特許第6048573号(P6048573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048573
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20161212BHJP
   H04W 28/02 20090101ALI20161212BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20161212BHJP
   H04W 80/10 20090101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04W24/02
   H04W28/02
   H04W8/00
   H04W80/10
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-507996(P2015-507996)
(86)(22)【出願日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2014001040
(87)【国際公開番号】WO2014155968
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】特願2013-66709(P2013-66709)
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、総務省「情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大平 麻代
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直哉
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−193124(JP,A)
【文献】 特表2012−532476(JP,A)
【文献】 ZTE Corporation,Pseudo-CR on Update the S-CSCF address stored in P-CSCF[online],3GPP TSG-CT WG4#40 C4-082152,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG4_protocollars_ex-CN4/TSGCT4_40_Budapest_2008_08/Docs/C4-082152.zip,2008年 8月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置間の接続を確立する接続制御装置と、
前記端末装置から接続要求情報を受信し、当該端末装置を操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた前記接続制御装置へ、受信した前記接続要求情報を送信する情報転送装置と、
前記接続制御装置の増設を検出するシステム管理装置と、
を備え、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するよう前記情報転送装置へ指示する、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、現在、前記接続制御装置との接続が確立されていない端末装置を操作するユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、予め設定された期間の前記接続制御装置との接続回数が所定の閾値以上になるユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、前記接続制御装置と接続した日時が、現在の日時から予め設定された所定の範囲内になるユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の予め設定された状態を検出し、当該状態に応じて、前記接続制御装置の増設を指示する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の状態として、前記接続制御装置の負荷を検出し、当該負荷が予め設定された負荷閾値以上である場合に、前記接続制御装置の増設を指示する、
情報処理システム。
【請求項7】
端末装置間の接続を確立する接続制御装置と、
前記端末装置から接続要求情報を受信し、当該端末装置を操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた前記接続制御装置へ、受信した前記接続要求情報を送信する情報転送装置と、
前記接続制御装置の増設を検出するシステム管理装置と、
を備える情報処理システムにて、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するよう前記情報転送装置へ指示する、
情報処理方法。
【請求項8】
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を備え、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
情報処理装置。
【請求項9】
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を実現させるとともに、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
ことを実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムにかかり、特に、IP網を介して接続されたユーザ端末にサービスを提供する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信ネットワークでは、端末の高速化、サービスやユーザの多様化により、通信トラヒックが増加している。また、各種の新サービスが次々に提供されることで各種のトラヒックの需要がめまぐるしく変化する環境になっている。さらに、大規模災害時には爆発的なサービス要求が発生し、トラヒックが急増するので、サービスの需要を予測することが困難である。
【0003】
移動体通信ネットワークの中核技術としては、IMS(IP(Internet Protocol) Multimedia Subsystem)の技術が知られている(例えば特許文献1参照)。例えばIMSでは、S−CSCF(Serving‐Call Session Control Function)サーバが、ユーザの端末装置から送信されたSIPメッセージを、当該端末装置と接続するP−CSCF(Proxy‐CSCF)サーバを介して受信し、SIPメッセージに基づくセッションを確立し、各種のサービスを提供する。このIMSの構築や増設、移設を行う場合、IMSの管理者は、ハードウェアを準備し、アプリケーションをインストールして、各種設定を行うことでIMSの稼働を開始する。
【0004】
このような環境下において、移動体通信ネットワークの中核技術であるIMSでは急激な通信トラヒック需要の変動に対して、柔軟に通信処理性能を変更することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−302633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、急激な通信トラヒック需要の変動に対応するために、仮想化技術を用いてIMSを柔軟に構成変更(例えばS−CSCFサーバの増設)することが考えられる。仮想化技術を用いて短時間でシステムの増設を実現することで、急激な通信トラヒック需要の変動がある環境においても、限られた物理リソースを用いて急激な通信トラヒック需要に対応した柔軟な構成変更が可能になる。
【0007】
ところで、IMSでは、ユーザを登録した時に、ユーザが操作する端末装置と、当該ユーザへサービスを提供するS−CSCFサーバとが対応付けられて、P−CSCFサーバに記憶される。そして、P−CSCFサーバは、すでに記憶された情報に基づいて、端末装置とS−CSCFサーバとの間を接続する。このため、例えばS−CSCFサーバの増設を行っても、増設したS−CSCFサーバは、P−CSCFサーバを介して端末装置から送信されたSIPメッセージを受信することができなかった。この結果、増設したサーバを即座に利用することができず、急激なトラヒックの需要の変動に対応できないという問題があった。
【0008】
このため、本発明の目的は、上述した課題である急激なトラヒックの需要の変動に対応できないという問題を解決することが可能な情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である情報処理システムは、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置と、
前記端末装置から接続要求情報を受信し、当該端末装置を操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた前記接続制御装置へ、受信した前記接続要求情報を送信する情報転送装置と、
前記接続制御装置の増設を検出するシステム管理装置と、
を備え、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するよう前記情報転送装置へ指示する、
という構成を取る。
【0010】
また、本発明の他の形態である情報処理装置は、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を備え、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
という構成を取る。
【0011】
また、本発明の他の形態である情報処理方法は、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
という構成を取る。
【0012】
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を実現させるとともに、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
ことを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成されることにより、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】セッション確立の例を説明するための図である。
図3】S−CSCFサーバの増設の例を説明するための図である。
図4】ユーザ情報移設処理を説明するための図である。
図5】ユーザ登録処理を説明するためのシーケンス図である。
図6】セッション確立処理を説明するためのシーケンス図である。
図7】ユーザ移設処理を説明するためのシーケンス図である。
図8】ユーザ移設処理を説明するためのシーケンス図である。
図9】移設ユーザ選択処理をを説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図9を参照して説明する。図1乃至図4は、第1実施形態における情報処理システムの構成を説明するための図である。図5乃至図9は、情報処理システムの動作を説明するための図である。
【0016】
(構成)
図1は、IMS(IP(Internet Protocol) Multimedia Subsystem)を実現する情報処理システム1の概要を示す図である。IMSとは、固定網や移動体通信、放送等で行われているサービスをIP化したマルチメディアサービスを実現するための通信仕様である。図1の情報処理システム1は、仮想化制御サーバ10と、S−CSCF(Serving‐Call Session Control Function)管理サーバ11(システム管理装置)と、S−CSCF12A,12B,…(接続制御装置)(以下、S−CSCFサーバ12と記載する。また他の構成についても同様とする。)と、P−CSCF(Proxy‐CSCF)サーバ13A,13B,…(情報転送装置)と、I−CSCF(Interrogating‐CSCF)サーバ14と、加入者情報DBサーバ15と、端末装置16A,16B,…と、ネットワーク17と、を備える。なお、S−CSCFサーバ12と、P−CSCFサーバ13と、端末装置16と、のそれぞれは3つ以上の複数であってもよい。また、同様に、I−CSCFサーバ14と加入者情報DBサーバ15は2つ以上の複数であってもよい。
【0017】
端末装置16は、例えば、携帯電話等の移動端末である。ユーザ(ネットワークサービスの加入者)は、端末装置16を利用することで、アプリケーションサーバ等から提供される各種のマルチメディアサービスを利用することができる。ユーザが上記マルチメディアサービスを利用する場合には、S−CSCFサーバ12と、P−CSCFサーバ13と、I−CSCFサーバ14と、の3つのSIP(Session Initiation Protocol)サーバを介して端末装置16とのセッションの確立が行われる。
【0018】
加入者情報DBサーバ15は、例えばHSS(Home Subscriber Server)であり、ユーザ(加入者)情報や、認証情報等を記憶する。ユーザ情報は、例えば、ユーザが利用するS−CSCFサーバ12の識別情報や当該S−CSCFサーバ12と接続するための情報(例えばURL(Uniform Resource Locator))等を含む。
【0019】
P−CSCFサーバ13は、端末装置16と接続するSIPサーバである。P−CSCFサーバ13は、端末装置16からSIPメッセージを受信し、I−CSCFサーバ14またはS−CSCFサーバ12へ転送する。また、P−CSCFサーバ13は、I−CSCFサーバ14またはS−CSCFサーバ12から送信されたSIPメッセージを端末装置16へ転送する。
【0020】
I−CSCFサーバ14は、P−CSCFサーバ13からSIPメッセージを受信する。そして、I−CSCFサーバ14は、受信したSIPメッセージに含まれるユーザの識別情報と、加入者情報DBサーバ15に予め記憶されたユーザ情報と、に基づいて、端末装置16を操作するユーザの識別情報に対応付けられたS−CSCFサーバ12を取得する。その後、I−CSCFサーバ14は、当該S−CSCFサーバ12へSIPメッセージを転送する。
【0021】
S−CSCFサーバ12は、例えば仮想化制御サーバ10により生成(起動)された仮想マシンにより構成される。S−CSCFサーバ12は、ユーザ認証やセッション制御を行うSIPサーバであり、アプリケーションサーバ(図示せず)と接続することで、ユーザが利用する各種のマルチメディアサービスを提供する。S−CSCFサーバ12は、P−CSCFサーバ13またはI−CSCFサーバ14からSIPメッセージを受信すると、ユーザの認証処理を行い、その後セッションの確立を行う(端末装置16間の接続を確立する)。なお、S−CSCFサーバ12は、仮想マシンに限られず、物理的なサーバ装置により構成されてもよい。
【0022】
ここで、IMSの実現するサービスにユーザを登録する場合の処理について具体的に説明する。なお、ユーザの登録処理は一例であり、IMSにおけるユーザ登録処理は、以下に説明するものに限られない。まず、ユーザがサービスに加入する場合、端末装置16は、ユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、例えば、端末装置16を操作するユーザを識別するためのユーザID(Identification)、ユーザを認証するためのパスワード、端末装置16のIPアドレス等である。続いて、端末装置16は、取得したユーザ情報を含む登録要求を送信する。登録要求は、例えば、REGISTER要求メッセージ等のSIPメッセージである。
【0023】
次に、端末装置16が位置するネットワークと同じネットワーク内に配置されたP−CSCFサーバ13は、端末装置16から登録要求を受信する。そして、P−CSCFサーバ13は、自身の記憶部に予め記憶されたユーザ(または端末装置16)とS−CSCFサーバ12とを対応付けた情報と、受信した登録要求と、に基づいて、当該登録要求に含まれるユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12を示す情報を取得する。なお、ユーザがまだ登録されていない場合、上記の処理は省略し、P−CSCFサーバ13は、端末装置16から受信した登録要求を、I−CSCFサーバ14へ転送する。
【0024】
続いて、I−CSCFサーバ14は、P−CSCFサーバ13から転送(送信)された登録要求を受信する。次に、I−CSCFサーバ14は、登録要求に含まれるユーザIDを加入者情報DBサーバ15へ送信し、ユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報を取得する。具体的には、加入者情報DBサーバ15は、I−CSCFサーバ14からユーザIDを受信すると、当該ユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報を取得する。そして、加入者情報DBサーバ15は、取得したS−CSCFサーバ12の情報をI−CSCFサーバ14へ送信する。S−CSCFサーバ12の情報は、例えばURL等、S−CSCFサーバ12と接続するための情報である。
【0025】
なお、加入者情報DBサーバ15にユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報が記憶されていない場合、I−CSCFサーバ14は、予め設定された選択方法により所定のS−CSCFサーバ12を選択する。そして、I−CSCFサーバ14は、選択したS−CSCFサーバ12の情報を取得する。例えば、I−CSCFサーバ14は、ユーザが所望するサービスを提供可能であり、ユーザが操作する端末装置16から最も近い場所に位置するS−CSCFサーバ12を選択する。そして、I−CSCFサーバ14は、例えば、自身の記憶部または加入者情報DBサーバ15から、S−CSCFサーバ12の情報を取得する。
【0026】
続いて、I−CSCFサーバ14は、取得したS−CSCFサーバ12の情報に基づいて、当該S−CSCFサーバ12へ、登録要求を送信する。そして、S−CSCFサーバ12は、登録要求を受信し、当該登録要求に含まれるユーザ情報に基づいてユーザを登録する。具体的には、S−CSCFサーバ12は、当該S−CSCFサーバ12自身を示す情報と、ユーザ情報(例えばユーザID)と、を対応付けたユーザ登録情報を記憶する。次に、S−CSCFサーバ12は、ユーザ登録情報をP−CSCFサーバ13へ送信し、当該ユーザ登録情報をP−CSCFサーバ13に記憶させる。そして、S−CSCFサーバ12は、P−CSCFサーバ13を介して端末装置16へアクセス要求を送信する。
【0027】
次に、端末装置16は、P−CSCFサーバ13を介して、S−CSCFサーバ12から送信されたアクセス要求を受信すると、S−CSCFサーバ12に認証処理を行わせるために接続要求(接続要求情報)を送信する。接続要求は、例えば、通信先の端末装置16の情報等を含むSIPメッセージである。なお、登録要求に通信先の端末装置16の情報等が含まれている場合には、登録要求を再度送信してもよい。続いて、P−CSCFサーバ13は、端末装置16から送信された接続要求を受信し、自身の記憶部から、接続要求に含まれるユーザIDに対応付けられた(割当てられた)S−CSCFサーバ12を示す情報を取得する。そして、P−CSCFサーバ13は、取得した情報により示されるS−CSCFサーバ12へ、接続要求を送信(転送)する。
【0028】
続いて、S−CSCFサーバ12は、P−CSCFサーバ13から送信された接続要求を受信し、受信した接続要求に含まれるユーザ情報に基づいてユーザの認証を行う。そして、S−CSCFサーバ12は、ユーザの認証に成功すると、セッションを確立する。これにより、例えば、図2に示すように、発信側の端末装置16Aと、着信側の端末装置16Bと、の間のセッションが、P−CSCFサーバ13A,13Bと、S−CSCFサーバ12A,12Bとを介して確立される。この結果、他の端末装置16と通信する場合に、ユーザが利用を所望する所定のアプリケーション等の通信サービスを利用することができる。
【0029】
次に、S−CSCFサーバ12を増設する場合の処理について説明する。まず、S−CSCF管理サーバ11は、所定のタイミングにて、仮想化制御サーバ10へS−CSCFサーバ12の増設を指示する。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、予め設定されたS−CSCFサーバ12の状態を検出した場合に、増設を指示する。S−CSCFサーバ12の状態は、例えば、S−CSCFサーバ12の負荷の値が予め設定された負荷閾値以上である状態、S−CSCFサーバ12に障害が発生した状態、各S−CSCFサーバ12に登録されたユーザの数が所定の数以上である状態等である。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、検出した負荷の値が予め設定された負荷閾値以上であるか否かを判定し、負荷の値が負荷閾値以上であると判定した場合に、仮想化制御サーバ10へS−CSCFサーバ12の増設を指示する。
【0030】
仮想化制御サーバ10は、S−CSCF管理サーバ11からS−CSCFサーバ12の増設の指示を受け付けると、新たな仮想のS−CSCFサーバ12の生成を行う。なお、仮想化制御サーバ10は、サービスの管理者等からの指示に応じて新たなS−CSCFサーバ12の生成を行うことができる。
【0031】
そして、S−CSCF管理サーバ11は、新たなS−CSCFサーバ12の増設完了を検出すると、新たなS−CSCFサーバ12に処理を行わせるユーザのユーザ情報を予め設定されたユーザ選択条件に基づいて選択する。そして、S−CSCFサーバ12は、選択したユーザ情報を、P−CSCFサーバ13と加入者情報DBサーバ15とのそれぞれに送信し、新たなS−CSCFサーバ12とユーザとを対応付けた情報を記憶させる。なお、S−CSCF管理サーバ11は、新たなS−CSCFサーバ12の増設完了に限られず、増設開始等、S−CSCFサーバ12が増設されたことを検出できればよい。以下、S−CSCFサーバ12を増設する場合の処理について具体的に説明する。
【0032】
ここでは、まずS−CSCF管理サーバ11は、S−CSCFサーバ12の状態を検出する。例えば、S−CSCFサーバ12の状態が負荷であるとすると、S−CSCF管理サーバ11は、S−CSCFサーバ12の負荷の値を検出し、検出した負荷の値が予め設定された負荷閾値以上であるか否かを判定する。そして、負荷の値が負荷閾値以上であると判定した場合に、S−CSCF管理サーバ11は、仮想化制御サーバ10へ増設を指示する。
【0033】
続いて、仮想化制御サーバ10は、S−CSCF管理サーバ11から増設の指示を受け付け、新たな仮想のS−CSCFサーバ12(例えば図3のS−CSCFサーバ12X)を起動する。新たなS−CSCFサーバ12が起動されると、S−CSCF管理サーバ11は、増設完了を検出する(図4(1))。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、予め設定された仮想化領域にS−CSCFサーバ12が生成された場合に増設完了を検出する。なお、S−CSCF管理サーバ11は、新たなS−CSCFサーバ12から生成完了の通知を受け付けた場合に、増設完了を検出してもよい。
【0034】
ここで、図3に示すようにS−CSCFサーバ12Xの増設が完了した状態では、既に各P−CSCFサーバ13が、各S−CSCFサーバ12に対応付けたユーザ情報を記憶している。このため、当該ユーザ情報により示されるユーザ(端末装置16)から送信されるSIPメッセージは、S−CSCFサーバ12Xには転送されない。このため、以下にP−CSCFサーバ13が端末装置16から受信したSIPメッセージをS−CSCFサーバ12Xへ転送させるための処理について説明する。
【0035】
この場合、まずS−CSCF管理サーバ11は、増設されたS−CSCFサーバ12Xを識別する情報を増設サーバ情報として取得する。この増設サーバ情報は、S−CSCFサーバ12Xの識別情報やURL等を含む。そして、S−CSCF管理サーバ11は、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、S−CSCFサーバ12A,23B,…に対応付けられたユーザから、S−CSCFサーバ12Xに移設させるユーザを選択する移設ユーザ選択処理を行う。
【0036】
移設ユーザ選択処理では、まず、S−CSCF管理サーバ11は、各S−CSCFサーバ12からユーザ利用情報(例えばログ情報)を取得する。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、ユーザ利用情報として、各S−CSCFサーバ12を利用するユーザの利用状態(セッション中またはセッションなし)、利用回数、最終利用日時等の情報を取得する。
【0037】
そして、S−CSCF管理サーバ11は、まず取得したユーザ利用情報に基づいて、セッション中でないユーザのユーザ情報(例えばユーザID)を選択する。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、ユーザ利用情報から端末装置16の利用状態が「セッションなし」であるユーザ、つまり現在、S−CSCFサーバ12(および他の端末装置16)との接続が確立されていないユーザのユーザ情報を選択する。これにより、サービスの提供を中断することなく、複数のS−CSCFサーバ12に処理を分散させ、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【0038】
続いて、S−CSCF管理サーバ11は、上記処理にて選択したユーザ情報のうち、所定期間の利用回数(S−CSCFサーバ12との接続回数)が、予め設定された利用回数の閾値を示す利用閾値以上になるユーザのユーザ情報を選択する。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、3日間(3日以内)の利用回数が2回以上になるユーザのユーザ情報を選択する。つまり、S−CSCF管理サーバ11は、セッションが確立されていないユーザから、所定期間の利用回数が利用閾値以上になる(利用回数の多い)ユーザのユーザ情報をさらに選択する。
【0039】
そして、S−CSCF管理サーバ11は、上記処理にて選択したユーザ情報のうち、サービスの最終利用日時(S−CSCFサーバ12と接続した日時)が現在の日時から近い日時(所定の範囲内になる)のユーザのユーザ情報を選択する。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、最終利用日時が現在の時刻から2時間以内になるユーザのユーザ情報を選択する。つまり、S−CSCF管理サーバ11は、セッションが確立されていないユーザであり、所定期間の利用回数が利用閾値以上になるユーザのうち、最後に利用した日時が所定の時間以内のユーザのユーザ情報を選択する。そして、S−CSCF管理サーバ11は、選択したユーザ情報を移設ユーザ情報として取得する。これにより、S−CSCF管理サーバ11は、増設した新たなS−CSCFサーバ12へ移設させるユーザを選択することができる。この結果、サービスを利用していないユーザのうち、サービスを利用する可能性が高いユーザを選択するので、複数のS−CSCFサーバ12に対してより効率的に処理を分散させ、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【0040】
なお、ユーザ選択条件として、3つの選択条件の例(セッション確立の有無と利用回数と利用日時)を記載したが、S−CSCF管理サーバ11は、少なくとも1つの条件を満たすようにユーザのユーザ情報を選択してもよい。また、ユーザ選択条件は上記に限られない。S−CSCF管理サーバ11は、例えば、移設の優先順位をユーザ毎に予め設定し、当該優先順位が高く設定されたユーザから順番に予め設定された数だけユーザのユーザ情報を選択してもよい。また、S−CSCF管理サーバ11は、最終利用日時が近い順に予め設定された数だけユーザのユーザ情報を選択してもよい。
【0041】
次に、S−CSCF管理サーバ11は、増設したS−CSCFサーバ12を示す増設サーバ情報を加入者情報DBサーバ15へ送信する(図4(2))。加入者情報DBサーバ15は、増設サーバ情報を受信すると、増設したS−CSCFサーバ12の情報を記憶する。例えば、加入者情報DBサーバ15は、増設したS−CSCFサーバ12に関する新たなテーブルを作成する。
【0042】
そして、S−CSCF管理サーバ11は、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを、P−CSCFサーバ13へ送信する(図4(3))。つまり、S−CSCF管理サーバ11は、新規に増設したS−CSCFサーバ12に移設するユーザのユーザ情報を割当てて記憶するように、具体的には、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを対応付けて記憶するようにP−CSCFサーバ13へ指示する。P−CSCFサーバ13は、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを受信すると、増設したS−CSCFサーバ12に対応付けて、移設ユーザ情報を記憶する。続いて、P−CSCFサーバ13は、加入者情報DBサーバ15へ、ユーザ情報の変更を通知する。このユーザ情報の変更の通知は、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを含む。
【0043】
続いて、加入者情報DBサーバ15は、ユーザ情報の変更通知を受信し、変更通知に基づいて加入者情報DBを変更する。つまり、加入者情報DBサーバ15は、新たに増設されたS−CSCFサーバ12へ移設させるユーザのユーザ情報を記憶する。最後に、加入者情報DBサーバ15は、変更完了を通知する。そして、P−CSCFサーバ13は、変更完了を受信し、処理は終了する。
【0044】
これにより、例えばP−CSCFサーバ13は、移設したユーザが操作する端末装置16からSIPメッセージを受け付けた場合に、新たに起動したS−CSCFサーバ12へSIPメッセージを転送することができる。この結果、増設したS−CSCFサーバ12を迅速に利用することができ、トラヒックの負荷を分散し、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【0045】
(動作)
次に、図5乃至図9を参照して、情報処理システム1の動作について説明する。図5は、ユーザ登録処理を説明するためのシーケンス図である。図6は、セッション確立処理を説明するためのシーケンス図である。図7は、ユーザ移設処理を説明するためのシーケンス図である。図8は、ユーザ移設処理を説明するためのシーケンス図である。図9は、移設ユーザ選択処理を説明するためのフローチャートである。
【0046】
最初に図5図6を参照して、ユーザを登録し、セッションを確立するまでの処理について説明する。まず、端末装置16は、ユーザ情報を取得する(ステップS1)。ユーザ情報は、例えば、端末装置16を操作するユーザを識別するためのユーザID、ユーザを認証するためのパスワード、端末装置16のIPアドレス、および、端末装置16の現在位置を表す情報である。
【0047】
続いて、端末装置16は、ステップS1の処理にて取得したユーザ情報を含む登録要求を送信する(ステップS2)。登録要求は、例えば、REGISTER要求メッセージ等のSIPメッセージである。
【0048】
次に、P−CSCFサーバ13は、ステップS2の処理にて端末装置16から登録要求を受信する(ステップS11)。続いて、P−CSCFサーバ13は、ステップS11の処理にて受信した登録要求をI−CSCFサーバ14へ送信する(ステップS12)。つまり、P−CSCFサーバ13は、端末装置16から受信した登録要求を、I−CSCFサーバ14へ転送する。
【0049】
続いて、I−CSCFサーバ14は、ステップS12の処理にて送信された登録要求を受信する(ステップS21)。次に、I−CSCFサーバ14は、登録要求に含まれるユーザIDを加入者情報DBサーバ15へ送信する(ステップS22)。加入者情報DBサーバ15は、ステップS22の処理にて送信されたユーザIDを受信すると(ステップS41)、当該ユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報を取得する(ステップS42)。このS−CSCFサーバ12の情報は、例えば、S−CSCFサーバ12と接続するためのURL等である。そして、加入者情報DBサーバ15は、ステップS42の処理にて取得したS−CSCFサーバ12の情報を、I−CSCFサーバ14へ送信する(ステップS43)。
【0050】
続いて、I−CSCFサーバ14は、ステップS43の処理にて送信されたS−CSCFサーバ12の情報を受信する(ステップS23)。つまり、I−CSCFサーバ14は、ユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報を取得する。なお、I−CSCFサーバ14は、ステップS23の処理にてユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12の情報を取得できなかった場合、つまり加入者情報DBサーバ15にユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12が記憶されていなかった場合、予め設定された選択方法により所定のS−CSCFサーバ12を選択する。そして、I−CSCFサーバ14は、選択したS−CSCFサーバ12と接続するための情報を取得する。
【0051】
そして、I−CSCFサーバ14は、ステップS23の処理にて取得したS−CSCFサーバ12の情報に基づいて、当該S−CSCFサーバ12へ、ステップS21の処理にて受信した登録要求を送信する(ステップS24)。
【0052】
続いて、S−CSCFサーバ12は、ステップS24の処理にて送信された登録要求を受信する(ステップS31)。次に、S−CSCFサーバ12は、ユーザを登録する(ステップS32)。具体的には、S−CSCFサーバ12は、当該S−CSCFサーバ12自身を示す情報と、ユーザ情報と、を対応付けて記憶する。これにより、ユーザの登録(再登録)処理が完了する。ユーザの登録が完了すると、ユーザからの要求に応じたセッション確立処理を行う。また、既にユーザが登録済みである場合には、図5のユーザ登録処理は行われず、図6のセッション確立処理だけが行われる。以下、図6を参照してセッション確立処理について説明する。
【0053】
まず、S−CSCFサーバ12は、P−CSCFサーバ13へユーザ登録情報を送信する(ステップS33)。続いて、P−CSCFサーバ13は、ステップS33の処理において送信されたユーザ登録情報を受信し(ステップS13)、記憶する(ステップS14)。これにより、P−CSCFサーバ13は、端末装置16とS−CSCFサーバ12との間の転送処理を行うことができる。
【0054】
また、S−CSCFサーバ12は、P−CSCFサーバ13を介して端末装置16へ、アクセス要求を送信する(ステップS34)。そして、端末装置16は、ステップS33の処理にて送信されたアクセス要求を、P−CSCFサーバ13を介して受信し(ステップS3)、接続要求を送信する(ステップS4)。なお、端末装置16は、ステップS2の処理で送信した登録要求を再度送信してもよい。
【0055】
続いて、P−CSCFサーバ13は、ステップS4の処理にて送信された接続要求を受信する(ステップS15)。次に、P−CSCFサーバ13は、自身の記憶部から、接続要求に含まれるユーザIDに対応付けられたS−CSCFサーバ12を示す情報を取得する(ステップS16)。そして、P−CSCFサーバ13は、ステップS16の処理にて取得した情報により示されるS−CSCFサーバ12へ、ステップS15にて受信した接続要求を送信する(ステップS17)。
【0056】
次に、S−CSCFサーバ12は、ステップS17の処理にて送信された接続要求を受信し(ステップS35)、受信した接続要求に含まれるユーザ情報に基づいてユーザを認証する(ステップS36)。そして、S−CSCFサーバ12は、ユーザの認証に成功すると、セッションを確立する(ステップS37)。これにより、他の端末装置16と通信する場合に、所定のアプリケーション等の通信サービスを利用することができる。
【0057】
次に、図7乃至図9を参照して、S−CSCFサーバ12を増設する場合の処理について説明する。まず、S−CSCF管理サーバ11は、S−CSCFサーバ12(例えばS−CSCFサーバ12A)の状態を検出する(ステップS51)。S−CSCFサーバ12の状態は、例えば、負荷である。そして、S−CSCF管理サーバ11は、ステップS51の処理にて検出した負荷の値が予め設定された負荷閾値以上であるか否かを判定し、負荷の値が負荷閾値以上であると判定した場合に、仮想化制御サーバ10へ増設を指示する(ステップS52)。なお、負荷の値が閾値未満である場合、処理はステップS51に戻る。
【0058】
続いて、仮想化制御サーバ10は、S−CSCF管理サーバ11から増設指示を受け付け(ステップS61)、新たな仮想のS−CSCFサーバ12(例えばS−CSCFサーバ12X)を生成(起動)する(ステップS62)。
【0059】
新たなS−CSCFサーバ12の生成が完了すると、S−CSCF管理サーバ11は、増設完了を検出する(ステップS53)。このとき、S−CSCF管理サーバ11は、増設されたS−CSCFサーバ12を識別する情報を増設サーバ情報として取得する。そして、S−CSCF管理サーバ11は、移設ユーザ選択処理を行う(ステップS54)。
【0060】
ここで図9を参照して、移設ユーザ選択処理について説明する。図9の移設ユーザ選択処理では、まず、S−CSCF管理サーバ11は、ユーザ利用情報を取得する(ステップS101)。例えば、S−CSCF管理サーバ11は、ユーザ利用情報として、各S−CSCFサーバ12を利用するユーザの利用状態(セッション中またはセッションなし)、利用回数、最終利用日時等の情報を取得する。
【0061】
そして、S−CSCF管理サーバ11は、ステップS101の処理にて取得したユーザ利用情報のうち、セッション中でないユーザのユーザ情報を選択する(ステップS102)。つまり、S−CSCF管理サーバ11は、ユーザ利用情報のうちの利用状態が「セッションなし」であるユーザのユーザ情報を選択する。
【0062】
続いて、S−CSCF管理サーバ11は、ステップS102の処理にて選択したユーザ情報のうち、所定期間の利用回数が予め設定された利用閾値以上になるユーザのユーザ情報を選択する(ステップS103)。そしてさらに、S−CSCF管理サーバ11は、ステップS103の処理にて選択したユーザ情報のうち、サービスの最終利用日時が現在の時刻から近い日時のユーザのユーザ情報を選択する(ステップS104)。つまり、S−CSCF管理サーバ11は、増設したS−CSCFサーバ12へ移設させるユーザのユーザ情報を移設ユーザ情報として取得する。これにより、各S−CSCFサーバ12に登録されたユーザを新たに起動したS−CSCFサーバ12Xに均等に割当てることができる。ステップS104の処理の後、処理は図8のステップS55へ進む。
【0063】
次に、S−CSCF管理サーバ11は、増設したS−CSCFサーバ12を示す増設サーバ情報を加入者情報DBサーバ15へ送信する(ステップS55)。加入者情報DBサーバ15は、ステップS55の処理に送信された増設サーバ情報を受信すると(ステップS71)、増設したS−CSCFサーバ12の情報を記憶する(ステップS72)。例えば、加入者情報DBサーバ15は、増設したS−CSCFサーバ12Xの識別情報を記憶し、S−CSCFサーバ12Xに対してユーザを割当て、管理するための新たなテーブルを作成する。
【0064】
次に、S−CSCF管理サーバ11は、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを、P−CSCFサーバ13へ送信する(ステップS56)。P−CSCFサーバ13は、ステップS56の処理にて送信された増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを受信すると(ステップS81)、受信した増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを対応付けて記憶する(ステップS82)。つまり、P−CSCFサーバ13は、増設したS−CSCFサーバ12の情報に対応付けて、移設させるユーザのユーザ情報を記憶する。そして、P−CSCFサーバ13は、加入者情報DBサーバ15へ、ユーザ情報の変更を通知する(ステップS83)。このユーザ情報の変更通知は、増設サーバ情報と移設ユーザ情報とを含む。
【0065】
続いて、加入者情報DBサーバ15は、ユーザ情報の変更通知を受信し(ステップS73)、変更通知に基づいて加入者情報DBを更新(変更)する(ステップS74)。つまり、加入者情報DBサーバ15は、増設したS−CSCFサーバ12の情報に対応付けて、移設させるユーザのユーザ情報を記憶する。そして、加入者情報DBサーバ15は、更新完了を通知する(ステップS75)。最後に、P−CSCFサーバ13は、更新完了を受信し(ステップS84)、処理は終了する。
【0066】
これにより、例えばP−CSCFサーバ13は、移設したユーザが操作する端末装置16からSIPメッセージを受け付けた場合に、新たに起動したS−CSCFサーバ12へSIPメッセージを転送することができる。この結果、増設したS−CSCFサーバ12を迅速に利用することができ、トラヒックの負荷を分散し、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理システム101について図10を参照して説明する。
第2実施形態に係る情報処理システム101は、
端末装置113A,113B間の接続を確立する接続制御装置111Aと、
端末装置113A,113Bから接続要求情報を受信し、当該端末装置113A,113Bを操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた接続制御装置111へ、受信した接続要求情報を送信する情報転送装置112と、
接続制御装置111Bの増設を検出するシステム管理装置114と、
を備え、
システム管理装置114は、接続制御装置111Bの増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された接続制御装置111Bに対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択したユーザ情報と、増設された接続制御装置111Bの情報と、を対応付けて記憶するよう情報転送装置112へ指示する。
【0068】
上記構成によれば、システム管理装置114は、接続制御装置111Bの増設完了を検出し、ユーザ選択条件に基づいて当該接続制御装置111Bを利用させるユーザを選択し、選択したユーザのユーザ情報と、増設された接続制御装置111Bの情報と、を情報転送装置112へ通知し、記憶させる。これによれば、情報転送装置112が、端末装置113からの接続要求情報を新たに増設した接続制御装置111Bへ転送可能になるので、増設した接続制御装置111Bを迅速に利用することができ、複数の接続制御装置111に処理を分散させることができる。
【0069】
以上、上記実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細に、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0070】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
【0071】
(付記1)
端末装置間の接続を確立する接続制御装置と、
前記端末装置から接続要求情報を受信し、当該端末装置を操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた前記接続制御装置へ、受信した前記接続要求情報を送信する情報転送装置と、
前記接続制御装置の増設を検出するシステム管理装置と、
を備え、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するよう前記情報転送装置へ指示する、
情報処理システム。
【0072】
上記構成によれば、システム管理装置は、接続制御装置の増設を検出し、ユーザ選択条件に基づいて当該接続制御装置を利用させるユーザのユーザ情報を選択し、選択したユーザ情報と、増設された接続制御装置の情報と、を情報転送装置へ通知し、記憶させる。これによれば、情報転送装置が、端末装置からの接続要求情報を新たに増設した接続制御装置へ転送可能になるので、増設した接続制御装置を迅速に利用することができ、複数の接続制御装置に処理を分散させ、急激なトラヒックの需要の変動に対応することができる。
【0073】
(付記2)
付記1に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、現在、前記接続制御装置との接続が確立されていない端末装置を操作するユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【0074】
上記構成によれば、システム管理装置は、例えば、現在サービスを利用していないユーザのユーザ情報を選択して、増設した接続制御装置に割当てるので、サービスの提供を中断することなく、複数の接続制御装置に処理を分散させることができる。
【0075】
(付記3)
付記1または2に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、予め設定された期間の前記接続制御装置との接続回数が所定の閾値以上になるユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【0076】
上記構成によれば、システム管理装置は、利用回数が多いユーザ、つまり、サービスを利用する可能性が高いユーザのユーザ情報を選択するので、複数の接続制御装置に対してより効率的に処理を分散させることができる。
【0077】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記ユーザ選択条件に基づいて、前記接続制御装置と接続した日時が、現在の日時から予め設定された所定の範囲内になるユーザのユーザ情報を選択する、
情報処理システム。
【0078】
上記構成によれば、システム管理装置は、最近サービスを利用したユーザ、つまり、サービスを利用する可能性が高いユーザのユーザ情報を選択するので、複数の接続制御装置に対してより効率的に処理を分散させることができる。
【0079】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の予め設定された状態を検出し、当該状態に応じて、前記接続制御装置の増設を指示する、
情報処理システム。
【0080】
上記構成によれば、システム管理装置は、例えば接続制御装置の状態が変化した場合に接続制御装置の増設を指示するので、急激なトラヒック需要の変動に対応して柔軟に構成を変更することができる。
【0081】
(付記6)
付記5に記載の情報処理システムであって、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の状態として、前記接続制御装置の負荷を検出し、当該負荷が予め設定された負荷閾値以上である場合に、前記接続制御装置の増設を指示する、
情報処理システム。
【0082】
上記構成によれば、システム管理装置は、接続制御装置の負荷が所定の負荷閾値以上である場合に、接続制御装置の増設を指示するので、接続制御装置の負荷が増加しサービスの提供が中断する可能性を低減することができ、より確実にユーザが所望するサービスを提供することができる。
【0083】
(付記7)
端末装置間の接続を確立する接続制御装置と、
前記端末装置から接続要求情報を受信し、当該端末装置を操作するユーザのユーザ情報に予め対応付けられた前記接続制御装置へ、受信した前記接続要求情報を送信する情報転送装置と、
前記接続制御装置の増設を検出するシステム管理装置と、
を備える情報処理システムにて、
前記システム管理装置は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するよう前記情報転送装置へ指示する、
情報処理方法。
【0084】
(付記8)
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を備え、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
情報処理装置。
【0085】
(付記9)
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
情報処理方法。
【0086】
(付記10)
情報処理装置に、
端末装置間の接続を確立する接続制御装置の増設を検出するシステム管理手段を実現させるとともに、
前記システム管理手段は、前記接続制御装置の増設を検出した場合に、予め設定されたユーザ選択条件に基づいて、増設された前記接続制御装置に対応付けるユーザのユーザ情報を選択するとともに、選択した前記ユーザ情報と、増設された前記接続制御装置の情報と、を対応付けて記憶するように、前記端末装置と前記接続制御装置との間の情報を転送する情報転送装置へ指示する、
ことを実現させるためのプログラム。
【0087】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0088】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0089】
なお、本発明は、日本国にて2013年3月27日に特許出願された特願2013−066709の特許出願に基づく優先権主張の利益を享受するものであり、当該特許出願に記載された内容は、全て本明細書に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0090】
1 情報処理システム
10 仮想化制御サーバ
11 S−CSCF管理サーバ
12 S−CSCFサーバ
13 P−CSCFサーバ
14 I−CSCFサーバ
15 加入者情報DBサーバ
16 端末装置
101 情報処理システム
111 接続制御装置
112 情報転送装置
113 端末装置
114 システム管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10