特許第6048640号(P6048640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6048640-溶融炉のための二次燃焼装置 図000003
  • 特許6048640-溶融炉のための二次燃焼装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048640
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】溶融炉のための二次燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23C 5/32 20060101AFI20161212BHJP
   F23C 6/04 20060101ALI20161212BHJP
   F23C 7/02 20060101ALI20161212BHJP
   F23G 5/027 20060101ALI20161212BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20161212BHJP
   F23G 5/16 20060101ALI20161212BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F23C5/32
   F23C6/04 303
   F23C7/02 301
   F23G5/027 Z
   F23G5/00 115
   F23G5/16 E
   F23G7/06 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-151958(P2012-151958)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-16053(P2014-16053A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】坪井 敏男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 千清
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−224141(JP,A)
【文献】 特開2001−324117(JP,A)
【文献】 特開2000−193226(JP,A)
【文献】 特開2006−105414(JP,A)
【文献】 特開昭48−83671(JP,A)
【文献】 特開2000−74338(JP,A)
【文献】 特開2007−93156(JP,A)
【文献】 特開2003−74817(JP,A)
【文献】 特開平7−229610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 5/32
F23C 6/04
F23C 7/02
F23G 5/00
F23G 5/027
F23G 5/16
F23G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物をガス化溶融もしくは焼却灰や飛灰を溶融する溶融炉から排出させる可燃ガス含有の排ガスを受けてこれを燃焼する二次燃焼室を有する二次燃焼装置において、
二次燃焼室は、四角形筒状の本体部を有し、該本体部は、溶融炉からの排ガスを二次燃焼室内へ流入する排ガス流入口を下部側面に、二次燃焼後の排ガスを排出する排ガス排出口を上部に、二次燃焼空気吹込口を排ガス流入口と排ガス排出口の間の中間位置に、それぞれ有していて、
上記排ガス流入口が、上記本体部の側壁の幅方向で偏倚しており、排ガスを流入して二次燃焼室内で水平面にて一方向の排ガス旋回流を生ずるように設けられ、二次燃焼空気吹込口が二次燃焼空気を吹き込んで上記排ガス旋回流とは逆方向の逆旋回空気流を水平面に生ずる逆旋回空気吹込ノズルを有し、
該逆旋回空気吹込ノズルは、排ガス流入口が形成されている一つの側壁及びこれに対向するもう一つの側壁に、それぞれ複数個で幅方向に分布して、かつ対向する位置に配設され、吹込む空気吹込量が幅方向で増加又は減少するように幅方向の吹込量設定がなされ、一つの側壁と対向するもう一つの側壁における幅方向の吹込量設定が逆に設定されることにより、逆旋回空気流を発生させ、
上下方向で排ガス排出口と上記逆旋回空気吹込ノズルの間の位置に、燃料を燃焼し二次燃焼室内の温度を所定温度以上に保持する補助燃焼バーナを有し、補助燃焼バーナは、二次燃焼室から排出される排ガス中のCO濃度の計測値に基づき、該計測値が所定範囲になるように燃料使用量を調整して燃焼することを特徴とする溶融炉のための二次燃焼装置。
【請求項2】
二次燃焼空気吹込口は、逆旋回空気吹込ノズルに加え、上下方向で排ガス流入口と該逆旋回空気吹込ノズルの間の位置に、排ガス旋回流と同方向に旋回空気流を水平面に生ずる旋回空気吹込ノズルをも有し、
該旋回空気吹込ノズルは、排ガス流入口が形成されている一つの側壁及びこれに対向するもう一つの側壁に、それぞれ複数個で幅方向に分布して、かつ対向する位置に配設され、吹込む空気吹込量が幅方向で増加又は減少するように幅方向の吹込量設定がなされ、一つの側壁と対向するもう一つの側壁における幅方向の吹込量設定が逆に設定されることにより、旋回空気流を発生させることとする請求項1に記載の溶融炉のための二次燃焼装置。
【請求項3】
二次燃焼空気吹込口は、前記逆旋回空気吹込ノズルよりも上方位置に、旋回流を生ずることなく空気を吹き込む、非旋回空気吹込ノズルをも有し、
該非旋回空気吹込ノズルは、排ガス流入口が形成されている一つの側壁及びこれに対向するもう一つの側壁に、それぞれ複数個で幅方向に分布して、かつ対向する位置に配設され、吹込む空気吹込量が幅方向で均等に設定されることとする請求項2に記載の溶融炉のための二次燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶融炉に接続させる二次燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物をガス化溶融もしくは焼却灰や飛灰を溶融する溶融炉には、該溶融炉からの排ガスを受けてその熱エネルギーを回収するために該排ガスを燃焼する二次燃焼室が接続されることが多い。溶融炉から排出される排ガスには、可燃ガスが含まれており、二次燃焼室でこの可燃ガスを燃焼して高温化し、二次燃焼室から排出される高温排ガスをボイラ等で熱交換することで、熱エネルギーの回収を行っている。二次燃焼室には二次燃焼空気が吹き込まれ排ガスに含まれる可燃ガスを燃焼している。
【0003】
従来、二次燃焼室内における排ガスと二次燃焼空気との混合を促進するために、二次燃焼空気が二次燃焼室内で旋回流を生じさせるように吹き込むことが特許文献1にて提案されている。
【0004】
特許文献1にあっては、二次燃焼空気を吹き込むノズルが上下方向で四段に設けられており、すべての段におけるノズルが同一方向の旋回流を生ずるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−121747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にあっては、すべての段におけるノズルが同一方向の旋回流を生ずるように設けられているので、その旋回流は、ノズルが配置されている上下方向の広い範囲で一方向に向くようになる。旋回流が形成されているこの高さ範囲では、二次燃焼空気は排ガスと十分に混合される。しかしながら、二次燃焼室はその水平断面形状が四角形となしていることが多く、その四隅は旋回流が及ばない領域となり、また旋回中心部では流速が小さい領域となるので、これらの領域では二次燃焼空気と排ガスが十分に混合されず、二次燃焼室の全空間としては、混合が不均一となってしまう。かかる混合の不均一は、溶融炉排ガス中の可燃ガスの不完全燃焼を発生させることになり、排出ガスのCO濃度が上昇するなど問題が生じる。この不完全燃焼は、特に溶融炉で生ずる排ガスの量が減少した場合に顕著となる。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑み、溶融炉で発生する排ガス量の多少に係わらず、二次燃焼空気と排ガスとの混合を二次燃焼室全体にわたり良好として、排ガス中の可燃ガスを安定して完全燃焼させることのできる溶融炉のための二次燃焼装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る溶融炉のための二次燃焼装置は、廃棄物をガス化溶融もしくは焼却灰や飛灰を溶融する溶融炉から排出させる可燃ガス含有の排ガスを受けてこれを燃焼する二次燃焼室を有する。
【0009】
かかる二次燃焼装置において、本発明では、二次燃焼室は、溶融炉からの排ガスを二次燃焼室内へ流入する排ガス流入口を下部側面に、二次燃焼後の排ガスを排出する排ガス排出口を上部に、二次燃焼空気吹込口を排ガス流入口と排ガス排出口の間の中間位置に、それぞれ有していて、上記排ガス流入口が排ガスを流入して二次燃焼室内で水平面にて一方向の排ガス旋回流を生ずるように設けられ、二次燃焼空気吹込口が二次燃焼空気を吹き込んで上記排ガス旋回流とは逆方向の逆旋回空気流を水平面に生ずる逆旋回空気吹込ノズルを有していることを特徴としている。
【0010】
このような構成の本発明による二次燃焼装置では、溶融炉からの排ガスは排ガス流入口を経て二次燃焼室内に流入し、該二次燃焼室の下部にて一方向の排ガス旋回流を生ずる。二次燃焼室の上部には排ガス排出口が設けられていて排ガスが上方に向け吸引されているので、二次燃焼室には常時上昇流が存在しており、上記排ガス流入口から流入した排ガスは一方向の排ガス旋回流を形成しながら上昇する。上記排ガス流入口よりも上方位置には二次燃焼空気吹込口としての逆旋回空気吹込ノズルが設けられていてこの位置では、上記排ガス旋回流とは逆方向の逆旋回空気流が形成されている。したがって、一方向に旋回する上記排ガス旋回流は上昇することで逆方向の逆旋回空気流と衝突して攪拌拡散され二次燃焼空気と均一に混合されることとなる。かくして、この攪拌拡散により、排ガスと二次燃焼空気は二次燃焼室の隅部そして中央部を含め全域で均一に混合されて、排ガス中の可燃ガスが完全燃焼し、排出ガスのCO濃度を抑制することができる。
【0011】
本発明において、二次燃焼空気吹込口は、逆旋回空気吹込ノズルに加え、上下方向で排ガス流入口と該逆旋回空気吹込ノズルの間の位置に、排ガス旋回流と同方向に旋回空気流を水平面に生ずる旋回空気吹込ノズルをも有しているようにすることができる。
【0012】
こうすることで、排ガス流入口から流入して形成される一方向の排ガス旋回流は、その上昇により、上記旋回空気吹込ノズルからの空気が形成する同方向の旋回空気流と合流して旋回流の流勢を強めた後に、さらなる上昇により既述の逆方向の逆旋回空気流と衝突して攪拌拡散がより強くなされより均一な混合がなされ、排ガス中の可燃ガスがより完全に燃焼する。
【0013】
本発明において、二次燃焼空気吹込口は、前記逆旋回空気吹込ノズルよりも上方位置に、旋回流を生ずることなく空気を吹き込む、非旋回空気吹込ノズルをも有しているようにすることができる。
【0014】
こうすることで、排ガス旋回流と同方向の空気旋回流そして逆旋回空気流により十分に攪拌拡散されて均一混合された排ガスと二次燃焼空気は上記非旋回空気吹込ノズルからの二次燃焼空気により、酸素がさらに補給されて、排ガス中の可燃ガスの完全燃焼をより確実なものとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように、溶融炉からの排ガスは、二次燃焼室に流入後、一方向の排ガス旋回流を形成しながら上昇することで、その上方で形成されている逆方向の逆旋回空気流と衝突するようにしたので、排ガスと二次燃焼空気は攪拌拡散され二次燃焼室の全域で均一に混合されることとなり、排ガス中の可燃ガスの完全燃焼が確実に行われる。その結果、溶融炉からの発生ガス量が変動しても排出ガスのCO濃度を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としての二次燃焼装置の概要構成を示す斜視図である。
図2図1の二次燃焼装置の上下方向での各位置における水平断面であり、(A)は上段の非旋回空気吹込ノズル、(B)は中段の逆旋回空気吹込ノズル、(C)は排ガス流入口の直上に位置する下段の旋回空気吹込ノズル、(D)は排ガス流入口のそれぞれの位置における水平断面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面にもとづき、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としての二次燃焼装置の概要構成を示す斜視図である。
【0019】
図1において、二次燃焼室10は縦長な四角形筒状の本体部11と、その下部に位置し上記本体部11に連通するダスト排出部12とを有している。上記本体部11は、下部側面に排ガス流入口13が形成されていて、そこには排ガス流入ダクト14が接続されている。該排ガス流入ダクト14は、廃棄物をガス化溶融もしくは焼却灰や飛灰を溶融する溶融炉の排ガス排出口(図示せず)に接続されていてこの排ガスを上記排ガス流入口13へ導くようになっている。該排ガス流入ダクト14自体は、上記二次燃焼室10の本体部11の一つの側壁11Aに対し、該側壁11Aの幅方向中央位置に設けられているが、該排ガス流入ダクト14の出口部(上記側壁11Aに位置する部分)は上記幅方向で左半部が塞がれていて開口する右半部が上記排ガス流入口13と連通している。したがって、図2(D)に見られるように、排ガス流入口13は上記幅方向で偏倚している。したがって、図1図2(D)に見られるように、上記排ガス流入口13から流入した排ガスは本体部11内にて水平面にて一方向に排ガス旋回流Pを生ずる。
【0020】
上記二次燃焼室10の本体部11は、上端が排ガス流出口10Aとして開口されていて、該二次燃焼室10に接続されるボイラ等の熱回収装置(図示せず)へ排ガスを導くようになっている。この排ガスはボイラに向け上方に吸引されているので、上記本体部11では排ガスは上昇流Xを形成している。
【0021】
上記本体部11の下部に該本体部11と一体的に設けられているダスト排出部12は、下向きにつぼまる錐形をなし、下端に二次燃焼中に落下するダストを排出するように下方に開口したダスト排出口12Aが設けられている。
【0022】
上記本体部11は、上記排ガス流入口13が形成されている側壁11A及びこれに対向するもう一つの側壁11Bには、二次燃焼空気吹込口としての空気吹込ノズルが設けられている。
【0023】
この空気吹込ノズルは、本実施形態では好ましい形態として上下方向で上記排ガス流入口13の直上に位置する下段の旋回空気吹込ノズル16、その上方に位置する中段の逆旋回空気吹込ノズル17、そしてさらにその上方に位置する上段の非旋回空気吹込ノズル18を有している。本発明では、下段の旋回空気吹込ノズル16と上段の非旋回空気吹込ノズル18は必ずしも設けられていることを要しないし、設けられていても、状況に応じて使用しなくともよい。下段の旋回空気吹込ノズル16、中段の逆旋回空気吹込ノズル17そして上段の非旋回空気吹込ノズル18のいずれも、本実施形態の場合、両側壁11A,11Bで対向して位置し、複数のノズルから成っており、側壁11A、11Bの幅方向に均等に分布して配置されている。下段そして中段に配置されたノズルは、幅方向では空気吹込量(吹込速度)が異なっている。なお、上記旋回空気吹込ノズル16そして中段の逆旋回空気吹込ノズル17はその数そして位置に限定はなく、それぞれ一方向そして逆方向に旋回流を形成すれば十分である。
【0024】
下段の旋回空気吹込ノズル16は、吹き込まれた空気が上下方向で見たときに排ガス旋回流Pと同方向の旋回空気流Qを生ずるように、一方の側壁11Aでは図1で右方、図2(C)で上方に位置して図示されている二つのノズルから大きな空気吹込量そして他の三つのノズルからは小さな空気吹込量となるように空気が吹き込まれている。また、対向する他の側壁11Bでは図1で左方、図2(C)で下方に位置して図示されている二つのノズルから大きな空気吹込量そして他の三つのノズルからは小さな空気吹込量となるように空気が吹き込まれている。かくして、排ガス旋回流Pと同方向の旋回空気流Qを生ずる。
【0025】
中段の逆旋回空気吹込ノズル17は、図1そして図2(B)に見られるように、ノズル自体の数そして分布は上記下段の旋回空気吹込ノズル16と同じであるが、各ノズルからの空気吹込量が該旋回空気吹込ノズル16とは異なっている。中段の旋回空気吹込ノズル17は、上記旋回空気吹込ノズル16による排ガス旋回流Pと同方向の空気旋回流Qとは逆方向となる逆旋回空気流Rを生ずるようになっている。この逆旋回空気流Rは、図1図2(B)に見られるように、一方の側壁11Aでは図1で左方、図2(B)では下方に位置して図示されている二つのノズルから大きな空気吹込量そして他の三つのノズルからは小さな空気吹込量となるように空気が吹き込まれている。また、対向する他の側壁11Bでは、図1で右方、図2(B)では上方に位置して図示されている二つのノズルから大きな空気吹込量そして他の三つのノズルからは小さな空気吹込量となるように空気が吹き込まれている。かくして、逆旋回空気流Rが生ずる。
【0026】
次に、上段の非旋回空気吹込ノズル18は、すべてのノズルから均等に空気が吹き込まれていて、旋回空気流を生ずることはない。この非旋回空気吹込ノズル18は、旋回空気流を生じることなく、二次燃焼空気の補給を行うことのみを目的としている。
【0027】
さらに、本実施形態では、両側壁11A,11Bに、中段の逆旋回空気吹込ノズル17と上段の非旋回空気吹込ノズル18との間の高さ位置に、好ましい形態として、補助燃焼バーナ19が配設されている。
【0028】
このような構成の本実施形態装置では、溶融炉から排出される排ガスは次の要領で二次燃焼される。
【0029】
(1)溶融炉から排出された可燃ガス含有の排ガスは、排ガス流入ダクト14を経て排ガス流入口13から二次燃焼室10内へ流入する。排ガス流入口13は二次燃焼室10の側壁11Aに対し、該側壁11Aの幅方向で偏倚しているため、その偏倚によって、図1そして図2(D)に見られるごとく、流入した排ガスが排ガス旋回流Pを生ずる。二次燃焼室10の本体部11の上端の排ガス流出口10Aからは排ガスが上方に向け吸引されているため、本体部11内では上昇流Xが生じており、この上昇流Xにもとづいて、上記排ガス旋回流Pは、旋回しながら上記排ガス流入口10Aに向け上昇する。
【0030】
(2)排ガス流入口13よりも上方位置には、旋回空気吹込ノズル16から吹き込まれた空気により、図1そして図2(C)に見られるごとく、排ガス旋回流Pと同方向の旋回空気流Qが形成されている。したがって、上述の排ガス旋回流Pは上昇するにつれ、同方向に旋回するこの旋回空気流Qを合流することでその旋回の勢いを強める。
【0031】
(3)排ガス旋回流Pに旋回空気流Qが合流した状態で旋回の勢いが強められた排ガス旋回流Pは、上昇することで、逆旋回空気吹込ノズル17により、図1そして図2(B)に見られる上記排ガス旋回流P及び旋回空気流Qとは逆方向の逆旋回空気流Rと衝突することとなる。排ガス旋回流P及び旋回空気流Qと、逆旋回空気流Rとはその旋回方向が逆なので、この衝突により攪拌混合が生じ、排ガス中の可燃ガスは二次燃焼空気と十分にかつ均一に混合され、完全燃焼される。
【0032】
(4)排ガスと二次燃焼空気との混合ガスは、さらに上昇し、非旋回空気吹込ノズル18からの二次燃焼空気により、酸素が十分に補給されるようになり、可燃ガスは確実に完全燃焼される。
【0033】
(5)上下方向で逆旋回空気吹込ノズル17と非旋回空気吹込ノズル18との間には、好ましい形態として、補助燃焼バーナ19が設けられていて、燃料を燃焼し燃焼火炎により二次燃焼室内の温度を所定温度以上に調整するようにしている。二次燃焼室内を所定温度以上に保持することにより、有害物質の発生量を抑制し煙突から排出する排ガス中の有害物質濃度を規制範囲に保つようにしている。二次燃焼後の排ガスは排ガス流出口10Aから排出されて後続のボイラ等に導かれ、ここで熱回収が行われる。排ガスから落下したダストはダスト排出口12Aから排出され、適宜処理される。
【0034】
溶融炉からの排ガスは、二次燃焼室に流入後、一方向の排ガス旋回流Pを形成し、旋回空気流Qにより流勢を強められながら上昇し、上方で形成されている逆方向の逆旋回空気流Rと衝突して攪拌拡散され二次燃焼空気と均一に混合されることとなる。かくして、この攪拌拡散により、排ガスと二次燃焼空気は二次燃焼室の隅部そして中央部を含め全域で均一に混合されて、排ガス中の可燃ガスが完全燃焼し、排出ガスのCO濃度を抑制することができる。
【0035】
図1に示すように、本発明の二次燃焼装置は、二次燃焼室の底部で排ガスを一方向に旋回させ排ガス旋回流Pを形成させ、二次燃焼空気を、二次燃焼室下段で排ガス旋回流と同方向の旋回空気流Qを形成するように、中段で排ガス旋回流と逆方向の逆旋回空気流Rを形成するように吹き込み、上段では旋回流を形成することなく補充吹込みを行うように構成されている。溶融炉からの排ガスは、二次燃焼室に流入後、一方向の排ガス旋回流Pを形成し、二次燃焼空気の吹き込みにより、排ガス旋回流Pは、旋回空気流Qにより流勢を強められながら上昇し、上方で形成されている逆方向の逆旋回空気流Rと衝突して攪拌拡散され、排ガスは二次燃焼空気と均一に混合されることとなる。かくして、この攪拌拡散により、排ガスと二次燃焼空気は二次燃焼室の隅部そして中央部を含め全域で均一に混合されて、排ガス中の可燃ガスが完全燃焼し、排出ガスのCO濃度を抑制することができる。
【実施例】
【0036】
図1の装置を用いて、二次燃焼室の底部で排ガスを一方向に旋回させ排ガス旋回流を形成させ、二次燃焼空気を、二次燃焼室下段で排ガス旋回流と同方向、中段で排ガス旋回流と逆方向の逆旋回空気流を形成するように吹き込み、上段では旋回流を形成することなく補充吹込みを行い、その結果を実施例とし、比較のために排ガスは旋回流を生じさせないようにし、二次燃焼空気は一方向にのみ旋回流を形成するように吹き込むようにした場合の結果を比較例として、表1に示す。なお、補助燃焼バーナを用いて、二次燃焼室内を所定温度以上に保持することにより、有害物質の発生量を抑制し煙突から排出する排ガス中の有害物質濃度(CO濃度等)を規制範囲に保つようにしている。煙突での排ガス中のCO濃度を計測し、所定範囲になるように補助燃焼バーナに使用する燃料の使用量を調整するようにした。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例では、比較例に対し二次燃焼室上段と下段の温度差が約半分になることから、排ガスと二次燃焼空気との混合性が向上し、均一に燃焼していることが確認できる。また、それにより二次燃焼室内で局所的な低温域が減少したことから、煙突での排ガス中のCO濃度を所定範囲にするために補助燃焼バーナに使用する燃料の使用量が比較例に比し1.09L/(ごみt)だけ減少し、運転費用を低減できた。
【0039】
このように、実施例では、二次燃焼室中段にて二次燃焼空気を排ガス旋回流と逆方向の逆旋回空気流を形成するように吹き込むことにより、排ガスと二次燃焼空気との混合性に優れ、均一に燃焼することができ、補助燃焼バーナの燃料使用量を減少させる効果があることが示された。
【0040】
<二次燃焼空気吹込み量の調整>
本発明の二次燃焼装置では、溶融炉からの排ガスは、二次燃焼室に流入後、一方向の排ガス旋回流Pを形成し、二次燃焼空気の吹き込みにより、排ガス旋回流Pは、旋回空気流Qにより流勢を強められながら上昇し、上方で形成されている逆方向の逆旋回空気流Rと衝突して攪拌拡散され、排ガスが二次燃焼空気と均一に混合されることとなる。かくして、この攪拌拡散により、排ガスと二次燃焼空気は二次燃焼室の隅部そして中央部を含め全域で均一に混合されて、排ガス中の可燃ガスが完全燃焼し、排出ガスのCO濃度を抑制することができる。
【0041】
ここで、二次燃焼室の中段における排ガス旋回流Pと逆旋回空気流Rとが衝突する領域のガス温度を計測し、計測したガス温度計測値に基づき、この中段のガス温度が所定範囲となるように下段の旋回空気吹込ノズル、中段の逆旋回空気吹込ノズル及び上段の非旋回空気吹込ノズルから吹き込む二次燃焼空気吹込み量を調整する。このような各ノズルからの二次燃焼空気吹込み量を調整し、中段のガス温度を所定範囲に制御することにより、排ガスの可燃ガスを好ましい雰囲気でより確実に完全燃焼させ、排出ガスのCO濃度をより確実に抑制することができる。各ノズルからの二次燃焼空気吹込み量の調整は、各ノズルの二次燃焼空気吹込み量又は各ノズルの吹込み量の比率を調整して行うことが好ましい。例えば、下記のように調整する。
【0042】
中段のガス温度が所定範囲より低い場合
下段 旋回空気吹込ノズル吹込み量 減少
中段 逆旋回空気吹込ノズル吹込み量 増加
上段 非旋回空気吹込ノズル吹込み量 増加
中段のガス温度が所定範囲より高い場合
下段 旋回空気吹込ノズル吹込み量 増加
中段 逆旋回空気吹込ノズル吹込み量 減少
上段 非旋回空気吹込ノズル吹込み量 減少
【符号の説明】
【0043】
10 二次燃焼室
10A 排ガス排出口
13 排ガス流入口
16 旋回空気吹込ノズル(二次燃焼空気吹込口)
17 逆旋回空気吹込ノズル(二次燃焼空気吹込口)
18 非旋回空気吹込ノズル(二次燃焼空気吹込口)
P 排ガス旋回流
Q 旋回空気流
R 逆旋回空気流
図1
図2