技術分野
フライス加工を行うための刃先交換式回転切削工具に着脱自在に装着するための切削インサート、及びこの切削インサートを装着した刃先交換式回転切削工具に関し、特に、被削材の切削加工中に振動の発生を防止する手段を設けた両面型の円形切削インサート及び刃先交換式回転切削工具に関する。
本願は、2015年6月29日に、日本に出願された特願2015−129520号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
要約特許出願時に添付された[要約書]
本発明の円形切削インサートにおいて、上側面と下側面は、繋ぎ部を介してそれぞれ上側面及び下側面の周方向に順次配置されているとともに、一辺が側面中間線(N)上に配置された、複数の平面状拘束面と、前記繋ぎ部を介して隣接する2つの前記平面状拘束面との間に傾斜面からなる複数の振動防止用拘束面と、を備え、前記下側面の前記拘束面の配置位置は、前記上側面の前記拘束面の配置位置に対して、ネジ挿通穴の中心軸線に対して所定の角度(α)位相をずらした位置に配置されている。
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
特許文献1に記載の切削インサートとそれを用いた切削工具は、した円形切削インサートの課題について、割り出し機能(課題(1))及び回動防止機能(課題(2))に関する解決案の構成を備えているが、特許文献1には振動防止機能(課題(3))に関する解決手段は開示されていない。また、特許文献1に記載の切削インサートは、ポジティブの円形切削インサートであって、両面型の切削インサートの構成を備えていない。
特許文献2に記載の円形状を有する両面型の切削インサート及びこれを使用する切削工具は、切削インサートの側面の円周方向に上面及び下面に対して実質的に垂直な複数の回転防止面を設け、工具本体のポケット側面(インサート取付座に設けた壁面)にこの切削インサートの回転防止面と整合するこの切削インサートの回転を防止する突出面を設けた構成とされている。これにより、両面型の円形切削インサートの割り出し機能と回動防止機能とが付与されているが、この切削インサート及び切削工具は特許文献1と同様に振動防止機能を備えていない。
特許文献3の図14には、両面型の円形切削インサートの側面部について、側面と基準面(M)とが交差する稜線部を中心とし、この稜線部と上面部及び下面部との間それぞれに8つの平面状側面を順次、稜線部方向に繋ぐことにより形成された側面部の断面形状が八角形をなす2つの側面から構成された円形切削インサートが示されている。さらに、稜線部方向に隣接する平面状側面の繋ぎ部は、切削インサートの外側に向かって突出した角部(コーナー部)を形成していることが示されている。
しかしながら、この特許文献3に記載の円形切削インサートにおいて、上面部から下面部まで貫通する挿通穴は、クランプネジを挿通してこの円形切削インサートをインサート取付座の着座面に固定するための穴ではない。さらに、特許文献3の図5に示されているように、この円形切削インサートの固定は、クランプネジの先端部を、円形切削インサートの上面部の挿通穴の周囲に形成したクランプ面と係合させる手段を採用している。従って、特許文献3に記載されている両面型の円形切削インサートは、ネジ挿通穴を挿通させたクランプネジの締め付けにより工具本体のインサート取付座に装着されることにより、割り出しと回動防止とを行う手段を備えた円形切削インサートではない。また、特許文献3には切削工具及び切削インサートが振動防止手段を備えていることは開示されていない。
特許文献4に記載されている両面型の円形切削インサートには、上面部と下面部に複数のディンプル(凹部)が形成されており、工具本体のインサート収容ポケットには、上面部又は下面部が備えている複数のディンプルのうちの1つに収容される単一の突出部が設けられている。これにより、丸形切削インサートの割り出しを可能にし、さらに、切削加工中におけるこの切削インサートの回動が防止され、その効果として、締め付けネジの緩みによる振動の発生を防止している。しかしながら、この丸形切削インサートはその側面部を円形形状(円柱状)で構成したものであって、この側面部は複数の平面状の側面を周方向に繋いで形成した構成を備えていない。
特許文献5に記載の丸形切削インサートの回転防止取付け機構では、切削インサートの円筒形側面の周りに複数の湾曲停止面を設け、工具本体のインサート取付座(ポケット)に、切削インサートの湾曲停止面の傾斜配置部分と一つの線接触で係合する締まり嵌め接合面を形成する回動防止面を設けることにより、割り出し機能と回動防止機能とが発揮されるとともに、ポケットの側面を、切削インサートの上部側壁と直接接触するための半円形状の上部部分を備えた構成にすることにより、切削インサートにかかる左右方向の振動負荷の大部分が吸収される。
特許文献5に開示されている切削インサート側の割り出し機能と回動防止機能は、円形形状をなす側面に、この側面の途中から下面部に向かって複数の湾曲停止面を等間隔で配置した構成により発揮される。
また、特許文献5には、ポケットの側面部を切削インサートの上部側壁と直接接触するための半円形状の上部部分を備えた構成にすることにより振動を吸収することが開示されている。しかしながら、特許文献5に記載の切削インサート及びポケットには改善の余地がある。
そこで、本発明の目的は、円形切削インサートとこの切削インサートを装着した刃先交換式回転切削工具において、切削インサートの工具本体に対する割り出しの精度を高くし、かつ切削加工中における切削インサートの回動を防止できるとともに、振動の発生を防止する手段を備えた両面型の円形切削インサートと、この切削インサートを着脱自在に装着した刃先交換式回転切削工具とを提供することにある。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明は以下の態様を有する。
(1)インサート取付座に着脱自在に装着され、平面視で円形形状をなす上面部及び下面部と、前記上面部と前記下面部を繋ぐ側面部と、前記上面部から前記下面部まで貫通するネジ挿通穴と、前記上面部及び前記下面部が前記側面部と交差する交差稜線部に形成された切れ刃と、を備えた両面型の円形切削インサートであって、
前記円形切削インサートを厚さ方向に二等分する平面を切削イン・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明では、刃先交換式回転切削工具の工具本体のインサート取付座に第1の拘束壁と第2の拘束壁を設けるとともに、第1の拘束壁には着座面から着座面の垂直方向に離れた位置に段差を設け、段差を設けた位置に平面状拘束壁面と回動防止用壁面とを設けている。第2の拘束壁には同じく着座面から着座面の垂直方向に離れた位置に段差を設け、段差を設けた位置に振動防止用壁面と平面状拘束壁面とを設けている。これに対し、円形切削インサートは、側面部の上側面と下側面にそれぞれ複数の振動防止用拘束面、平面状拘束面、及び回動防止面(角部)を備えている。そして、円形切削インサートをインサート取付座に装着したときには、円形切削インサートの振動防止用拘束面の一つは第2の拘束壁の振動防止用壁面と面どうしで接触係合させるようにしている。これにより本発明は次の効果を発揮することができる。
(1)刃先交換式回転切削工具を使用して被削材の切削加工を行なっているときに、円形切削インサートの切れ刃にかかる切削抵抗のうち、切削工具の切れ刃の回転軌跡の円周接線方向における分力は、円形切削インサートの振動防止用拘束面に伝わり、この振動防止用拘束面をインサート取付座の振動防止用壁面に強く押圧させる作用を奏する。この押圧する作用は、工具本体の振動防止用壁面が切削抵抗の分力を受け止めて、円形切削インサートの振動防止用拘束面の一つとの面どうしの接触係合による拘束力を維持しながら、振動の発生を防止又は抑制する作用を奏する。このように、振動の発生を防止又は抑制することができる円形切削インサート及びこの切削インサートを装着した刃先交換式回転切削工具を提供することができる。
(2)円形切削インサートをインサート取付座に装着する割り出し操作を行うときには、第1の拘束壁の平面状拘束壁面と円形切削インサートの側面部の下側面に形成した平面状拘束面とを係合させるとともに、第2の拘束壁の平面状拘束壁面と円形切削インサートの側面部の上側面に形成した平面状拘束面とを係合させるので、円形切削インサートのインサート取付座への装着を誤操作無く行うことが可能になる。
さらに、第1の拘束壁に設けた回動防止用壁面の凹部を、円形切削インサートの側面部の角部と係合させるので、切削加工中において円形切削インサートの回動を防止することが可能になる。
(3)(1)、(2)により、本発明では、両面型の円形切削インサートを装着した刃先交換式回転切削工具を用いた切削加工において、被削材の加工面の面精度を向上させるとともに、工具寿命も著しく向上させることが可能になる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の円型切削インサートの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す円形切削インサートの側面図である。
【図3】 図2に示す切削インサートの中間面(M)に沿った断面図である。
【図4】 図2に示す円形切削インサートの側面図を拡大した図である。
【図5】 (a)は図2に示す円形切削インサートについて、中間面(M)に沿った断面を、この断面から上面部方向を見た断面矢視図、(b)は同じくこの断面から下面部方向を見た断面矢視図である。
【図6】 図4に示す円形切削インサートのA−A線に沿った断面図である。
【図7】 図1に示す円形切削インサートの、ネジ挿通穴の中心軸線Pを通る縦断面図である。
【図8】 本発明の円型切削インサートの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図9】 図8に示す円形切削インサートの側面図である。
【図10】 図9に示す円形切削インサートの側面図を拡大した図である。
【図11】 本発明の刃先交換式回転切削工具の一実施形態を示す斜視図である。
【図12】 図11に示す刃先交換式回転切削工具について、インサート取付座の構成を示す斜視図である。
【図13】 図11に示す刃先交換式回転切削工具について、インサート取付座の構成を説明するために、工具本体を先端部方向から見た部分正面図である。
【図14】 図13に示すインサ―ト取付座に本発明の円形切削インサートを装着したときの状態を示す部分正面図である。
【図15】 インサート取付座に本発明の円形切削インサートを装着したときに、この装着した円形切削インサートの上面部方向から工具本体及び円形切削インサートを見た状態を示す部分正面図である。
【図16】 インサート取付座に本発明の円形切削インサートを装着したときの状態を示す図11に示す刃先交換式回転切削工具の断面図であって、(a)はこの円形切削インサートの中間面(M)に沿った断面を上面部方向から見た図、(b)は図4に示すA−A線に沿った断面を上面部方向から見た図である。
【図17】 本発明の他の円形切削インサートのネジ挿通穴の中心軸線Pを通る縦断面図であって、円形切削インサートの振動防止用拘束面について説明するための図である。
1:第1の円形切削インサート(両面型の円形切削インサート)
2:上面部
3:下面部
4:側面部
4a:上側面
4b:下側面
5:ネジ挿通穴
5a:内径縮小部
6a、6b:切れ刃
7a、7b:すくい面
8a:上面平坦部
8b:下面平坦部
9a、9b:逃げ面
10a、10b、10c、・・・、10h:上側面4aの平面状拘束面
11a、11b、11c、・・・、11h:上側面4aの振動防止用拘束面
12a:上側面4aの繋ぎ部
12b:下側面4bの繋ぎ部
13a、13b、13c、・・・、13h:下側面4bの平面状拘束面
14a、14b、14c、・・・、14h:下側面4bの振動防止用拘束面
15a、15b、15c、・・・、15h:上側面4aの角部(コーナー部)
16a、16b、16c、・・・、16h:下側面4bの角部(コーナー部)
17a、17b、17c、・・・、17h:振動防止用拘束面11a、11b、11c、・・・、11hの傾斜面
18a、18b、18c、・・・、18h:振動防止用拘束面14a、14b、14c、・・・、14hの傾斜面
19a、19b、19c、・・・、19h:上側面4aの回動防止面
20a、20b、20c、・・・、20h:下側面4bの回動防止面
21a、21b:傾斜面
25:第2の円形切削インサート(両面型の円形切削インサート)
26a:上側面4aの繋ぎ稜線部
26b:下側面4bの繋ぎ稜線部
27a、27b、27c、・・・、27h:上側面4aの振動防止用拘束面
28a、28b、28c、・・・、28h:下側面4bの振動防止用拘束面
30:刃先交換式回転切削工具
31:工具本体
31a:先端部
31b:後端部
31c:外周部
32:インサート取付座
33:着座面
34:ネジ穴
35:クランプネジ
36a、36b:溝部
37:ヌスミ部
38:第1の拘束壁
39:第2の拘束壁
40:第1の拘束壁38の平面状拘束壁面
41:第1の拘束壁38の回動防止用壁面
41a:略V字状の凹部
42:第2の拘束壁39の振動防止用壁面
43:第2の拘束壁39の平面状拘束壁面
M :円形切削インサートの中間面
N :円形切削インサートの側面中間線
O :刃先交換式回転切削工具(工具本体)の回転軸
P :ネジ挿通穴5の中心軸線
a、b、c、d、e、f:6角形をなす平面状拘束面の各辺
g:上側面に配置された台形形状又は三角形形状をなす振動防止用拘束面の下底
l:平面状拘束面の辺fの長さ
m:側面中間線(N)上に設けた平面状拘束面の辺cの長さ
S:回動防止面となる領域
t1:上側面4aに配置された振動防止用拘束面の頂部(上底)
t2:下側面4bに配置された振動防止用拘束面の頂部(上底)
t3:上側面4aに形成された振動防止用拘束面の頂点
t4:下側面4bに形成された振動防止用拘束面の頂点
α :位相ずらしの角度
β :第1の拘束壁と第2の拘束壁の交差角度
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