特許第6048680号(P6048680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048680
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】発電システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04225 20160101AFI20161212BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/06 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01M8/04 X
   H01M8/04 J
   H01M8/06 B
   H01M8/10
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-507193(P2013-507193)
(86)(22)【出願日】2012年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2012002171
(87)【国際公開番号】WO2012132445
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年9月27日
【審判番号】不服2015-16287(P2015-16287/J1)
【審判請求日】2015年9月3日
(31)【優先権主張番号】特願2011-71645(P2011-71645)
(32)【優先日】2011年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】龍井 洋
(72)【発明者】
【氏名】森田 純司
(72)【発明者】
【氏名】行正 章典
(72)【発明者】
【氏名】若松 英俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 篤敬
【合議体】
【審判長】 久保 竜一
【審判官】 藤井 昇
【審判官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−192889(JP,A)
【文献】 特開2006−253020(JP,A)
【文献】 特開2008−293996(JP,A)
【文献】 特開2004−164868(JP,A)
【文献】 特開2008−108449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02- 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気流路と、
燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池、該燃料電池を収納する筐体、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給器、前記給気流路を介して外気を前記筐体へ供給する空気供給器、及び、前記筐体への給気の温度を検知する給気温検知器、を有する燃料電池システムと、
燃料を燃焼して水を加熱する前記筐体の外部に配設された燃焼装置と、
前記燃料電池システムに接続された上流端から延設され、前記燃料電池システムからの排ガスを排出する第1流路と、前記燃焼装置に接続された上流端から延設され、前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する第2流路と、両流路が合流する合流部と、該合流部から大気開放された下流端へ延設され、前記燃料電池システムからの排ガス及び前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する共通流路と、を有する排ガス流路と、
制御装置と、
を備える発電システムであって、
前記燃焼装置は、前記燃料電池システムを動作させることなく動作させることが可能であり、
前記給気流路と前記排ガス流路とは、互いの流路を流れる媒体間で熱交換が可能なように、前記給気流路が前記排ガス流路の少なくとも一部に接するようにして配設されており、
前記制御装置は、発電指令の入力があった場合には、前記筐体への給気の温度を前記給気温検知器により検知し、前記検知した温度が所定の第1温度以下の場合は、前記燃焼装置を動作させる、発電システム。
【請求項2】
前記給気温検知器は、前記給気流路に配置されており、
前記制御装置は、発電指令の入力があった場合には、前記空気供給器を動作させた後に前記給気温検知器により温度を検知する、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記給気温検知器が検知した温度が所定の第2温度以下の場合には、前記空気供給器を停止させ、前記燃焼装置を動作させ
前記第2温度は、前記第1温度以下であるように設定されている、請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第2温度以下の温度を検知することにより前記空気供給器を停止させた場合は、所定の第1時間だけ前記燃焼装置を動作させた後に、前記空気供給器を動作させ、前記燃料電池システムを起動させる、請求項3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第2温度以下の温度を検知することにより前記空気供給器を停止させた場合は、前記給気温検知器が所定の第3温度以上の温度を検知するまで前記燃焼装置を動作させた後に、前記空気供給器を動作させ、前記燃料電池システムを起動させる、請求項3に記載の発電システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合は、所定の第2時間だけ前記燃焼装置を動作させた後に、該燃焼装置を停止させる、請求項1乃至の何れかに記載の発電システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合は、前記給気温検知器が所定の第4温度以上の温度を検知するまで前記燃焼装置を動作させた後に、該燃焼装置を停止させる、請求項1乃至の何れかに記載の発電システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合には、該燃料電池システムの起動より先に前記燃焼装置を動作させる、請求項1乃至の何れかに記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムと燃焼装置とを備える発電システム、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムは、発電電力により需要家の電力負荷を賄うと共に、発電に伴う排熱を回収して蓄熱することで需要家の給湯負荷を賄うシステムである。このようなコージェネレーションシステムとして、燃料電池システムと給湯器とが同一の原料で動作するシステムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1のシステムは、燃料電池と、燃料電池の動作に伴って発生する熱を回収する熱交換器と、熱交換器を循環して加熱された水を貯蔵する貯湯槽と、貯湯槽から流出する水を所定の温度まで加温する機能を有する給湯器とを備えている。また、燃料電池と給湯器とが同一の原料で動作するように構成されている。
【0003】
また、建物内部に配置する燃料電池システムの排気性能を向上させることを目的とした構成が知られている(特許文献2参照)。特許文献2には、吸気口を備えた建物の内部に設置して使用される燃料電池システムが開示されている。該システムは、建物内部の空気を燃料電池システムの内部へ導く空気導入口と、燃料電池システムの内部の空気を建物の外部へ排出する空気排出管と、換気手段とを備えている。建物外部の空気は、換気手段によって吸気口を介して建物の内部に導かれ、更に、空気導入口を通して燃料電池システムの内部に導入され、そして、空気排出管を通して建物の外部へと排出される。
【0004】
また、建物内部に配置した燃料電池システムで生じた排ガスの排気性能を向上することを目的として、上下方向に延びるダクトを具備する燃料電池システムが知られている(特許文献3参照)。特許文献3の燃料電池システムが備えるダクトは、建物内部を上下方向に延び、上端部が外部に位置している。また、該ダクトは内側流路及び外側流路を有する二重管構造になっており、排ガス又は空気が、ダクトの内側流路又は外側流路を互いに独立して通流するように、換気管及び排気管がダクトの内側流路又は外側流路に連結されている。
【0005】
更に、燃料電池内での生成水の凍結を防止する燃料電池システムが知られている(特許文献4参照)。特許文献4の燃料電池システムは、燃料電池からの排気と燃料電池への給気(外気)とを熱交換させて、給気を加温して凍結を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−248009号公報
【特許文献2】特開2006−73446号公報
【特許文献3】特開2008−210631号公報
【特許文献4】特開2009−238390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4の燃料電池システムの場合、例えば、外気温が氷点下のときに燃料電池システムが停止状態から起動すると、燃料電池からの排気温度が十分に上昇していないため、給気が加熱されず、燃料電池内での生成水が凍結してしまう可能性がある。また、燃料電池システムでは、その運転時に、燃料電池等を収納する筐体内を換気するために、外気を筐体内に供給してから排気する構成が一般的に採用されている。しかし、特許文献4の燃料電池システムでは、換気の加熱については記載がない。従って、燃料電池システムの起動時に、氷点下の外気が換気として筐体内に供給されると、燃料電池の冷却水や、起動前の停止中に燃料ガスやオフガスの配管内に溜まった凝縮水などが凍結する可能性がある。このように、従来の燃料電池システムでは、特に外気温が低い状態で燃料電池システムを起動する際の凍結対策が不十分である。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、外気温が低い場合にも、特に燃料電池システムの起動時においてシステム内の水が給気によって凍結するのを防止することができる発電システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発電システムは、給気流路と、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池、該燃料電池を収納する筐体、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給器、前記給気流路を介して外気を前記筐体へ供給する空気供給器、及び、前記筐体への給気の温度を検知する給気温検知器、を有する燃料電池システムと、燃料を燃焼して水を加熱する前記筐体の外部に配設された燃焼装置と、前記燃料電池システムに接続された上流端から延設され、前記燃料電池システムからの排ガスを排出する第1流路と、前記燃焼装置に接続された上流端から延設され、前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する第2流路と、両流路が合流する合流部と、該合流部から大気開放された下流端へ延設され、前記燃料電池システムからの排ガス及び前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する共通流路と、を有する排ガス流路と、制御装置と、を備える発電システムであって、前記燃焼装置は、前記燃料電池システムを動作させることなく動作させることが可能であり、前記給気流路と前記排ガス流路とは、互いの流路を流れる媒体間で熱交換が可能なように、前記給気流路が前記排ガス流路の少なくとも一部に接するようにして配設されており、前記制御装置は、発電指令の入力があった場合には、前記筐体への給気の温度を前記給気温検知器により検知し、前記検知した温度が所定の第1温度以下の場合は、前記燃焼装置を動作させる。
【0010】
本発明に係る発電システムの運転方法は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池該燃料電池を収納する筐体、及び、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給器、を有する燃料電池システムと、前記筐体の外部に配設された燃焼装置と、外気を前記筐体へ供給する給気流路と、前記燃料電池システムに接続された上流端から延設され、前記燃料電池システムからの排ガスを排出する第1流路と、前記燃焼装置に接続された上流端から延設され、前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する第2流路と、両流路が合流する合流部と、該合流部から大気開放された下流端へ延設され、前記燃料電池システムからの排ガス及び前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する共通流路とを有する排ガス流路と、を備え、前記燃焼装置は、前記燃料電池システムを動作させることなく動作させることが可能であり、前記給気流路及び前記排ガス流路が、互いの流路を流れる媒体間で熱交換可能に、前記給気流路が前記排ガス流路の少なくとも一部に接するようにして配設されている、発電システムの運転方法であって、前記給気流路を介して前記燃料電池システムへ供給される給気の温度を検知するステップと、給気の温度が所定の第1温度以下か否かを判定するステップと、前記燃料電池システムを起動させる場合において、給気の温度が前記第1温度以下であれば、前記燃焼装置を動作させるステップと、を備える。
【0011】
このような発電システム及びその運転方法によれば、給気温度が第1温度以下の低温である場合には、燃焼装置を動作させる。燃焼装置が動作すると、燃焼装置から高温の燃焼排ガスが排ガス流路を通流する。燃料電池システムの筐体内へ導入される給気は、給気流路を通流する際に、排ガス流路を通流する燃焼排ガスとの間で熱交換して昇温する。従って、燃料電池システムの配管内の凝縮水等が、低温の給気によって凍結するのを防止することができる。また、燃焼排ガスと給気との熱交換を、効率的に行うことができる。また、このような給気流路及び排ガス流路としては、典型的には、内側流路及び外側流路を有する二重管構造を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発電システム及びその運転方法によれば、外気温が低い場合にも、特に燃料電池システムの起動時においてシステム内の水が給気によって凍結するのを防止することができる。また、燃焼排ガスと給気との熱交換を、効率的に行うことができる。また、このような給気流路及び排ガス流路としては、典型的には、内側流路及び外側流路を有する二重管構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。
図2】発電システムの実施例1に係る動作を示すフローチャートである。
図3】発電システムの実施例2に係る動作を示すフローチャートである。
図4】発電システムの実施例3に係る動作を示すフローチャートである。
図5】発電システムの実施例4に係る動作を示すフローチャートである。
図6】発電システムの実施例5に係る動作を示すフローチャートである。
図7】発電システムの実施例6に係る動作を示すフローチャートである。
図8】発電システムの実施例7に係る動作を示すフローチャートである。
図9】発電システムの実施例8に係る動作を示すフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。
図11】実施の形態3に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る発電システムは、給気流路と、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池、該燃料電池を収納する筐体、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給器、前記給気流路を介して外気を前記筐体へ供給する空気供給器、及び、前記筐体への給気の温度を検知する給気温検知器、を有する燃料電池システムと、燃料を燃焼して水を加熱する前記筐体の外部に配設された燃焼装置と、前記燃料電池システムに接続された上流端から延設され、前記燃料電池システムからの排ガスを排出する第1流路と、前記燃焼装置に接続された上流端から延設され、前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する第2流路と、両流路が合流する合流部と、該合流部から大気開放された下流端へ延設され、前記燃料電池システムからの排ガス及び前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する共通流路と、を有する排ガス流路と、制御装置と、を備える発電システムであって、前記燃焼装置は、前記燃料電池システムを動作させることなく動作させることが可能であり、前記給気流路と前記排ガス流路とは、互いの流路を流れる媒体間で熱交換が可能なように、前記給気流路が前記排ガス流路の少なくとも一部に接するようにして配設されており、前記制御装置は、発電指令の入力があった場合には、前記筐体への給気の温度を前記給気温検知器により検知し、前記検知した温度が所定の第1温度以下の場合は、前記燃焼装置を動作させる。
【0015】
これにより、給気温度が第1温度以下の低温である場合には、燃焼装置の動作によって、燃焼装置から高温の燃焼排ガスが排ガス流路を通流する。この燃焼排ガスと熱交換することにより、燃料電池システムの筐体内へ導入される給気は昇温する。従って、燃料電池システムの配管内の凝縮水等が、低温の給気によって凍結するのを防止することができる。また、燃焼排ガスと給気との熱交換を、効率的に行うことができる。また、このような給気流路及び排ガス流路としては、典型的には、内側流路及び外側流路を有する二重管構造を採用することができる。
【0016】
また、上記発電システムにおいて、前記給気温検知器は、前記給気流路又は前記筐体内に配置されており、前記制御装置は、発電指令の入力があった場合には、前記空気供給器を動作させた後に前記給気温検知器により温度を検知することとしてもよい。
【0017】
これにより、空気供給器の動作により外気を取り込み、この外気の温度が第1温度以下か否かを判断することができる。そのため、給気によるシステム内の凍結を、より確実に防止することができる。また、燃焼装置の作動による凍結防止対策の要否をより正確に判断できるため、燃焼装置を無駄に動作させて燃料を浪費するのを抑制することができる。
【0018】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が検知した温度が所定の第2温度以下の場合には、前記空気供給器を停止させ、前記燃焼装置を動作させることとしてもよい。
【0019】
これにより、検知温度が第2温度以下の低温の場合には、空気供給器を停止する。そのため、低温の給気によってシステム内に凍結が生じるのを防止することができる。また、空気供給器を停止している間、燃焼装置は動作させているので、排ガス流路を加熱できる。従って、排ガス流路が十分に昇温した後には、燃料電池システムの起動時の給気を加熱することができる。
【0020】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第2温度以下の温度を検知することにより前記空気供給器を停止させた場合は、所定の第1時間だけ前記燃焼装置を動作させた後に、前記空気供給器を動作させ、前記燃料電池システムを起動させることとしてもよい。
【0021】
これにより、空気供給器を動作させても、給気によってシステム内に凍結が生じるのを確実に防止することができる。即ち、この「第1時間」は、例えば、燃焼装置が動作開始してから、排ガス流路の加熱により、給気流路に外気が導入されても当該外気(給気)を適切に加熱することのできる状態に至るまでの時間、として定義することができる。
【0022】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第2温度以下の温度を検知することにより前記空気供給器を停止させた場合は、前記給気温検知器が所定の第3温度以上の温度を検知するまで前記燃焼装置を動作させた後に、前記空気供給器を動作させ、前記燃料電池システムを起動させることとしてもよい。
【0023】
これにより、空気供給器を動作させても、給気によってシステム内に凍結が生じるのを確実に防止することができる。即ち、この「第3温度」は、例えば、燃焼装置が動作して排ガス流路が加熱されることにより、給気流路に外気が導入されても当該外気(給気)を適切に加熱することのできる程度に、給気温度検知器の設置箇所が昇温したときの温度、として定義することができる。
【0024】
また、上記発電システムにおいて、前記第2温度は、前記第1温度以下であるように設定されていてもよい。
【0025】
これにより、給気温度が低温の第1温度以下であれば、燃焼装置を動作させ、給気温度が第1温度以下に設定された第2温度以下であれば、空気供給部を停止させた状態で燃焼装置を動作させる。このように、凍結防止処理を、給気温度に応じて2段階により適切に行うことができる。また、第2温度を第1温度未満に設定すれば、給気温度に応じた凍結防止処理のより好適な実現を期待できる。
【0026】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合は、所定の第2時間だけ前記燃焼装置を動作させた後に、該燃焼装置を停止させることとしてもよい。
【0027】
上記「第2時間」としては、例えば、燃料電池システムからの排ガス温度が十分に高くなり、該排ガスによって給気を適切に加熱できるようになるまでの時間を採用することができる。あるいは、燃料電池システム(例えば、燃料処理器)の発熱により、給気によるシステム内の凍結を防止できるようになるまでの時間を採用することができる。
【0028】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合は、前記給気温検知器所定の第4温度以上の温度を検知するまで前記燃焼装置を動作させた後に、該燃焼装置を停止させることとしてもよい。
【0029】
上記「第4温度」としては、例えば、燃料電池システムからの排ガス温度が十分に高くなり、該排ガスによって給気を適切に加熱できる状態の温度を採用することができる。あるいは、燃料電池システム(例えば、燃料処理器)の発熱により、給気によるシステム内の凍結を防止できる状態の温度を採用することができる。
【0030】
また、上記発電システムにおいて、前記制御装置は、前記給気温検知器が前記第1温度以下の温度を検知することにより前記燃焼装置を動作させる場合には、該燃料電池システムの起動より先に前記燃焼装置を動作させることとしてもよい。
【0031】
これにより、燃料電池システムの起動時に、給気によってシステム内に凍結が生じるのを、より確実に防止することができる。
【0034】
本発明に係る発電システムの運転方法は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池該燃料電池を収納する筐体、及び、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給器、を有する燃料電池システムと、前記筐体の外部に配設された燃焼装置と、外気を前記筐体へ供給する給気流路と、前記燃料電池システムに接続された上流端から延設され、前記燃料電池システムからの排ガスを排出する第1流路と、前記燃焼装置に接続された上流端から延設され、前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する第2流路と、両流路が合流する合流部と、該合流部から大気開放された下流端へ延設され、前記燃料電池システムからの排ガス及び前記燃焼装置で生じた燃焼排ガスを外部へ排出する共通流路とを有する排ガス流路と、を備え、前記燃焼装置は、前記燃料電池システムを動作させることなく動作させることが可能であり、前記給気流路及び前記排ガス流路が、互いの流路を流れる媒体間で熱交換可能に、前記給気流路が前記排ガス流路の少なくとも一部に接するようにして配設されている、発電システムの運転方法であって、前記給気流路を介して前記燃料電池システムへ供給される給気の温度を検知するステップと、給気の温度が所定の第1温度以下か否かを判定するステップと、前記燃料電池システムを起動させる場合において、給気の温度が前記第1温度以下であれば、前記燃焼装置を動作させるステップと、を備える。
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る発電システム100は、建物1の内部に配置されている。発電システム100は、燃料電池システム10、燃焼装置30、制御装置50、及び、給排気機構60を備えている。
【0037】
燃料電池システム10は筐体11を備えている。該筐体11内には、燃料ガス供給器12、酸化剤ガス供給器13,燃料電池14、及び換気器(空気供給器)15が収納されている。また、制御装置50も筐体11内に配置されている。なお、本実施の形態1においては、制御装置50が筐体11内に配設されている構成を例示しているが、これに限定されない。例えば、制御装置50は筐体11の外部に配置する構成を採用してもよい。
【0038】
筐体11を構成する壁部の適所には、壁部の厚み方向に貫通する孔16が設けられている。この孔16には、給排気機構60を構成する二重配管の第1端部60aが接続されている。該給排気機構60は、二重配管の内側流路が排ガス流路61を成し、外側流路が給気流路62を成している。また、給排気機構60の第1端部60aは、排ガス流路61の第1排ガス上流端61aを成すと共に、給気流路62の第1給気下流端62aを成している。
【0039】
なお、給排気機構60は、上記第1端部60aの他、燃焼装置30に接続される第2端部60bと、建物1の外部に位置する第3端部60cとを有している。そして、二重配管の内側の排ガス流路61は、第2端部60bにおいて第2排ガス上流端61bを成し、第3端部60cにおいて排ガス共通下流端61cを成す。また、外側の給気流路62は、第2端部60bにおいて第2給気下流端62bを成し、第3端部60cにおいて給気共通上流端62cを成す。
【0040】
従って、排ガス流路61は、第1排ガス上流端61aから延設された流路と、第2排ガス上流端61bから延設された流路と、これらの流路が合流する合流部61dと、該合流部61dから大気開放された排ガス共通下流端61cへ延設された流路と、を有する。そして、給気流路62は、このような排ガス流路61に接するようにして、その外周囲を取り囲むようにして形成されている。
【0041】
排ガス流路61は、その第1排ガス上流端61aが筐体11に接続されており、燃料電池システム10からの排ガスを排ガス共通下流端61cから外部へ導く。また、給気流路62は、その第1給気下流端62aが筐体11に接続されており、給気共通上流端62cから取り込んだ外気(給気)を、燃料電池システム10の筐体11内に導く。
【0042】
燃料ガス供給器12は、燃料電池14に燃料ガス(水素ガス)をその流量を調整可能に供給する。このような燃料ガス供給器12は、その具体的な構成は限定されない。例えば、炭化水素系の原料ガスから水素を生成する水素生成装置や水素ボンベを採用してもよいし、水素吸蔵合金等の水素ガスを供給し得る構成を採用してもよい。なお、燃料ガス供給器12と燃料電池14(正確には、燃料電池14の燃料ガス流路14Aの入口)との間には、燃料ガスの流路となる燃料ガス供給流路20が接続されている。
【0043】
酸化剤ガス供給器13は、燃料電池11に酸化剤ガス(空気)をその流量を調整可能に供給する。このような酸化剤ガス供給器13は、その具体的な構成は限定されない。例えば、ファンやブロワ等のファン類で構成されていてもよい。なお、酸化剤ガス供給器13と燃料電池14(正確には、燃料電池14の酸化剤ガス流路14Bの入口)との間には、酸化剤ガスの流路となる酸化剤ガス供給流路21が接続されている。
【0044】
燃料電池14は、アノードとカソードを有している(いずれも図示せず)。燃料電池14では、燃料ガスは、燃料ガス流路14Aを通流する間にアノードに供給される。また、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路14Bを通流する間にカソードに供給される。そして、アノードに供給された燃料ガスとカソードに供給された酸化剤ガスとが、反応して電気と熱が発生する。
【0045】
なお、発生した電気は、図示されない電力調整器により、外部電力負荷(例えば、家庭の電気機器)に供給される。また、発生した熱は、図示されない熱媒体流路を通流する熱媒体が回収する。熱媒体が回収した熱は、例えば、水を加熱するのに使用することができる。また、本実施の形態1においては、燃料電池14は、高分子電解質形燃料電池や固体酸化物形燃料電池等の各種の燃料電池を用いることができる。さらに、燃料電池14の構成は、一般的な燃料電池と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
【0046】
燃料ガス流路14Aの出口には、オフ燃料ガス流路22の上流端が接続されている。オフ燃料ガス流路22の下流端は、排ガス流路61の第1排ガス上流端61aに接続されている。また、酸化剤ガス流路14Bの出口には、オフ酸化剤ガス流路23の上流端が接続されている。オフ酸化剤ガス流路23の下流端は、排ガス流路61の第1排ガス上流端61aに接続されている。なお、本実施の形態1では、オフ燃料ガス流路22とオフ酸化剤ガス流路23とは、途中で合流した後に排ガス流路61に接続されている。
【0047】
これにより、燃料電池14で使用されなかった燃料ガス(以下、オフ燃料ガス)は、燃料ガス流路14Aの出口からオフ燃料ガス流路22を介して排ガス流路61に排出される。また、燃料電池14で使用されなかった酸化剤ガス(以下、オフ酸化剤ガス)は、酸化剤ガス流路14Bの出口からオフ酸化剤ガス流路23を介して排ガス流路61に排出される。排出流路61に排出されたオフ燃料ガスは、オフ酸化剤ガスにより希釈されて、建物1の外部へ排出される。
【0048】
換気器15は、換気流路24を介して排ガス流路61の第1排ガス上流端61aと接続されている。なお、本実施の形態1では、この換気流路24も、オフ燃料ガス流路22及びオフ酸化剤ガス流路23と合流した後に、排ガス流路61に接続されている。従って、換気器15を作動させると、給気口を成す孔16(正確には、第1給気上流端62a)から燃料電池システム10外の空気(ここでは、建物1の外部の空気)が筐体11内に供給される。そして、筐体11内のガス(主として、空気)が、換気流路24及び排ガス流路61を介して建物1の外部に排出され、筐体12内が換気される。
【0049】
なお、換気器15としては、筐体11内を換気することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、換気器15としてファンやブロワを用いることができる。また、換気器15を筐体11内に配設した構成を例示したが、これに限定されず、排ガス流路61内に配置するように構成してもよい。
【0050】
このように、本実施の形態1においては、オフ燃料ガス、オフ酸化剤ガス、及び、換気により筐体11内から排出されるガス(主に空気)が、燃料電池システム10から排ガス流路61を介して排出される排ガスとして例示される。なお、燃料電池システム10からの排ガスはこれらのガスに限定されない。例えば、燃料ガス供給器12が水素生成装置で構成されている場合、該水素生成装置から排出されるガス(燃焼排ガス、水素含有ガス等)も、燃料電池システム10からの排ガスに含めることができる。
【0051】
また、本実施の形態1においては、酸化剤ガス、及び、換気により筐体11内に供給されるガス(空気)が、燃料電池システム10に供給される外気として例示される。なお、燃料電池システムに供給される外気は、これらのガス(空気)に限定されない。例えば、燃料ガス供給器12が水素生成装置で構成されている場合、該水素生成装置に供給される燃焼空気や、該水素生成装置が選択酸化器を備えている場合には選択酸化空気も、燃料電池システム10に供給される外気に含めることができる。また、燃料電池14のアノードに対し、一酸化炭素による触媒の被毒を防止するために供給するエアー(ブリードエアー;bleed air)も、上記外気に含めることができる。
【0052】
一方、燃焼装置30は、燃焼器31と、該燃焼器31に燃焼空気供給流路33を介して空気を供給する燃焼ファン32と、これらを収納する筐体34とを有する。なお、燃焼ファン32は、燃焼器31に燃焼空気を供給することができればどのような構成であってもよく、例えば、ファンやブロワ等のファン類で構成されていてもよい。
【0053】
燃焼器31には、図示されない燃焼燃料供給器から、天然ガス等の可燃性ガスや灯油等の液体燃料等の燃焼燃料が供給される。そして、燃焼器31では、燃焼ファン32から供給された燃焼空気と、燃焼燃料供給器から供給された燃焼燃料とを燃焼することで、熱が発生すると共に燃焼排ガスが生成される。なお、発生した熱は、水を加熱するのに使用することができる。即ち、燃焼装置30は、ボイラとして使用してもよい。
【0054】
また、燃焼器31には、燃焼排ガス流路35の上流端が接続されており、その下流端は排ガス流路61の第2排ガス上流端61bに接続されている。従って、燃焼器31で生成された燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路35を介して排ガス流路61に排出される。そして、排ガス流路61に排出された燃焼排ガスは、該排ガス流路61を通流して建物1の外部に排出される。
【0055】
なお、燃焼装置30の筐体34を構成する壁部の適所には、壁部の厚み方向に貫通する孔36が設けられており、この孔36には給排気機構60の第2端部60bが接続されている。そして、内側の排ガス流路61の第2排ガス下流端61bは、上述したように燃焼排ガス流路35を介して燃焼器31に接続されている。他方、外側の給気流路62の第2給気上流端62bは、孔36を介して筐体34内に連通している。従って、燃焼装置30が動作すると、該燃焼装置30から排出された比較的高温の燃焼排ガスが排ガス流路61を通流して外部へ排出される。また、給気流路62を通流する空気は、排ガス流路61を通流する高温の燃焼排ガスと熱交換することで、加熱される。
【0056】
制御装置50は、発電システム100を構成する各機器を制御する機能を有するものであれば、どのような形態であってもよい。例えば、本実施の形態1に係る制御装置50は、マイクロプロセッサやCPU等に例示される演算処理部と、各制御動作を実行するためのプログラムを格納したメモリ等から構成される記憶部とを備えている。そして、制御装置50は、演算処理部が、記憶部に格納された所定のプログラムを読み出し、これを実行することにより、発電システム100の基本的な発電動作の他、以下に説明する様々の機能を実現する。
【0057】
なお、制御装置50は、単一の制御装置で構成される形態だけでなく、複数の制御装置が協働して発電システム100の制御を実行する制御器群で構成される形態であっても構わない。また、制御装置50は、マイクロコンピュータで構成されていてもよいし、MPU、PLC(programmable logic controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0058】
更に、本実施の形態1に係る発電システム100は、燃料電池システム10の筐体11へ供給される給気の温度を検出する給気温検知器51を有している。本実施の形態1ではこの給気温検知器51を、給気流路62のうち、共通給気上流端62cから第1給気下流端62aへ至る途中に配置している。より正確には、燃料電池システム10及び燃焼装置30の夫々へ向かう分岐部と第1給気下流端62aとの間に配置されている。なお、給気温検知器51の配置はこれに限定されない。例えば、給気温検知器51は、そのセンサ部分のみを給気流路62内に露出するように配置し、その他の部分を給気流路62の外部に配置する構成としてもよい。
【0059】
次に、本実施の形態1に係る発電システム100の動作について説明する。本発電システム100は、給気の温度が低い場合(所定の第1温度以下の場合)に、システム内の凍結防止処理を実行する。なお、以下の説明で用いる燃料電池システム10の「起動」とは、燃料電池14が停止状態から発電状態へ移行する間の動作をいう。例えば、燃料電池14へ酸化剤ガスを供給するための換気器15の作動開始を、「起動」の始点とすることができる。また、後述するように、凍結防止処理においても換気器15を作動させる場合があるが、この場合の換気器15の作動は、もっぱら凍結防止処理を目的とする場合と、凍結防止処理及び燃料電池システム10の起動の両方を目的とする場合とがあることについて、付言しておく。
【0060】
(凍結防止処理の実施例1)
図2は、発電システム100の実施例1に係る動作を示すフローチャートである。この図2に示すように、制御装置50は、燃料電池システム10に対して発電指令が入力されたか否か判定する(ステップS100)。この発電指令が入力される例としては、燃料電池システム10の使用者が、図示されていないリモコンを操作して、燃料電池システム10が作動するように操作した場合や、予めスケジュールされた燃料電池システム10の作動開始時間になった場合などが挙げられる。
【0061】
制御装置50は、発電指令が入力されていないと判定した場合(ステップS100:No)は、発電指令が入力されるまでステップS100の処理を繰り返す。一方、発電指令が入力されたと判定した場合(ステップS100:Yes)は、制御装置50は、給気温検知器51による測定値を取得し、取得した給気の温度が所定の第1温度T1以下であるか否かを判定する(ステップS200)。
【0062】
なお、燃料電池システム10の筐体11内に取り込んだ給気によってシステム内に凍結が生じる上限温度を、予め試験等により取得しておき、この上限温度を第1温度T1とすることができる。あるいは、試験等はせずとも、適当な所定値(例えば、ゼロ度)を第1温度T1として設定しておいてもよい。
【0063】
給気が第1温度T1以下であると判定した場合(ステップS200:YES)は、燃焼装置30を起動する(ステップS300)。そして、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。一方、給気が第1温度より大きいと判定した場合(ステップS200:NO)は、燃焼装置30を起動することなく、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。
【0064】
以上のような凍結防止処理を実行することにより、給気として取り込む外気が低温である場合であっても、燃焼装置30の起動により生じる高温の燃焼排ガスにより、給気が加熱されるため、給気によるシステム内の凍結を防止することができる。
【0065】
なお、図2では、燃焼装置30の起動(ステップS300)の後に燃料電池システム10の起動(ステップS400)を実行するフローを示したが、これに限られない。燃焼装置30の起動と燃焼電池システム10の起動とが実質的に同時のタイミングで行われてもよいし、短時間であれば、燃焼装置30の起動より燃料電池システム10の起動を早めてもよい。但し、図2に示すような順序で各起動を実行すれば、システム内の凍結をより確実に防止することができて好ましい。
【0066】
また、ステップS300にて燃焼装置30を起動する際、既に燃焼装置30が動作している場合もあり得る。例えば、燃焼装置30としてボイラを採用した場合には、発電指令の有無にかかわらず、給湯状況に応じて燃焼装置30は動作する。従って、このような構成の場合は、ステップS300にて燃焼装置30を起動する前に、燃焼装置30が動作中であるか否かを判定し、動作中でない場合に燃焼装置30を起動する処理(ステップS300)を実行すればよい。
【0067】
上記のような燃料電池システム10の起動タイミングや、燃焼装置30の動作判定に関する態様のバリエーションは、以下で説明する各実施例においても適用することができる。
【0068】
(凍結防止処理の実施例2)
図3は、発電システム100の実施例2に係る動作を示すフローチャートである。図3に示すフローでも、実施例1に示した各ステップの処理を実行する。但し、本実施例2では、ステップS100の処理とステップS200の処理との間に、換気器15を起動する処理(ステップS101)を実行する。即ち、発電指令の入力があった場合(ステップS100)には、換気器15を起動(ステップS101)した後に、給気の温度判定(ステップS200)を行う。
【0069】
このような凍結防止処理を実行することにより、取り込んだ外気の温度に基づき、給気の温度判定(ステップS200)を行うことができる。従って、給気によるシステム内の凍結を、より確実に防止することができる。また、凍結防止のためにより適切な温度判定ができるため、燃焼装置30の不要な起動を防止し、燃料を浪費するのを抑制することができる。
【0070】
(凍結防止処理の実施例3)
図4は、発電システム100の実施例3に係る動作を示すフローチャートである。図4に示すフローでは、実施例2に示した各ステップの処理を実行する。但し、本実施例3では、ステップS200の処理とステップS300の処理との間に、ステップS201,S202の各処理を実行する。
【0071】
具体的に説明すると、発電指令の入力があり(ステップS100)、換気器15を起動し(ステップS101)、給気が第1温度T1以下であると判定した場合(ステップS200:YES)、本実施例3では、給気が第2温度T2以下であるか否かを更に判定する(ステップS201)。本実施例3では、この第2温度T2として、上記第1温度T1より低い温度として予め設定されている。
【0072】
そして、給気が第2温度T2以下であると判定した場合(ステップS201:YES)は、ステップS101で起動した換気器15を停止させ(ステップS202)、燃焼装置30を起動する(ステップS300)。一方、給気が第2温度T2より大きいと判定した場合(ステップS201:NO)は、換気器15を停止することなく、燃焼装置30を起動させる(ステップS300)。このようにして燃焼装置30を起動させた後、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。
【0073】
これにより、給気が第2温度T2以下の低温の場合には、換気器15を停止するため、低温の給気によるシステム内の凍結を防止することができる。また、換気器15を停止している間、燃焼装置30は動作させるので、その高温の燃焼排ガスによって排ガス流路61を加熱できる。従って、排ガス流路61に接して通流する給気を加熱することができる。
【0074】
(凍結防止処理の実施例4)
図5は、発電システム100の実施例4に係る動作を示すフローチャートである。図5に示すフローでは、実施例3に示したステップS100,S101,S200,S201の各処理を実行する。そして、ステップS201において、給気が第2温度以下であると判定した場合に、実施例3とは異なる処理を実行する。
【0075】
具体的に説明すると、制御装置50は、給気が第2温度以下であると判定すると(ステップS201:YES)、換気器15を停止させ(ステップS202)、燃焼装置30を起動する(ステップS203)。次に、燃焼装置の起動後の経過時間を計測し、燃焼開始から第1時間を経過したか否かを判定する(ステップS204)。そして、第1時間を経過していない場合(ステップS204:NO)は、ステップS204の処理を繰り返す。一方、第1時間を経過したと判定した場合(ステップS204:YES)は、停止させていた換気器15を再び起動し(ステップS206)、その後、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。なお、給気が第2温度より大きいと判定した場合(ステップS201:NO)は、実施例3と同様に、燃焼装置30を起動(ステップS300)した後、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。
【0076】
この場合、給気が第2温度以下の低温の場合には、燃焼装置30が起動してから高温の燃焼排ガスを生成できるようになるまでの間、給気の導入を止めておくことができる。換言すれば、燃焼装置30が起動した後、高温の燃焼排ガスを生成できるようになってから給気を取り込むため、低温の給気であっても確実に加熱することができる。
【0077】
(凍結防止処理の実施例5)
図6は、発電システム100の実施例5に係る動作を示すフローチャートである。図6に示すフローでは、実施例4に示したフローのうち、ステップS204の処理がステップS205の処理に置換されている点が相違する。即ち、実施例4では、停止させた換気器15の再起動のタイミングを、燃焼装置30の起動時からの経過時間に基づいて判断するものである。これに対して本実施例5では、同タイミングを、給気温検知器51により検知された給気の温度に基づいて判断する。
【0078】
より具体的には、換気器15の停止状態(ステップS202)で燃焼装置30を起動すると(ステップS203)、制御装置50は、給気が所定の第3温度以上であるか否かを判定する(ステップS205)。そして、第3温度T3より小さければ(ステップS205:NO)、ステップS205の処理を繰り返す。一方、第3温度T3以上と判定した場合(ステップS205:YES)は、停止させていた換気器15を再び起動し(ステップS206)、その後、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。
【0079】
この場合も、給気が適度に昇温してから取り込むことができるため、システムの凍結を確実に防止することができる。なお、この「第3温度」としては、第2温度T2よりも高い値であれば特に限定されず、発電システム100の設置環境等を考慮して適宜決定することができる。
【0080】
(凍結防止処理の実施例6)
図7は、発電システム100の実施例6に係る動作を示すフローチャートである。図7に示すフローでも、実施例1のフロー(図2参照)に示した各ステップの処理を実行する。但し、本実施例6では、燃料電池システムの起動(ステップS400)の後に、所定条件に基づいて燃焼装置30を停止させる処理(ステップS401,S402)を実行する。
【0081】
より具体的に説明すると、制御装置50は、給気が第1温度T1以下(ステップS200:YES)であって燃焼装置30を起動(ステップS300)した後、燃料電池システム10を起動する(ステップS400)。そして、燃焼装置30を起動させてからの経過時間を計測し、燃焼開始から第2時間を経過したか否かを判定する(ステップS401)。第2時間を経過していない場合(ステップS401:NO)は、ステップS401の処理を繰り返して実行する。なお、この間にも燃料電池システム10は、起動動作又は発電動作を実行している。一方、制御装置50は、第2時間を経過したと判定すると(ステップS401:YES)、燃焼装置30を停止させる(ステップS403)。即ち、燃焼装置30を停止した状態で、燃料電池システム10の動作を継続させる。
【0082】
燃料電池システム10は、起動から所定時間を経過すると、排ガス温度が十分に高くなるため、排ガス流路61を通流するこの高温の排ガスと、給気流路62を通流する給気との間の熱交換により、給気を適切に加熱できるようになる。あるいは、燃料電池システム10は、起動から所定時間を経過すると、水素生成装置等での発熱によってシステム全体が昇温するため、低温の給気による凍結が生じにくくなる。従って、本実施例6のような動作フローを採用すれば、凍結の可能性が低減したとき(第2時間が経過したとき)には燃焼装置30を停止させるため、燃焼装置30での燃料の浪費を防止することができる。
【0083】
(凍結防止処理の実施例7)
図8は、発電システム100の実施例7に係る動作を示すフローチャートである。図8に示すフローでは、実施例6に示したフローのうち、ステップS402の処理がステップS403の処理に置換されている点が相違する。即ち、実施例6では、燃焼装置30の停止タイミングを、燃焼装置30の起動時からの経過時間に基づいて判断するものである。これに対して本実施例7では、同タイミングを、給気温検知器51により検知された給気の温度に基づいて判断する。
【0084】
より具体的に説明すると、制御装置50は、燃焼装置30を起動(ステップS300)し、燃料電池システム10を起動(ステップS400)すると、給気温検知器51から給気の温度を取得する。そして、給気が所定の第4温度T4以上であるか否かを判定する(ステップS402)。第4温度T4より小さければ(ステップS402:NO)、このステップS402を繰り返して実行する。なお、この間にも燃料電池システム10は、起動動作又は発電動作を実行している。一方、制御装置50は、第4温度T4以上と判定すると(ステップS402:YES)、燃焼装置30を停止させる(ステップS403)。即ち、燃焼装置30を停止した状態で、燃料電池システム10の動作を継続させる。
【0085】
これにより、給気が第1温度以下の低温の場合には、燃焼装置30を作動させて燃焼排ガスとの熱交換により給気を加熱しつつ、燃料電池システム10での凍結の可能性が低減したとき(給気が第4温度T4以上となったとき)には、燃焼装置30を停止させて燃料の浪費を防止できる。なお、この第4温度T4は、燃焼装置30を停止させてもシステムが凍結することのない場合の給気の温度として、予め試験等により取得しておいてもよい。あるいは、試験等はせずとも、適当な所定値(例えば、ゼロ度以上の温度)を第4温度T4として設定しておいてもよい。
【0086】
なお、実施例6,7では、所定の条件を満たした場合(ステップS401:YES,ステップS402:YES)に、燃焼装置30を停止させるが(ステップS403)、その後、必要に応じて燃焼装置30を再度起動させてもよい。例えば、燃焼装置30を停止させた後も、給気温検知器51によって給気の温度を継続的に検知し、この温度が第1温度T1より低くなった場合に燃焼装置30を起動することとしてもよい。
【0087】
(凍結防止処理の実施例8)
図9は、発電システム100の実施例8に係る動作を示すフローチャートである。図9に示すフローでは、実施例2に示したフロー(図3参照)の各ステップの処理を実行するが、ステップS207,S208を更に実行する点が相違する。
【0088】
具体的に説明すると、実施例8に係るフローでは、換気器15を起動し(ステップS101)、給気が第1温度T1以下であった場合(ステップS200:YES)は、燃焼装置30が停止中であるか否かを判定する(ステップS207)。ここで、停止中であれば、実施例2と同様に燃焼装置30の起動(ステップS300)、及び、燃料電池システム10の起動(ステップS400)を行う。一方、燃焼装置30が停止中ではない、即ち、動作中であると判定した場合(ステップS207:NO)は、燃焼装置30での燃焼量を増加させる(ステップS208)。例えば、燃焼器31へ供給する燃焼用燃料を増量すると共に、燃焼ファン32による燃焼用空気の供給量を増加させる。
【0089】
これにより、既に燃焼装置30が動作している状態で、給気が第1温度T1以下である場合には、燃焼装置30での燃焼量を増加させ、燃焼排ガスが有する熱量を増加させることができる。そのため、給気をより適切に加熱することができる。
【0090】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る発電システム100は、実施の形態1に係る発電システム100と大部分において同じ構成を備えているが、以下の点で異なる。即ち、燃焼装置30は、熱交換器37と水循環流路38とを備えている。
【0091】
熱交換器37は、燃焼排ガス流路35の途中に設けられており、水循環流路38は、熱交換器37と給排気機構60を成す二重配管との間にわたって設けられている。水循環流路38は、熱交換器37を通流する燃焼排ガスによって加熱された水を、給排気機構60を成す二重配管へ導き、給気流路62を通流する給気との間で熱交換させる。給気との熱交換で温度の低下した水は、水循環流路38を介して熱交換器37へ戻され、再び燃焼排ガスにより加熱される。このように、給気流路62の一部は、燃焼排ガスの熱によって加熱される加熱部39を成している。
【0092】
本実施の形態2において、この加熱部39は、給気流路62のうち、燃焼装置30との分岐部から燃料電池システム10へ至るまでの部分に設けられている。更に詳しくは、当該部分において、給気温検知器51の設置位置よりも、給気の通流方向の上流側の位置に設けられている。但し、加熱部39の配置はこれに限定されず、適宜選択した位置に設けることができる。
【0093】
また、本実施の形態2では、加熱部39において水循環流路38を二重配管に巻回した構成を例示しているが、これに限定されない。例えば、水循環流路38を給気流路62内に通す構成としてもよい。またその際、給気流路62内の水循環流路38にフィンを設け、熱交換効率を向上させるようにしてもよい。
【0094】
このような本実施の形態2に係る発電システム100においても、実施の形態1において説明した各実施例に係る動作フローを実行することにより、システム内の凍結防止を好適に実現することができる。
【0095】
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3に係る発電システムの概略構成を示す模式図である。本実施の形態2に係る発電システム100は、実施の形態1に係る発電システム100と大部分において同じ構成を備えているが、燃料ガス供給器12の構成、及び、燃料電池14からのオフ燃料ガスの排出される流路において異なっている。具体的に説明すると、燃料ガス供給器(以下、本実施の形態では「水素生成装置」と称する)12は、改質器12a、燃焼器12b、及び燃焼ファン12cを有している。
【0096】
燃焼器12bには、燃料電池14からのオフ燃料ガス流路22の下流端が接続されており、燃料電池14からオフ燃料ガスが、当該オフ燃料ガス流路22を介して、燃焼用燃料として供給される。また、燃焼器12bには、空気供給流路25を介して燃焼ファン12cが接続されている。燃焼ファン12cは、燃焼器12bに燃焼用空気を供給することができれば、どのような構成であってもよく、例えば、ファンやブロワ等のファン類で構成されていてもよい。更に、燃焼器12bには燃焼排ガス流路26の上流端が接続されており、該燃焼排ガス流路26の下流端は、排ガス流路61(より正確には、第1排ガス上流端61a)に接続している。
【0097】
このような燃焼器12bでは、供給されたオフ燃料ガスと燃焼用空気が燃焼し、燃焼排ガスが生成されて熱が発生する。燃焼器12bで生成された燃焼排ガスは、改質器12a等を加熱した後、燃焼排ガス流路26及び排ガス流路61を介して発電システム100の外部、即ち、建物1の外部へ排出される。
【0098】
改質器12aには、図示しない原料供給器及び水蒸気供給器が接続されており、原料及び水蒸気が供給される。原料としては、メタンを主成分とする天然ガスやLPガス等を用いることができる。
【0099】
また、改質器12aは改質触媒を有している。この改質触媒としては、例えば、原料と水蒸気とから水素含有ガスを発生させる水蒸気改質反応を触媒することができれば、どの様な物質を使用してもよい。例えば、アルミナ等の触媒担体にルテニウム(Ru)を担持させたルテニウム系触媒や、同様の触媒担体にニッケル(Ni)を担持させたニッケル系触媒等を使用することができる。
【0100】
そして、改質器12aでは、供給された原料と水蒸気との改質反応により、水素含有ガスが生成される。生成された水素含有ガスは、燃料ガスとして、燃料ガス供給流路20を介して、燃料電池14の燃料ガス流路14Aに供給される。
【0101】
なお、本実施の形態3では、改質器12aで生成された水素含有ガスが燃料ガスとして燃料電池14に供給される構成としたが、これに限定されない。例えば、水素生成装置12において、改質器12aで生成された水素を変成器が有する変成触媒に通すことにより一酸化炭素を低減し、更に、酸化触媒やメタン化触媒を有する一酸化炭素除去器を通過させた後に、燃料電池14へ供給することとしてもよい。なお、上記変成触媒としては一例として銅−亜鉛系触媒を用いることができ、酸化触媒やメタン化触媒としては一例としてルテニウム系触媒を用いることができる。
【0102】
また、本燃料電池システム10では、燃料電池14からのオフ燃料ガスが、燃焼器12bに対して燃焼用燃料として供給される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、燃焼器12bに対し、燃焼用燃料供給器から燃焼用燃料が別途供給されるように構成してもよい。
【0103】
このような本実施の形態3に係る発電システム100においても、実施の形態1において説明した各実施例に係る動作フローを実行することにより、システム内の凍結防止を好適に実現することができる。
【0104】
ところで、本実施の形態3に係る発電システム100の場合、燃料電池システム10を起動するには、水素生成装置12を作動させ、改質器12a内の改質触媒を、改質反応を行なうのに適した温度まで上昇させる必要がある。そのため、燃焼器12bにおいて燃焼用燃料と燃焼用空気とを燃焼させる。この際、燃焼用空気を燃焼器12bに供給するために燃焼ファン12cを作動させると、給気流路62を介して外気が筐体11内に供給される。しかしながら、燃焼装置30の作動(ステップS300)により、排ガス流路61を通流する燃焼装置30からの燃焼排ガスによって給気流路62を通流する外気が加熱される。そのため、外気温が氷点下の場合であっても、燃料電池システム10内の水が凍結するのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の発電システム及びその運転方法は、外気温が低い場合にも、特に燃料電池システムの起動時においてシステム内の水が給気によって凍結するのを防止することができる発電システム及びその運転方法に対して適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 建物
10 燃料電池システム
11 筐体
14 燃料電池
30 燃焼装置
50 制御装置
51 給気温検知器
60 給排気機構
61 排ガス流路
62 給気流路
100 発電システム
図1
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