特許第6048510号(P6048510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048510吸気温センサの異常診断装置及び異常診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048510
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】吸気温センサの異常診断装置及び異常診断方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20161212BHJP
   F02B 33/00 20060101ALI20161212BHJP
   F02B 33/34 20060101ALI20161212BHJP
   F02B 39/16 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F02D45/00 360F
   F02B33/00 D
   F02B33/34
   F02B39/16 F
   F02B39/16 H
   F02D45/00 360J
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-544423(P2014-544423)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2013078161
(87)【国際公開番号】WO2014069243
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-243659(P2012-243659)
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100148231
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100185487
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】久保田 充彦
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−104943(JP,A)
【文献】 特開2000−282930(JP,A)
【文献】 特開平06−346778(JP,A)
【文献】 特開平10−153125(JP,A)
【文献】 特開2010−203291(JP,A)
【文献】 特開2013−24121(JP,A)
【文献】 特開2015−31167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
F02B 33/00
F02B 33/34
F02B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路に設けられ内燃機関の出力により駆動される過給機と、前記吸気通路の前記過給機の上流側と下流側とを連通する連通路と、前記連通路を開閉する開閉弁と、前記吸気通路の前記過給機の下流側の吸気温を検出する下流側吸気温センサとを備え、前記吸気通路の前記下流側吸気温センサの上流側には吸気を冷却する冷却装置を有さない前記内燃機関に適用され、前記下流側吸気温センサの異常診断を行う異常診断装置であって、
前記内燃機関の運転状態が所定のシリンダ充填効率以下の負荷かつ所定の回転速度以下の回転速度である低負荷低回転領域であって、前記下流側吸気温センサの検出値が所定の温度以上である場合に、前記下流側吸気温センサが異常であると診断する異常診断部と、
前記内燃機関の運転状態が前記所定のシリンダ充填効率を超える負荷又は前記所定の回転速度を超える回転になった場合は、以後前記内燃機関の運転が終わるまでの前記異常診断を禁止する異常診断禁止部と、
を備える吸気温センサの異常診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気温センサの異常診断装置であって、
前記低負荷低回転領域で取り得る最高の過給機の下流側の吸気温を推定する推定部を備え、
前記所定の温度は前記推定部により推定された推定最高過給機下流温度である吸気温センサの異常診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸気温センサの異常診断装置であって、
前記内燃機関は、前記吸気通路の前記過給機の上流側の吸気温を検出する上流側吸気温センサを備え、
前記異常診断禁止部は、前記内燃機関始動時の前記上流側吸気温センサの検出値と前記下流側吸気温センサの検出値との差が診断許可閾値以下でない場合は、前記異常診断を禁止する吸気温センサの異常診断装置。
【請求項4】
吸気通路に設けられ内燃機関の出力により駆動される過給機と、前記吸気通路の前記過給機の上流側と下流側とを連通する連通路と、前記連通路を開閉する開閉弁と、前記吸気通路の前記過給機の下流側の吸気温を検出する下流側吸気温センサとを備え、前記吸気通路の前記下流側吸気温センサの上流側には吸気を冷却する冷却装置を有さない前記内燃機関に適用され、前記下流側吸気温センサの異常診断を行う異常診断方法であって、
前記内燃機関の運転状態が所定のシリンダ充填効率以下の負荷かつ所定の回転速度以下の回転速度である低負荷低回転領域であって、前記下流側吸気温センサの検出値が所定の温度以上である場合に、前記下流側吸気温センサが異常であると診断し、
前記内燃機関の運転状態が前記所定のシリンダ充填効率を超える負荷又は前記所定の回転速度を超える回転になった場合は、以後前記内燃機関の運転が終わるまでの前記異常診断を禁止する吸気温センサの異常診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路に設けられた吸気温センサの異常診断に関する。
【背景技術】
【0002】
JP2010−138796Aは、ターボチャージャ付き内燃機関において、ターボチャージャの上流側吸気通路及び下流側吸気通路にそれぞれ設けられた、2つの吸気温センサの異常の有無を診断する異常診断装置を開示している。
【0003】
当該異常診断装置では、異常診断の診断精度を確保するため、過給圧が所定圧力未満の状態が所定期間継続され、下流側吸気温の低下が収まり下流側吸気温センサの検出値が安定した状態で吸気温センサの異常診断を行っている。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記異常診断の方法を、スーパーチャージャと、スーパーチャージャをバイパスする通路を備え、スーパーチャージャと下流側吸気温センサの間にインタークーラを有さない内燃機関に適用すると、誤診断するという問題があった。
【0005】
これは、スーパーチャージャを通過して温度上昇した吸気が、バイパス通路によってスーパーチャージャの上流側に還流するので、過給圧が低下した後でも下流側吸気温が安定して低下しない又は上昇することがあるからである。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、スーパーチャージャ付き内燃機関において、診断精度を確保しつつ吸気温センサの異常診断を可能とする吸気温センサの異常診断装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のある態様によれば、吸気通路に設けられ内燃機関出力により駆動される過給機と、前記過給機の上流側と下流側とを連通する連通路と、前記連通路を開閉する開閉弁と、前記過給機の下流側の吸気温を検出する下流側吸気温センサとを備え、前記下流側吸気温センサの上流側に吸気を冷却する装置を有さない前記内燃機関に適用される吸気温センサの異常診断装置が提供される。
【0008】
前記異常診断装置は、前記内燃機関の運転状態が所定のシリンダ充填効率以下の負荷かつ所定の回転速度以下の回転速度である低負荷低回転領域であって、前記下流側吸気温センサの検出値が所定の温度以上である場合に、前記下流側吸気温センサが異常であると診断する。
【0009】
また、前記異常診断装置は、前記内燃機関の運転状態が前記所定のシリンダ充填効率を超える負荷又は前記所定の回転速度を超える回転になった場合は、以後前記内燃機関の運転が終わるまでの異常診断を禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明を適用するエンジンの概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態による吸気温センサの異常診断手順を示すフローチャートである。
図3図3は、シリンダ充填効率を示す特性マップである。
図4図4は、過給機下流温度を示す特性マップである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るガソリンエンジンの概略構成を示している。エンジン1には、吸気を各気筒に導く吸気通路2と、各気筒からの排気を排出する排気通路3とが接続されている。また、燃料噴射インジェクタ4、点火プラグ5等を備えている。
【0013】
エンジン1の吸気通路2には、上流側から順に、エアクリーナ6、上流側吸気温センサ7、エンジン1の出力により駆動され吸気を過給するスーパーチャージャ8、吸気をスーパーチャージャ8の下流側から上流側へ還流するバイパス通路9、バイパス通路9を開閉するエアバイパスバルブ10、下流側吸気温センサ11、スロットルバルブ12、吸気を冷却するインタークーラ13等が配設されている。エンジン1の排気通路3には、上流側から順に、O2センサ14、三元触媒15等が配設されている。
【0014】
エアバイパスバルブ10は、スーパーチャージャ8の過給圧をコントロールするバルブである。例えば、過給圧が所定の上限圧に達した場合に、それ以上過給圧が上がらないように開弁して過給圧を解放する。また、エンジン1の運転状態に応じて過給をしない場合に、開弁して過給圧を解放する。
【0015】
エアバイパスバルブ10が開弁している状態では、バイパス通路9を通り吸気通路2のスーパーチャージャ8の下流側から上流側へ過給された吸気が還流する。したがって、エアバイパスバルブ10が開弁した後は、過給圧が上昇しない又は低下することとなる。
【0016】
コントロールユニット16は、エンジン1の各種制御を実施する。コントロールユニット16には、スロットル開度センサ17、外気温センサ18、燃料温度センサ19、クランク角センサ20等からの検出信号、バッテリ電圧21等が入力される。
【0017】
コントロールユニット16は、各種センサからの検出信号等に基づき種々の制御プログラムを実行することで、エンジン1の運転状態に応じて点火プラグ5への放電時期(点火時期)、燃料噴射インジェクタ4の燃料噴射量、燃料噴射時期等を制御したり、スロットルバルブ12、エアバイパスバルブ10の開度を制御したりする。
【0018】
また、本実施形態において、コントロールユニット16は、上流側吸気温センサ7と下流側吸気温センサ11とを対象として異常診断処理を実施する。これは、上記のように各種センサの検出信号等に基づきエンジン1の運転状態に応じて制御を実施する構成であるので、2つの吸気温センサが正常に機能していることを確認することが重要だからである。
【0019】
本実施形態では、診断精度を確保しつつ吸気温センサの異常診断を可能とするべく、図2のフローチャートに示される手順で異常診断を実施している。以下、これを参照しながら吸気温センサの異常診断の内容について説明する。
【0020】
本演算ルーチンは繰り返し実施される。例えば100ms毎である。
【0021】
S1では、コントロールユニット16は、エンジン1始動時の吸気温度が安定しているか否かを判定している。吸気温度が安定している状態とは、過給機上流温度と過給機下流温度との差が、実験等により予め定められた診断許可閾値以下になっている状態である。過給機上流温度とは、上流側吸気温センサ7の検出値である。また、過給機下流温度とは、下流側吸気温センサ11の検出値である。
【0022】
エンジン1の前回運転時の影響により吸気通路2、スーパーチャージャ8等が高温になっている場合は、吸気が吸気通路2を通る間に温度上昇するので、エンジン1始動時の上記温度差が大きくなる。吸気温センサの異常診断は、例えば、外気温センサ18の検出値や所定の閾値と、吸気温センサの検出値とを比較することで行うので、上記温度差が大きい場合に異常診断をすると誤診断することが考えられる。したがって、例えば、実験により求めた異常診断をすると誤診断する上記温度差を、上記診断許可閾値として設定することで誤診断することを防止できる。
【0023】
コントロールユニット16は、エンジン1始動時の過給機上流温度と過給機下流温度との差が診断許可閾値以下の場合は、吸気温が安定していると判定し、次の工程へ処理を移行する(S1:YES)。エンジン1始動時の過給機上流温度と過給機下流温度との差が診断許可閾値より大きい場合は、以後の異常診断を禁止し、異常診断ルーチンを終了する(S1:NO)。
【0024】
S2では、コントロールユニット16は、エンジン1の運転状態が診断許可領域を外れていないか否かを判定している。診断許可領域とは、エンジン1の運転状態が低負荷低回転の領域である。
【0025】
エンジン1の運転状態が低負荷領域よりも高負荷になった場合は、以後その運転(トリップ)が終わるまでの異常診断を禁止し、異常診断ルーチンを終了する(S2:NO)。エンジン1の運転状態が低負荷領域よりも高負荷の状態とは、エンジン1のシリンダ充填効率が上限シリンダ充填効率を超えた状態である。
【0026】
シリンダ充填効率は、実験により予め測定した図3の特性マップを参照し、スロットルバルブ開度とエンジン回転速度に基づいて算出する。また、上限シリンダ充填効率とは、エンジン1の構成や走行条件等を考慮し、実験等により予め決められたシリンダ充填効率である。例えば、実験により求めた異常診断をすると誤診断するエンジン1の運転状態に基づいて上限シリンダ充填効率を設定することで誤診断することを防止できる。
【0027】
また、エンジン1の運転状態が低回転領域よりも高回転になった場合も、以後その運転(トリップ)が終わるまでの異常診断を禁止し、異常診断ルーチンを終了する(S2:NO)。エンジン1の運転状態が低回転領域よりも高回転の状態とは、エンジン1の回転速度が上限エンジン回転速度を超えた状態である。エンジン1の回転速度は、クランク角センサ20の検出値に基づいて算出する。
【0028】
上限エンジン回転速度とは、エンジン1の構成や走行条件等を考慮し、実験等により予め決められたエンジン回転速度である。例えば、実験により求めた異常診断をすると誤診断するエンジン1の運転状態に基づいて上限エンジン回転速度を設定することで誤診断することを防止できる。
【0029】
コントロールユニット16は、エンジン1の運転状態が高負荷又は高回転になっていない場合は、次の工程へ処理を移行する(S2:YES)。
【0030】
S3では、コントロールユニット16は、異常診断を許可するか否かを判定している。
【0031】
コントロールユニット16は、バッテリ電圧21が安定バッテリ電圧以上かつスロットル開度センサ17の電圧が断線判定電圧以下かつスロットル開度センサ17の電圧がショート判定電圧以上の場合は、次の工程へ処理を移行する(S3:YES)。
【0032】
上記の三条件のうちいずれか一つ以上の条件が不成立の場合は、以後の異常診断を禁止し、異常診断ルーチンを終了する(S3:NO)。
【0033】
バッテリ電圧21の条件は、バッテリ電圧21が低くなるとエアバイパスバルブ10等のエンジン補機類が正常に動作しなくなるので、診断許可の条件として設定されている。また、スロットル開度センサ17の条件は、スロットル開度センサ17が断線又はショートしているとエンジン1の運転状態が変化してしまうので診断許可の条件として設定されている。
【0034】
S4では、コントロールユニット16は、推定最高過給機下流温度を算出している。
【0035】
推定最高過給機下流温度は、過給機上流温度から標準過給機上流温度を減じた値と、最高過給機下流温度との和で求められる。
【0036】
標準過給機上流温度とは、実験により予め測定した図4の特性マップの、測定時の過給機上流温度である。最高過給機下流温度は、図4の特性マップを参照し、上限エンジン回転速度と上限シリンダ充填効率に基づいて算出する。すなわち、推定最高過給機下流温度は、異常診断を実施する運転状態で取り得る最高過給機下流温度の推定値である。
【0037】
S5では、コントロールユニット16は、吸気温センサの異常の有無を判定している。
【0038】
コントロールユニット16は、過給機下流温度と推定最高過給機下流温度を比較し、過給機下流温度が推定最高過給機下流温度より大きい場合は、吸気温センサの異常有りと判定し、次の工程へ処理を移行する(S5:YES)。また、過給機下流温度と過給機上流温度を比較し、過給機下流温度が過給機上流温度より小さい場合も、吸気温センサの異常有りと判定し、次の工程へ処理を移行する(S5:YES)。
【0039】
過給機下流温度が推定最高過給機下流温度以下かつ過給機下流温度が過給機上流温度以上の場合は、吸気温センサの異常無しと判定し、S2へ処理を移行する(S5:NO)。
【0040】
なお、センサの検出値や機器の作動量はばらつきを有するので、例えば、上流側吸気温センサ7の検出ばらつき、下流側吸気温センサ11の検出ばらつき、スーパーチャージャ8の吐出量ばらつきにより生じる下流側吸気温ばらつき等を、推定最高過給機下流温度に加算した値と、過給機下流温度を比較してもよい。
【0041】
S6では、コントロールユニット16は、吸気温センサ異常が判定時間続いたか否かを判定している。
【0042】
コントロールユニット16は、S5で吸気温センサの異常有りと判定された後に、所定の判定時間異常有りの状態が続いた場合は、吸気温センサが異常と診断し、異常診断ルーチンを終了する(S6:YES)。
【0043】
S5で吸気温センサの異常有りと判定された後に、所定の判定時間異常有りの状態が続かなかった場合は、吸気温センサが正常と診断し、S2へ処理を移行する(S6:NO)。
【0044】
S5で吸気温センサの異常有りと判定しても直ちに吸気温センサが異常とする診断を確定しないことで、故障診断ルーチンを繰り返し行い、誤診断することを防止できる。
【0045】
また、コントロールユニット16は、吸気温センサが異常と診断した場合において、外気温センサ18の検出した外気温と過給機上流温度との差の絶対値が、実験等により予め定められた過給機上流温度判定閾値以下の場合は、下流側吸気温センサ11が異常と診断する。
【0046】
外気温と過給機上流温度との差の絶対値が、過給機上流温度判定閾値より大きい場合は、上流側吸気温センサ7が異常と診断する。
【0047】
なお、過給機上流温度判定閾値は、外気温センサ18の検出ばらつき、上流側吸気温センサ7の検出ばらつき等を考慮して設定してもよい。
【0048】
本実施形態によれば、エンジン1の運転状態が異常診断を行う低負荷低回転領域よりも高負荷又は高回転になった場合は、以後その運転(トリップ)が終わるまでの吸気温センサの異常診断を禁止する。したがって、スーパーチャージャ8で過給されて温度上昇した吸気が、バイパス通路9を通ってスーパーチャージャ8の下流側から上流側へ還流する状態では吸気温センサの異常診断を行わないので、誤診断することを防止できる。
【0049】
また、低負荷低回転領域で取り得る最高の過給機下流側吸気温の推定値と過給機下流側吸気温とを比較するので、低負荷低回転領域で過給又はバイパス通路9からの吸気の還流によりスーパーチャージャ8の下流側の吸気温が上昇した場合においても、誤診断することなく吸気温センサの異常診断を行うことができる。
【0050】
また、エンジン1の始動時に吸気温が安定していない場合は、吸気温センサの異常診断を禁止する。したがって、エンジン1の前回運転時の影響を受けて吸気温が上昇する状態では吸気温センサの異常診断を行わないので、誤診断することを防止できる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体例に限定する趣旨ではない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、本発明をガソリンエンジンに適用しているが、ディーゼルエンジンに適用してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、吸気通路2のスロットルバルブ12とエンジン1の間にインタークーラ13を有するが、インタークーラ13を有さない構成であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、S1で吸気温度が安定しているか否かを判定するために過給機上流温度と過給機下流温度の差を用いたが、エンジン1が停止してから始動するまでの時間に基づいて吸気温度が安定しているか否かを判定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、外気温と過給機上流温度の差を用いて上流側吸気温センサ7と下流側吸気温センサ11のいずれが異常かを診断しているが、外気温に代えて燃料温度センサ19の検出した燃料温度を用いてもよい。
【0056】
本願は2012年11月5日に日本国特許庁に出願された特願2012−243659に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4