装置の受電状態を表すための乱数値を含むコマンドを前記受電装置から受信するデータ受信ステップと、
前記データ受信ステップで受信した前記乱数値の全てが所定の条件を満たすかどうかを判定する判定ステップと、
該判定ステップで、前記乱数値の全てが前記所定の条件を満たすと判定された場合に、前記受電装置に対して電力の伝送を継続する電力伝送継続ステップと、
前記判定ステップで、前記乱数値の全てが前記所定の条件を満たす訳ではないと判定された場合に、前記受電装置に対する電力の伝送を一旦停止し、前記送電ステップに戻る繰り返しステップと、
を備えることを特徴とする送電装置の送電方法。
【0169】
(付記14)
非接触で電力を伝送する送電装置から電力を受電する受電装置の受電方法であって、
前記送電装置からの電力の伝送開始により受電が開始されると、その都度、前記乱数値を生成する乱数値生成ステップと、
該乱数値生成ステップで生成された前記乱数値を含むコマンドを生成し、前記送電装置に送信するデータ送信ステップと、
前記受電装置の電力を受電する部位の共振周波数である受電側共振周波数を、予め設定された共振周波数とした後、乱数値と受電効率とを対応させた情報に基づき、前記乱数値生成ステップで生成された前記乱数値に対応する前記受電効率を決定し、決定した該受電効率に基づき制御することにより前記送電装置から伝送された電力の受電を継続する受電ステップと、
を備えることを特徴とする受電装置の受電方法。
【0170】
(付記15)
少なくとも1つの受電装置に非接触で電力を伝送する送電装置の送電プログラムであって、
コンピュータとしての前記送電装置に、
前記受電装置の電力を受電する部位の共振周波数である受電側共振周波数と所定の関係にある周波数を共振周波数とする送信側共振周波数で、非接触で電力を伝送する送電ステップと、
前記送電ステップで前記受電装置への電力の伝送を開始したときに、該電力の伝送の開始により前記受電装置が受電を開始する毎に前記受電装置で生成される該受電装置の受電状態を表すための乱数値を含むコマンドを前記受電装置から受信するデータ受信ステップと、
前記データ受信ステップで受信した前記乱数値の全てが所定の条件を満たすかどうかを判定する判定ステップと、
該判定ステップで、前記乱数値の全てが前記所定の条件を満たすと判定された場合に、前記受電装置に対して電力の伝送を継続する電力伝送継続ステップと、
前記判定ステップで、前記乱数値の全てが前記所定の条件を満たす訳ではないと判定された場合に、前記受電装置に対する電力の伝送を一旦停止し、前記送電ステップに戻る繰り返しステップと、
を実行させることを特徴とする送電装置の送電プログラム。
【0171】
(付記16)
非接触で電力を伝送する送電装置から電力を受電する受電装置の受電プログラムであって、
コンピュータとして機能する受電装置に、
前記送電装置からの電力の伝送開始により受電が開始されると、その都度、前記乱数値を生成する乱数値生成ステップと、
該乱数値生成ステップで生成された前記乱数値を含むコマンドを生成し、前記送電装置に送信するデータ送信ステップと、
前記受電装置の電力を受電する部位の共振周波数である受電側共振周波数を、予め設定された共振周波数とした後、乱数値と受電効率とを対応させた情報に基づき、前記乱数値生成ステップで生成された前記乱数値に対応する前記受電効率を決定し、決定した該受電効率に基づき制御することにより前記送電装置から伝送された電力の受電を継続する受電ステップと、
を実行させることを特徴とする受電装置の受電プログラム。
【0172】
本出願は2011年4月1日に出願された、明細書、特許請求の範囲、図、および要約書を含む日本国特許庁出願番号特願2011−81722に基づく優先権を主張するものである。この元となる特許出願の開示内容は参照により全体として本出願に含まれる。