【実施例】
【0016】
図1〜
図7に、実施例の一時保管装置30とこれを用いる一時保管方法及び搬送システムを示す。
図1,
図2は、半導体工場でのベイ1内の一時保管装置30と、周囲の処理装置2、及び天井走行車システム8、10を示す。処理装置2はロードポート4を備え、ロードポート4はカセット6の受け渡し位置の例で、ストッカ、作業台車をドッキングするステーション、空のカセットの置き場、等を受け渡し位置としても良い。なお処理装置2は文字通りの処理装置でも検査装置等でも良い。またカセット6はFOUP等であり、製品としての半導体ウェハーを収納しているものとするが、工程管理用、検査用等のウェハーを収納しているもの、あるいは空のカセット等でも良い。搬送する物品は、半導体ウェハーに限らず、半導体の露光用のレチクル、食品、医薬品等でも良い。さらにカセット6に替えてバケット等の容器を用いても良く、あるいは容器を介さずに直接に天井走行車等でチャックして搬送しても良い。
【0017】
ロードポート4の直上部を、通常品用の天井走行車システム(第1の天井走行車システム)8の走行レール12が通過している。生産管理上の属性が異なるカセットを搬送するために、第2の天井走行車システム10の走行レール13が走行レール12と並行に配置されている。第1の天井走行車システム8は天井走行車14と走行させ、第2の天井走行車システム10は天井走行車15を走行させるが、天井走行車14,15は物理的には同じもので良い。16は走行部で、走行レール12,13に沿って走行して、横送り装置18を支持し、横送り装置18は昇降装置20を横移動させ、昇降装置20によりチャックを備える昇降台22を昇降させる。なお24は、走行レール12,13の支柱で、横送り装置18は設けなくても良い。
【0018】
走行レール12,13とロードポート4との間の高さに、一時保管装置30が配置され、ローカル台車32が一対の走行レール34,34に沿って走行する。一対の走行レール34,34間には、カセット6が上下に通過自在な開口35が有る。また第1の天井走行車システム8の走行レール12と走行レール34との直下で、かつロードポート4の直上部でもある位置と、第2の天井走行車システム10の走行レール13の直下の位置との間でスライド自在なスライド棚38が設けられている。スライド棚38のスライド方向は、平行な走行レール12,13での走行方向に水平面内で直角な方向である。39は固定部で、スライド棚38のスライド機構等を収容し、スライド棚38以外に固定棚40を設けても良い。一時保管装置30は、例えば支柱41により天井走行車システム8,10により支持される。
【0019】
図3,
図4は、一時保管装置30を用いた搬送システムを全体的に示し、ベイ1内での一時保管と搬送は
図1,
図2に示したとおりに行う。ベイ間の搬送(インターベイ搬送)用に、天井走行車システム50をインターベイルートに設け、その走行レール52を、第1の天井走行車システム8での走行レール12と並行に設ける。また54は、天井走行車システム50を走行する天井走行車で、物理的には天井走行車14,15と同じものでよい。
【0020】
天井走行車システム50と天井走行車システム10との間で、天井走行車15,54が直接乗り入れできるようにすると、走行レールの分岐と合流とが複雑になり、渋滞の原因となる。そこで天井走行車システム50と天井走行車システム10とを、一対のコンベヤ56,58で接続する。コンベヤ56はインターベイルートの天井走行車システム50からベイ1内の天井走行車システム10への搬送用、コンベヤ58はベイ1内の天井走行車システム10からインターベイルートの天井走行車システム50への搬送用である。またベイ1内のバッファ容量を増すため、バッファ60を設けて天井走行車15がアクセスできるようにするが、バッファ60は設けなくても良い。
【0021】
実施例での物品(カセット6)の受け渡しは、以下のように行う。なお天井走行車15が横送り装置を備えない場合、走行レール13の下方にバッファを設けることが好ましい。
ロードポート4: 天井走行車14とローカル台車32
スライド棚38: 天井走行車14,15とローカル台車32
固定棚40: 天井走行車14とローカル台車32
天井走行車システム8,10間の受け渡し: スライド棚38を経由
天井走行車システム10,50間の受け渡し:コンベヤ56,58を経由
バッファ60: 天井走行車15の横送り装置を使用
【0022】
図5はスライド棚38を示し、スライド棚38はガイド62に沿って固定部39に対し進退する。スライド機構は任意で、例えばガス圧で動作するシリンダ64により、ピストン66に固定したミドル部68を進退させる。そして図示しない倍速機構により、トップ部70をピストン66の2倍のストロークで進退させ、トップ部70にプレート72を固定して、カセットを載置させる。73はカセットの底面をガイドして位置決めするカップリングピンで、74はスライド棚38に設けた図示しないセンサ等のためのケーブルガイドである。
【0023】
図6はローカル台車32を示し、例えば一対の走行部76と、昇降装置78とを備え、チャックを有する昇降台80を昇降させることにより、ロードポート及び棚38,40との間で、カセットを移載する。
【0024】
図7は搬送システムの制御系を示し、搬送管理システム(MCS)82は半導体工場内での物品の搬送を管理し、天井走行車システムコントローラ84は天井走行車14,15,54を管理するが、天井走行車システム毎に別個のコントローラを設けても良い。コンベヤコントローラ86はコンベヤ56,58を管理し、一時保管装置コントローラ88は一時保管装置毎にローカル台車32とスライド棚38とを制御する。
【0025】
実施例の作用効果を示す。
1) 一時保管装置30により、ロードポート4と天井走行車システム8,10を、任意の組み合わせで接続でき、またスライド棚38と固定棚40とによりカセット6を一時保管できる。
2) コンベヤ56,58により、第2の天井走行車システム10をインターベイルートの天井走行車システム50とを接続できる。
3) ホットロットのカセットを、第2の天井走行車システム10からスライド棚38を介してロードポート4へ荷下ろしし、またロードポート4からスライド棚38を介して第2の天井走行車システム10へ搬出できる。
【0026】
図1〜
図7では、第2の天井走行車システム10を用いたが、これはスライド棚38及びコンベヤ56,58との間でカセット6を受け渡し自在な任意の搬送システムに変更できる。このような変形例を
図8〜
図13に示す。なお特に指摘する点以外は、
図1〜
図7の搬送システムと同様である。
図8,
図9の変形例では、一時保管装置30よりも高い位置に設けられたガントリークレーン90を用い、92,92はそのレールで、架橋部94がレール92に沿ってベイ1内を移動し、架橋部94に沿ってホイスト96が移動する。ホイスト96はベイ1内を移動し、任意のスライド棚38、コンベヤ56,58、及びバッファ60と物品を受け渡し自在である。
【0027】
図10,
図11の変形例では、一時保管装置30よりも高い位置に設けられたグリッドバッファシステム100を用いる。102は縦横に走行レールを組み合わせたグリッド状のレールで、台車104は縦横の走行レールに沿ってグリッド状の走行レール102を縦横に走行自在で、カセットを昇降させるホイストを備えている。そしてスライド棚38の上部及びコンベヤ56,58の上部では、縦横の走行レールの間を通すように、カセットを昇降させて受け渡しする。またスライド棚38とコンベヤ56,58の上部以外の位置では、縦横の走行レールの下方に棚106が設けられて、カセットを一時保管する。なお棚106は設けなくても良い。
【0028】
図12,
図13の変形例では、一時保管装置30よりも高い位置に設けられた無人搬送車システム110を用い、その床面111には孔がメッシュ状等に多数設けられて、クリーンエアの流れを遮断しないようにしてある。そして移載装置を備える無人搬送車112が床面111上を走行し、スライド棚38及びコンベヤ56,58との間で、カセットを搬送する。114は無人搬送車システム110のバッファで、無人搬送車112がカセットを受け渡し自在な高さに配置されているが、バッファ114は設けなくても良い。