(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ハイブリッド自動車などの発展に伴い、リアクトルに供給される電流が大きくなる傾向にある。リアクトルに供給する電流が大きくなると、特許文献1の構造を有するリアクトルであっても磁気飽和する場合があり、その対策が望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、従来よりも磁気飽和し難いリアクトルを提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明のリアクトルを用いたコンバータ、およびそのコンバータを用いた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために、内側コア部と外側コア部との間にギャップ材を介在させる構成を検討した。また、本発明者は、その検討の過程でリアクトルを外部環境から保護する構成にも着目した。その結果、ギャップ材の配置とリアクトルの保護を両立させることができる構成に想到し、本発明を完成させた。以下に、本発明のリアクトルを規定する。
【0008】
本発明のリアクトルは、コイルと、コイルの内部に挿通される部分を有する磁性コアとを備え、磁性コアが、コイルの内部に配置された内側コア部、およびコイルから露出している外側コア部を有するリアクトルである。この本発明のリアクトルでは、リアクトルに備わる内側コア部が、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなり、外側コア部の比透磁率が、内側コア部の比透磁率よりも大きくなっており、かつ外側コア部が後述するコア成形体の形態で用いられている。
【0009】
なお、本発明のリアクトルは、並列される一対のコイル素子を有するコイルを備えるリアクトル(後述する実施形態1を参照)であっても良いし、一つのコイル素子を有するコイルを備えるリアクトル(実施形態2を参照)であっても良い。また、本発明のリアクトルにおける「コイルの内側に配置される内側コア部」とは、少なくとも一部がコイルの内部に配置されている内側コア部を意味する。例えば、内側コア部の中央部分がコイルの内部に位置し、内側コア部の端部付近がコイルの外側に位置するような場合も「コイルの内側に配置される内側コア部」に含まれる。
【0010】
本発明のリアクトルにおけるコア成形体は、外側コア部と、その外側コア部を保護するコアモールド部とを有する。コアモールド部は、外側コア部の外周面のうち、少なくとも次の二つの部分を覆う。
[1]リアクトルの外方に向いた部分(コアモールド部を剥いだときに、リアクトルの外観上から視認できる部分と言い換えても良い)
[2]内側コア部に対向する部分(コアモールド部を剥いだとしても、リアクトルの外観上から視認することはできない)
【0011】
外側コア部の外周面における上記[1]、[2]以外の部分はコアモールド部に覆われていても良いし、覆われていなくても良い。コアモールド部で覆われていても良いし覆われていなくても良い部分として、具体的には、外側コア部のうち、リアクトルの設置対象に対向する底面を挙げることができる。
【0012】
上記本発明の構成によれば、外側コア部の外周面のうち、リアクトルの外方に向いた部分がコアモールド部で覆われているため、外側コア部を外部環境から保護することができる。また、本発明の構成では、コア成形体における外側コア部の外周面のうち、内側コア部に対向する部分もコアモールド部で覆われている。そのため、コア成形体と内側コア部とを組み合わせて磁性コアを形成すると、コアモールド部の一部が外側コア部と内側コア部との間に配置されて、磁性コアのギャップ材として機能するため、磁性コアを磁気飽和し難くできる。このように、本発明の構成によれば、磁気飽和し難く、かつ外部環境から保護されたリアクトルとすることができる。
【0013】
本発明のリアクトルの一形態として、コア成形体は、内側コア部の端部を収納する凹部を備える形態を挙げることができる。
【0014】
上記構成によれば、コア成形体の凹部に内側コア部の端部を嵌め込むだけで、外側コア部と内側コア部との相対的な位置決めを容易に行なうことができる。また、組み立てられたリアクトルにおいて、外側コア部と内側コア部との相対的な位置がずれることを効果的に抑制できる。
【0015】
本発明のリアクトルの一形態として、外側コア部のうち、リアクトルの設置対象に向いた底面には、コアモールド部が形成されていない形態とすることが挙げられる。
【0016】
外側コア部の底部にコアモールド部を設けないことで、外側コア部から冷却ベースなどの設置対象への放熱性、即ちリアクトルから外部への放熱性を高めることができる。
【0017】
本発明のリアクトルの一形態として、内側コア部を構成する磁性粉末混合樹脂の磁性成分の含有量は、全体を100体積%としたとき、20体積%以上75体積%以下である形態を挙げることができる。
【0018】
磁性粉末が20体積%以上であることで、比透磁率や飽和磁束密度などの磁気特性を確保し易い。磁性粉末が75体積%以下であると、樹脂との混合が行い易く、磁性粉末混合樹脂の製造性に優れる。このような内側コア部を磁性コアに用いれば、磁性コアを磁気飽和し難くできる。
【0019】
本発明のリアクトルの一形態として、外側コア部は、圧粉成形体である形態を挙げることができる。
【0020】
圧粉成形体における磁性成分の含有量は、磁性粉末混合樹脂における磁性成分の含有量よりも多くすることが容易であり、そのため圧粉成形体の比透磁率を、磁性粉末混合樹脂の比透磁率よりも大きくし易い。本発明のリアクトルでは、外側コア部の比透磁率が内側コア部の比透磁率よりも大きく、かつ内側コア部が磁性粉末混合樹脂からなることが必須要件であるため、外側コア部を圧粉成形体とすると、『外側コア部の比透磁率>内側コア部の比透磁率』の関係を容易に満たすことができる。
【0021】
本発明のリアクトルの一形態として、外側コア部は、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂である形態を挙げることができる。
【0022】
磁性粉末混合樹脂は、樹脂と磁性粉末の割合を変化させることで、その磁気特性を容易に変化させることができる。そのため、磁性粉末混合樹脂で外側コア部を構成すれば、所望の磁気特性を備える外側コア部を容易に得られる。
【0023】
外側コア部が磁性粉末混合樹脂で構成される本発明のリアクトルの一形態として、外側コア部を構成する磁性粉末混合樹脂の磁性成分の含有量は、全体を100体積%としたとき、20体積%以上75体積%以下である形態を挙げることができる。
【0024】
上記範囲の磁性成分を含有する外側コア部を磁性コアに用いれば、磁性コアを磁気飽和し難くできる。
【0025】
本発明のリアクトルの一形態として、磁性コア全体の比透磁率を10以上50以下、内側コア部の比透磁率を5以上50以下、外側コア部の比透磁率を50以上500以下とすることが好ましい。磁性コア全体のさらに好ましい比透磁率は10以上35以下、最も好ましい比透磁率は10以上30以下である。ここで、磁性コア全体の比透磁率とは、内側コア部と、外側コア部と、コアモールド部のうちの外側コア部と内側コア部との間に配置されている部分と、を合わせた比透磁率である。さらに磁性コアにギャップ材が含まれる場合、例えば磁性粉末混合樹脂からなる複数の分割片と、分割片の間に配置されるギャップ材とで内側コア部が構成される場合、磁性コア全体の比透磁率は、そのギャップ材も含めた比透磁率である。
【0026】
なお、ここでいう上記各コア部の比透磁率とは、次のようにして求めたものをいう。コア部と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻き、二次側20巻きの巻線を施して、試験片のB−H初磁化曲線をH=0〜100エルステッド(Oe)の範囲で測定する。この測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS−40S10K」を使用することができる。そして、得られたB‐H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、それをコア部の比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
【0027】
一方、上記各コア部の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
【0028】
上記範囲の比透磁率を満たす磁性コアは、リアクトルに利用した際に磁気飽和し難い。上記範囲の比透磁率は、外側コア部を圧粉成形体とすることで満たし易い。
【0029】
本発明のリアクトルの一形態として、磁性コア全体の比透磁率を5以上30以下、内側コア部の比透磁率を5以上25以下、外側コア部の比透磁率を10以上40以下とすることが好ましい。
【0030】
上記範囲の比透磁率を満たす磁性コアは、リアクトルに利用した際に磁気飽和し難い。上記範囲の比透磁率は、外側コア部を磁性粉末混合樹脂とすることで満たし易い。外側コア部を圧粉成形体としても上記範囲の比透磁率を満たすことは可能である。
【0031】
本発明のコンバータは、上記本発明のリアクトルを備える。例えば、本発明のコンバータとして、スイッチング素子と、上記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にする本発明のリアクトルとを備え、上記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換する構成を挙げることができる。
【0032】
本発明の電力変換装置は、上記本発明のコンバータを備える。例えば、本発明の電力変換装置として、入力電圧を変換する本発明のコンバータと、上記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動する形態を挙げることができる。
【0033】
生産性に優れる本発明のリアクトルを用いた本発明のコンバータ、及び本発明の電力変換装置は、これらを備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の生産性の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0034】
本発明のリアクトルは、磁気飽和し難い。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態をより具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
【0037】
<実施形態1>
図1〜3に示す本実施形態1のリアクトル1は、コイル2と磁性コア3との組合体10である。このリアクトル1のコイル2は一対のコイル素子2A,2Bを有し、磁性コア3は一対の内側コア部31,31と一対の外側コア部32,32とを備える(特に、
図3を参照)。このリアクトル1の特徴とするところは、
図3に示すように、外側コア部32の外周面に、外側コア部32を保護するコアモールド部5Mが形成され、かつこのコアモールド部5Mのうち、外側コア部32と内側コア部31との間に配置される部分がギャップ材として機能することである。以下、本実施形態1のリアクトル1の各構成を詳細に説明する。
【0038】
≪コイル≫
組合体10(リアクトル1)に備わるコイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rとを備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。本実施形態では、これらコイル素子2A,2Bは接続部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回することで形成されており、その巻線をU字状に屈曲させることで上記コイル素子連結部2rが形成されている。もちろん、両コイル素子2A,2Bは、別個の巻線を螺旋状に巻回することで形成しても良く、その場合、例えば、コイル素子2A,2Bの端部同士を圧接や溶接などで接合する。
【0039】
コイル2は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用し、各コイル素子2A,2Bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。また、各コイル素子2A,2Bの端面形状を長方形の角部を丸めた形状としているが、端面形状は、円形状など適宜変更することができる。
【0040】
コイル2の両端部2a,2b(
図1、
図3の紙面左側)は、ターン形成部分から引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
【0041】
≪磁性コア≫
組合体10(リアクトル1)に備わる磁性コア3は、各コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31,31と、コイル素子2A,2Bから露出し、内側コア部31,31をその両側から挟み込む一対の外側コア部32,32(特に、
図3の点線丸囲みを参照)とを備える。そして、外側コア部32の比透磁率は、内側コア部31の比透磁率よりも高い。このように両コア部31,32の比透磁率を異ならせることで、磁性コア3全体の比透磁率を調整し、磁性コア3を磁気飽和し難くできる。ここで、本発明のリアクトル1では、後段で詳述するように外側コア部32の外周面に形成されるコアモールド部5Mが、内側コア部31と外側コア部32との間でギャップ材として機能し、磁性コア3をさらに磁気飽和し難くしている。
【0042】
磁性コア3全体と、磁性コア3を構成する各コア部31,32の好ましい比透磁率の一例を以下に示す。
・磁性コア3全体…比透磁率=10以上50以下、より好ましくは10以上35以下、さらに好ましくは10以上30以下
・内側コア部31…比透磁率=5以上50以下
・外側コア部32…比透磁率=50以上500以下
【0043】
〔内側コア部〕
磁性コア3を構成する内側コア部31,31は、繋ぎ目がない一本の柱状体であって、樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂で構成されている。内側コア部31,31を磁性粉末混合樹脂で構成したのは、磁性粉末混合樹脂がその構成上、低比透磁率体にし易いからである。
【0044】
(磁性粉末混合樹脂)
内側コア部31を構成する磁性粉末混合樹脂は、代表的には、バインダとなる樹脂に磁性粉末を混合したものである。磁性粉末には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料、これら軟磁性材料に絶縁被覆を備える被覆粉末などを利用できる。特に、被覆粉末を用いることで、磁性粉末混合樹脂における渦電流損を効果的に低減することができる。絶縁被覆としては、例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。一方、バインダとなる樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。その他、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、あるいは低温硬化性樹脂を用いてもよい。また、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)や、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴムなどを用いることもできる。
【0045】
磁性粉末混合樹脂で内側コア部31,31を形成する場合、代表的には、射出成形、トランスファー成形、MIM(Metal Injection Molding)、注型成形、磁性粉末と粉末状の固形樹脂とを用いたプレス成形などを利用することができる。射出成形の場合は、磁性粉末と樹脂との混合材料を所定の圧力をかけて成形型に充填して成形した後、上記樹脂を硬化させることで磁性粉末混合樹脂を得ることができる。トランスファー成形やMIMの場合も、上記混合材料を成形型に充填して成形を行う。注型成形の場合は、上記混合材料を、圧力をかけることなく成形型に注入して成形・硬化させることで磁性粉末混合樹脂を得ることができる。
【0046】
磁性粉末混合樹脂における磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。また、磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。平均粒径が上記範囲を満たす磁性粉末を材料に用いると、流動性が高く、射出成形などを利用して磁性粉末混合樹脂を生産性良く製造できる。
【0047】
その他、磁性粉末混合樹脂には、磁性粉末及び樹脂に加えて、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性材料からなる粉末(フィラー)が含有されていても良い。フィラーは、放熱性の向上、磁性粉末の偏在の抑制(均一的な分散)に寄与する。また、フィラーが微粒であり、磁性粒子間に介在することで、フィラーの含有による磁性粉末の割合の低下を抑制できる。フィラーの含有量は、磁性粉末混合樹脂を100質量%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下、更に0.3質量%以上15質量%以下、特に0.5質量%以上10質量%以下であると、上記効果を十分に得られる。
【0048】
磁性粉末混合樹脂は、磁性粉末混合樹脂における磁性粉末の含有量は、磁性粉末混合樹脂を100%とするとき、体積割合で20体積%以上75体積%以下とすることが好ましい。磁性粉末が20体積%以上であることで、比透磁率や飽和磁束密度などの磁気特性を確保し易い。磁性粉末が75体積%以下であると、樹脂との混合が行い易く、磁性粉末混合樹脂の製造性に優れる。磁性粉末混合樹脂は、磁性粉末の含有量を調整したり、磁性粉末の材質を変更することで、比透磁率といった磁気特性を変化させることができる。磁性粉末の含有量は、更に好ましくは40体積%以上65体積%以下である。特に磁性粉末が鉄或いはFe−Si合金のような材料であれば、磁性粉末の含有量が40体積%以上であることで、磁性粉末混合樹脂の飽和磁束密度を0.8T以上とし易い。また、磁性粉末の含有量が65体積%以下であることで、磁性粉末と樹脂との混合がより行い易く、より製造性に優れる。
【0049】
上記磁性粉末の含有量から分かるように、磁性粉末混合樹脂は、圧粉成形体に比べて磁性粉末の含有量が少なく、低比透磁率とすることができる。この磁性粉末混合樹脂の比透磁率は5以上50以下、飽和磁束密度は0.6T以上とすることが望ましい。また、磁性粉末混合樹脂の熱伝導率は、0.25W/m・K以上とすることが望ましい。
【0050】
〔外側コア部〕
本発明のリアクトル1における外側コア部32は、
図3に示すように、コア成形体5の形態で利用される。コア成形体5は、外側コア部32と、その外周の少なくとも一部を覆うコアモールド部5Mとを有する。
【0051】
外側コア部32は、
図3の左上の点線丸囲みに示すように、例えば、略ドーム形状の上面と下面を有する柱状のコア片である。このコア片には、鉄などの鉄属金属やその合金に代表される軟磁性粉末を用いた圧粉成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体などが利用できる。もちろん、内側コア部31と同様に外側コア部32を磁性粉末混合樹脂とすることもできる。本実施形態では、外側コア部32を圧粉成形体とした場合を例にして説明する。圧粉成形体は、生産性に優れ、かつ内側コア部31を構成する磁性粉末混合樹脂よりも高比透磁率となり易い。なお、外側コア部32を磁性粉末混合樹脂とした構成については、後述する実施形態1−1で説明する。
【0052】
(圧粉成形体)
圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を有する磁性粉末を加圧成形した後、適宜熱処理を施すことで製造することができる。圧粉成形体の材料には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料からなる粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末やフェライト粉末に、熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸などの添加剤(上記熱処理によって消失、又は絶縁物に変化するもの)を加えた混合材料を用いることが挙げられる。上記製造方法によって、軟磁性粒子の周囲が絶縁被覆(例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物など)で覆われ、当該粒子間に絶縁物が介在する圧粉成形体が得られる。絶縁被覆を備える圧粉成形体は、絶縁性に優れ、渦電流損を低減することができる。軟磁性材料をフェライトとする場合、絶縁被覆を備えていなくても、絶縁性に優れる。
【0053】
使用する磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。微細な粉末と粗大な粉末とを混合した磁性粉末を圧粉成形体の材料に用いた場合、飽和磁束密度が高く、低損失なリアクトルが得られ易い。なお、圧粉成形体における磁性粉末と材料に用いた粉末とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
【0054】
圧粉成形体における磁性粉末(磁性成分)の含有量は、圧粉成形体を100%とするとき、体積割合で75体積%以上とすることが望ましく、80体積%以上とすることがさらに望ましい。圧粉成形体における磁性粉末の含有量の調整は、例えば、磁性粒子の表面に形成される絶縁被覆の厚さや、圧粉成形体の作製時に磁性粉末に加えられる樹脂や添加剤の量によって調節できる。
【0055】
上記磁性粉末の含有量から分かるように、圧粉成形体において絶縁成分に比べて磁性成分が圧倒的に多いため、圧粉成形体は高比透磁率でかつ高飽和磁束密度の磁性部材とすることができる。この圧粉成形体の比透磁率は50以上500以下、飽和磁束密度は1.0T以上、熱伝導率は10W/m・K以上とすることが望ましい。
【0056】
圧粉成形体の磁気特性は、磁性粉末の含有量を変化させることで調整できる。もちろん、磁性粉末の材質を変更することでも圧粉成形体の磁気特性を調整できる。その他、加圧成形時の成形圧力を調整することでも、圧粉成形体の磁気特性(特に、飽和磁束密度)を変化させることができる。その場合、成形圧力を高くすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。
【0057】
(コアモールド部)
次に、上述した外側コア部32の少なくとも一部を覆い、外側コア部32を外部環境から保護するコアモールド部5Mを説明する。具体的なコアモールド部5Mの被覆領域は、外側コア部32の外周面のうち、少なくともリアクトルの外方に向いた部分、および上述した内側コア部31に対向する部分である。逆に言えば、それ以外の部分は、コアモールド部5Mで覆われていても良いし、覆われていなくても良い任意部分である。ここで、コイル素子2A,2Bが並列される並列タイプのリアクトル1では、冷却ベースなどのリアクトル1の設置対象に対向する外側コア部32の底面が、任意部分である。
【0058】
上述したように、コアモールド部5Mは、外側コア部32の全周を覆っていても良いが、本実施形態では外側コア部32の底部以外の部分を覆っている(
図2(B)を参照)。このコアモールド部5Mによって、外側コア部32を外部環境から保護することができる。また、コアモールド部5Mのうち、外側コア部32の外周面における内側コア部31に対向する箇所に設けられる部分は、外側コア部32と内側コア部31との間でギャップ材として機能する。このギャップ材の存在により、ギャップ材が無い場合に比べて磁性コア3をより磁気飽和し難くできる。
【0059】
既に述べたように、本実施形態のリアクトル1では、
図2(B)に示すように、外側コア部32の底面がコアモールド部5Mから露出している。そのため、このリアクトル1を冷却ベースなどのリアクトルの設置対象に載置すれば、使用時に発生したリアクトル1の熱を、外側コア部32の底面から効率的に放熱させることができる。当該底面と設置対象とは接着層により接着しても良い。そうすることで、底面と設置対象との間に微小な隙間が形成され難く、底面から設置対象への放熱効率を向上させることができる。また、接着層を設けることで、設置対象に対するリアクトル1の固定を強固にすることができる。
【0060】
上記コアモールド部5Mは、絶縁性に優れる材料で構成する。さらに、コアモールド部5Mを構成する材料は熱伝導性に優れることが好ましい。このような材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性の絶縁性樹脂を挙げることができる。この絶縁性樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、コアモールド部5Mの絶縁性および放熱性を向上させることができる。
【0061】
上記コアモールド部5Mの厚さは適宜選択することができる。また、コアモールド部5Mのうち、ギャップ材として機能する部分と、それ以外の部分とで厚さを異ならせても良い。例えば、ギャップ材として機能する部分の厚さは0.1〜4.0mm程度とすれば良いし、それ以外の部分の厚さは0.1〜0.5mm程度とすれば良い。ここで、本実施形態では、
図3に示すように、コアモールド部5Mのうち、ギャップ材として機能する部分の厚さを、他の部分よりも薄くしており、それによってコアモールド部5Mの内側コア部31,31に対向する部分に一対の凹部5Mcが形成されている。これら凹部5Mc,5Mcには、内側コア部31,31の端部を嵌め込むことができるようになっている。そのため、凹部5Mcにより、外側コア部32と内側コア部31とを正確に位置決めでき、かつ位置決めした後に両者31,32の相対的な位置がずれることを効果的に抑制できる。
【0062】
≪用途≫
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
【0063】
≪効果≫
以上説明した構成とすることで、例えば100Aの大電流で使用しても磁気飽和し難いリアクトル1とすることができる。それは、外側コア部32の比透磁率を内側コア部31の比透磁率よりも高くし、かつ外側コア部32と内側コア部31との間にギャップ材(コアモールド部5M)を配置することで、磁性コア3全体のインダクタンスを調整しているからである。
【0064】
また、本実施形態の構成では、ギャップ材となるコアモールド部5Mにより外側コア部32の外周面が外部環境から保護されているので、物理的衝撃や酸化雰囲気に耐性を持ったリアクトル1である。
【0065】
<実施形態1−1>
実施形態1では、外側コア部32を圧粉成形体とした構成を説明した。これに対して、外側コア部32を磁性粉末混合樹脂とすることもできる。
【0066】
外側コア部32を磁性粉末混合樹脂とする場合、磁性コア3全体と、磁性コア3を構成する各コア部31,32の好ましい比透磁率は次の通りである。
・磁性コア3全体…比透磁率=5以上30以下
・内側コア部31…比透磁率=5以上25以下
・外側コア部32…比透磁率=10以上40以下
【0067】
ここで、外側コア部32の比透磁率は内側コア部31の比透磁率よりも大きくなるようにする。外側コア部32の比透磁率を内側コア部31の比透磁率より大きくするには、各コア部31,32の磁性粉末の材質や含有量、あるいはその両方を変化させれば良い。例えば、内側コア部31と外側コア部32とで磁性粉末の材質を同じとし、外側コア部32の磁性粉末の含有量を内側コア部31の磁性粉末の含有量より大きくすることが挙げられる。この場合、内側コア部31と外側コア部32で磁性粉末の材質が同じであるため、磁性粉末の準備が容易であるという利点がある。あるいは、外側コア部32に比透磁率が大きな磁性粉末を用い、内側コア部31に比透磁率が小さな磁性粉末を用いると共に、外側コア部32の磁性粉末の含有量と、内側コア部31の磁性粉末の含有量と、を同じにすることが挙げられる。この場合、両コア部31,32の磁性粉末の含有量が同じであるため、両コア部31,32を作製する際の混合条件(例えば、磁性粉末と樹脂の混合時間や混合温度など)を同じにすることができる。両コア部31,32の混合条件が同じであると、各コア部31,32を作製する際に混合条件を再設定する手間を低減できるし、混合条件の再設定に伴う各コア部31,32の品質のバラツキをなくすことができるという利点がある。
【0068】
<実施形態1−2>
実施形態1では組合体10からなるリアクトル1を説明した。これに対して、組合体10を放熱板上に搭載したリアクトルとしても良い。以下、
図1を参照して放熱板の構成を説明する。
【0069】
放熱板(図示略)は、組合体10を支持しつつ、組合体10で生じた熱を冷却ベースに放熱する放熱経路として機能する板状の部材である。つまり、放熱板の一面側が、組合体10を搭載する搭載面、他面側が冷却ベースへの取付面である。
【0070】
上記放熱板は、コイル2に近接して配置されるため、非磁性材料から構成する。また、放熱板はリアクトル1の放熱経路に利用されるため、熱伝導性に優れる金属材料から構成する。つまり、放熱板は、アルミニウムやその合金、あるいはマグネシウムやその合金などの非磁性金属から構成する。上記列挙した非磁性金属は軽量であるため、軽量化が望まれている車載部品の構成材料に適する。この放熱板の厚さは、強度、磁束の遮蔽性を考慮して、2〜5mm程度とすることが好ましい。
【0071】
放熱板を利用する場合、放熱板に組合体10を接着させる接着層(図示略)を形成することが好ましい。接着層は、組合体10を放熱板に強固に固定させる機能を有する。また、接着層によって、コアモールド部5Mから露出する外側コア部の底面と放熱板の上面に微小な凹凸があったとしても、底面と放熱板との間に隙間が形成され難くでき、その結果として隙間に起因する放熱経路の分断を抑制することができる。
【0072】
接着層は、コイル2と放熱板との間を十分に絶縁可能な程度の絶縁特性と、リアクトル1の使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性とを有する絶縁性樹脂によって構成する。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、LCPなどの熱可塑性の絶縁性樹脂が接着層に好適に利用できる。この絶縁性樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、接着層の絶縁性および放熱性を向上させることができる。接着層の熱伝導率は、0.1W/m・K以上とすることが好ましく、より好ましくは0.15W/m・K以上、さらに好ましくは0.5W/m・K以上、特に好ましくは1W/m・K以上、最も好ましくは2.0W/m・K以上である。
【0073】
<実施形態2>
実施形態2では、一つのコイル素子2Cを有するコイル2’と、磁性コア3’の組合体10’からなるリアクトル1’を
図4に基づいて説明する。なお、このリアクトル1’は、紙面下側が冷却ベースの設置面である。
【0074】
図4に示すリアクトル1’のコイル2’は、コイル素子2Cを一つだけ備え、この一つのコイル素子2Cから端部2a,2bが引き出されている。
【0075】
リアクトル1’の磁性コア3’は、コイル素子2Cの内部に配置される内側コア部31’と、コイル素子2Cから露出する外側コア部32’とを備える。内側コア部31’は、コイル素子2Cの内部形状に対応した円柱状の磁性体であり、磁性粉末混合樹脂から構成されている。
【0076】
一方、外側コア部32’は、円筒状分割片32Aと、この円筒状分割片32Aの両端部に配置される一対の板状分割片32B,32Cとに分かれている。これら分割片32A,32B,32Cの比透磁率は、内側コア部31’の比透磁率よりも高くなっている。このような比透磁率の関係を満たすには、例えば、分割片32A,32B,32Cを圧粉成形体とすれば良い。もちろん、分割片32A,32B,32Cを磁性粉末混合樹脂としても構わない。
【0077】
上記分割片32A,32B,32Cは、その外周面の少なくとも一部にコアモールド部5M’を備えるコア成形体5’の形態で用いられている。
図4(B)を参照して具体的なコアモールド部5M’の形成状態を以下に説明する。
【0078】
まず、本実施形態の円筒状分割片32Aは、その全周にわたってコアモールド部5M’が形成されている。但し、この円筒状分割片32Aにおいてコアモールド部5M’が必須である部分は、円筒状分割片32Aの外方側の壁面だけである。なお、付言しておくが、円筒状分割片32Aの内方側の壁面は、内側コア部31の方に向いているが、内側コア部31に対向する面ではなく、コイル2に対向する面である
【0079】
次に、紙面上側の板状分割片32Bもその全周にわたってコアモールド部5M’が形成されている。但し、この板状分割片32Bにおいてコアモールド部5M’が必須である部分は、板状分割片32Bの紙面上方側の面、帯状の壁面、および紙面下方側の面のうち、内側コア部31’に対向する部分である。この板状分割片32Bのコアモールド部5M’には、内側コア部31’を嵌め込む凹部が形成されていても良い。
【0080】
最後に、紙面下方側の板状分割片32Cは、紙面下側の面(底面)以外の面にコアモールド部5M’が形成されている。但し、この板状分割片32Cにおいてコアモールド部5M’が必須である部分は、板状分割片32Cの帯状の壁面、および紙面上方側の面のうち、内側コア部31’に対向する部分である。この板状分割片32Cのコアモールド部5’には、内側コア部31’を嵌め込む凹部が形成されていても良い。なお、分割片32Cの底面にコアモールド部5M’が形成されていないのは、リアクトル1’の放熱性を高めるためである。
【0081】
以上説明したリアクトル1’は磁気飽和し難い。それは、外側コア部32’を保護するコアモールド部5M’の一部が、内側コア部31’と外側コア部32’との間でギャップ材として機能するからである。
【0082】
<実施形態3>
実施形態1、実施形態1−1、実施形態1−2、実施形態2などの本発明によるリアクトルは、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
【0083】
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、
図5に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、
図5では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
【0084】
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
【0085】
コンバータ1110は、
図6に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態に記載のリアクトルを用いる。軽量で扱い易いこれらリアクトルを用いることで、電力変換装置1100(コンバータ1110を含む)の軽量化を図ることができる。
【0086】
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態や変形例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態のリアクトルなどを利用することもできる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。