特許第6048731号(P6048731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048731
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20161212BHJP
   G01S 15/93 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G01S7/524 Q
   G01S15/93
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-214718(P2012-214718)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-6234(P2014-6234A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-122373(P2012-122373)
(32)【優先日】2012年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】山内 規裕
(72)【発明者】
【氏名】山内 一將
【審査官】 請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−234279(JP,A)
【文献】 特開2002−277545(JP,A)
【文献】 特開平01−170885(JP,A)
【文献】 特開昭62−091876(JP,A)
【文献】 特開昭56−026273(JP,A)
【文献】 米国特許第06364838(US,B1)
【文献】 特開2005−056336(JP,A)
【文献】 特開平10−039016(JP,A)
【文献】 特開昭62−070779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72 − 1/82
3/80 − 3/86
5/18 − 5/30
7/52 − 7/64
15/00 − 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波のパルスを送信パルスとして送信すると共に、この送信パルスの障害物からの反射波を受信パルスとして受信する送受信手段と、
前記送受信手段による送信パルス及び受信パルスの送受信を制御する制御手段と、
前記制御手段により所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、前記所定回数繰り返して受信した場合に、障害物が有るという検知結果を確定する検知手段とを備えた障害物検知装置において、
前記検知手段は、障害物の有無に加えて、障害物までの距離を検知し、
前記制御手段は、前記所定回数繰り返して送信する送信パルスのうち、2つ以上の送信パルスを、該2つ以上の送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに連続して送信し、前回送信した送信パルスの数に対する受信パルスの数、及び前記検知手段により検知された障害物までの距離に応じて、次の送信パルスの送信時に、前記2つ以上の送信パルスを連続して送信するか否かを決定することを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記送受信手段を用いて、前記2つ以上の送信パルスの各々を識別可能な状態にして送信することを特徴とする請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスの各々を、異なるパルス幅で送信することを特徴とする請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスの各々を、異なる送信周波数で送信することを特徴とする請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
前記受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出し、前記検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間よりも長く、かつ、前記第1の閾値期間よりも長い第2の閾値期間未満の期間であるときに、この検波データを障害物からの反射波に相当する信号に対応した検波データとみなすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の障害物検知装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスを連続して送信したときに、これらの送信パルスに対する受信パルスの数が、前記送信した2つ以上の送信パルスの数よりも少ない場合は、次の送信パルスの送信時に、送信パルスを1つずつ送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の障害物検知装置。
【請求項7】
前記送受信手段により受信した超音波の受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出す検波手段と、
前記検波手段により取り出された信号を、時系列に沿った検波データとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された各時点の検波データのうち、前記所定回数送信される各送信パルスの送信間隔だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算を行う論理積演算手段とをさらに備え、
前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された全検波データについて、前記論理積演算手段による論理積演算を行って、この演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが、第3の期間よりも長い期間連続して存在するときに、障害物が有るという検知結果を確定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の障害物検知装置。
【請求項8】
前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された全検波データについて、前記論理積演算手段による論理積演算を行って、この演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが連続して存在する期間が、前記第3の期間よりも長く、かつ、前記第3の期間よりも長い第4の期間未満であるときに、障害物が有るという検知結果を確定することを特徴とする請求項7に記載の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を送信し、送信した超音波の反射波に基づいて、障害物の有無を検知する障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1つ以上の超音波センサを有し、これらの超音波センサにより障害物の検知を行う障害物検知装置がある。この障害物検知装置では、上記の1つ以上の超音波センサ及び送受信回路が、超音波のパルスを送信パルスとして送信すると共に、この送信パルスの障害物からの反射波を受信パルスとして受信して演算部(図1における演算検知回路に相当)に送る。演算部は、送受信回路から受信した受信パルスに対して、まず、検波処理を行う。具体的には、送受信回路から受信した受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出す。そして、演算部は、瞬間的なノイズを除去するために、図11中の検波波形に示すように、検波ありの信号が一定の期間(tth)よりも長い期間連続して存在するときに、送信パルスの障害物からの反射波を受信した(障害物からの反射波を検知した)と判定する。図11中の検波波形は、演算部における検波処理後の信号の波形を示す。この図に示される例では、検波波形における信号のうち、閾値期間(tth)以下の期間(δtr1)しか存在しない信号S101が、ノイズとして除去される。一方、閾値期間(tth)よりも長い期間(δtr2)連続して存在する信号S102が、障害物からの反射波に相当する信号として検知される。
【0003】
次に、従来の超音波センサを用いた障害物検知装置における検知(結果)の確定方法について、図12を参照して説明する。ここでは、4つの超音波センサ(図では、単にセンサA〜Dと記載)を用いて障害物を検知する場合の例について説明する。このように4つの超音波センサを有する場合、従来の障害物検知装置では、障害物の検知に使用する超音波センサを、超音波センサAから超音波センサDまで順番に切り替えながら、障害物の検知をしていく。
【0004】
従来の障害物検知装置は、各超音波センサA〜Dを用いた検知において、外乱からのノイズを除去して信頼性を向上させるために、超音波のパルスの送受信を所定回数繰り返し、所定回数連続で障害物を検知した場合(所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数繰り返して受信した場合)に限り、障害物が有るという検知結果を確定(障害物の有無の検知を確定)していた。図12に示される例の場合、従来の障害物検知装置は、超音波センサBから送信した送信パルスpB1に対する受信パルスP1を受信すると、さらに3回繰り返して超音波のパルスの送受信を行い、送信された送信パルスに対する受信パルスを、合計で4回繰り返して(4回連続して)受信した場合(4つの送信パルスpB1〜pB4に対する受信パルスP1〜P4を全て受信した場合)に、障害物が有るという検知結果を確定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−106595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
けれども、図12に示されるように、所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数繰り返して受信した場合に限り、障害物が有るという検知結果を確定する方式では、以下の問題がある。すなわち、この方式において、図12に示されるように、送信パルスに対する受信パルスの受信を待って、次の送信パルスを送信するようにした場合には、特に検知距離が長距離の場合(障害物が遠くにある場合)に、検知結果の確定に要する時間(以下、「検知確定時間」という)が長くなる。例えば、図12に示される例の場合、1つの送信パルスの送信時間が0.25ms、送信パルスの送信後における受信パルスの受信待ち時間が35msとすると、この障害物検知装置における、超音波センサA〜Dを用いた検知確定時間の合計は、(0.25ms+35ms)×7=246.75msになる。
【0007】
この種の装置の分野において、一定の時間間隔で複数の超音波パルスを発射して、発射した複数のパルスのうちから、大気の影響を受けずに反射してきた、少なくとも一つの反射パルスを受信したときに、車両があると検知する駐車違反警告装置が知られている(特許文献1参照)。この駐車違反警告装置は、発射した複数のパルスのうち少なくとも一つの反射パルスを受信したときに、車両(検知対象物)があると検知するので、上記図12に示される障害物検知装置と比べて、検知確定時間を短くすることが可能であるかもしれない。けれども、特許文献1に記載された装置では、発射した複数のパルスのうち一つの反射パルスしか受信できなかった場合でも、検知対象物があると検知するので、外乱からのノイズを除去することができず、検知の信頼性が低い。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、検知の信頼性が高く、しかも、検知確定時間を短くすることが可能な障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の障害物検知装置は、超音波のパルスを送信パルスとして送信すると共に、この送信パルスの障害物からの反射波を受信パルスとして受信する送受信手段と、前記送受信手段による送信パルス及び受信パルスの送受信を制御する制御手段と、前記制御手段により所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、前記所定回数繰り返して受信した場合に、障害物が有るという検知結果を確定する検知手段とを備えた障害物検知装置において、前記検知手段は、障害物の有無に加えて、障害物までの距離を検知し、前記制御手段は、前記所定回数繰り返して送信する送信パルスのうち、2つ以上の送信パルスを、該2つ以上の送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに連続して送信し、前回送信した送信パルスの数に対する受信パルスの数、及び前記検知手段により検知された障害物までの距離に応じて、次の送信パルスの送信時に、前記2つ以上の送信パルスを連続して送信するか否かを決定することを特徴とする。
【0010】
この障害物検知装置において、前記制御手段は、前記送受信手段を用いて、前記2つ以上の送信パルスの各々を識別可能な状態にして送信することが好ましい。
【0011】
この障害物検知装置において、前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスの各々を、異なるパルス幅で送信することが好ましい。
【0012】
この障害物検知装置において、前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスの各々を、異なる送信周波数で送信することが好ましい。
【0013】
この障害物検知装置において、前記受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出し、前記検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間よりも長く、かつ、前記第1の閾値期間よりも長い第2の閾値期間未満の期間であるときに、この検波データを障害物からの反射波に相当する信号に対応した検波データとみなすことが好ましい。
【0014】
この障害物検知装置において、前記制御手段は、前記2つ以上の送信パルスを連続して送信したときに、これらの送信パルスに対する受信パルスの数が、前記送信した2つ以上の送信パルスの数よりも少ない場合は、次の送信パルスの送信時に、送信パルスを1つずつ送信することが好ましい。
【0016】
この障害物検知装置において、前記送受信手段により受信した超音波の受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出す検波手段と、前記検波手段により取り出された信号を、時系列に沿った検波データとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された各時点の検波データのうち、前記所定回数送信される各送信パルスの送信間隔だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算を行う論理積演算手段とをさらに備え、前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された全検波データについて、前記論理積演算手段による論理積演算を行って、この演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが、第3の期間よりも長い期間連続して存在するときに、障害物が有るという検知結果を確定することが好ましい。
【0017】
この障害物検知装置において、前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された全検波データについて、前記論理積演算手段による論理積演算を行って、この演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが連続して存在する期間が、前記第3の期間よりも長く、かつ、前記第3の期間よりも長い第4の期間未満であるときに、障害物が有るという検知結果を確定することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の障害物検知装置によれば、所定回数繰り返して送信する送信パルスのうち、2つ以上の送信パルスを、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信するようにした。これにより、本発明のように、所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数繰り返して受信した場合に、障害物が有るという検知結果を確定する方式の障害物検知装置において、従来のように、送信パルスに対する受信パルスの受信を待って、次の送信パルスを送信するようにした場合と比べて、検知確定時間を短くすることができる。
【0019】
しかも、本発明の障害物検知装置によれば、所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数繰り返して受信した場合に、障害物が有るという検知結果を確定する方式を採用したことにより、外乱からのノイズを除去することができるので、特許文献1の装置と比べて、障害物検知の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る障害物検知装置の電気的ブロック構成図。
図2】同障害物検知装置による障害物の有無の検知結果の確定方法の説明図。
図3】同障害物検知装置におけるノイズ除去処理の説明図。
図4】本発明の第2の実施形態の障害物検知装置による障害物の有無の検知結果の確定方法の説明図。
図5】本発明の第3の実施形態の障害物検知装置による障害物の有無の検知処理全体のフローチャート。
図6】同障害物検知装置における各超音波センサを用いた障害物の検知処理のフローチャート。
図7図6中のS13の長距離モード検知処理のフローチャート。
図8】(a)は、長距離モード検知処理時における通常のパルスの送受信のタイミングを示す図、(b)は、長距離モード検知処理時において近距離マスク時間内に最初の受信パルスを受信したときのパルスの送受信のタイミングを示す図。
図9図6中のS14、及び図7のS26の短距離モード検知処理のフローチャート。
図10】本発明の第4の実施形態の障害物検知装置による障害物の有無の検知結果の確定方法の説明図。
図11】従来の障害物検知装置におけるノイズ除去処理の説明図。
図12】従来の障害物検知装置による障害物の有無の検知結果の確定方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態による障害物検知装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による障害物検知装置の電気的ブロック構成を示す。障害物検知装置1は、4つの超音波センサA〜Dと、これらの超音波センサA〜Dによる超音波のパルスの送受信を行うための送受信回路3とを備えている。送受信回路3は、超音波センサA〜Dにおける振動子を駆動する送波駆動回路と、超音波センサA〜Dから出力された受信パルスを増幅する受波増幅回路とを備えている。超音波センサA〜D及び送受信回路3は、請求項における送受信手段に相当する。超音波センサA〜D及び送受信回路3は、超音波のパルスを送信パルスとして送信すると共に、この送信パルスの障害物からの反射波を受信パルスとして受信し、受信した受信パルスを増幅する。
【0022】
また、障害物検知装置1は、演算検知回路4(検知手段、ノイズ除去手段、検波手段、論理積演算手段)と、制御回路5(制御手段)と、制御プログラムや後述する検波データ等のデータを記憶するメモリ6(記憶手段)とを備えている。演算検知回路4は、送受信回路3から出力された受信パルスに基づいて、障害物の有無の検知、及び障害物までの距離の検出を行う。制御回路5は、送受信回路3(及び超音波センサA〜D)による送信パルス及び受信パルスの送受信を制御する。上記の演算検知回路4と制御回路5とメモリ6とは、マイコン2から構成されている。
【0023】
次に、本障害物検知装置1による障害物の有無の検知(結果)の確定方法について、図2を参照して説明する。本障害物検知装置1においても、図12で説明した従来の障害物検知装置と同様、障害物の検知に使用する超音波センサA〜D(図では、単にセンサA〜Dと記載)を、超音波センサAから超音波センサDまで順番に切り替えながら、障害物の検知をしていく。また、本障害物検知装置1においても、図12で説明した従来の障害物検知装置と同様、各超音波センサを用いた検知において、超音波のパルスの送受信を所定回数繰り返し、所定回数連続で障害物を検知した場合に限り、障害物が有るという検知結果を確定する。具体的に言うと、障害物検知装置1は、4回繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、4回繰り返して受信した場合(4回繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを全て受信した場合)に、障害物が有るという検知結果を確定する。
【0024】
ただし、本障害物検知装置1は、図12で説明した従来の障害物検知装置と異なり、所定回数繰り返して送信する送信パルスのうち、2つ以上の送信パルスを、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信する。具体的に言うと、本障害物検知装置1は、超音波センサBから4回繰り返して送信する送信パルスpB1〜pB4のうち、2つの送信パルスpB1、pB2を、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスpB1に対する受信パルスP1の受信を待たずに、連続して送信する。また、本障害物検知装置1は、超音波センサBから4回繰り返して送信する送信パルスpB1〜pB4のうち、2つの送信パルスpB3、pB4を、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスpB3に対する受信パルスP3の受信を待たずに、連続して送信する。
【0025】
本障害物検知装置1では、上記のように、4回繰り返して送信する送信パルスpB1〜pB4のうち、2つの送信パルスpB1、pB2(又はpB3、pB4)を、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスpB1(又はpB3)に対する受信パルスP1(又はP3)の受信を待たずに、連続して送信するようにした。これにより、従来のように、送信パルスに対する受信パルスの受信を待って、次の送信パルスを送信するようにした場合と比べて、検知結果の確定に要する時間(以下、「検知確定時間」という)を短くすることができる。
【0026】
例えば、図2に示される例の場合、1つの送信パルスの送信(送波)時間が0.25ms、連続して送信する2つの送信パルスの間隔が0.5ms、連続した2つの送信パルスの送信後における受信パルスの受信待ち時間が35msとすると、本障害物検知装置1における、超音波センサA〜Dを用いた検知確定時間の合計は、(0.25ms+0.5ms+0.25ms+35ms)×5=180msになる。従って、本障害物検知装置1における検知確定時間の合計は、図12に示される従来の障害物検知装置における検知確定時間の合計(246.75ms)と比べて、短くなっている。
【0027】
しかも、本実施形態の障害物検知装置1によれば、所定回数(4回)繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数(4回)繰り返して受信した場合に、障害物が有るという検知結果を確定する方式を採用した。これにより、外乱からのノイズを除去することができるので、特許文献1の装置と比べて、障害物検知の信頼性を高めることができる。
【0028】
次に、本障害物検知装置1の演算検知回路4において行われるノイズ除去処理について説明する。演算検知回路4は、送受信回路3から受信パルスを受信すると、受信パルスに対して、まず、検波処理を行う。具体的には、送受信回路3から受信した受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出す。より詳細に言うと、演算検知回路4は、送受信回路3から所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを受信しているときに、検波ありの信号を出力し、送受信回路3から所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを受信していないときに、検波なしの信号を出力する。そして、演算検知回路4は、上記の検波ありの信号と検波なしの信号とを、時系列に沿った検波データとしてメモリ6に保存する。これにより、メモリ6が検波データを記憶する。演算検知回路4は、障害物検知装置1による(近距離側の)測定限界距離に相当する時点から、(遠距離側の)測定限界距離に相当する時点までの(一定のサンプリング周期毎の)各検波データのメモリ6への保存を行う。そして、これらの全ての検波データのメモリ6への保存が完了すると、これらの検波データを用いて、ノイズの除去処理を行う。
【0029】
次に、図3を参照して、本障害物検知装置1におけるノイズの除去処理の詳細について詳述する。図3中の検波波形は、上記のメモリ6に保存された検波データの波形を示す。演算検知回路4は、メモリ6に保存された検波データを先頭から順次読み取る。そして、検波ありの信号に対応する(値が”1”の)検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間(tth−min)以下の期間(δtr1)である検波データSD1を除去する(検波なしの信号に対応する(値が”0”の)検波データに置き換える)。これにより、瞬間的なノイズを除去することができる。また、検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間(tth−min)よりも長い第2の閾値期間(tth−max)以上の期間(δtr3)である検波データSD3も除去する(検波なしの信号に対応する検波データに置き換える)。これにより、ブレーキ音のような、(障害物からの反射波に比べて)長時間にわたるノイズも除去することができる。なお、上記の第1の閾値期間と第2の閾値期間とが、請求項における第1の期間と第2の期間とに相当する。
【0030】
これに対して、演算検知回路4は、検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間(tth−min)よりも長く、かつ、第2の閾値期間(tth−max)未満の期間(δtr2)であるときに、この検波データSD2を、障害物からの反射波に相当する信号に対応した検波データとみなす。演算検知回路4は、このような検波データを検知したときに、障害物(からの反射波に相当する信号を検知した)と判定する。
【0031】
上記のように、本障害物検知装置1によれば、検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間以下である検波データ、及び第2の閾値期間以上である検波データを、ノイズに起因する検波データとして除去するようにした。すなわち、送受信回路3による受信パルスのうち、第1の閾値期間以下しか存在しない受信パルス、及び第1の閾値期間よりも長い第2の閾値期間以上連続して存在する受信パルスを、ノイズとして除去するようにした。これにより、瞬間的なノイズだけではなく、ブレーキ音のような長時間にわたるノイズも除去することができる。
【0032】
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態の障害物検知装置1における障害物の有無の検知(結果)の確定方法について説明する。本実施形態の障害物検知装置1は、連続して送信する2つ以上の送信パルスの各々を識別可能な状態にして送信するために、2つ以上の送信パルスの各々を、異なるパルス幅で送信する点が、第1の実施形態の障害物検知装置1と異なっている。その他の点については、第1の実施形態の障害物検知装置1と同様である。
【0033】
具体的に言うと、本実施形態では、超音波センサBから連続して送信する2つの送信パルスのうち、1つ目の送信パルス(例えばpB1)の送信(送波)時間が、0.25msに設定されているのに対して、2つ目の送信パルス(例えばpB2)の送信(送波)時間が、0.20msに設定されている。また、連続して送信する2つの送信パルスの間隔が0.5ms、連続した2つの送信パルスの送信後における受信パルスの受信待ち時間が35msに設定されている。従って、本障害物検知装置1における、超音波センサA〜Dを用いた検知確定時間の合計は、(0.25ms+0.5ms+0.20ms+35ms)×5=179.75msになる。
【0034】
本実施形態の障害物検知装置1によれば、連続して送信する2つ以上の送信パルス(例えば、pB1、pB2)の各々を識別可能な状態にして送信することができる。これにより、連続して送信された2つの送信パルスに対する2つ以上の受信パルスの各々が、どちらの送信パルスに対応する受信パルスであるかを判別することができる。ここで、2つの送信パルス(例えば、pB1、pB2)が連続して送信された後に、2つ以上の受信パルスを受信したときでも、連続して送信された2つの送信パルスに対する受信パルスを全て受信したとは限らない。何故なら、障害物がある場合には、通常、1つの送信パルスに対する受信パルスは、1つとは限らない(複数の場合も多い)からである。従って、上記のように、連続して送信された2つの送信パルスに対する受信パルスの各々が、どちらの送信パルスに対応する受信パルスであるかを判別できるようにしたことにより、2つの送信パルスに対する受信パルスを全て受信したか否かを正確に判定できる。これにより、上記第1の実施形態の障害物検知装置1と比べて、障害物検知の信頼性をより高めることができる。
【0035】
本実施形態では、連続して送信する2つ以上の送信パルス(例えば、pB1、pB2)の各々を、異なるパルス幅で送信したが、連続して送信する2つ以上の送信パルスの各々を、異なる送信周波数で送信してもよい。この方法でも、連続して送信する2つ以上の送信パルス(例えば、pB1、pB2)の各々を識別可能な状態にして送信することができる。
【0036】
次に、図5乃至図9を参照して、本発明の第3の実施形態の障害物検知装置1における障害物の有無の検知方法について説明する。本実施形態の障害物検知装置1は、制御回路5が、前回送信した送信パルスの数に対する受信パルスの数、及び演算検知回路4により検知された障害物までの距離に応じて、次の送信パルスの送信時に、2つの送信パルスを連続して送信するか否かを決定する点が、上記第1及び第2の実施形態の障害物検知装置1と異なっている。その他の点については、第1の実施形態の障害物検知装置1と同様である。
【0037】
図5のフローチャートに示されるように、本障害物検知装置1は、所定の終了条件(例えば、本障害物検知装置1が設けられた車両が停止するといった障害物検知の終了条件)が成立するまで(S5でNO)、超音波センサA〜Dによる障害物の検知処理(S1〜S4)を繰り返す。
【0038】
次に、図6のフローチャートを参照して、上記図5における超音波センサA〜Dによる障害物の検知処理(S1〜S4)の詳細について説明する。各超音波センサA〜Dによる障害物の検知処理は、使用する超音波センサが異なるだけで、処理の内容は同じであるので、図6では、これらの処理を、「センサA〜D検知処理」という総称で表している。この検知処理が開始すると、制御回路5は、繰返検知回数iを初期化する(i=0にする)。そして、制御回路5は、演算検知回路4が前回検知した障害物までの距離が、50cm以上の場合は(S12でYES)、長距離モード検知処理を実行し(S13)、50cm未満の場合は(S12でNO)、短距離モード検知処理を実行する(S14)。ただし、装置の起動直後の場合は、「前回検知した障害物までの距離」が存在しないので、取り敢えず、長距離モード検知処理又は短距離モード検知処理のいずれかの検知処理を実行する。
【0039】
上記長距離モード検知処理又は短距離モード検知処理の実行後に、繰返検知回数iが、1以上4未満のときは(S15及びS16でNO)、制御回路5は、繰返検知回数iが4以上になるまで、上記S12乃至S14の処理を繰り返す。そして、制御回路5は、上記第1及び第2の実施形態の障害物検知装置1と同様に、4回繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、4回繰り返して受信した場合(繰返検知回数iが4以上になった場合(S15でYES))に、障害物が有るという検知結果を確定する(S17)。これに対して、上記長距離モード検知処理又は短距離モード検知処理の実行後に、繰返検知回数iが、0のときは(S16でYES)、制御回路5は、障害物が無いという検知結果を確定する(S17)。
【0040】
次に、図7のフローチャートを参照して、上記図6のS13における長距離モード検知処理の詳細について説明する。長距離モード検知処理では、まず、制御回路5は、上記第1及び第2の実施形態と同様に、2つの送信パルスを、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信する(S21)。そして、これらの送信パルスに対する受信パルスの数が、送信パルスの数と同じ場合(2つの場合)は(S22でYES)、繰返検知回数iに2を加算して(S23)、当処理を終える。
【0041】
これに対して、連続して送信した2つの送信パルスに対する受信パルスの数が、送信した送信パルスの数(2つ)よりも少ない場合(1つの場合)は(S22でNO、S24でYES)、繰返検知回数iを初期化した上で(S25)、送信パルスを1つずつ送信する短距離モード検知処理を4回繰り返す(S26乃至S28)。ただし、連続して送信した2つの送信パルスに対する受信パルスの数が、0の場合は(S22でNO、S24でNO)、障害物が検知できなかったということなので、繰返検知回数iを加算せずに(何も行わずに)、当処理を終える。
【0042】
次に、図8(a)(b)を参照して、上記S22及びS24の判定処理において、連続して送信した2つの送信パルスに対する受信パルスの数が、送信パルスの数よりも少ない場合(1つの場合)に、短距離モード検知処理を行う理由について説明する。以下の説明では、超音波センサBの送信パルスpB1、pB2と受信パルスP1、P2を例にして説明する。図8(a)(b)において、(1)は、超音波センサBによる送信パルスpB1、pB2の送波(送信)時間、(2)は、超音波センサB停止までの待機時間である。また、(3)、(3)’は、長距離モード検知処理と短距離モード検知処理における近距離マスク時間(超音波センサの振動子の残響振動に起因する残響信号を除去するために設けられた、振動子への駆動信号の停止後における障害物の有無を検知しない(受信パルスを無視する)期間)である。
【0043】
長距離モード検知処理を行う条件である、前回の検知距離(障害物までの距離)が50cm以上であるときには、障害物検知装置1は、通常は、図8(a)に示されるように、長距離モード用の近距離マスク時間(3)が終了してから、受信パルスP1、P2を受信する。このため、障害物検知装置1は、連続して送信した2つの送信パルスに対する受信パルスP1、P2の両方を検知することができる。
【0044】
これに対して、前回の検知時と比べて、超音波センサBから障害物までの距離が短くなった場合や、装置起動後の最初の検知の場合には、図8(b)に示されるように、長距離モード用の近距離マスク時間(3)が終了する前に、最初の受信パルスP1を受信することが起こり得る。このような場合には、受信パルスP1を検知することができず、受信パルスの数が、送信パルスの数よりも少なくなってしまう。そこで、このような場合には、上記の最初の受信パルスP1を検知することができるようにするために、図7中のS26に示されるように、長距離モード検知処理から短距離モード検知処理に移行する。短距離モード検知処理では、送信パルスの数が1つなので、長距離モード検知処理のときと比べて、近距離マスク時間(3)’(図8(b)参照)が早く開始し、早く終了するので、上記の最初の受信パルスP1を検知することができる。
【0045】
次に、図9のフローチャートを参照して、上記図6のS14、及び図7のS26における短距離モード検知処理の詳細について説明する。短距離モード検知処理では、まず、制御回路5は、図12で説明した従来の障害物検知装置と同様に、1つの送信パルスを送信する(S31)。そして、この送信パルスに対する受信パルスの数が1つの場合は(S32でYES)、繰返検知回数iに1を加算して(S33)、当処理を終える。
【0046】
これに対して、送信パルスに対する受信パルスの数が0の場合は(S32でNO)、制御回路5は、短距離モードでは送信パルスの送信後における受信パルスの受信待ち時間が短いので、受信パルスを検知できなかったと判断して、短距離モードよりも受信待ち時間が長い長距離モードの検知処理に移行する。具体的には、繰返検知回数iを初期化した上で(S34)、2つの送信パルスを連続して送信する長距離モード検知処理を2回繰り返す(S35乃至S37)。
【0047】
上記のように、長距離モード検知処理では、2つの送信パルスを、最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信し、短距離モード検知処理では、送信パルスを1つずつ送信するようにした理由は、以下の通りである。すなわち、本障害物検知装置1のように、所定回数繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスを、所定回数繰り返して受信した場合に限り、障害物が有るという検知結果を確定する方式では、特に検知距離が長距離の場合に、検知確定時間が長くなる。
【0048】
そこで、本障害物検知装置1は、長距離モード検知処理では、2つの送信パルスを連続して送信することで、検知確定時間の短縮を優先し、短距離モード検知処理では、送信パルスを1つずつ送信する、実績の大きな従来の検知方法を採用した。そして、検知距離に応じて、長距離モード検知処理と短距離モード検知処理とを切り替えるようにした。これにより、短距離モード検知処理に比べて検知確定時間が長くなる長距離モード検知処理のときに、検知確定時間の短縮を図ることができ、また、短距離モード検知処理のときに、実績の大きな従来の検知方法を採用することにより、検知の信頼性を高めることができる。
【0049】
次に、図10を参照して、本発明の第4の実施形態の障害物検知装置1による障害物の有無の検知結果の確定方法について説明する。図中におけるT1〜T4は、それぞれ4つの送信パルスに対応する検波データ(いわゆる直接波の検波データ)の集合を示し、R1〜R4は、これらの送信パルスに対する受信パルスの検波データの集合を示す。本実施形態の障害物検知装置1は、メモリ6に記憶された各時点の検波データのうち、(4回送信される)各送信パルスの送信間隔だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算を行う。そして、この演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが連続して存在する期間が、第3の閾値期間(tth−min)よりも長く、かつ、第4の閾値期間(tth−max)未満であるときに、障害物が有るという検知結果を確定する。本実施形態の障害物検知装置1は、上記の点が、第1の実施形態の障害物検知装置1と異なっており、その他の点については、第1の実施形態の障害物検知装置1と同様である。なお、上記の第3の閾値期間と第4の閾値期間とが、請求項における第3の期間と第4の期間とに相当する。
【0050】
具体的に説明すると、本障害物検知装置1は、各超音波センサA〜Dを用いた障害物検知において、(検波データT1〜T4に対応する)4つの送信パルスを、これらの送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、所定の時間間隔を空けて連続して送信する。ただし、各送信パルスの送信間隔(図中のa〜cに相当する送信間隔)は、互いに異なっている。
【0051】
上記の送信パルスの送信後、送受信回路3から受信パルスが送られてくると、演算検知回路4は、第1の実施形態の場合と同様に、受信した受信パルスのうち、所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを、検波ありの信号として取り出す。より詳細に言うと、演算検知回路4は、送受信回路3から所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを受信しているときに、検波ありの信号を出力し、送受信回路3から所定の閾値以上の振幅を有する受信パルスを受信していないときに、検波なしの信号を出力する。そして、演算検知回路4は、上記の検波ありの信号と検波なしの信号とを、時系列に沿った検波データとしてメモリ6に保存する。これにより、メモリ6が検波データを記憶する。なお、図中には、説明を分かり易くするために、各送信パルスに対応する検波データ(いわゆる直接波に対応する検波データ)の集合T1〜T4を示したが、これらは、メモリ6に保存されない。
【0052】
演算検知回路4は、障害物検知装置1による(近距離側の)測定限界距離に相当する時点から、(遠距離側の)測定限界距離に相当する時点までの(一定のサンプリング周期毎の)各検波データのメモリ6への保存を行う。これらの検波データは、配列Rxとしてメモリに記憶される。すなわち、各検波データは、Rx[0]〜Rx[n−1](ただし、n=格納される検波データの総数)に格納される。そして、全ての検波データのメモリ6(の配列Rx)への保存が完了すると、演算検知回路4は、メモリ6に記憶された各時点の検波データのうち、各送信パルスの送信間隔(図中のa〜cに相当する送信間隔)だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算を行う。なお、図中のa〜cは、実際には、各送信パルスの時間的な送信間隔ではなくて、各送信パルスの送信間隔に対応する検波データの数を示す。すなわち、aは、1つ目の送信パルス(T1に対応する送信パルス)と2つ目の送信パルス(T2に対応する送信パルス)との送信間隔に相当する時間に、演算検知回路4がメモリ6に保存する検波データの数を表す。また、bは、2つ目の送信パルス(T2に対応する送信パルス)と3つ目の送信パルス(T3に対応する送信パルス)との送信間隔に相当する時間に、演算検知回路4がメモリ6に保存する検波データの数を表す。そして、cは、3つ目の送信パルス(T3に対応する送信パルス)と4つ目の送信パルス(T4に対応する送信パルス)との送信間隔に相当する時間に、演算検知回路4がメモリ6に保存する検波データの数を表す。
【0053】
次に、図10を参照して、上記の各送信パルスの送信間隔だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算の具体例について説明する。論理積演算に用いられる1つ目の検知データが、図中のR[i]である場合には、この演算に用いられる2つ目の検知データは、図中のR[i]からaだけ離れた時点の検波データR[i+a]になる。また、この演算に用いられる3つ目と4つ目の検知データは、それぞれ図中のR[i+a]からbだけ離れた時点の検波データR[i+a+b]と、図中のR[i+a+b]からcだけ離れた時点の検波データR[i+a+b+c]になる。これらの検波データは、全て、検波ありの信号に対応する(値が”1”の)検波データである。従って、これらの検知データを用いた論理積演算(R[i] & R[i+a] & R[i+a+b] & R[i+a+b+c])の結果は、検波ありの信号に対応する(値が”1”の)データになる。このように、論理積演算に用いられる1つ目の検知データが、1つ目の送信パルスに対する受信パルスの検知データであるときには、その論理積演算の結果は、検波ありの信号に対応するデータになる。
【0054】
これに対して、論理積演算に用いられる1つ目の検知データが、ノイズの受信パルスの検知データであるときには、その論理積演算の結果は、検波なしの信号に対応する(値が”0”の)データになる可能性が高い。図に示す例では、論理積演算に用いられる1つ目の検知データが、ノイズの受信パルスの検知データの集合N1に含まれる検知データR[j]である場合には、この検知データR[j]自体は、検波ありの信号に対応する(値が”1”の)検波データである。けれども、2つ目〜4つ目の検知データR[j+a]、R[j+a+b]、及びR[j+a+b+c]は、検波なしの信号に対応する(値が”0”の)検波データである。このように、論理積演算に用いられる、いずれかの検知データが、ノイズの受信パルスの検知データであるときには、それ以外の検知データは、いずれも、検波なしの信号に対応する検波データである可能性が高い。従って、論理積演算に用いられる検知データに、ノイズの受信パルスの検知データが含まれる場合には、その論理積演算の結果は、検波なしの信号に対応する(値が”0”の)データになる可能性が高い。
【0055】
また、論理積演算に用いられる1つ目の検知データが、検波なしの信号に対応する(値が”0”の)検波データであるときには、その論理積演算の結果は、検波なしの信号に対応する(値が”0”の)データになる。
【0056】
演算検知回路4は、メモリ6に記憶された全検波データについて、順次、上記の各送信パルスの送信間隔(a〜cに相当する送信間隔)だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算を行い、この演算結果のデータを、メモリ6上の検波データに上書き保存していく。図10の下の部分は、メモリ6に上書き保存された検波データを示す。演算検知回路4は、この上書き保存された検波データにおける、検波ありの信号に対応する(値が”1”の)検波データが連続して存在する期間(δt)が、第3の閾値期間(tth−min)よりも長く、かつ、第4の閾値期間(tth−max)未満であるときに、障害物が有るという検知結果を確定する。なお、第3の閾値期間(tth−min)は、送信パルスに対する受信パルスに対応した検波データRが連続して存在する期間(δt)よりも十分短い値に設定されており、第4の閾値期間(tth−max)は、上記の期間(δt)よりも十分長い値に設定されている。
【0057】
本実施形態の障害物検知装置1によれば、メモリ6に記憶された各時点の検波データのうち、ランダムな間隔である、各送信パルスの送信間隔(a〜cに相当する送信間隔)だけ離れた時点の検波データ同士の論理積演算結果のデータを、検波データに上書き保存する。これにより、この上書き保存された検波データにおける、検波ありの信号に対応する検波データを、実質的に、4回繰り返して送信された送信パルスに対する受信パルスに対応した検波データ(の集合)Rのみにすることができる。従って、障害物検知の信頼性を高めることができる。また、上記の上書き保存された検波データにおける、検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第3の閾値期間tth−minよりも長く、かつ、第4の閾値期間tth−max未満であるときに、障害物が有るという検知結果を確定するようにした。これにより、ブレーキ音のような長時間にわたるノイズを含む、外乱からのノイズを除去することができる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記第1乃至第3の実施形態では、4回連続で障害物を検知した場合に限り、障害物が有るという検知結果を確定したが、障害物が有るという検知結果の確定の基準(閾値)となる連続(繰返)検知回数は、2回以上であればよい。また、上記第1及び第2の実施形態では、2つの送信パルスを、これらの送信パルスのうち最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信する場合の例を示した。けれども、最初に送信された送信パルスに対する受信パルスの受信を待たずに、連続して送信する送信パルスの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
【0059】
また、上記第3の実施形態において、第2の実施形態と同様に、連続して送信する2つ以上の送信パルスの各々を、異なるパルス幅で送信してもよいし、連続して送信する2つ以上の送信パルスの各々を、異なる送信周波数で送信してもよい。
【0060】
さらにまた、上記第1の実施形態において、検波ありの信号に対応する検波データが連続して存在する期間が、第1の閾値期間以下である検波データのみを、ノイズに起因する検波データとして除去するようにしてもよい。これにより、従来の障害物検知装置と同様に、検波波形における信号のうち、第1の閾値期間以下しか存在しない信号を、ノイズとして除去することができる。すなわち、送受信回路から受信した受信パルスのうち、第1の閾値期間以下しか存在しない受信パルスを、ノイズとして除去することができる。
【0061】
また、上記第4の実施形態において、上記の論理積演算の結果、検波ありの信号に対応するデータが、第3の閾値期間(tth−min)よりも長い期間連続して存在するときに、障害物が有るという検知結果を確定してもよい。このようにしても、周期的なノイズを含む瞬間的なノイズを除去することができる。
【0062】
また、上記第4の実施形態では、第3の閾値期間が、図3に示す第1の閾値期間tth−minと同じであり、第4の閾値期間が、図3に示す第2の閾値期間tth−maxと同じである場合の例を示した。けれども、第3の閾値期間及び第4の閾値期間は、第1の閾値期間及び第2の閾値期間と同じでなくてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 障害物検知装置
3 送受信回路(送受信手段)
4 演算検知回路(検知手段、ノイズ除去手段、検波手段、論理積演算手段)
5 制御回路(制御手段)
6 メモリ(記憶手段)
A 超音波センサ(送受信手段)
B 超音波センサ(送受信手段)
C 超音波センサ(送受信手段)
D 超音波センサ(送受信手段)
th−min 第1の閾値期間(第1の期間)、第3の閾値期間(第3の期間)
th−max 第2の閾値期間(第2の期間)、第4の閾値期間(第4の期間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12