(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6048628
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20161212BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20161212BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R1/00 317
H04R17/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-537580(P2016-537580)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2016067087
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-122034(P2015-122034)
(32)【優先日】2015年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健治
(72)【発明者】
【氏名】保坂 明彦
(72)【発明者】
【氏名】渡部 嘉之
【審査官】
大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−232443(JP,A)
【文献】
特開2001−326985(JP,A)
【文献】
特開平04−096599(JP,A)
【文献】
実開昭57−041380(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/10
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体とを備え、
前記筐体は、前記円筒形状の断面における直径方向に設けられた支持部を備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配され、一端が前記支持部に接続され、前記筐体における円筒の軸に沿って配置されている、イヤホン。
【請求項2】
前記第一の振動板は、前記支持部に接続されている一端と逆側の他端に錘を有する、請求項1に記載のイヤホン。
【請求項3】
前記支持部は、前記筐体の耳道側に設けられる、請求項1に記載のイヤホン。
【請求項4】
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体とを備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
2枚以上の前記第一の振動板を備え、前記2枚以上の前記第一の振動板のうちの2枚は、互いに直交する方向に振動する、イヤホン。
【請求項5】
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体と、
イヤホン本体と、を備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
前記筐体と前記イヤホン本体との間に振動伝達緩衝機構を備える、イヤホン。
【請求項6】
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
第二の圧電素子によって振動する第二の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体とを備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
前記筐体に設けられ前記第二の振動板の発生する空気振動を耳道に伝達する孔部を備える、イヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伝導により音を伝達するイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
音響信号によって耳に当接する振動装置を振動させ、その振動を、人骨を介して内耳にある蝸牛管(うずまき管とも呼ばれる)に伝達することで、リンパ液中に浮かぶ聴覚神経に音響信号に記録された音を認識させる骨伝導型のイヤホンが知られている。
【0003】
骨伝導型のイヤホンは、空気を耳道に密閉せずに音響を伝達するため、例えば音楽鑑賞中にも人の声等の周囲の音を認識できる。しかし、蝸牛管に伝わった音は左右両耳の鼓膜に伝わってしまうため、音の定位(左右の分離)が不十分であった。
【0004】
この点、特許文献1には、耳道軟骨に音を伝導するイヤホンが開示されている。しかし、開示されたイヤホンは、その構造上、振動装置の振動が耳道軟骨に十分に伝達されるものではない。すなわち、振動によるエネルギーの過半は周囲の空気に伝達される。この結果、いわゆる「音漏れ」が発生し、使用時に周囲に迷惑をかけることとなってしまうものであった。また、空気の疎密波でなく質量をもった物体の振動による音の伝達のため、高周波数の振動が困難であり、高域の音響特性に劣るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−053640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高音質で、定位認識が可能であり、かつ、音漏れの少ない、骨伝導型のイヤホンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の
第1の観点に係るイヤホンは、
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する
円筒形状の筐体とを備え、
前記筐体は
、前記円筒形状の断面における直径方向に設けられた支持部を備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配され
、一端が前記支持部に接続され、前記筐体における円筒の軸に沿って配置されている。
【0008】
この構成によれば、円筒形状の筐体が耳道軟骨に密接し、第一の振動板の振動の多くを耳道軟骨に伝達することができる。また、第一の振動板が筐体の内部に配されており、第一の振動板の振動を受ける空気を筐体内に封入しておくことができる。
【0010】
また、この構成によれば、第一の振動板と筐体の全体が、音叉のように安定して振動する。
【0011】
本発明のイヤホンにおいて、
前記第一の振動板は、前記支持部に接続されている一端と逆側の他端に錘を有する。
【0012】
この構成によれば、第一の振動板の共振周波数(F0)を下げることができ、低域の周波数特性が好ましいものとなる。
【0013】
本発明のイヤホンにおいて、
前記支持部は、前記筐体の耳道側に設けられる。
【0014】
この構成によれば、第一の振動板の振動が耳道側から伝達される。よって、耳道軟骨に伝達されずに音漏れとなる振動が減少する。
【0015】
本発明の
第2の観点に係るイヤホンは、
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体とを備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
2枚以上の前記第一の振動板を備え、前記2枚以上の前記第一の振動板のうちの2枚は、互いに直交する方向に振動する。
【0016】
この構成によれば、直交する方向に振動する2枚の第一の振動板が存在する。よって、振動が、支持部や筐体の形状に影響されることが少なく、耳道軟骨に確実に伝達される。
【0017】
本発明の
第3の観点に係るイヤホンは、
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体と、
イヤホン本体と、を備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
前記筐体と前記イヤホン本体との間に振動伝達緩衝機構を備える。
【0018】
この構成によれば、イヤホン本体に伝達される振動が減少し、音漏れが減少する。
【0019】
本発明の
第4の観点に係るイヤホンは、
第一の圧電素子によって振動する第一の振動板と、
第二の圧電素子によって振動する第二の振動板と、
前記第一の振動板に配設されて前記第一の振動板の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体とを備え、
前記第一の振動板が前記筐体の内部に配されており、
前記筐体に設けられ前記第二の振動板の発生する空気振動を耳道に伝達する孔
部を備える。
【0020】
この構成によれば、第一の振動板の振動(主に低域)を耳道軟骨に伝達して骨伝導型のイヤホンとして動作するとともに、第二の振動板の振動(主に高域)を空気振動として鼓膜に伝達することができる、低域、高域共に、十分な音圧を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のイヤホンによれば、高音質で、定位認識が可能であり、かつ、音漏れの少ない骨伝導型のイヤホンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、イヤホンの使用状況を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、イヤホンの概略構成を示す図(筐体の断面図)である。(実施例1)
【
図2B】
図2Bは、イヤホンの概略構成を示す図(筐体を耳道側から見た図)である。(実施例1)
【
図3】
図3は、周波数特性を示す図である。(実施例1)
【
図4A】
図4Aは、イヤホンの概略構成を示す図(筐体の断面図)である。(実施例2)
【
図4B】
図4Bは、イヤホンの概略構成を示す図(筐体を耳道側から見た図)である。(実施例2)
【
図5】
図5は、振動板の構成を示す図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、イヤホン1の使用状態を示す図である。イヤホン1が耳道7に挿入されている。イヤホン1は、耳道7に挿入されないイヤホン本体5及び耳道7に挿入される円筒形状の筐体2を備え、耳道7に確実に挿入される筐体2から耳道軟骨6に低域の振動が伝達される。一方、高域の音は、後述するツイータ4によって、空気振動(疎密波)として耳道7に伝達される。
【0024】
イヤホン本体5と筐体2との間に、緩衝具51が設けられている。緩衝具51は、例えば軟質のプラスチックであり、筐体2の振動のイヤホン本体5への伝達を減少させる振動伝達緩衝機構として機能する。緩衝具51が設けられることで、イヤホン1は、筐体2の振動をイヤホン本体5に伝達し難くし、イヤホン本体5の振動が空気に伝達されることによる音漏れを少なくできる。なお、緩衝具51は筐体2の円筒部のみに設けられることで十分であり、円筒内部の空洞部(電気配線等を有する)に干渉しない。つまり、緩衝具51は、筐体2の内壁に沿って空洞部分を塞がないように配置される。
【0025】
なお、高域の音を空気振動として耳道7に伝達する構造(ツイータ4)、及び緩衝具51については、それらを備えることが好ましいが、必ずしも設けなくともよい。具体的な設計の範囲で取捨選択して差し支えない。
【0026】
以下、本発明のイヤホン1の筐体2、及び音を発生する振動板の具体的な構成について、実施例により説明する。
【実施例1】
【0027】
図2A及び
図2Bは、イヤホン1の概略構成を示す図である。
図2Aは筐体2の断面図であり、
図2Bは筐体2を耳道7側(
図2Aの右方)から見た図である。筐体2は、円筒形状のイヤピース(筐体本体)21に支持部22及び孔部23を設けたものである。
【0028】
支持部22は、筐体2の耳道7側の端部に設けられ、かつ、円筒形状の断面における直径方向に沿って設けられている。すなわち、支持部22は、筐体2の円筒形状における断面の直径方向に沿って延びた板状であり、両端がイヤピース21の内壁に接続されている。孔部23は、イヤピース21の内壁と支持部22との間に存在する空間(隙間)である。
【0029】
筐体2には、ウーハ3及びツイータ4が配設されている。ウーハ3は、第一の振動板31に第一の圧電素子32を付設したものであり、その一端が、支持部22に埋設(接続)されている。第一の圧電素子32に電圧を印加して振動させると、第一の振動板31が振動し、ウーハ3は、支持部22を介してイヤピース21に振動を伝達する。イヤピース21の振動は、耳道軟骨6(
図1)に伝達される。なお、ウーハ3は、1枚の圧電素子を用いたユニモルフ型であるが、2枚の圧電素子を用いたバイモルフ型や多数(3枚以上)の圧電素子を積層した積層型であってもよい。
【0030】
第一の振動板31及び第一の圧電素子32において、支持部22が接続された一方端とは反対側の他方端には、錘33が付されている。錘33のそれぞれは、第一の振動板31及び第一の圧電素子32の共振周波数を低下させ、ウーハ3の周波数特性を改善する。
【0031】
ウーハ3の一方端は、筐体2の耳道7側の端部に設けられ、かつ、円筒形状の断面における直径方向に沿って設けられた支持部22に埋設されるため、ウーハ3は、筐体2における円筒の軸に沿って延びるように配設される。よって、ウーハ3は、円筒形状のイヤピース21の各所にほぼ均一な振動を伝達する。なお、ウーハ3は、第一の圧電素子32に電圧が印加されると、第一の振動板31と第一の圧電素子32との境界に直交する方向に沿って振動する。
【0032】
ツイータ4は、第二の振動板41に第二の圧電素子42を付設した圧電素子型のスピーカである。第二の圧電素子42に電圧を印加して振動させると、第二の振動板41が振動し、ツイータ4は、筐体2内に音(空気の疎密波)を出力する。出力された音は、空気を媒体として、孔部23を通り、耳道7に伝達される。
【0033】
図3は、イヤホン1、ウーハ3及びツイータ4の周波数特性を示す図である。
図3に示すように、ウーハ3の周波数特性3Fは、錘33の効果により、低域において音圧が高い。一方、ツイータ4の周波数特性4Fは、圧電素子型ツイータの特性により、高域において音圧が高い。これらが総合され、イヤホン1の周波数特性1Fは、低域においても高域においても音圧が高いものとなる。
【0034】
ウーハ3で発生した振動はイヤピース21を介して耳道軟骨6に伝達され、ツイータ4から出力された音は耳道7に伝達される。いずれも、イヤホン1を装着した側のみの鼓膜に伝達されることとなる(左右両耳の鼓膜に伝わらない)。これにより、左右の耳に別々のイヤホン1を装着した場合に、左右の音が確実に分離され、音の定位が得られる。
【0035】
以上詳細に説明したように、本実施例のイヤホン1は、ウーハ3で発生した振動を骨伝導で、ツイータ4から出力された音を空気伝導で伝達することにより、良好な周波数特性を得ることができる。また、左右の音が分離され、音の定位を得ることができる。
【0036】
そして、第一の振動板31が筐体2内に配設され、イヤホン1の装着時において、筐体2内の空気が筐体2でほぼ密封されていること、及び第一の振動板31の一部が、筐体2の耳道7側の端部に設けられ、かつ、円筒形状の断面における直径方向に設けられた支持部22に埋設されることにより、第一の振動板31及び筐体2の振動が効率的に耳道軟骨6に伝達され、音漏れを少なくすることができる。
【0037】
なお、ツイータ4を設けずにウーハ3のみの音を伝導することも可能である。
【実施例2】
【0038】
本実施例2のイヤホンは、ウーハ3の構成が実施例1のイヤホン1と異なる。他の箇所については実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0039】
図4A及び
図4Bは、イヤホン20の概略構成を示す図である。
図4Aは筐体2の断面図、
図4Bは筐体2を耳道7側(
図4Aの右方)から見た図である。
図2A及び
図2Bと比較すると、実施例2のイヤホン20は、支持部22がツイータ4の側(図面左方)に設けられ、第一の振動板31及び第一の圧電素子32が耳道7の側(図面右方)に設けられている。
【0040】
このように、ウーハ3の支持部22による支持位置を実施例1のイヤホン1と逆向きに設けることも、骨伝導型のイヤホン20であれば容易である。音波が空気中を伝わるものではないので、ウーハ3の支持位置は任意に設計できる。ただし、本実施例のイヤホン20においては、ウーハ3の振動がイヤホン本体5に伝達されることを抑制するため、イヤホン本体5と筐体2との間に緩衝具51を設けることが特に好ましい。
【0041】
本実施例2のイヤホン20は、実施例1のイヤホン1と同様の効果を有する。
【実施例3】
【0042】
本実施例3のイヤホンは、複数のウーハ3を用いるものである。他の箇所については実施例1又は2のイヤホン1,20と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0043】
図5は、振動板の構成を示す図であり、実施例2における
図4Bに相当する図である。つまり、実施例3における
図5については、耳道7の側から筐体2の内部を見たものに相当する。
【0044】
図5に示すイヤホンは、2枚のウーハ3a及び3bが設けられている。ウーハ3a及び3bは、実施例1又は2のイヤホン1,20におけるウーハ3と同一のものである。ウーハ3aと3bとは、振動方向(振動板31a(31b)と圧電素子32a(32b)との境界に直交する方向)が、90度相違する。
【0045】
ウーハ3a及び3bの振動は、支持部22を介してイヤピース21に(そして耳道軟骨6に)伝達される。この際、振動方向によっては、イヤピース21と支持部22との相対的な接続関係に依存して、耳道軟骨6に伝達される振動が減衰してしまう(空気に伝達されてしまう)可能性が否定しきれない(具体的にいずれかの角度の振動が減衰すると主張するものではなく、可能性が皆無ではないことを指摘するものである)。90度相違する角度で2つの振動を与えることで、実施例3のイヤホンは、かかる減衰を緩和することができる。すなわち、実施例3のイヤホンは、音漏れを減少させる効果が期待される。
【0046】
なお、本実施例3のイヤホンにおけるウーハ3(3a、3b等)は2つに限らず、3つ以上を設けてもよい。また、実施例3のイヤホンは、ウーハ3a、3b等の振動方向の相違による角度も、任意に設計してよい。例えば、本実施例3のイヤホンにおいては、支持部22の設けられた直径方向に平行な方向にウーハ3bを振動させ、直交する方向にウーハ3aを振動させたが、ウーハ3a、3bのそれぞれの振動方向が45度傾斜した2方向になるようウーハ3a、3bを振動させてもよい。
【0047】
本実施例3のイヤホンは、実施例1及び2のイヤホン1,20と同等の効果を、確実に得ることができる。
【0048】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0049】
なお、本願については、2015年6月17日に出願された日本国特許出願2015−122034号を基礎とする優先権を主張し、本明細書中に日本国特許出願2015−122034号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、音漏れが少なく、小型軽量の骨伝導型のイヤホンであり、多くの音響機器製造業者及び個人による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0051】
1,20 イヤホン
1F イヤホンの周波数特性
2 筐体
21 イヤピース
22 支持部
23 孔部
3、3a、3b ウーハ
31、31a、31b 第一の振動板
32、32a、32b 第一の圧電素子
33 錘
3F ウーハの周波数特性
4 ツイータ
41 第二の振動板
42 第二の圧電素子
4F ツイータの周波数特性
5 イヤホン本体
51 緩衝具
6 耳道軟骨
7 耳道
【要約】
第一の圧電素子(32)によって振動する第一の振動板(31)と、第一の振動板(31)の振動を耳道軟骨に伝達する円筒形状の筐体(2)とを備え、第一の振動板(31)が筐体(2)の内部に配されているイヤホン(1)を提供する。イヤホン(1)は、第一の振動板(31)の振動を空気に伝達してしまう音漏れが少ない構造を有する。耳道軟骨は片耳のみの鼓膜に音を伝達するので、定位認識が可能である。ウーハ(3)によって低域の音圧が保たれる。