(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0027】
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]重合体及び[C]酸発生剤を含有する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、任意成分を含有してもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、良好なパターン形状を得ることが可能で、MEEF性能に優れ、またブリッジ欠陥等を生じ難い。以下、各構成成分について説明する。
【0028】
<[A]重合体>
[A]重合体は、上記式(1−1)及び(1−2)でそれぞれ表される複数の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(I)を有し、フッ素原子含有量が5質量%以上の重合体である。[A]重合体は所定量以上のフッ素原子を含有するので、当該感放射線性樹脂組成物からレジスト被膜を形成した際に、被膜中の[A]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト被膜表面で高くなる傾向がある。そのため、液浸露光時において、レジスト被膜中の酸発生剤や酸拡散制御剤等が、水等の液浸露光液に溶出してしまうことを抑制することができる。一方、フッ素原子を含む重合体は一般的には現像液に対する溶解性が低い傾向にあるため、このような重合体がレジスト被膜表層に偏在することはブリッジ欠陥が発生する要因の一つであると考えられる。しかし、この[A]重合体を含有する感放射線性樹脂組成物によれば、ブリッジ等の欠陥を生じにくくなる。これは構造単位(I)の酸解離性基が酸による解離を生じやすく、その結果、露光部における[A]重合体の現像液に対する溶解性を高くすることができるためであると考えられる。
【0029】
<構造単位(I)>
構造単位(I)は、上記式(1−1)及び(1−2)でそれぞれ表される複数の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位である。
【0030】
上記式(1−1)及び(1−2)中、R
1は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。
上記式(1−1)中、Yは、(2+d)価の飽和炭化水素基である。R
2及びR
3は、それぞれ独立して、アルキル基である。但し、R
2及びR
3が互いに結合してYと共に脂環式構造を形成していてもよい。R
4は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
3又はR
4が複数存在する場合、複数のR
3及びR
4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
4の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0〜3の整数である。dは、1又は2である。
上記式(1−2)中、R
5は、アルキル基である。R
6は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
6が複数存在する場合、複数のR
6は同一でも異なっていてもよい。R
6の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。eは1又は2である。fは0〜5の整数である。
【0031】
上記R
1で表される低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基等が挙げられる。この中でも、メチル基が特に好ましい。
【0032】
上記R
1で表されるハロゲン化低級アルキル基としては、ハロゲン原子を有する炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。上記ハロゲン化低級アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基等が挙げられる。この中でも、炭素数1〜4のフッ素化アルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
【0033】
上記R
2及びR
3、R
4及びR
6並びにR
5で表されるアルキル基としてはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基、2−ノルボルニル基等の炭素数4〜20の環状のアルキル基を挙げることができる。
【0034】
上記アルキル基の中で、R
2としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R
3としては、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。R
5としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基及びn−ブチル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。R
4及びR
6としては、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0035】
上記R
4及びR
6で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
【0036】
上記R
4及びR
6で表されるアシル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基等の炭素数1〜10のアシル基が挙げられる。
【0037】
上記R
4及びR
6で表されるアシロキシ基としては、例えば、アセトキシ基、エチリルオキシ基、ブチリルオキシ基、t−ブチリルオキシ基、t−アミリルオキシ基、n−ヘキサンカルボニロキシ基、n−オクタンカルボニロキシ基等の炭素数1〜10のアシロキシ基が挙げられる。
【0038】
上記Yで表される(2+d)価の飽和炭化水素基としては、例えば、上記直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基から(1+d)個の水素原子を除いた基を挙げることができる。この中でも、メタンジイル基及びメタントリイル基が好ましく、メタンジイル基がさらに好ましい。dは、1又は2であるが、1であることがより好ましい。
【0039】
上記R
2及びR
3が互いに結合してYと共に形成する脂環式構造としては、シクロペンタン構造、メチルシクロペンタン構造、エチルシクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、メチルシクロヘキサン構造、エチルシクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、メチルシクロヘプタン構造、エチルシクロヘプタン構造、ノルボルナン構造等を挙げることができる。
【0040】
上記R
4及びR
6が有していてもよい置換基としては、例えば、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基、ヒドロキシル基、アシロキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0041】
上記R
2、R
3及びYから形成される基の例としては、2−プロピル基、2−ブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基等の2級アルキル基;1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等の3級アルキル基等が挙げられる。この中で、構造単位(I−1)の有する酸解離性基の解離容易性が高くなる観点から、2−プロピル基、2−ブチル基、1,1−ジメチルエチル基及び1,1−ジメチルプロピル基が好ましく、2−プロピル基及び2−ブチル基がさらに好ましく、2−プロピル基が特に好ましい。
【0042】
上記構造単位(I)を与える単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−t−ブチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−t−ブチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−t−ブチル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸1−プロピル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸1−n−ブチル−1−シクロオクチルエステル、(メタ)アクリル酸1−t−ブチル−1−シクロオクチルエステル等を挙げることができる。
【0043】
これらの単量体のなかでも、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロオクチルエステル、及び(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロオクチルエステルが好ましい。
【0044】
[A]重合体は、構造単位(I)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0045】
<構造単位(II)>
[A]重合体は、構造単位(I)以外にも、上記式(2−1)〜(2−3)でそれぞれ表される複数の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素原子を有する構造単位(II)をさらに有していてもよい。[A]重合体が、構造単位(II)を有することで、レジスト被膜中の酸発生剤や酸拡散制御剤等の液浸露光液に対する溶出を抑制し、またレジスト被膜と液浸露光液との後退接触角の向上により、液浸露光液の液滴が、レジスト被膜上に残りにくく、その結果、液浸露光液に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
【0046】
[構造単位(II−1)]
構造単位(II−1)は、上記式(2−1)で表される構造単位である。
【0047】
上記式(2−1)中、R
1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。
式(2−1)中、Rf
1は、炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基である。
【0048】
上記R
1で表される低級アルキル基及びハロゲン化低級アルキル基の例としては、上記式(1−1)及び(1−2)のR
1の例を挙げることができる。
【0049】
上記Rf
1で表される炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基としては、例えば、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を挙げることができる。
【0050】
少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−(2−メチルプロピル)基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(2−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(2−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基、3−(3−メチルペンチル)基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を部分フッ素化したもの或いはパーフルオロ化したもの等が挙げられる。
【0051】
上記Rf
1で表される少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、1−(1−シクロペンチルエチル)基、1−(2−シクロペンチルエチル)基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、1−(1−シクロヘキシルエチル)基、1−(2−シクロヘキシルエチル基)、シクロヘプチル基、シクロヘプチルメチル基、1−(1−シクロヘプチルエチル)基、1−(2−シクロヘプチルエチル)基、2−ノルボルニル基等の脂環式炭化水素基を部分フッ素化したもの或いはパーフルオロ化したもの基等が挙げられる。
【0052】
上記構造単位(II−1)を与える好ましい単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルエステル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロn−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロi−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロn−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロi−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロt−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸パーフルオロシクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)エステル、(メタ)アクリル酸1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)エステル等が挙げられる。
【0053】
[構造単位(II−2)及び(II−3)]
上記式(2−2)〜(2−3)中、R
1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。
上記式(2−2)中、R
7は、(g+1)価の連結基である。R
8は、水素原子又は1価の有機基である。R
8が複数存在する場合、複数のR
8は同一でも異なっていてもよい。Rf
2及びRf
3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基である。但し、Rf
2及びRf
3の両方が共に水素原子である場合である場合はない。Rf
2又はRf
3が複数存在する場合、複数のRf
2及びRf
3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。gは、1〜3の整数である。
上記式(2−3)中、R
9は2価の連結基である。R
10は、水素原子又は1価の有機基である。Rf
4及びRf
5は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基である。但し、Rf
4及びRf
5の両方が共に水素原子である場合である場合はない。
【0054】
上記式(2−2)及び(2−3)において、R
8及びR
10は、水素原子または1価の有機基である。上記1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の炭化水素基、酸解離性基、及びアルカリ解離性基を挙げることができる。
【0055】
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基及び炭素数3〜30の1価の環状炭化水素基を挙げることができる。これらの炭化水素基の説明としては、上記式(1−1)におけるR
4及びR
6の説明をそのまま適用することができる(但し、後述する酸解離性基やアルカリ解離性基に該当するものは除く。)。
【0056】
また、上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。このような置換基の例としては、上記式(1−1)のR
4及びR
6が有してもよい置換基の例が挙げられる。
【0057】
「酸解離性基」とは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、酸の存在下で解離する基をいう。
【0058】
上記R
8及びR
10で表される酸解離性基としては、具体的には、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、(チオテトラヒドロピラニルスルファニル)メチル基、(チオテトラヒドロフラニルスルファニル)メチル基、アルコキシ置換メチル基、アルキルスルファニル置換メチル基等を挙げることができる。なお、アルコキシ置換メチル基におけるアルコキシ基(置換基)としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。また、アルキルスルファニル置換メチル基におけるアルキル基(置換基)としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0059】
さらに、上記酸解離性基としては、式[−C(R)
3]で表される基を挙げることができる。なお、この式中、3つのRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基であるか、又はいずれか2つのRが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、かつ残りの1つのRが、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。
【0060】
上記式[−C(R)
3]で表される酸解離性基における、Rの炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0061】
上記Rの炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカンから水素を1つ除いた基等を挙げることができる。
【0062】
この脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上述の1価の脂環式炭化水素基の水素原子の一部又は全部を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0063】
これらの中でも、Rで表される脂環式炭化水素基としては、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンに由来する脂環族環から形成される脂環式炭化水素基や、この脂環式炭化水素基の水素原子の一部又は全部を上記アルキル基で置換した基等が好ましい。
【0064】
また、いずれか2つのRが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子(酸素原子に結合している炭素原子)と共に形成する炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等のような単環式炭化水素基、ノルボルナンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロデカンジイル基のような多環式炭化水素基、アダマンタンジイル基のような架橋多環式炭化水素基を挙げることができる。
【0065】
さらに、Rが互いに結合して形成された2価の脂環式炭化水素基から誘導される基としては、上記2価の脂環式炭化水素基の水素原子の一部又は全部を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0066】
これらの中でも、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等のような単環式炭化水素基や、この2価の脂環式炭化水素基(単環式炭化水素基)を上記アルキル基で置換した基等が好ましい。
【0067】
ここで、上記式[−C(R)
3]で表される酸解離性基の好ましい例としては、t−ブチル基、1−n−(1−エチル−1−メチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジメチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジメチル)ブチル基、1−n−(1,1−ジメチル)ペンチル基、1−(1,1−ジエチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジエチル)ブチル基、1−n−(1,1−ジエチル)ペンチル基、1−(1−メチル)シクロペンチル基、1−(1−エチル)シクロペンチル基、1−(1−n−プロピル)シクロペンチル基、1−(1−i−プロピル)シクロペンチル基、1−(1−メチル)シクロヘキシル基、1−(1−エチル)シクロヘキシル基、1−(1−n−プロピル)シクロヘキシル基、1−(1−i−プロピル)シクロヘキシル基、1−[1−メチル−1−(2−ノルボルニル)]エチル基、1−[1−メチル−1−(2−テトラシクロデカニル)]エチル基、1−[1−メチル−1−(1−アダマンチル)]エチル基、2−(2−メチル)ノルボルニル基、2−(2−エチル)ノルボルニル基、2−(2−n−プロピル)ノルボルニル基、2−(2−i−プロピル)ノルボルニル基、2−(2−メチル)テトラシクロドデカニル基、2−(2−エチル)テトラシクロドデカニル基、2−(2−n−プロピル)テトラシクロドデカニル基、2−(2−i−プロピル)テトラシクロドデカニル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、2−(2−n−プロピル)アダマンチル基、2−(2−i−プロピル)アダマンチル基、及びこれらの脂環族環を含む基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は炭素数4〜20の環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0068】
また、これらの酸解離性基の中でも、上記[−C(R)
3]で表される基、t−ブトキシカルボニル基、及びアルコキシ置換メチル基等が好ましい。特に、構造単位(2−2)においてはt−ブトキシカルボニル基、及びアルコキシ置換メチル基が好ましい。構造単位(2−3)においてはアルコキシ置換メチル基、及び[−C(R)
3]で表される基が好ましい。
【0069】
構造単位(II−2)や構造単位(II−3)として、酸解離性基を有するものを用いると、パターン露光部における[A]重合体の溶解性を向上させることができる点で好ましい。これは、後述のレジストパターン形成方法における露光工程においてレジスト被膜の露光部で発生した酸と反応して極性基を生じるためであると考えられる。
【0070】
「アルカリ解離性基」とは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の極性官能基中の水素原子を置換する基であって、アルカリの存在下で解離する基をいう。
【0071】
R
8及びR
10で表されるアルカリ解離性基としては、上記の性質を示すものであれば特に限定されないが、上記一般式(2−2)においては、下記式(R2−1)で表されるものを挙げることができる。
【0073】
上記式(R2−1)中、R
21は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子に置換された炭素数が1〜10の炭化水素基である。R
21の説明としては、上述のRf
1の説明を適用することができる。
【0074】
R
21としては、上記炭化水素基の水素原子の全部がフッ素原子に置換された直鎖状又は分岐状の炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0075】
また、アルカリ解離性基として、上記式(2−3)中においては、下記式(R2−2)〜(R2−4)でそれぞれ表される基を挙げることができる。
【0079】
上記式(R2−2)及び(R2−3)中、R
22はハロゲン原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、若しくはアシロキシ基である。m
1は0〜5の整数である。m
2は0〜4の整数である。R
22が複数存在する場合は同一でも異なっていてもよい。
上記式(R2−4)中、R
23及びR
24はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であるか、又はR
23及びR
24が互いに結合して炭素数4〜20の脂環式構造を形成してもよい。
【0080】
上記式(R2−2)及び(R2−3)中、R
10で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。これらのうち、フッ素原子が好ましい。
【0081】
上記式(R2−2)及び(R2−3)中、R
10で表される炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、及びアシロキシ基としては、上記式(1−1)におけるR
4及びR
6の説明を適用することができる。
【0082】
上記式(R2−4)中、R
23又はR
24で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、上記R
22と同じものを挙げることができる。
【0083】
また、R
23及びR
24が互いに結合してそれぞれが結合する炭素原子とともに形成する脂環式構造としては、シクロペンタン構造、メチルシクロペンタン構造、エチルシクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、メチルシクロヘキサン構造、エチルシクロヘキサン構造、エチルシクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、メチルシクロヘプタン構造、エチルシクロヘプタン構造、ノルボルナン構造等を挙げることができる。
【0084】
上記式(R2−4)として表されるものの具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−(2−メチルブチル)基、1−(3−メチルブチル)基、2−(3−メチルブチル)基、ネオペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、1−(2−メチルペンチル)基、1−(3−メチルペンチル)基、1−(4−メチルペンチル)基、2−(3−メチルペンチル)基、2−(4−メチルペンチル)基、3−(2−メチルペンチル)基等を挙げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基が好ましい。
【0085】
[A]重合体が、構造単位(II−2)や構造単位(II−3)にアルカリ解離性基を有するものを含むと、[A]重合体の現像液に対する親和性を向上させることができる点で好ましい。これは、後述するパターン形成方法の現像工程において、[A]重合体が現像液と反応し、極性基を生じるためであると考えられる。
【0086】
上記式(2−2)及び(2−3)において、R
8又はR
10が水素原子である場合、構造単位(II−2)及び(II−3)は極性基であるヒドロキシル基やカルボキシル基を有することになる。[A]重合体が、このような構造単位を含むことにより、後述するパターン形成方法の現像工程において、[A]重合体の現像液に対する親和性を向上させることができる。
【0087】
上記式(2−2)中、R
7は(g+1)価の連結基である。このような連結基としては、単結合又は炭素数が1〜30の(g+1)価の炭化水素基を挙げることができる。また、これらの炭化水素基と酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−とを組み合わせた基を挙げることができる。gは1〜3の整数である。gが2又は3の場合、上記式(2−2)において
【0088】
【化11】
で表される構造は互いに独立している。
【0089】
鎖状構造を有するR
7としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、2−メチルプロパン、ペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数1〜10の鎖状炭化水素から(g+1)個の水素原子を取り除いた構造の(g+1)価鎖状炭化水素基等を挙げることができる。
【0090】
環状構造を有するR
7としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン等の炭素数4〜20の脂環式炭化水素から(g+1)個の水素原子を取り除いた構造の(g+1)価脂環式炭化水素基;ベンゼン、ナフタレン等の炭素数6〜30の芳香族炭化水素から(g+1)個の水素原子を取り除いた構造の(g+1)価芳香族炭化水素基等を挙げることができる。
【0091】
また、上記炭化水素基と酸素原子、硫黄原子、イミノ基、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−とを組み合わせた基としては、例えば、下記式で表される基を挙げることができる。
【0093】
上記式中、R
25及びR
26はそれぞれ独立して、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基、炭素数4〜20の2価の環状炭化水素基又は炭素数6〜30で2価の芳香族炭化水素基である。gは、上記式(2−2)と同義である。
【0094】
R
25及びR
26で表される炭素数1〜10で2価の鎖状炭化水素基、炭素数4〜20で2価の環状炭化水素基及び炭素数6〜30で2価の芳香族炭化水素基としては、上記のR
7の説明をそのまま適用することができる。
【0095】
R
7は置換基を有していてもよい。このような置換基の例としては、上記式(1−1)及び(1−2)のR
4及びR
6が有していてもよい置換基の例を挙げることができる。
【0096】
上記式(2−3)のR
9で表される2価の連結基としては、上記R
7の説明においてg=1とした場合の説明を適用することができる。
【0097】
上記式(2−2)及び(2−3)において、Rf
2〜Rf
5はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基である。但し、Rf
2及びRf
3の両方が共に水素原子である場合はなく、Rf
4及びRf
5の両方が共に水素原子である場合もない。Rf
2〜Rf
5で表される炭素数1〜30のフッ素化炭化水素基としては、上記式(2−1)におけるRf
1の説明をそのまま適用することができる。
【0098】
上記式(2−2)における下記式(b1)で表される部分構造、及び(2−3)における(b2)で表される部分構造としては、例えば、下記式(b−1)〜(b−5)で表されるものを挙げることができる。これらの中でも、上記式(2−2)においては下記式(b−5)で表されるものが好ましく、上記式(2−3)においては下記式(b−3)で表されるものが好ましい。
【0101】
構造単位(II−2)の具体例としては、下記式(2−2−1)及び(2−2−2)で表されるものを挙げることができる。
【0103】
上記式(2−2−1)及び(2−2−2)中、R
1、R
7、R
8及びgは上記式(2−2)と同義である。このような構造単位を与える単量体としては、下記式で表されるものを挙げることができる。
【0105】
上記式中、R
1、及びR
8は上記式(2−2)と同義である。
【0106】
上記式において、R
8が酸解離性基やアルカリ解離性基である単量体は、例えば上記各式においてR
8が水素原子である化合物を原料として合成することができる。例としてR
8が上記式(R2−1)で表される化合物について示すと、上記各式においてR
8が水素原子である化合物を従来公知の方法によりフルオロアシル化することで合成することができる。例えば、1)酸の存在下、アルコールとフルオロカルボン酸を縮合させてエステル化する、2)塩基の存在下、アルコールとフルオロカルボン酸ハロゲン化物を縮合させてエステル化する等の方法を挙げることができる。
【0107】
構造単位(II−3)の具体例としては下記式で表されるものを挙げることができる。
【0109】
上記式(2−3−1)中、R
1、R
9及びR
10は上記式(2−3)と同義である。このような構造単位を与える単量体としては下記式で表されるものを挙げることができる。
【0111】
上記式中、R
1及びR
10は上記式(2−3)と同義である。
【0112】
上記式において、R
10が酸解離性基やアルカリ解離性基である単量体は、例えば上記各式においてR
10が水素原子である化合物やその誘導体を原料として合成することができる。例としてR
10が上記式(2−2)〜(2−4)で表される化合物について示すと、これらの化合物は、例えば、下記式(m−2−3)で表される化合物と、下記式(m−2−4−1)〜(m−2−4−3)でそれぞれ表される化合物とを反応させることによって得ることができる。
【0114】
上記式(m−2−3)中、R
1、R
9、Rf
4及びRf
5は、上記式(2−3)と同義である。R
17は水酸基又はハロゲン原子を示す。
【0118】
上記式(m−2−4−1)及び(m−2−4−2)中、R
12は式(R2−2)と同義である。
上記式(m−2−4−1)中、X
1は、ハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子である。m1は0〜5の整数である。
上記式(m−2−4−2)中、X
2は、ハロゲン原子であり、好ましくは臭素原子である。m2は0〜4の整数である。
【0119】
また、上記R
10が酸解離性基やアルカリ解離性基である単量体は、下記式(m−2−5)で表される化合物と下記式(m−2−6)で表される化合物とを反応させることによっても得ることができる。
【0122】
上記式(m−2−5)中、R
7、R
10、Rf
4及びRf
5は、式(2−3)と同義である。
上記式(m−2−6)中、R
1は、式(2−3)と同義である。X
3は水酸基又はハロゲン原子である。
【0123】
[A]重合体は、上記構造単位(II−1)〜(II−3)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよいが、構造単位(II−1)〜(II−3)のうち2種以上含有することが好ましく、構造単位(II−2)と構造単位(II−3)とを組み合せることが特に好ましい。
【0124】
[A]重合体は、上記構造単位(I)及び(II)以外にも、上記構造単位(I)以外の酸解離性基を有する構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう。)、アルカリ可溶性基を有する構造単位(上記構造単位(II−3)に該当するものを除く。)(以下、「構造単位(IV)」ともいう。)、又はアルカリ反応性基を有する構造単位(上記構造単位(II−3)に該当するものを除く。)(以下、「構造単位(V)」ともいう。)を、さらに含んでいることが好ましい。
【0125】
<構造単位(III)>
構造単位(III)は上記構造単位(I)以外の酸解離性基を有する構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)を有することで、露光後における現像液への溶解性を調整することができる。構造単位(III)としては、例えば、下記式(3)で表される構造単位が好ましい。
【0127】
上記式(3)中、R
1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。R
31〜R
33は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基である。R
31及びR
32が互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基を形成し、かつR
23が炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはそれから誘導される基であってもよい。但し、上記式(3)として、上記式(1−1)又は(1−2)に該当するものは除かれる。
【0128】
上記R
1の例としては、上記式(1−1)及び(1−2)におけるR
1の例を挙げることができる。
【0129】
上記R
31〜R
33で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。また、上記R
31〜R
33で表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基、R
31及びR
32が互いに結合してそれぞれが結合している炭素原子とともに形成される炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、アダマンタン骨格、ノルボルナン骨格、トリシクロデカン骨格、テトラシクロドデカン骨格等の有橋式骨格や、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン骨格を有する基;これらの基の水素原子の一部又は全部を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は炭素数4〜20の環状のアルキル基の1種又は1個以上で置換した基等が挙げられる。
【0130】
上記式(3)で表される構造単位を与える単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ヒドロキシアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−3−ヒドロキシアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンタン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−8−メチルトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルステル、(メタ)アクリル酸−8−エチルトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチルテトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチルテトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン−4−イルエステル、
【0131】
(メタ)アクリル酸2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン−4−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(アダマンタン−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシアダマンタン−2−イル)−2−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン−4−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,2−ジ(アダマンタン−2−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等を挙げることができる。
【0132】
<構造単位(IV)>
構造単位(IV)は、アルカリ可溶性基を有する構造単位である(但し、上記構造単位(II−3)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(IV)を有することで、露光後における現像液への溶解性が向上する。その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能及びブリッジ等欠陥抑制性が向上する。
【0133】
構造単位(IV)におけるアルカリ可溶性基は、現像液に対する溶解性向上の観点から、pKaが4〜11の水素原子を有する官能基であることが好ましい。このような官能基として、具体的には、上記式(4−1)及び式(4−2)で表される官能基等を挙げることができる。
【0134】
上記式(4−1)中、R
41は、フッ素原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基である。
【0135】
上記R
41で表されるフッ素原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10の炭化水素基における1又は2以上の水素原子がフッ素原子に置換されたものであれば特に限定されないが、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0136】
構造単位(IV)の主鎖骨格は、特に限定されるものではないが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はα−トリフルオロアクリル酸エステル等に由来する骨格であることが好ましい。
【0137】
構造単位(IV)の例としては、例えば、下記式(m−4−1)及び下記式(m−4−2)でそれぞれ表される単量体に由来する構造単位が挙げられる。
【0139】
上記式(m−4−1)及び(m−4−2)中、R
1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。R
42は、2価の連結基である。
上記式(m−4−1)中、R
41は、式(4−1)と同義である。
【0140】
上記式(m−4−1)及び(m−4−2)におけるR
42で表される2価の連結基としては、上記式(2−3)中のR
9の説明を適用することができる。
【0141】
[A]重合体は、構造単位(IV)を1種単独で又は2種以上を組み合わせて有していてもよい。
【0142】
<構造単位(V)>
構造単位(V)は、アルカリ反応性基を有する構造単位である(但し、構造単位(II−3)に該当するものを除く)。[A]重合体が構造単位(V)を有することで、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜の現像液に対する溶解性を高めることができる。構造単位(V)における上記アルカリ反応性基としては、ラクトン構造又は環状カーボネート構造を有する基が好ましい。
【0143】
上記構造単位(V)の主鎖骨格は、特に限定されるものではないが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はα−トリフルオロアクリル酸エステル等に由来する骨格であることが好ましい。
【0144】
[ラクトン構造を有する構造単位(V−1)]
構造単位(V−1)は、上記構造単位(V)のアルカリ反応性基がラクトン構造を有する基である構造単位である。構造単位(V−1)の例としては、例えば、下記式(5a−1)〜(5a−6)で表される構造単位を挙げることができる。
【0146】
上記式(5a−1)〜(5a−6)中、R
1は、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。R
51は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基である。R
52は、水素原子又はメトキシ基である。Aは、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価の脂環式炭化水素基、炭素数が6〜30の2価の芳香族炭化水素基又はこれらを組み合わせた2価の基である。Bは、酸素原子又はメチレン基である。pは1〜3の整数である。mは0又は1である。
【0147】
上記R
51で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。また、このアルキル基の水素原子の一部又は全部を置換する具体的な置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基、アシロキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0148】
上記Aで表される炭素数1〜30の2価の鎖状炭化水素基としては、例えばメチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサレン基等の直鎖状アルキレン基;1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、1−プロピリデン基、2−プロピリデン基等の分岐状アルキレン基等を挙げることができる。
【0149】
上記Aで表される炭素数3〜30である2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等の単環式シクロアルキレン基;1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等の多環式シクロアルキレン基等を挙げることができる。
【0150】
上記Aで表される炭素数6〜30である2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、アントリレン基等のアリーレン基等を挙げることができる。
【0151】
また、これらの鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。このような置換基の例としては、上記式(1−1)及び(1−2)のR
4及びR
6が有していてもよい置換基の例が挙げられる。
【0152】
上記ラクトン構造を有する構造単位(V−1)を与える好ましい単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.0
3,8]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−10−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.0
3,8]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2,2−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル等が挙げられる。
【0153】
[環状カーボネート構造を有する構造単位(V−2)]
構造単位(V−2)は、上記構造単位(V)のアルカリ反応性基が、環状カーボネート構造を有する基である構造単位である。構造単位(V−2)の例としては、例えば、下記式(5b)で表される構造単位を挙げることができる。
【0155】
上記式(5b)中、R
1は水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。R
53は、水素原子又は炭素数1〜5の鎖状炭化水素基である。nは2〜4の整数である。R
51が複数存在する場合はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Dは単結合、炭素数1〜30の2価若しくは3価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価若しくは3価のヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価若しくは3価の芳香族炭化水素基である。Dが3価の炭化水素基の場合、Dに含まれる炭素原子と環状カーボネート環を構成する炭素原子とが結合して、環構造が形成されている。
【0156】
上記式(5b)中、nは2〜4の整数である。すなわち、環状カーボネート構造は、n=2(エチレン基)の場合は5員環構造、n=3(プロピレン基)の場合は6員環構造、n=4(ブチレン基)の場合は7員環構造となる。
【0157】
上記式(5b)中、Dは、単結合、炭素数1〜30の2価若しくは3価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の2価若しくは3価のヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価若しくは3価の芳香族炭化水素基である。これらの鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。
【0158】
Dが単結合の場合、[A]重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルの酸素原子と環状カーボネート構造を形成する炭素原子とが直接結合されることになる。
【0159】
上記式(5b)で表される構造単位の特に好ましい例としては、下記式(5b−1)〜(5b−21)で表される構造単位を挙げることができる。
【0161】
上記式(5b−1)〜(5b−21)中、R
1は上記式(5b)と同義である。
【0162】
[A]重合体は、構造単位(V)として、上記式(5a−1)〜(5a−6)でそれぞれ表される構造単位及び上記式(5b−1)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を含むことが、現像液に対する溶解性向上の観点から特に好ましい。
【0163】
[A]重合体は、構造単位(V)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0164】
<各構造単位の含有割合>
ここで、本発明における[A]重合体を構成する全構造単位に対する上記各構造単位の好ましい含有割合を以下に示す。
構造単位(I)の含有割合は、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能及びブリッジ等の欠陥抑制性がさらに向上する観点から、10〜90モル%であることが好ましく、より好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜80モル%である。
上記構造単位(II)の含有割合は、レジスト被膜からの酸発生剤等の液浸露光液に対する溶出抑制性、及びレジスト被膜と液浸露光液との後退接触角をさらに効率的に高める観点から、20〜90モル%であることが好ましく、より好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは20〜70モル%である。
【0165】
上記構造単位(III)の含有割合は、パターン形成性をさらに高める観点から、通常80モル%以下、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。
上記構造単位(IV)の含有割合は、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能及びブリッジ等の欠陥抑制性がさらに向上する観点から、通常50モル%以下、好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは5〜20モル%である。
上記構造単位(V)の含有割合は、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト被膜の現像液に対する親和性向上の観点から、通常50モル%以下、好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは5〜20モル%である。
【0166】
[フッ素原子含有量]
[A]重合体におけるフッ素原子含有量は、[A]重合体全体を100質量%として、5質量%以上であり、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%である。なお、このフッ素原子含有量は
13C−NMRにより測定することができる。[A]重合体におけるフッ素原子含有量が上記範囲内であると、[A]重合体及び後述する[B]重合体を含有する感放射線性樹脂組成物によって形成されたレジスト塗膜表面の撥水性を高めることができ、液浸露光時に上層膜を別途形成する必要がなくなる。
【0167】
当該感放射線性樹脂組成物における[A]重合体の含有量は、後述する[B]重合体100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上15質量部以下である。この含有量を上記範囲内とすることで、ブリッジ欠陥をさらに抑制できるとともに、MEEF性能にさらに優れるパターンを形成することができる。また、酸発生剤等がさらに溶出しにくいレジスト被膜を得ることができる。[A]重合体の含有量が上記下限より小さいと、上記効果が小さくなる傾向がある。一方、[A]重合体の含有量が上記上限より大きいと、ライン・アンド・スペースパターンを形成したときに、孤立ライン(ライン部)の焦点深度が小さくなったり、現像欠陥が発生したりするおそれがある。
【0168】
[A]重合体は、本発明の感放射線性樹脂組成物に、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0169】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば、所定の各構造単位を与える重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより合成することができる。
【0170】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0171】
上記重合における反応温度は、40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜120℃である。また、反応時間は、1〜48時間であることが好ましく、より好ましくは1〜24時間である。
【0172】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、1,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜40,000、さらに好ましくは1,000〜30,000である。このMwが上記範囲内である場合、良好な現像性を保ちつつ、十分な後退接触角を有するレジスト被膜を得ることができる。
【0173】
[A]重合体のMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜4である。
【0174】
[A]重合体は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。このような不純物の含有量が少ないと、レジスト被膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに向上させることができる。
【0175】
[A]重合体の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等を挙げることができる。
液々抽出に用いる溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類等を挙げることができる。これらのなかでも、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メタノール、エタノール、アセトン、及び2−ブタノンが好ましい。
【0176】
<[B]重合体>
[B]重合体は、酸解離性基を有し、フッ素原子含有量が5質量%未満である重合体である。[B]重合体は、この酸解離性基が解離することによりアルカリ可溶性となる。[B]重合体の酸解離性基としては特に限定されないが、その構造中に環状炭化水素基を有する基であることが好ましい。環状炭化水素基を有する酸解離性基を含む[B]重合体は、酸解離性基が容易に解離するため、感度が高くなるという利点がある。
【0177】
上記環状炭化水素を有する酸解離性基としては、例えば、1−(1−メチル)シクロペンチル基、1−(1−エチル)シクロペンチル基、1−(1−n−プロピル)シクロペンチル基、1−(1−イソプロピル)シクロペンチル基、1−(1−メチル)シクロヘキシル基、1−(1−エチル)シクロヘキシル基、1−(1−メチル)シクロオクチル基、1−(1−エチル)シクロオクチル基、1−(1−メチル)アダマンチル基、1−(1−エチル)アダマンチル基、1−(1−n−プロピル)アダマンチル基、1−(1−イソプロピル)アダマンチル基が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は炭素数4〜20の環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。これらの中でも、酸解離性基の解離容易性の観点から、1−(1−エチル)シクロペンチル基が好ましい。
【0178】
[B]重合体としては、具体的には、ノルボルネン誘導体等を重合して得られるノルボルナン環等の脂環式骨格を主鎖に有する重合体、ノルボルネン誘導体と無水マレイン酸とを共重合して得られるノルボルナン環及び無水マレイン酸由来骨格を主鎖に有する重合体、ノルボルネン誘導体と(メタ)アクリル化合物を共重合して得られるノルボルナン環と(メタ)アクリル構造とを主鎖に有する重合体、ノルボルネン誘導体、無水マレイン酸及び(メタ)アクリル化合物を共重合して得られるノルボルナン環と無水マレイン酸由来骨格と(メタ)アクリル構造とを主鎖に有する重合体、(メタ)アクリル化合物を重合して得られる(メタ)アクリル構造を主鎖に有する重合体等を挙げることができる。
【0179】
[B]重合体としては、上述の構造単位(I)及び/又は構造単位(III)(以下、これらをまとめて「構造単位(b1)」ともいう。)を含有することが好ましい。
【0180】
[B]重合体における上記構造単位(b1)の含有割合は、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、10〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜60モル%、さらに好ましくは20〜50モル%である。この含有割合が上記下限より小さいと、形成したレジスト被膜の解像度が低下するおそれがある。一方、この含有割合が上記上限より大きいと、現像性、及び露光余裕が低下するおそれがある。
【0181】
[B]重合体は、ラクトン構造を有する構造単位(以下、「ラクトン構造含有構造単位」ともいう。)や環状カーボネート構造を含有する構造単位(以下、「環状カーボネート構造含有構造単位」ともいう。)をさらに含んでいることが好ましい。このラクトン構造含有構造単位や環状カーボネート構造含有構造単位を含むことで、レジスト膜の基板への密着性を向上させることができる。
【0182】
[B]重合体における上記ラクトン構造含有構造単位及び環状カーボネート構造含有構造単位の含有割合は、それぞれ独立して[B]重合体を構成する全構造単位に対して、5〜85モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは15〜60モル%である。
【0183】
[フッ素原子含有量]
[B]重合体におけるフッ素原子含有量は、5質量%未満であり、好ましくは0〜4.9質量%、さらに好ましくは0〜4質量%である。なお、このフッ素原子含有量は
13C−NMRにより測定することができる。[B]重合体におけるフッ素原子含有量が上記範囲内とすることで、[B]重合体及び上述の[A]重合体を含む感放射線性樹脂組成物によって形成されたレジスト塗膜表面の撥水性を高めることができ、液浸露光時に上層膜を別途形成する必要がなくなる。
【0184】
<[B]重合体の合成方法>
[B]重合体は、例えば、所定の各構造単位を与える重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより合成することができる。
【0185】
上記[B]重合体の重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類等を挙げることができる。
これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0186】
上記重合における反応温度は、40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは50〜120℃である。また、反応時間は、1〜48時間であることが好ましく、より好ましくは1〜24時間である。
【0187】
[B]重合体のGPCによるMwは、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは1,000〜20,000である。このMwが上記下限未満だと、形成したレジスト被膜の耐熱性が低下するおそれがある。一方、このMwが上記上限を超えると、形成したレジスト被膜の現像性が低下するおそれがある。
【0188】
[B]重合体のMwとMnとの比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
【0189】
[B]重合体は、この[B]重合体を調製する際に用いられる単量体に由来する低分子量成分(以下、「低分子量成分(b)」ともいう。)の含有割合が、0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.07質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。この含有割合が0.1質量%以下である場合、液浸露光時に、レジスト被膜に接触した水等の液浸露光液に対して溶出してしまう溶出物の量を少なくすることができる。さらに、当該感放射線性樹脂組成物の保管時に異物が発生しにくく、塗布時に塗布ムラが発生し難いことに加え、レジストパターン形成時における欠陥の発生をさらに良好に抑制することができる。
【0190】
上記低分子量成分(b)は、分子量500以下の成分であり、例えば、単量体、単量体に由来するダイマー、トリマー、オリゴマーを挙げることができる。なお、低分子量成分(b)は、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等により除去することができる。
【0191】
なお、[B]重合体は、ハロゲン、金属等の不純物の含有量が少ないほど好ましい。このような不純物の含有量が少ないと、レジスト被膜の感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等をさらに向上させることができる。
【0192】
[B]重合体の精製法としては、上述した、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた方法等を挙げることができる。
【0193】
[B]重合体は、本発明の感放射線性樹脂組成物に、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0195】
[C]酸発生剤は、露光により酸を発生するものである。[C]酸発生剤は、露光により発生した酸の作用によって、[A]重合体中に存在する酸解離性基を解離させて、[A]重合体をアルカリ可溶性にする。その結果、レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。このような[C]酸発生剤としては、例えば、特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等を挙げることができる。
【0196】
[C]酸発生剤としては、具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル−2−オキソシクロヘキシル−メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル−2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0197】
4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、
【0198】
トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。[C]酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0199】
[C]酸発生剤の含有量は、[A]重合体100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、2〜27質量部であることがさらに好ましく、5〜25質量部であることが特に好ましい。[C]酸発生剤の含有量が0.1質量部未満であると、レジスト被膜としての感度や解像度が低下する場合がある。一方[C]酸発生剤の含有量が30質量部を超えると、レジスト被膜としての塗布性やパターン形状が低下する場合がある。
【0200】
<任意成分>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、[A]重合体、[B]重合体及び[C]酸発生剤以外にも、必要に応じて、酸拡散制御剤、溶媒、各種の添加剤(例えば、脂環族添加剤、界面活性剤、ラクトン化合物等)等の任意成分を含有させることができる。
【0201】
[酸拡散抑制剤]
酸拡散制御剤としては、例えば、下記式(6)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう。)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう。)、窒素原子を3個以上有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。当該感放射線性樹脂組成物は、酸拡散制御剤を含有することにより、レジストとしてのパターン形状の良好性や寸法忠実度を向上させることができる。
【0203】
上記式(6)中、R
61〜R
63は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、若しくはアラルキル基である。
【0204】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0205】
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0206】
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0207】
アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0208】
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0209】
含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類の他、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0210】
これらの酸拡散制御剤の中でも、含窒素化合物(I)、含窒素化合物(II)、及び含窒素複素環化合物が好ましい。酸拡散制御剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。酸拡散制御剤の含有量は、[B]重合体100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。酸拡散制御剤の含有量が上記上限を超えると、形成したレジスト被膜の感度が著しく低下する傾向にある。
【0211】
[脂環族添加剤]
脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンチル酢酸t−ブチル、1−アダマンチル酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンチレンジ酢酸ジ−t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類等を挙げることができる。これらの脂環族添加剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。脂環族添加剤の含有量は、[B]重合体100質量部に対して、通常、50質量部以下であり、好ましくは30質量部以下である。
【0212】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、現像性等を改良する作用を示す成分である。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。界面活性剤の含有量は、[B]重合体100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
【0213】
[ラクトン化合物]
ラクトン化合物は、[A]重合体を、効率的にレジスト膜表面に偏析させる効果を有するものである。そのため、このラクトン化合物を含有させることで、[A]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、LWR(Line Width Roughness)良好性、現像欠陥抑制性、パターン倒れ耐性等のレジスト基本特性を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出を抑制したり、液浸露光における高速スキャンにおいても液滴の残留が抑制され、結果として、レジスト膜表面の撥水性を維持しつつ、ウォーターマーク欠陥等の液浸露光に起因する欠陥を抑制することができる。
【0214】
具体的なラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等を挙げることができる。
【0215】
当該感放射線性樹脂組成物には、上記ラクトン化合物が1種類のみ含有されていてもよいし、2種以上含有されていてもよい。
【0216】
当該感放射線性樹脂組成物において、上記ラクトン化合物の含有量は、[B]重合体100質量部に対して、30〜200質量部が好ましく、より好ましくは50〜150質量部である。
【0217】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば、[A]重合体、[B]重合体及び[C]酸発生剤、及び必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は、通常、その使用に際して、全固形分濃度が1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%となるように溶媒に溶解した後、例えば孔径0.02μm程度のフィルターでろ過することによって、組成物溶液として調製される。
【0218】
組成物溶液の調製に使用される溶媒としては、例えば、直鎖状又は分岐状のケトン類;環状のケトン類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−アルコキシプロピオン酸アルキル類の他
【0219】
n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、
【0220】
トルエン、キシレン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
【0221】
これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、直鎖状又は分岐状のケトン類、環状のケトン類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類、3−アルコキシプロピオン酸アルキル類が好ましい。
【0222】
<レジストパターンの形成方法>
本発明のレジストパターンの形成方法は、(1)当該感放射線性樹脂組成物を用いて基板上にフォトレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう。)、(2)上記フォトレジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体を介して上記フォトレジスト膜を液浸露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう。)、及び(3)液浸露光された上記フォトレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(3)」ともいう。)を有する。当該レジストパターンの形成方法によれば、良好なパターン形状のレジストパターンを形成することができる。
【0223】
工程(1)では、本発明の感放射線性樹脂組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜が形成される。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるように感放射線性樹脂組成物溶液を塗布したのち、プレベーク(PB)することにより塗膜中の溶媒を揮発させ、レジスト膜が形成される。
【0224】
上記レジスト膜の厚みは特に限定されないが、10〜5,000nmであることが好ましく、10〜2,000nmであることがさらに好ましい。また、プレベークの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、30〜200℃程度であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
【0225】
工程(2)では、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、液浸露光用液体を介して、放射線を照射し、フォトレジスト膜を液浸露光する。
【0226】
上記液浸露光用液体としては、例えば、純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等を用いることができる。
【0227】
上記放射線としては、使用される[C]酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等から適宜選定されて使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)又はKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。
【0228】
また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
【0229】
本発明のパターン形成方法においては、露光後に加熱処理(PEB:ポストエクスポージャーベーク)を行うことが好ましい。このPEBにより、重合体成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常、30〜200℃であり、好ましくは50〜170℃である。
【0230】
本発明のパターン形成方法においては、感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。さらに、液浸露光においてレジスト被膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば、特開2005−352384号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。また、これらの技術は併用することができる。
【0231】
なお、液浸露光によるレジストパターン形成方法においては、レジスト被膜上に、上述の保護膜(上層膜)を設けることなく、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて得られるレジスト被膜のみにより、レジストパターンを形成することができる。このような上層膜フリーのレジスト被膜によりレジストパターンを形成する場合、保護膜(上層膜)の製膜工程を省くことができ、スループットの向上が期待できる。
【0232】
工程(3)では、工程(2)において液浸露光されたレジスト膜を現像することにより、所定のレジストパターンが形成される。
【0233】
上記現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0234】
上記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
【0235】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、有機溶媒を添加することもできる。
上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類の他、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0236】
上記有機溶媒の使用量は、上記アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下であることが好ましい。有機溶媒の使用量が100体積部を超えると、現像性が低下して、露光部の現像残りが増加するおそれがある。上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0237】
<重合体>
本発明の重合体は、上記式(1−1)及び(1−2)でそれぞれ表される複数の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位(I)を有し、フッ素原子含有量が5質量%以上である重合体である。
【0238】
上記式(1−1)及び(1−2)中、R
1は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基である。
上記式(1−1)中、Yは、(2+d)価の飽和炭化水素基である。R
2及びR
3は、それぞれ独立して、アルキル基である。但し、R
2及びR
3が互いに結合してYと共に脂環式構造を形成していてもよい。R
4は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
3又はR
4が複数存在する場合、複数のR
3及びR
4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
4の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。aは、1又は2である。bは、0〜3の整数である。dは、1又は2である。
上記式(1−2)中、R
5は、アルキル基である。R
6は、アルキル基、アルコキシ基、アシル基又はアシロキシ基である。R
6が複数存在する場合、複数のR
6は同一でも異なっていてもよい。R
6の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよい。eは1又は2である。fは0〜5の整数である。
【0239】
上記重合体は、上述したように、フッ素原子含有量が所定値以上であることでレジスト被膜表層に偏在化することができ、かつ酸の作用後において現像液に溶解し易くなるという特性を有している。従って、当該重合体は、例えば、リソグラフィー技術に用いられる感放射線性樹脂組成物等に好適である。
【0240】
上記重合体については、当該感放射線性樹脂組成物のところで記載しているので、ここでは説明を省略する。
【実施例】
【0241】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」は、特記しない限り質量基準である。本実施例における物性の測定は、下記方法に従い行った。
【0242】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
[A]重合体及び[B]重合体のMw及びMnは、東ソー社製のGPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0mL/分、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、Mw及びMnの測定結果から分散度(Mw/Mn)を算出した。
【0243】
[
13C−NMR分析]
[A]重合体及び[B]重合体の
13C−NMR分析は、日本電子社製「JNM−EX270」を用いて行った。
【0244】
<[A]重合体の合成>
[A]重合体(重合体(A−1)〜(A−11))の合成に用いた単量体(化合物(M−1)〜(M−9))を以下に示す。
なお、下記化合物(M−1)〜(M−4)は、上述の構造単位(1−1)及び(1−2)を与える単量体であり、下記化合物(M−6)及び(M−9)は、上述の構造単位(2−1)〜(2−3)を与える単量体である。
【0245】
【化31】
【0246】
[合成例1]
(重合体(A−1)の合成)
まず、単量体として上記化合物(M−1)60モル%、化合物(M−7)25モル%、化合物(M−8)15モル%、及び、開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))を50gの2−ブタノンに溶解した単量体溶液を準備した。仕込みの単量体の合計量は50gとした。なお、各単量体のモル%は単量体全量に対するモル%を表し、開始剤の使用割合は、単量体と開始剤の合計量に対して、5モル%とした。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三つ口フラスコに2−ブタノン50gを加え、30分間窒素パージを行った。その後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
次いで、上記単量体溶液をフラスコ内に、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下後3時間熟成させ、その後、30℃以下になるまで冷却して重合体溶液を得た。
それから、重合体溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンでその重合体溶液を均一に希釈し、600gのメタノールを投入して混合した。次いで、30gの蒸留水を投入した後、攪拌して30分静置した。その後、下層を回収し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液とした。このプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液中の重合体を重合体(A−1)とする。
この重合体(A−1)は、Mwが6,000であり、Mw/Mnが1.7であった。
13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)は、各単量体に由来する各構造単位の含有比率[(M−1):(M−7):(M−8)]が、58.8:23.4:17.8(モル%)の共重合体であった。
【0247】
[合成例2〜11]
(重合体(A−2)〜(A−11)の合成)
合成例1において、下記表1に示す種類及び配合比の単量体化合物を用いたこと以外は、合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−11)を合成した。得られた各重合体について、各単量体に由来する構造単位の含有比率、重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を測定した。これらの測定値を表2に示す。
【0248】
【表1】
【0249】
【表2】
【0250】
<[B]重合体の合成>
[B]重合体(重合体(B−1)及び(B−2))の合成に用いた単量体(化合物(M−A)〜(M−F))を以下に示す。
【0251】
【化32】
【0252】
[合成例12]
(重合体(B−1)の合成)
上記化合物(M−A)31.63g(35モル%)、上記化合物(M−B)12.32g(10モル%)、上記化合物(M−C)6.45g(10モル%)、及び上記化合物(M−D)49.60g(45モル%)を、2−ブタノン200gに溶解し、さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8.14g(単量体の全体量に対して10モル%)を加えて単量体溶液を得た。
一方、100gの2−ブタノンを仕込んだ500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内を攪拌しながら80℃に加熱し、上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間行った。重合終了後、重合体溶液は、水冷によって30℃以下に冷却し、4,000gのメタノールに投入して白色粉末を析出させた。その後、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を800gのメタノールを用いてスラリー状にすることで2回洗浄した後、ろ別した。その後、50℃で17時間乾燥し、白色粉末の重合体(B−1)を得た(70g、収率70%)。
この重合体(B−1)は、Mwが4,300であり、Mw/Mnが1.3であった。
13C−NMR分析の結果、重合体(B−1)は、各単量体に由来する各構造単位の含有比率[(M−A):(M−B):(M−C):(M−D)]が、36.8:9.4:10.2:43.6(モル%)の共重合体であった。
【0253】
[合成例13]
(重合体(B−2)の合成)
合成例12において、下記表3に示す種類及び配合比の化合物(単量体)を用いたこと、及びAIBNをモノマー量に対して5モル%使用したこと以外は、合成例12と同様にして、重合体(B−2)を合成した。
【0254】
重合体(B−1)及び(B−2)について、各単量体に由来する構造単位の含有比率、重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)の測定値を表4に示す。
【0255】
【表3】
【0256】
【表4】
【0257】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
当該感放射線性樹脂組成物を構成する上記合成した[A]重合体及び[B]重合体以外の成分([C]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤、[E]溶媒)について、以下に示す。
【0258】
([C]酸発生剤)
(C−1):4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(下記式(C−1)で表される化合物)
(C−2):トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(下記式(C−2)で表される化合物)
【0259】
【化33】
【0260】
([D]酸拡散制御剤)
(D−1):N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
(D−2):2−フェニルベンゾイミダゾール
【0261】
([E]溶媒)
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):シクロヘキサノン
【0262】
([F]ラクトン化合物)
(F−1):γ−ブチロラクトン
【0263】
[実施例1]
重合体(A−1)3部、重合体(B−1)100部、酸発生剤(C−1)12部、酸拡散制御剤(D−1)1部、溶媒(E−1)1,360部及び溶媒(E−2)580部、並びにラクトン化合物(F−1)30部を混合して、実施例1の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0264】
[実施例2〜10及び比較例1〜3]
実施例1において、各成分を下記表5に示す種類及び配合量で混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜3の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0265】
【表5】
【0266】
<感放射線性樹脂組成物の評価>
実施例1〜10及び比較例1〜3の各感放射線性樹脂組成物について、下記(1)及び(2)の評価方法に従い、ブリッジ欠陥及びマスクエラーファクター(MEEF)性能についての評価を行った。これらの評価結果を表6に示す。
【0267】
(1)ブリッジ欠陥抑制性
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウェハを用いた。なお、この反射防止膜の形成には、スピンコーター(「CLEAN TRACK ACT12」、東京エレクトロン社製)を用いた。
次いで、上記実施例及び比較例で得られた感放射線性樹脂組成物を上記基板上に、上記CLEAN TRACK ACT12にて、スピンコートし、120℃で60秒間プレベーク(PB)を行うことにより、膜厚150nmのレジスト被膜を形成した。このレジスト被膜に、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「ASML AT1250i」、ASML製)をNA=0.85、σ
0/σ
1=0.96/0.76、Annularにより、マスクパターンを介して露光した。この際、レジスト上面と液浸露光機レンズとの間の液浸溶媒としては純水を用いた。その後、95℃で60秒間ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。なお、この測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
その後、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)上の欠陥数を、欠陥検査装置(KLA−Tencor社製「KLA2351」)を用いて測定した。さらに、「KLA2351」にて測定された欠陥を、走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、ブリッジタイプの欠陥を区別し、それらの欠陥数の合計が100個/wafer以上であった場合を「不良」とし、100個/wafer未満であった場合は「良好」として評価した。評価結果を表6に示す。
【0268】
(2)マスクエラーファクター(MEEF)性能
まず、下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、上記実施例及び比較例で得られた感放射線性樹脂組成物によって、膜厚110nmの被膜を形成し、120℃で60秒間PBを行った。次に、この被膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、マスクパターンを介して露光した。
【0269】
露光後、95℃で60秒間PEBを行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅45nmのラインアンドスペースを形成する露光量を最適露光量(Eop)とした。上記Eopにて、ライン幅のターゲットサイズを40nm、42nm、44nm、46nm、48nm及び50nmとするマスクパターンをそれぞれ用い、ピッチ90nmのLSパターンを形成した。
【0270】
このとき、ターゲットサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いてレジスト膜に形成されたライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きをMEEF性能として算出した。MEEF性能(直線の傾き)はその値が1に近いほどマスク再現性が良好であり、値が1.00≦MEEF<1.25の場合を「良好」とし、1.25≦MEEF<1.50の場合を「やや良好」とし、1.50≦MEEFを「不良」として評価した。
【0271】
【表6】
【0272】
表6から明らかなように、実施例1〜10の感放射線性樹脂組成物を用いた場合には、ブリッジ欠陥を生じにくく、MEEF性能に優れている。そのため、今後微細化するリソグラフィー技術において、好適に用いることができると考えられる。