特許第6048736号(P6048736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048736
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20161212BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20161212BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F24H1/00 Z
   F23N5/00 C
   H02J3/18
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-261510(P2012-261510)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105974(P2014-105974A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 章孝
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−087954(JP,A)
【文献】 実開昭63−077494(JP,U)
【文献】 特開昭57−202897(JP,A)
【文献】 特開昭62−189984(JP,A)
【文献】 実開昭56−025992(JP,U)
【文献】 特開2008−264165(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/124988(WO,A1)
【文献】 実開昭60−077297(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F23N 5/00
H02J 3/18
H02P 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器又は電子機器によって構成される複数の電力負荷を備え、当該電力負荷の一部又は全部に電力を供給する電源部を内蔵し、必要に応じて前記電力負荷を選択的に動作させる給湯装置において、
前記電源部は、複数の整流回路と、当該整流回路に対応して負荷との間に設けられた平滑回路と、平滑回路に接続可能な切替え用リアクタを備え、
前記電力負荷の一部又は全部が複数の負荷群に分けられていていずれかの整流回路及び平滑回路に接続されており、
リアクタ切替え手段を備え、運転状況に応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられ、
切替え用リアクタは、2以上の平滑回路の間で切り換えられるものであって、少なくともいずれかの平滑回路に接続され、一つの平滑回路に切替え用リアクタが接続されている場合には、他の平滑回路と前記切替え用リアクタが電気的に縁切りされることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記電源部は、それぞれ整流回路と平滑回路とを備えた第一電源回路と第二電源回路を有し、
前記リアクタ切替え手段は、切替え用リアクタをバイパスする第一電源回路側の第一バイパス線と、切替え用リアクタをバイパスする第二電源回路側の第二バイパス線と、切替えスイッチを有し、
前記切替えスイッチは、制御装置の制御信号によって、第一電源回路が切替え用リアクタに接続され且つ第二電源回路が第二バイパス線に接続される第一状態と、第二電源回路が切替え用リアクタに接続され且つ第一電源回路が第一バイパス線に接続される第二状態とを切り換えるものであることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
複数の運転モードがあり、当該運転モードに対応して電力負荷が選択的に動作され、
運転モードに応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置。
【請求項4】
電力負荷には、直流ファンと、直流ポンプとを含み、前記直流ファンと、直流ポンプとは別の負荷群に分けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関するものであり、特に複数の電力負荷を備え、必要に応じて前記電力負荷を選択的に動作させる給湯装置として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
給湯機能を備えた燃焼装置や、給湯機能に加えて床暖房等の暖房端末に湯水を供給可能な燃焼装置、暖房機能だけを備えた燃焼装置等が、一般家庭に広く普及している。このような燃焼装置では、1つの筺体内部に、燃焼バーナや熱交換部、排気部、燃料配管、給水配管等の配管機器に加えて、燃焼装置全体を制御する制御装置、各機器に電源を供給する電源装置や燃焼用のファン(送風機)、並びに、湯水や燃料の流通を規制する電動式の弁等の多数の電気機器が納められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、給湯装置に搭載されている電源装置としては、例えば特許文献2に開示された給湯器に示されるように、コンデンサーインプット型のものが一般的に使われている。コンデンサーインプット型の電源装置(以下、コンデンサーインプット型電源と称する)とは、ダイオードによる整流回路と、電解コンデンサによる平滑回路で構成されるものである。コンデンサーインプット型電源は、商用電源(交流電源)を容易に直流化できる簡素な回路であるため、広く普及している。
【0004】
しかしコンデンサーインプット型電源は、力率が優れないという一面を有している。ここで、周知の通り力率は、交流電力の能率に関する定義であり、皮相電力(電圧の実効値と電流の実効値の積)に対する有効電力(電気機器等の負荷で消費される電力)の割合である。
コンデンサーインプット型電源では、商用電源から入力される電流(以下、入力電流と称する)は、入力される正弦波電圧の中央付近しか流れない。その理由は、回路の特性上、整流用のダイオードが順バイアスされ、且つ平滑回路が有する電解コンデンサが充電される間しか入力電流を流すことができないためである。ダイオードが順バイアスされて入力電流が流れる時間と正弦波による電圧印加時間との割合は、導通角と呼ばれているが、この導通角が小さい程、力率が悪くなってしまう。さらに、前述のコンデンサーインプット型電源では、電解コンデンサの充電に因って起こる突入電流によって、入力電流のピーク値が上昇し、入力電流が流れる時間を減少させるため、導通角を悪化させる要因となっている。
【0005】
そのため、特許文献2の給湯器では、力率の改善を目的として、商用電源とコンデンサーインプット型電源との間にコイルで構成されたリアクタ(又はリアクトル)が設けられている。リアクタを設けることで、電解コンデンサの充電に因って起こる突入電流を、リアクトルに生じる逆起電力で軽減させることができるため、力率の悪化を改善することができる。なお、リアクタを挿入する位置としては、例えば、特許文献3の電源装置に示されるように、コンデンサーインプット型電源における整流回路と平滑回路との間であっても構わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−179713号公報
【特許文献2】特開2011−112276号公報
【特許文献3】特開2010−259153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
旧来の給湯装置においても、電磁弁等を制御する制御装置や燃焼用のファン等は直流電源式のものが用いられていたが、湯水を循環させるための循環ポンプは消費電力が大きいため交流電源式のものが用いられていた。そのため、循環ポンプは単純にON−OFFさせるだけの制御が行われ、流量調整等の細かな制御は流量調整弁等によって行われていた。これは、交流式の循環ポンプがACモータを搭載しているためであり、ACモータの回転数等を可変させるためには、例えばインバータ等の高価な制御装置が別途必要となるからであり、インバータに比べて安価な流量調整弁等が選ばれてきた。
【0008】
これに対して近年では、給湯装置に搭載する電気機器の直流電源化が急速に進んでいる。すなわち近年においては、旧来のACモータに代わってDCモータを搭載した循環ポンプを用いる傾向にある。
これは、例えば、前述のインバータに比べて安価なマイコンを搭載した制御装置等を用いることで、循環ポンプの回転数制御をPWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)制御等によって容易に行うことができるためである。その結果、従来の給湯装置よりも流量調整弁等を減らすことが可能となる。
【0009】
ところが、消費電力の大きい循環ポンプを直流化したことで、直流式の循環ポンプを搭載する給湯装置においては、力率が悪化する事態が生じた。これは、従来の給湯装置では、循環ポンプが交流式であったため、商用電源を整流せずに接続する方策が取られていたのに対し、直流式の循環ポンプに置き換えたことで、整流後の電流を循環ポンプに供給する必要が生じたためである。
また循環ポンプに直流を供給するので、従来の直流電源では容量不足となってしまった。そこで、循環ポンプ専用の直流電源が新たに必要となった。簡素な構成のコンデンサーインプット型電源を新たに追加することは容易であったが、循環ポンプ用のリアクタを追加することが困難であった。その主な理由は、コイルを巻いたリアクタは外形が大きいため、コンパクト化された給湯装置の筺体内においては設置できるスペースがないという問題である。
また新たにリアクタを追加することによるコストアップが避けられないという経済的な問題もあった。そのため、循環ポンプ専用の直流電源にリアクタを追加することができず、力率が悪化してしまうのであった。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、給湯装置が有する電気機器の直流化に伴う力率改善を実施可能な給湯装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく提供される請求項1に記載の発明は、電気機器又は電子機器によって構成される複数の電力負荷を備え、当該電力負荷の一部又は全部に電力を供給する電源部を内蔵し、必要に応じて前記電力負荷を選択的に動作させる給湯装置において、前記電源部は、複数の整流回路と、当該整流回路に対応して負荷との間に設けられた平滑回路と、平滑回路に接続可能な切替え用リアクタを備え、前記電力負荷の一部又は全部が複数の負荷群に分けられていていずれかの整流回路及び平滑回路に接続されており、リアクタ切替え手段を備え、運転状況に応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられ、切替え用リアクタは、2以上の平滑回路の間で切り換えられるものであって、少なくともいずれかの平滑回路に接続され、一つの平滑回路に切替え用リアクタが接続されている場合には、他の平滑回路と前記切替え用リアクタが電気的に縁切りされることを特徴とする給湯装置である。
【0012】
本発明の給湯装置においては、電源部は、複数の整流回路と、当該整流回路に対応して負荷との間に設けられた平滑回路と、平滑回路に接続可能な切替え用リアクタを備え、前記電力負荷の一部又は全部が複数の負荷群に分けられていていずれかの整流回路及び平滑回路に接続されている。つまり、本発明では、電力負荷が複数の負荷群に分けられており、各負荷群にそれぞれ整流回路と平滑回路とを備えている。本発明では、負荷群毎に専用の電源回路(整流回路と平滑回路)を備えていると言える。
また本発明の給湯装置では、リアクタ切替え手段を備え、運転状況に応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられる。
すなわち本発明の給湯装置では、各負荷群の消費する電力量(運転状況)に応じて、切替え用リアクタが接続される電源回路を選択することが可能である。例えば、給湯装置が負荷として直流ポンプと直流ファンを備えている場合に、直流ファンだけを運転させる際には直流ファンに電力を供給する電源回路(平滑回路)に切替え用リアクタを接続する。一方、直流ポンプと直流ファンが同時に稼働する際には、電力消費量の大きい直流ポンプに電力を供給する電源回路(平滑回路)に切替え用リアクタを接続することができる。その結果、搭載する電気機器又は電子機器が直流化されている給湯装置において、給湯装置全体の力率が、従来の給湯装置の力率よりも改善される。
【0013】
請求項に記載の発明は、複数の運転モードがあり、当該運転モードに対応して電力負荷が選択的に動作され、運転モードに応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置である。
【0014】
本発明の給湯装置は、複数の運転モードを有し、当該運転モードに対応して電力負荷が選択的に動作され、運転モードに応じて切替え用リアクタが接続される平滑回路が切り換えられる。例えば、給湯装置が電気機器として直流ポンプと直流ファンを備え、動作モードとして給湯モードと追い焚きモードがある場合に、一般的な給湯モードでは、直流ファンだけが稼働し、循環用のポンプは停止している。一方、一般的な追い焚きモードでは直流ファンと直流ポンプの両方が同時に稼働する。つまり、給湯装置においては、どの負荷が稼働し、さらにどの負荷の電力消費量が大きいかは、運転モードによっておおよそ決まっている。すなわち、予め運転モード毎に切替え用リアクタを接続する負荷を決めておくことで、制御の容易化が可能である。その結果、例えば、負荷側の電力消費状態を監視して消費量の多い負荷を選ぶというような複雑な制御を行う必要がない。
【0015】
請求項1に記載の給湯装置では、切替え用リアクタは、2以上の平滑回路の間で切り換えられるものであり、一つの平滑回路に切替え用リアクタが接続されている場合には、他の平滑回路と前記切替え用リアクタが電気的に縁切りされる
【0016】
また、本発明の給湯装置では、電力負荷が直流ファンと直流ポンプとを含み、前記直流ファンと直流ポンプとは別の負荷群に分けられることが推奨される(請求項4)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の給湯装置は、搭載する電気機器又は電子機器が直流化されている場合において、給湯装置全体の力率が、従来の給湯装置の力率よりも改善される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る給湯装置を示す作動原理図である。
図2】給湯装置における電源装置と負荷群とを概念的に示すブロック図である。
図3】給湯装置におけるリアクタ切替え回路の動作を示すフローチャートである。
図4】リアクタ切替え回路を有する電源装置の構成を概念的に示す回路図であり、送風機を含む負荷群を動作させ、ポンプを含む負荷群を動作させない場合の回路を示す。
図5】リアクタ切替え回路を有する電源装置の構成を概念的に示す回路図であり、ポンプを含む負荷群を動作させる場合の回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る給湯装置1について説明する。
本実施形態の給湯装置1は、給湯モード、追い焚きモード、並びに暖房モードの実施が可能な構成であり、その基本構造は公知の熱源機と同様である。
そこで、まず、給湯装置1の基本構造に関して説明する。
【0020】
給湯装置1は、1缶2水路型の熱源機であり、図1に示すように、燃料ガスを燃焼する燃焼部43と、燃焼部43に空気を供給するDCモータを搭載した送風機47と、燃焼部43で生成された燃焼ガスで加熱される給湯側熱交換部45及び暖房・追い焚き側熱交換部46と、給湯流路60と、暖房流路61と、追い焚き流路62とを有する。また、給湯流路60と追い焚き流路62との間には、風呂落とし込み流路66が設けられている。
【0021】
給湯流路60は、給湯側熱交換部45と接続されてカラン等に湯水を導く流路であり、給湯側熱交換部45よりも上流側の給湯上流側流路81と、給湯側熱交換部45よりも下流側の給湯下流側流路82とを有する。なお、給湯流路60には、給湯側熱交換部45をバイパスするバイパス流路83が設けられており、給湯下流側流路82であって、バイパス流路83と給湯下流側流路82との接続部よりも下流側に、流量調整弁77が配されている。
【0022】
暖房流路61は、暖房・追い焚き側熱交換部46と暖房端末55を繋いで形成された回路状の主流路84と、主流路84に並列状に設けられた支流路85を有する。主流路84には、流路上に熱媒体を送水するためのDCモータを搭載した循環ポンプ48や熱動弁78等の電気機器が設けられている。また、支流路85には、流路の中途に液液熱交換部76が設けられている。そして、暖房流路61は、いずれの流路に熱媒体を流通させる場合も、循環ポンプ48を駆動する構成にされている。なお、暖房端末55には、高温の熱媒体を使用するファンコンベクタ56や、低温(前記高温よりも低い温度)の熱媒体を使用する床暖房機器57等がある。
【0023】
追い焚き流路62は、浴槽(図示省略)と液液熱交換部76を繋いだ循環流路であり、浴槽側から液液熱交換部76に湯水を戻す風呂戻り流路68と、液液熱交換部76側から浴槽側に湯水を送り出す風呂往き流路67を備えている。そして、風呂戻り流路68に、浴槽内の湯水を追い焚き流路62内に流通させるDCモータで構成された風呂循環ポンプ49が設けられている。
【0024】
さらに、給湯装置1には、上記構成部材に加えて、各運転モードを制御するべく、制御装置2(電子機器)及び電源装置8(電子機器)が備えられている。
制御装置2は、従来公知のCPUと、ROMと、RAM等で構成されたマイコン5(マイクロコントローラ又は集積回路)を備えている。制御装置2には、送風機47をはじめとする各電装品等との間に、各電装品等を制御する信号経路7(図2の破線)が設けられている。
【0025】
電源装置8は、制御装置2や送風機47をはじめとする各電装品に電源を供給するためのものである。電源装置8は、図2に示すように、第一電源回路3aと第二電源回路3bを有しており、第一電源回路3aには、制御装置2や送風機47等の電力負荷で構成される第一負荷群35aが接続されている。
一方、第二電源回路3bには、循環ポンプ48と風呂循環ポンプ49で構成される第二負荷群35bが接続されている。
すなわち本実施形態の給湯装置1では、図1の作動原理図に記載した送風機47、循環ポンプ48、風呂循環ポンプ49、流量調整弁77、電磁弁等の配管用の電気機器と制御装置2等の制御用の電気機器が、二つの負荷群35a,35bに分けられている。
そして各負荷群35a,35bがそれぞれ電源回路3a,3bに接続されている。
【0026】
また、電源回路3a,3bの間には、切替え用リアクタ30とリアクタ切替え回路32が設けられている。リアクタ切替え回路32は、詳細は後述するが、切替え用リアクタ30を給湯装置1の運転状況に応じて、電源回路3a,3bのいずれかに選択的に接続することができる。なお、電源装置8の詳しい回路構成については後述する。
【0027】
続いて、給湯装置1の各運転モードについて説明する。
本実施形態の給湯装置1では、前記したように、通常運転モードとして、一般給湯モード、風呂落とし込みモード、追い焚きモード、並びに、暖房モードがある。
【0028】
一般給湯モードは、カラン等が操作されて出湯要求が発生した場合に、燃焼部43で燃焼動作を実行し、燃焼動作で生成された燃焼ガスによって、給湯側熱交換部45を通過した湯水を加熱するものであり、燃焼ガスによって昇温した湯を所望の温度に調整して出湯する。
なお、燃焼動作においては、燃焼ガスと、送風機47の駆動によって供給された空気との混合ガスを燃焼する動作が実施される。すなわち給湯モードにおいては、第一負荷群35aに属する送風機47が運転される。一方、給湯モードを単独で実施する場合においては、第二負荷群35bに属する循環ポンプ48、風呂循環ポンプ49は停止している。
【0029】
風呂落とし込みモードは、出湯要求の発生条件が、一般給湯モードと異なるが(図示しないリモコン操作による)、前記一般給湯運転とほぼ同様の動作を実施する。ただし、風呂落とし込み運転を実施する場合においては、第二負荷群35bに属する風呂循環ポンプ49が起動される。すなわち風呂落とし込み運転においては、第一負荷群35aに属する送風機47と、第二負荷群35bに属する風呂循環ポンプ49が運転される。
【0030】
追い焚きモードでは、浴槽内の湯水を設定温度まで再加熱する運転(追い焚き運転)を実行する。すなわち、追い焚き運転は、自動保温運転機能がオンされた状態で浴槽内の湯水の温度が所定温度以下となった場合や、図示しないリモコン等による追い焚き運転の要求があった場合に、追い焚き流路62内に水流を形成して液液熱交換器76に浴槽内の湯水を通過させ、所定温度に至るまで加熱するものである。
なお、追い焚きモードにおいては、浴槽内の湯水を燃焼部43で生成された燃焼ガスで直接加熱することができないため、暖房・追い焚き側熱交換部46を通過した熱媒体を加熱し、その昇温した熱媒体によって液液熱交換器76を通過した浴槽内の湯水を加熱している。
追い焚きモードにおいては、第一負荷群35aに属する送風機47と、第二負荷群35bに属する循環ポンプ48及び風呂循環ポンプ49が運転される。
【0031】
暖房モードには、高温暖房運転と低温暖房運転がある。
高温暖房運転は、端末側(ファンコンベクタ56)のリモコン等が操作された場合に、一般給湯運転と同様、燃焼部43で燃焼動作を実行し、燃焼動作で生成された燃焼ガスによって、暖房・追い焚き側熱交換部46を通過した熱媒体を加熱する暖房加熱動作を行うものであり、暖房加熱動作で昇温した熱媒体を所望の温度(概ね80℃)になるように調整し、循環ポンプ48によって端末側に送り出す。また、高温暖房運転では、暖房流路61内を流通する熱媒体の温度が一定温度以上となれば、燃焼動作を停止しつつ、熱媒体の循環状態を継続する非加熱動作が実行される。そして、再び暖房流路61内を流通する熱媒体の温度が一定温度を下回れば、燃焼動作を再開する。
低温暖房運転は、端末側(床暖房機器57)に送り出す熱媒体の温度が前記高温暖房運転よりも低温(概ね60℃)である点が異なるが、その他の基本的な動作は同様であるため、説明を省略する。
暖房モードにおいては、第一負荷群35aに属する送風機47と、第二負荷群35bに属する循環ポンプ48が運転される。
【0032】
次に、本実施形態の給湯装置1の特徴的構成について説明する。
本実施形態の給湯装置1では、電源装置8が第一電源回路3aと、第二電源回路3bと切替え用リアクタ30を有している。そして、本実施形態では、切替え用リアクタ30を、第一電源回路3a又は第二電源回路3bのいずれかに選択的に接続できるリアクタ切替え回路32を備えている。
すなわち本実施形態では、第一負荷群35aだけが運転される場合には切替え用リアクタ30が第一電源回路3aに接続され、第一負荷群35aと第二負荷群35bの双方が運転される場合には切替え用リアクタ30が第二電源回路3bに接続される。
【0033】
以下、リアクタ切替え回路32の動作について、図3のフローチャートに従って説明する。まず、ステップ1において、給湯装置1が風呂落とし込み、追い焚き、暖房の各運転が行われない給湯単独運転の一般給湯モードであるか否かが確認される。すなわち、ステップ1では、給湯装置1が一般給湯モードにある(送風機47がON、循環ポンプ48等がOFF)か否かが確認される。そして、ステップ1において、給湯モードであることが確認されると、ステップ6に移行する。そして、ステップ6で切替え用リアクタ30が第一電源回路3aに接続される。そして、再びステップ1に戻り、同様の動作が実施される。
【0034】
一方、ステップ1において、給湯装置1が給湯モードではないことが確認されなければ、ステップ2に移行し、風呂落とし込みモードであるか否かが確認される。すなわち、給湯装置1が風呂落とし込みモードにある(送風機47がON、循環ポンプ48等がON)か否かが確認される。そして、ステップ2において、風呂落とし込みモードであることが確認されると、ステップ5に移行する。そして、ステップ5で切替え用リアクタ30が第二電源回路3bに接続される。そして、再びステップ1に戻り、同様の動作が実施される。
【0035】
また、ステップ2において、給湯装置1が風呂落とし込みモードであることが確認されなければ、ステップ3に移行し、追い焚きモードであるか否かが確認される。すなわち、給湯装置1が追い焚きモードにある(送風機47がON、風呂循環ポンプ49等がON)か否かが確認される。そして、ステップ3において、追い焚きモードであることが確認されると、ステップ5に移行する。そして、ステップ5で切替え用リアクタ30が第二電源回路3bに接続される。そして、再びステップ1に戻り、同様の動作が実施される。
【0036】
また、ステップ3において、給湯装置1が追い焚きモードであることが確認されなければ、ステップ4に移行し、暖房モードであるか否かが確認される。すなわち、給湯装置1が暖房モードにある(送風機47がON、循環ポンプ48等がON)か否かが確認される。そして、ステップ4において、暖房モードであることが確認されなければ、給湯装置1が待機モードにあると判断されるため、再びステップ1に戻り、同様の動作が実施される。
【0037】
さらに、ステップ4において、給湯装置1が暖房モードであることが確認されると、ステップ5に移行する。そして、ステップ5で切替え用リアクタ30が第二電源回路3bに接続される。そして、再びステップ1に戻り、同様の動作が実施される。
【0038】
続いて、上記したリアクタ切替え回路32を備える電源装置8の回路構成について説明する。電源装置8は、図4図5の回路図に示すように、主に商用電源を整流し平滑して直流化する第一電源回路3a及び第二電源回路3bと、切替え用リアクタ30、並びにリアクタ切替え回路32を有している。電源回路3a,3bは、それぞれ、ダイオードD1〜D4で構成される整流回路10a,10bと、平滑化する電解コンデンサCで構成される平滑回路11a,11bを有している。
すなわち第一電源回路3aは、ダイオードD1a〜D4aで構成される第一整流回路10aと、電解コンデンサCaで構成される第一平滑回路11aを有している。
また第二電源回路3bは、ダイオードD1b〜D4bで構成される第二整流回路10bと、電解コンデンサCbで構成される第二平滑回路11bを有している。
この様に本実施形態では、電源装置8は、独立した2系統の電源回路3a,3bを備えている。
【0039】
そして2系統の電源回路3a,3bには、それぞれ対応する負荷群35a,35bが接続されている。
より具体的には、第一電源回路3aに属する第一平滑回路11aには、第一負荷群35aが接続されている。また第二電源回路3bに属する第二平滑回路11bには、第二負荷群35bが接続されている。
切替え用リアクタ30は、従来公知の力率改善用のリアクトルである。切替え用リアクタ30は、電気的に、二つの電源回路3a,3bの間に位置している。
切替え用リアクタ30は、図の様に両端に二つの端子27,28を有している。説明の便宜上、一方を入力端子27と称し、他方を出力端子28と称することとする。
【0040】
本実施形態の特徴的構成であるリアクタ切替え回路32は、切替えスイッチSW1〜SW4と、第一バイパス線25及び、第二バイパス線26を備えている。
説明の便宜上第一バイパス線25の一旦側を入力端子36と称し、他方を出力端子37と称することとする。また第二バイパス線26の一旦側を入力端子41と称し、他方を出力端子42と称することとする。
【0041】
各切替えスイッチSW1〜SW4は、各電源回路3a,3bが切替え用リアクタ30に接続される状態と、各電源回路3a,3bがバイパス線25,26に接続される状態とを切り換えるものである。
また 切替えスイッチSW1〜SW4は、電気的にあるいは機械的に連動するものであり、第一電源回路3aが切替え用リアクタ30に接続され、且つ第二電源回路3bが第二バイパス線26に接続される第一状態と、第二電源回路3bが切替え用リアクタ30に接続され、且つ第一電源回路3aが第一バイパス線25に接続される第二状態とを切り換えることができる。
【0042】
より具体的には、スイッチSW1,2はいずれも一つの元端子と二つの分岐側端子を有し、元端子が第一電源回路3aに接続されている。またスイッチSW1,2の分岐側端子は、それぞれ切替え用リアクタ30と第一バイパス線25に接続されている。すなわちスイッチSW1の元端子は、第一整流回路10aに接続されている。またスイッチSW1の一方の分岐端子は、切替え用リアクタ30の入力端子27に接続されている。SW1の他方の分岐端子は、第一バイパス線25の入力端子36に接続されている。
一方、スイッチSW2の元端子は、第一平滑回路11aに接続されている。スイッチSW2の一方の分岐端子は、切替え用リアクタ30の出力端子28に接続されている。またSW2の他方の分岐端子は、第一バイパス線25の出力端子37に接続されている。
【0043】
同様に、スイッチSW3,4はいずれも一つの元端子と二つの分岐側端子を有し、元端子が第二電源回路3bに接続されている。またスイッチSW3,4の分岐側端子は、それぞれ切替え用リアクタ30と第二バイパス線26に接続されている。すなわちスイッチSW3の一方の分岐端子は、切替え用リアクタ30の入力端子27に接続されている。またSW3の他方の分岐端子は、第二バイパス線26の入力端子41に接続されている。
一方、スイッチSW4の一方の分岐端子は、切替え用リアクタ30の出力端子28に接続されている。またSW4の他方の分岐端子は、第二バイパス線26の出力端子42に接続されている。
【0044】
本実施形態では、制御装置2のマイコン5からの制御信号によって、スイッチSW1,2又はスイッチSW3,4のいずれをONにするかが選択される。すなわち本実施形態では、制御装置2のマイコン5からの制御信号によって、第一電源回路3aが切替え用リアクタ30に接続され、且つ第二電源回路3bがバイパス線26に接続される第一状態と、第二電源回路3bが切替え用リアクタ30に接続され、且つ第一電源回路3aがバイパス線25に接続される第二状態とが切り換わる。
【0045】
本実施形態では、第一状態と、第二状態とを選択する条件は、給湯装置1の運転モードに基づいて行われる。なおノーマル状態は、第一状態である。
すなわち本実施形態では、給湯装置1の運転モードに基づいて、制御装置2の判断により、切替え用リアクタ30を第一電源回路3a及び第二電源回路3bのいずれかに選択的に接続することが可能である。そのため、負荷の状況に応じて、切替え用リアクタ30を電源回路3a,3bのいずれかに接続することで、従来の給湯装置に比べて、リアクタを大型化することなく力率を改善することができる。
また切替え用リアクタ30が接続されない側の電源回路3a,3bでは、整流回路10と第一平滑回路11との間が、バイパス線25,26によって接続される。切替え用リアクタ30が接続されない側の電源回路3a,3bは、実際の負荷が小さい場合が多いので、力率が多少低下しても大きな影響を及ぼさない。
【0046】
上記実施形態では、切替え用リアクタ30を1つとする例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、大きなリアクタと小さなリアクタとを交互に切り換えてもよい。
或いは、各平滑回路11a,11bに予め小さなリアクタを備えさせておき、切替え用リアクタ30を各平滑回路11a,11bに付加させても構わない。
【0047】
上記実施形態では、電源装置8に2つの電源回路(電源回路3a,3b)を設ける例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源装置8は、3つ以上の電源回路を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 給湯装置
2 制御装置(電力負荷)
3a 第一電源回路
3b 第二電源回路
8 電源装置
10,10a,10b 整流回路
11,11a,11b 平滑回路
30 切替え用リアクタ
32 リアクタ切替え回路(リアクタ切替え手段)
35a,35b 負荷群
47 送風機(電力負荷)
48 循環ポンプ(電力負荷)
49 風呂循環ポンプ(電力負荷)
図1
図2
図3
図4
図5