(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス転移点が75℃以上であり、スチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方と、(メタ)アクリル酸とを含む単量体成分(a)を重合したブロック(A)と、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む単量体成分(b)を重合したブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含有する粘着剤組成物であって、
前記単量体成分(a)100質量%中のスチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量の合計が75質量%以上であり、
前記単量体成分(b)100質量%中のアクリル酸2−エチルヘキシルの含有量が50質量%以上であり、
前記ブロック(A)とブロック(B)との質量比率(ブロック(A)/ブロック(B))が10/90〜45/55であり、
前記ブロック共重合体(X)の酸価のうち、ブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g以上であり、
前記ブロック共重合体(X)の少なくとも一方の末端がブロック(A)であり、かつ前記ブロック(B)がブロック(A)で挟まれている、粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、ブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含有する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。
また、本発明において、可逆的付加開裂連鎖移動重合を「RAFT重合」といい、RAFT重合に用いられる連鎖移動剤を「RAFT剤」という。
【0010】
<ブロック(A)>
ブロック(A)は、ガラス転移点が75℃以上であり、後述する単量体成分(a)を重合した共重合体である。
ガラス転移点が75℃以上であれば、耐クリープ性に優れた粘着剤組成物が得られる。ブロック(A)のガラス転移点は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。
【0011】
ブロック(A)のガラス転移点は、下記式(i)に示されるFoxの式から求められる値である。
1/(Tg
A+273.15)=Σ[W
a/(Tg
a+273.15)] ・・・(i)
【0012】
式(i)中、Tg
Aはブロック(A)のガラス転移点(℃)であり、W
aはブロック(A)を構成する単量体aの質量分率であり、Tg
aは単量体aの単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移点(℃)である。
なお、Tg
aはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMER HANDBOOK、THIRD EDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いればよい。
【0013】
ブロック(A)のガラス転移点は、単量体成分(a)に含まれる単量体の種類やその配合量によって調整できる。
単量体成分(a)は、スチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方と、(メタ)アクリル酸とを含む。
【0014】
単量体成分(a)が、スチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方を含むことで、得られるブロック(A)は、後述するブロック(B)との相溶性の差が大きくなり、ミクロ相分離を起こしやすくなる。ブロック(A)がミクロ相分離を起こすと、ブロック共重合体(X)の分子配列が、ブロック(A)同士、ブロック(B)同士が隣接し合った配列となる。その結果、ブロック(B)よりもガラス転移点の高いブロック(A)がブロック共重合体(X)同士の疑似架橋点となる。すると、ブロック共重合体(X)の構造が疑似的な架橋構造となり、架橋した高分子量のアクリル系共重合体と同じような働きを示し、粘着剤組成物の耐クリープ性が向上すると考えられる。また、高温領域における粘着剤の性能も維持できる。しかも、ブロック共重合体(X)は、架橋剤により架橋構造を形成している訳ではないので、可使時間の制限を受けることなく、良好な塗工作業性を確保できる。
【0015】
また、単量体成分(a)が、(メタ)アクリル酸を含むことで、得られるブロック(A)は(メタ)アクリル酸由来のカルボキシ基を有することになる。ブロック(A)がカルボキシ基を有していれば、疑似的な架橋構造が安定しやすくなり、粘着剤組成物の耐クリープ性が向上する。加えて、カルボキシ基同士の水素結合によりブロック共重合体(X)のセグメントに化学的な結合力が生じ、粘着剤組成物の耐熱性も向上する。
【0016】
環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル等の芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
スチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量の合計は、単量体成分(a)100質量%中、75質量%以上であり、80質量%以上が好ましい。75質量%以上であれば、ブロック(B)との相溶性の差が十分に大きくなり、ミクロ相分離構造を形成しやすくなる。よって、耐クリープ性に優れた粘着剤組成物が得られる。
【0018】
(メタ)アクリル酸の含有量は、詳しくは後述するが、ブロック共重合体(X)の酸価のうち、ブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g以上となる量であれば特に制限されないが、単量体成分(a)100質量%中、1〜25質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
【0019】
単量体成分(a)は、スチレン、環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸以外の単量体(任意単量体)を含んでいてもよい。
単量体成分(a)に含まれる任意単量体としては、スチレン、環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸と共重合可能であれば特に制限されないが、例えばヒドロキシ基含有単量体、環状構造を有さない(メタ)アクリル酸エステル、スチレンおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の環状構造を有する単量体(他の環状構造を有する単量体)、(メタ)アクリル酸以外のカルボキシ基含有単量体(他のカルボキシ基含有単量体)などが挙げられる。
【0020】
ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)・メチルアクリレートなどが挙げられる。
環状構造を有さない(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
他の環状構造を有する単量体としては、例えばα−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
他のカルボキシ基含有単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
【0021】
これら任意単量体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
任意単量体の含有量は合計で、単量体成分(a)100質量%中、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0022】
<ブロック(B)>
ブロック(B)は、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む単量体成分(b)を重合した重合体または共重合体である。
【0023】
単量体成分(b)が、アクリル酸2−エチルヘキシルを含むことで、粘着剤組成物の粘着力が適度に低下する。具体的には、対象物に貼着でき、かつ対象物から剥離する際に糊残りすることなく容易に剥がれる程度の粘着力となり、易剥離性に優れた粘着剤組成物が得られる。また、粘着力の経時変化が小さくなる。
【0024】
アクリル酸2−エチルヘキシルの含有量の合計は、単量体成分(b)100質量%中、50質量%以上であり、75質量%以上が好ましい。50質量%以上であれば、粘着性と易剥離性のバランスに優れた粘着剤組成物が得られる。
【0025】
単量体成分(b)は、アクリル酸2−エチルヘキシル以外の単量体(任意単量体)を含んでいてもよい。
単量体成分(b)に含まれる任意単量体としては、アクリル酸2−エチルヘキシルと共重合可能であれば特に制限されないが、例えばヒドロキシ基含有単量体、アクリル酸2−エチルヘキシル以外の(メタ)アクリル酸エステル(他の(メタ)アクリル酸エステル)などが挙げられる。
【0026】
ヒドロキシ基含有単量体としては、単量体成分(a)の説明において先に例示したヒドロキシ基含有単量体が挙げられる。
ヒドロキシ基含有単量体の含有量は、単量体成分(b)100質量%中、5質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がより好ましい。
【0027】
他の(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
他の(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、単量体成分(b)100質量%中、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
【0028】
なお、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、単量体成分(b)は任意単量体として(メタ)アクリル酸などの酸成分を含んでいてもよい。ただし、効率よくミクロ相分離を起こすことができるとともに、疑似的な架橋構造を安定して形成できる点で、単量体成分(b)は(メタ)アクリル酸などの酸成分を含まないことが好ましい。
【0029】
ブロック(B)のガラス転移点は、−30℃以下であることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましい。ガラス転移点が−30℃以下であれば、対象物に貼着している間は剥離しない程度の粘着力を発現できる。
ブロック(B)のガラス転移点は、単量体成分(b)に含まれる単量体の種類やその配合量によって調整できる。
【0030】
ブロック(B)のガラス転移点は、下記式(ii)に示されるFoxの式から求められる値である。
1/(Tg
B+273.15)=Σ[W
b/(Tg
b+273.15)] ・・・(ii)
【0031】
式(ii)中、Tg
Bはブロック(B)のガラス転移点(℃)であり、W
bはブロック(B)を構成する単量体bの質量分率であり、Tg
bは単量体bの単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移点(℃)である。
なお、Tg
bはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMER HANDBOOK、THIRD EDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いればよい。
【0032】
<ブロック共重合体(X)>
ブロック共重合体(X)は、上述したブロック(A)とブロック(B)とからなる。
ブロック(A)とブロック(B)との比率(ブロック(A)/ブロック(B))は、10/90〜45/55であり、15/85〜40/60であることが好ましい。ブロック(A)の比率が多くなると、粘着力が極端に低下し、剥離時におけるジッピング現象が起こりやすくなる。一方、ブロック(A)の比率が少なくなると、粘着力が高まり、易剥離性が低下する。加えて、耐熱クリープ性も低下する傾向にある。
【0033】
ブロック共重合体(X)の少なくとも一方の末端は、ブロック(A)であり、かつブロック(B)がブロック(A)で挟まれている。ブロック共重合体(X)の少なくとも一方の末端がブロック(A)であれば、耐クリープ性に優れた粘着剤組成物が得られる。また、ブロック(B)がブロック(A)で挟まれていれば、上述したミクロ相分離が起こりやすくなり、耐クリープ性がより向上する。特に、ブロック共重合体(X)はブロック(A)−ブロック(B)−ブロック(A)で表されるトリブロック体であることが好ましい。
【0034】
ブロック共重合体(X)の酸価のうち、ブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g以上であり、15mgKOH/g以上が好ましい。ブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g未満であると、ブロック共重合体(X)が上述した疑似的な架橋構造となりにくく、耐クリープ性が低下する。また、ブロック共重合体(X)の酸価が8mgKOH/g以上であっても、ブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g未満である場合も、上述したように、耐クリープ性が低下する。
ブロック共重合体(X)の酸価は、貯蔵安定性が向上する点で、50mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0035】
ブロック共重合体(X)の酸価の一部は、ブロック(B)由来であってもよいが、ブロック共重合体(X)の酸価の全てがブロック(A)由来であることが好ましい。ブロック共重合体(X)の酸価の全てがブロック(A)由来であれば、効率よくミクロ相分離を起こすことができるとともに、疑似的な架橋構造を安定して形成できる。
なお、ブロック共重合体(X)の酸価の一部がブロック(B)由来である場合、ブロック(B)由来の酸価は25mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0036】
ここで、ブロック共重合体(X)の酸価とは、ブロック共重合体(X)1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことであり、JIS K 2501:2003に準拠して測定される。
ブロック共重合体(X)の酸価が、ブロック(A)由来であるか、ブロック(B)由来であるか、あるいはその両方であるかどうかは、単量体成分(a)、(b)に含まれる酸成分(例えば(メタ)アクリル酸など)の含有量により判断できる。例えば、単量体成分(a)が酸成分を含み、単量体成分(b)が酸成分を含まない場合、ブロック共重合体(X)の酸価の全てがブロック(A)由来であると判断する。また、単量体成分(a)、(b)の両方に酸成分が含まれている場合、全ての酸成分の含有量の合計を100質量%としたときの、各単量体成分に含まれる酸成分の質量比率が、ブロック共重合体(X)の酸価のうちのブロック(A)由来の酸価と、ブロック(B)由来の酸価の比率となる。
【0037】
ブロック共重合体(X)の質量平均分子量は、10万〜50万であることが好ましい。質量平均分子量が10万以上であれば、耐クリープ性がより向上する。一方、質量平均分子量が50万以下であれば、塗工性が向上する。
ブロック共重合体(X)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定される値である。具体的には、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、流速1.0mL/分の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定し、ポリスチレン換算した値を質量平均分子量とする。
【0038】
(ブロック共重合体(X)の製造方法)
ブロック共重合体(X)は、例えばリビング重合により得られる。リビング重合としては、リビングアニオン重合、RAFT重合などが挙げられるが、特にRAFT重合が好ましい。
RAFT重合によりブロック共重合体(X)を製造する場合、RAFT剤を用いて単量体成分(a)を重合してブロック(A)を得た後、得られたブロック(A)の存在下で、単量体成分(b)を重合してブロック共重合体(X)を製造する。
【0039】
RAFT重合に用いられるRAFT剤としては、ジチオエステル、ジチオカルボナート、トリチオカルボナート、キサンタート等のイオウ系化合物などを用いることができる。
RAFT重合に用いられる重合開始剤としては、既知のアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤を用いることができる。
RAFT重合に用いられる溶媒については特に限定されず、公知の溶媒を用いることができる。
RAFT重合の方法としては特に限定されず、公知の方法を採用でき、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが挙げられる。
【0040】
<他の成分>
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、濡れ性調製剤、粘着付与剤等などの添加剤を含有してもよい。なお、貯蔵安定性を良好に維持する観点から、イソシアネートやシランカップリング剤は含有しないことが好ましい。
【0041】
<作用効果>
以上説明した本発明の粘着剤組成物は、上述したブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含有するので、耐クリープ性に優れる。上述したように、ブロック共重合体(X)はブロック(A)とブロック(B)の相溶性の差によりミクロ相分離を起こす。その結果、ブロック(A)はブロック共重合体(X)同士の疑似架橋点となる。しかも、分子間のミクロ相分離構造がより明確となることで疑似架橋点が保持される。よって、ブロック共重合体(X)の構造が疑似的な架橋構造となり、耐クリープ性に優れるようになると考えられる。
【0042】
しかも、ブロック(B)は、アクリル酸2−エチルヘキシルを50質量%以上含む単量体成分(b)を重合した重合体または共重合体であるため、対象物から剥離する際に糊残りすることなく容易に剥がれる程度の粘着力を発現する。
ここで、「対象物から剥離する際に糊残りすることなく容易に剥がれる程度の粘着力」とは、下記方法により測定される粘着力が2N/25mm以下となることである。該粘着力は0.05N/25mm以上が好ましい。粘着力が0.05N/25mm以上であれば、対象物から不用意に剥がれにくい(すなわち、意図的に剥がそうとしなければ剥がれにくい)。
粘着力の測定方法:
対象物(ステンレス板、ガラス板等)上に、乾燥後の膜厚が25μmになるように粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成し、この粘着剤層を介して、対象物とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとを貼り合わせた後、JIS Z 0237:2009の8.3.1「180度引きはがし法」に準拠して粘着力を測定する。
【0043】
よって、本発明の粘着剤組成物は、易剥離性(再剥離性)を有しながらも、対象物に貼着している間はズレにくい、すなわち耐クリープも有している。
また、本発明の粘着剤組成物は、疑似的な架橋構造を形成しているにすぎず、すなわち、実際は架橋していないので低分子量(具体的には質量平均分子量が10万〜50万程度が好ましい。)であり、可使時間が長く、塗工作業性にも優れる。しかも、溶媒で必要以上に希釈して用いる必要がないので、少ない塗工回数で厚塗りすることも可能である。
【0044】
<用途>
本発明の粘着剤組成物は、粘着フィルム用の粘着剤として好適である。粘着フィルムは、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン等の基材上に、本発明の粘着剤組成物を塗工し、乾燥して粘着剤層を形成することで得られる。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えた粘着フィルムは、易剥離性および耐クリープ性に優れるので、一時的な製品の保護を目的とした保護フィルムとして好適である。具体的には、自動車やその部品、各種成形品などを移送や保管する際に、表面の損傷を防止するための保護フィルム;液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイ、タッチパネルなどの表面を保護するための保護フィルムなどとして好適である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
<製造例1:RAFT剤(R−1)の製造>
1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)と、二硫化炭素1.83g(24.0mmol)と、ジメチルホルムアミド11mLとを2口フラスコに投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で撹拌した。これに、トリエチルアミン2.49g(24.6mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で3時間撹拌した。滴下終了後、フラスコ内の反応液の色が無色透明から黄色に変化したことを確認した。
引き続き、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を15分かけて滴下し、さらに25℃で4時間撹拌した。滴下の途中で、フラスコ内に沈殿物を確認した。
ついで、反応液に、抽出溶媒(n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50)100mLと、水50mLとを加えて分液抽出した。得られた水相に先と同じ抽出溶媒50mLを加えてさらに分液抽出した。1回目と2回目の分液抽出にて得られた有機相を混合し、これを1M塩酸50mL、水50mL、飽和食塩水50mLで順に洗浄した。洗浄後の有機相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、有機溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=80/20)にて精製して、RAFT剤(R−1)2.86g(収率80%)を黄色油状物として得た。
【0047】
得られたRAFT剤(R−1)の
1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。なお、
1H−NMRの測定には、核磁気共鳴分析装置(株式会社日立製作所製、「R−1200」)を用いた。
1H−NMR(60MHz in CDCl
3):δ7.50−7.05(m,10H、ArH)、δ5.82(s,2H,CH−COO)、δ3.73(s,6H,CH
3)、δ3.33(brt,4H,S−CH
2)、δ1.85−1.22(m,8H,CH
2).
【0048】
1H−NMRスペクトルより、メチル−α−フェニル酢酸とジチオール由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例1では、RAFT剤(R−1)として下記一般式(1)で表される化合物(化合物(1))が得られたと判断した。
【0049】
【化1】
【0050】
<製造例2:RAFT剤(R−2)の製造>
1,6−ヘキサンジチオール0.902g(6.00mmol)を1−ドデカンチオール1.214g(6.00mmol)に変更し、二硫化炭素の量を1.83g(24.0mmol)から0.915g(12.0mmol)に変更し、トリエチルアミンの量を2.49g(24.6mmol)から1.25g(12.3mmol)に変更し、メチル−α−ブロモフェニル酢酸2.75g(12.0mmol)を(1−ブロモエチル)ベンゼン1.11g(6.00mmol)に変更した以外は、製造例1と同様にしてRAFT剤(R−2)2.25g(収率98%)を黄色油状物として得た。
【0051】
得られたRAFT剤(R−2)の
1H−NMRスペクトルの帰属を下記に示す。
1H−NMR(60MHz in CDCl
3):δ7.60−7.12(m,5H、ArH)、δ5.34(q,J=6.9Hz,1H,S−CH)、δ3.34(brt,2H,S−CH
2)、δ1.76(d,J=6.9Hz,3H,CH
3)、δ1.70−1.05(m,20H,−CH
2−)、δ0.89(brt,3H,CH
3).
【0052】
1H−NMRスペクトルより、(1−ブロモエチル)ベンゼンとドデカンチオール由来のアルキル基の構造を確認できた。従って、製造例2では、RAFT剤(R−2)として下記一般式(2)で表される化合物(化合物(2))が得られたと判断した。
【0053】
【化2】
【0054】
<測定・評価>
(ガラス転移点の算出)
ブロック(A)のガラス転移点を上記式(i)に示されるFoxの式から求め、ブロック(B)のガラス転移点を上記式(ii)に示されるFoxの式から求めた。
【0055】
(分子量の測定)
数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により下記条件にて測定した。なお、数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算した値である。
GPCの測定条件:
GPC装置:GPC−101(昭光通商株式会社製)
カラム:Shodex A−806M×2本直列つなぎ(昭和電工株式会社製)
検出器:Shodex RI−71(昭和電工株式会社製)
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1mL/分
【0056】
(酸価の測定)
酸価は、JIS K 2501:2003に準拠して測定した。具体的には、水酸化カリウムを0.1規定になるようにメタノールに溶解させて調製した溶液を滴定することで測定した。
【0057】
(粘着力の測定1)
30mm×40mmサイズのステンレス(SUS)板上の略中央に、乾燥後の膜厚が25μmになるように粘着剤組成物を塗工し、25mm×25mmサイズの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を介して、ステンレス板と25mm×100mmサイズのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとを貼り合わせ、試験片1とした。
試験片1のPETフィルムについて、JIS Z 0237:2009の8.3.1「180度引きはがし法」に準拠して粘着力を測定した。粘着力の測定は、貼り合わせてから室温(25℃)で30分経過後および24時間経過後と、貼り合わせてから90℃で1時間経過後に行った。粘着力が小さいほど易剥離性に優れることを意味し、2N/25mm以下を合格とした。
【0058】
(粘着力の測定2)
ステンレス板に代えて、30mm×40mmサイズのガラス板を用いた以外は、粘着力の測定1と同様にして粘着剤層を形成し、該粘着剤層を介してガラス板とPETフィルムとを貼り合わせて試験片2とし、粘着力を測定した。粘着力が小さいほど易剥離性に優れることを意味し、2N/25mm以下を合格とした。
【0059】
(耐クリープ性の評価)
粘着力の測定1と同様にして、試験片1を作製した。
JIS Z 0237:2009に準拠して、試験片1のPETフィルム側から圧着ロールで1往復した後、この試験片を40℃に調節したクリープ試験機に設置した。100℃または150℃の環境下において、1kgの錘を取り付けたPETフィルムがステンレス板から落下するまでの時間を測定した。なお、1時間経過してもPETフィルムがステンレス板から落下しない場合は、1時間経過後におけるPETフィルムのズレ(試験前の位置からの距離)を測定した。落下時間(分)またはズレ(mm)を耐クリープ性の指標とし、ズレ(mm)が小さいほど耐クリープ性に優れることを意味する。また、PETフィルムがステンレス板から落下した場合は、落下時間(分)が長いほど耐クリープ性に優れることを意味する。ズレ(mm)が2mm以下を合格とした。
【0060】
(ポットライフの測定)
粘着剤組成物を調製した直後(すなわち、第二段階反応直後の反応液)の粘度が2000mPa・sとなるように調整し、これを粘着剤組成物の粘度の初期値とした。B型粘度計(株式会社東京計器製、「型式:B8M」)を用い、温度25℃、回転速度60rpmの条件にて粘着剤組成物の粘度測定を開始した。測定開始後、粘度が5000mPa・sを超えた時間をポットライフ(可使時間)とした。なお、24時間経過しても粘度が5000mPa・sを超えない場合は、「良好」と判断した。特に、24時間経過後に粘度変化が認められない場合を「増粘なし」とした。
【0061】
「実施例1」
<ブロック共重合体(X)の製造>
(ブロック(A)の製造)
スチレン(St)85.6gと、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1.4gと、アクリル酸(AA)13gと、RAFT剤(R−1)1.5gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)0.35gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った(第一段階反応)。
反応終了後、フラスコ内にn−ヘキサン4000gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(St、HEA、AA)、およびRAFT剤をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥して共重合体(ブロック(A))を得た。
得られた共重合体(ブロック(A))のガラス転移点、数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を表1に示す。
【0062】
(ブロック共重合体(X)の製造)
アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)75g、アクリル酸ブチル(BA)25g、ABN−E0.035g、および酢酸エチル50gからなる混合物と、先に得られた共重合体(ブロック(A))とを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行い(第二段階反応)、ブロック(A)とブロック(B)とからなるブロック共重合体(X)を含む反応液を得た。なお、混合物とブロック(A)の配合量は、得られるブロック共重合体(X)におけるブロック(A)とブロック(B)との質量比率が28/72となる量とした。ブロック(B)のガラス転移点を表1に示す。
得られた反応液を用いて、ブロック共重合体(X)の酸価を測定した。結果を表1に示す。
また、反応液の一部を採取し、これにn−ヘキサン4000gを投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー(EHA、BA)、および溶媒をろ別し、反応物を70℃で減圧乾燥してブロック共重合体(X)を反応液から取り出し、ブロック共重合体(X)の数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を測定した。結果を表1に示す。
また、ブロック共重合体(X)を含む反応液を粘着剤組成物として用い、粘着力およびポットライフを測定し、耐クリープ性を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0063】
「実施例2〜1
5」
単量体成分(a)および単量体成分(b)の組成を表1、2に示すように変更し、第一段階反応および第二段階反応の重合条件を表1、2に示すように変更し、ブロック(A)とブロック(B)との質量比率を表1、2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体(X)を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表1、2に示す。
【0064】
「比較例1〜10」
ブロック(A)およびブロック(B)を構成する単量体組成を表3、4に示すように変更し、第一段階反応および第二段階反応の重合条件を表3、4に示すように変更し、ブロック(A)とブロック(B)との質量比率を表3、4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体(X)を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表3、4に示す。
なお、比較例4、6では、第一段階反応において溶媒として酢酸エチル67.7gを用いた。
【0065】
「比較例11」
Stを18.2gと、AAを1.8gと、BAを80gと、ABN−Eを0.5gと、酢酸エチル200gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行い、ランダム共重合体を含む反応液を得た。ランダム共重合体のガラス転移点を表5に示す。
得られた反応液を用いて、ランダム共重合体の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および酸価を測定した。結果を表5に示す。
また、ランダム共重合体を含む反応液を粘着剤組成物として用い、粘着力およびポットライフを測定し、耐クリープ性を評価した。これらの結果を表5に示す。
【0066】
「比較例12」
AAを1.8gと、メタクリル酸メチル(MMA)を18.2gと、BAを80gと、ABN−Eを0.02gと、酢酸エチル66.7gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った以外は、比較例11と同様にしてランダム共重合体を製造し、各種測定および評価を行った。結果を表5に示す。
【0067】
「比較例13」
Stを17.2gと、AAを1.8gと、HEAを1gと、EHAを80gと、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(和光純薬株式会社製、「V−40」)を0.05gと、酢酸エチルを42.9gとを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った以外は、比較例11と同様にしてランダム共重合体を製造し、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および酸価を測定した。結果を表5に示す。
また、得られた反応液に対して、架橋剤としてビウレット型のヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、「24A−100」)を0.5g配合した。これを粘着剤組成物として用い、粘着力およびポットライフを測定し、耐クリープ性を評価した。これらの結果を表5に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
表1〜5中の略号は下記化合物を示す。また、各単量体のカッコ内のTg(ガラス転移点)は、ホモポリマーのTgである。
「St」:スチレン(Tg:100℃)、
「MA」:アクリル酸メチル(Tg:10℃)、
「CHMA」:メタクリル酸シクロヘキシル(Tg:66℃)、
「EMA」:メタクリル酸エチル(Tg:65℃)、
「HEA」:アクリル酸2−ヒドロキシエチル(Tg:−15℃)、
「HEMA」:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(Tg:55℃)、
「AA」:アクリル酸(Tg:106℃)、
「MMA」:メタクリル酸メチル(Tg:105℃)、
「MAA」:メタクリル酸(Tg:228℃)、
「BA」:アクリル酸ブチル(Tg:−54℃)、
「EHA」:アクリル酸2−エチルヘキシル(Tg:−70℃)。
【0074】
表1、2から明らかなように、各実施例の粘着剤組成物は、易剥離性および耐クリープ性に優れていた。また、ポットライフ(可使時間)に制限がなく、塗工作業性にも優れることが示された。
なお、各実施例で製造したブロック共重合体(X)の酸価の全てが、ブロック(A)由来であった。
また、各実施例の最終生成物がブロック共重合体であるかどうかは、以下のようにして判断した。
【0075】
例えば、実施例1で得られた共重合体(ブロック(A))の数平均分子量(Mn)は25000であり、質量平均分子量(Mw)は35000であり、これらの比(Mw/Mn)は1.4であった。一方、実施例1で得られたブロック共重合体(X)の数平均分子量(Mn)は70000であり、質量平均分子量(Mw)は168000であり、これらの比(Mw/Mn)は2.4であった。
これらの結果より、共重合体(ブロック(A))の分子量ピークは消失し、共重合体(ブロック(A))の分子量よりもブロック共重合体(X)の分子量が高いことが分かる。よって、実施例1では、St単位、HEA単位、およびAA単位を構成単位とする共重合体ブロック(ブロック(A))と、EHA単位、およびBA単位を構成単位とする重合体ブロック(ブロック(B))とからなるブロック共重合体が得られたと判断した。
実施例2〜1
5、比較例1〜10についても、同様にして判断した。
【0076】
また、RAFT剤(R−1)はトリチオカルボナートの二量体であることから、実施例1〜1
5、および比較例1〜8、10で得られたブロック共重合体(X)は、ブロック(A)−ブロック(B)−ブロック(A)からなるトリブロック共重合体であると考えられる。
一方、RAFT剤(R−2)はトリチオカルボナートの単量体であることから、比較例9で得られたブロック共重合体(X)は、ブロック(A)−ブロック(B)からなるジブロック共重合体であると考えられる。
【0077】
一方、表3〜5から明らかなように、単量体成分(b)中のEHAの含有量が50質量%未満であるブロック共重合体を含む比較例1、2の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。
ブロック(A)とブロック(B)との比率(ブロック(A)/ブロック(B))が5/95であるブロック共重合体を含む比較例3の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。また、耐クリープ性にも劣っていた。
単量体成分(a)中のStおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量の合計が75質量%未満であり、かつブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g未満であるブロック共重合体を含む比較例4の粘着剤組成物は、耐クリープ性に劣っていた。
単量体成分(a)がStおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まず、ブロック(A)のガラス転移点が75℃未満であるブロック共重合体を含む比較例5の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。また、耐クリープ性にも劣っていた。
単量体成分(a)がStおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルを含まず、かつ単量体成分(b)がEHAを含まないブロック共重合体を含む比較例6の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。また、耐クリープ性にも劣っていた。
単量体成分(a)中のStおよび環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量の合計が75質量%未満であるブロック共重合体を含む比較例7の粘着剤組成物は、耐クリープ性に劣っていた。
単量体成分(a)が(メタ)アクリル酸を含まず、かつブロック(A)由来の酸価が8mgKOH/g未満であるブロック共重合体を含む比較例8の粘着剤組成物は、耐クリープ性に劣っていた。
単量体成分(b)がEHAを含まず、かつブロック(B)がブロック(A)で挟まれていないブロック共重合体を含む比較例9の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。また、耐クリープ性にも劣っていた。
なお、比較例1〜9で製造したブロック共重合体の酸価の全てが、ブロック(A)由来であった。
【0078】
比較例10で製造したブロック共重合体の酸価は17.5mgKOH/gであったが、そのうち、ブロック(A)由来の酸価が5.8mgKOH/gであり、ブロック(B)由来の酸価が11.7mgKOH/gであった。そのため、該ブロック共重合体を含む比較例10の粘着剤組成物は、耐クリープ性に劣っていた。
ランダム共重合体を含む比較例11、12の粘着剤組成物は、再剥離の点で粘着力が強く、易剥離性に劣っていた。また、耐クリープ性にも劣っていた。
ランダム共重合体および架橋剤を含む比較例13の粘着剤組成物は、ポットライフ(可使時間)が短かった。