(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048661
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】水分子の加水分解を経てヒドロキシルイオンを生成することにより水を浄化するためのプロセスおよび装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
C02F1/46 101C
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-546469(P2012-546469)
(86)(22)【出願日】2010年12月29日
(65)【公表番号】特表2013-532044(P2013-532044A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】ES2010000531
(87)【国際公開番号】WO2011080366
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】12/649,612
(32)【優先日】2009年12月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512172361
【氏名又は名称】カペッティーニ,セルジョ ガブリエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】カペッティーニ,セルジョ ガブリエル
【審査官】
井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−521133(JP,A)
【文献】
特開2006−231177(JP,A)
【文献】
特開2009−022838(JP,A)
【文献】
特開2004−313977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00〜 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の汚染物質を酸化するために水分子の加水分解により水酸化物イオンを生成するための装置であって、
水が水チャンバーを流れることを可能にする流入水導管および流出水導管を備えた水チャンバーと、
電力を受け取り、水チャンバー中の水に電流を流すための水チャンバー中に位置する電極と、
A/C電圧をD/C電圧に変換し、A/C電流をD/C電流に変換するように構成された制御ユニットであって、前記制御ユニットは、電圧調整装置、及び電圧変換器を含み、前記電圧変換器と前記電極の間には、電流計が設けられ、前記電流計は、前記電極を流れる電流を検出し、前記電圧調整装置に検出した電流を供給し、さらに、被処理水において水酸化物イオンを生成する方法で、前記電圧調整装置は、前記検出した電流が、前記制御ユニットにおいて許容される最大電流を超えない場合、その電気導電率にかかわらず所望の電流の大きさを水中で確立するために電極にかける電圧を自動調整し、前記電極にかける電圧を自動調整した後、前記検出した電流の変化量が所定の変化量を超えない場合、前記電極にかける電圧を一定に保ち、前記検出した電流の変化量が所定の変化量を超える場合、再度、前記電極にかける電圧を自動調整するよう構成された、制御ユニットとを含む、装置。
【請求項2】
前記汚染物質が有機物質を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記A/Cグリッド電力が50〜60Hzで110ボルト〜220ボルトの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニットが1〜12ボルトDCの電圧を電極にかけるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記水チャンバーが、個々のチャンバー中にそれぞれ電極を備えた複数の個々のチャンバーで構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電極が、貴金属でコーティングされたチタン電極から構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
水が前記水チャンバーを流れるのを検出し、流水に電圧をかけ始めるために、前記制御ユニットを作動させる出力を生じる、水流検出器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
水容器から水を汲み出し、濾過して、前記浄水装置へと供給する水濾過システムと組み合わせた、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
水が水チャンバーを流れることを可能にする流入水導管および流出水導管を備えた前記水チャンバーを設けるステップと、
電力を受け取り、水と水チャンバーに電流を流すための電極を水チャンバー中に配置するステップと、
A/C電圧をD/C電圧に変換し、A/C電流をD/C電流に変換するステップと、
前記電極を流れる電流を検出するステップと、
被処理水において水酸化物イオンを生成する方法で、前記電極を流れる電流が、前記制御ユニットにおいて許容される最大電流を超えない場合、水中でその電気導電率にかかわらず所望の電流の大きさを確立するために、該電極にかける電圧を自動調整するステップ、及び
検出された前記電流の変化量が、所定の変化量を超えない場合、前記電極にかける電圧を一定に保ち、検出された前記電流の変化量が所定の変化量を超える場合、再度、前記電極にかける電圧を自動調整するステップ
を含む、浄水方法。
【請求項10】
前記電極に1〜12ボルトDCの電圧をかけることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の個々のチャンバーの形態の前記水チャンバーを設け、該個々のチャンバーにはそれぞれ電極が設けられていることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記水チャンバー中の水流を感知し、前記電極にかけられる電圧を誘導する出力を生じさせることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
水流を水濾過システムに供給し、濾過された水を前記浄化装置に汲み上げることを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染水中に存在する汚染物質(ウイルス、細菌、藻類、有機物質など)の加水分解に基づく酸化を特に利用する、浄水プロセス、すなわち水の消毒プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、浄水プロセスにおいて、塩素、臭素、過酸化水素などを用いる従来の浄化処理に対する抵抗が高まっているために、酸化による上記汚染物質の分解が次第に受け入れられつつある。他の細菌の中でも「レジオネラ」の場合もそうである。双方とも、汚染のレベルおよびそれらのレベルを制御するための対応手順は、欧州共同体規則ならびにスペイン内の各自治体の法律の下にある。世界的な流れとしては、現在の浄化化学システムおよび/または製品の代替を見出す方向にあり、従って、目指すところは、できるだけ環境に優しいプロセスである。このことは、環境を損なうおそれのある化学製品を制限または代替することを意味する。
【0003】
水の導電率はかなり異なるために、多種多様な水についてそれら独自の適切な開発および実施を行うためには、従来の技術では限界があることが示されている。試験についての情報が利用可能であり、加水分解するための新しい代替法を見出す努力がなされているにもかかわらず、本発明者は、本発明により特定され解決された技術的限界を解決するための、本発明に準ずる、開示された技術またはそれに相当するプロセスを目にしたことがない。
【0004】
本発明の浄水プロセスは、被処理水の固有の水導電率に関係なく、汚染水中に存在する汚染物質および/または有機物質を「酸化」するための水分子の加水分解による、強力な酸化種、ヒドロキシルイオンの生成を利用する。
【0005】
知られているように、水中の汚染物質の化学的「酸化」は、現在実施されている化学製品(塩素、臭素など)を利用する従来の化学プロセス、または電子プロセス、例えば、塩電解もしくはオゾン発生システムなどに関連している。
【0006】
電子酸化システムの不利な点および問題の1つは、汚染物質を酸化するための水分子の加水分解によるヒドロキシルイオンの生成は水の導電率に正比例し、このような導電率はヒドロキシルイオンの有効性および量の両方を決定づけるという事実に起因する。これがこのプロセスの有効性を限られたものとしている。
【0007】
水の導電率は、その起源に負うところが大きい。測定では、全溶解固形分を含む河川水の導電率(50〜80ppm)から脱塩水の導電率(8,000ppm)まで、かなり異なる数字が示される。従って、持続的な電圧が水中の電極にかけられる水分子の加水分解では(任意の電気分解基礎技術による)、汚染水の導電率に正比例する電流量が電極に発生する。このことは、導電率の低い水の加水分解プロセスは、発生する電流量が水の汚染物質(ウイルス、細菌、藻類など)の適切な酸化に必要なレベルのヒドロキシルイオンを得るには十分ではないために、あまり効果的ではないことを意味する。同様に、導電率の高い水の加水分解は、ヒドロキシルイオン生成源の問題がある。この特定の場合において、問題は持続的な電圧を電極へ供給する電子制御ユニットにあり、その理由は、水の高い導電率は過剰電流の引き込みにより制御ユニットの電子システムを損なうおそれがあるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
言及した水分子の加水分解の技術的限界を低減するために、本発明は、水の導電率を常に測定して必要とされる電圧を正確に生じさせることによりちょうど適切な量の電流を得る電子制御ユニットにより電極の電圧が自動制御される、新規のプロセスを提供する。この目的を達成するために、本発明は、生成されたヒドロキシルイオンの正しい量を測定する、プログラムされた制御ユニットを含む。このようにして、水の導電率が水中に存在する汚染物質を酸化するためのヒドロキシルイオンの生成に悪影響を及ぼすことはなく、それにより、導電率に関係なく酸化が最大となることから、生成したヒドロキシルイオンの量に関連する有効性が保証される。従来技術に比べて、本発明は、この技術的利点を有する浄水プロセスに利益をもたらし、従って、電子システムを用いる水分子の加水分解の現在の制限を最小とする。
【0009】
水分子の加水分解は、水分子が電力により種々のフラグメントに切断される化学的プロセスである。主要な加水分解反応は次の通りである。
【0010】
2H
2O⇔OH
−+H
3O
+
【0011】
水分子の分解は1.8Vの標準酸化還元電位(E
0)を必要とする。効率的な水の消毒を達成するためには、溶解固形物および導電性分子(正規の水試験ではそれぞれTDSおよび導電率パラメーターに相当する)の両方がある一定のレベルに達する必要があるため、純水の場合、分解は弱い。
【0012】
このように、本発明は、化学製品の使用を回避し、浄水のための最も強力な酸化種を生成する。水分子の加水分解により生成されたヒドロキシルイオンの特定の例において、酸化還元電位は2.05Vであり、この効果を超えるものはフッ素だけであるが、フッ素は毒性が強いために化学消毒剤として使用することはできない。
【0013】
本発明の、前述および他の目的、特徴、態様および利点は、以下の本発明の詳細な説明と添付図面とを合わせるとより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、水分子の加水分解の主反応を示し、この際、水分子は、一対の電極(6)を介する電力の注入により異なる基に切断される。
【
図2】
図2は、水分子が極めて安定な化学物質であり、切断もイオン化も容易にはされないことを示す。H
2O分子は、2個の水素原子と1個の酸素原子から構成される。
【
図3】
図3は、標準気圧および標準温度で、元素水素が分子式H
2の気体であることを示す。両方の水素原子は2個の電子を共有している。
【
図4】
図4は、標準気圧および標準温度で、元素酸素が分子式O
2の気体であり、8個の陽子と8個の中性子と8個の電子を有することを示す。各酸素原子はもう1つの原子と4個の電子を共有している。
【
図5】
図5は、2個の水素原子と1個の酸素原子から構成されるH
2Oにおいて、水素の核はそれぞれ、それらの間で共有している一対の電子により中央の酸素原子に結合していることを示す。
【
図6】
図6は、1個の水素イオンが遊離して移動した場合、第二の水素原子は酸素原子と10個の電子を共有して結合することを示す。この結果、電子数が陽子数を上回るために、さらに陰イオンとなる。従って、負電荷を持った水酸化物イオンが生成される。
【
図9】
図9は、電極チャンバーの側面図であり、その電気的接続を示す。
【
図10】
図10は、本発明の浄化システムへと水を引き込み供給する濾過システムを備えた水源を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
酸化還元(REDOX)電位の最も重要な測定を表1に詳細に示す。
表1:本発明のシステムにより生成される酸化種
【0017】
本明細書で用いられる様々な用語およびその説明を以下に示す。
【0018】
水の構造:水分子は極めて安定な化学物質である。切断もイオン化も容易にはされない。H
2O分子は、2個の水素原子と1個の酸素原子から構成される(
図2参照)。
【0019】
水素:標準気圧および標準温度で、元素水素は分子式H
2の気体である。両方の水素原子は2個の電子を共有している(
図3参照)。
【0020】
酸素:標準気圧および標準温度で、元素酸素は分子式O
2の気体であり、8個の陽子と8個の中性子と8個の電子を有する。各酸素原子はもう1つの原子と4個の電子を共有している(
図4参照)。
【0021】
水分子:2個の水素原子および1個の酸素原子から構成されるH
2Oにおいて、水素の核はそれぞれ、それらの間で共有されている一対の電子により中央の酸素原子に結合している(
図5参照、水分子における正および負電荷の平衡状態を示す)。
【0022】
イオン化:水に電気を流すと、電気分解およびイオン化が起こる。水素イオンのうちの1つが、それを水分子に閉じ込めている電位バリアから脱出し、このようにしてただ1の陽子を有し電子は持たない水素原子を生成する。負の電子が電位バリアを超えた場合、水素は正電荷を帯びたイオンになる。
【0023】
水のイオン化:1個の水素イオンが遊離して移動した場合、第二の水素原子は酸素原子と10個の電子を共有して結合する。この結果、電子数が陽子数を上回るために、さらに陰イオンとなる。従って、負電荷を持った水酸化物イオンが生成される(
図6参照)。
【0024】
イオン:電荷を獲得した原子はイオンと呼ばれる。イオン化された原子は、負電荷または正電荷のいずれかを有する。イオン化された原子は、1以上の負電荷または正電荷を持ち得る。これは、原子が1以上の電子を放出または捕捉する際に起こり、このようにして、陽子と中性子の間の電気的平衡が変化する。
【0025】
陰イオン:陰イオンは、陽子よりも電子が多いため負の電荷を帯びたイオンである。
【0026】
陽イオン:陽イオンは、電子よりも陽子が多いため正の電荷を帯びたイオンである。
【0027】
導電率:水に溶解しているイオンの量を知る目的で、水の特性を示すために「導電率」パラメーターが用いられる。
【0028】
例えば、ナトリウムイオンは正電荷を有し、塩素イオンは負電荷を有する。それらの組合せの結果が、中性電荷(すなわち、電荷を帯びていない)の食卓塩である。塩を蒸留水に溶解させると、ナトリウムは正電荷を持つイオンとなり、塩素は負電荷を持つイオンとなり、水は導電性となる。塩素原子の記号はClであり、塩素イオンの記号はCl
−である。
【0029】
本明細書に記載の本発明は、以下に示す装置の部品を含む。
【0030】
電子制御ユニット:
図7は、標準電力(220Vまたは110V、50または60Hz)を、持続的低−電圧−および−電流量電力に変換し、次にそれが電極(6)チャンバーに位置する電極にかけられる内蔵式電子シートを備えた密閉燃焼ボックス(7)を示す。それは、プログラミングキーボード(1)を備え、操作時間およびモードを調整する。重要なことであるが、該制御ユニットでは、電極(6)に送られる電圧は、水の導電率に基づきそれに応じて常に調整され、水導電率にかかわらず、汚染物質の酸化に必要なヒドロキシルイオンを生成するために望ましい電流量が得られるようになっている。
【0031】
電極チャンバー:取水口から流れ込み、排水口から出ていくタイプの汚染水を取り扱うという所望の目的を達成するために、
図8および9に示されるように1以上のチャンバーを作製する。それらは少なくとも0.5mm(水の導電率によって決まる)離れて平行に取り付けられた一対のチタン電極を備えている。各電極は制御ユニットからのケーブルが接続される電気的接続を有し、それを通じて水分子の加水分解を引き起こすために適当な持続的電力が送られる。電力は、その消毒プロセス(
図9参照)の電気的接続(7)のためにチタン電極に送られ、これらのチタン電極は貴金属でコーティングされ、汚染水を原料として利用することで水分子の加水分解のための陰極−陽極対として働く。水分子は多数のヒドロキシルイオン(OH
−)、単原子酸素(O
1)などに切断され、このようにして、化学製品の使用を回避し、浄水のための現存する最も強力な酸化種の組合せが作り出される。水分子の加水分解により生成されたヒドロキシルイオンの特定の場合では、酸化還元電位は2.05であり、電位ではこれを超えるものはフッ素のみである。従って、本発明の方法は、電子制御ユニットおよび水の種類によって1または複数のチタン電極チャンバーを必要とするのみで、このように電極チャンバーを流れる水の中に存在する汚染物質を酸化するためのヒドロキシルイオンの生成が可能であるため、その単純さゆえに実施が容易である(
図7、8および9参照)。
【0032】
図8において、電極(6)のチャンバー(8)は、電極を観察できる状態にするために、透明であってよい。図は、チャンバー(8)の正面図である。電極チャンバーの側面図(
図9)は、その構成要素を示している:チャンバー(8)、一対の電極(6)、制御ユニット(2)からのケーブル接続部(7)、取水口(9)、および排水口(10)。
【0033】
図10については、浄水システム100は水容器102を含み、それは家庭用プール、家庭用飲料水タンクなどであってよく、濾過および浄化を必要とする水104が入っている。水導管106は水をフィルター108に供給し、該フィルターは濾過された水を導管110を介して本発明の浄化システム112に供給する。該フィルター108は、
図10に示される閉系からの水の抜き取りや注入を可能にするための様々なポンプおよび他の水管理装置を含んでよいことは黙示されている。該浄化システムは浄水のために加水分解の原理を利用し、次にそれを導管114を介して水タンク102に戻す。
【0034】
図11には、浄化システム112が1以上の浄化チャンバー112a、112b、112cなどを含むことが示されているが、それらは全て、制御装置120の操作により、それを通って流れる水を浄化するためのヒドロキシルを作り出すための電流を供給する。流入および流出多岐管116、118はそれぞれ、1以上の個々のチャンバーに水を供給する。
【0035】
図12に示す制御装置120は、AC電源122に接続されており、該電源は電圧変換器および制御装置にグリッド電圧を供給することができ、該制御装置はおよそ2Vの範囲の非常に低い電圧を生じさせること、水チャンバー112にちょうど良い量の電流を生じさせるためのその振幅を極めて注意深く制御することを目的とするものである。前述のように、弱い電圧(例えば1Vで開始することができる)としての出力を水チャンバーにかける。電流計128は、電圧調整装置126へのその電流検出出力供給を通して最大電流レベルが超過していないか電流を感知して検出する。該電圧調整装置126はまた、ユーザーインターフェース130にも応答する。該電圧は水チャンバー112中の水を通してちょうど良い電流量が得られるように徐々に上げる。これは前述したように閉ループ系で進行中のプロセスである。
【0036】
図12のシステムに内在するのは、特定の水104の導電率の測定の必要性であり、それは所与のアプリケーションによって処理することができる。調整装置の操作を可能にし、始動させるためにチャンバー中に水流検出器を設けてもよい。
【0037】
水の導電率の測定は制御装置120により間接的に行われるプロセスである。例となるプロセスにおいて、該電子制御ユニットは、初期電圧、例えば1V DCを、水と接触させる電極に出力する。初期電流は、電極間の流れが水を通して検知され、この電流の強さが電圧調整装置126へと戻される。電極の電流がシステムにおいて許容される最大電流を超えない場合は、電圧調整装置に初期設定されている、所定の、所望の「設定値」電流に達するまで電圧を徐々に上げる。その時点で、電圧出力は、プロセスが水を浄化するために絶えず機能するレベルに維持されている。これは持続的プロセスで作動する閉ループ系であり、水が水チャンバーへと流れ込む限り停止することはない。
【0038】
従って、水の導電率が極めて低い場合、すなわち、電気抵抗が極めて高い場合には、制御ボックスは電極にかける電圧を上げて所望の電流に到達させる。逆に、水の導電率が高すぎる場合、すなわち、水の電流に対する抵抗が低い場合には、電子的制御は電圧を下げて「設定値」電流かやや下回るところで電流を維持するように調整を行う。設定値電流とは、該システムがひとたび動作モードになると維持することが意図される値であり、それはまた、設置者によってまたは工場で設定可能な、モデルまたは特定のアプリケーションによって決まるパラメーターでもある。例えば、アプリケーションによっては、水消毒プロセスにおける処理能力を増大させるためにより大きな電流が望ましい場合もある。
【0039】
制御装置12の閉ループ制御システムは、所望のアプリケーションによって、1秒に1回、またはそれより速いかもしくは遅い速度で、電圧調整に関して周期的な速度で動作することができる。それは、電流が測定間で所定量を超える変化がない場合に、出力電圧の調節を防ぐ目的で、ヒステリシスロックを含んでもよい。
【0040】
浄水の処理能力をより高く、またはより低くするためには、水面との接触を増大させるように電極を大きくするか、または必要に応じて所望の流速能力を得るためにサイズの違うチャンバーを製造することを含め複数のチャンバーを設けるかのいずれかを含む。本発明のシステムは、外部フィルター有りまたは無しで作動させることができる。あるいは、浄化システムへの注入時に内部フィルター(静的フィルターまたは異なる種類のフィルターであってよい)を備えていてもよい。
【0041】
好ましくは、電極は貴金属でコーティングされたチタン電極である。
【0042】
本発明をその特定の実施形態に関して記載してきたが、多くの他の変形および変更ならびに他の用途も当業者には明らかである。従って、好ましくは、本発明は本明細書の具体的な開示に限定されない。