【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術に関し、特許文献1のシステムは六方バルブ(弁)、特許文献2のシステムは、ペリスタポンプを適用している。このように、従来のシステムは、分析試料の供給経路において、複数流路の切換えや試料のスムーズな導入のための「ポンプ」や「弁」が用いられている。しかしながら、これらポンプや弁は、分析試料の滞留しやすいデッドボリューム部分がある点が問題となる。複数の分析試料を分析する場合、デッドボリューム内部に分析試料が残存すると、次に測定する分析試料に、先に測定した分析試料が微量に混入して検出値に干渉し、分析結果に誤差を与えやすい。このような現象は、「メモリー効果」といわれる。このメモリー効果は、ICP分析装置やMP分析装置のようにpptレベルの微量試料を分析する場合、微量の試料混入によっても測定結果に大きく影響しやすいため、特に問題となる。また、濃度が高い(高マトリックスの)試料を測定した後、濃度の低い試料を分析する場合も、メモリー効果を生じた場合、測定結果の誤差が生じやすい。尚、以上のメモリー効果は、ポンプや弁の他にも、分析試料の流路においてデッドボリューム部分を有する各種部品を備える場合に生じ得る。
【0010】
また、特許文献1のシステムでは、「液体状態」の分析試料をオンライン移送するため、移送中の配管に分析試料が接触して試料損失や汚染を生じるリスクがある。具体的には、試料損失は、解離定数の高い溶液中で金属はイオン状態になりにくく、移送する配管の内壁の細孔に当該元素が吸着されることで生じる。特に分析試料がアルカリ溶液である場合、このような金属元素の吸着が起こりやすい。また、分析試料の配管が樹脂製の場合には、分析試料中の微粒子(測定対象物)が、配管表面の細孔内に取り込まれることで、損失を生じることもある。さらに、以上とは逆に、接触した配管内壁から、配管の構成材料や配管内壁の不着物に由来して、意図しない金属元素や有機成分等が分析試料に混入することで、汚染を生じる場合がある。
【0011】
ここで、ICP分析やMP分析において、複数現場からの分析試料を少数台の分析装置で分析する場合、現場と分析装置とが離れており移送距離が長くなることもある。このような場合、液体状態の分析試料の移送では、長距離の移送において、上記した分析試料の損失や汚染を生じるリスクがある上、圧力損失等により移送可能な流速にも限界がある。分析試料の流速は、試料移送管の内径を小さくすることにより、ある程度高められるものの、この場合、圧力損失が大きくなり、高圧ポンプの必要が生じる。高圧ポンプの利用は、分析試料汚染の要因ともなるため、ICP分析やMP分析装置のような微量元素分析には好適でない。
【0012】
また、特許文献2のシステムでは、スプレーチャンバーの洗浄時間を短縮できるものの、洗浄工程自体は省略できないため、複数の現場から、異なる種類の分析試料を移送して分析する場合、分析試料の種類の切り替えを即座に行うことができない。
【0013】
そこで本発明は、分析装置と離れた場所の分析試料もオンライン移送可能なシステムであって、分析試料の導入経路におけるメモリー効果の低減を前提としつつ、2以上の現場から供給される分析試料を、1台又は少数台の分析装置で分析可能とした分析システムを提供する。また、オンライン移送中において、移送中の配管との接触による分析試料の損失や、汚染を生じにくい分析システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の背景において、本発明者等は、分析試料の移送経路にポンプや弁等のデッドボリューム部分を有するものを用いない構成としつつ、複数の分析試料を分析する場合にも、試料同士が混入しにくい分析システムについて鋭意検討した。
【0015】
また、上記検討においては、液体の分析試料を移送する場合のリスクを考慮し、その移送方法として、現場から採取された液体の分析試料を一旦霧化し、霧状の分析試料をICP分析装置又はMP分析装置にオンライン移送する分析システムを基礎とすることとした。霧状の試料であると、液体の試料に比べ移送速度を大きくすることができ、長い距離も短時間で移送可能となる。このため、分析試料を長距離移送したい場合にも、適用可能であると考えた。その上で、オンライン移送した複数の分析試料を1台又は少数台の分析装置(ICP分析装置又はMP分析装置)で分析するに際し、分析試料同士の混入を防止することにつき鋭意検討を行った。
【0016】
以上の検討に基づく本発明は、分析試料を霧化するネブライザー、霧化した分析試料を粒径により選別するスプレーチャンバー、及び、スプレーチャンバーからプラズマトーチまで分析試料をオンライン移送する試料移送経路からなる試料別移送手段と、オンライン移送した分析試料をプラズマ炎中に送り込むプラズマトーチ、及び、誘導結合プラズマ若しくはマイクロ波プラズマを利用した分析装置からなる共通分析手段と、を備えた分析システムであって、2以上の試料別移送手段を備えるとともに、試料別移送手段の各試料移送経路が、共通分析手段のプラズマトーチと接続しており、各試料移送経路には、スプレーチャンバーからプラズマトーチまで分析試料を移送するメイン流路と、メイン流路にメイクアップガスを供給するメイクアップガス供給路と、メイクアップガス供給路とスプレーチャンバーとの間に設けられ、メイクアップガス及び/又は分析試料をメイン流路から排出するドレイン流路と、を有し、メイン流路は、分析試料の移送経路にポンプ及び弁を有しない構成となっており、プラズマトーチは、霧化した分析試料を導入する試料導入管を有し、ドレイン流路の内径(D
d)は、プラズマトーチの試料導入管の入り口部分の内径(D
t)と同じ(D
d=D
t)、又は、D
tよりも大きい(D
d>D
t)ことを特徴とする分析システムに関する。
【0017】
上記本発明によれば、弁やポンプ等を用いない構成を採用した場合にも、複数の分析試料同士が混入しにくいものとなる。共通分析段階を実行中の試料移送経路と、実行していない試料移送経路について、メイクアップガス供給量を調整することによっても、試料同士の混入を抑制できる。
【0018】
また、本発明の分析システムは、分析試料の供給源ごとに試料別移送手段を設置し、霧化した複数の分析試料を、別々の試料移送経路を通じて共通分析手段へとオンライン移送するものである。霧状の分析試料は、0.5〜1.5L/min程度の流速で移送することが可能であり、供給源と分析装置の設置場所との間に、例えば100m程度の距離がある場合にも、分析試料を0.5〜1.5L/分程度の速度で移送して分析することが可能となる。これに対し、分析試料を液体状態のまま移送しようとする場合、配管内の圧力上昇を考慮し、移送速度を数百分の1にしなければならなくなる。霧状(ガス状)の試料と液体の試料では、一般に、密度が数百倍程度、異なることによる。
【0019】
以下、本発明の分析システムの各構成について、詳細に説明する。
【0020】
本発明の分析システムは、2以上の試料別移送手段を備えるものであり、試料別移送手段は、ネブライザー、スプレーチャンバー、及び試料移送経路からなるものである。試料別移送手段は、分析試料の供給源の数に合わせて、任意の数設置することができる。また、各試料別移送手段に備えるネブライザーやスプレーチャンバーの種類は、同一のものとしてもよいし、移送する分析試料の種類に合わせて、適宜異なるものを選択してもよい。
【0021】
尚、以下の説明では、分析装置を1台有する分析システムについて詳細に説明するが、分析装置を2台以上設置可能な現場においては、本発明の分析システムを複数設置し、試料移送経路の数を増加させることで、オンライン移送可能な分析試料の数を簡便に増加させることができる。
【0022】
試料別移送手段において、供給源から液体状態で供給される分析試料を霧化するネブライザーは、同軸型(コンセントリック型)と直交型(クロスフロー型)のいずれも適用可能であり、同軸型が好ましい。また、材質についても特に制限はなく、石英製、PFA製等の材質から、供給源における分析試料の性状に従って選別することが好ましい。
【0023】
上記で霧化した分析試料を、粒径により選別するスプレーチャンバーは、霧の選別能力が高いスコット型スプレーチャンバー、及びプラズマの導入が良好で感度の高いサイクロン型スプレーチャンバーのいずれも適用可能である。材質も制限はなく、パイレックス(登録商標)製、石英製、ポリプロピレン製、PFA製等を適用することができ、供給源における分析試料の性状に従い選別することが好ましい。
【0024】
霧化した試料を、さらに細かい粒径とすべく、試料別移送手段は脱溶媒装置を備えることが好ましい。この場合、上記したスプレーチャンバーは、脱溶媒装置内に配置される。脱溶媒装置としては、スプレーチャンバーを加熱及び冷却する機構を設けたものが一般的である。スプレーチャンバーを加熱することにより、分析試料中の溶媒が蒸発し、霧化した試料の粒径が小さくなり、分析対象となる試料成分を濃縮できる。脱溶媒装置により濃縮した分析試料では、試料成分を沈降させることなく移送可能な距離が長くなり、例えば、約0.5〜1.5L/minの流速での移送が可能になる。
【0025】
スプレーチャンバーで選別された霧状の分析試料を分析装置へとオンライン移送する試料移送経路は、メイン流路、メイクアップガス供給路、及びドレイン流路を有する。2以上の分析試料をオンライン移送する各試料移送経路は、1つのプラズマトーチへと接続し、複数の分析試料を1台の分析装置で分析することが可能となる。上述のとおり、メイン流路は、ポンプや弁等を有しないため、メモリーの発生を防止し、分析試料同士の混入を防止できる。メイン流路の長さは、供給源から分析装置までの距離に応じて任意の長さとすることができる。配管の内径(直径)は、例えば、約3〜6mmのものを適用できる。
【0026】
ドレイン流路は、メイクアップガス供給路とスプレーチャンバーとの間に設けられ、メイン流路を流れる分析試料やメイクアップガスを排出可能なものである。ドレイン流路は、開閉可能な弁を有することが好ましい。本発明の分析システムは、2以上の試料別移送手段と、1の共通分析手段とからなるところ、1台の分析装置で複数の分析試料を順次分析可能とすべく、プラズマトーチに対し、順次、異なる分析試料を供給可能な構成とされる。すなわち、本発明の分析システムによる分析に際しては、2以上の試料移送経路のうち、1の試料移送経路からプラズマトーチに分析試料が供給されている間、残りの分析試料をプラズマトーチに導入することなく、経路外に排出可能な機構が必要になる。そこで、本発明の分析システムでは、プラズマトーチへの供給状況に応じて、分析試料及びメイクアップガスを排出すべく、各試料移送経路にドレイン流路を設置している。ドレイン流路は、1以上の試料移送経路について、流路空間を縮小する絞り部を有することも好ましい。絞り部を設けた場合、後述する、分析試料同士の混入を防止しやすい傾向となる。
【0027】
メイクアップガス供給路は、2以上の試料移送経路において各メイン流路に対し、適宜のメイクアップガスを供給するものである。メイクアップガスは、通常のICP分析等と同様、プラズマトーチに導入する分析試料を最適な感度に調整すべく、メイクアップガス供給により分析試料の濃度を調整するために用いられるとともに、以下で詳述するように、分析試料同士の混入を防止するためにも機能し得る。配管の内径(直径)は、約1.5〜4mmが好ましい。そして、メイクアップガスとして、アルゴンガス又はアルゴンガスと酸素の混合ガスを供給可能な構成とする。
【0028】
以上の試料別移送手段は、分析試料の供給源の数に対応して複数設けられるのに対し、共通分析手段は、本発明の分析システムにおいて1つのみ設けられる。共通分析手段は、1のプラズマトーチと、1台の分析装置からなる。各試料移送経路がプラズマトーチへと接続しており、試料別移送手段から共通分析手段へと分析試料が移送可能となる。
【0029】
共通分析手段におけるプラズマトーチは、霧化した分析試料とメイクアップガスとを導入する試料導入管を有する。プラズマトーチは、3重管又は4重管等の一般に知られているものを適用可能であり、一体型トーチ、トーチインジェクター部を分離できる分離型トーチ(デマウンタブルトーチ)のいずれも適用できる。一般的な形状は、略中心に設けられた試料導入管の周囲に、プラズマ形成用のガス管、冷却用のガス管等が備えられる。メイン流路と接続する試料導入管は、プラズマを導入する出口付近における内径が約1.0〜2.5mmのものが一般的である。出口付近の内径が小さいことにより、プラズマを効率的に導入することが可能になる。
【0030】
以上のプラズマトーチは、誘導結合プラズマを利用した分析装置(ICP分析装置)、又はマイクロ波プラズマを利用した分析装置(MP分析装置)へと接続し、分析試料の分析が可能となる。ICP分析装置としては、誘導結合プラズマ質量分析装置又は誘導結合プラズマ発光分光分析装置を適用することができ、好ましくは誘導結合プラズマ質量分析装置である。また、マイクロ波プラズマ分析装置としては、マイクロ波プラズマ原子発光分光分析装置(MP−AES)が適用できる。ICP分析装置やMP分析装置について、特に構成等は限定されず、任意のものを適用できる。
【0031】
ここで、上記のとおり本発明の分析システムは、1つのプラズマトーチに対し、順次、異なる分析試料を供給可能とするものであるため、試料移送経路の分析試料について、分析中の試料はプラズマトーチへと流動しやすいものとしつつ、分析しない試料はプラズマトーチとは逆のドレイン流路側に流動することが望ましい。プラズマトーチ周辺における、分析試料同士の混合を防止するためである。ここで、前述のとおり本発明は、分析試料の移送経路において、メモリー発生の要因となるポンプ等の使用を排除するものであり、プラズマトーチ側への積極的な流動を発生させることは難しい。このような観点のもと、本発明の分析システムでは、以下のとおり、分析試料のプラズマトーチ側への流動と、ドレイン流路への流動とを調整すべく、両者の関係を規定することとした。
【0032】
具体的には、本発明の分析システムでは、プラズマトーチの試料導入管のプラズマ導入管付近の内径(D
t)に対し、ドレイン流路の内径(D
d)を、同等以上の大きさにするものである。上記構成によれば、メイン流路を流動する分析試料やメイクアップガスは、配管抵抗の高いプラズマトーチの試料導入管方向よりも、配管抵抗の低いドレイン流路へと流動しやすい傾向となる。他方、プラズマトーチに供給しない試料は、積極的にドレイン流路へと流動しやすい傾向となり、分析試料同士の混入を防ぎやすい。
【0033】
以上の分析システムにより、分析試料をオンライン移送して分析結果を得ることが可能になるが、分析試料の種類によっては、希釈や標準試料の添加等の分析試料に対する事前処理を要する場合がある。このうち、標準試料の添加について、本発明の分析システムでは、ネブライザーによる霧化前の分析試料に、標準試料を添加する標準試料添加装置を有することが好ましい。かかる標準試料添加装置により、一定量の分析試料に対し、一定量の既知濃度の標準試料を添加することで、後述する標準添加法による分析試料の定量が可能となる。ここで、標準試料添加装置は、メイン流路と同様に、分析試料を定量する流路に、デッドボリュームにメモリーを生じ得るポンプや弁等を有しない構成とすることが好ましい。
【0034】
また、本発明の分析システムには、ネブライザーによる霧化前の分析試料を希釈する試料希釈手段を備えることも可能である。試料希釈手段としては、任意の構成のものを適用できるが、デッドボリュームにメモリーを生じ得るポンプや弁等を有しない構成とすることが好ましい。
【0035】
以上説明した本発明の分析システムは、以下の分析方法に適用できる。すなわち、分析試料をネブライザーで霧化し、霧化した分析試料をスプレーチャンバーで粒径により選別した後、スプレーチャンバーからプラズマトーチまで試料移送経路により分析試料をオンライン移送する試料別移送段階と、オンライン移送した分析試料をプラズマトーチによりプラズマ炎中に送り込み、前記分析試料を分析装置により誘導結合プラズマ分析又はマイクロ波プラズマ分析する共通分析段階と、からなる分析方法であって、試料別移送段階では、2以上の試料移送経路より、それぞれ分析試料をオンライン移送した後、いずれか1の分析試料をプラズマトーチに送液し、各分析試料を交互に共通分析段階に供するものであり、オンライン移送は、スプレーチャンバーからプラズマトーチまで、メイン流路により分析試料を移送するものであり、メイン流路に対し、メイクアップガス供給路を通じてメイクアップガスを供給するとともに、ドレイン流路よりメイクアップガス及び/又は分析試料を排出し、共通分析段階を実行中の分析試料の試料移送経路をアクション経路、共通分析段階を実行していない分析試料の試料移送経路をスタンバイ経路とした場合において、スタンバイ経路には、メイクアップガス供給路とプラズマトーチ側の経路端部との間に、メイクアップガスのみ供給されるようにすることを特徴とする分析方法に適用できる。
【0036】
上記の通り、本発明の分析方法は、プラズマトーチに送液する共通分析手段を実行していない分析試料の試料移送経路(スタンバイ経路)について、プラズマトーチ側をメイクアップガスのみが供給される状態とすることにより、分析したい分析試料(アクション経路の分析試料)のみがプラズマトーチに流動しやすいものとする。具体的には、スタンバイ経路の、メイクアップガス供給路とプラズマトーチ側の経路端部(スタンバイ経路とアクション経路との合流地点)との間に、メイクアップガスのみ供給されるものとし、スタンバイ経路の分析試料が供給されないものとする。スタンバイ経路及びアクション経路のメイクアップガス供給量を適宜調整することにより、スタンバイ経路のメイクアップガス流動を上記のように供給できる。
【0037】
ここで、本発明の分析方法において、上記のようなメイクアップガスの供給により、分析試料同士の混入を防止できることについて説明する。本発明の分析方法では、アクション経路の分析試料と、アクション経路のメイクアップガスとが合わさってプラズマトーチに供給される。このとき、スタンバイ経路のメイクアップガスは、その一部がプラズマトーチ側に供給されるとともに、大部分が試料供給源側に流動し、ドレイン流路より排出される。スタンバイ経路では、このように、メイクアップガス供給路からドレイン流路へとメイクアップガスが流動することとなる。よって、スタンバイ経路の分析試料は、ドレイン流路より排出され、メイクアップガス供給路側へは流動しないものとなる。
【0038】
さらに、本発明の分析方法では、上述したドレイン流路の内径(D
d)が、プラズマトーチの試料導入管の入り口部分の内径(D
t)と同じ(D
d=D
t)、又は、D
tよりも大きい(D
d>D
t)分析システムを適用した場合、更に上記メイクアップガス流動となるように制御しやすい。圧力の低いドレイン流路側へとメイクアップガスが流動しやすくなり、上記のとおり分析試料同士の混入防止を実現しやすいものとなる。
【0039】
また、本発明の分析方法では、ネブライザーによる霧化前の分析試料に、標準試料を添加することも好ましく、標準試料は標準添加法により添加することが好ましい。標準添加法では、元素濃度等が未知である、一定量の分析試料に対し、異なる量の標準試料を添加した検量線用の試料を作成し、添加した標準試料濃度と分析装置の信号強度との関係から、元素濃度等の定量を行うもので、分析装置等の感度変化を補正し、正確な分析結果を得ることが可能となる。尚、標準添加法に対し、分析装置等の感度変化を補正する方法としては、内標準法も知られているが、これは測定元素と似通っており、かつ、測定対象外の分離測定可能な内標準物質を標準試料及び未知試料に添加し、内標準物質と標準試料の信号強度比と濃度との検量線を作成するものであり、オンライン供給される分析試料の分析には適用しにくい。