(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる移動端末装置、制御方法および制御プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる制御方法の一実施例を示す説明図である。
図1において、移動端末装置101は、アクセスポイントAP(
図1の例では、アクセスポイントAP1〜AP8)および基地局BS(
図1の例では、基地局BS2)と無線通信可能なコンピュータである。具体的には、例えば、移動端末装置101は、スマートフォン、携帯電話機、タブレット型PC(Personal Computer)、PHS(Personal Handy−phone System)などである。
【0014】
アクセスポイントAPは、通信エリアR(
図1の例では、通信エリアR1〜R8)に存在する移動端末装置101と無線通信可能であり、移動端末装置101がネットワークに接続するための拠点となる無線局である。具体的には、例えば、アクセスポイントAPは、例えば、各地に点在する無線LANのアクセスポイントである。
【0015】
基地局BSは、セルC(
図1の例では、セルC2)に存在する移動端末装置101と無線通信可能であり、移動端末装置101がネットワークに接続するための拠点となる無線局である。なお、セルCは、基地局BSの通信エリアである。具体的には、例えば、基地局BSは、各地に点在する移動体通信網(例えば、携帯電話網)の基地局である。
【0016】
アクセスポイントAPには、移動端末装置101が利用できるアクセスポイントと、利用できないアクセスポイントとがある。このため、移動端末装置101は、無線通信可能なアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行い、探索したアクセスポイントAPのうち利用可能なアクセスポイントAPを介してネットワークに接続する。
【0017】
また、移動端末装置101は、無線通信可能な基地局BSを探索するスキャン動作を行い、探索した基地局BSを介してネットワークに接続することができる。ネットワークは、例えば、移動体通信網、LAN、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。
【0018】
また、移動端末装置101は、接続履歴情報110を有する。ここで、接続履歴情報110は、移動端末装置101からアクセスポイントAPへの接続処理が行われたセルCを特定する情報である。アクセスポイントAPへの接続処理とは、アクセスポイントAPを介してネットワークに接続する処理である。
【0019】
具体的には、例えば、接続履歴情報110は、基地局BSのエリア識別情報と、アクセスポイントAPのネットワーク識別情報と、基地局BSのセルCにおいてネットワークに接続が行われたアクセスポイントAPのアクセスポイント識別情報とを対応付けたエントリを複数含む情報である。
【0020】
基地局BSのエリア識別情報は、基地局BSのセルCを一意に識別する情報である。基地局BSのエリア識別情報は、例えば、後述するCell−IDである。アクセスポイントAPのネットワーク識別情報は、アクセスポイントAPを介して接続するネットワークを識別する情報である。ネットワーク識別情報は、例えば、アクセスポイントAPのESSID(Extended Service Set Identifier)である。アクセスポイントAPのアクセスポイント識別情報は、アクセスポイントAPを一意に識別する情報である。アクセスポイント識別情報は、例えば、アクセスポイントAPのBSSID(Basic Service Set Identifier)である。
【0021】
ここで、ネットワーク識別情報は、複数のアクセスポイントAPに同一のものが付与される場合がある。また、同一のネットワーク識別情報が付与された複数のアクセスポイントAPのいずれかのアクセスポイントAPを移動端末装置101が利用可能である場合、同一のネットワーク識別情報が付与された他のアクセスポイントAPについても利用可能となる。
【0022】
同一のネットワーク識別情報が付与されるアクセスポイントAPの一例としては、例えば、利用可能な通信サービスが同一のアクセスポイントAPの集合や、ある企業が経営する複数の店舗の各々に設置されたアクセスポイントAPの集合などがある。例えば、ショッピングモールや大学の構内などにおいて、より広い通信エリアを確保してシームレスな無線通信を可能にするために、同一のネットワーク識別情報が付与されたアクセスポイントAPが近接して複数台設置される場合がある。
【0023】
また、移動端末装置101は、接続先となるアクセスポイントAPを切り替える、いわゆる「ハンドオーバ」を行う機能を有する。接続先となるアクセスポイントAPとは、ネットワークに接続するための拠点となるアクセスポイントである。具体的には、例えば、移動端末装置101は、接続先となるアクセスポイントAPを、受信信号強度(RSSI強度:Received Signal Strength Indication)がより高いアクセスポイントに切り替える。
【0024】
より具体的には、例えば、第1のアクセスポイントに接続中の移動端末装置101が、利用可能な第2のアクセスポイントからの信号を受信する場合がある。この場合、移動端末装置101は、第1および第2のアクセスポイントから受信した信号のRSSI強度の強度差を求める。そして、移動端末装置101は、RSSI強度の強度差が一定値以上であれば、接続先となるアクセスポイントAPを、第1のアクセスポイントから第2のアクセスポイントに切り替える。ただし、第2のアクセスポイントのほうが、第1のアクセスポイントよりもRSSI強度が高い場合である。
【0025】
ここで、移動端末装置101がハンドオーバを行う場合、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行う。ところが、移動端末装置101の周辺に、接続中のアクセスポイントAPとは異なる利用可能なアクセスポイントAPが存在しない場合がある。この場合、移動端末装置101がハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行うことは電力的に望ましくない。
【0026】
そこで、本実施の形態では、移動端末装置101は、同一のネットワーク識別情報が付与されたアクセスポイントAPが近接して設置される場合があることを利用して、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を制御する。
【0027】
具体的には、例えば、移動端末装置101は、自装置が属するセルCに、接続中のアクセスポイントAPと同一のネットワーク識別情報が付与された他のアクセスポイントAPが存在するか否かを判断する。ここで、他のアクセスポイントAPが存在する場合、移動端末装置101は、自装置周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPが存在すると判断し、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行う。
【0028】
以下、実施の形態1にかかる移動端末装置101の制御例について説明する。
【0029】
図1中、アクセスポイントAP1は、移動端末装置101のユーザの自宅に設置されたアクセスポイントAPであり、移動端末装置101が利用可能なアクセスポイントAPである。また、
図1中、アクセスポイントAP6〜AP8は、ショッピングモールに設置されたアクセスポイントAPであり、移動端末装置101が利用可能なアクセスポイントAPである。アクセスポイントAP6〜AP8には、同一のネットワーク識別情報が付与されている。
【0030】
<第1の制御例>
まず、基地局BS2のセルC2において、移動端末装置101が、ユーザの自宅に設置されたアクセスポイントAP1を介してネットワークに接続した場合を想定する。この場合、移動端末装置101は、基地局BS2のエリア識別情報とアクセスポイントAP1のネットワーク識別情報を含むとともに、アクセスポイント識別情報が異なるエントリを接続履歴情報110から検索する。
【0031】
図1の例では、セルC2にアクセスポイントAP1と同一のネットワーク識別情報のアクセスポイントは存在しない。このため、基地局BS2のエリア識別情報と、アクセスポイントAP1のネットワーク識別情報と、アクセスポイントAP1のアクセスポイント識別情報とを含むエントリのみが検索される。
【0032】
複数のエントリが検索されなかった場合、複数のエントリが検索される場合に比べて、接続中のアクセスポイントAP1と同一のネットワーク識別情報が付与された他のアクセスポイントAPが移動端末装置101周辺に存在する可能性が低いといえる。すなわち、複数のエントリが検索されなかった場合、移動端末装置101周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPが存在する可能性が低いといえる。このため、移動端末装置101は、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行わない。
【0033】
<第2の制御例>
つぎに、基地局BS2のセルC2において、移動端末装置101が、ショッピングモールに設置されたアクセスポイントAP6を介してネットワークに接続した場合を想定する。この場合、移動端末装置101は、基地局BS2のエリア識別情報とアクセスポイントAP6のネットワーク識別情報を含むとともに、アクセスポイント識別情報が異なるエントリを接続履歴情報110から検索する。
【0034】
図1の例では、セルC2にアクセスポイントAP6と同一のネットワーク識別情報のアクセスポイントAP7,AP8が存在する。このため、基地局BS2のエリア識別情報とアクセスポイントAP6のネットワーク識別情報とを含むとともに、アクセスポイント識別情報が異なる3つのエントリが検索される。
【0035】
複数のエントリが検索された場合は、複数のエントリが検索されない場合に比べて、接続中のアクセスポイントAP6と同一のネットワーク識別情報が付与された他のアクセスポイントAPが移動端末装置101周辺に存在する可能性が高いといえる。すなわち、複数のエントリが検索された場合は、移動端末装置101周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPが存在する可能性が高いといえる。このため、移動端末装置101は、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を開始する。
【0036】
このように、移動端末装置101によれば、接続中のアクセスポイントAPと同一のネットワーク識別情報が付与された他のアクセスポイントAPが自装置周辺に存在するか否かを判断することができる。これにより、接続中のアクセスポイントAP以外に、利用可能な他のアクセスポイントAPが移動端末装置101の周辺に存在するか否かを判断することができる。
【0037】
また、移動端末装置101によれば、利用可能な他のアクセスポイントAPが自装置周辺に存在すると判断した場合に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を開始することができる。これにより、接続中のアクセスポイントAPからの信号の強度が低下した場合などに、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索して接続先を切り替えることができユーザビリティを確保することができる。
【0038】
また、移動端末装置101によれば、利用可能な他のアクセスポイントAPが自装置周辺に存在しないと判断した場合には、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPを探索するスキャン動作を行わない。これにより、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPが存在しない状況でのスキャン動作にかかる消費電力を抑制することができる。
【0039】
(通信システム200のシステム構成例)
実施の形態1にかかる通信システム200のシステム構成例について説明する。以下の説明では、アクセスポイントAPの一例として、無線LANのアクセスポイントを例に挙げて説明する。
【0040】
図2は、通信システム200のシステム構成例を示す説明図である。
図2において、通信システム200は、移動端末装置101と、基地局BS1〜BSmと、アクセスポイントAP1〜APnと、サーバ201と、を含む。通信システム200において、基地局BS1〜BSm、アクセスポイントAP1〜APnおよびサーバ201は、ネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、移動体通信網、LAN、WAN、インターネットなどを含む。
【0041】
ここで、基地局BS1〜BSmは、各地に点在する移動体通信網(携帯電話網)の基地局である。以下の説明では、基地局BS1〜BSmのうちの任意の基地局を「基地局BSj」と表記し、基地局BSjの通信可能範囲を表す通信エリアを「セルCj」と表記する場合がある(j=1,2,…,m)。
【0042】
また、アクセスポイントAP1〜APnは、各地に点在する無線LANの基地局である。アクセスポイントAP1〜APnの中には、利用可能なアクセスポイントの登録手続や認証手続をユーザが手動で行うことなく、移動端末装置101との接続を自動で確立するアクセスポイント(例えば、Hotspot2.0対応のアクセスポイント)が含まれていてもよい。また、アクセスポイントAP1〜APnの中には、可搬型のアクセスポイントや、電車やバス等の移動体に設置されたアクセスポイントが含まれていてもよい。
【0043】
以下の説明では、アクセスポイントAP1〜APnのうちの任意のアクセスポイントを「アクセスポイントAPi」と表記し、アクセスポイントAPiの通信可能範囲を表す通信エリアを「通信エリアRi」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。
【0044】
移動端末装置101は、セルCjにおいて基地局BSjと無線通信可能であり、基地局BSjを介してネットワーク210に接続することができる。また、移動端末装置101は、通信エリアRiにおいてアクセスポイントAPiと無線通信可能であり、アクセスポイントAPiを介してネットワーク210に接続することができる。
【0045】
サーバ201は、ネットワーク210を介して、移動端末装置101にサービスを提供するコンピュータである。サービスとは、移動端末装置101に提供される情報処理であり、例えば、メールサービス、電話サービス、ウェブサービスなどがある。具体的には、例えば、サーバ201は、メールサーバ、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどを含む。
【0046】
なお、
図2では、移動端末装置101およびサーバ201をそれぞれ1台のみ表記したが、これに限らない。例えば、移動端末装置101は通信システム200を利用するユーザごとに設けられ、サーバ201はサービスの提供者ごとに設けられていてもよい。
【0047】
(移動端末装置101のハードウェア構成例)
図3は、移動端末装置101のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3において、移動端末装置101は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスプレイ303と、キーパッド304と、公衆網I/F(Interface)305と、WLAN(Wireless LAN) I/F306と、音声信号処理部307と、スピーカ308と、マイクロフォン309と、を有する。また、各構成部はバス300によってそれぞれ接続される。
【0048】
ここで、CPU301は、移動端末装置101の全体の制御を司る。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOS(Operating System)のプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させることになる。
【0049】
ディスプレイ303は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する。ディスプレイ303は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを採用することができる。
【0050】
キーパッド304は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力を行う。キーパッド304は、例えば、タッチパネル式の入力パッドやテンキー、電源キーなどであってもよい。
【0051】
公衆網I/F305は、移動体通信網の基地局BSjを介してネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータ(例えば、サーバ201)に接続される。そして、公衆網I/F305は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0052】
WLAN I/F306は、無線LANのアクセスポイントAPiを介してネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して他のコンピュータに接続される。そして、WLAN I/F306は、ネットワーク210と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0053】
音声信号処理部307は、スピーカ308およびマイクロフォン309に接続される。例えば、マイクロフォン309に受音された音声は、音声信号処理部307でA/D変換される。また、スピーカ308からは音声が出力される。
【0054】
なお、図示は省略するが、移動端末装置101は、上述した構成部のほか、例えば、メモリ302に対するデータのリード/ライトを制御するメモリコントローラや各構成部に電源電圧を供給するPMU(Power Management Unit)、バッテリ、各種タイマ、GPS(Global Positioning System)ユニットなどを有することにしてもよい。また、基地局BSj、アクセスポイントAPiおよびサーバ201のハードウェア構成は、例えば、CPU、メモリ、I/F、補助記憶装置、バス等により実現される。
【0055】
(接続APテーブル400の記憶内容)
つぎに、移動端末装置101が用いる接続APテーブル400について説明する。接続APテーブル400は、例えば、
図3に示したメモリ302により実現される。なお、
図1に示した接続履歴情報110は、接続APテーブル400に相当する。
【0056】
図4は、接続APテーブル400の記憶内容の一例を示す説明図である。
図4において、接続APテーブル400は、移動端末装置101からネットワーク210に接続が行われたアクセスポイントAPiのESSIDを記憶する。移動端末装置101は、接続APテーブル400を参照することにより、移動端末装置101のユーザが利用可能なアクセスポイントAPiのESSID、例えば、ESSID−A、ESSID−Bを特定することができる。
【0057】
なお、接続APテーブル400の記憶内容は、例えば、アクセスポイントAPiへの初回接続時に更新される。具体的には、例えば、ユーザの操作入力によるアクセスポイントAPiへの初回接続時に、接続したアクセスポイントAPiのESSIDが接続APテーブル400に新規登録される。
【0058】
(接続実績テーブル500の記憶内容)
つぎに、移動端末装置101が用いる接続実績テーブル500について説明する。接続実績テーブル500は、例えば、
図3に示したメモリ302により実現される。
図1に示した接続履歴情報110は、接続実績テーブル500に相当する。
【0059】
図5は、接続実績テーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。
図5において、接続実績テーブル500は、Cell−ID、ESSID、BSSIDおよび最終接続時間のフィールドを有する。各フィールドに情報を設定することにより、接続実績情報(例えば、接続実績情報500−1〜500−7)がレコードとして記憶される。
【0060】
Cell−IDは、移動体通信網の基地局BSjのセルCjを識別するエリア識別情報である。ESSIDは、無線LANのアクセスポイントAPiを識別する識別情報であり、例えば、アクセスポイントAPiを介して接続するネットワークを識別するネットワーク識別情報である。BSSIDは、無線LANのアクセスポイントAPiを一意に識別するアクセスポイント識別情報である。最終接続時間は、アクセスポイントAPiに最後に接続した日時を示す。
【0061】
一例として、接続実績情報500−1を例に挙げると、Cell−ID「C1」とESSID「ESSID−A」とBSSID「BSSID−A1」と最終接続時間「2011.03.03.12.23」とが対応付けて示されている。接続実績情報500−1によれば、基地局BS1のセルC1において、移動端末装置101が、ESSID「ESSID−A」およびBSSID「BSSID−A1」のアクセスポイントに最後に接続した日時「2011年3月3日12時23分」を特定することができる。
【0062】
(移動端末装置101の機能的構成例)
図6は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の機能的構成例を示すブロック図である。
図6において、移動端末装置101は、第1の通信部601と、第2の通信部602と、検出部603と、取得部604と、判定部605と、通信制御部606と、更新部607と、を含む構成である。各機能部は、具体的には、例えば、
図3に示したメモリ302に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、公衆網I/F305、WLAN I/F306などのハードウェアにより、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302に記憶される。
【0063】
第1の通信部601は、アクセスポイントAPiと通信する機能を有する。具体的には、例えば、第1の通信部601は、利用可能なアクセスポイントAPiを介してネットワーク210に接続を行う。また、第1の通信部601は、接続が完了したアクセスポイントAPiから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となったか否かを判断することにしてもよい。
【0064】
第2の通信部602は、基地局BSjと通信する機能を有する。具体的には、例えば、第2の通信部602は、基地局BS1〜BSnのうち通信可能な基地局BSjからセルCjのCell−IDを含む基地局情報を定期的(例えば、2.56[秒]ごと)に受信する。なお、移動端末装置101は、例えば、受信した基地局情報に含まれるCell−IDが、前回受信した基地局情報に含まれるCell−IDと異なる場合、基地局BSjと通信することにより、自装置の位置登録を行う。
【0065】
検出部603は、ディスプレイ303(
図3参照)の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出する機能を有する。具体的には、例えば、検出部603が、キーパッド304を用いたユーザの操作入力により、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ切り替えられた場合に、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出する。
【0066】
より具体的には、例えば、検出部603が、レジューム機能によりディスプレイ303の表示状態が非表示になる直前の状態から作業を再開する場合に、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出することにしてもよい。また、例えば、検出部603が、予め決められた時刻に起動するアラームなどのアプリケーションが起動された場合に、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出することにしてもよい。
【0067】
また、検出部603は、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことを検出する機能を有する。具体的には、例えば、検出部603が、キーパッド304を用いたユーザの操作入力により、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ切り替えられた場合に、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことを検出する。
【0068】
また、例えば、検出部603が、画面OFFタイマが規定値に達した場合に、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことを検出することにしてもよい。画面OFFタイマとは、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移するまでの時間を計測するタイマである。さらに、例えば、検出部603が、ディスプレイ303への電力供給を抑えて省電力モードに移行した場合に、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことを検出することにしてもよい。
【0069】
取得部604は、基地局BS1〜BSmのセルC1〜Cnのうち自装置が属するセルCjを識別するCell−IDを取得する機能を有する。具体的には、例えば、取得部604が、第2の通信部602によって受信された基地局情報に含まれるCell−IDを、自装置が属するセルCjのCell−IDとして取得する。
【0070】
また、基地局BS1〜BSmのうち移動端末装置101が通信可能な基地局が複数存在する場合がある。この場合、例えば、取得部604が、通信可能な複数の基地局のうち電波強度が最大となる基地局の基地局情報に含まれるCell−IDを、自装置が属するセルCjを識別するCell−IDとして取得することにしてもよい。
【0071】
判定部605は、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があるか否かを判定する機能を有する。ここで、アクセスポイントAPiへの接続実績とは、アクセスポイントAPiへの接続動作が完了したことを示す接続履歴である。また、アクセスポイントAPiへの接続動作とは、アクセスポイントAPiを介してネットワーク210に接続する移動端末装置101の接続処理である。
【0072】
具体的には、例えば、まず、判定部605が、検出部603によって表示状態が非表示から表示へ遷移したことが検出された場合、
図5に示した接続実績テーブル500を参照して、取得部604によって取得されたCell−IDが登録されているか否かを判定する。ここで、Cell−IDが登録されている場合、判定部605が、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があると判定する。一方、Cell−IDが未登録の場合、判定部605が、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績がないと判定する。
【0073】
通信制御部606は、第1の通信部601によるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を制御する機能を有する。具体的には、例えば、通信制御部606は、判定部605によって判定された判定結果に基づいて、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を制御する。
【0074】
より具体的には、例えば、通信制御部606は、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があると判定された場合、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する周期的なスキャン動作を開始することにしてもよい。一方、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績がないと判定された場合、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する周期的なスキャン動作を停止することにしてもよい。なお、周期的なスキャン動作を行う際の周期Tは、例えば、予め任意に設定されており、一定であっても一定でなくてもよい。
【0075】
また、通信制御部606は、探索されたアクセスポイントAPiへの接続処理を開始する機能を有する。具体的には、例えば、まず、通信制御部606は、
図4に示した接続APテーブル400を参照して、探索されたアクセスポイントAPiのESSIDが登録されているか否かを判断する。ここで、ESSIDが登録されている場合、通信制御部606が、第1の通信部601を制御して、探索されたアクセスポイントAPiへの接続処理を実行する。一方、ESSIDが未登録の場合、通信制御部606は、探索されたアクセスポイントAPiへの接続処理を実行しない。
【0076】
また、通信制御部606は、ユーザの操作入力により、探索されたアクセスポイントAPiへの接続処理を実行することにしてもよい。具体的には、例えば、アクセスポイントAPiへの初回接続時には、通信制御部606は、ユーザの操作入力により、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiへの接続処理を実行する。この場合、通信制御部606は、接続したアクセスポイントAPiのESSIDを接続APテーブル400に新規登録することにしてもよい。
【0077】
以下の説明では、移動端末装置101との接続が完了して接続中のアクセスポイントAPi、すなわち、移動端末装置101からネットワーク210(
図2参照)に接続が行われるアクセスポイントAPiを「接続AP」と表記する場合がある。
【0078】
また、通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを制御する機能を有する。具体的には、例えば、まず、通信制御部606は、セルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続が完了した場合、接続実績テーブル500から、セルCjのCell−IDと接続APのESSIDを含むとともに、BSSIDが異なる接続実績情報を検索する。
【0079】
ここで、複数の接続実績情報が検索された場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるアクセスポイントAPiを探索する周期的なスキャン動作を開始または継続させることにしてもよい。これにより、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が高い場合に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を行うことができる。
【0080】
一方、0または1の接続実績情報が検索された場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を停止させることにしてもよい。これにより、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が低い場合には、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を停止することができる。
【0081】
以下の説明では、接続先となるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を「第1のスキャン動作」と表記する場合がある。第1のスキャン動作の周期は、例えば、10[秒]、20[秒]、60[秒]、150[秒]、150[秒]のように、150[秒]となるまで徐々に長くなっていくことにしてもよい。また、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索するスキャン動作を「第2のスキャン動作」と表記する場合がある。第2のスキャン動作の周期は、例えば、10秒間隔程度の一定間隔であってもよい。
【0082】
また、通信制御部606は、接続APから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となり、かつ、複数の接続実績情報が検索された場合に、第2のスキャン動作を開始または継続させることにしてもよい。これにより、接続APからの電波の強度が低下し、かつ、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が高い場合に、第2のスキャン動作を行うことができる。この閾値は、例えば、−70[dBm]程度の値に設定される。
【0083】
また、通信制御部606は、接続APから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となり、かつ、0または1の接続実績情報が検索された場合は、第2のスキャン動作を停止させることにしてもよい。これにより、接続APからの電波の強度が低下した場合であっても、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が低い場合には、第2のスキャン動作を停止することができる。
【0084】
更新部607は、接続実績テーブル500の記憶内容を更新する機能を有する。具体的には、例えば、更新部607は、アクセスポイントAPiへの接続が完了した場合、アクセスポイントAPiへの最終接続時間を更新する。より具体的には、例えば、更新部607は、接続実績テーブル500から、自装置が属するセルCjのCell−IDと、接続APのESSIDおよびBSSIDとの組み合わせに対応する接続実績情報を検索する。そして、更新部607は、検索した接続実績情報の最終接続時間フィールドに、接続APへの接続時間を上書きする。
【0085】
なお、自装置が属するセルCjにおいて接続APへの接続実績がない場合は、自装置が属するセルCjのCell−IDと、接続APのESSIDおよびBSSIDとの組み合わせに対応する接続実績情報は検索されない。この場合、更新部607は、接続実績テーブル500内の各フィールドに、自装置が属するセルCjのCell−ID、接続APのESSID、BSSIDおよび接続時間を設定する。これにより、新たな接続実績情報がレコードとして接続実績テーブル500に新規登録される。
【0086】
また、更新部607は、接続実績テーブル500内の接続実績情報の総数が一定数以上となった場合、接続実績テーブル500から最終接続時間が最古の接続実績情報を削除することにしてもよい。これにより、接続実績テーブル500を記憶するメモリ302の使用量を抑制することができる。
【0087】
また、通信制御部606は、検出部603によってディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことが検出された場合、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作(第1のスキャン動作、第2のスキャン動作)を停止することにしてもよい。これにより、ディスプレイ303の表示状態が非表示のときのアクセスポイントAPiのスキャン動作を抑制して、移動端末装置101の消費電力を抑制することができる。
【0088】
また、通信制御部606は、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移したことが検出された場合、表示状態が非表示へ遷移してから一定時間経過後に、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiのスキャン動作を停止することにしてもよい。これにより、ディスプレイ303の表示状態が表示から非表示へ遷移した後、すぐに表示状態が非表示から表示へ遷移する場合を想定して、スキャン動作を継続させることができる。
【0089】
なお、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作には、例えば、アクティブスキャンとパッシブスキャンとがある。アクティブスキャンは、無線LANに用いられる各チャネルに対してプローブリクエスト信号を送信して、プローブレスポンス信号を受信することにより、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作である。アクティブスキャンに使用される無線LANのチャネルとしては、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)802.11の2.4[GHz]の周波数帯域の13チャネルがある。
【0090】
また、パッシブスキャンは、アクセスポイントAPiからビーコンと呼ばれる信号(パケット)を受信することにより、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作である。パッシブスキャンに使用される無線LANのチャネルとしては、例えば、IEEE802.11のW52(タイプ)の4チャネルと、W53(タイプ)の4チャネルと、W56(タイプ)の11チャネルとがある。
【0091】
通信制御部606は、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作として、第1の通信部601を制御して、アクティブスキャンおよびパッシブスキャンの両方を行うことにしてもよく、また、アクティブスキャンおよびパッシブスキャンのいずれか一方を行うことにしてもよい。
【0092】
(移動端末装置101の制御処理例)
つぎに、
図7〜
図9を用いて、実施の形態1にかかる移動端末装置101の制御処理例について説明する。なお、以下の説明では、移動端末装置101の制御処理のうちの一部の処理を省略する場合がある。
【0093】
<第1の制御処理例>
図7は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の第1の制御処理例を示す説明図である。第1の制御処理例は、アクセスポイントAPiへの接続時に接続実績テーブル500の記憶内容を更新する移動端末装置101の制御処理例である。
【0094】
図7において、(7−1)検出部603は、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出する。ここでは、ユーザの操作入力によりディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ切り替えられた結果、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことが検出される。
【0095】
(7−2)判定部605は、検出部603によって表示状態が非表示から表示へ遷移したことが検出された場合、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図7の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。
【0096】
(7−3)判定部605は、接続実績テーブル500を読み出して、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があるか否かを判定する。
図7の例では、取得されたCell−ID「C2」に対応する接続実績情報が登録済みのため、アクセスポイントAPiへの接続実績があると判定される。
【0097】
(7−4)判定部605は、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があると判定した場合、通信制御部606にON設定要求を通知する。ON設定要求は、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作の開始を要求するものである。
【0098】
(7−5)通信制御部606は、判定部605からON設定要求を受け付けた場合、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を開始する。
図7の例では、第1のスキャン動作が行われた結果、ESSIDが「ESSID−C」かつBSSIDが「BSSID−C3」のアクセスポイントAP6が探索された場合を想定する。
【0099】
以下の説明では、アクセスポイントAPiを探索するスキャン動作が行われた結果、探索されたアクセスポイントAPiを「探索AP」と表記する場合がある。
【0100】
また、通信制御部606は、接続APテーブル400を読み出して、第1の通信部601からのスキャン結果に含まれる探索APのESSIDが接続APテーブル400に登録されているか否かを判断する。ここで、ESSIDが登録されている場合、通信制御部606が、第1の通信部601を制御して、探索APへの接続処理を行う。一方、ESSIDが未登録の場合、通信制御部606は、探索APへの接続処理を行わない。
【0101】
図7の例では、探索APのESSIDが接続APテーブル400に登録されている場合を想定する。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、探索APへの接続処理を行う。アクセスポイントAPiへの接続が完了すると、第1の通信部601から通信制御部606に接続完了通知が通知される。接続完了通知は、アクセスポイントAPiへの接続が完了したことを通知するものである。接続完了通知には、例えば、接続APのESSIDおよびBSSIDが含まれる。
【0102】
(7−6)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、登録部に接続通知を通知する。接続通知は、アクセスポイントAPiに接続したことを通知するものである。接続通知には、例えば、接続APのESSIDおよびBSSIDが含まれる。
【0103】
(7−7)更新部607は、通信制御部606から接続通知を受け付けた場合、接続実績テーブル500を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図7の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。
【0104】
(7−8)更新部607は、接続実績テーブル500の記憶内容を更新する。
図7の例では、接続実績テーブル500内の各フィールドに、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」、接続APのESSID「ESSID−C」、BSSID「BSSID−C3」および接続時間「2011.04.05.14.10」が設定された結果、接続実績情報500−5がレコードとして接続実績テーブル500に新規登録される。
【0105】
<第2の制御処理例>
図8は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の第2の制御処理例を示す説明図である。第2の制御処理例は、接続APからの電波の強度が低下してもハンドオーバを行わない場合の移動端末装置101の制御処理例である。
【0106】
図8において、(8−1)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、接続実績テーブル500を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図8の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。また、接続完了通知には、接続APのESSID「ESSID−B」およびBSSID「BSSID−B1」が含まれる。
【0107】
(8−2)通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うか否かを判断する。具体的には、例えば、通信制御部606は、接続実績テーブル500から、Cell−IDフィールドにセルC2のCell−ID「C2」が設定され、ESSIDフィールドに接続APのESSID「ESSID−B」が設定された接続実績情報を検索する。
図8の例では、接続実績情報500−2が検索される。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行わないと判断する。
【0108】
(8−3)通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けた場合であっても、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を行わない。信号強度低下通知は、接続APから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となったことを通知するものである。
【0109】
すなわち、接続中のアクセスポイントAP1の近傍に存在するアクセスポイントAP2が利用不可のため、通信制御部606は、アクセスポイントAP1から受信された信号のRSSI強度が低下しても第2のスキャン動作を開始しない。これにより、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在しない状況での第2のスキャン動作にかかる消費電力を抑制することができる。
【0110】
<第3の制御処理例>
図9は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の第3の制御処理例を示す説明図である。第3の制御処理例は、接続APからの電波の強度が低下した際にハンドオーバを行う場合の移動端末装置101の制御処理例である。
【0111】
図9において、(9−1)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、接続実績テーブル500を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図9の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。また、接続完了通知には、接続APのESSID「ESSID−C」およびBSSID「BSSID−C1」が含まれる。
【0112】
(9−2)通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うか否かを判断する。具体的には、例えば、通信制御部606は、接続実績テーブル500から、Cell−IDフィールドにセルC2のCell−ID「C2」が設定され、ESSIDフィールドに接続APのESSID「ESSID−C」が設定された接続実績情報を検索する。
図9の例では、接続実績情報500−3〜500−5が検索される。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うと判断する。
【0113】
(9−3)通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けた場合、第1の通信部601にHO用スキャン開始要求を通知する。HO用スキャン開始要求は、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作の開始を要求するものである。
【0114】
すなわち、接続中のアクセスポイントAP8の近傍に利用可能なアクセスポイントAP7が存在するため、通信制御部606は、アクセスポイントAP8から受信された信号のRSSI強度が低下した場合に第2のスキャン動作を行う。これにより、接続APからの信号のRSSI強度が低下した際にハンドオーバを行うことができ、ユーザビリティを確保することができる。
【0115】
ここで、第1の通信部601による第2のスキャン動作が開始された結果、アクセスポイントAP7が探索された場合を想定する。この場合、第1の通信部601は、例えば、接続中のアクセスポイントAP8から受信した信号のRSSI強度と、アクセスポイントAP7から受信した信号のRSSI強度の強度差を算出する。そして、第1の通信部601は、RSSI強度の強度差が一定値(例えば、10[dBm])以上であれば、接続先となるアクセスポイントAPiを、アクセスポイントAP8からアクセスポイントAP7に切り替える。
【0116】
(移動端末装置101の各種処理手順)
つぎに、実施の形態1にかかる移動端末装置101の各種処理手順について説明する。まず、移動端末装置101の判定処理手順について説明する。この判定処理は、移動端末装置101が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があるか否かを判定する処理である。
【0117】
図10は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートにおいて、まず、判定部605は、検出部603から画面ON通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1001)。画面ON通知は、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを示す通知である。
【0118】
ここで、判定部605は、画面ON通知を受け付けるのを待つ(ステップS1001:No)。そして、判定部605は、画面ON通知を受け付けた場合(ステップS1001:Yes)、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する(ステップS1002)。
【0119】
つぎに、判定部605は、接続実績テーブル500から、取得したCell−IDに対応する接続実績情報を検索する(ステップS1003)。そして、判定部605は、接続実績テーブル500から接続実績情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1004)。
【0120】
ここで、接続実績情報が検索された場合(ステップS1004:Yes)、判定部605は、通信制御部606にON設定要求を通知して(ステップS1005)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0121】
一方、接続実績情報が検索されなかった場合(ステップS1004:No)、判定部605は、通信制御部606にOFF設定要求を通知して(ステップS1006)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0122】
これにより、移動端末装置101が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績がある場合に、通信制御部606に対してアクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作の開始を要求することができる。
【0123】
<更新処理手順>
つぎに、移動端末装置101の更新処理手順について説明する。この更新処理は、接続実績テーブル500の記憶内容を更新する処理である。
【0124】
図11は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートにおいて、まず、更新部607は、通信制御部606から接続通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1101)。
【0125】
ここで、更新部607は、接続通知を受け付けるのを待つ(ステップS1101:No)。そして、更新部607は、接続通知を受け付けた場合に(ステップS1101:Yes)、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する(ステップS1102)。
【0126】
つぎに、更新部607は、接続実績テーブル500から、取得したCell−IDと接続APのBSSIDに対応する接続実績情報を検索する(ステップS1103)。なお、接続APのESSIDやBSSIDは、ステップS1101において受け付けられた接続通知から特定される。
【0127】
そして、判定部605は、接続実績テーブル500から接続実績情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1104)。ここで、接続実績情報が検索された場合(ステップS1104:Yes)、更新部607は、検索された接続実績情報の最終接続時間を更新して(ステップS1105)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0128】
一方、接続実績情報が検索されなかった場合(ステップS1104:No)、更新部607は、接続実績テーブル500内の各フィールドに、取得したCell−ID、接続APのESSID、BSSIDおよび接続時間を設定することにより、接続実績情報を新規登録して(ステップS1106)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0129】
これにより、アクセスポイントAPiへの接続時に接続実績テーブル500の記憶内容を更新することができる。
【0130】
<第1の制御処理手順>
つぎに、移動端末装置101の第1の制御処理手順について説明する。第1の制御処理は、接続先となるアクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を制御する処理である。
【0131】
図12は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の第1の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12のフローチャートにおいて、まず、通信制御部606は、判定部605からON設定要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS1201)。
【0132】
ここで、ON設定要求を受け付けた場合(ステップS1201:Yes)、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を開始して(ステップS1202)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。一方、ON設定要求を受け付けていない場合(ステップS1201:No)、通信制御部606は、判定部605からOFF設定要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS1203)。
【0133】
ここで、OFF設定要求を受け付けていない場合(ステップS1203:No)、通信制御部606は、ステップS1201に戻る。一方、OFF設定要求を受け付けた場合(ステップS1203:Yes)、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を停止して(ステップS1204)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0134】
なお、ステップS1202において、第1のスキャン動作を既に開始している場合は、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、第1のスキャン動作を継続する。また、ステップS1204において、第1のスキャン動作を開始していない場合は、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0135】
これにより、移動端末装置101が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績がある場合に、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を開始することができる。
【0136】
<第2の制御処理手順>
つぎに、移動端末装置101の第2の制御処理手順について説明する。第2の制御処理は、接続実績テーブル500を用いて、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を制御する処理である。
【0137】
図13は、実施の形態1にかかる移動端末装置101の第2の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートにおいて、まず、通信制御部606は、第1の通信部601からハンドオーバ通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1301)。ハンドオーバ通知は、ハンドオーバが行われたことを通知するものである。ハンドオーバ通知には、例えば、接続APのESSIDやBSSIDが含まれる。
【0138】
ここで、ハンドオーバ通知を受け付けた場合(ステップS1301:Yes)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、通信制御部606は、ハンドオーバにより切り替わった接続APを認識することができる。
【0139】
一方、ハンドオーバ通知を受け付けていない場合(ステップS1301:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から圏外通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1302)。圏外通知は、接続APとの接続が切断されたことを通知するものである。第1の通信部601は、例えば、接続APから受信された信号のRSSI強度が、−90[dBm]以下となった場合に、通信制御部606に圏外通知を通知する。
【0140】
ここで、圏外通知を受け付けた場合(ステップS1302:Yes)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、通信制御部606は、接続APとの接続が切断されたことを認識することができる。
【0141】
一方、圏外通知を受け付けていない場合(ステップS1302:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1303)。ここで、接続完了通知を受け付けた場合(ステップS1303:Yes)、通信制御部606は、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する(ステップS1304)。
【0142】
つぎに、通信制御部606は、接続実績テーブル500から、取得したCell−IDと接続APのESSIDに対応する接続実績情報を検索する(ステップS1305)。なお、接続APのESSIDやBSSIDは、ステップS1303において受け付けられた接続完了通知から特定される。
【0143】
そして、通信制御部606は、接続実績テーブル500から接続実績情報が複数検索されたか否かを判断する(ステップS1306)。ここで、接続実績情報が複数検索された場合(ステップS1306:Yes)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグを「1」に設定して(ステップS1307)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0144】
なお、ハンドオーバフラグは、接続APからの電波の強度が低下した場合にハンドオーバを行うか否かを示すフラグである。ハンドオーバフラグが「1」の場合は、ハンドオーバを行うことを示し、ハンドオーバフラグが「0」の場合は、ハンドオーバを行わないことを示す。ハンドオーバフラグは、例えば、メモリ302に記憶される。
【0145】
また、ステップS1306において、接続実績情報が複数検索されなかった場合(ステップS1306:No)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグを「0」に設定して(ステップS1308)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0146】
また、ステップS1303において、接続完了通知を受け付けていない場合(ステップS1303:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1309)。ここで、信号強度低下通知を受け付けていない場合(ステップS1309:No)、通信制御部606は、ステップS1301に戻る。
【0147】
一方、信号強度低下通知を受け付けた場合(ステップS1309:Yes)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグに「1」が設定されているか否かを判断する(ステップS1310)。ここで、ハンドオーバフラグに「0」が設定されている場合は(ステップS1310:No)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0148】
一方、ハンドオーバフラグに「1」が設定されている場合(ステップS1310:Yes)、通信制御部606は、第1の通信部601にHO用スキャン開始要求を通知して(ステップS1311)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0149】
これにより、接続APからの電波の強度が低下し、かつ、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が高い場合に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を開始することができる。
【0150】
以上説明したように、実施の形態1にかかる移動端末装置101によれば、自装置が属するセルCjにおいて、接続APと同一のESSIDが付与されたアクセスポイントAPiが存在するか否かを判断することができる。これにより、接続AP以外に、利用可能な他のアクセスポイントAPiが移動端末装置101の周辺に存在するか否かを判断することができる。
【0151】
また、移動端末装置101によれば、利用可能な他のアクセスポイントAPiが自装置周辺に存在すると判断した場合に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を開始することができる。これにより、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを効率的に探索することができる。
【0152】
また、移動端末装置101によれば、利用可能な他のアクセスポイントAPiが自装置周辺に存在しないと判断した場合には、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を行わない。これにより、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在しない状況での無駄なスキャン動作を防いで、移動端末装置101の消費電力を抑制することができる。
【0153】
また、移動端末装置101によれば、接続APから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となり、かつ、利用可能な他のアクセスポイントAPiが自装置周辺に存在すると判断した場合に、第2のスキャン動作を開始することができる。これにより、接続APからの電波の強度が低下した際に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを効率的に探索することができ、ユーザビリティを確保することができる。
【0154】
また、移動端末装置101によれば、接続APから受信された信号のRSSI強度が閾値以下となり、かつ、利用可能な他のアクセスポイントAPiが自装置周辺に存在しないと判断した場合には、第2のスキャン動作を行わない。これにより、接続APからの電波の強度が低下した場合であっても、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が低いと判断した場合には、第2のスキャン動作を行わずに移動端末装置101の消費電力を抑制することができる。
【0155】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる移動端末装置101について説明する。実施の形態2では、
図14に示すハンドオーバ対象リスト1400を用いて、接続APからの電波の強度が低下した場合にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を行うか否かを判断する処理の効率化を図る。なお、実施の形態1で説明した箇所と同様の箇所については、図示および説明を省略する。
【0156】
(ハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容)
図14は、ハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容の一例を示す説明図である。
図14において、ハンドオーバ対象リスト1400は、Cell−IDおよびESSIDのフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、ハンドオーバ対象情報(例えば、ハンドオーバ対象情報1400−1)をレコードとして記憶する。
【0157】
ここで、Cell−IDは、同一ESSIDのアクセスポイントが複数存在するセルCjを識別するエリア識別情報である。ESSIDは、セルCj内に存在する同一ESSIDのアクセスポイントのESSIDである。ハンドオーバ対象情報1400−1によれば、セルC2において、ESSID「ESSID−C」が付与されたアクセスポイントが複数存在することを認識することができる。
【0158】
(移動端末装置101の制御処理例)
つぎに、
図15〜
図17を用いて、実施の形態2にかかる移動端末装置101の制御処理例について説明する。なお、以下の説明では、移動端末装置101の制御処理のうちの一部の処理を省略する場合がある。
【0159】
<第1の制御処理例>
図15は、実施の形態2にかかる移動端末装置101の第1の制御処理例を示す説明図である。第1の制御処理例は、アクセスポイントAPiへの接続時にハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容を更新する移動端末装置101の制御処理例である。
【0160】
図15において、(15−1)検出部603は、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことを検出する。ここでは、ユーザの操作入力によりディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ切り替えられた結果、ディスプレイ303の表示状態が非表示から表示へ遷移したことが検出される。
【0161】
(15−2)判定部605は、検出部603によって表示状態が非表示から表示へ遷移したことが検出された場合、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図15の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。
【0162】
(15−3)判定部605は、接続実績テーブル500を読み出して、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があるか否かを判定する。
図15の例では、取得されたCell−ID「C2」に対応する接続実績情報が登録済みのため、アクセスポイントAPiへの接続実績があると判定される。
【0163】
(15−4)判定部605は、自装置が属するセルCjにおいてアクセスポイントAPiへの接続実績があると判定した場合、通信制御部606にON設定要求を通知する。
【0164】
(15−5)通信制御部606は、判定部605からON設定要求を受け付けた場合、第1の通信部601を制御して、アクセスポイントAPiを探索する第1のスキャン動作を開始する。
図15の例では、第1のスキャン動作が行われた結果、ESSIDが「ESSID−C」かつBSSIDが「BSSID−C2」のアクセスポイントAP7が探索された場合を想定する。
【0165】
また、
図15の例では、探索APのESSIDが接続APテーブル400に登録されている場合を想定する。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601を制御して、探索APへの接続処理を行う。アクセスポイントAPiへの接続が完了すると、第1の通信部601から通信制御部606に接続完了通知が通知される。
【0166】
(15−6)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、登録部に接続通知を通知する。
【0167】
(15−7)更新部607は、通信制御部606から接続通知を受け付けた場合、接続実績テーブル500を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図15の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。
【0168】
(15−8)更新部607は、接続実績テーブル500の記憶内容を更新する。
図15の例では、接続実績テーブル500内の各フィールドに、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」、接続APのESSID「ESSID−C」、BSSID「BSSID−C2」および接続時間「2011.04.05.13.10」が設定された結果、接続実績情報500−4がレコードとして接続実績テーブル500に新規登録される。
【0169】
(15−9)更新部607は、ハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容を更新する。具体的には、例えば、更新部607は、接続実績テーブル500から、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」と接続APのESSID「ESSID−C」との組み合わせに対応する接続実績情報を検索する。
【0170】
図15の例では、接続実績テーブル500から接続実績情報500−3,500−4が検索される。ここで、接続実績情報が複数検索された場合、更新部607は、ハンドオーバ対象リスト1400内の各フィールドに、移動端末装置101が属するセルCjのCell−ID、接続APのESSIDを設定する。
【0171】
図15の例では、接続実績情報500−3,500−4が検索され、ハンドオーバ対象リスト1400内の各フィールドに、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」、接続APのESSID「ESSID−C」が設定された結果、ハンドオーバ対象情報1400−1がレコードとしてハンドオーバ対象リスト1400に新規登録される。
【0172】
すなわち、更新部607は、新規登録した接続実績情報500−4の他に、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」と接続APのESSID「ESSID−C」との組み合わせに対応する接続実績情報が登録済みか否かを判断する。そして、接続実績情報が登録済みの場合は、更新部607は、ハンドオーバ対象リスト1400にハンドオーバ対象情報1400−1を新規登録する。
【0173】
<第2の制御処理例>
図16は、実施の形態2にかかる移動端末装置101の第2の制御処理例を示す説明図である。第2の制御処理例は、接続APからの電波の強度が低下してもハンドオーバを行わない場合の移動端末装置101の制御処理例である。
【0174】
図16において、(16−1)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、ハンドオーバ対象リスト1400を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図16の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。また、接続完了通知には、接続APのESSID「ESSID−B」およびBSSID「BSSID−B1」が含まれる。
【0175】
(16−2)通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うか否かを判断する。具体的には、例えば、通信制御部606は、ハンドオーバ対象リスト1400から、Cell−IDフィールドにセルC2のCell−ID「C2」が設定され、ESSIDフィールドに接続APのESSID「ESSID−B」が設定されたハンドオーバ対象情報を検索する。
図16の例では、ハンドオーバ対象情報が検索されない。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行わないと判断する。
【0176】
(16−3)通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けた場合であっても、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を行わない。これにより、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在しない状況での第2のスキャン動作にかかる消費電力を抑制することができる。
【0177】
<第3の制御処理例>
図17は、実施の形態2にかかる移動端末装置101の第3の制御処理例を示す説明図である。第3の制御処理例は、接続APからの電波の強度が低下した際にハンドオーバを行う場合の移動端末装置101の制御処理例である。
【0178】
図17において、(17−1)通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けた場合、ハンドオーバ対象リスト1400を読み出すとともに、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する。
図17の例では、移動端末装置101が属するセルC2のCell−ID「C2」が取得される。また、接続完了通知には、接続APのESSID「ESSID−C」およびBSSID「BSSID−C3」が含まれる。
【0179】
(17−2)通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うか否かを判断する。具体的には、例えば、通信制御部606は、ハンドオーバ対象リスト1400から、Cell−IDフィールドにセルC2のCell−ID「C2」が設定され、ESSIDフィールドに接続APのESSID「ESSID−C」が設定されたハンドオーバ対象情報を検索する。
図17の例では、ハンドオーバ対象情報1400−1が検索される。この場合、通信制御部606は、第1の通信部601によるハンドオーバを行うと判断する。
【0180】
(17−3)通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けた場合、第1の通信部601にHO用スキャン開始要求を通知する。これにより、接続APからの信号のRSSI強度が低下した際にハンドオーバを行うことができ、ユーザビリティを確保することができる。
【0181】
(移動端末装置101の各種処理手順)
つぎに、実施の形態2にかかる移動端末装置101の各種処理手順について説明する。まず、移動端末装置101の更新処理手順について説明する。この更新処理は、接続実績テーブル500の記憶内容およびハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容を更新する処理である。
【0182】
図18は、実施の形態2にかかる移動端末装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
図18のフローチャートにおいて、まず、更新部607は、通信制御部606から接続通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1801)。
【0183】
ここで、更新部607は、接続通知を受け付けるのを待つ(ステップS1801:No)。そして、更新部607は、接続通知を受け付けた場合に(ステップS1801:Yes)、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する(ステップS1802)。
【0184】
つぎに、更新部607は、接続実績テーブル500から、取得したCell−IDと接続APのBSSIDに対応する接続実績情報を検索する(ステップS1803)。そして、判定部605は、接続実績テーブル500から接続実績情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1804)。ここで、接続実績情報が検索された場合(ステップS1804:Yes)、更新部607は、検索された接続実績情報の最終接続時間を更新して(ステップS1805)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0185】
一方、接続実績情報が検索されなかった場合(ステップS1804:No)、更新部607は、接続実績テーブル500内の各フィールドに、取得したCell−ID、接続APのESSID、BSSIDおよび接続時間を設定することにより、接続実績情報を新規登録する(ステップS1806)。
【0186】
つぎに、更新部607は、接続実績テーブル500から、取得したCell−IDと接続APのESSIDとの組み合わせに対応する接続実績情報を検索する(ステップS1807)。そして、更新部607は、接続実績テーブル500から接続実績情報が複数検索されたか否かを判断する(ステップS1808)。
【0187】
ここで、接続実績情報が複数検索されなかった場合(ステップS1808:No)、更新部607は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。一方、接続実績情報が複数検索された場合(ステップS1808:Yes)、更新部607は、ハンドオーバ対象リスト1400に、取得したCell−IDと接続APのESSIDとを対応付けて登録して(ステップS1809)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0188】
これにより、アクセスポイントAiへの接続時に接続実績テーブル500の記憶内容およびハンドオーバ対象リスト1400の記憶内容を更新することができる。
【0189】
<制御処理手順>
つぎに、移動端末装置101の制御処理手順について説明する。この制御処理は、ハンドオーバ対象リスト1400を用いて、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を制御する処理である。
【0190】
図19は、実施の形態2にかかる移動端末装置101の第2の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19のフローチャートにおいて、まず、通信制御部606は、第1の通信部601からハンドオーバ通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1901)。ここで、ハンドオーバ通知を受け付けた場合(ステップS1901:Yes)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、通信制御部606はハンドオーバにより切り替わった接続APを認識することができる。
【0191】
一方、ハンドオーバ通知を受け付けていない場合(ステップS1901:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から圏外通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1902)。ここで、圏外通知を受け付けた場合(ステップS1902:Yes)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、通信制御部606は、接続APとの接続が切断されたことを認識することができる。
【0192】
一方、圏外通知を受け付けていない場合(ステップS1902:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から接続完了通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1903)。ここで、接続完了通知を受け付けた場合(ステップS1903:Yes)、通信制御部606は、取得部604に対して自装置が属するセルCjのCell−IDの取得要求を行うことにより、自装置が属するセルCjのCell−IDを取得する(ステップS1904)。
【0193】
つぎに、通信制御部606は、ハンドオーバ対象リスト1400から、取得したCell−IDと接続APのESSIDに対応するハンドオーバ対象情報を検索する(ステップS1905)。なお、接続APのESSIDは、ステップS1903において受け付けられた接続完了通知から特定される。
【0194】
そして、通信制御部606は、ハンドオーバ対象リスト1400からハンドオーバ対象情報が検索されたか否かを判断する(ステップS1906)。ここで、ハンドオーバ対象情報が検索された場合(ステップS1906:Yes)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグを「1」に設定して(ステップS1907)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0195】
一方、ハンドオーバ対象情報が検索されなかった場合(ステップS1906:No)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグを「0」に設定して(ステップS1908)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0196】
また、ステップS1903において、接続完了通知を受け付けていない場合(ステップS1903:No)、通信制御部606は、第1の通信部601から信号強度低下通知を受け付けたか否かを判断する(ステップS1909)。ここで、信号強度低下通知を受け付けていない場合(ステップS1909:No)、通信制御部606は、ステップS1901に戻る。
【0197】
一方、信号強度低下通知を受け付けた場合(ステップS1909:Yes)、通信制御部606は、ハンドオーバフラグに「1」が設定されているか否かを判断する(ステップS1910)。ここで、ハンドオーバフラグに「0」が設定されている場合は(ステップS1910:No)、通信制御部606は、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0198】
一方、ハンドオーバフラグに「1」が設定されている場合(ステップS1910:Yes)、通信制御部606は、第1の通信部601にHO用スキャン開始要求を通知して(ステップS1911)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0199】
これにより、接続APからの電波の強度が低下し、かつ、移動端末装置101の周辺にハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiが存在する可能性が高い場合に、ハンドオーバ先となるアクセスポイントAPiを探索する第2のスキャン動作を開始することができる。
【0200】
以上説明したように、実施の形態2にかかる移動端末装置101によれば、ハンドオーバを実施すべき接続APのESSIDがCell−IDと対応付けて登録されたハンドオーバ対象リスト1400を用いて第2のスキャン動作を制御することができる。これにより、接続実績テーブル500を用いて第2のスキャン動作を制御する場合に比べて、ハンドオーバを行うか否かを判断する処理の処理負荷を軽減することができる。
【0201】
なお、本実施の形態で説明した制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。