(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像形成後の同一用紙の同一面をインラインで読み取り可能な二つの異なる画像読取デバイスを備え、前記二つの画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成装置であって、
前記二つの画像読取デバイスのうち第1の画像読取デバイスは、主走査方向における一部の領域のみを読み取り可能であり、且つ当該第1の画像読取デバイスに付着した異物の検出はできないものであり、
前記二つの画像読取デバイスのうち第2の画像読取デバイスは、前記第1の画像読取デバイスに対して用紙の搬送方向において近傍に設けられ、主走査方向における画像形成幅に亘って読み取り可能であり、且つ当該第2の画像読取デバイスに付着した異物の検出は可能であり、
前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、前記第2の画像読取デバイスに付着した異物の清掃を促すとともに、前記第1の画像読取デバイスの清掃を促す制御手段を備える画像形成装置。
前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報から異常値が検知された場合に、当該異常値が検知された主走査方向における位置と、当該位置毎の検知回数と、を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、前記第2の画像読取デバイスに付着した異物の清掃を促すとともに、前記第1の画像読取デバイスの清掃を促す請求項1に記載の画像形成装置。
画像形成後の同一用紙の同一面をインラインで読み取り可能な二つの異なる画像読取デバイスを備え、前記二つの画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成装置であって、
前記二つの画像読取デバイスのうち第1の画像読取デバイスは、主走査方向における一部の領域のみを読み取り可能であり、且つ当該第1の画像読取デバイスに付着した異物の検出はできないものであり、
前記二つの画像読取デバイスのうち第2の画像読取デバイスは、前記第1の画像読取デバイスに対して用紙の搬送方向において近傍に設けられ、主走査方向における画像形成幅に亘って読み取り可能であり、且つ当該第2の画像読取デバイスに付着した異物の検出は可能であり、
前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、前記第1の画像読取デバイスによる読み取りを禁止する制御手段を備える画像形成装置。
前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報から異常値が検知された場合に、当該異常値が検知された主走査方向における位置と、当該位置毎の検知回数と、を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、前記第1の画像読取デバイスによる読み取りを禁止する請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、測色計が画像形成装置の内部に設置されている場合には、自動で色を調整することができるものの、画像形成装置内にて発生する紙粉、飛散トナー等の異物により、測色計が汚れてしまうおそれがあった。ラインセンサーでは、検出ヘッド部に異物が付着した場合であっても、主走査方向に並んだ検出素子の解像度に応じて、異物を検出することができるが、測色計では、異物成分を含んだ状態で分光反射率や測色値を測定してしまうため、異物の有無を判断することができなかった。このように、異物の有無を判断することができない画像読取デバイスを使用し続けると、画像の色又は濃度の安定性が悪化するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、画像読取デバイスにより読み取られる読取情報の信頼性を向上させるとともに、画像の安定性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成後の同一用紙の同一面をインラインで読み取り可能な二つの異なる画像読取デバイスを備え、前記二つの画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成装置であって、前記二つの画像読取デバイスのうち第1の画像読取デバイスは、主走査方向における一部の領域のみを読み取り可能であり、
且つ当該第1の画像読取デバイスに付着した異物の検出はできないものであり、前記二つの画像読取デバイスのうち第2の画像読取デバイスは、
前記第1の画像読取デバイスに対して用紙の搬送方向において近傍に設けられ、主走査方向における画像形成幅に亘って読み取り可能であり、
且つ当該第2の画像読取デバイスに付着した異物の検出は可能であり、前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、前記第2の画像読取デバイス
に付着した異物の清掃を促すとともに、前記第1の画像読取デバイスの清掃を促す制御手段を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報から異常値が検知された場合に、当該異常値が検知された主走査方向における位置と、当該位置毎の検知回数と、を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、前記第2の画像読取デバイス
に付着した異物の清掃を促すとともに、前記第1の画像読取デバイスの清掃を促す。
【0010】
請求項3に記載の発明は、画像形成後の同一用紙の同一面をインラインで読み取り可能な二つの異なる画像読取デバイスを備え、前記二つの画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて、画像形成条件を調整する画像形成装置であって、前記二つの画像読取デバイスのうち第1の画像読取デバイスは、主走査方向における一部の領域のみを読み取り可能であり、
且つ当該第1の画像読取デバイスに付着した異物の検出はできないものであり、前記二つの画像読取デバイスのうち第2の画像読取デバイスは、
前記第1の画像読取デバイスに対して用紙の搬送方向において近傍に設けられ、主走査方向における画像形成幅に亘って読み取り可能であり、
且つ当該第2の画像読取デバイスに付着した異物の検出は可能であり、前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、前記第1の画像読取デバイスによる読み取りを禁止する制御手段を備える。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記第2の画像読取デバイスにより読み取られた読取情報から異常値が検知された場合に、当該異常値が検知された主走査方向における位置と、当該位置毎の検知回数と、を記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、前記第1の画像読取デバイスによる読み取りを禁止する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記第2の画像読取デバイスの読み取り解像度は、前記第1の画像読取デバイスの読み取り解像度よりも高い。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記第1の画像読取デバイスは、測色計であり、前記第2の画像読取デバイスは、ラインセンサーである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記第1の画像読取デバイスと前記第2の画像読取デバイスは、同一用紙の同一面内に形成された複数のカラーパッチを共通に読み取り可能であり、前記共通に読み取られたカラーパッチの読取情報に基づいて、前記第2の画像読取デバイスの読取情報から前記第1の画像読取デバイスの読取情報に相当する値を推定する演算手段を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像読取デバイスにより読み取られる読取情報の信頼性を向上させるとともに、画像の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態における画像形成装置100の概略断面図である。
画像形成装置100は、画像形成部10、第1の画像読取デバイスとしての測色計20、第2の画像読取デバイスとしてのラインセンサー30等を備える。
【0018】
画像形成部10は、電子写真方式の画像形成を行うものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応する画像データに基づいて、用紙P上に画像を形成する。画像形成部10は、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K、帯電部2Y,2M,2C,2K、露光部3Y,3M,3C,3K、現像部4Y,4M,4C,4K、1次転写ローラー5Y,5M,5C,5K、中間転写ベルト6、2次転写ローラー7、定着部8、給紙部9等を備える。
【0019】
感光体ドラム1Yには、イエロー色のトナー像が形成される。帯電部2Yは、感光体ドラム1Yを一様に帯電させる。露光部3Yは、イエロー色の画像データに基づいて、感光体ドラム1Yの表面をレーザービームにより走査露光して静電潜像を形成する。現像部4Yは、感光体ドラム1Y上の静電潜像にイエロー色のトナーを付着させ、現像を行う。
マゼンタ色、シアン色、黒色についても、同様である。
【0020】
感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された各色のトナー像は、1次転写ローラー5Y,5M,5C,5Kにより、中間転写ベルト6上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト6上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト6上のカラートナー像は、2次転写ローラー7により、給紙部9から供給された用紙Pの一方の面上に一括して転写される(2次転写)。
【0021】
定着部8は、カラートナー像が転写された用紙Pを加熱する加熱ローラー、用紙Pを加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙Pに定着させる。
【0022】
測色計20及びラインセンサー30は、用紙Pの搬送方向において、定着部8の下流側に、相互に近接して設けられている。測色計20及びラインセンサー30は、画像形成後の同一用紙の同一面をインラインで(装置内の搬送経路において)読み取り可能である。測色計20及びラインセンサー30は、用紙Pに形成されたカラーパッチを読み取る。
【0023】
測色計20は、用紙P上に形成された画像に対し、波長毎に分光反射率を検出し、画像の色を測定する分光測色計である。測色計20は、主走査方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向であって用紙面に平行な方向)における一部の領域のみを読み取り可能である。
【0024】
図2に、測色計20の構成を示す。測色計20は、発光部21、受光部22、レンズ23、検出ヘッド部24等を備える。
発光部21は、用紙Pに対して光を照射する。
受光部22は、用紙Pにおいて反射され、レンズ23を介して到達した光について、波長毎の分光反射率に応じた測色値(XYZ値、L
*a
*b
*値等)をCPU11(
図5参照)に出力する。
検出ヘッド部24は、測色計20の用紙Pに対向する位置に設けられており、ガラス板により構成されている。
【0025】
ラインセンサー30は、主走査方向における画像形成幅全体に亘ってCCD(Charge Coupled Device)がライン状に配列され、一次元画像を読み取るものであり、画像形成された用紙Pが搬送されるタイミングに合わせて読取動作を行うことで、用紙P上に形成された二次元画像を取得する。すなわち、ラインセンサー30は、主走査方向における画像形成幅に亘って読み取り可能である。
【0026】
図3に、ラインセンサー30の構成を示す。ラインセンサー30は、LED(Light Emitting Diode)31A,31B、CCD32、ミラー33A,33B,33C,33D,33E、検出ヘッド部34、シェーディング板35等を備える。
LED31A,31Bは、用紙Pに対して光を照射する。
CCD32は、入射された光を光電変換し、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の階調値を有する画像データをCPU11に出力する。
ミラー33A,33B,33C,33D,33Eは、用紙Pにおいて反射された光をCCD32に導く。
検出ヘッド部34は、ラインセンサー30の用紙Pに対向する位置に設けられており、ガラス板により構成されている。
シェーディング板35は、LED31A,31Bにより照射される光を吸収せずに反射させるための白色校正板であり、シェーディング補正や、ラインセンサー30の読取情報における異常値の検知を行う際に使用される。
【0027】
図4は、測色計20とラインセンサー30の読み取り解像度(分解能)を模式的に示した図である。ラインセンサー30の読み取り解像度は、測色計20の読み取り解像度よりも高い。
【0028】
一般的な測色計20の検出範囲20Aは、約5mm程度であり、かつスポット検出であるため、この5mmが検出の最小単位となる。このため、測色計20の検出範囲20A内に異物があったとしても、測色計20は、異物を含めた画像面を分光測色値として検出してしまい、異物の有無を判定することはできない。
【0029】
一方、ラインセンサー30の検出範囲30Aは、用紙Pの通紙幅以上ある。A3の用紙P(300mm強)を読み取り可能な場合、ラインセンサー30の検出範囲30Aには、解像度600dpiで約8000個のCCD32が含まれる。また、解像度600dpiに相当する検出最小単位は0.04233mmである。測色計20のスポット径5mmに相当する範囲内には約120個のCCD32が含まれ、測色計20と比較して、ラインセンサー30には十分な分解能がある。これにより、測色計20では検出できなかった異物を、ラインセンサー30では検出することができる。
【0030】
図5は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、操作部14、表示部15、通信部16、画像形成部10、測色計20、ラインセンサー30等を備える。
【0031】
CPU11は、操作部14から入力される操作信号又は通信部16により受信される指示信号に応じて、記憶部13に記憶されている各種処理プログラムに従って、画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。
【0032】
RAM12は、CPU11により実行制御される各種処理において、記憶部13から読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0033】
記憶部13は、ハードディスクやフラッシュメモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等の各種データを記憶する。
例えば、記憶部13には、ラインセンサー30により読み取られた読取情報から異常値が検知された主走査方向における位置と、当該位置毎の検知回数と、が対応付けられて記憶される。
また、記憶部13には、ラインセンサー30によるシェーディング板35の読取情報の初期値が記憶されている。初期値とは、画像形成装置100の設置時のシェーディング板35の読取情報であってもよいし、画像形成装置100のメンテナンスが行われた直後のシェーディング板35の読取情報であってもよい。
【0034】
操作部14は、表示部15の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号をCPU11に出力する。
【0035】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、CPU11から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0036】
通信部16は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0037】
CPU11は、測色計20及びラインセンサー30により読み取られた読取情報に基づいて、画像形成部10における画像形成条件を調整する。
【0038】
CPU11は、測色計20及びラインセンサー30のそれぞれから、同一用紙の同一面内に形成された複数のカラーパッチを共通に読み取った読取情報を取得する。
CPU11は、共通に読み取られたカラーパッチの読取情報に基づいて、ラインセンサー30の読取情報(RGB値)から測色計20の読取情報(測色値)に相当する値を推定する。すなわち、CPU11は、演算手段として機能する。
【0039】
CPU11は、ラインセンサー30により読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、ラインセンサー30の清掃を促すとともに、測色計20の清掃を促す。具体的には、CPU11は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、ラインセンサー30の清掃を促すとともに、測色計20の清掃を促す。
【0040】
図6は、調整用パターンの例である。調整用パターンには、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれについて、複数の階調別のカラーパッチが含まれる。
【0041】
次に、第1の実施の形態における画像形成装置100の動作について説明する。
図7は、第1の画像調整モード処理を示すフローチャートである。この処理は、電源投入時、所定期間毎、又は、ユーザーにより実行が指示された場合等に行われる処理であり、CPU11と記憶部13に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0042】
まず、CPU11は、ラインセンサー30からシェーディング板35の読取情報を取得する(ステップS1)。ラインセンサー30は、検出ヘッド部34とシェーディング板35との間に用紙Pがない状態で、シェーディング板35を読み取る。
【0043】
次に、CPU11は、記憶部13に記憶されているラインセンサー30によるシェーディング板35の読取情報の初期値を取得する(ステップS2)。
【0044】
次に、CPU11は、現在のシェーディング板35の読取情報と初期値とを比較して、ラインセンサー30の読取情報に異常値があるか否かを判断する(ステップS3)。例えば、CPU11は、RGB毎のラインセンサー30の読取情報について、主走査方向における各位置の現在の値と初期値との差を求め、差の絶対値が所定の値より大きい場合に、異常値があると判断する。あるいは、CPU11は、現在のRGB毎のラインセンサー30の読取情報について、各位置の現在の値と主走査方向における平均値との差を求め、差の絶対値が所定の値より大きい場合に、異常値があると判断する。
【0045】
図8(a)及び(b)に、ラインセンサー30においてシェーディング板35を読み取った際の読取情報の例を示す。
図8(a)及び(b)において、横軸は、主走査方向における位置、縦軸は、RGBいずれかのチャンネルにおけるラインセンサー30の検出値である。
図8(a)は、異物がない状態の読取情報の例であり、
図8(b)は、異物がある状態の読取情報の例である。
【0046】
ラインセンサー30の読取情報に異常値がある場合には(ステップS3;YES)、CPU11は、異常値が検知された主走査方向における位置と、その位置で異常値が検知された回数と、を対応付けて記憶部13に記憶させる(ステップS4)。例えば、異常値が検知された主走査方向の位置毎にカウンターが設けられ、同一箇所で異常値が検知される毎に、対応するカウンターの値を1ずつ増加させる。
【0047】
次に、CPU11は、異常値が検知された主走査方向における位置において、同一箇所で所定回数(例えば、2回)以上異常値が検知されたか否かを判断する(ステップS5)。同一箇所で所定回数以上異常値が検知された場合には(ステップS5;YES)、CPU11は、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促す旨のメッセージを表示部15に表示させる(ステップS6)。
【0048】
ユーザーは、画像形成装置100において、ラインセンサー30及び測色計20が設置されている部分の扉を開け、ラインセンサー30及び測色計20を含むユニットを引き出す。ユーザーは、ラインセンサー30の検出ヘッド部34、測色計20の検出ヘッド部24に付着した紙粉や飛散トナー等の異物を清掃する。例えば、紙、布等を用いて、ラインセンサー30の検出ヘッド部34の用紙Pに対向する面、測色計20の検出ヘッド部24の用紙Pに対向する面から異物を除去する。清掃後、ラインセンサー30及び測色計20を含むユニットを元の位置に戻し、扉を閉める。
【0049】
ステップS3において、ラインセンサー30の読取情報に異常値がない場合(ステップS3;NO)、又は、ステップS5において、同一箇所で所定回数以上異常値が検知されていない場合には(ステップS5;NO)、CPU11は、記憶部13から調整用パターンの画像データを読み出し、画像形成部10を制御して、用紙P上に調整用パターンを形成させる(ステップS7)。
【0050】
次に、CPU11は、カラーパッチ毎に、ラインセンサー30及び測色計20のそれぞれから、用紙P上の調整用パターンを読み取って得られた読取情報を取得する(ステップS8)。CPU11は、カラーパッチ毎に、ラインセンサー30及び測色計20において共通に読み取られた読取情報を取得し、RAM12に格納する。
【0051】
次に、CPU11は、カラーパッチ毎に、測色計20の読取情報(測色値)に基づいて、ラインセンサー30の読取情報の検出誤差量を算出する(ステップS9)。具体的には、CPU11は、ラインセンサー30により得られたRGB値を測色値に換算し、この換算測色値の、測色計20により得られた測色値(絶対値)からの誤差量を算出する。
【0052】
次に、CPU11は、算出された検出誤差量に基づいて、ラインセンサー30を校正する(ステップS10)。具体的には、CPU11は、ラインセンサー30の読取情報(RGB値)と、測色計20の読取情報(測色値)と、の対応付けを行い、ラインセンサー30の読取情報から測色計20の読取情報に相当する値を推定するための演算テーブルを更新する。CPU11は、この演算テーブルを用いて、ラインセンサー30の読取情報から測色計20の読取情報に相当する値を推定することが可能となる。
【0053】
次に、CPU11は、ステップS10において校正されたラインセンサー30の読取情報と、前回のラインセンサー30の読取情報と、に基づいて、色補正処理(色の絶対値を合わせる処理)及び濃度補正処理(階調補正処理)を行う(ステップS11)。
ステップS6又はステップS11の後、第1の画像調整モード処理が終了する。
【0054】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ラインセンサー30の読取情報に基づいて、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促す警告を表示するので、測色計20により読み取られる読取情報の信頼性を向上させるとともに、画像の色や濃度の安定性を向上させることができる。
【0055】
また、ラインセンサー30の読取情報から異常値が検知された場合であっても、その箇所における異常値の検知が所定回数未満の場合には、一時的な変動として取り扱うため、無駄に装置を停止させることを防ぐことができる。
一方、異常値が同一箇所で所定回数検知された場合には、測色計20にも異物が付着している可能性があると判断し、ラインセンサー30だけでなく、測色計20の清掃も促すため、測色計20への異物付着による色情報の誤検出を防止することができる。
【0056】
なお、ラインセンサー30における異常値の検知は、画像形成装置100の画像形成動作中に行うこととしてもよい。例えば、連続して画像が形成される用紙間にて、ラインセンサー30によりシェーディング板35を読み取り、異常値の有無を検知してもよい。ただし、異常値の有無に応じて、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促したり、調整用パターンを形成したりする際には、画像形成装置100における通常の画像形成を停止させる必要がある。
【0057】
また、第1の実施の形態では、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促すメッセージを表示する場合について説明したが、警告ランプを点灯させたり、警告音を発したりして、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促すこととしてもよい。
また、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を促すメッセージを表示することに代えて、装置内に清掃手段が設けられ、ラインセンサー30の読取情報に基づいて異常値が検知された場合に、自動的にラインセンサー30及び測色計20を清掃することとしてもよい。
【0058】
また、第1の画像調整モード処理のステップS6の後、ラインセンサー30及び測色計20の清掃が終了した後に、再度、第1の画像調整モード処理を行うこととしてもよい。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置100と同様の構成によってなるため、
図1〜
図5を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0060】
CPU11は、ラインセンサー30により読み取られた読取情報に基づいて異常値の有無を検知し、異常値が検知された場合に、測色計20による読み取りを禁止する。具体的には、CPU11は、主走査方向の同一箇所において異常値が所定回数検知された場合に、測色計20による読み取りを禁止する。
【0061】
次に、第2の実施の形態における画像形成装置の動作について説明する。
図9は、第2の画像調整モード処理を示すフローチャートである。この処理は、電源投入時、所定期間毎、又は、ユーザーにより実行が指示された場合等に行われる処理であり、CPU11と記憶部13に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0062】
ステップS21〜ステップS25の処理は、
図7のステップS1〜ステップS5の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
ステップS25において、同一箇所で所定回数以上異常値が検知された場合には(ステップS25;YES)、CPU11は、測色計20による読み取り及び測色計20の読取情報を用いた補正(色補正処理)を禁止する(ステップS26)。
【0064】
次に、CPU11は、所定回数以上異常値が検知された位置に基づいて、ラインセンサー30の検出範囲を設定する(ステップS27)。具体的には、CPU11は、主走査方向において、所定回数以上異常値が検知された位置については、ラインセンサー30の検出範囲から除く。
【0065】
次に、CPU11は、記憶部13から調整用パターンの画像データを読み出し、画像形成部10を制御して、用紙P上に調整用パターンを形成させる(ステップS28)。
【0066】
次に、CPU11は、カラーパッチ毎に、ラインセンサー30から、用紙P上の調整用パターンを読み取って得られた読取情報を取得する(ステップS29)。CPU11は、カラーパッチ毎に、ラインセンサー30において読み取られた読取情報をRAM12に格納する。
【0067】
次に、CPU11は、ステップS27において設定されたラインセンサー30の検出範囲に基づいて、ラインセンサー30の読取情報から所定回数以上異常値が検出された位置(以下、異常点という。)を除去する(ステップS30)。すなわち、所定回数以上異常値が検知された位置については、読取情報がないものとする。
【0068】
次に、CPU11は、異常点が除去されたラインセンサー30の読取情報と、前回のラインセンサー30の読取情報と、に基づいて、濃度補正処理を行う(ステップS31)。
ここでは、測色計20の読取情報を用いずに、ラインセンサー30の読取情報のみに基づいて補正を行うので、色や濃度の絶対値は保証されず、相対的な補正となる。
【0069】
ステップS23において、ラインセンサー30の読取情報に異常値がない場合(ステップS23;NO)、又は、ステップS25において、同一箇所で所定回数以上異常値が検知されていない場合には(ステップS25;NO)、ステップS32に移行する。
ステップS32〜ステップS36の処理は、
図7のステップS7〜ステップS11の処理と同様であるため、説明を省略する。
ここでは、測色計20の読取情報及びラインセンサー30の読取情報に基づいて補正を行うので、色や濃度の絶対値が保証される。
ステップS31又はステップS36の後、第2の画像調整モード処理が終了する。
【0070】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、ラインセンサー30の読取情報に基づいて、測色計20による読み取り及び測色計20の読取情報を用いた補正を禁止するので、測色計20により読み取られる読取情報の信頼性を向上させるとともに、画像の色や濃度の安定性を向上させることができる。
【0071】
また、異常値が同一箇所で所定回数検知された場合には、測色計20にも異物が付着している可能性があると判断し、測色計20による読み取り及び測色計20の読取情報を用いた補正を禁止し、ラインセンサー30のみを用いてカラーパッチの読み取り及び補正動作を行う。この場合、測色絶対値の画像保証はできなくなるが、現在の画像品質を維持することはできる。
また、ラインセンサー30の読取情報から、異物付着領域と考えられる異常点の情報を無視又は除去した状態で補正を行うことで、異物付着による誤検出を防止することができる。
【0072】
なお、ラインセンサー30における異常値の検知は、画像形成装置の画像形成動作中に行うこととしてもよい。
【0073】
また、第2の画像調整モード処理のステップS31の後、ラインセンサー30及び測色計20の清掃を行うこととしてもよい。また、ラインセンサー30及び測色計20の清掃が終了した後に、再度、第2の画像調整モード処理を行うこととしてもよい。
【0074】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0075】
例えば、調整用チャートに、測色計20及びラインセンサー30によって共通に読み取られるカラーパッチだけでなく、ラインセンサー30のみによって読み取られるカラーパッチが含まれることとしてもよい。
また、ラインセンサー30として、CIS(Contact Image Sensor)等のように、密着光学系の読取装置を適用することとしてもよい。
【0076】
また、上記各実施の形態では、ラインセンサー30の読取情報に基づいて、異常値が同一箇所で所定回数検知された場合に、測色計20にも異物が付着している可能性があると判断したが、異常値がいずれかの位置で1回検知された場合に、測色計20にも異物が付着している可能性があると判断することとしてもよい。
【0077】
また、さらに、中間転写ベルト6に対向する位置にトナー付着量検出センサーを設置し、中間転写ベルト6上のトナー量の検出結果に応じて、画像形成部10における画像形成条件を変更する画像安定化制御を、合わせて行うこととしてもよい。
【0078】
また、上記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置の場合を例にして説明したが、インクジェット方式、印刷方式等、他の方式の画像形成装置に適用することとしてもよい。
【0079】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクやフラッシュメモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。