(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
印刷データを受信するたびに、当該印刷データを複数のプリントサーバーの何れかに分配する分配装置、分配された印刷データから印刷ジョブを生成する前記プリントサーバー及びプリントサーバーから印刷ジョブを受け付けて実行する画像形成装置を有する印刷システムであって、
前記プリントサーバーは、印刷ジョブ毎に、何れのプリントサーバーを経由したかを識別する識別子を当該印刷ジョブに付加する識別子付加手段を備え、
前記画像形成装置は、プリントサーバーから受け付けた印刷ジョブ毎に、前記識別子に基づき当該プリントサーバーの異常の有無を判定する異常判定手段を備え、
前記分配装置は、前記異常判定手段によって異常有りと判定されたプリントサーバーを印刷ジョブの分配先から除外する除外手段を備える
ことを特徴とする印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る印刷システム及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]印刷システムの構成
まず、本実施の形態に係る印刷システムの構成について説明する。
図1に示されるように、印刷システム1は、PC等のユーザー端末100、ロードバランサー101、プリントサーバー102及び画像形成装置103をLAN(Local Area Network)104にて相互通信可能に接続したシステムである。このうちユーザー端末100、プリントサーバー102及び画像形成装置103は何れも複数台がLAN104に接続されている。
【0014】
ユーザー端末100にはワードプロセッサー等のアプリケーションソフトウェアがインストールされており、当該ソフトウェアを用いてユーザーは印刷データ(アプリケーションデータ)を作成して、ロードバランサー101へ印刷データを送信することができる。
ロードバランサー101は、ユーザー端末100から印刷データを受信すると、複数台のプリントサーバー102の何れかに当該印刷データを送信する。本実施の形態に係るロードバランサー101は、各プリントサーバーの処理負荷を監視しており、各プリントサーバー102の処理負荷に偏りが生じて処理遅延が大きくなり過ぎないように、転送先のプリントサーバー102を選択する。
【0015】
プリントサーバー102は、ロードバランサーから受信した印刷データを受け付けると、印刷ジョブを作成して、画像形成装置103に送信する。画像形成装置103は、プリントサーバー102から受信した印刷ジョブを実行する。
[2]印刷システム1の動作シーケンス
次に、印刷システム1の動作シーケンスについて説明する。
【0016】
図2は、印刷システム1の動作を示すシーケンス図である。
図2に示されるように、ユーザー端末100がロードバランサー101へ印刷データを送信すると、ロードバランサー101は当該印刷データの分配先とするプリントサーバー102を選択して、当該プリントサーバー102へ当該印刷データを送信する。
プリントサーバー102は、ロードバランサー101から受信した印刷データから印刷ジョブを生成して、画像形成装置103へ送信する。画像形成装置103は、プリントサーバー102から受信した印刷ジョブを実行する。
【0017】
また、画像形成装置103は、印刷ジョブ毎にプリントサーバー102のアプリケーションレベルのエラー検出を行う。エラーが検出された場合には、画像形成装置103はロードバランサー101にエラー通知を送信する。
ロードバランサー101は、画像形成装置103からエラー通知を受信すると、エラーを検出されたプリントサーバー102を記録しておき、その後、ユーザー端末100から受信した印刷データの送信先から除外する。
【0018】
このようにすれば、プリントサーバー102においてアプリケーションレベルのエラーが発生しても、その後、当該プリントサーバー102には印刷データが送信されないので、印刷システム1の正常運用を継続することができる。
[3]ユーザー端末100の構成と動作
次に、ユーザー端末100の構成と動作について詳しく説明する。
【0019】
(3−1)ユーザー端末100の構成
図3に示されるように、ユーザー端末100は、印刷データ作成部301と印刷データ送信部302とを備えている。印刷データ作成部301は、ユーザー端末100におけるユーザー操作に従って、アプリケーションソフトウェアによって印刷データを作成する。印刷データ送信部302は、ユーザー操作に従って、印刷データ作成部301が作成した印刷データをロードバランサー101へ送信する。
【0020】
ユーザー端末100としては、例えば、PCを用いることができるが、PC以外の装置をユーザー端末100として用いても良い。
(3−2)ユーザー端末100の動作
図4は、ユーザー端末100の主要な動作を示すフローチャートである。
図4に示されるように、ユーザー端末100は、印刷データを作成し(S401)、印刷データの作成を完了したら(S402:YES)、当該印刷データをロードバランサー101へ送信して(S403)、処理を終了する。
【0021】
[4]ロードバランサー101の構成と動作
次に、ロードバランサー101の構成と動作について説明する。
(4−1)ロードバランサー101の構成
図5に示されるように、ロードバランサー101は、印刷データ受信部501、印刷データ送信部502、エラー記録部503、エラー通知受信部504及び記録抹消部505を備えている。印刷データ受信部501は、ユーザー端末100から印刷データを受信する。印刷データ送信部502は、ユーザー端末100から受信した印刷データをプリントサーバー102へ送信する。
【0022】
印刷データを何れのプリントサーバー102へ送信するかについては、印刷データ送信部502は、エラー記録部503を参照して選択する。エラー記録部503は、何れのプリントサーバー102について画像形成装置103からエラー通知受信部504がエラー通知を受信したかが記録されている。
図6は、エラー記録部503の記録内容を例示する表である。
【0023】
エラー通知受信部504が受信するエラー通知には、エラー検出されたプリントサーバー102のサーバーID(Identification)が付与されており、エラー記録部503は、サーバーID毎にエラー通知の受信の有無を記録している。
図6においては、エラー通知受信部504がエラー通知を受信したプリントサーバー102には「error」印が記録され、受信しなかったプリントサーバー102には「ok」印が記録されている。
【0024】
印刷データ送信部502は、所謂ラウンドロビン方式に従って、印刷データを送信すべきプリントサーバー102をサーバーIDの順に選択する。この場合に印刷データ送信部502は、エラー記録部503を参照して、前回、印刷データの送信先となったプリントサーバー102のサーバーIDの次のサーバーIDについてエラー通知の有無を確認する。
【0025】
当該次のサーバーIDについてエラー通知を受信したと記録されている場合には、当該次のサーバーIDを除外して、更に次のサーバーIDについてエラー通知の有無を確認する。このような処理を繰り返して、エラー通知の受信が記録されていないサーバーIDが発見されると、印刷データ送信部502は当該サーバーIDのプリントサーバー102へ印刷データを送信する。
【0026】
記録抹消部505は、エラー通知されたプリントサーバー102がエラーから正常復帰したことが確認された場合に、その旨をエラー記録部503に通知する。当該通知を受けると、エラー記録部503は、当該プリントサーバー102のサーバーIDについてエラー通知を受信した旨の記録を抹消する。このようにすれば、正常復帰が確認されたプリントサーバー102は、印刷データ送信部502の送信先候補に復帰する。
【0027】
(4−2)ロードバランサー101の動作
図7は、ロードバランサー101の主要な動作を示すフローチャートである。
図7に示されるように、ロードバランサー101の印刷データ受信部501がユーザー端末100から印刷データを受信すると(S701:YES)、印刷データ送信部502はエラー記録部503を参照し(S702)、エラー通知されていないプリントサーバー102を選択する(S703)。そして、選択したプリントサーバー102に当該印刷データを送信する(S704)。
【0028】
エラー通知受信部504は、画像形成装置104からエラー通知を受信すると(S711:YES)、エラー通知に付加されているサーバーIDをエラー記録部503に通知する。エラー記録部503は、当該サーバーIDを付加されたエラー通知があった旨を記録する。
記録抹消部505は、エラー通知があったプリントサーバー102について正常復帰が確認されたら(S721:YES)、その旨をエラー記録部503通知する。通知を受けたエラー記録部503はエラー記録を抹消する(S722)。
【0029】
[5]プリントサーバー102の構成と動作
次に、プリントサーバー102の構成と動作について説明する。
(5−1)プリントサーバー102の構成
図8に示されるように、プリントサーバー102は、印刷データ受信部801、印刷ジョブ作成部802、開始時刻取得部803、識別子付加部804及び印刷ジョブ送信部805を備えている。印刷データ受信部801は、ロードバランサー102から印刷データを受信する。
【0030】
印刷ジョブ作成部802は、受信した印刷データからページ記述言語(PDL: Page Description Language)で記述された印刷ジョブを作成する。なお、印刷ジョブ作成部802は、印刷ジョブの作成に先立って、開始時刻取得部803から現在時刻を取得し、印刷ジョブ作成開始時刻として当該印刷ジョブに付加する。この印刷ジョブ作成開始時刻は、印刷ジョブ作成部802が印刷ジョブを作成するのに要した時間を算出するために用いられる。
【0031】
識別子付加部804は、印刷ジョブ作成部802が作成した印刷ジョブに当該プリントサーバー102のサーバーIDを付加する。このサーバーIDは、当該印刷ジョブについてアプリケーションレベルのエラーが検出された際に、エラー通知に付加される。
印刷ジョブ送信部805は、サーバーIDを付加された印刷ジョブを画像形成装置103へ送信する。
【0032】
(5−2)プリントサーバー102の動作
図9は、プリントサーバー102の主要な動作を示すフローチャートである。
図9に示されるように、プリントサーバー102の印刷データ受信部801にて印刷データを受信すると(S901:YES)、開始時刻取得部803にて現在時刻を取得する(S902)。次に、印刷ジョブ作成部802は、印刷データ受信部801が受信した印刷データから印刷ジョブを作成し(S903)、現在時刻を印刷ジョブ作成開始時刻として付加する(S904)。
【0033】
更に、識別子付加部804が、当該印刷ジョブに当該プリントサーバー102のサーバーIDを付加すると(S905)、印刷ジョブ送信部805が当該印刷ジョブを画像形成装置103へ送信する(S906)。
[6]画像形成装置103の構成と動作
次に、画像形成装置103の構成と動作について説明する。
【0034】
(6−1)画像形成装置103の構成
図10に示されるように、画像形成装置103は、印刷ジョブ受信部1001、ジョブ実行部1002、受信時刻取得部1003、ジョブ履歴記録部1004、エラー検出部1005、操作パネル部1006、処理時間記録部1007及びエラー通知部1008を備えている。
【0035】
印刷ジョブ受信部1001は、プリントサーバー102から印刷ジョブを受信する。ジョブ実行部1002は、受信した印刷ジョブに従って画像形成装置103各部を起動すると共に印刷ジョブの終了(正常終了、異常終了とも)を管理する。ジョブ履歴記録部1004は、印刷ジョブが終了するたびに当該印刷ジョブのジョブ履歴として、当該印刷ジョブの内容や終了のしかた、当該印刷ジョブを作成したプリントサーバー102のサーバーID等を記録する。
【0036】
受信時刻取得部1003は、印刷ジョブ受信部1001が印刷ジョブを受信するたびに、印刷ジョブ受信時刻として現在時刻をエラー検出部1004に通知する。エラー検出部1005は印刷ジョブ毎にプリントサーバー102のアプリケーションレベルのエラーを検出する。処理時間記録部1007は、プリントサーバー102の印刷ジョブ作成開始時刻と印刷ジョブ受信時刻との時間差(以下、「処理時間」という。)をプリントサーバー102毎に記録する。
【0037】
操作パネル部1006は、所謂タッチパネルとハードキーを有しており、ユーザーに対する情報提示やユーザーによる指示入力の受け付けを行う。
図11は、操作パネル部1006が表示する履歴リストを例示する図である。
図11に示されるように、操作パネル部1006は、「履歴リスト」ボタン1101を押すことによって、印刷ジョブの実行履歴を一覧する履歴リスト1100を表示する。
【0038】
また、履歴リスト1100中の印刷ジョブ毎の「通知」ボタン1102をユーザーが押すと、当該印刷ジョブを作成したプリントサーバーのサーバーIDをロードバランサー101に通知するエラー通知をエラー通知部1008が送信する。
(6−2)画像形成装置103の動作
図12は、画像形成装置103の主要な動作を示すフローチャートである。
図12に示されるように、画像形成装置103は、印刷ジョブ受信部1001にて印刷ジョブを受信すると(S1201:YES)、受信時刻取得部1003により現在時刻を印刷ジョブ受信時刻として取得すると共に(S1202)、ジョブ実行部1002にて印刷ジョブの実行を開始する(S1203)。
【0039】
次に、エラー検出部1004は、受信時刻取得部1003にて取得した印刷ジョブ受信時刻と印刷ジョブに付加されている印刷ジョブ作成開始時刻との時間差(処理時間)Tを算出する(S1204)。
次に、エラー検出部1004は、処理時間記録部1005から当該印刷ジョブに係るプリントサーバー102とは異なるプリントサーバー102の過去の処理時間を読み出して、平均値μと標準偏差σとを求め、次式を用いて上限時間Uを算出する。
【0040】
【数1】
正常な処理時間が正規分布に従う場合には、正常な処理時間の99%以上は、
【0041】
【数2】
の範囲内にあるので、上限時間Uを超える処理時間Tは異常に長過ぎると判断される。
図12は、処理時間記録部1005が記録するプリントサーバー102毎の過去の処理時間を例示する表である。
【0042】
新たに算出した処理時間Tが上限時間U以下である場合には(S1205:YES)、新たに算出した処理時間Tは正常の範囲内であると考えて、新たに算出した処理時間Tを処理時間記録部1005に記録する(S1206)。
新たに算出した処理時間Tが上限時間Uよりも長い場合には(S1205:NO)、当該プリントサーバー102における処理時間が長過ぎると考えて、当該印刷ジョブに付加されたサーバーIDをエラー通知部1006によってロードバランサー101にエラー通知を送信する(S1206)。
【0043】
このようにすれば、エラーが検出されたプリントサーバー102が、ロードバランサー101による印刷データの分配先から速やかに除外されるので、その後におけるエラーの再発を防止して、印刷システム1の正常運用を維持することができる。
その後、正常終了であれ、異常終了であれ印刷ジョブが終了したことをジョブ実行部1002が確認すると(S1211:YES)、ジョブ履歴記録部1004は当該印刷ジョブのジョブ履歴を記録する(S1212)。
【0044】
また、操作パネル部1006は、表示画面において「履歴リスト」ボタン1101が押されると(S1221:YES)、履歴リスト1100を表示する(S1222)。
更に、履歴リスト1100において何れかの「通知」ボタン1102が押されると(S1231:YES)、当該「通知」ボタン1102に対応する印刷ジョブを作成したプリントサーバー102のサーバーIDを通知するエラー通知をロードバランサー101へエラー通知部1008が送信する(S1232)。これによっても、エラーが検出されたプリントサーバー102が、その後の印刷データの分配先から速やかに除外されるので、印刷システム1の正常運用を維持できる。
【0045】
[7]動作例
次に、印刷システム1の動作例を示す。
(7−1)正常動作例
まず、印刷ジョブの送信動作例を示す。
図13に示されるように、ユーザー1300は、ユーザー端末100を操作して印刷データを作成すると、当該印刷データをロードバランサー101へ送信する。ロードバランサー101が印刷データの送信先とするプリントサーバー102にはA〜Cの3台あり、本例においては、ロードバランサー101はプリントサーバー102Cへ印刷データを送信する。
【0046】
印刷データを受信したプリントサーバー102Cは、当該印刷データから印刷ジョブ1301を作成し、自己のサーバーIDと印刷ジョブ1301の作成開始時刻とを印刷ジョブ1301に付加して、画像形成装置103へ送信する。
画像形成装置103は、プリントサーバー102Cから印刷ジョブ1301を受信すると、印刷ジョブ1301を実行し、印刷物1302を出力する。
【0047】
この場合において、プリントサーバー102Cの異常が検出されなければ、そのまま処理を終了する。
(7−2)画像形成装置103による異常検出時の動作例
次に、画像形成装置103による異常検出時の動作例について説明する。
図14に示されるように、プリントサーバー102Cが自己のサーバーIDと印刷ジョブ1301の作成開始時刻とを付加した印刷ジョブ1301を受信すると、画像形成装置103は、上述のように、印刷ジョブ1301の受信時刻と作成開始時刻との時間差(処理時間T)を算出する。
【0048】
次に、処理時間記録部1005記録されたプリントサーバー102A、102Bの処理時間から算出される上限時間Uよりも今回の処理時間Tが長い場合には、プリントサーバー102Cの処理時間Tだけがかなり遅く、プリントサーバー102Cの動作がおかしいと判断されるので、画像形成装置103はロードバランサー101へエラー通知を送信する。
【0049】
このエラー通知には、プリントサーバー102CのサーバーIDが付加されている。当該エラー通知を受信すると、ロードバランサー101は、以後、ユーザー端末100から受信した印刷データの送信先からプリントサーバー102Cを除外する。
このように、画像形成装置103から処理時間Tに基づいて動作に異常を来していると判定されたプリントサーバー102Cには、ロードバランサー101から印刷データが送信されなくなるので、印刷システム1の正常運用を継続することができる。
【0050】
また、画像形成装置103から、プリントサーバー102Cを経由することなく、直接、ロードバランサー101にエラー通知が送信されるので、プリントサーバー102Cの動作異常に影響されることなく、エラー通知を送信することができる。この意味においても、印刷システム1の耐故障性能を向上させることができる。
(7−3)ユーザー1300による異常検出時の動作例
次に、ユーザー1300による異常検出時の動作例について説明する。
【0051】
図15に示されるように、プリントサーバー102Cが自己のサーバーIDと印刷ジョブ1301の作成開始時刻とを付加した印刷ジョブ1301を受信すると、画像形成装置103は、上述のように、印刷ジョブ1301を実行して、印刷物1302を出力する。
ユーザー1300は、出力された印刷物1302を確認して、所期の印刷条件(カラー/モノクロ、ページ数など)とは異なる印刷条件で印刷されている場合には、操作パネルにて履歴リストを参照し、異常を確認した印刷ジョブの「通知」ボタン1102を押す。
【0052】
このような異常としては、例えば、印刷システム1の管理者が、ランニングコストの低減を目的として、常にモノクロ出力するようにプリントサーバー102Cに設定すべきところ、管理者の人為的なミスによって、設定誤りが生じてカラー印刷されるような場合が想定される。かかる場合には、プリントサーバー102C自体は正常状態にあり、処理時間Tが長くなることもないため、画像形成装置103が機械的に異常検知することは難しく、ユーザーに異常検出を任せるのが効果的である。
【0053】
このようなユーザー操作によって、画像形成装置103が、ロードバランサー101へプリントサーバー102CのサーバーIDを付加したエラー通知を送信すると、ロードバランサー101は、以後、ユーザー端末100から受信した印刷データの送信先からプリントサーバー102Cを除外する。
このようにしても、異常検出されたプリントサーバー102Cには印刷データが送信されなくなるので、印刷システム1の正常運用を継続することができる。また、印刷システム1の管理者の作業を経ることなく、プリントサーバー102Cが直ちにロードバランサー101の送信先から除外されるので、迅速に印刷システム1の動作を正常復帰させることができる。
【0054】
[8]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)上記実施の形態においては、FCOT(First Copy Out Time)を短縮することを目的として、処理時間Tの長短の判定処理に先立って、印刷ジョブの実行を開始しているが、本発明がこれに限定されないのは言うまでも無く、処理時間Tの長短から異常が検出されなかった場合にのみ印刷ジョブを実行しても良い。
【0055】
プリントサーバー102に異常が発生している場合には、印刷ジョブが正常に作成されておらず、当該印刷ジョブを実行すると画像形成装置103が異常動作するおそれがあるが、異常が検出されなかった場合にのみ印刷ジョブを実行すれば、そのような画像形成装置103の異常動作を回避することができる。
(2)上記実施の形態においては、ロードバランサー101やプリントサーバー102が実マシンである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、ロードバランサー101やプリントサーバー102を仮想マシン(Virtual Machine)としてもよい。
【0056】
また、ロードバランサー101やプリントサーバー102は、ユーザーが利用するLAN104に接続されていなくてもよい。すなわち、ロードバランサー101やプリントサーバー102をクラウドサービスとしてユーザーに利用させても本発明の効果は同じである。
また、印刷システム1が使用する通信ネットワークは有線であっても無線であっても良い。ユーザー端末100もまたPCには限定されず、スマートフォンやタブレット端末といった汎用端末や専用のDTP(Desktop Publishing)マシン等、印刷データを作成して、ロードバランサー101に送信することができる装置であればよい。印刷システム1を構成するユーザー端末や通信ネットワークの種類の如何に関わらず、本発明は効果を奏することができる。
【0057】
(3)上記実施の形態においては、ロードバランサー101の印刷データ送信部502が所謂ラウンドロビン方式に従って印刷データを送信すべきプリントサーバー102を選択する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、他の方式に従って送信先のプリントサーバー102を選択しても良い。
例えば、プリントサーバー102の処理負荷をそれぞれ監視しておき、最も処理負荷の軽いプリントサーバー102を印刷データの送信先としても良い。本発明は、送信先の選択方式の如何に関わらず、その効果を奏することができる。
【0058】
(4)上記実施の形態においては、特に言及しなかったが、エラー通知を送信する際に必要となるロードバランサー101の通信アドレスは、予め画像形成装置103に設定されていても良い。
また、印刷システム1に複数のロードバランサー101が含まれているような場合には、異常が検出されたプリントサーバー102のサーバーIDをすべてのロードバランサー101にエラー通知しても良い。そして、当該プリントサーバー101を配下とするロードバランサー101のみが当該プリントサーバー101を送信先から除外し、他のロードバランサー101は当該エラー通知を単に破棄するとしてもよい。
【0059】
また、プリントサーバー102が当該プリントサーバー102を配下とするロードバランサー101の通信アドレスを印刷ジョブに付加しても良い。このようにすれば、当該ロードバランサー101にのみエラー通知することができるので、マルチキャストやブロードキャストによってすべてのロードバランサー101にエラー通知する場合と比較して、LAN104の通信負荷や当該プリントサーバー102を配下としないロードバランサー101の処理負荷を低減することができる。
【0060】
(5)上記実施の形態においては、プリントサーバー102が印刷ジョブの作成を開始してから、画像形成装置103が当該印刷ジョブを受信するまでの時間を処理時間Tとして異常検出を行う場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
例えば、プリントサーバー102が印刷ジョブの作成を開始してから完了するまでの時間を処理時間Tとし、印刷ジョブ作成開始時刻に代えて当該処理時間Tを印刷ジョブに付与しても良い。
【0061】
このようにすれば、プリントサーバー102自体には異常が発生していないにもかかわらず、プリントサーバー102から画像形成装置103に至る通信経路の輻輳等の影響によって、印刷ジョブの受信が遅れたために処理時間Tが長くなった結果、当該プリントサーバー102がロードバランサー101の送信先から除外されるといった事態を回避することができる。従って、より多くのプリントサーバー102を稼働させ続けることができるので、印刷システム全体の処理効率を高い状態に維持することができる。
【0062】
(6)上記実施の形態においては、プリントサーバー102による印刷ジョブ作成開始時刻から画像形成装置103による印刷ジョブ受信時刻までの処理時間Tが、他のプリントサーバー102による処理時間Tの平均値μと標準偏差σから算出される上限時間Uより長いか否かによって、プリントサーバー102の異常の有無を判定したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、上限時間Uは、ユーザーや印刷システム1の管理者が設定した値であっても良いし、他の方法によって決定しても良い。
【0063】
また、画像形成装置103は、処理時間T以外のデータを用いて、プリントサーバー102の異常の有無を判定しても良い。画像形成装置103によるプリントサーバー102の異常判定の方法の如何に関わらず、本発明の効果は同じである。
(7)上記実施の形態においては、プリントサーバー102のサーバーIDや印刷ジョブ作成開始時刻を印刷ジョブに付加する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、印刷ジョブ以外のジョブに対してサーバーIDや当該ジョブの作成開始時刻を付与しても良い。
【0064】
また、プリントサーバー102以外のサーバー装置を用いてもよく、当該サーバー装置が画像形成装置103以外の周辺装置に対して送信するジョブに、当該サーバー装置のサーバーIDや当該ジョブの作成開始時刻を付与してもよい。そして、前記周辺装置が、エラー検出時に当該ジョブを作成したサーバー装置のサーバーIDをロードバランサー101にエラー通知して、ロードバランサー101によるジョブの送信先から当該サーバー装置を除外させれば、同様の効果を得ることができる。
【0065】
(8)上記実施の形態においては、画像形成装置103からロードバランサー101に対してLAN104を経由してエラー通知を行うことによって、異常が検出されたプリントサーバー102をロードバランサー101の送信先から除外する場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、画像形成装置103がLAN104を経由して、印刷システム1の管理者にエラー通知を送信することによって、当該管理者にロードバランサー101の送信先を設定変更させても良い。
【0066】
ロードバランサー101の送信先から多数のプリントサーバー102が除外される等すると印刷システム1全体の処理効率が低下するおそれがある場合には、異常を検出されたプリントサーバー102を当該送信先から除外するよりも、当該プリントサーバー102の正常復帰を急いだ方が良い場合があるからである。
そのような観点から言えば、ロードバランサー101の送信先となるプリントサーバー102の台数が予め設定された基準台数まで減少したら、ロードバランサー101から印刷システム1の管理者に通知を行うとしても良い。
【0067】
(9)上記実施の形態においては、プリントサーバー102によって印刷ジョブに付加されるサーバーIDと、画像形成装置103によってエラー通知に付加されるサーバーIDと、が共通である場合について説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、両者が異なっていても本発明の効果は同じである。ただし、共通のサーバーIDを用いる場合には、印刷システム全体に亘るシステム設計の一貫性を実現することができるので、システム設計のミスやプログラミングのミスを低減することができる。
【0068】
(10)上記実施の形態においては、特に言及しなかったが、画像形成装置103は、カラープリンターであっても良いし、モノクロプリンターであっても良い。また、スキャナー機能を備えた複写装置であっても良いし、更に、ファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置であっても良い。また、これらの機能を兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であっても本発明の効果は同じである。