特許第6048639号(P6048639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048639マットレスの製造方法及びマットレスの設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048639
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】マットレスの製造方法及びマットレスの設計方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 31/12 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A47C31/12
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-85130(P2012-85130)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-212317(P2013-212317A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】590002389
【氏名又は名称】静岡県
(73)【特許権者】
【識別番号】397051911
【氏名又は名称】ソフトプレン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(74)【代理人】
【識別番号】100083530
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 祐司
(72)【発明者】
【氏名】船井 孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬明
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 文明
(72)【発明者】
【氏名】横田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 佐紀子
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−281220(JP,A)
【文献】 特開2000−003383(JP,A)
【文献】 特開2008−259577(JP,A)
【文献】 特開2005−326982(JP,A)
【文献】 特開2002−078574(JP,A)
【文献】 特許第3581087(JP,B2)
【文献】 特開2004−242839(JP,A)
【文献】 米国特許第06585328(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 31/12
27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用予定者の身体特徴点の寸法測定を実施して得られたデータに基づいて、既存の人体形状データを変形させ、前記使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、
得られた前記三次元形状データに基づいて製造するマットレスの製造方法であって、
マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して製造し、
前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項2】
CT、MRI、三次元スキャナから使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、
得られた前記三次元形状データに基づいて製造するマットレスの製造方法であって、
マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して製造し、
前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの製造方法。
【請求項3】
前記マットレスの物理モデルは、マットレスの層の数、層の厚さ、層の引張り、圧縮特性及び層の位置をパラメータとして自由に変更できることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項のマットレスの製造方法。
【請求項4】
使用予定者の身体特徴点の寸法測定を実施して得られたデータに基づいて、既存の人体形状データを変形させ、前記使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、
得られた前記三次元形状データに基づいて設計するマットレスの設計方法であって、
マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して設計し、
前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの設計方法。
【請求項5】
CT、MRI、三次元スキャナから使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、
得られた前記三次元形状データに基づいて設計するマットレスの設計方法であって、
マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して設計し、
前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマットレスの設計製造方法に関し、寝具、医療介護用具として適したマットレスの製造に使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
マットレスに要求される性能に、人体にかかる圧力を分散させる体圧分散性能がある。寝具及び医療・福祉機器は、快適な睡眠や、褥瘡防止のため、体圧分散性(人がマットレスに寝た際、人とマットレスの接触部に生じる圧力)の優れたマットレスが要求される。
【0003】
そのため、共同出願人であるソフトプレン工業株式会社では、体重を1.「50kg未満」、2.「50kg以上70kg未満」、3.「70kg以上」の3区分に分け、各区分の代表的な体型の被験者による体圧測定結果から、マットレスを設計し、区分ごとに1種類、合計3種類のマットレスを製造、販売してきた。この種のマットレス設計方法は、例えば特開2002-78574(マットレス提供方法)に記述されている。更に、特許第4769980号には、マットレスモデルを予め複数種類用意し、その中から選択したマットレスを使用予定者に提供する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−078574公報
【特許文献2】特開2005−000641公報
【特許文献3】特許第3581087号公報
【特許文献4】特許第4769980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
睡眠時における身体への負担は体圧によって変化し、体圧は同じ体重であっても体型によって異なる。人は、同じ体重であっても体型が異なるため、上記のように体重だけを考慮して製造したマットレスでは、期待した体圧分散性能が得られない場合がある。また、マットレスの用途によって、マットレスに要求される性能も異なるため、3種類しかない既存の製品からは、用途に適した製品を見出せない場合がある。これらの問題は、マットレスの製造の際に、使用予定者ごとにマットレスの用途を明確にし、使用予定者による体圧測定とマットレスの試作を繰り返すことで解決できるが、この手法では使用予定者に多大な負担がかかるため現実的ではない。
【0006】
本発明はこのことに鑑みなされたもので、マットレス使用予定者の体型の三次元形状データに基づいてオーダーメイドでマットレスを設計することも想定している技術であり、使用予定者の体型とマットレスの用途を考慮し、かつ実験等による使用予定者の負担を最小限に抑え、上記した従来の特許より優れた体圧分散性能を有し、使用目的に最も適したマットレスの製造を行うものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様として、使用予定者の身体特徴点の寸法測定を実施して得られたデータに基づいて、既存の人体形状データを変形させ、前記使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、得られた前記三次元形状データに基づいて製造するマットレスの製造方法であって、マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して製造し、前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの製造方法である。
一態様として、CT、MRI、三次元スキャナから使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、得られた前記三次元形状データに基づいて製造するマットレスの製造方法であって、マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して製造し、前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの製造方法である。
一態様として、マットレスの製造方法において、前記マットレスの物理モデルは、マットレスの層の数、層の厚さ、層の引張り、圧縮特性及び層の位置をパラメータとして自由に変更できることを特徴とする。
一態様として、使用予定者の身体特徴点の寸法測定を実施して得られたデータに基づいて、既存の人体形状データを変形させ、前記使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、得られた前記三次元形状データに基づいて設計するマットレスの設計方法であって、マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して設計し、前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの設計方法である。
一態様として、CT、MRI、三次元スキャナから使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データを得て、得られた前記三次元形状データに基づいて設計するマットレスの設計方法であって、マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して設計し、前記力学的シミュレーションにおいて、頭部、腕部、脚部を削除した前記三次元形状データに基づいて最大体圧を予測することを特徴とするマットレスの設計方法である。
この発明に係るマットレスの設計、製造方法においては、使用予定者の体型の三次元形状データに基づいて設計するものである。
【0008】
この場合、マットレスの物理モデルを作成し、このモデル上に前記三次元形状データを配置し、力学的シミュレーションを介して前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して設計することもできる。
【0009】
また、前記マットレスの物理モデルは、マットレスの層の数、層の厚さ、層の引張り、圧縮特性及び「層の位置」をパラメータとして自由に変更することができる。
【0010】
また、前記パラメータは前記使用予定者の用途によって決定することができる。
【0011】
さらに、前記使用予定者の用途に基づいて設計、製造されたマットレスに対して前記使用予定者による体圧分布測定を実施し、要求性指標を確認した後、前記使用予定者に提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るマットレスの設計、製造方法は上記のように構成されているため、使用予定者の身体寸法調査に基づいて選定、あるいは作成された三次元形状データを使うことができる結果、体重だけでなく体型も考慮したマットレス設計、製造が可能となる。
【0013】
また、用途に応じた指標に基づいて設計、製造パラメータを決定するため、マットレスの使用状況に応じた設計、製造が可能となる。マットレス使用予定者に係る負担は、身体寸法及びマットレスの用途に関する調査だけであるため、使用予定者への負担が最小限なオーダーメイドマットレス製造が可能となる。
【0014】
よって、このマットレスの設計、製造方法を使用すれば、コンピュータシミュレーション技術によって設計できるため、マットレスの形状寸法や素材に制限を受けず、各パラメータを任意に変化させた設計を行うことができる。また、新規素材が開発されても、再度被験者を用意して、試作と実験を行ってラインナップ自体を再検討する必要はなく、新規素材の効果をシミュレーションで明らかにできるため、迅速に商品への採用・展開が可能であり、市場からの細かい要求に対応することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明に係るマットレスの設計、製造方法は実施するにあたって以下の特徴を有する。
【0016】
使用予定者の体型の三次元形状データ」には、1、「性別」、「年齢」、「身長」、「体重」で分類される、126種類の人体の三次元形状データから、ヒアリング等により調査されるマットレス使用予定者の各数値(性別、年齢、身長、体重、あるいは、JIS Z8500の身体特徴点の寸法測定でもよい)に基づき、使用予定者の体型を再現した三次元形状データ、 2、JIS Z8500に基づく使用予定者の身体特徴点の寸法測定を実施し、得られるデータに基づいて、既存の人体形状データを変形させ、使用予定者の身体形状を再現した三次元形状データ、3、CT、MRI、三次元スキャナ等から身体形状を再現した三次元形状データ(既にCT、MRIの測定が行われている入院患者等を想定)、4、身体内部の組織の形状、物性値も同時にモデル化した三次元形状データ等が該当する。
【0017】
「マットレスの物理モデル」は、マットレスの「層の数」、「層の厚さ」、「層の引張り、圧縮特性」及び「層の位置」などを設計パラメータとして構築される、各パラメータは、前記使用予定者が前記マットレスに寝た状態を予測して力学的シミュレーションの結果に応じて目標とする性能が得られるように任意に変更できる。そして、マットレス使用予定者へのヒアリングで、マットレスの用途を調査し、調査された用途により、マットレスの要求性能指標を決定する。上記力学的シミュレーションで予測した状態が、所定の状態になるまで、マットレスの「層の数」、「層の厚さ」、「層の引張り、圧縮特性」及び「層の位置」を変更し、使用者にとって適切なマットレスを設計、製造する。なお、この設計パラメータは、上記の挙げた項目以外でもよい。
【実施例】
【0018】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1はこの発明に係るマットレスの基本構成の斜視図、図2は選定した人体の三次元形状データに基づくモデルの正面図、図3同頭部、腕部、脚部を削除した人体の三次元形状データに基づくモデルの斜視図、図4は同マットレスの三次元形状データに基づくモデル上に人体の三次元形状データに基づくモデルを配置した状態の斜視図、図5は同状態におけるシミュレーションによる最大体圧の予測状態を示した説明図である。
【0020】
1.マットレスの基本構造
【0021】
マットレスの基本構造を図1に示す。使用者がマットレスに寝た時、頭部から背中までの範囲を支えるトップパート、腰から臀部までを支えるミドルパート、脚部を支えるボトムパートの三分割構造とし、各パートを2層構造とする。マットレスの厚さは1層あたり40mm、2層の合計で80mmとし、マットレスの幅を400mm、マットレスの長さを、各パート600mm、3つのパートの合計で1800mmとする。
【0022】
2.マットレス使用予定者の身体寸法及びマットレスの用途の調査
マットレス使用予定者の、「性別」、「年齢」、「身長」、「体重」を調査する。
【0023】
また、マットレスの用途の調査も行い、用途に応じて要求性能指標を決定する。
【0024】
設計指標とするのは、人体の「体」、「骨や筋肉などの内部組織」の「表面」及び「内部」に生じる、「応力」、「圧力」、「ひずみ」の「絶対値」、「相対値」、「トータル値」、「変化率」、あるいはマットレスの「変形量」、「表面圧力」である。
【0025】
褥瘡予防のマットレスを設計する場合は、使用予定者がマットレスに寝た際に生じる体圧の最大値が32mmHg未満となることを要求性能指標とする。
【0026】
3.使用予定者の体型を再現した人体の三次元形状データの選定
上記2.で調査したマットレス使用予定者の情報から、使用予定者の体型を再現した人体形状データを選定する。人体形状データは、性別ごとに、表1に示す7区分の年齢層ごとに、表2に示す9種類の体型、合計126種類に分類されている。上記2.の情報に基づき、126種のデータの中から1体の人体形状データを選定する。選定した人体形状データの例を図2に示す。人がマットレスに寝た際に生じる体圧は、主に体幹部に生じ、頭部、腕部、脚部に高い体圧は生じないため、最大体圧の予測は体幹部に限定して実施しても差し障りない。シミュレーションによる体圧予測は電子計算機で実施するが、その計算量は膨大であるため、人体形状データの頭部、腕部、脚部を削除して計算量の削減を図る。
【0027】
また、人体形状はほぼ左右対称であるため、人体の中心を通るSagittal断面で切断し、二分の一モデルとすることでさらなる計算量削減を図る(図3)。より高精度な体圧分布予測のため、人体の三次元形状データに身体組織の力学的物性値を与えてもよい。
【0028】
4.マットレスの形状・材質を自由に変更できるモデルの構築
褥瘡予防のマットレスの場合、体圧は主に体幹部に生じるため、設計は図1のトップパートとミドルパートだけとなる。図1に示す基本構造のマットレス形状のうち、トップパートとミドルパート部分の三次元形状データを、三次元CADで作成する。形状を変更するパラメータは、「各層の厚さ」、「マットレスの幅」、「マットレスの長さ」及び「各層の引張り、圧縮特性」とする。各パラメータの初期値として図1に示す各寸法及び、層の引張り、圧縮特性として下の層に高反発ウレタンの特性、上の層に低反発ウレタンの特性を与える。上下2層を合計したマットレスの厚さは80mmで固定とするため、各パートの上の層及び下の層の厚さの合計が80mmとなるようにパラメータを拘束する。同様に、各パートの長さの合計が1200mmとなるようにパラメータを拘束する。各層に与える引張り、圧縮特性は非線形のものが好ましい。マットレスの三次元形状データも、人体の三次元形状データと同様に二分の一モデルとし、上記3.で作成した人体の三次元形状データが、マットレスの三次元形状データの上において、切断面が同一平面上になるように配置する(図4)。
【0029】
以下に示す5.のシミュレーションによる最大体圧の予測値が、2.で定めた要求性能指標である32mmHg未満でなかった場合、マットレスの層の厚さ、層の長さ、もしくは層の引張り、圧縮特性を変更し、再度マットレスモデルを作成する。
【0030】
5.シミュレーションによる体圧分布及びマットレス変形量の予測
上記4.で作成した、マットレスの三次元形状データの上に人体の三次元形状データを配置したモデルを使い、最大体圧の予測を行う。予測は力学的シミュレーションで実施する。力学的シミュレーションでは、以下の点に留意する。
【0031】
・人体とマットレスの間には接触条件を定義する。
【0032】
・切断面には対象条件を定義する。
【0033】
・上記3.で選定した人体の三次元形状データの体積と、使用予定者の体重から、使用予定者の平均密度を求める。
【0034】
・求めた密度を人体の三次元形状データに与え、重力加速度で体重分の力で人体をマットレスに押し付ける。
【0035】
上記の状態の力学的シミュレーションで、使用者がマットレスに寝た状態の体圧分布を予測する(図5)。予測された最大体圧が、要求性能指標である32mmHg未満であれば、その時のマットレスの「各層の厚さ」、「マットレスの幅」、「マットレスの長さ」及び「各層の引張り、圧縮特性」が設計値となり、設計値と同様の寸法のマットレスを作成することで、使用予定者の性別、年齢、身長、体重を考慮した、褥瘡予防のマットレスが完成する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明に係るマットレスの設計、製造方法は、この発明に係るマットレスの設計方法は、材料の特性を生かしながら使用目的に応じて優れた体圧分散性を発揮できるマットレスを設計することができる。体重別に設計していた従来よりも、より多くのユーザに対して対圧分散性の優れたマットレスを提供することができ、寝具及び医療・福祉機器産業に貢献することができる。
【0037】
快適な睡眠を提供する寝具の仕様の研究などを反映させたマットレスを年齢・体型ごとに126パターン用意し、より多くの人に快適な睡眠を提供する販売体制をとることで、これまでのベッドでは提供できなかった快適な睡眠を得られるマットレスとしてベッドユーザに対して乗り換えを促すことができる。
【0038】
また、医療・福祉分野においては、65歳以上の高齢者が3,000万人を越える超高齢社会が10年以内に到来すると予想されているため、要介護老人・身体障害者の在宅介護の大幅な増加が予想され、医療・介護市場における必要性は高まるものである。
【0039】
以上のことから、産業上の利用可能性は高いと考える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1はこの発明に係るマットレスの基本構成の斜視図である。
図2図2は選定した人体の三次元形状データに基づくモデルの正面図である。
図3図3同頭部、腕部、脚部を削除した人体の三次元形状データに基づくモデルの斜視図である。
図4図4は同マットレスの三次元形状データに基づくモデル上に人体の三次元形状データに基づくモデルを配置した状態の斜視図である。
図5図5は同状態におけるシミュレーションによる最大体圧の予測状態を示した説明図である。
【0041】
【表1】


【0042】
【表2】















図1
図2
図3
図4
図5