(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048658
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】キーボード
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20161212BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
G06F3/02 390B
G06F3/02 320Z
G06F3/16 610
G06F3/16 680
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-276849(P2012-276849)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-120105(P2014-120105A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 元基
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 崇弘
【審査官】
松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−151765(JP,A)
【文献】
特開2012−103557(JP,A)
【文献】
特開2012−232810(JP,A)
【文献】
特開2011−203781(JP,A)
【文献】
特開2012−069166(JP,A)
【文献】
特開2005−032106(JP,A)
【文献】
特表2006−509278(JP,A)
【文献】
特表2007−504568(JP,A)
【文献】
特開2008−250606(JP,A)
【文献】
特開2002−278679(JP,A)
【文献】
特開平10−116139(JP,A)
【文献】
特開2002−257574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02− 3/027
G06F 3/16
G11B 20/10−20/16
H03M 11/04
H03M 11/08−11/14
H03M 11/20−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力機能が組み込まれ、プラント設備の操作監視機能を有するパソコンにUSBケーブルを介して接続されるキーボードにおいて、
音声データメモリに格納される第1のオーディオ・データに基づいて電子ブザー音を出力する第1のスピーカと、
前記プラント設備の異常が発生した際に発せられる前記パソコンからの命令を前記USBケーブルを介して受信すると前記第1のスピーカを制御して前記電子ブザー音を出力させる制御手段と、
前記パソコンが備える記憶手段に格納される第2のオーディオ・データを、前記パソコンから前記USBケーブルを介して受信し、この受信した第2のオーディオ・データを音声信号にデジタルアナログ変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記音声信号を出力する第2のスピーカと、
前記第1のスピーカが電子ブザー音を鳴らしている状態で前記第2のスピーカから前記音声信号を鳴らすときに、前記第2のスピーカを駆動させる増幅回路を制御して前記第2のスピーカの音量を制限する音量制御手段と、を備えたことを特徴とするキーボード。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1のスピーカから鳴る音の大きさを音色、または、前記第1のスピーカと前記第2のスピーカからの音声が同時に再生される同時再生数に基づいて把握し、前記第2のスピーカから鳴る音の大きさを前記パソコンから前記USBケーブルに入力される駆動信号の大きさに基づいて把握し、把握した前記第1のスピーカから鳴る音の大きさと前記第2のスピーカから鳴る音の大きさとを比較して、前記第2のスピーカの音量を制御することを特徴とする請求項1に記載のキーボード。
【請求項3】
前記制御手段は、キーボード全体の負荷状況を監視し、電源負荷が予め定められた負荷状態である最大状態になった場合に、前記第2のスピーカの音量を制限して負荷を軽減することを特徴とする請求項1または2に記載のキーボード。
【請求項4】
前記第2のスピーカが鳴らす音よりも前記第1のスピーカが鳴らす音の重要性が高く設定されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキーボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボードに関し、詳しくは、音声出力機能に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン(以下PCという)などに接続されるキーボードとして、従来から、音声出力機能が組み込まれたものも用いられている。
【0003】
図3は、音声出力機能が組み込まれたキーボードとスピーカとモニタがPCに接続された従来の構成例を示すブロック図である。
図3において、PC10にはたとえばボイスメッセージなどのオーディオ・データを格納するハードディスク11が設けられていて、キーボード20がUSBケーブルC1を介して接続され、スピーカ30がオーディオケーブルC2を介して接続され、モニタ40がモニタケーブルC3を介して接続されている。
【0004】
キーボード20には、キーボード全体を統括制御するMPU21、キー操作部22、音声合成LSI23、音声データメモリ24、増幅回路25、内蔵スピーカ26などが設けられている。
【0005】
PC10がたとえば図示しないプラント設備などを監視操作する機能を有するものとすると、オペレータは、スピーカ30の音響出力やモニタ40に表示されるプラント設備などの監視画面や操作画面を監視しながら、必要に応じてキーボード20のキー操作部22を操作し、PC10を介してプラント設備などを操作制御する。
【0006】
また、PC10は、プラント設備などに何らかの異常が発生した際に、オペレータにその異常を知らせるために、キーボード20に設けられている内蔵スピーカ26を駆動してたとえば電子ブザー音を出力する。
【0007】
電子ブザー音を鳴らすのにあたっては、PC10からキーボード20に設けられているMPU21に、電子ブザー音を鳴らすための命令が送信される。この命令を受け取ったMPU21は、電子ブザー音を鳴らすために、さらに音声合成LSI23に電子ブザー音を鳴らすための命令を送信する。
【0008】
命令を受け取った音声合成LSI23は、音声データメモリ24からオーディオ・データを読み取ってその内部でD/A変換を行い、オーディオ・データをオーディオ信号に変換して増幅回路25に出力する。増幅回路25はオーディオ信号を増幅して内蔵スピーカ26を駆動し、電子ブザー音を出力する。
【0009】
さらに、PC10に設けられているハードディスク11に格納されているボイスメッセージなどのオーディオ・データを再生出力するのにあたっては、外付けのスピーカ30を接続する。なお、このスピーカ30から再生出力されるオーディオ信号の重要度は、キーボード20の内蔵スピーカ26から出力される電子ブザー音よりも低く設定されているものとする。
【0010】
特許文献1には、ワイヤレスキーボードから操作信号を送信するのにあたり、エラーが発生した時に警報を発するためのスピーカを設け、エラー発生を聴覚により確実に確認できるようにする構成が記載されている。
特許文献2には、キーボード装置にサウンド回路およびスピーカなどの音発生手段を設けるとともに、さらにスピーカからの出力の中断再開を指示する手段を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−95900号公報
【特許文献2】特開2000−112628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、
図3の構成によれば、キーボード20から電子ブザー音以外の音を鳴らすことができないため、電子ブザー音以外の音を鳴らしたい場合には新たに外付けのスピーカ30を用意しなければならず、また、外付けのスピーカ30を設置するためのスペースも確保しなければならないという課題がある。
【0013】
本発明は、これらの課題を解決するものであり、その目的は、1台のキーボードから複数の音を鳴らすことができるキーボードを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
音声出力機能が組み込まれ
、プラント設備の操作監視機能を有するパソコンにUSB
ケーブルを介して接続されるキーボードにおいて、
音声データメモリに格納される第1のオーディオ・データに基づいて電子ブザー音を出力する第1のスピーカと、
前記プラント設備の異常が発生した際に発せられる前記パソコンからの命令を前記USBケーブルを介して受信すると前記第1のスピーカを制御して前記電子ブザー音を出力させる制御手段と、
前記パソコンが備える記憶手段に格納される第2のオーディオ・データを、前記パソコンから前記USBケーブルを介して受信し、この受信した第2のオーディオ・データを音声信号にデジタルアナログ変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された前記音声信号を出力する第2のスピーカと、
前記第1のスピーカが電子ブザー音を鳴らしている状態で前記第2のスピーカから前記音声信号を鳴らすときに、前記第2のスピーカを駆動させる増幅回路を制御して前記第2のスピーカの音量を制限する音量制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載のキーボードにおいて、
前記制御手段は、前記第1のスピーカから鳴る音の大きさを音色、または、前記第1のスピーカと前記第2のスピーカからの音声が同時に再生される同時再生数に基づいて把握し、前記第2のスピーカから鳴る音の大きさを前記パソコンから前記USBケーブルに入力される駆動信号の大きさに基づいて把握し、把握した前記第1のスピーカから鳴る音の大きさと前記第2のスピーカから鳴る音の大きさとを比較して、前記第2のスピーカの音量を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載のキーボードにおいて、
前記制御手段は、キーボード全体の負荷状況を監視し、電源負荷が予め定められた負荷状態である最大状態になった場合に、前記第2のスピーカの音量を制限して負荷を軽減することを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキーボードにおいて、
前記第2のスピーカが鳴らす音よりも前記第1のスピーカが鳴らす音の重要性が高く設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
これらにより、1台のキーボードから複数の音を鳴らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【
図3】音声出力機能が組み込まれたキーボードとスピーカとモニタがPCに接続された従来の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、
図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図3の違いは、PC10に設けられているハードディスク11に格納されているボイスメッセージなどのオーディオ・データを再生出力する系統である。
【0021】
図1の構成では、PC10に設けられているハードディスク11に格納されているボイスメッセージなどのオーディオ・データを再生出力するのにあたり、
図3の外付けのスピーカ30に代えて、キーボード20の内部に、USB DAC27と、増幅回路28と内蔵スピーカ29を設けている。
【0022】
すなわち、PC10に設けられているハードディスク11に格納されているボイスメッセージなどのオーディオ・データを再生出力するのにあたっては、PC10に予めインストールされているオーディオ再生ソフトを使って、ハードディスク11に格納されている音声データを再生する。
【0023】
この時、オーディオ・データの出力先をキーボード20の内部に設けられているUSB DAC27にするために、PC10にインストールされているOSソフト(たとえばMS−Windows(登録商標))のサウンド設定でUSB DAC27を選択する。
【0024】
ここで、USB DAC27は、USBケーブルC4を介してPC10のハードディスク11から伝送されるオーディオ・データをD/A変換してオーディオ信号として出力する機能を持っている。USB DAC27から出力されるオーディオ信号は増幅回路28に入力されて増幅され、その増幅出力は内蔵スピーカ29に駆動信号として入力される。
【0025】
これにより、内蔵スピーカ29は、PC10のハードディスク11から伝送されるオーディオ・データを音声信号として出力する。
【0026】
なお、内蔵スピーカ29から音声信号として出力されるオーディオ信号の重要度は、他方の内蔵スピーカ26から出力される電子ブザー音よりも低いものとする。
【0027】
ところで、キーボード20の電源として、2本のUSBケーブルC1、C4を介してPC10のUSBポートから、最大5V/1Aが供給される。仮に電子ブザー音と電子ブザー音以外の音が同時に鳴り、かつ、音量調節が共に最大値に達した場合、キーボード20の負荷が増えたことでUSBポートからの電源供給だけでは電力容量が不足すると、キーボード20の全機能が停止することも考えられる。
【0028】
そこで、キーボード20の安定動作を維持するために、一方のスピーカ26から電子ブザー音が鳴っている時は、他方のスピーカ29の音量を強制的に制限する必要がある。具体的には、一方のスピーカ26が電子ブザー音を鳴らしている場合には、他方のスピーカ29を駆動する増幅回路28の増幅度をMPU21から自動制御することで実現する。なお、一方のスピーカ26から電子ブザー音が鳴らなくなったら、他方のスピーカ29の音量を強制的に制限する前の状態に戻すようにする。
【0029】
このような構成によれば、キーボード20に組み込まれている2個のスピーカ26、29の一方を電子ブザー音用に使用して他方を電子ブザー音以外の音用に使用できることから、電子ブザー音以外の音を鳴らすために新たに外付けスピーカを用意しなくてもよく、また、外付けスピーカを設置するためのスペースを確保する必要もない。
【0030】
そして、キーボード20全体を統括制御するMPU21は、キーボード20全体の負荷状況を監視して負荷調整する機能を備えていて、キーボード20の電源負荷が最大状態になった場合には直ちに負荷を軽減するように負荷調整を行うので、電力不足でキーボード20の機能が停止することはない。
【0031】
図2は本発明の他の実施例を示すブロック図であり、
図1と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1と
図2の違いは、PC10とキーボード20を接続するケーブルにある。すなわち、
図1の構成ではPC10とキーボード20を2本のUSBケーブルC1とC4で接続しているのに対し、
図2の構成ではPC10とキーボード20を1本のUSBケーブルC5で接続していることにある。
【0032】
図2において、キーボード20にはUSB HUBコントローラ50を設け、MPU21とUSB DAC27はUSB HUBコントローラ50に接続されている。そして、キーボード20は、このUSB HUBコントローラ50と1本のUSBケーブルC5を介してPC10に接続されている。
【0033】
また、一方のスピーカ26から電子ブザー音が鳴っている状態で他方のスピーカ29から鳴る音の音量を制御する方法として、一方のスピーカ26と他方のスピーカ29が鳴らす音の大きさを比較したうえで、他方のスピーカ29の音量を制御する方法がある。
【0034】
具体的には、MPU21は、一方のスピーカ26から鳴る音の大きさを、鳴らす音の音色や同時再生数などから把握し、他方のスピーカ29から鳴る音の大きさを、USB DAC27から増幅回路28に入力される駆動信号の大きさに基づき把握する。そして、MPU21は、これらスピーカ26、29の音の大きさ情報を比較して各スピーカ26、29が鳴らす音の負荷バランスを考慮しがら、他方のスピーカ29が鳴らす音の音量を制御する。
【0035】
なお、一方のスピーカ26から鳴らす音は、他方のスピーカ29から鳴らす音より重要性が高いため、一方のスピーカ26から鳴らす音の音量を制御には反映させない。また、他方のスピーカ29から鳴らす音の制御は、
図1で説明した方法と同様である。
【0036】
図2の構成によれば、PC10とキーボード20を1本のUSBケーブルC5のみで接続すればよいので、PC10のUSBポートもキーボード20を接続するためには1ポートだけ確保すればよく、PC10のUSBポートの自由度を改善できる。
【0037】
MPU21は、両方のスピーカ26、29の負荷バランスを考慮しながらスピーカ29の音量制御を行うので、スピーカ29の音量が極端に小さくなることはない。
【0038】
図3に示した従来構成のキーボードを
図2の実施例のキーボードと交換する場合、PC10のUSBポートは従来と同様に1個しか使用しないため、PC10とキーボード20との接続は従来の接続をそのまま継承できる。その際、MPU21のドライバソフトは旧製品との互換性があるため、そのまま使うことができる。
【0039】
また、USB DAC27のドライバソフトについてもWindows(登録商標) OSの標準ドライバを使用できることから、ソフト的にも新たに用意する必要はなく、キーボード20の保守交換が容易に行える。
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、1台のキーボードから複数の音を鳴らすことができ、プラント設備などを監視操作する制御システムで用いるキーボードとして好適である。
【符号の説明】
【0041】
10 PC
11 ハードディスク
20 キーボード
21 MPU
22 キー操作部
23 音声合成LSI
24 音声データメモリ
25、28増幅回路
26、29 スピーカ
27 USB DAC
40 モニタ
50 USB HUBコントローラ
C1、C4、C5 USBケーブル
C3 モニタケーブル