特許第6048461号(P6048461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048461電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048461
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 5/147 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   G03G5/147 503
   G03G5/147 502
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-170006(P2014-170006)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-45381(P2016-45381A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓田 正則
(72)【発明者】
【氏名】小玉 大典
(72)【発明者】
【氏名】小西 麻理
【審査官】 本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−021133(JP,A)
【文献】 特開2013−130603(JP,A)
【文献】 特公昭49−010702(JP,B1)
【文献】 特開2002−270861(JP,A)
【文献】 特開2009−224136(JP,A)
【文献】 特開2010−219078(JP,A)
【文献】 特開2001−007365(JP,A)
【文献】 特開2003−286096(JP,A)
【文献】 特開2002−229240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 5/00 − 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともSrCuを含む微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記SrCuを含む微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置に関し、特に、既存のCuAlO微粒子よりも少ない添加部数で、長期の残留電位の上昇を低減でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)や高温高湿下における画像ボケが発生せず、耐久性が良好な電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)としては、無機感光体及び有機感光体が知られている。
ここにいう「電子写真方式」とは、一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料などの着色剤及び樹脂材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
【0003】
有機感光体は、無機感光体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性、及びコスト面などにおいて利点を有するため、現在ではほとんどの感光体には有機感光体が用いられている。
【0004】
環境負荷低減、生産性向上及びコストダウンなどの点から感光体の高耐久化が求められており、これらを両立することが望まれている。
近年、感光体の高耐久化の技術的方法の一つとして、フィラー(無機微粒子)を表面保護層に添加し、強度を高めて、寿命を延ばす方法が一般的とされている。
しかしながら、使用されるフィラーの多くは、例えば酸化アルミ、二酸化チタン、酸化スズなどの電子輸送性であるn型半導体金属微粒子であり、繰り返し露光後の残留電位が大きく、安定した画像形成を行うことができない。これは、表面保護層の上記n型半導体金属微粒子がホール輸送機能を有さないために、電荷輸送層と表面保護層との界面及び表面保護層内の粒子界面で、ホール(正孔)がトラップされるため、効果的に感光体表面の負電荷をキャンセルできないためであると考えられる。
【0005】
この課題を解決するために、表面保護層に電荷輸送剤(CTM)を一緒に添加することによって、画像形成に関しては解決するが、電荷輸送剤が可塑剤として働くため、表面硬度が低下してしまい、ホール輸送能を維持したまま高強度化することは非常に困難であった。
【0006】
そこで、フィラー自体がホール輸送能をもつp型半導体金属微粒子を添加することが知られている。p型半導体金属微粒子の例として、CuAlO微粒子が適用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
CuAlO微粒子を用いると、高強度を維持したまま必要とされるホール輸送能を持つことが確認される。しかしながら、さらなるプリントの高速化のためには、感光体のホール輸送能を向上させる必要があり、CuAlO微粒子の場合、表面保護層への添加部数を上げる施策があるが、CuAlO微粒子の添加部数を上げると、微粒子由来のヒドロキシ基も増えるために、空気中の水分がヒドロキシ基に吸着して抵抗を下げ、その結果、高温高湿下での画像ボケが劣ることが問題となる。ヒドロキシ基をシランカップリング剤などで疎水化処理すれば解決するが、完全にヒドロキシ基を疎水化することは難易度が高かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−130603号公報
【特許文献2】特開2014−021133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、既存のCuAlO微粒子よりも少ない添加部数で、長期の残留電位の上昇を低減でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)や高温高湿下における画像ボケが発生せず、耐久性が良好な電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、電子写真感光体において、表面保護層に、p型半導体である少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有させることによって、既存のCuAlO微粒子よりも少ない添加部数で感光体機能が発揮され、高温高湿下における画像ボケが発生せず、良好であることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【0010】
2.前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともSrCuを含む微粒子を含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
【0011】
3.前記SrCuを含む微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることを特徴とする第2項に記載の電子写真感光体。
【0012】
4.前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
【0013】
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
【0014】
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記手段により、既存のCuAlO微粒子よりも少ない添加部数で、長期の残留電位の上昇を低減でき、感光体周期による画像濃度差(画像メモリー)や高温高湿下における画像ボケが発生せず、耐久性が良好な電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上記MgCu、CaCu、SrCu及びBaCuの粒子は、CuAlO粒子よりもホール輸送機能が高いため、粒子の添加部数が少なくてもCuAlOと同等の以上の電気特性を発揮することができ、長期の残留電位の上昇及び画像濃度差(画像メモリー)の発生を防止することができる。また、上記粒子の添加部数を少なくすることができるため、表面保護層に添加するp型半導体粒子由来のヒドロキシ基量を減らせることができ、その結果、高温多湿化での画像ボケや、耐メモリー性を改善することができると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】感光体の層構成の一例を示す模式図
図2】本発明の実施形態の一例を示すフルカラーの電子写真画像形成装置の断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともSrCuを含む微粒子を含有することが好ましい。
【0018】
前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することが、表面硬度が良好となる点で好ましい。
前記SrCuを含む微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることが、製造しやすく、感光体として成立する点で好ましい。
【0019】
本発明の電子写真感光体は、電子写真画像形成方法に好適に用いられる。
本発明の電子写真感光体は、電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
【0020】
以下、本発明の構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で用いる。
【0021】
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする。
【0022】
感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層構成であってもよく、また、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構成であってもよい。
また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。
感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下(1)〜(4)に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
【0023】
図1は、本発明の感光体10の層構成の一例を示す模式図である。図1において、1は導電性支持体、2は感光層、3は中間層、4は電荷発生層、5は電荷輸送層、6は表面保護層、7は表面修飾金属酸化物微粒子を示す。
【0024】
次に、本発明の感光体を構成する表面保護層、導電性支持体、中間層、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の構成について順を追って説明する。
【0025】
<表面保護層>
本発明の表面保護層は、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を含む微粒子(以下、単に「p型半導体粒子」ともいう。)を含有する。
当該p型半導体粒子は、MgCu、CaCu、SrCu、BaCuから選ばれる1種の化合物を主成分として、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の金属酸化物等の無機化合物を含有しても良い。
特に、本発明の表面保護層は、バインダー樹脂、及び少なくともSrCuを含む微粒子(以下、単に「SrCu微粒子」ともいう。)を含有することが好ましい。
【0026】
(p型半導体粒子)
上記p型半導体粒子は、電荷を輸送するキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体粒子である。すなわち、正孔が多数キャリアとなる半導体である。
p型半導体粒子の数平均一次粒径は、1〜1000nmの範囲内であることが好ましい。特に好ましくは10〜500nmの範囲内である。
また、本発明では、特にSrCu微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
また、表面保護層は、数平均一次粒径が異なる2種類以上のp型半導体粒子を含有することが好ましい。この場合、少なくとも一つのp型半導体粒子の数平均一次粒径が、10〜50nmの範囲内であることが好ましい。2種類以上のp型半導体粒子を含有し、大きさの異なる粒子を用いて表面保護層を製膜すると、表面が凹凸になり、これによってクリーニング性の向上につながる。
【0027】
p型半導体粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに100個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置(例えば(株)ニレコ製「LUZEX AP」ソフトウエア Ver.1.32)を使用して、写真画像上のp型半導体粒子について2値化処理し、p型半導体粒子の任意の100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を数平均一次粒径とする。ここで、水平方向フェレ径とは、p型半導体粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形のx軸に平行な辺の長さをいう。
【0028】
SrCu微粒子は、例えば、特開2003−286096号公報に記載された方法によって製造することができる。すなわち、酸化ストロンチウム又は炭酸ストロンチウムと酸化銅を混合して、アルゴン又は窒素中に酸素が5%以下混入されている雰囲気中で、1000℃以上に加熱誘拐したのち、降温させ、又は融点付近の温度のまま、SrCuで表される微結晶を種結晶上又は基板上に析出、成長させSrCu単結晶を得る。得られた単結晶を、粉砕し、篩がけ(分級)することによって所定の粒径のSrCu微粒子を製造することができる。
【0029】
SrCu微粒子以外の上記p型半導体粒子は、上述したSrCu微粒子の製造方法において、酸化ストロンチウム又は炭酸ストロンチウムを、p型半導体粒子の該当する原子を含む酸化物に変更し、同様の操作によって製造することができる。
【0030】
上記p型半導体粒子は、表面修飾剤で処理されたものであることが好ましい。
【0031】
(表面修飾剤)
表面修飾剤としては、p型半導体粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面修飾剤が好ましく、これらの表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、本発明においては、表面保護層の硬度をさらに高くする目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤が好ましく、反応性有機基を有する表面修飾剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る後述する硬化性化合物とも反応して強固な表面保護層を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、ビニル基、アクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
【0032】
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
また、表面修飾剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらの表面修飾剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
(表面修飾p型半導体粒子の作製方法)
表面修飾するに際して、粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部の範囲内、溶媒50〜5000質量部の範囲内を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。また、乾式でも処理することができる。
【0034】
以下に、均一に表面修飾剤で表面修飾する方法について説明する。
【0035】
すなわち、p型半導体粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、p型半導体粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することで均一に表面修飾剤により表面修飾されたp型半導体粒子を得ることができる。
【0036】
本発明において用いられる表面修飾装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、p型半導体の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置である。その構成としては、p型半導体粒子に表面修飾を行う際に、p型半導体粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。
具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0037】
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。
また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0038】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0039】
以上のような湿式処理により、表面修飾剤によって表面修飾されたp型半導体粒子を得ることができる。
【0040】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、重合性化合物を重合して得られる樹脂を含有することが好ましい。
重合性化合物を重合して得られる樹脂としては、硬化性化合物を硬化して得られる硬化性樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。また、硬化性樹脂と、硬化性樹脂以外の樹脂を併用して用いることもできる。
【0041】
本発明に係る表面保護層に使用可能な硬化性化合物としては、ラジカル重合性の化合物が挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体が好ましい。
【0042】
これらの重合性単量体としては、例えば、以下の化合物を例示することができるが、本発明に使用可能な重合性単量体はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【化1】
【0044】
【化2】
上記のラジカル重合性化合物は公知であり、また市販品として入手できる。ここで、Rは下記アクリロイル基、R′は下記メタクリロイル基を表す。
【0045】
【化3】
【0046】
本発明に係る表面保護層には、これらの他に必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子等を含有させて形成してもよい。
【0047】
(重合開始剤)
本発明に係る表面保護層に使用可能な硬化性化合物を硬化反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により硬化反応を行うことができる。
ラジカル重合開始剤を用いて硬化反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
【0048】
本発明で使用できる重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
【0049】
また、光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(イルガキュア369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
【0050】
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0051】
本発明に用いられる重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキシド系化合物が好ましく、さらに好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、又はアシルホスフィンオキシド構造を有する開始剤が好ましい。
【0052】
これらの重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対し0.1〜40質量部の範囲内、好ましくは0.5〜20質量部の範囲内である。
【0053】
(滑剤粒子)
また、表面保護層に各種の滑剤粒子を含有させることも可能である。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
【0054】
(溶媒)
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
(表面保護層の形成)
表面保護層は、バインダー樹脂(ラジカル重合性の硬化性化合物)、及び表面修飾した上記p型半導体粒子、必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。
表面保護層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜6μmの範囲内がより好ましい。
【0056】
本発明では、表面保護層の硬化は、塗布膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化性樹脂を生成することが好ましい。活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使い易さ等の見地から紫外線が特に好ましい。
【0057】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LED等を用いることができる。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cmの範囲内、好ましくは、5〜15mJ/cmの範囲内である。
光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
【0058】
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5〜10Mrad)の範囲内であることが好ましい。
【0059】
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分の範囲内が好ましく、硬化効率又は作業効率の観点から1秒〜5分の範囲内がより好ましいとされる。
【0060】
本発明では、活性線の照射前後、及び、活性線を照射中に表面保護層を乾燥処理することができ、乾燥を行うタイミングは活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。
表面保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や表面保護層の膜厚などにより適宜選択することが可能である。また、乾燥温度は、室温〜180℃の範囲内が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分の範囲内が好ましく、5〜100分の範囲内が特に好ましい。本発明においては、上記乾燥条件で表面保護層を乾燥することにより、表面保護層に含有される溶媒量を20〜75ppmの範囲内に制御することができる。
【0061】
<導電性支持体>
本発明で用いられる支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
【0062】
(中間層)
本発明では、導電性支持体と感光層の中間にバリア機能と接着機能を有する中間層を設けることができる。
中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0063】
また、中間層には、抵抗調整の目的で各種導電性微粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
これら金属酸化物粒子を1種類、又は2種類以上混合して用いることができる。2種類以上混合して用いる場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。
このような金属酸化物粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
【0064】
中間層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物粒子等の無機微粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。
具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
また、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下のような助溶剤を併用することができる好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0065】
塗布液形成時のバインダー樹脂濃度は、中間層の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択することができる。また、無機微粒子等を分散させたとき、バインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機微粒子を20〜400質量部の範囲内とすることが好ましく、50〜200質量部の範囲内とすることがより好ましい。
【0066】
無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、及び、ホモミキサー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
また、中間層の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。
【0068】
中間層の膜厚は、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、0.3〜10μmの範囲内がより好ましい。
【0069】
(感光層)
前述したように、本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。
このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。
負帯電性感光体は、中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は、前記機能分離構造を有する負帯電感光体である。
【0070】
以下に、感光層の具体例として機能分離型の負帯電感光体の感光層の各層について説明する。
【0071】
(電荷発生層)
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有するもので、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
【0072】
電荷発生物質は、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等があり、これらに限定されるものではない。
これらの電荷発生物質は、単独若しくは公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
【0073】
電荷発生層を形成するバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0075】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部の範囲内が好ましく、50〜500質量部の範囲内がより好ましい。
電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが0.01〜5μmの範囲内が好ましく、0.05〜3μmの範囲内がより好ましい。
なお、電荷発生層用の塗布液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成することもできる。
【0078】
(電荷輸送層)
本発明で形成される電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有するものであり、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0079】
電荷輸送物質は、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの化合物を単独又は2種類以上混合して使用することができる。
【0080】
また、電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることが可能で、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂が好ましく、さらに、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等のタイプのポリカーボネート樹脂が耐クラック性、耐磨耗性、帯電特性の観点から好ましいものである。
【0081】
電荷輸送層は、塗布法に代表される公知の方法で形成することが可能であり、例えば、塗布法では、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を一定の膜厚で塗布後、乾燥処理することにより所望の電荷輸送層を形成することができる。
【0082】
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。なお、電荷輸送層形成用の塗布液を作製する際に使用する溶媒は、上記のものに限定されるものではない。
【0083】
バインダー樹脂と電荷輸送物質の混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10〜500質量部の範囲内とすることが好ましく、20〜100質量部の範囲内とすることがより好ましい。
【0084】
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、及び、これらの混合比等により異なるが、5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
【0085】
電荷輸送層中には、公知の酸化防止剤を添加することが可能で、例えば特開2000−305291号公報記載の酸化防止剤が使用できる。
【0086】
(感光体の塗布方法)
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、及び表面保護層等の各層は、公知の塗布方法により形成することができる。
具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。
なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報、特開2005−275373号公報に記載されている。
【0087】
[画像形成装置及び画像形成方法]
本発明の感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができる。また、本発明の感光体は、該画像形成装置を用いた画像形成方法に好適に用いることができる。
以下に、画像形成装置とともに画像形成方法について説明する。
【0088】
本発明の効果を実現する画像形成装置は、(1)少なくとも本発明の表面保護層を有する電子写真感光体、(2)前述した電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、(3)帯電手段により帯電された電子写真感光体表面に像露光を行い潜像形成を行う露光手段、(4)露光手段により形成された潜像を顕像化してトナー画像を形成する現像手段、(5)現像手段により電子写真感光体表面に形成されたトナー画像を用紙等の転写媒体又は転写ベルト上に転写する転写手段、を有するものである。
【0089】
なお、電子写真感光体を帯電させる帯電手段では、非接触帯電装置を用いることが好ましい。非接触帯電装置としては、コロナ帯電装置、コロトロン帯電装置、スコロトロン帯電装置を挙げることができる。
【0090】
図2は、本発明の実施形態の一つを示すカラー画像形成装置の一例を説明する断面構成図である。
【0091】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24と、を有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0092】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0093】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
【0094】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0095】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、又は帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、又はクリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
【0096】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0097】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォック(登録商標)レンズ)とから構成されるもの、又はレーザ光学系などが用いられる。
【0098】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。
また、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0099】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0100】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて、機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
【0101】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0102】
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0103】
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0104】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0105】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、を有する。
【0106】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bと、を有する。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
【0108】
[金属酸化物微粒子の作製]
<SrCu微粒子の作製>
酸化ストロンチウムと酸化銅を混合して、窒素中に酸素が5%以下混入されている雰囲気中で1000℃以上に加熱融解したのち、降温させ、又は融点付近の温度のまま、一般式SrCuで表される微結晶を種結晶上又は基板上に析出、成長させ、SrCu単結晶を得た。その単結晶を、粉砕し、篩がけ(分級)することで、数平均一次粒径が10nm、30nm、100nm、500nm、及び1000nmのSrCuからなる微粒子を得た。
数平均一次粒径の測定法は、上述した方法と同様にして行った。後述する金属酸化物微粒子についても同様である。
【0109】
<MgCu微粒子の作製>
上記SrCu微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化マグネシウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのMgCu微粒子を得た。
【0110】
<CaCu微粒子の作製>
上記SrCu微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化カルシウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのCaCu微粒子を得た。
【0111】
<BaCu微粒子の作製>
上記SrCu微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化バリウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのBaCu微粒子を得た。
【0112】
<CuAlO微粒子の作製>
Al(純度99.9%)とCuO(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径が30nmのCuAlOからなる微粒子を得た。
【0113】
<CuInO微粒子の作製>
In(純度99.9%)とCuO(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径30nmのCuInOからなる微粒子を得た。
【0114】
<CuGaO微粒子の作製>
Ga(純度99.9%)とCuO(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径100nmのCuGaOからなる微粒子を得た。
【0115】
[表面修飾金属酸化物微粒子の作製]
<表面修飾SrCu微粒子の作製>
金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径10nmのSrCu微粒子100質量部、重合性表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」(KBM−503(化合物名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン))30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合した。その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥して、表面修飾SrCu微粒子を作製した。
なお、数平均一次粒径が30nm、100nm、500nm、及び1000nmのSrCu微粒子についても同様にして表面修飾SrCu微粒子を作製した。
【0116】
<表面修飾MgCu微粒子の作製>
上記表面修飾SrCu微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのMgCu微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾MgCu微粒子を作製した。
【0117】
<表面修飾CaCu微粒子の作製>
上記表面修飾SrCu微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのCaCu微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾CaCu微粒子を作製した。
【0118】
<表面修飾BaCu微粒子の作製>
上記表面修飾SrCu微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのBaCu微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾BaCu微粒子を作製した。
【0119】
<表面修飾CuAlO微粒子の作製>
得られたCuAlO微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuAlO微粒子を作製した。
【0120】
<表面修飾CuInO微粒子の作製>
得られたCuInO微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuInO微粒子を作製した。
【0121】
<表面修飾CuGaO微粒子の作製>
得られたCuGaO微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−6」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuGaO微粒子を作製した。
【0122】
<表面修飾CuO微粒子の作製>
上記表面修飾SrCu微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのCuO微粒子(市販品)を使用した以外は、同様にして表面修飾CuO微粒子を調製した。
【0123】
[感光体の作製]
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
(支持体)
直径80mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を用意した。
【0124】
(中間層)
下記組成の分散液を同じ溶媒にて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を調製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3質量部
メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布した。
【0125】
(電荷発生層)
電荷発生物質:Y−TiPh 20質量部
(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0126】
(電荷輸送層)
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 225質量部
バインダー:ポリカーボネートZ(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6質量部
テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−54:信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0127】
(表面保護層)
表面修飾SrCu微粒子(数平均一次粒径10nm) 20質量部
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 15質量部
2−ブタノール 500質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの表面保護層を得た。このようにして「感光体1」を作製した。
【0128】
<感光体2〜10の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子の添加量(質量部)及び数平均一次粒径を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0129】
<感光体11及び12の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾MgCu微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0130】
<感光体13及び14の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CaCu微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0131】
<感光体15及び16の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾BaCu微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0132】
<感光体17の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuAlO微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0133】
<感光体18の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuInO微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0134】
<感光体19の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径100nmの表面修飾CuGaO微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0135】
<感光体20の作製>
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuO微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
【0136】
[評価方法]
各測定条件に従い、各1000枚両面連続でプリントを行った後、初期評価を行い、さらに、同じ条件で各50万枚両面連続でプリント後、耐久試験を実施した。初期試験と耐久試験後に、感光体の電位を測定し、画像ボケ及び画像メモリーの評価を行った。なお、評価は、以下に示した指標に従い実施した。
また、評価機として、基本的に図2の構成を有するコニカミノルタ社製「bizhub PRO C8000」をベースに、プリント速度を120枚/分に改造し、該評価機に各感光体を搭載して、評価を行った。
【0137】
<残留電位>
10℃、20%RH環境で、Bk位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m)王子製紙社製にて濃度指示値255を100枚連続印字した際の1枚目の露光後電位と100枚目の露光後電位の差をΔViとして定義して評価した。
さらに、同条件で50万枚連続印字後の1枚目と100枚目の電位差を評価する。
評価は、ジェンテック社製「CYNTHIA59」を用いて、10℃、15%RH下で測定した。表面電位変動の測定は、有機感光体を130rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cmの条件で、帯電と露光を繰り返して行った。ΔViの評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:耐刷前後とも20V以下
B:耐刷前は20V以下、耐刷後は35V超45V以下
C:耐刷前は20V超40V以下、又は、耐刷前は40V以下かつ耐刷後は35V超
D:耐刷前から40V超
【0138】
<画像ボケ>
初期1000枚、さらに50万枚両面連続でプリントを行う耐久試験(環境条件30℃、80%RH、画像面積比率6%の文字画像をA4横送り)を実施した。耐久試験後、直ちに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ、画出し可能状態になった後、直ちにA3中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3全面の6dot格子画像を印字した。印字画像の状態を観察し以下の評価を行った。
R3:ハーフトーン画像及び格子画像ともに画像ボケ発生なし(良好)
R2:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)
R1:画像ボケによる格子画像の欠損又は線幅の細りが発生(実用上問題あり)
【0139】
<画像メモリー>
前記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴が現れている(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かで判定した。
R3:メモリー発生なし(良好)
R2:軽微なメモリーが視認できる(実用上問題なし)
R1:はっきりしたメモリーが発生(実用上問題あり)
【0140】
【表1】
【0141】
表1に示した結果より、感光体1〜16は、感光体17〜20に比べて、長期の残留電位の上昇を低減でき、高温高湿下における画像ボケや画像メモリーが発生せず、耐久性が良好であることが認められる。
また、感光体1〜3では、従来のCuAlO微粒子よりも少ない添加部数で、上記の効果が得られることが認められる。
【符号の説明】
【0142】
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 無端ベルト状中間転写体
71、72、73、74 ローラー
82L、82R 支持レール
P 転写材
図1
図2