【課題を解決するための手段】
【0005】
解決策として、請求項1および4の特徴を備えた装置、ならびに請求項6〜8の特徴を備えた方法が提案される。この他の有利な実施例を、以下の説明および従属請求に示す。これに関して、本発明の根底には、ロール自体の安定化により、目的に向けて課題を追及することができるという基本的な認識がある。
【0006】
解決策として、装置方向に連続して構成された、それぞれ少なくとも1本のロールを装着するロールスタンドを備えた、長手方向にスリットが入った管を平面材料から連続成形する装置が提案され、この装置は、ロールスタンドのうちの少なくとも1つが、1つのロールキャリアを備え、このロールキャリアが、装置方向に連続して構成された少なくとも3本のロールを装着し、また、回転自由度を有するロール配列手段を介して、ロールキャリアに装着されたロールの少なくとも1つのロール軸に対して平行に、および/または、ロールキャリアに装着された少なくとも1本のロールの材料進行方向に対して垂直に、ロールキャリアを装着するロールスタンドに自由に支持されていることを特徴とする。これにより、ロールキャリアに装着されたロール、または、平面材料に対し連続的に作用するロールの局部的な接触圧を平面材料にできるだけ均一に配分し、また特に不安定性を大幅に低減することができる。特に、欧州特許第0 976 468 B1号明細書に記載される装置と比べて、振動およびこれに類する不安定性に起因する荷重ピーク、ならびにそれに応じて製品にロールマークが付くのを防止することができる。これに関して、自由に配列されているロールキャリアに構成されている3本もしくはそれ以上のロールによって、または、相互に自由に配列されている3本もしくはそれ以上のロールによって、成形されるべき材料に見受けられる成形されるべき材料の波またはその他の凹凸が、それ以上増進しないこと、またその理由として、第3のロールがこのような波またはその他の凹凸にぶつかると、2本のロール同士および第3のロールが安定することが明らかとなっている。
【0007】
特に、ロールキャリアが、前述の回転自由度に関して、ロールスタンドに自由に支持されている場合に有利である。それに応じて、平面材料に対し連続的に作用する3本のロールを相対的に自由に配列できる場合に有利である。このように、圧延荷重をできるだけ均一に2本のロールに分散させることができるため、2本のロールのうちの1本によって平面材料に加えられる力を最小限にすることができ、それに応じて、ロールマークが付く危険が最小限に抑えられる。
【0008】
自由な配列または自由な支持は、例えば、ロールキャリアのシーソー型の支持によって、または油圧ベアリングによってでも、油圧平衡という形で実現することができる。
【0009】
それに応じて、連続的に作用する2本のロールが一緒に運ばれている場合、これらをこのように比較的容易に相対的に自由に配列することができるので、有利である。
【0010】
本明細書において、「ロールスタンド」という言葉は、圧延荷重を受け止め、さらに、圧延時にロール位置が所定の範囲内に保たれるようにこの荷重に対抗する構成と理解されることが強調されよう。これに関して、圧延荷重は、一方では装置を取り囲む構造に伝わるか、または、好ましくは、相応に環状に、もしくはその他の方法で同様に閉鎖されたロールスタンドを介して中和することができる。
【0011】
前述した解決策において、ロールキャリアの自由な配列が可能であることにより、2本のロールの軸は、固定して互いに連結されているものの、その一方で、荷重差が、自由な配列性を介して調製されるため、この2本のロールの圧延荷重が平均化され、したがって、トルクがかからない状態でロールスタンドに伝わることになる。
【0012】
それに応じて、長手方向にスリットが入った管を平面材料から連続成形する方法も提案される。この方法では、平面材料が、連続的に複数のロール構成に沿って運ばれ、相応に曲げられ、さらに、この方法は、平面材料に対し連続的に作用する少なくとも3本のロールの圧延荷重が、平均化されてロールスタンドに伝えられること、および/または、連続的に作用する3本のロールが、相対的に自由に配列されていることを特徴とする。
【0013】
圧延荷重が平面材料に点状に作用しないようにすることで製品にロールマークが付くのを防止するために、ロール直径を比較的大きくして作業する必要のある先行技術とは異なり、3本もしくはそれ以上のロールをロールキャリアに構成することにより、または、ロールスタンドに伝わる圧延荷重を平均化することにより、小さめのロールを密に連続して構成することができるため、必然的にその断面積が純粋にその大きさに応じてすぐにふさがれてしまっている大きめのロールと比べると、小さめのロールは、最終的に、平面材料にかかる局部的な荷重を小さくすることが可能であろう。特に、振動およびこれに類する不安定性の危険を低減することも可能である。それ自体そもそも過剰に見えることが、円滑な動きの向上に非常に役立つため、これにより非常に効果的にロールマークを防止することができる。
【0014】
好ましくは、平面材料に対し連続的に作用する2本のロールが、一緒にピボットヒンジ留めされていることにより、本質的に1本のロールのように機能する。
【0015】
さらに、本明細書においては、「装置方向」という用語は、装置を通る材料の平均的な進行方向を意味する。これに関して、装置方向が横方向に対して垂直であり、横方向は、基本的に、同時に装置を通り抜ける平面材料の断面によって規定される。それに応じて、「装置方向に連続して」という用語は、平面材料の断面によって連続的に通過される構成を意味する。
【0016】
このような装置では、材料進行方向は平均化されておらず、そのつど局部的であり、そのつど平面材料の点の動きによって、局部的に規定されている。このような圧延工程で生じる自然の振動または不規則な作動は別として、装置を稼働させると、材料進行方向は、常に装置の一点にとどまる。
【0017】
好ましくは、ロールキャリアに装着された3本のロールが、材料進行方向に連続して構成されていることにより、装置方向に連続して構成された2本のうちの第1のロールに接触する平面材料の少なくとも1つの質点が、装置方向に連続して構成された2本のうちの第2のロールにも接触する。しかしながら、この接触は、必ずしも2本のロールの軸方向の高さが同じ状態で起こる必要はないため、キャリアが、材料進行方向に関してわずかに傾いていてもよい。このように、共通のロールキャリアを介して加えられる圧延荷重が、平面材料により広く分散され得る。
【0018】
これに関して明らかとなるのは、1つのロールキャリアが、装置方向に連続して構成されるロールを最大10本装着すること、または、平面材料に対し連続的に作用する最大10本のロールの圧延荷重が、平均化されてロールスタンドに伝えられる、および/または、連続的に作用する最大10本のロールを、相対的に自由に配列する必要があるということであり、それは、そうでないと、自由なロール配列の利点またはそれに応じた平均化が、発揮されなくなるからである。
【0019】
さらに、ロールマークが付く危険は、ロールキャリアが、回転自由度を有するロール配列手段を介して、ロールキャリアに装着されたロールのロール軸に対して垂直に、および/または、このロール軸に属するロールの材料進行方向に対して平行に、ロールキャリアを装着するロールスタンドに構成されていることにより軽減することができる。このように、同様に荷重のできるだけ均一な分散を保障するために、このように、ロールキャリアに構成されたロールを、平面材料の局部的な湾曲に対して、横方向にできるだけ最適に配列することができる。
【0020】
後者は、ロールキャリアが、回転自由度に関して、ロールキャリアに装着されたロールのロール軸に対して垂直に、および/または、このロール軸に属するロールの材料進行方向に対して平行に、ロールキャリアを装着するロールスタンドに自由に支持されている場合に、とりわけ非常に簡単な手順で実行することができる。この自由な支持により、ロールキャリアを、断面において、ロールに作用する荷重が最小限に抑えられるように配列することができ、これにより結果的に、それに応じて、局部的な荷重が最小限に抑えられ、したがって、それに応じて、ロールマークが低減される。これに関して、言うまでもなく、この実施例は、ロールキャリアの使用に関係なく、同じく、ロールを、平面材料の断面に関して、独立して、できるだけ材料に優しく配列するために使用することができる。
【0021】
それに応じて、装置方向に連続して構成された、それぞれ少なくとも1本のロールを装着するロールスタンドを備えた、長手方向にスリットが入った管を平面材料から連続成形する装置は有利であり、この装置では、ロールのうちの少なくとも1つが、回転自由度を有するロール配列手段を介して、ロール軸に対して垂直に、および/または、このロール軸に属するロールの材料進行方向に対して平行に、または、ロールキャリアに装着されたロールの材料進行方向に対して平行に、ロールを装着するロールスタンドに自由に支持されている。
【0022】
同様に、長手方向にスリットが入った管を平面材料から連続成形する方法は、解決策として有利であり、この平面材料は、連続的に複数のロール構成に沿って運ばれ、相応に曲げられ、さらに、この方法は、少なくとも1本のロールが、そのロール軸に対して垂直に、および/または、このロールの材料進行方向に対して平行に、自由にそれぞれの圧延荷重に従うことを特徴とする。
【0023】
総じて、装置全体の適切な実施例における自由な配列性は、装置が、比較的容易に配列または配置され得るという利点も有する。というのも、配列または設定を変更すると、加工材料と管との中間にある、長手方向にスリットが入った管を連続成形するための加工材料が比較的複雑に変形することから、ガイドが固定されていると、角度偏移がほぼ回避できないが、自由な配列性により、この角度偏移が、相応する範囲内で自動的に調製される。この利点が生まれるのは、ある寸法においてのみ、配列性が自由であるときであり、ロール軸に対して垂直および平行、または、材料進行方向に対して垂直および平行という自由な配列性の組合せは、先に説明したように、相応に複合的に有利である。
【0024】
上述の回転自由度は、適切なガイドにより、または装置のピボットジョイントまたはボールジョイントにより調達することができる。これに関して、上述の2つの回転自由度が、それぞれ個別のガイド装置または個別のピボットジョイントで具現される場合、通常、機械の構造上、より容易に実行することができる。これは、円環状の支持面を備えたピボットジョイントにより、構造上、特に容易に機能し、この支持面は、例えば、可動部品のジョイントヘッドを装着したジョイントボルトをフォークにはめ込むことにより、実現することができる。これに対し、この構造上の単純さには、具体的な実状に応じて、回転軸も、ジョイントボルトに対して同軸上になければならないという短所がある。このとき、適切なガイド、例えば、湾曲した接触面を有する線形ガイドにより、より自由度が向上する。このような構成により、各部品のはるかに複雑な一連の動作を相互に実現することができるため、特に、回転軸も自由に選択することができ、また、一連の動作がより複雑な場合は、相互に可動な部品の配列位置に依存していても、移動可能に選択することができる。
【0025】
この関連において、構造上の観点から、適切な支持体として、各種の転がり軸受および滑り軸受を使用できることが強調される。
【0026】
上述した回転自由度の回転軸の位置に応じて、構成全体が、ピボットジョイントまたはガイドに対して、バランスが不安定な状態になることがあることから、特に、圧延荷重が大きい場合には、構成がガイドの高さまたはピボットジョイントの高さで折れる危険があり、これは、例えば工程に固有の振動またはこれに類するものにより引き起こされることがある。この危険を最小限に抑えるために、一方で、その直径の半分よりも幅広く、特に、そのうえさらに、その直径よりも幅広いロールを選択することができる。このような幅広いロールを採用することは、それ自体、ロールマークを防止または最小限に抑えるために、できるだけ直径の大きなロールを使用するという先行技術の努力とは正反対であり、場合によっては連続して構成された、複数の小さめのロールに圧延荷重を分散するという、冒頭に記述した解決策にそのまま一致している。その他の点では、このような幅広いロールにより、ロールを材料進行方向に連続して構成すること、およびこのときに補正することも容易となる。
【0027】
このような不安定状態の1つに対抗するための別の対策として、ロール配列手段は、少なくとも1つの配列位置において、1つの回転軸を有することができ、この回転軸が、ロール配列手段の1つの配列位置において、回転自由度に対し、対応するロールから見て、平面材料の向こう側に具現されている。これにより、ロール自体が安定し、その結果、工程に固有の動作の不規則性が、最終的に、そのつどロールによって安定され得る。
【0028】
言うまでもなく、このように具現される回転軸、および上述したロールの直径と長さの比率は、装置方向に連続して構成された、それぞれ少なくとも1本のロールを装着するロールスタンドを備えた、もしくは、連続的に複数のロール構成に沿って運ばれ、相応に曲げられる平面材料を備えた、長手方向にスリットが入った管を平面材料から連続成形する装置、または方法について、同じく本発明のその他の特徴とは独立して利点がある。
【0029】
それに応じて、ロールが、対応するロールから見て平面材料の向こう側に具現される回転軸を備える少なくとも1つの配列位置において、そのロール軸に対して垂直に、かつこのロールの材料進行方向に対して平行に、それぞれの圧延荷重に従う場合にも利点がある。
【0030】
特に、ロールが平面材料に対し連続的に作用する場合、上に説明する利点を実現するために、2本のロールが、好ましくは、連続的に作用する2本のロールから見て平面材料の向こう側に具現される回転軸を備える少なくとも1つの配列位置において、運ばれている。
【0031】
その他の点では、言うまでもなく、ロールから見て平面材料の向こう側に具現される回転軸が、必ずしもすべての配列位置において、および必ずしも上述の2つの回転自由度に対して設定されている必要はない。これは、とりわけ、例えば圧延荷重、ロールの形状、予想される動作の不規則性といったその他の工程パラメータに依存する。
【0032】
動作の規則性を向上させるために、また特に、ロールまたはロールキャリアを自由に配列した際の安定性を向上させるためにも、運動方向に作用するバネ構成、または、それに応じたロール配列手段のバネ装置を設定することができ、それにより、ロールまたはロールキャリアが、常にゼロ位置に向かう。このために、特に、各種機械バネを使用することができる。しかしながら、同様に、油圧バネもしくは空気バネ装置も、それに応じて考慮される。特に、平面材料を交換する際、新しい平面材料を簡単に装置に入れることができるということが、このように、比較的容易に保証され得る。
【0033】
言うまでもなく、前述の特徴、または請求項に記載される解決策は、利点を相応に複合的に実行することができるように、場合によっては組み合わせることも可能である。