特許第6048648号(P6048648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048648
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20161212BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20161212BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   A47K3/22
   B05B1/02 101
   B05B1/18 101
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-226103(P2012-226103)
(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-76202(P2014-76202A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093230
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 康成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良泰
(72)【発明者】
【氏名】柴田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】穐田 朋弘
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−187347(JP,A)
【文献】 特開2012−082591(JP,A)
【文献】 特開2011−167286(JP,A)
【文献】 米国特許第06739527(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0200013(US,A1)
【文献】 実開平06−060448(JP,U)
【文献】 実開平05−026151(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B05B 1/02
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水の導入流路が内部に形成され、この導入流路の上流側に、湯水の導入時に減圧により気体を吸引し、吸引した気体を気泡として湯水中に混入させる気液混合部が設けられたヘッド本体と、
平板状の部分を有し、複数の散水孔が前記平板状の部分を板厚方向に貫通して形成され、前記導入流路の出口の外側に配置されて前記ヘッド本体に取り付けられた散水板と、
前記ヘッド本体と前記散水板の間に形成され、前記散水板に対し平行に配置された、前記導入流路と連通した湯水の吐出流路と
を備え、
前記導入流路は、その出口側に、出口に向かうにしたがって断面積が次第に拡大する流路拡大部を有し、
前記吐出流路は、前記導入流路の出口側の部分に対し略直交して配置され、前記吐出流路の入口は、単位時間当たりに前記吐出流路に流れ込む湯水の体積が、前記導入流路の前記流路拡大部を除く部分における単位時間当たりに通過する湯水の体積以下となる断面積を有し、
前記散水板では、前記散水孔の上流側に、湯水に旋回流を発生させる旋回流発生流路が凹設され、この旋回流発生流路は、前記吐出流路および前記散水孔の両方と連通し、かつ前記吐出流路より外側に広がって配置されている
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記導入流路の前記流路拡大部では、その長さ方向の各断面が、単位時間当たりに通過する湯水の体積が前記断面ごとに等しくなる断面積を有していることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記旋回流発生流路では、前記散水孔に向かう湯水の吐出方向の長さがこの長さに直交する湯水の導入方向の長さより短くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水孔から微細気泡が混入した湯水を吐出するシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
湯水中に混入された直径50μm以下の微細気泡は、比表面積が大きいため、たとえば、人体の皮脂などの汚れを多く吸着して除去することができる。微細気泡は、その直径が小さくなるほど比表面積が増加するので、上記のような洗浄機能の向上を図るためには、微細気泡の直径をできるだけ小さくすることが望まれる。
【0003】
下記特許文献1には、効率的かつ高密度に微細気泡を発生させることができる液吐出装置が記載されている。この液吐出装置はシャワーヘッドへの適用が可能なものである。
【0004】
特許文献1に記載された液吐出装置では、湯水などの液体の流路が、液導入路と、この液導入路の上流側に接続された液流旋回路と、この液流旋回路の上流側に接続された縮流路と、この縮流路の上流側に接続された拡流路とから形成されている。液流旋回路は、液流旋回翼が配置されたものであり、縮流路は、その径が液流旋回路の径よりも小さくされたものである。また、拡流路は、その径が縮流路の径よりも大きくされたものである。この拡流路が液吐出口に連通している。
【0005】
また、特許文献1に記載された液吐出装置は、空気などの気体の気流導入路を備え、この気流導入路は、液吐出装置の外部に連通し、かつ液流旋回路または縮流路内で下流側に開口している。また、特許文献1に記載された液吐出装置では、拡流路内に臨み、縮流路の開口範囲に対向した、テーパ状の液流飛散面が設けられている。
【0006】
このような液吐出装置では、液導入路を通じて導入された液体に液流旋回路内において液流旋回翼によって旋回流が発生し、このとき生ずる減圧作用により空気など気体が気流導入路を通じて旋回流に混入され、気液混合流体が生成する。生成した気液混合流体が縮流路を通過する際に流速および旋回周波数が増大し、せん断力によって気液混合流体中に微細気泡が徐々に生成する。その後、拡流路内において遠心力による旋回流の分散などによって渦破壊が起こり、気液混合流体中に含まれる気泡が微細化され、微細気泡が多数発生する。また、気液混合流体の一部は、液流飛散面に衝突し、渦流が完全に破壊され、微細気泡が生成する。このようにして生成した微細気泡を多く含む液体が液吐出口を通じて外部に吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−178661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のとおりの液吐出装置は、また、部品コストの低減や組立性の向上が図られ、製造コストの高騰を抑制可能にするものであると特許文献1に記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された液吐出装置は、微細気泡の生成のための構成がやや複雑になっているという感が否めない。たとえば、液流旋回路が必要とされ、液流旋回路には、旋回流の形成のために液流旋回翼が設けられねばならないことが指摘される。また、液流飛散面を設けなければならないことも指摘される。汎用性のあるシャワーヘッドの実現のためには、構成の簡略化が是非とも望まれる。
【0009】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、構成の簡略化を図りつつ、気泡の合一を抑制して微細気泡の生成を促進することができるシャワーヘッドを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のシャワーヘッドは、湯水の導入流路が内部に形成され、導入流路の上流側に、湯水の導入時に減圧により気体を吸引し、吸引した気体を気泡として湯水中に混入させる気液混合部が設けられたヘッド本体と、平板状の部分を有し、複数の散水孔が平板状の部分を板厚方向に貫通して形成され、導入流路の出口の外側に配置されてヘッド本体に取り付けられた散水板と、ヘッド本体と散水板の間に形成され、散水板に対し平行に配置された、導入流路と連通した湯水の吐出流路とを備え、導入流路は、その出口側に、出口に向かうにしたがって断面積が次第に拡大する流路拡大部を有し、吐出流路は、導入流路の出口側の部分に対し略直交して配置され、吐出流路の入口は、単位時間当たりに吐出流路に流れ込む湯水の体積が、導入流路の流路拡大部を除く部分における単位時間当たりに通過する湯水の体積以下となる断面積を有し、散水板では、散水孔の上流側に、湯水に旋回流を発生させる旋回流発生流路が凹設され、旋回流発生流路は、吐出流路および散水孔の両方と連通し、かつ吐出流路より外側に広がって配置されていることを特徴としている。
【0011】
このシャワーヘッドにおいては、導入流路の流路拡大部では、その長さ方向の各断面が、単位時間当たりに通過する湯水の体積が断面ごとに等しくなる断面積を有していることが好ましい。
【0012】
このシャワーヘッドにおいては、旋回流発生流路では、散水孔に向かう湯水の吐出方向の長さがこの長さに直交する湯水の導入方向の長さより短くなっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシャワーヘッドによれば、構成の簡略化が図られ、しかも、気泡の合一が抑制されて微細気泡の生成が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)(b)は、それぞれ、本発明のシャワーヘッドの第1実施形態を示した正面図、図1(a)のA−A断面図である。
図2図1(a)(b)に示したシャワーヘッドの斜視図である。
図3】本発明のシャワーヘッドの第2実施形態を示した、図1(b)と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(a)(b)は、それぞれ、本発明のシャワーヘッドの第1実施形態を示した正面図、図1(a)のA−A断面図である。図2は、図1(a)(b)に示したシャワーヘッドの斜視図である。
【0016】
シャワーヘッド1は、ヘッド本体2と、散水板3と、吐出流路4とから形成されている。ヘッド本体2は、ともに円板状である基部5および重合部6を備えている。基部5は、やや厚さのある部材であり、その内部には、湯水を導入して重合部6へ送出する、断面が円形である第1導入流路7が形成されている。第1導入流路7は、基部5の側端部に入口8を、中心部に出口9を有し、略L字状に屈曲している。すなわち、第1導入流路7は、入口8から基部5の中心軸に向かってまっすぐ延び、中心軸付近で略L字状に屈曲し、屈曲部10を有している。また、基部5では、第1導入流路7の入口8付近に気液混合部11が設けられている。
【0017】
気液混合部11では、その内部に、湯水を導入して基部5の入口8に送出する、断面が円形である第2導入流路12が形成されている。第2導入流路12は、入口13側に、内径が第2導入流路12の長さ方向に急激に減少する加圧部14を有し、出口15側に、加圧部14に連通し、出口15に向かって内径が漸増する減圧部16を有している。また、第2導入流路12では、出口15が、基部5の内部に形成された第1導入流路7の入口8と一致し、第2導入流路12は第1導入流路7と連通している。
【0018】
また、気液混合部11では、第2導入流路12における加圧部14と減圧部16の接続部付近に、空気、酸素、炭酸ガス、オゾンなどの気体の通気路17を内部に有する、断面が円形である気体導入管18が、気液混合部11に直交して接続されている。気体導入管18は、気液混合部11の外側方に向かって延び、その先端に入口19を有し、気液混合部11の最も近くに配置された部分に出口20を有している。また、気液混合部11では、第2導入流路12と気体導入管18の出口20との間に、断面が円形である連通路21が内部に形成されている。気体導入管18の通気路17は、連通路21を介して第2導入流路12と連通している。
【0019】
このような気液混合部11は、第2導入流路12の出口15側の端部が、基部5の側端部に形成された凹部22に嵌合して固定され、基部5の外側方に突出している。凹部22では、基部5と気液混合部11の間にOリング23が介設され、基部5と気液混合部11の間の水密性が確保されている。なお、気液混合部11の配設位置は、第1実施形態のような基部5の第1導入流路7よりも上流側に限定されることはなく、第1導入流路7の入口8から屈曲部10までの途中とすることも可能である。
【0020】
そして、基部5では、その外周部に、複数の固定孔24が、基部5の厚さ方向に貫通して形成されている。固定孔24は、散水板3と基部5の結合に用いられるものであり、所定の間隔で基部5の外周部に配置されている。
【0021】
重合部6は、基部5よりサイズがひとまわり小さく、ある程度厚さのある円板状の部材である。重合部6では、その内部に、湯水を導入して送出する、断面が円形である第3導入流路25が形成されている。第3導入流路25は、重合部6の中心軸に位置し、重合部6を表裏方向に貫通している。重合部6は、第3導入流路25の入口26を基部5の第1導入流路7の出口9に一致させて基部5と重合し、基部5とによりヘッド本体2を形成する。重合部6と基部5が重合する部分において、第1導入流路7の出口9と第3導入流路25の入口26が近接する部分には、Oリング27が介設され、基部5と重合部6の間の水密性が確保されている。
【0022】
重合部6に形成された第3導入流路25は、出口28側に、出口28に向かうにしたがって内径が次第に拡大し、断面積が漸増する流路拡大部29を有している。流路拡大部29では、出口28に向かうにしたがって内面が外側に広がるように湾曲している。
【0023】
ヘッド本体2では、第1導入流路7、第2導入流路12および第3導入流路25によって、湯水の導入流路30が形成されている。導入流路30内に導入され、導入流路30から流出する湯水が、散水板3に形成された散水孔31から吐出される。
【0024】
散水板3では、中央部と外周部の間に複数の散水孔31が形成されている。散水板3において少なくとも散水孔31が形成された部分は、薄くて平らな円板状の形状を有しており、散水孔31は、その円板状の部分を板厚方向に貫通している。また、散水孔31は、隣り合う3つで配列の基本パターンを形成し、この基本パターンでは、3つの散水孔31が、中央側から外周側に向かって一定間隔で離れて配置されている。この基本パターンが、散水板3の外周に沿って繰り返し配置され、散水板3における散水孔31の配列形態は、略渦巻き状とされている。
【0025】
また、散水板3では、散水孔31の上流側に、湯水の流れに旋回流を発生させる旋回流発生流路32が凹設されている。旋回流発生流路32は、散水板3を厚さ方向に切り欠いた円形の溝として形成されている。旋回流発生流路32は、散水孔31に向かう湯水の吐出方向の長さをlとし、長さlに直交する湯水の導入方向の長さdとしたとき、l<dの関係を有している。すなわち、旋回流発生流路32では、散水孔31に向かう吐出方向の長さlが、この長さlに直交する湯水の導入方向の長さdより短い。このような旋回流発生流路32は、吐出流路4および散水孔31の両方と連通している。
【0026】
また、散水板3では、その外周部に、厚みのある円筒状の胴部33が突設されている。胴部33は、散水板3において旋回流発生流路32の外側から散水板3の外周端にかけて配置されている。胴部33の内径は、ヘッド本体2の重合部6の外径に略一致している。また、胴部33では、複数の取付孔34が、胴部33の長さ方向に貫通し、かつ散水板3の厚さ方向に貫通して形成されている。取付孔34は、散水板3をヘッド本体2の基部5に取り付けるためのものである。取付孔34を基部5に形成された固定孔24と一致させて散水板3を基部5に重合させ、ネジなどの締結具を取付孔34から固定孔24に向けてねじ込むなどによって、散水板3は基部5と結合し、シャワーヘッド1が組み立てられる。シャワーヘッド1では、散水板3は、ヘッド本体2に形成された導入流路30の出口、すなわち、重合部6に形成された第3導入流路25の出口28の外側に配置される。
【0027】
重合部6の基部5との重合は、たとえば、散水板3と基部5を結合する際に、散水板3の胴部33の内側に重合部6を嵌合させるなどによって、散水板3と基部5の結合と同時に実現可能である。もちろん、重合部6は、散水板3の取り付けに先立って基部5に重合させ、締結具を用いて固定しておくことも可能である。胴部33と重合部6の間にはOリング35が介設され、重合部6と胴部33の間の水密性が確保されている。
【0028】
このようにして組み立てられたシャワーヘッド1では、湯水の吐出流路4が、ヘッド本体2と散水板3の間に形成されている。具体的には、ヘッド本体2の重合部6と散水板3との間の間隔の狭い隙間が、吐出流路4となっている。吐出流路4は、散水板3に対し平行に配置され、ヘッド本体2の導入流路30と連通し、かつ散水板3の旋回流発生流路32と連通している。
【0029】
また、吐出流路4は、導入流路30の出口側の部分、すなわち、第1導入流路7の屈曲部10から出口9にかけての部分および第3導入流路25に対し略直交して配置されている。そして、吐出流路4では、導入流路30の出口である、流路拡大部29の下流端に一致する入口36が、次のような関係にある断面積を有している。すなわち、入口36の断面積が、たとえば、0.1秒程度の単位時間当たりに吐出流路4に流れ込む湯水の座金状の体積が、導入流路30の流路拡大部29を除く部分における単位時間当たりに通過する湯水の円板状の体積以下となるように設定されている。この断面積は、導入流路30を流れる湯水の流れの方向に対して垂直な断面の面積である。
【0030】
旋回流発生流路32は、このような吐出流路4より外側に広がって配置されている。また、旋回流発生流路32では、湯水の吐出方向の長さlが、吐出流路4が形成される、ヘッド本体2と散水板3の間、具体的には、ヘッド本体2の重合部6と散水板3との間の隙間の間隔よりも長くなっている。
【0031】
このようなシャワーヘッド1は、直径50μm以下の微細気泡を多数含んだ湯水を散水孔31から吐出することができる。シャワーヘッド1は、湯水が通過するホースなどの通水管と気液混合部11の入口13において接続される。通水管を通じて気液混合部11の第2導入流路12内に導入された湯水は、加圧部14を通過するときに一旦加圧され、次いで減圧部16を通過するときに減圧される。このときの減圧にともなって、空気、酸素、炭酸ガス、オゾンなどの気体が、入口19を通じて気体導入管18の通気路17内に吸引される。吸引された気体は、出口20から連通路21へ抜けて第2導入流路12内に導入された湯水中に気泡として混入される。その結果、第2導入流路12の出口15から入口8を通じて第1導入流路7内には、湯水が気液混合流体として導入される。
【0032】
第1導入流路7内に導入された湯水は、屈曲部10において流れの向きを略直角方向に変え、第1導入流路7の出口9から流出し、入口26を通じて第3導入流路25内に導入される。第3導入流路25内に導入された湯水は、流路拡大部29を通過するとき、流路拡大部29の内面に沿って外側に広がって流れ、第3導入流路25の出口28から入口36を通じて吐出流路4内に導入される。流路拡大部29は、その内面が外側に広がるように湾曲しているため、出口28から流出する湯水に渦などの乱流が発生するのが抑制される。乱流の発生にともなう気泡同士の衝突が抑制され、気泡の合一が抑制される。
【0033】
吐出流路4の入口36は、単位時間当たりに吐出流路4に流れ込む湯水の体積が、導入流路30の流路拡大部29を除く部分における単位時間当たりに通過する湯水の体積以下となる断面積を有しているため、吐出流路4内に導入される湯水は、加圧される。そして、吐出流路4では、入口36より下流側の部分の断面積が入口36の断面積よりも大きいため、次第に減圧される。この加圧および減圧の結果、湯水中の気泡は、粉砕され、そのほとんどが微細気泡となる。このように微細気泡を含んだ湯水は、上記のとおり、乱流の発生が抑制されているので、吐出流路4の外周部に向かってほぼ放射状に流れ、旋回流発生流路32内に導入される。
【0034】
旋回流発生流路32内に導入される湯水は、旋回流発生流路32内への導入時に、胴部33の内面に衝突し、流れが、散水孔31側に略直角に折り曲げられる。このため、旋回流発生流路32内に導入された湯水には旋回流が一時的に発生する。しかしながら、この旋回流は、散水孔31に向かう湯水の流れと、吐出流路4から旋回流発生流路32内へ流入してくる湯水の流れとの流体作用力の差に起因して発生するせん断力によって間もなく崩壊する。湯水中には、直径の比較的大きい大気泡が多少含まれる場合があり、この大気泡は、一般に旋回流の中央部に捕捉されやすい。しかしながら、旋回流の崩壊にともない大気泡は拘束から解き放たれ、しかも、せん断力によって粉砕されるため、微細気泡となる。湯水中に含まれる気泡の微細化が、旋回流発生流路32内で発生する旋回流とその崩壊によって促進され、微細気泡を多数含んだ湯水が生成される。
【0035】
このような微細気泡を多数含んだ湯水は、散水孔31を通じてシャワーヘッド1の外部に吐出される。微細気泡は、その直径が散水孔31の内径に比べ非常に小さいので、散水孔31を容易に通り抜けることができる。シャワーヘッド1から吐出される微細気泡を多数含んだ湯水は、微細気泡が比表面積の大きいものであるので、高い洗浄機能などを有している。
【0036】
上記のとおり、シャワーヘッド1は、基本的に、内部に導入流路30が形成され、導入流路30の上流側に気液混合部11が設けられたヘッド本体2と、複数の散水孔31が形成され、旋回流発生流路32が凹設された散水板3と、ヘッド本体2と散水板3の間に形成された吐出流路4とを備えたものである。したがって、シャワーヘッド1は、微細気泡を多数含んだ湯水の生成を促進するものでありながら、構成が簡略化されたものである。シャワーヘッド1は、汎用性のあるものとして有望視される。
【0037】
しかも、旋回流発生流路32が、散水孔31に向かう吐出方向の長さをlとし、長さlに直交する導入方向の長さをdとしたとき、l<dの関係を有するものである場合には、湯水の散水方向と湯水の導入方向における湯水に作用する力の差が大きくなる。この力の差によって旋回流発生流路32内で発生する旋回流によるせん断力がより大きくなり、気泡の粉砕がより促進され、微細化に有効に機能する。散水孔31から吐出される湯水は、微細気泡の密度がより高い良質なものとなる。また、湯水の散水方向の長さlを短くすることは、シャワーヘッド1の小型化にも寄与する。
【0038】
図3は、本発明のシャワーヘッドの第2実施形態を示した、図1(b)と同様な断面図である。
【0039】
シャワーヘッド1aに関し、図1(b)に示したシャワーヘッド1と共通する部位には図3において同一の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0040】
シャワーヘッド1aでは、導入流路30の流路拡大部29aが、シャワーヘッド1の流路拡大部29と異なっている。すなわち、流路拡大部29aでは、その長さ方向の各断面、すなわち、湯水の流れ方向に垂直な断面が、単位時間当たりに通過する湯水の体積が、断面ごとに等しくなる面積を有している。このような流路拡大部29aを有するシャワーヘッド1aでは、湯水が流路拡大部29aを通過するときの流速の低下を抑制することができ、その結果、湯水中の気泡同士の衝突がさらに抑制され、気泡の合一がさらに抑制される。気泡の膨張やこれにともなう気泡数の減少が抑制される。
【0041】
本発明のシャワーヘッドは、以上の実施形態に限定されるものではない。ヘッド本体、散水板および吐出流路の形状および構成をはじめとして、旋回流発生流路の形状および構成や、気液混合部の構成および配置位置などの細部については様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、1a シャワーヘッド
2 ヘッド本体
3 散水板
4 吐出流路
11 気液混合部
29、29a 流路拡大部
30 導入流路
31 散水孔
32 旋回流発生流路
36 吐出流路の入口
l 旋回流発生流路における湯水の吐出長さ
d 旋回流発生流路における導入長さ
図1
図2
図3