(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の切断機では、支持軸と支持軸に支持された刃体との摺動により支持軸が摩耗して、刃体にがたつきが生じる場合がある。この場合には、一対の刃体同士の間に隙間が形成されて噛み合わせが悪化し、切断性能が低下するおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、優れた切断性能を維持できる切断機およびはさみを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の切断機は、支持軸を保持する第1刃体と、前記支持軸に装着され、外輪および内輪を備えた転がり軸受と、前記第1刃体に重ね合わさるように設けられ、かつ前記支持軸に前記転がり軸受を介して回転自在に支持される第2刃体と、前記支持軸の前記転がり軸受を挟んで前記第1刃体とは反対側に配置された固定部材と、前記転がり軸受と前記固定部材との間に配置された付勢部材と、を備え、前記外輪および前記内輪のうちいずれか一方が、前記第2刃体と一体に回転し、前記外輪および前記内輪のうち他方が、前記付勢部材により前記第1刃体に向かって付勢され
、前記支持軸は、前記支持軸の軸方向における前記第2刃体から見て前記第1刃体側の端部に形成された大径部と、前記大径部の前記軸方向における前記第1刃体から見て前記第2刃体側の端部に連なり、前記転がり軸受が装着された小径部と、前記大径部と前記小径部との間の異径段差面と、を有し、前記転がり軸受の前記軸方向における前記第2刃体から見て前記第1刃体側の端部は、前記第1刃体および前記異径段差面に対して前記軸方向における前記第1刃体から見て前記第2刃体側に離間している、ことを特徴とする。
本発明によれば、転がり軸受の外輪および内輪のうち一方が第2刃体と一体に回転し、他方が付勢部材により第1刃体に向かって付勢されているので、第2刃体を第1刃体に向かって押圧することができる。このため、第1刃体と第2刃体とが常時圧接され、切断性能を維持することができる。しかも、外輪および内輪のうち第2刃体と一体に回転する一方は、付勢部材と接触しないので、回転時の摺動摩擦の増加を抑制できる。このため、第1刃体と第2刃体との動きを円滑にすることができる。したがって、優れた切断性能を維持できる切断機を提供できる。
【0007】
上記の切断機において、前記外輪が前記第2刃体と一体に回転し、前記内輪が前記付勢部材により前記第1刃体に向かって付勢されている、ことが望ましい。
本発明によれば、外輪が第2刃体と一体に回転するため、転がり軸受と第2刃体とを支持軸の同じ軸方向位置に設けることができる。したがって、転がり軸受および付勢部材の構造を簡素化できるとともに、支持軸の軸方向において、第1刃体、第2刃体および転がり軸受を含む寸法を小さくすることができ、切断機を薄型化できる。
【0008】
上記の切断機において、前記第2刃体は、前記外輪が固定される軸受保持孔を備え、前記外輪は、該外輪の前記第1刃体とは反対側の外周縁に、径方向外側に向かって張り出すフランジ部を備え、前記軸受保持孔に、前記フランジ部を受け入れるざぐり部を形成した、ことが望ましい。
本発明によれば、外輪のフランジ部と軸受保持孔のざぐり部との当接により、転がり軸受の第1刃体側への変位を規制して付勢部材により第2刃体を押圧できる。また、ざぐり部がフランジ部を受け入れることで、支持軸の軸方向において第2刃体および転がり軸受を含めた寸法を小さくすることができる。したがって、切断機を薄型化できる。
【0009】
上記の切断機において、前記転がり軸受は、前記支持軸の軸方向における前記第1刃体側の一端部が前記第2刃体の前記第1刃体に対向する面から前記第1刃体側に向かって突出し、前記第1刃体の前記第2刃体に対向する面には、前記軸方向における前記第2刃体側に向かって開口し、前記転がり軸受の前記一端部を受け入れる凹部が形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、第2刃体の薄型化により転がり軸受の第1刃体側の一端部が第2刃体から突出した場合であっても、第1刃体と第2刃体とを重ね合わせることができる。したがって、切断機を薄型化できる。
また、切断機の厚さを増加させることなく転がり軸受を大型化できるため、よりスムーズに各刃体を動かすことができる。
【0010】
上記の切断機において、前記外輪の外周面は、前記支持軸の軸方向に沿って一様に形成され、前記第2刃体は、前記軸方向における前記固定部材側に向かって開口し、前記外輪が固定される軸受保持凹部を備え、前記軸受保持凹部の前記軸方向における寸法は、前記転がり軸受の前記軸方向における寸法以上である、ことが望ましい。
本発明によれば、転がり軸受を軸受保持凹部の底部に当接されることにより、転がり軸受の第1刃体側への変位を規制して付勢部材により第2刃体を押圧可能としつつ、転がり軸受を軸受保持凹部内に完全に収容できる。これにより、軸方向において第2刃体および転がり軸受を含めた寸法を小さくすることができる。したがって、切断機を薄型化できる。
【0011】
上記の切断機において、前記外輪の外周面は、前記支持軸の軸方向に沿って一様に形成され、前記第2刃体は、前記外輪が固定される軸受保持孔を備え、前記軸受保持孔は、前記軸方向に沿って一様に形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、軸受保持孔は、支持軸の軸方向に沿って一様に形成されているので、プレス加工等により容易に形成できる。このため、第2刃体を低コストで製造することができる。しかも転がり軸受の外輪は、軸受保持孔に固定されるので、転がり軸受が軸受保持孔から脱落するのを防止しつつ、転がり軸受の第1刃体側への変位を規制して付勢部材により第2刃体を押圧できる。したがって、優れた切断性能を維持できる切断機を低コストで提供できる。
【0012】
上記の切断機において、前記第1刃体と前記第2刃体とが常時対向する箇所には、摺動部材が設けられている、ことが望ましい。
本発明によれば、摺動部材によって、第1刃体と第2刃体との摺動抵抗を低減することができる。したがって、第1刃体と第2刃体との動きを円滑にすることができる。
【0013】
上記の切断機において、前記摺動部材は、前記第1刃体および前記第2刃体の前記支持軸よりも基端側に設けられ、前記第1刃体と前記第2刃体とを互いに離間する方向に付勢する、ことが望ましい。
本発明によれば、摺動部材は、第1刃体および第2刃体の支持軸よりも基端側に設けられ、第1刃体と第2刃体とを互いに離間する方向に付勢することにより、支持軸を支点にして第1刃体および第2刃体の先端側同士を互いに接近させることができる。これにより、第1刃体および第2刃体の先端側に設けられる刃線同士を常時圧接させることができ、切断性能を向上させることができる。
【0014】
上記の切断機において、前記第1刃体および前記支持軸のうち少なくともいずれか一方には、前記第1刃体および前記支持軸の相対回転を不能にする回り止め部が設けられている、ことが望ましい。
本発明によれば、第1刃体を支えた状態で支持軸に固定部材を装着する際に、回り止め部によって支持軸が第1刃体に対して回転することを防止できる。したがって、固定部材の支持軸への着脱を容易に行うことが可能となり、第1刃体および第2刃体の分解や組み立てを容易に行うことができる。
【0015】
上記の切断機において、前記支持軸の軸方向における前記第1刃体側の端面には、溝部が形成されている、ことが望ましい。
本発明によれば、溝部にドライバ等を差し込んで支持軸を固定することができる。これにより、固定部材の支持軸への着脱を容易に行うことが可能となり、第1刃体および第2刃体の分解や組み立てを容易に行うことができる。
【0016】
本発明のはさみは、上記の切断機と、前記第1刃体の基端側に設けられた第1把持部と、前記第2刃体の基端側に設けられた第2把持部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、はさみは上述した切断機を備えるため、優れた切断性能を維持できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、転がり軸受の外輪および内輪のうち一方が第2刃体と一体に回転し、他方が付勢部材により第1刃体に向かって付勢されているので、第2刃体を第1刃体に向かって押圧することができる。このため、第1刃体と第2刃体とが常時圧接され、切断性能を維持することができる。しかも、外輪および内輪のうち第2刃体と一体に回転する一方は、付勢部材と接触しないので、回転時の摺動摩擦の増加を抑制できる。このため、第1刃体と第2刃体との動きを円滑にすることができる。したがって、優れた切断性能を維持できる切断機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
最初に第1実施形態のはさみ1(切断機)について説明する。
図1は、第1実施形態に係るはさみの平面図である。
図2は、
図1のII−II線における断面図である。
図1および
図2に示すように、はさみ1は、いわゆる洋鋏であって、支持軸30を保持する第1刃体10と、第1刃体10に重ね合わさるように設けられ、かつ支持軸30に転がり軸受40を介して回転自在に支持される第2刃体20と、を備えている。第1刃体10および第2刃体20は、支持軸30から先端に向かうに従って、漸次互いに接近するように湾曲形成されている。なお、以下の説明では、支持軸30の軸方向(以下、単に「軸方向」という。)において、第1刃体10から見て第2刃体20側を上側といい、その反対側を下側という。
【0020】
図3は、第1実施形態に係るはさみの第1刃体の平面図である。
図3に示すように、第1刃体10は、軸方向に厚みを有する金属板により形成され、かつ刃線が形成された第1基体11と、第1基体11の基端部に取り付けられた第1把持部12と、を備えている。第1基体11の上面は、平面状に形成されている。第1基体11には、支持軸30(
図2参照)が挿通される支持軸挿通孔13が形成されている。支持軸挿通孔13は、横断面視円形状に形成され、第1基体11を軸方向に一定の内径で貫通している。第1把持部12は、第1刃体10の基端側に設けられている。第1把持部12は、例えば樹脂材料等により、環状に形成されている。
【0021】
図4は、第1実施形態に係るはさみの第2刃体の平面図である。
図4に示すように、第2刃体20は、軸方向に厚みを有する金属板により形成され、かつ刃線が形成された第2基体21と、第2基体21の基端部に取り付けられた第2把持部22と、を備えている。第2基体21の下面は、平面状に形成されている。第2基体21には、転がり軸受40(
図2参照)が圧入される軸受保持孔23が形成されている。軸受保持孔23は、横断面視円形状に形成され、第2基体21を軸方向に一定の内径で貫通している。軸受保持孔23の内径は、支持軸挿通孔13(
図3参照)の内径よりも大きく設定されている。第2把持部22は、第2刃体20の基端側に設けられている。第2把持部22は、例えば樹脂材料等により、環状に形成されている。
【0022】
図2に示すように、第1刃体10の支持軸挿通孔13には、支持軸30が圧入されている。支持軸30は、下端部に形成された大径部31と、大径部31の上端に連なる小径部32と、小径部32よりも小径とされ、小径部32の上端と連なる雄ネジ部33と、を備えている。大径部31、小径部32および雄ネジ部33は、同軸に配置されている。
【0023】
図5は、第1実施形態に係るはさみの支持軸の平面図である。
図2および
図5に示すように、大径部31は、横断面視円形状に形成され、支持軸挿通孔13に圧入されている。大径部31の下端部には、外フランジ部31aが形成されている。外フランジ部31aの上面は、第1基体11の下面に当接している。大径部31と小径部32との間の異径段差面34は、第1基体11の上面と面一になっている。
小径部32は、横断面視円形状に形成されている。小径部32の上端部は、第2基体21の上面よりも上方に位置している。
【0024】
図2に示すように、小径部32には、転がり軸受40が装着されている。転がり軸受40は、内輪41および外輪42を備えている。内輪41は、小径部32に対して、軸方向に摺動可能に外挿されている。外輪42は、外輪42の第1刃体10とは反対側(すなわち上側)の外周縁に、径方向外側に向かって張り出すフランジ部42aを備えている。外輪42は、第2刃体20の軸受保持孔23に圧入されている。フランジ部42aの下面は、第2基体21の上面に当接している。外輪42は、第2刃体20と一体に回転する。転がり軸受40の下端縁は、第2基体21の下面よりも上側に位置している。
【0025】
支持軸30の転がり軸受40を挟んで第1刃体10とは反対側(すなわち転がり軸受40よりも上側)には、固定部材50が装着されている。固定部材50は、支持軸30の雄ネジ部33に螺着される平面視円形状のナット部材である。固定部材50には、その外周縁部から下方に向かって延びる環状の囲繞壁51が形成されている。囲繞壁51の下端縁は、第2基体21の上面に対して僅かに離間している。囲繞壁51は、転がり軸受40の上端部をその径方向外側から囲っている。
【0026】
転がり軸受40と固定部材50との間には、付勢部材60が配置されている。付勢部材60は、皿ばねであって、内周縁が転がり軸受40の内輪41の上端縁に上側から当接するとともに、外周縁が固定部材50の下面に下側から当接している。これにより、内輪41は、付勢部材60により固定部材50に対して第1刃体10に向かって付勢されている。さらに、転がり軸受40は、内輪41が第1刃体10に向かって付勢されることで、外輪42のフランジ部42aを介して第2刃体20を下方に向かって押圧している。
【0027】
このように、本実施形態によれば、転がり軸受40の外輪42および内輪41のうち一方(本実施形態では外輪42)が第2刃体20と一体に回転し、他方(本実施形態では内輪41)が付勢部材60により第1刃体10に向かって付勢されているので、第2刃体20を第1刃体10に向かって押圧することができる。このため、第1刃体10と第2刃体20とが常時圧接され、切断性能を維持することができる。しかも、外輪42および内輪41のうち第2刃体20と一体に回転する一方は、付勢部材60と接触しないので、回転時の摺動摩擦の増加を抑制できる。このため、第1刃体10と第2刃体20との動きを円滑にすることができる。したがって、優れた切断性能を維持できるはさみ1を提供できる。
【0028】
また、外輪42が第2刃体20と一体に回転するため、転がり軸受40と第2刃体20とを同じ軸方向位置に設けることができる。したがって、転がり軸受40および付勢部材60の構造が簡素化できるとともに、軸方向において第1刃体10、第2刃体20および転がり軸受40を含む寸法を小さくすることができ、はさみ1を薄型化できる。
【0029】
また、支持軸挿通孔13および軸受保持孔23は、軸方向に一定の内径で貫通しているため、第1刃体10および第2刃体20を従来のはさみと同様に、低コストで製造することができる。
また、固定部材50は、その底面と囲繞壁51とにより転がり軸受40の上端部を囲っているため、塵埃等の侵入を抑制できる。これにより、塵埃等が侵入することによって転がり軸受40の転がり抵抗が増加することを抑制できる。したがって、スムーズに第1刃体10および第2刃体20を動かすことができる。
【0030】
なお、上記第1実施形態では、支持軸30は支持軸挿通孔13に圧入されているが、支持軸30は支持軸挿通孔13に対して接着や溶着により固定されていてもよい。
【0031】
また、上記第1実施形態では、付勢部材60は皿ばねであったが、これに限定されるものではなく、例えば圧縮コイルばねやウェーブワッシャ等であってもよい。
図6は、付勢部材の変形例を示す説明図であって、
図1のII−II線に相当する部分における断面図である。
また、
図6に示すように、転がり軸受40の内輪41は、例えばゴムやシリコンゴム、ウレタン等の弾性材料により形成された環状の付勢部材160により、第1刃体10側に向かって付勢されていてもよい。
【0032】
[第2実施形態]
次に第2実施形態のはさみ101について説明する。
図7は、第2実施形態に係るはさみの説明図であって、
図1のII−II線に相当する部分おける断面図である。
図2に示す第1実施形態では、第2刃体20の軸受保持孔23は、軸方向に一定の内径で貫通している。これに対して、
図7に示す第2実施形態では、第2刃体120の軸受保持孔23の上端部には、ざぐり部23aが形成されている点で、第1実施形態と異なっている。なお、上述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
【0033】
図7に示すように、ざぐり部23aは、転がり軸受40のフランジ部42aを受け入れる。フランジ部42aの上面は、第2刃体120の第2基体121の上面と面一になっている。転がり軸受40の下端縁は、第2基体121の下面と同じ軸方向位置に配置されている。
【0034】
本実施形態によれば、外輪42が径方向外側に向かって張り出すフランジ部42aを備え、第2刃体120の軸受保持孔23には、フランジ部42aを受け入れるざぐり部23aが形成されているため、フランジ部42aとざぐり部23aとの当接により、転がり軸受40の第1刃体10側への変位を規制して付勢部材60により第2刃体120を押圧できる。また、ざぐり部23aがフランジ部42aを受け入れることで、軸方向において第2刃体120および転がり軸受40を含めた寸法を小さくすることができる。したがって、はさみ101を薄型化できる。
【0035】
[第3実施形態]
次に第3実施形態のはさみ201について説明する。
図8は、第3実施形態に係るはさみの閉じた状態における平面図である。
図9は、第3実施形態に係るはさみの開いた状態における平面図である。
図10は、
図8のX−X線における断面図である。
図7に示す第2実施形態では、第1刃体10と第2刃体120とは、直接重ね合わされている。これに対して、
図8から
図10に示す第3実施形態では、第1刃体210と第2刃体120との間には、摺動部材270が設けられている点で、第2実施形態と異なっている。
【0036】
図8から
図10に示すように、第1刃体210および第2刃体120の支持軸30よりも基端側であって、第1刃体210と第2刃体120とが常時対向する箇所には、摺動部材270が設けられている。摺動部材270は、軸方向から見て支持軸30を中心とする周方向に沿って延びるように形成されている。
図10に示すように、摺動部材270は、第1刃体210の第1基体211の上面において摺動部材270に対応して形成された収容溝214内に配置されている。摺動部材270の上面は、第2刃体120の第2基体121の下面に当接している。摺動部材270は、第1刃体210と第2刃体120とを互いに離間する方向に付勢している。
【0037】
本実施形態によれば、第1刃体210と第2刃体120とが常時対向する箇所には、摺動部材270が設けられているので、第1刃体210と第2刃体120との摺動抵抗を低減することができる。したがって、第1刃体210と第2刃体120との動きを円滑にすることができる。
【0038】
また、摺動部材270は、第1刃体210および第2刃体120の支持軸30よりも基端側に設けられ、第1刃体210と第2刃体120とを互いに離間する方向に付勢することで、支持軸30を支点にして第1刃体210および第2刃体120の先端側同士を互いに接近させることができる。これにより、第1刃体210および第2刃体120の先端側に設けられる刃線同士を常時圧接させることができ、切断性能を向上させることができる。
【0039】
[第4実施形態]
次に第4実施形態のはさみ301について説明する。
図11は、第4実施形態に係るはさみの説明図であって、
図8のX−X線に相当する部分における断面図である。
図10に示す第3実施形態では、転がり軸受40の下端縁は、第2刃体120の第2基体121の下面と同じ軸方向位置に配置されている。これに対して、
図11に示す第4実施形態では、転がり軸受40の下端縁は、第2刃体120の第2基体121の下面よりも下側に位置している点で、第3実施形態と異なっている。
【0040】
図11に示すように、転がり軸受40の下端部(軸方向における第1刃体310側の端部)は、第2刃体120の第2基体121の下面から下側に向けて突出している。
第1刃体310の第1基体311の上面には、上側に向かって開口し、転がり軸受40の下端部を受け入れる凹部315が形成されている。凹部315は、軸方向から見て円形状に形成され、支持軸挿通孔13と同軸に配置されている。
【0041】
本実施形態によれば、第1刃体310の上面に転がり軸受40の下端部を受け入れる凹部315が形成されているため、第2刃体120の薄型化により転がり軸受40の下端部が第2刃体120から突出した場合であっても、第1刃体310と第2刃体120とを重ね合わせることができる。したがって、はさみ301を薄型化できる。また、はさみ301の厚さを増加させることなく転がり軸受40を大型化できるため、よりスムーズに第1刃体310および第2刃体120を動かすことができる。
【0042】
[第5実施形態]
次に第5実施形態のはさみ401について説明する。
図12は、第5実施形態に係るはさみの説明図であって、
図8のX−X線に相当する部分における断面図である。
図10に示す第3実施形態では、転がり軸受40の外輪42は、フランジ部42aを備えている。これに対して、
図12に示す第5実施形態では、転がり軸受440の外輪442は、軸方向に沿って一様に形成されている点で、第3実施形態と異なっている。
【0043】
図12に示すように、はさみ401は、内輪41および外輪442を備えた転がり軸受440を有している。外輪442の外周面は、軸方向に沿って一様に形成されている。
第2刃体420の第2基体421には、軸方向における固定部材50側(すなわち上側)に向かって開口し、外輪442が圧入される軸受保持凹部424が形成されている。軸受保持凹部424の軸方向における寸法は、転がり軸受440の軸方向における寸法以上に設定されている。軸受保持凹部424の底部には、支持軸30が挿通される貫通孔424aが形成されている。貫通孔424aの内径は、内輪41の外径よりも大きくなっている。軸受保持凹部424の底面には、外輪442の下端縁が上方から当接している。軸受保持凹部424の底部は、転がり軸受440の下側への変位を規制している。
【0044】
本実施形態によれば、軸受保持凹部424の軸方向における寸法は、転がり軸受440の軸方向における寸法以上であるので、転がり軸受440を軸受保持凹部424の底部に当接されることにより、転がり軸受440の第1刃体210側への変位を規制して付勢部材60により第2刃体420を押圧可能としつつ、転がり軸受440を軸受保持凹部424内に完全に収容できる。これにより、軸方向において第2刃体420および転がり軸受440を含めた寸法を小さくすることができる。したがって、はさみ401を薄型化できる。
【0045】
[第6実施形態]
次に第6実施形態のはさみ501について説明する。
図13は、第6実施形態に係るはさみの説明図であって、
図8のX−X線に相当する部分における断面図である。
図12に示す第5実施形態では、転がり軸受440は、第2刃体420の軸受保持凹部424に装着されている。これに対して、
図13に示す第6実施形態では、転がり軸受440は、第2刃体520の第2基体521に軸方向に沿って一様に形成された軸受保持孔523に装着されている点で、第5実施形態と異なっている。
【0046】
図13に示すように、軸受保持孔523には、転がり軸受440の外輪442が固定されている。外輪442は、軸受保持孔523に圧入されることで、軸受保持孔523に固定されている。なお、外輪442は、軸受保持孔523に対して溶接や接着等により固定されてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、軸受保持孔523は、軸方向に沿って一様に形成されているので、プレス加工等により容易に形成できる。このため、第2刃体520を低コストで製造することができる。しかも転がり軸受440の外輪442は、軸受保持孔523に固定されるので、転がり軸受440が軸受保持孔523から脱落するのを防止しつつ、転がり軸受440の第1刃体210側への変位を規制して付勢部材60により第2刃体520を押圧できる。したがって、優れた切断性能を維持できるはさみ501を低コストで提供できる。
【0048】
[第7実施形態]
次に第7実施形態のはさみ601について説明する。
図14は、第7実施形態に係るはさみの第1刃体の平面図である。
図15は、第7実施形態に係るはさみの支持軸の平面図である。
図16は、第7実施形態に係るはさみの支持軸の側面図である。
図3に示す第1実施形態では、支持軸挿通孔13は、横断面視で円形状に形成されている。これに対して、
図14に示す第7実施形態では、支持軸挿通孔613が横断面視で非円形状(異形)に形成されている点で、第1実施形態と異なっている。また、
図5に示す第1実施形態では、支持軸30の大径部31は、横断面視で円形状に形成されている。これに対して、
図15に示す第7実施形態では、支持軸630の大径部631は、横断面視で非円形状(異形)に形成されている点で、第1実施形態と異なっている。
【0049】
図14に示すように、第1刃体610の第1基体611における支持軸挿通孔613の内周面には、互いに対向する一対の2方取り面613a(回り止め部)が形成されている。
図15および
図16に示すように、支持軸630は、支持軸挿通孔613(
図14参照)に嵌合される大径部631を備えている。大径部631は、円柱状に形成されており、軸方向に直交する所定の径方向の両側に2方取り部631b(回り止め部)が形成されている。
図14および
図15に示すように、2方取り部631bは、支持軸挿通孔613の2方取り面613aに対応する形状に形成されている。これにより、2方取り面613aおよび2方取り部631bは、第1刃体610および支持軸630の相対回転を不能にする。支持軸630は、第1刃体610に対して着脱可能であって、かつ相対回転不能とされた状態で圧入される。
【0050】
本実施形態によれば、第1刃体610を支えた状態で支持軸630に固定部材50(
図2参照)を装着する際に、第1刃体610および支持軸630の相対回転を不能にする2方取り面613aおよび2方取り部631bによって、支持軸630が第1刃体610に対して回転することを防止できる。したがって、固定部材50の支持軸630への着脱を容易に行うことが可能となり、第1刃体610および第2刃体20(
図2参照)の分解や組み立てを容易に行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、支持軸挿通孔613および支持軸630を2方取り(2面取り)することにより、第1刃体610および支持軸630を分解可能であって、かつ相対回転不能としているが、これに限定されるものではない。第1刃体と支持軸とは、互いに分解可能であって、かつ相対回転不能であればよく、これらの連結箇所が軸方向から見て例えば多角形状等の非円形状に形成されていてもよい。また、第1刃体と支持軸とは、ピン等の回り止め部により相対回転不能とされていてもよい。
【0052】
[第8実施形態]
次に第8実施形態のはさみ701について説明する。
図17は、第8実施形態に係るはさみの説明図であって、
図1のII−II線に相当する部分における断面図である。
図2に示す第1実施形態では、支持軸30の下端面は、平面状に形成されている。これに対して、
図17に示す第8実施形態では、支持軸730の下端面(軸方向における第1刃体210側の端面)には、軸方向に直交する方向に沿って延びる溝部734が形成されている点で、第1実施形態と異なっている。
【0053】
本実施形態によれば、支持軸730の下端面には、溝部734が形成されているため、溝部734にドライバ等を差し込んで支持軸730を固定することができる。これにより、固定部材50の支持軸730への着脱を容易に行うことが可能となり、第1刃体210および第2刃体20の分解や組み立てを容易に行うことができる。
【0054】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態においては、切断機の一例としてはさみを例に挙げて説明しているが、これに限定されず、切断機は例えば裁断機であってもよい。
【0055】
また、上記各実施形態においては、転がり軸受が第2刃体の軸受保持孔または軸受保持凹部に圧入されているが、これに限定されず、転がり軸受の外輪が第2刃体に対して固定されていればよい。
また、上記各実施形態では、固定部材は支持軸の上端部(雄ネジ部)に螺着されるナット部材であったが、これに限定されず、固定部材は支持軸の上端部を座屈変形させたカシメ部であってもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【解決手段】支持軸30を保持する第1刃体10と、支持軸30に装着され、外輪42および内輪41を備えた転がり軸受40と、第1刃体10に重ね合わさるように設けられ、かつ支持軸30に転がり軸受40を介して回転自在に支持される第2刃体20と、支持軸30の転がり軸受40を挟んで第1刃体10とは反対側に装着された固定部材50と、転がり軸受40と固定部材50との間に配置された付勢部材60と、を備えている。外輪42は第2刃体20と一体に回転し、内輪41は付勢部材60により第1刃体10に向かって付勢されている。