(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
扱室(66)における被処理物の搬送方向終端部と、排塵処理室(68)における被処理物の搬送方向始端部とを連通口(10)で連通し、前記排塵処理室(68)の後端部には該排塵処理室(68)の後端部に達した被処理物を脱穀装置(15)の外部へ排出する第1排塵口(102)を設け、前記扱室(66)の下方に揺動棚(51)を有する選別室(50)を設けた脱穀装置において、前記第1排塵口(102)よりも後方となる前記揺動棚(51)の後端部上側の部位に、該揺動棚(51)の後端部に達した被処理物を外部に排出する第2排塵口(103)を設け、該第2排塵口(103)には穀粒の排出を防ぐ開閉自在のシャッタ(100)を設け、前記揺動棚(51)には、移送棚(52)と第1チャフシーブ(53)と第2チャフシーブ(54)を被選別物の移送方向上手側から順に備え、前記移送棚(52)の上側から第1チャフシーブ(53)の上側に亘る部位に、二番処理室(67)内の二番処理胴(70)の前端部から移送棚(52)の右側前部に供給された二番処理物を、該移送棚(52)及び第1チャフシーブ(53)上で左右方向に拡散案内する板状の拡散ガイド(88)を設け、前記移送棚(52)上を通過する被選別物の層厚を検出する層厚センサ(43)を、前記拡散ガイド(88)の側面と平面視で直交する方向に配置されたセンサ支軸(25)に対して、接触子(44a)を斜め後方へ下がり傾斜した姿勢で吊り下げて構成し、該層厚センサ(43)によって一定以上の層厚が検出されたときに前記第1チャフシーブ(53)に付着する藁屑を掻き落とすスクレーパ(34)が作動する構成とした脱穀装置。
前記移送棚(52)の下側に設けた縦支軸(33)に前記スクレーパ(34)を作動させる揺動アーム(31)を軸支し、該揺動アーム(31)から左右方向に張り出した駆動アーム(38)の左右両端部に左右のワイヤ(39,40)の一端部を連結し、該左右のワイヤ(39,40)の他端部を駆動モータ側に連結し、該駆動モータの駆動によって揺動アーム(31)を左右方向に揺動させてスクレーパ(34)を作動させる構成とし、前記層厚センサ(43)によって一定以上の層厚が検出されたときに前記駆動モータが駆動する構成とした請求項1に記載の脱穀装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0015】
図1には本実施例として穀類の収穫作業を行うコンバインの左側面図を示し、
図2にはコンバインの平面図を、
図3にはコンバインの脱穀装置の一部を切り欠いた側面断面図を示す。
【0016】
なお、本実施例ではコンバインの前進方向に向かって前側と後側をそれぞれ前、後といい、左側と右側をそれぞれ左、右ということにする。
【0017】
図1及び
図2に示すコンバイン1の走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで安定して自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部には図示しないエンジンと脱穀装置15、操縦席20およびグレンタンク30を搭載する。
【0018】
刈取装置6は、刈取昇降シリンダ(図示せず)の伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置8を、その後方底部には刈刃(図示せず)を配置している。刈刃と脱穀装置15のフィードチェン14の始端部との間に、図示しない前部搬送装置、扱深さ調節装置、供給搬送装置などの搬送装置9を順次穀稈の受継搬送と脱穀装置15への扱深さ調節とができるように配置している。
【0019】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して変速用、操向用などの操作レバー類をコンバイン1が前進するように操作し、刈取・脱穀クラッチ(図示せず)を入り操作して機体の回転各部を伝動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取、脱穀作業が開始される。圃場に植立する穀稈は、刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置8の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0020】
穀稈は供給搬送装置からフィードチェン14の始端部に受け継がれ、脱穀装置15に供給される。脱穀装置15は、上側に扱胴69を軸架した扱室66を前板97と後板98の間に配置し、扱室66の下側に選別室50を一体的に設け、供給された刈取穀稈を脱穀、選別する。
【0021】
脱穀装置15に供給された穀稈は、後で詳細に説明するが、主脱穀部である扱室66に挿入され、扱室66に軸架され回転する扱胴69の多数の扱歯69aと、フィードチェン14による移送と、扱胴69の下側を円弧状に囲む扱網74との相互作用により脱穀され、被処理物(穀粒や藁屑)は脱穀装置15内の選別室50の揺動棚51で受け止められ、上下前後方向に揺動する揺動棚51上を後方へ移動しながら、唐箕79からの送風を受けて風力選別され、比重の重い穀粒は第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54および選別網63を通過し、一番螺旋65から、搬送螺旋を内蔵している一番揚穀筒45を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。一番揚穀筒45の長手方向の軸芯上にグレンタンク30の籾排出口を設けている。
【0022】
脱穀装置15の扱室66の終端に到達した脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、排藁チェーン80a(
図4)および排藁穂先チェーン80b(
図4)に挟持されて搬送され、脱穀装置15の後部の排藁処理室82に投入されて圃場に放出される。排藁処理室82内には排藁カッター刃81a、81bが設けられており、排藁カッター刃81a、81bにより切断された穀稈は、排藁カッター刃81a、81bの下方であって、排藁処理室82の前壁部に基部が支持され、後方下り傾斜に設けられた板状の切断藁ガイド96(
図3)により案内されて圃場に放出される。
【0023】
グレンタンク30内の底部に穀粒移送用のグレンタンク螺旋(図示せず)を設け、グレンタンク螺旋を駆動する螺旋駆動軸(図示せず)に縦オーガ18および横オーガ19からなる排出オーガを連接し、グレンタンク30内に貯留した穀粒を排出オーガ排出口からコンバイン1の外部に排出する。グレンタンク螺旋、縦オーガ螺旋(図示せず)および横オーガ螺旋(図示せず)は、エンジンの動力の伝動を受けて回転駆動され、それぞれの螺旋羽根のスクリュウコンベヤ作用により貯留穀粒を搬送する。
【0024】
刈取装置6で刈り取った穀稈は刈取装置6に装着された穀稈搬送、調節装置で扱深さが調節され、脱穀装置15の主脱穀部である扱室66内に挿入される。扱室66に軸架された扱胴69は、その表面に多数の扱歯69aが設けられており、エンジンからの駆動機構(図示せず)により、
図4と
図6の矢印B方向に回転する。扱室66に挿入された穀粒の付いた穀稈は、移動するフィードチェン14により
図4の矢印A方向に移送されながら、矢印B方向に回転する扱胴69の扱歯69aと扱網74との相互作用により脱穀される。穀稈から分離された被処理物は扱網74を通過して、揺動棚51で受け止められる。
【0025】
揺動棚51は、扱室66の扱網74の下方に配置した移送棚52とその後方に配置した前から後へ配置する第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54と最後端部に配置したストローラック62及び第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54の下方に配置する選別網63から構成されている。
【0026】
図5及び
図8に示す第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54は、前後揺動によって各シーブ間から被処理物を漏下させ、唐箕79からの送風により風力選別する点で共通しているが、被処理物の搬送方向前方側の第1チャフシーブ53の方が後方側にある第2チャフシーブ54に比べて各シーブの大きさが小さく、各シーブ間の間隔が多少狭い構成である。被処理物の搬送方向前方側では、被処理物中における単粒の含有率が高く、後方側では被処理物に含む枝梗付着粒の割合が多いため、第1チャフシーブ53では藁屑の漏下を抑えながら単粒だけを漏下させて藁屑をより後方へ移送し、第2チャフシーブ53では穀粒を積極的に漏下させて、風力選別を行うとともに、枝梗付着粒を二番処理胴70に移送して単粒化を図るためにこのような構成としている。
【0027】
また、移送棚52と第1チャフシーブ53の上方に、移送棚52の右前側へ供給される二番処理物を移送棚52と第1チャフシーブ53上で横に拡散させる拡散ガイド88を設けている。
【0028】
そして、第1チャフシーブ53の前方に配置されている移送棚52には複数個のラック状或いは平板状の選別板52aを備えておる。移送棚52は扱胴69の下方に配置して扱網74から落下する被処理物と共に二番処理胴70から排出する二番処理物を受け止め得る構成になっている。
【0029】
また、移送棚52の上方に拡散ガイド88の板面と直交する方向にセンサ支軸25を設け、このセンサ支軸25に前側を円弧状に膨らませた接触子44aを斜め後方へ向かって下り傾斜に吊り下げて固着している。接触子44aは
図8及び
図14に示すように、ピン28,29でその回動範囲を規制しており、後方へ向かって約30°下り傾斜した層厚検出姿勢(
図14中のa)から上方の退避姿勢(
図14中のb)まで回動するようにして、このセンサ支軸25の回動を層厚センサ43で検出して移送棚52上の被処理物の厚みを検出する。接触子44aを後方下り傾斜姿勢にて保持することで、脱穀装置15の傾斜状態や走行中の振動による影響を低減して被処理物量を性格に検出できる。
【0030】
揺動棚51を取り外す場合には、接触子44aを上方に回動してピン29に当接した状態に保持する。また、
図15に示す如く接触子44aに引掛り部44bを設けて、揺動棚51を横から差し込むと上方に回動した接触子44aの引掛り部44bに当たって接触子44a下方の検出位置へ回動するようにしてもよい。
【0031】
層厚センサ43は、
図11に示す如く、移送棚52の二番処理物供給口近くにおいて前後方向の前後センサ支軸41に第一接触子(第1の接触子)44a1を設けて第一層厚センサ(第1の層厚センサ)43aで左右方向の移送棚52上の被処理物の厚みを検出し、移送棚52の左右中央において左右方向の左右センサ支軸42に第二接触子(第2の接触子)44a2を設けて第二層厚センサ(第2の層厚センサ)43bで前後方向の移送棚52上の被処理物の厚みを検出するようにすれば、第一層厚センサ43aで二番処理物の量を検出でき、車体の左右傾きも検出出来て機体のローリング制御に利用出来るようになる。なお、第一層厚センサ43aと第二層厚センサ43bの検出した層厚を総合してスクレーパ34の作動を制御する。
【0032】
また、層厚センサ43で検出した層厚データを操縦席20近くに設けるモニタに表示してスクレーパ34の作動を作業者に知らせるようにしても良い。さらに、層厚データと車速から脱穀処理率をモニタに表示するようにしても良い。
【0033】
第1チャフシーブ53は、板状のシーブ35を後方に向かって登り傾斜に配列したもので、各シーブ35の裏側に当接するスクレーパ34をスクレーパ支持アーム36に設けている。スクレーパ支持アーム36は、第1チャフシーブ53上に横方向5列で、第1チャフシーブ53の底面側に設ける連結軸37で一体に連結している。連結軸37は前後方向に設ける揺動アーム31に枢支軸32で連結し、揺動アーム31の前端を縦支軸33に枢支し、揺動アーム31の前端で左右に張り出す駆動アーム38の両端部にワイヤ39,40を連結し、該ワイヤ39,40を駆動モータ(図示せず)に連結して、駆動モータで揺動アーム31を左右に揺動してスクレーパ34がシーブ35に付着する藁屑等を掻き落とすようにしている。
【0034】
駆動モータは、前記層厚センサ43が移送棚52上の被処理物の厚みが一定以上を検出することで、駆動するようにすることで、第1チャフシーブ53の詰まりを無くして選別機能の低下を防ぐ。
【0035】
なお、
図12に示す一番揚穀筒45に穀粒の水分率を検出する穀粒水分センサ46を設け、水分率が高い場合は、刈り取る穀稈が濡れていて第1チャフシーブ53に藁屑が付着しやすいので、層厚センサ43の出力を見ることなく短時間で駆動モータを駆動して、スクレーパ34で藁屑等を掻き落とすようにしても良い。
【0036】
なお、
図13に示す如く、スクレーパ34の駆動アーム38を、第一駆動アーム38aと第二駆動アーム38bとから構成して、該第一駆動アーム38aを揺動棚51に設けた縦支軸33周りに揺動アーム31と一体で揺動可能に構成して、第二駆動アーム38bを第一駆動アームの先端に取付け、他端を脱穀機前壁47に固定する構成としてもよい。これにより、揺動棚51の前後揺動に伴いスクレーパ34を作動させることができ、スクレーパ34の作動機構を簡易に構成することができる。第二駆動アーム38bを脱穀機枠外まで突出させて手動でスクレーパ34を動かせるようにしても良い。
【0037】
扱網74の前方領域に漏下する最初に脱粒した穀粒は単粒であり夾雑物も含んでいないので第1チャフシーブ53や第2チャフシーブ54上で粗選別する必要が無く、直接下方の選別網63で後述する唐箕79からの送風により風選することができ、これらチャフシーブ53、54の負荷を軽くし、能率的な脱穀が可能となる。
【0038】
また、揺動棚51は図示しない揺動棚駆動機構の作動により上下前後方向に揺動するので、被処理物は矢印D方向(
図3)に移動しながら、揺動棚51上に漏下した比重の重い穀粒は選別網63を矢印E方向に通過し、一番棚板64で集積され、一番螺旋65から一番揚穀筒(図示せず)を経てグレンタンク30へ搬送される。グレンタンク30に貯留された穀粒は、オーガ18、19を経由してコンバイン1の外部へ搬送される。
【0039】
揺動棚51の上の被処理物のうち軽量のものは、揺動棚51の揺動作用と唐箕79のファン79aによる送風に吹き飛ばされて揺動棚51から第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54に向けて矢印D方向に移動し、ストローラック62の上で大きさの小さい二番穀粒は矢印G方向に漏下して二番棚板85に集められ、二番螺旋86で二番揚穀筒87(
図7)へ搬送される。
【0040】
二番穀粒(二番物ということがある)は、正常な穀粒、枝梗粒、藁屑および藁屑の中に正常な穀粒が刺さっているササリ粒などの混合物であり、二番揚穀筒87の中を二番揚穀筒螺旋(図示せず)により揚送されて、二番処理室入口から二番処理室67の上方へ放出される。
【0041】
二番処理室67の下部に軸架する二番処理胴70はエンジンからの動力を伝動する駆動機構で
図4の矢印J方向に回転する。二番穀粒は二番処理胴70に植設してある多数の処理歯70aに衝突しながら矢印I方向(
図3、
図4)に進行する間に二番穀粒の分離と枝梗粒の枝梗の除去を行い、被処理物の一部は二番処理胴70の下方に設けられた受網(図示せず)を通り抜けて選別室50へ直接漏下し、被処理物の大部分は二番処理胴70の前端部まで送られて移送棚52へ排出されて、再び第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54方向に送られ、穀粒は第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54と選別網63を通り、一番螺旋65に集められる。
【0042】
このように二番物を回収して移送棚52上に再び送り、第1チャフシーブ53、第2チャフシーブ54による再処理をすることにより、穀粒と藁屑との分離が良好になる。
【0043】
扱室66を
図4の矢印A方向に進行し、扱室66の終端に到達した被処理物の中の脱穀された穀稈で長尺のままのものは、
図4に示す矢印A1方向に搬送され、排藁処理室82に投入される。
【0044】
また、扱室66の扱胴69による被処理物搬送方向終端部側に到達した被処理物の中で、藁屑など短尺のものは、扱室66の扱胴69による被処理物の搬送方向終端部と排塵処理室68の排塵処理胴71による被処理物の搬送方向始端部とを連通する連通口101にある排塵処理室入口68aから矢印A2(
図4)方向に投入されて、扱室66からの取り込みを良好にする螺旋71bの作用により排塵処理室68に入り、排塵処理室68では回転する排塵処理胴71の処理歯71aにより矢印K方向(
図3)に搬送されながら処理される。なお、排塵処理胴71の上手側に螺旋71bが設けられ、排塵処理胴71の下手側に処理歯71aが設けられている。排塵処理胴71の扱室66側には格子状の排塵処理胴枠72(
図6)が排塵処理胴71の下側及び扱室66側の外周に沿って設けられ、排塵処理室68の濾過体を構成している。
【0045】
前記排塵処理胴枠72の後端72a(
図3)は、排塵処理室68の後端68b(
図3)よりも所定距離だけ前方に配置され、この排塵処理胴枠72の後端72aと排塵処理室68の後端68bとの間に、排塵処理室68の後端部に達した被処理物を脱穀装置15の外部へ排出する第1排塵口102を、揺動棚51上に向かう斜め下方向および後方に向けて開口して設けている。
【0046】
排塵処理室68に入った少量の穀粒を含む藁屑を主体とする被処理物の中の漏下物(穀粒)は受け網76(
図3)から揺動棚51上に漏下し、揺動棚51に設けられたストローラック62に誘導されて二番棚板85から二番揚穀筒87を経由して二番処理室67に送られる。なお、同軸上にある二番処理胴70と排塵処理胴71の駆動は図示しないがエンジンからの駆動力がプーリを介して行われる。
【0047】
図3に示すように、脱穀装置15の後部に被処理物を吸引するための吸引ファン91を設け、排塵処理室68を含む脱穀装置15内で発生する排塵のうち、比重の軽い藁屑、枝梗および塵埃を含む空気を吸引ファン91の回転による送風で吸引し、第3排塵口92から矢印L方向へ吹き出して、コンバイン1の外部へ放出する。
【0048】
一方、吸引ファン91の回転による送風で吸引されない被処理物は揺動棚51の終端部であるストローラック62の後端に設けられ、脱穀装置15の後壁15aに形成された第2排塵口103からコンバイン1の外部に排出される。
【0049】
揺動棚51上を後方へ移送されてきた藁屑で第1チャフシーブ53と第2チャフシーブ54やストローラック62の目合いから濾過しないものは、揺動棚51の揺動やストローラック62の移送作用によって第2排塵口103から脱穀装置15の外部に排出されるが、この藁屑中には穀粒がわずかに含まれることがあり、このように藁屑とともにコンバイン1の外部に排出される穀粒を三番穀粒と言い、三番穀粒が脱穀装置15の外部に排出されることを三番ロス(三番損失)、三番穀粒の回収ロスなどと言う。
【0050】
また、排塵処理室68から揺動棚51の終端部に矢印M(
図3)のように落ちた排塵(排塵物)のうち二番穀粒、三番穀粒など小径で比重の重いものは、揺動棚51の終端部のストローラック62あるいは第2チャフシーブ54を矢印G方向へ通過して二番棚板85に漏下し、再び二番処理室67において処理される。
【0051】
本実施形態によれば、
図6の脱穀装置内部の背面図に示すように、扱室66の後側で揺動棚51の上側に形成した排塵室83内において、扱胴69を挟んで排塵処理室68と対向する位置に吸引ファン91を設け、排塵処理室68の後端部の第1排塵口102から排出される排塵物や揺動棚51上の後部に達した排塵物を吸引ファン91の回転による送風で吸引し、吸引ファン91の下方にある第3排塵口92へ導いて、コンバイン1の外部に排出している。
【0052】
また、排塵処理室68の第1排塵口102よりも後方で揺動棚51の後端部上側の部位には、揺動棚51の後端部側に達した被処理物をコンバイン1の外部に排出するための第2排塵口103を設けており、第2排塵口103からは上記三番穀粒が排出されることを防止するために、開閉自在のシャッタ(板体)100を設けている。
【0053】
図6に示すようにシャッタ100は左右方向に長手方向を有する板体により形成され、また
図7の排塵処理室68と排藁処理室82の部分拡大側面図に示すように、シャッタ100の上端部には脱穀装置15の後壁15aを後側に延在させた突出部分に両端を支持され、左右方向に伸びた開閉軸110を支点として、シャッタ100の下端部を開放自在にしている。
【0054】
また、シャッタ100は開閉軸110と一体であり、開閉軸110が回動すると、該開閉軸110と共に一体的にシャッタ100の下端が開放される。また開閉軸110には、該開閉軸110と直交する方向に平面を有する板材からなる開閉アーム111を固着しているので、該開閉アーム111を開閉軸110を支点として回動させると、開閉軸110もこの動きに伴って回動する。
【0055】
開閉アーム111の前記支点(開閉軸110との連結部)とは反対側の端部には、後述する刈取装置6の上下動と連動して押し引き操作が可能な操作ワイヤ107に連結しており、また開閉アーム111の操作ワイヤ107との連結部には該操作ワイヤ107とは反対側に開き方向付勢スプリング95の一端に連結している。開き方向付勢スプリング95の他端は脱穀装置15の後壁15a側に連結している。従って、開閉アーム111は常時シャッタ100を開く方向に付勢されている。
【0056】
操作ワイヤ107を弛ませると、
図7に示すように、開き方向付勢スプリング95の引っ張り力によって矢印A方向に開閉アーム111を動かしてシャッタ100を開く方向に作動させる。
【0057】
図6に示すように第2排塵口103を開閉するシャッタ100とその支点となる開閉軸110は、脱穀装置部分の後方視において第3排塵口92に排塵する吸引ファン91の設置部分とは反対側の排塵処理胴71側に延出し、排塵処理室68の終端より後方に設けている。
【0058】
この操作ワイヤ107の引き操作は、後述するように刈取装置6の上昇に連動して操作ワイヤ107を引き操作してシャッタ100を閉じる構成とするとよく、また、操縦席20付近に設けたレバーの操作によって行うように構成してもよい。
【0059】
このように脱穀装置15の終端から後方の排藁カッター刃81a、81bが設置されている排藁処理室82への開閉軸110の突出を抑え、排藁処理室82からの切り藁の落下を妨げることがない。また、第2排塵口103からの排塵物の排出を妨げることがない。開閉アーム111が排塵処理室82の横にある場合に比較してコンパクトに設置しており、グレンタンク30の容量を犠牲にすることがない。
【0060】
シャッタ100の回動支点となる開閉軸110は脱穀装置15の終端と排藁処理室82の前方部位にある切断藁ガイド96との間の空間部に設けているので、シャッタ100は排藁カッター刃81a、81bによる切り藁等の落下、拡散に支障をきたすことがなく設置でき、また、シャッタ100の開放量を最大限大きくすることができ、排塵物の機体外部への排出が有効に行える。