(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング制御手段は、前記複数の三端子スイッチング回路の前記直列回路それぞれの前記ハイサイドスイッチング素子を同期させてオンオフし、前記ローサイドスイッチング素子を同期させてオンオフする、
請求項1に記載の電力変換回路。
送電装置の送電側第1電極および送電側第2電極と、受電装置の受電側第1電極および受電側第2電極とが、電界結合することで前記送電装置から前記受電装置へワイヤレスで電力伝送する電力伝送システムにおいて、
前記受電装置は、
請求項1から5の何れかに記載の電力変換回路
を備え、
前記電力変換回路は、
前記受電装置の受電側第1電極および前記受電側第2電極に誘起された電力を変換し、負荷へ供給する、
電力伝送システム。
前記スイッチング制御手段は、前記複数の三端子スイッチング回路の前記直列回路それぞれの前記ハイサイドスイッチング素子を同期させてオンオフし、前記ローサイドスイッチング素子を同期させてオンオフする、
請求項7から11の何れかに記載の電力変換システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
実施形態1では、本発明に係る電力変換回路について、降圧スイッチング回路を例に挙げて説明する。
【0021】
図1は実施形態1に係る降圧スイッチング回路を示す図である。本実施形態に係る降圧スイッチング回路1は、直流電圧が入力される入力端子IN1,IN2と、交流電圧が出力される出力端子OUT1,OUT2とを備えている。出力端子OUT1,OUT2の間には負荷RLが接続されている。本実施形態では、負荷RLは交流負荷であり、降圧スイッチング回路1はインバータ装置として用いられる。
【0022】
入力端子IN1,IN2の間には、二つのスイッチング回路ユニット11,12が直列接続されている。スイッチング回路ユニット11,12はそれぞれ、入力側キャパシタCi1,Ci2を有している。入力側キャパシタCi1,Ci2は、入力端子IN1,IN2の間に直列接続されている。スイッチング回路ユニット11,12は、本発明に係る三端子スイッチング回路に相当する。
【0023】
以下では、入力側キャパシタCi1の入力端子IN1側に接続される一端を接続点P
11とし、スイッチング回路ユニット12に接続される他端を接続点P
12とする。また、入力側キャパシタCi2のスイッチング回路ユニット11に接続される一端を接続点P
21とし、入力端子IN2側に接続される他端を接続点P
22とする。この接続点P
21は接続点P
12と同じである。これら接続点P
11、P
12は本発明に係る第1入力端に相当する。また、接続点P
21、P
22は本発明に係る第2入力端に相当する。
【0024】
入力側キャパシタCi1,Ci2は同じ容量であり、入力端子IN1,IN2間に電圧Vが印加された場合、入力側キャパシタCi1,Ci2それぞれには電圧V/2が充電される。すなわち、入力側キャパシタCi1,Ci2の接続点P
12(P
21)の電位は、接続点P
11を基準電位とした場合、V/2である。
【0025】
なお、スイッチング回路ユニット11,12は、それぞれほぼ同じ構成であるため、以下では、スイッチング回路ユニット11について説明し、スイッチング回路ユニット12については、対応する符号をカッコ書きで記す。
【0026】
入力側キャパシタCi1(Ci2)には、ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)とハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)とからなる直列回路が並列に接続されている。ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)とハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)とはSiベースのn型MOS−FETである。ハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)は、そのドレインが接続点P
12(P
22)に接続され、ソースがローサイドスイッチング素子Q1(Q3)のドレインに接続されている。ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)はそのソースが接続点P
11(P
21)に接続されている。n型MOS−FETを用いることで、絶縁側トランスを用いて降圧する場合と比較して、降圧スイッチング回路1をより小型化できる。
【0027】
ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)およびハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)はボディダイオードを有している。ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)が有するボディダイオードは、本発明に係るローサイドダイオードに相当する。なお、ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)およびハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)は、例えばバイポーラトランジスタであってもよく、この場合、図のボディダイオードと同じ向きで、ダイオード素子がローサイドスイッチング素子Q1(Q3)およびハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)に並列接続される。
【0028】
ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)とハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)との接続点P
31(P
32)には、出力側キャパシタCo1(Co2)が接続されている。出力側キャパシタCo1(Co2)は、出力側インダクタL1を介して出力端子OUT2に接続されている。以下、出力側キャパシタCo1,Co2と出力側インダクタL1との接続点をP
4とする。この接続点P
4は本発明に係る出力端に相当する。
【0029】
出力側キャパシタCo1,Co2は、本発明に係るDCカット素子に相当する。出力側インダクタL1は、本発明に係る誘導性インピーダンス素子に相当する。出力側キャパシタCo1,Co2それぞれは、後段の出力側インダクタL1と共にLC共振回路を構成する。本実施形態では、二つの出力側キャパシタCo1,Co2に対して、一つの出力側インダクタL1を共有することで、回路の小型化が可能となる。
【0030】
ハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)のゲートには、ドライバDrv1(Drv2)が接続されている。このドライバDrv1(Drv2)には、駆動電圧を与えるブートストラップ回路が接続されている。ブートストラップ回路は、ダイオードBD1(BD2)およびキャパシタBC1(BC2)を備えている。ダイオードBD1(BD2)は、アノードをハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)のドレインに接続し、カソードを、キャパシタBC1(BC2)を介して、接続点P
31(P
32)に接続されている。ドライバDrv1(Drv2)は、キャパシタBC1(BC2)に充電された電圧により動作し、コントローラ10からの信号に応じてハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)のゲートに電圧を印加して、ハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)を駆動する。
【0031】
ハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)のソース電位はグランド電位よりも高い。このため、ハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)のゲートにブートストラップ回路を設けることで、確実にハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)を駆動することができる。
【0032】
また、ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)のゲートには、ドライバDrv3(Drv4)が接続されている。このドライバDrv3(Drv4)には、キャパシタCi1(Ci2)が並列に接続され、駆動電圧が与えられる。
【0033】
コントローラ10は、本発明に係るスイッチング制御手段に相当し、上述のように、ローサイドスイッチング素子Q1(Q3)とハイサイドスイッチング素子Q2(Q4)とを交互にオンオフする。
【0034】
図2、
図3および
図4は、降圧スイッチング回路1に流れる電流経路を示す図である。
図2、
図3および
図4では、
図1で説明したブートストラップ回路およびコントローラ10の図示を省略している。なお、
図2,
図3および
図4は、
図1に示す回路を簡易にした回路図である。また、
図1に示すP
12,P
21を接続点P
1で表している。
【0035】
図2は、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がオン、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がオフのときの電流経路を示す。この場合、入力端子IN2からハイサイドスイッチング素子Q4、出力側キャパシタCo2および出力側インダクタL1を通り、出力端子OUT2へ電流が流れる。また、接続点P1からハイサイドスイッチング素子Q2、出力側キャパシタCo1および出力側インダクタL1を通り、出力端子OUT2へ電流が流れる。このとき、出力側キャパシタCo1,Co2に電気エネルギーが蓄積され、出力側インダクタL1に励磁エネルギーが蓄積される。
【0036】
ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がオフとなったあと、わずかなデッドタイムを挟んで、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がオンされる。
図3は、そのデッドタイムにおける電流経路を示す。ここで、接続点P
31,P
32から負荷RL側を見込んだ、スイッチング周波数におけるインピーダンスが誘導性となるように、キャパシタCo1,Co2および出力側インダクタL1のリアクタンスが定められている。すなわち、キャパシタCo1,Co2および出力側インダクタL1による共振周波数はスイッチング周波数より低くなる関係としている。そのため、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4をオフにした後、出力側インダクタL1により電流が流れ続けようとする。この結果、ローサイドスイッチング素子Q3のボディダイオードから出力側キャパシタCo2を通り、出力側インダクタL1に電流が流れる。また、ローサイドスイッチング素子Q1のボディダイオードから出力側キャパシタCo1を通り、出力側インダクタL1に電流が流れる。
【0037】
図4は、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がオフ、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がオンのときの電流経路を示す。このとき、出力側キャパシタCo2に蓄積された電気エネルギーにより出力側インダクタL1から出力側キャパシタCo2を通りローサイドスイッチング素子Q3へ電流が流れる。また、出力側キャパシタCo1に蓄積された電気エネルギーにより出力側インダクタL1から出力側キャパシタCo1を通りローサイドスイッチング素子Q1へ電流が流れる。
【0038】
図5は、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3およびハイサイドスイッチング素子Q2,Q4のドレイン−ソース間電圧Vdsおよびドレイン電流Idsの波形図である。また、
図5では詳細に示していないが、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3およびハイサイドスイッチング素子Q2,Q4は、デッドタイムを挟んでオンオフされる。
【0039】
ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がターンオフされて、デッドタイムだけ遅れてローサイドスイッチング素子Q1,Q3のゲート端子に電圧が印加される。そして、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がターンオンする。このとき、出力側インダクタL1に流れていた電流は、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3のボディダイオードを通る。すなわち、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3のターンオン時におけるドレイン電流Idsは負電流である。これにより、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作で、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がターンオンする。このZVS動作により、スイッチング損失を軽減でき、高い変換効率を得ることができる。なお、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3のドレイン電流の波形は、出力側キャパシタCo1,Co2と出力側インダクタL1とによる共振電流の波形となる。
【0040】
同様に、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3がターンオフされて、デッドタイムだけ遅れてハイサイドスイッチング素子Q2,Q4のゲート端子に電圧が印加される。そして、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がターンオンする。このとき、出力側インダクタL1に流れていた電流は、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4のボディダイオードを通る。すなわち、図中の実線で示すように、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4のターンオン時におけるドレイン電流は負電流である。これにより、ゼロ電圧スイッチング動作で、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4がターンオンする。このZVS動作により、スイッチング損失を軽減でき、高い変換効率を得ることができる。
【0041】
図6は、降圧スイッチング回路1の各位置における電圧波形を示す図である。
図6に示す波形は、以下の条件の下に行ったシミュレーション結果である。
図1において、入力端子IN1,IN2からの入力電圧=100V、入力側キャパシタCi1,Ci2=10μF、出力側キャパシタCo1,Co2=20nF、出力側インダクタL1=68μHである。スイッチング素子Q1〜Q4の駆動周波数は100kHzである。
【0042】
図6の波形(1)は入力端子IN1,IN2間の電圧波形、波形(2)は、ローサイドスイッチング素子Q3およびハイサイドスイッチング素子Q4の接続点P
32の電圧波形、波形(3)は、ローサイドスイッチング素子Q1およびハイサイドスイッチング素子Q2の接続点P
31の電圧波形、波形(4)は、負荷RLの両端の電圧波形をそれぞれ示す。
【0043】
図6の波形(1)の電圧を、上述の通り電圧Vとする。この場合、波形(2)で示すように、ハイサイドスイッチング素子Q4がオンのときの接続点P
32の電圧はほぼVである。そして、ローサイドスイッチング素子Q3がオンのときの接続点P
32の電圧は約V/2である。また、波形(3)に示すように、ハイサイドスイッチング素子Q2がオンのときの接続点P
31の電圧は、接続点P
1の電圧、すなわち、約V/2である。そして、ローサイドスイッチング素子Q1がオンのときの接続点P
31の電圧はほぼ0である。このように、波形(2)と波形(3)とに示すように、接続点P
31,P
32それぞれの電圧は、0およびV/2を基準電位とし、V/2の振幅で変化する。
【0044】
接続点P
4の電圧は、接続点P
31,P
32の電圧から、出力側キャパシタCo1,Co2によりDCバイアスがカットされ、インダクタL1を通過した後の電圧である。すなわち、波形(4)に示すように共振しており、電圧0を中心とした正弦波状の電圧波形を示している。
【0045】
このように、実施形態1に係る降圧スイッチング回路1では、MOS−FETを用いることで、降圧スイッチング回路1の小型化および低背化が可能となる。さらに、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3およびハイサイドスイッチング素子Q2,Q4それぞれには、入力電圧の分圧がかかるため、高耐圧性の素子を用いる必要がなくなる。さらに、スイッチング回路ユニット11,12に対して、出力側インダクタL1を共有することで、インダクタの数を増やす必要がなく、降圧スイッチング回路1の小型化が可能となる。
【0046】
この例では、スイッチング回路ユニットを2つ用いたが、さらに多くのスイッチング回路ユニットで構成することによって、より広い電圧変換比に対応することができる。また、各スイッチング素子のデューティ比が50%に近い例を示したが、デューティ比を50%未満にして出力電圧を下げ、または、デューティ比を50%近傍に固定して、スイッチング周期を変えることで出力電圧の周波数を可変させることも可能である。
【0047】
図7は、実施形態1に係る降圧スイッチング回路の変形例を示す図である。この例では、降圧スイッチング回路1Aが備えるハイサイドスイッチング素子Q2,Q4は、Siベースのp型MOS−FETである。この場合、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4を駆動するためのブートストラップ回路が不要となり、
図1の場合と比べて回路構成を簡易にできる。
【0048】
なお、本実施形態では、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3およびハイサイドスイッチング素子Q2,Q4それぞれは、ボディダイオードを有するMOS−FETとしているがスイッチング素子Q1〜Q4をGaNベースのMOS−FET、SiCベースのMOS−FETとしてもよい。また、GaNベースのMOS−FETの場合、降圧スイッチング回路は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作をさせるために、GaNベースのMOS−FETのドレイン−ソース間に実部品のダイオードをさらに接続する構成としてもよい。
【0049】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る降圧スイッチング回路2の回路図である。実施形態2は、スイッチング回路ユニットの数が実施形態1と相違する。本実施形態に係る降圧スイッチング回路2の出力端子OUT1,OUT2に接続される負荷RLは直流負荷であり、降圧スイッチング回路2はDC−DCコンバータである。
【0050】
降圧スイッチング回路2は、直列に接続された五つのスイッチング回路ユニット11,12,13,14,15を備えている。スイッチング回路ユニット11(12,13,14,15)では、入力側キャパシタCi1(Ci2,Ci3,Ci4,Ci5)と、直列接続されたローサイドスイッチング素子Q1(Q3,Q5,Q7,Q9)およびハイサイドスイッチング素子Q2(Q4,Q6,Q8,Q10)とが、並列に接続されている。
【0051】
また、ローサイドスイッチング素子Q1(Q3,Q5,Q7,Q9)およびハイサイドスイッチング素子Q2(Q4,Q6,Q8,Q10)の接続点それぞれは、出力側キャパシタCo1(Co2,Co3,Co4,Co5)を介して、出力側インダクタL1に接続されている。出力側インダクタL1は、整流回路としてのブリッジダイオードBDに接続されている。ブリッジダイオードBDの入力側には、負荷RLが高負荷またはオープンの場合の電流経路となるインダクタL2が並列に接続され、出力側には平滑回路としてのキャパシタC1が並列に接続されている。そして、入力端子IN1,IN2から入力された直流電圧が降圧されて、出力端子OUT1,OUT2から直流電圧が出力される。
【0052】
この降圧スイッチング回路2では、実施形態1と同様に、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3,Q5,Q7,Q9が同時にオンオフされ、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4,Q6,Q8,Q10が同時にオンオフされる。
【0053】
この降圧スイッチング回路2において、ローサイドスイッチング素子およびハイサイドスイッチング素子のオンオフに伴い流れる電流の経路は、実施形態1と同様であるため、説明は省略する。そして、この構成とすることで、降圧スイッチング回路2は、電圧Vの直流電圧が入力されると、整流および平滑された後、V/5以下に降圧された直流電圧を出力端子OUT1,OUT2から出力する。
【0054】
このように、実施形態2に係る降圧スイッチング回路2は、入力側キャパシタ、ローサイドスイッチング素子、ハイサイドスイッチング素子および出力側キャパシタの数を増やすことで、実施形態1と比べてさらに大きい電圧変換比(降圧比)を得ることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、二つのスイッチング回路ユニットを直列に接続した構成を例に挙げたが、スイッチング回路ユニットの数、および、スイッチング回路ユニットの接続形態(直列接続または並列接続)は適宜変更可能である。
図9は、スイッチング回路ユニットの数および接続形態を変更した降圧スイッチング回路の変形例を示す図である。
【0056】
図9に示す降圧スイッチング回路2Aは、並列接続された四つのスイッチング回路ユニット11〜14を備えている。四つのスイッチング回路ユニット11〜14は、
図9では詳細な回路図を省略するが、その構成は
図8で説明した構成と同様である。これらスイッチング回路ユニット11〜14のハイサイドスイッチ素子のドレインそれぞれは入力端子IN2に接続され、ローサイドスイッチ素子のソースそれぞれは入力端子IN1に接続されている。この場合、降圧スイッチング回路2Aからは大電流を得ることができ、また、スイッチング回路ユニット11〜14の何れかが故障した場合であっても、降圧スイッチング回路2Aを正常動作させることができ、フェールセーフ機能を有する降圧スイッチング回路2Aとすることができる。
【0057】
(実施形態3)
実施形態3では、スイッチング回路ユニットを、逆相で制御する場合の例を示す。
図10は、実施形態3に係る降圧スイッチング回路3の回路図である。実施形態3に係る降圧スイッチング回路3は、四つのスイッチング回路ユニット11〜14が直列に接続されている。スイッチング回路ユニット11,12は、出力側インダクタL
11を介して出力端子OUT1に接続されている。また、スイッチング回路ユニット13,14は、出力側インダクタL
12を介して出力端子OUT2に接続されている。この構成では、出力端子OUT1,OUT2に接続される負荷RLはグランドから絶縁し、スイッチング回路ユニット12とスイッチング回路ユニット13との接続点P
23は、グランドに接続されている。
【0058】
さらに、降圧スイッチング回路3は、スイッチング制御するコントローラ10を備えている。このコントローラ10は、スイッチング回路ユニット11,12と、スイッチング回路ユニット13,14とで位相を180度ずらしてスイッチング制御する。
図11および
図12は、各スイッチング素子のドレインソース電圧Vds、ドレインソース電流Ids、および、出力側キャパシタの出力電流の波形を示す図である。
【0059】
実施形態3では、スイッチング回路ユニット11,12のハイサイドスイッチング素子Q2,Q4と、スイッチング回路ユニット13,14のローサイドスイッチング素子Q5,Q7とが同時にオンオフされる。また、スイッチング回路ユニット11,12のローサイドスイッチング素子Q1,Q3と、スイッチング回路ユニット13,14のハイサイドスイッチング素子Q6,Q8とが同時にオンオフされる。
【0060】
この実施形態3の構成であっても、実施形態1と同様、入力電圧の約1/2以下に降圧することができ、複数のスイッチング回路ユニットを用いることによって、トランスなどを用いた従来の一般的な降圧コンバータと比べて大きな電圧変換比(降圧比)を得ることができる。また、降圧スイッチング回路3は対称な構成となっており、さらに接続点P
23がグランドに接続されているため、非対称な回路構成に比べてノイズを低減できる。
【0061】
なお、スイッチング回路ユニットの数、および、スイッチング回路ユニットの接続形態(直列接続または並列接続)は適宜変更可能である。
図13および
図14は、スイッチング回路ユニットの接続形態を変更した降圧スイッチング回路の変形例を示す図である。
図13に示すように、降圧スイッチング回路3Aは、スイッチング回路ユニット11,12,13,14を並列に接続した構成であってもよい。また、
図14に示すように、降圧スイッチング回路3Bは、直列接続したスイッチング回路ユニット11,12と、直列接続したスイッチング回路ユニット13,14とを逆相関係に接続した構成であってもよい。
【0062】
(実施形態4)
実施形態4では、本発明に係る降圧スイッチング回路を備えたワイヤレス電力伝送システムについて説明する。
図15は、実施形態4に係るワイヤレス電力伝送システム100の回路図である。
【0063】
ワイヤレス電力伝送システム100は、送電装置101と受電装置201とで構成されている。受電装置201は二次電池を備えた、例えば携帯電子機器である。携帯電子機器としては携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯音楽プレーヤ、ノート型PC、デジタルカメラなどが挙げられる。送電装置101は受電装置201が載置され、受電装置201に対してワイヤレスで電力伝送し、受電装置201の二次電池を充電するための充電台である。
【0064】
送電装置101および受電装置201はそれぞれ、アクティブ電極111,211およびパッシブ電極112,212を有している。アクティブ電極111,211およびパッシブ電極112,212は、受電装置201を送電装置101に載置した場合に、間隙を介して互いに対向するようになっている。
【0065】
送電装置101の高周波電圧発生回路101Sは例えば100kHz〜数10MHzの高周波電圧を発生する。昇圧トランスXGおよびインダクタLGによる昇圧回路は、高周波電圧発生回路101Sの発生する電圧を昇圧してアクティブ電極111とパッシブ電極112の間に印加する。キャパシタCGは、主に送電装置101のアクティブ電極111とパッシブ電極112との間に生じる容量である。昇圧回路のインダクタンスとキャパシタンスとで共振回路が構成される。
【0066】
受電装置201のアクティブ電極211とパッシブ電極212の間には、ダイオードD1,D2,D3,D4からなるダイオードブリッジを介して、降圧スイッチング回路が接続されている。降圧スイッチング回路は、スイッチング回路ユニット4A,4Bを有している。スイッチング回路ユニット4A,4Bは同様の構成である。
【0067】
スイッチング回路ユニット4A(4B)は、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3,Q5(Q7,Q9,Q11)と、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4,Q6(Q8,Q10,Q12)と、入力側キャパシタCi1,Ci2,Ci3(Ci4,Ci5,Ci6)と、出力側キャパシタCo1,Co2,Co3(Co4,Co5,Co6)とを備えている。
【0068】
スイッチング回路ユニット4A(4B)は、出力側インダクタL
11(L
12)、ブリッジダイオードBDおよびキャパシタC1を介して出力端子OUT1,OUT2に接続されている。スイッチング回路ユニット4Aのローサイドスイッチング素子Q1,Q3,Q5と、スイッチング回路ユニット4Bのハイサイドスイッチング素子Q8,Q10,Q12とが同期してオンオフする。また、スイッチング回路ユニット4Aのハイサイドスイッチング素子Q2,Q4,Q6と、スイッチング回路ユニット4Bのローサイドスイッチング素子Q7,Q9,Q11とが同期してオンオフする。スイッチング回路ユニット4Aは交流電圧の正電圧を出力し、スイッチング回路ユニット4Bは交流電圧の負電圧を出力する。
【0069】
キャパシタCLは、主にアクティブ電極211とパッシブ電極212との間に生じる容量である。出力端子OUT1,OUT2に接続される負荷RLは、本実施形態では充電制御回路を備えた二次電池である。
【0070】
送電装置101のアクティブ電極111およびパッシブ電極112による結合電極と、受電装置201のアクティブ電極211およびパッシブ電極212による結合電極とは相互容量Cmで容量結合する。
【0071】
このように構成されるワイヤレス電力伝送システム2において、送電装置101に受電装置201を載置した場合、アクティブ電極111,211が対向し、パッシブ電極112,212が対向する。そして、アクティブ電極111およびパッシブ電極112に電圧が印加されることで、対向配置となったアクティブ電極111,211間、及びパッシブ電極112,212間に電界が生じ、この電界を介して送電装置101から受電装置201へ電力が伝送される。
【0072】
受電装置201では、送電装置101から伝送された電圧が降圧スイッチング回路により降圧される。そして、受電装置201の二次電池(負荷RL)が充電される。このように、受電装置201は降圧用のトランスを用いないため、受電装置201の小型化および低背化を実現できる。また、受電装置201において高い変換効率を得ることができる。
【0073】
さらに、この例では、スイッチング回路ユニット4A,4Bからの出力電圧のピーク値が、実施形態1〜3の構成と比べて低くできるため、配線を太くする必要がなくなる。
【0074】
図16は、実施形態4に係るワイヤレス電力伝送システムの変形例を示す図である。このワイヤレス電力伝送システム100Aでは、
図15のダイオードブリッジの代わりに、アクティブ電極211と入力端子IN2との間にダイオードD1が接続され、直流電流の経路となるインダクタL3が、ダイオードD1のアノードと降圧スイッチング回路2の入力端子IN1との間に接続されている。このインダクタL3は、アクティブ電極211とパッシブ電極212との間に生じる容量であるキャパシタCLとで共振回路を構成する。また、この例では、入力端子IN1,IN2に接続される降圧スイッチング回路は、
図8に示す実施形態2に係る降圧スイッチング回路と同じ構成である。これにより、送電装置101から受電装置201への電力伝送効率を高めることができる。
【0075】
なお、実施形態1〜4で説明した降圧スイッチング回路1,1A,2,2A,3,3A,3Bを、本実施形態で説明したワイヤレス電力伝送システムの受電装置201に用いてもよい。
【0076】
(実施形態5)
実施形態5では、本発明に係る電力変換システムについて説明する。
【0077】
図17は、実施形態5に係る電力変換システム5の回路図である。電力変換システム5は、スイッチング回路ユニット11,12を備えた降圧スイッチング回路51と、スイッチング回路ユニット13,14を備えた降圧スイッチング回路52とを備えている。降圧スイッチング回路51,52は、インダクタL3で接続されている。降圧スイッチング回路51の入出力端子IO1には、電圧源Vin1および負荷RL1それぞれが接続されている。また、降圧スイッチング回路51の入出力端子IO2には、スイッチS1が接続され、スイッチS1が切り替えられることにより、入出力端子IO2は、電圧源Vin1または負荷RL1の何れかと接続する。
【0078】
降圧スイッチング回路52の入出力端子IO3には、電圧源Vin2および負荷RL2それぞれが接続されている。また、降圧スイッチング回路52の入出力端子IO4にはスイッチS2が接続され、スイッチS2が切り替えられることにより、入出力端子IO4は、電圧源Vin2または負荷RL2の何れかと接続する。
【0079】
この構成における動作について、降圧スイッチング回路51側で入出力端子IO2を電圧源Vin1に接続し、降圧スイッチング回路52側で入出力端子IO4を負荷RL2に接続した場合を例に挙げて説明する。この例の場合、ローサイドスイッチング素子Q1,Q3と、ハイサイドスイッチング素子Q2,Q4とを交互にオンオフさせる。このとき流れる電流は、実施形態1の
図2〜
図4で説明した通りである。
【0080】
降圧スイッチング回路52側では、各スイッチング素子Q5〜Q8は常時オフされていて、各スイッチング素子Q5〜Q8のボディダイオードおよび入力側キャパシタCi3,Ci4により整流平滑されて、負荷RL2へ直流電圧が供給される。なお、降圧スイッチング回路52側では、各スイッチング素子Q5〜Q8を、降圧スイッチング回路51側のスイッチング制御と同期させてもよい。また、ボディダイオードを利用せず、外付けのダイオードを用いてもよく、この場合、低損失化が可能となる。
【0081】
一方、降圧スイッチング回路52側で入出力端子IO4を電圧源Vin2に接続し、降圧スイッチング回路51側で入出力端子IO2を負荷RL1に接続した場合に、ローサイドスイッチング素子Q5,Q7と、ハイサイドスイッチング素子Q6,Q8とを交互にオンオフさせることで、負荷RL1に整流平滑した電圧を供給できる。
【0082】
このように、本実施形態に係る降圧スイッチング回路は、双方向型として用いることができ、電力変換システム5のローサイドスイッチング素子およびハイサイドスイッチング素子それぞれにかかる電圧が高くなることを回避でき、高耐圧性の素子を使う必要がなくなり、低コスト化が可能となる。
【0083】
なお、本実施形態では、降圧スイッチング回路51,52は、それぞれ二つのスイッチング回路ユニットを備えているが、三つ以上のスイッチング回路ユニットを備えていていもよい。また、スイッチング回路ユニットは、入力端子に対して並列接続されていてもよい。
【0084】
(実施形態6)
実施形態6では、実施形態5と同様に、本発明に係る電力変換システムについて説明する。
【0085】
図18は、実施形態6に係る電力変換システム6の回路図である。この例の電力変換システム6は、送受電装置102と送受電装置202とで構成されていて、送受電装置102から送受電装置202へ、またはその逆へ、電力伝送される。
【0086】
送受電装置102,202は降圧スイッチング回路51、52を備える。送受電装置102,202は、それぞれ不図示のコントローラを備え、そのコントローラが降圧スイッチング回路51、52のスイッチング制御を行う。
【0087】
降圧スイッチング回路51は、2つのスイッチング回路ユニット11,12で構成されている。降圧スイッチング回路51は、実施形態5と同様に、スイッチS1が切り替えられることにより、電圧源Vin1および負荷RL1の何れかに接続される。降圧スイッチング回路51の出力部と、降圧スイッチング回路51の入出力端子IO1との間にはコイルL
31が接続されている。
【0088】
降圧スイッチング回路52は、2つのスイッチング回路ユニット13,14で構成されている。降圧スイッチング回路51は、実施形態5と同様に、スイッチS2が切り替えられることにより、電圧源Vin2および負荷RL21の何れかに接続される。また、降圧スイッチング回路52の出力部と、降圧スイッチング回路52の入出力端子IO3との間にはコイルL
32が接続されている。
【0089】
そして、降圧スイッチング回路51,52のコイルL
31,L
32が磁界結合することで、送受電装置102から送受電装置202へ(またはその逆へ)ワイヤレスで伝送される。送受電装置102から送受電装置202へ電力伝送される場合、送受電装置202の降圧スイッチング回路52は整流回路として機能する。また、送受電装置202から送受電装置102へ電力伝送される場合、送受電装置102の降圧スイッチング回路51は整流回路として機能する。
【0090】
このように、送受電装置102および送受電装置202それぞれに、降圧スイッチング回路51,52を備えることで、ローサイドスイッチング素子およびハイサイドスイッチング素子それぞれにかかる電圧が高くなることを回避でき、高耐圧性の素子を使う必要がなくなり、低コスト化が可能となる。また、各スイッチング素子が分担する電圧が低いため、低い電圧振幅で高速に駆動することができ、高周波駆動に適している。また、実施形態5で示したように、ダイオードと併用してスイッチング素子を用いて整流することによって整流回路の高効率化が図れる。また、負荷と電源を切り換えるスイッチを追加することによって、双方向の電力伝送が可能となる。
【0091】
なお、本実施形態では、降圧スイッチング回路51,52は、それぞれ二つのスイッチング回路ユニットを備えているが、三つ以上のスイッチング回路ユニットを備えていていもよい。また、スイッチング回路ユニットは、入力端子または出力端子に対して並列接続されていてもよい。
【0092】
図19は、実施形態6に係る電力変換システム6の別の例の回路図である。
図19に示す電力変換システム6Aは送受電装置102A,202Aを備えている。送受電装置102Aでは、コイルL
31は、降圧スイッチング回路51の出力部と、降圧スイッチング回路51の入出力端子IO2との間に接続されている。また、送受電装置202Aでは、コイルL
32は、降圧スイッチング回路52の出力部と、降圧スイッチング回路52の入出力端子IO4との間に接続されている。そして、コイルL
31,L
32が磁界結合することで、送受電装置102Aから送受電装置202Aへ(またはその逆へ)ワイヤレスで伝送される。
【0093】
(実施形態7)
図20は、実施形態7に係る電力変換システム7の回路図である。この例の電力変換システム7は、送受電装置103と送受電装置203とで構成されていて、実施形態6と同様、送受電装置103から送受電装置203へ、またはその逆へ、電力伝送される。
【0094】
送受電装置103では、コイルL
31は、出力側キャパシタCo1,Co2の間に接続されている。また、送受電装置203では、コイルL
32は、出力側キャパシタCo3,Co4の間に接続されている。そして、コイルL
31,L
32が磁界結合することで、送受電装置103から送受電装置203へ(またはその逆へ)ワイヤレスで伝送される。この場合、送受電装置103,203の降圧スイッチング回路51,52それぞれは対称な構成となっているため、非対称な回路構成に比べてノイズを低減でき、動作が安定する。
【0095】
なお、実施形態6,7で説明した電力変換システムの送受電装置を組み合わせた電力変換システムを構成してもよい。例えば、電力変換システムは、
図18に示す送受電装置102と、
図19に示す送受電装置202Aとからなる構成であってもよい。また、
図20に示す送受電装置103と、
図18に示す送受電装置202とからなる構成であってもよい。
図19に示す送受電装置102Aと、
図20に示す送受電装置203とからなる構成であってもよい。このように、電力変換システムの送受電装置の組み合わせは、適宜変更可能である。