特許第6048786号(P6048786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048786
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】車両のドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20161212BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B60J5/00 501A
   B60R13/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-52602(P2012-52602)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-184624(P2013-184624A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】山田 克拡
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−329575(JP,A)
【文献】 特開2009−023631(JP,A)
【文献】 特開2009−281341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルの本体部にドアトリムが車室内側から取り付けられ、
前記ドアパネルの窓枠の下部にガーニッシュが車室内側から取り付けられ、
前記ドアトリムの上端部と前記ガーニッシュの下端部が連結している車両のドア構造であって、
前記ガーニッシュを前記窓枠の下部に車室内側から取り付けるに伴って前記ドアトリムの上端部に係合する係合爪が前記ガーニッシュの下端部に設けられ、
前記ガーニッシュの下端部と前記ドアトリムの上端部とがクッション材を介してドア厚さ方向で重ね合わされ、
前記クッション材を下方から受け止め支持する支持リブが前記ガーニッシュの裏面に立設され、
前記ガーニッシュの係合爪が前記ドアトリムの上端部に係合することで、前記ガーニッシュの下端部と前記ドアトリムの上端部とに前記クッション材が挟圧され、
前記係合爪は前記クッション材の上方に位置し、
前記支持リブと前記係合爪の根元部とが前記クッション材を上下方向で挟み込んでいる車両のドア構造。
【請求項2】
前記係合爪の下方以外の前記ガーニッシュの下端部に前記支持リブが配置されて、前記係合爪の下方が開放している請求項記載の車両のドア構造。
【請求項3】
前記支持リブの頂部と前記ドアトリムの上端部との間に隙間が形成されている請求項記載の車両のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ドアパネルの本体部にドアトリムが車室内側から取り付けられ、
前記ドアパネルの窓枠の下部にガーニッシュが車室内側から取り付けられ、
前記ドアトリムの上端部と前記ガーニッシュの下端部が連結している車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の車両のドア構造において、ドアトリムの上端部とガーニッシュの下端部との間に隙間が生じると車室内の外観が低下する。そこで、前記隙間を生じさせないようにするための構造が提案されている。
その一つに特許文献1の技術がある。この技術では、樹脂製のガーニッシュの下端部に、横方向(車室内側)に張り出す張りだし片を設け、この張りだし片にスリットを形成してある。そして、樹脂製のドアトリムの上端部の裏側(車室外側)に下方に突出する突片を設け、前記突片を前記スリットに挿入係止させてあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−85341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ドアトリムをドアパネルに固定する場合、ドアトリムをドアパネルのパネル面と垂直な方向(車室外側)に移動させてドアパネルにクリップで固定する。また、ドアトリムの上端部をガーニッシュの下端部に連結する場合、ドアトリムを上方から下方に移動させて、ドアトリムの突片をガーニッシュの下端部のスリットに挿入係止する。
つまり、ドアパネルへのドアトリムの取り付け方向(ドアパネルのパネル面と垂直な方向)とは異なる方向(上下方向)にドアトリムを移動させて、ドアトリムの突片をガーニッシュの下端部のスリットに挿入係止する。そのために、ドアトリムの取り付け動作が複雑になって組み付け作業の作業性が低下していた。
また、樹脂製のドアトリムの突片と樹脂製のガーニッシュのスリットとが係止するために、がたつきやガーニッシュの浮き上がりが生じ、車室内の外観を向上させることが困難であった。
本発明の目的は、ドアトリムとガーニッシュの組み付け作業の作業性を向上させることができ、車室内の外観を向上させることができる車両のドア構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
ドアパネルの本体部にドアトリムが車室内側から取り付けられ、
前記ドアパネルの窓枠の下部にガーニッシュが車室内側から取り付けられ、
前記ドアトリムの上端部と前記ガーニッシュの下端部が連結している車両のドア構造であって、
前記ガーニッシュを前記窓枠の下部に車室内側から取り付けるに伴って前記ドアトリムの上端部に係合する係合爪が前記ガーニッシュの下端部に設けられ、
前記ガーニッシュの下端部と前記ドアトリムの上端部とがクッション材を介してドア厚さ方向で重ね合わされ、
前記クッション材を下方から受け止め支持する支持リブが前記ガーニッシュの裏面に立設され、
前記ガーニッシュの係合爪が前記ドアトリムの上端部に係合することで、前記ガーニッシュの下端部と前記ドアトリムの上端部とに前記クッション材が挟圧され、
前記係合爪は前記クッション材の上方に位置し、
前記支持リブと前記係合爪の根元部とが前記クッション材を上下方向で挟み込んでいる点にある。(請求項1)
【0006】
この構成によれば、ガーニッシュを窓枠の下部に車室内側から取り付けるに伴って、ガーニッシュの下端部の係合爪がドアトリムの上端部に係合する。従って、前記係合爪をドアトリムの上端部に係合させるための専用の取り付け操作が不要になる。また、前記係合爪をドアトリムの上端部に係合させるためのドアトリムの係合操作は不要である。これにより、ガーニッシュとドアトリムの組み付け作業(ガーニッシュとドアトリムのドアパネルへの組み付け作業、及び、ガーニッシュとドアトリムを互いに組み付ける組み付け作業)の作業性を向上させることができる。
そして、係合爪がドアトリムの上端部に係合することで、ガーニッシュの下端部とドアトリムの上端部とにクッション材が挟圧される。これにより、ガーニッシュとドアトリムのがたつきを抑制することができる。また、ガーニッシュとドアトリムの間に隙間が無くなり、車室内の外観を向上させることができ、車室外からドアパネルに進入した騒音に対する遮音性能を向上させることができる。(請求項1)
【0008】
支持リブと前記係合爪の根元部とが前記クッション材を上下方向で挟み込んでいるから、クッション材を上下方向で規制することができ、クッション材の上下方向の位置ずれを防止することができる。これにより、クッション材がガーニッシュ下端とドアトリム上端との間の隙間をしっかりと塞いで、音漏れの防止や互いのガタつきを防ぐことができる。また、クッション材がガーニッシュの下端部とドアトリムの上端部の間から車室内側にはみ出すことを防止できて車室内の外観を向上させることができる。
また、ガーニッシュの下端部に支持リブを設けたことで、ガーニッシュの下端部の剛性が向上するので、ガーニッシュの形状の寸法精度をより向上させることができる。その結果、ドアトリムの上端部とガーニッシュの下端部との間に隙間が生じることを防止することができる。(請求項
【0009】
本発明において、
前記係合爪の下方以外の前記ガーニッシュの下端部に前記支持リブが配置されて、前記係合爪の下方が開放していると、次の作用を奏することができる。(請求項
【0010】
前記係合爪の下方が開放しているから、係合爪を成形するスライド型を前記係合爪の下方に抜くことができる。その結果、複雑な構造の型を用いることなく係合爪を成形でき、成形コストを低廉化することができる。(請求項
【0011】
本発明において、
前記支持リブの頂部と前記ドアトリムの上端部との間に隙間が形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
【0012】
ドアトリムの上端部側へのガーニッシュの位置ずれが前記隙間の長さになると、支持リブの頂部がドアトリムの上端部に当接する。これにより、ガーニッシュのリブ高さ方向の位置ずれを規制することができる。(請求項
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、
ドアトリムとガーニッシュの組み付け作業の作業性を向上させることができ、車室内の外観を向上させることができる車両のドア構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両のドアを車室内側から見た斜視図
図2】ガーニッシュの取り付け構造を車室外側から見た斜視図
図3】(a)は車室外側から見たガーニッシュの斜視図、(b)は車室外側から見たガーニッシュの下端部の拡大斜視図
図4図2のA−A断面図
図5図2のB−B断面図
図6図3(b)のC−C断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に車両用のドア1を示してある。このドア1はドアパネル5と、ドアパネル5の本体部5Aに取り付けられるドアトリム2と、ドアパネル5の窓枠5Bの後ろ下側コーナー部に取り付けられるドアインナーガーニッシュ3(以下、「ガーニッシュ3」と称する)とを備えている。ドアパネル5は金属製であり、ドアトリム2とガーニッシュ3は樹脂製である。
【0016】
窓枠5Bの後ろ下側コーナー部を形成する後側の枠部材5B1はドア前方側Frほど上方に位置するように傾斜している。これにより、前記下側コーナー部は鋭角を成している。
【0017】
[ドアトリム2の構造]
前記ドアトリム2は、ドアパネル5の本体部5Aに車室内側W1(図4図5参照)から取り付けられて前記本体部5Aを車室内側W1から覆っている。ドアトリム2には複数のクリップ座が設けられ、複数のクリップによりドアトリム2のクリップ座がドアパネル5に取り付けられている。ドアトリム2のクリップ座とドアトリム2の固定用のクリップとは図示してない。ドアトリム2には、乗員の腕を載せるアームレスト4が膨出形成されている。
【0018】
[ガーニッシュ3の構造]
図2図3(a),図3(b),図4に示すように、前記ガーニッシュ3は、壁面がドア厚さ方向を向く縦に長い縦壁11を備えている。そして、縦壁11のドア前方側Frの端部から車室外側W2に前側側壁12が延び、縦壁11のドア後方側Rrの端部から車室外側W2に後側側壁13が延びている。さらに、後側側壁13の車室外側W2の端部からドア後方側Rrに後壁14が延び、後壁14のドア後方側Rrの端部からフランジ14Aが車室外側W2に延びている。
【0019】
図2図3(a)に示すように、前記縦壁11のドア後方側Rrの側縁の上半部が、上側ほどドア前方側Frに位置するように傾斜している。また、前記側縁に対応して、前記後側側壁13の上半部と後壁14の上半部も上側ほどドア前方側Frに位置するように傾斜している。これにより、縦壁11のドア後方側Rrの側縁と後側側壁13と後壁14のそれぞれの上半部が前記窓枠5Bの後側の枠部材5B1に沿っている。
【0020】
また、縦壁11の上下方向中央部の裏面(車室外側W2の面)と縦壁11の下端部の裏面にクリップ座18が形成されている。縦壁11の下端部の裏面に形成されたクリップ座18は、縦壁11の上下方向中央部の裏面に形成されたクリップ座18よりもドア後方側Rrに位置する。
【0021】
そして、前記クリップ座18がクリップ19を介してドアパネル5の窓枠5Bの取り付けフランジ6に取り付けられている。取り付けフランジ6は窓枠5Bの後側の枠部材5B1からドア前方側Frに張り出している。取り付けフランジ6のドア前方側Frの端縁6Aは段差状に形成されて、取り付けフランジ6の上半部の前記端縁6Aが下半部の前記端縁6Aよりもドア前方側Frに位置している。
【0022】
このように、前記ガーニッシュ3は、ドアパネル5の窓枠5Bの下部に車室内側W1から取り付けられて、ドアパネル5の窓枠5Bの下部を車室内側W1から覆っている。
【0023】
図2に示すように、前側側壁12の裏面には、上下方向に並ぶ複数の補強リブ21が突設されている。補強リブ21はドア厚さ方向に延びている。図2図3(a),図3(b)に示すように、前記クリップ座18のドア前方側Frの周壁18Sと、周壁18Sのドア前方側Frに位置する補強リブ21とは連結リブ22により連結されている。これにより、クリップ座18と縦壁11の剛性を向上させることができる。
【0024】
図2図5に示すように、ドアトリム2の上端部2Jとガーニッシュ3の下端部3Bが連結している。ドアトリム2の上端部2Jには、ガーニッシュ3の下端部3Bを連結させる連結部2J1が設けられている。この連結部2J1は、車室外側W2が開放した断面コの字状に形成されている(図2参照)。
【0025】
そして、ガーニッシュ3を窓枠5Bの下部の取り付けフランジ6に車室内側W1から取り付けるに伴ってドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合する係合爪15が、ガーニッシュ3の縦壁11の下端部に設けられている。
【0026】
この係合爪15は、前記縦壁11のドア前方側Frの下端部の裏面から車室外側W2に突出している。そして、係合爪15の車室外側W2の端部(係合爪15の突出方向の先端部)が、下方に凸の縦断面三角形状の爪部15B(図5参照)に形成されている。
【0027】
また、ガーニッシュ3の下端部3Bとドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1とがクッション材20を介してドア厚さ方向、及び、ドア前後方向で重ね合わされている。クッション材20は厚肉の断面長方形の帯状に形成されている。このクッション材20は、ガーニッシュ3の縦壁11の下端部の裏面と、前側側壁12の下端部の裏面と、前側側壁12の車室外側W2の端部の裏面とに、各裏面の全長にわたって貼着されている。
【0028】
さらに、ガーニッシュ3の係合爪15がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合することで、ガーニッシュ3の下端部3Bとドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1とにクッション材20が挟圧されている。
【0029】
図3(a),図3(b),図6に示すように、前記クッション材20を下方から受け止め支持する一対の支持リブ16A,16Bがガーニッシュ3の下端部3Bの裏面に立設されている。一対の支持リブ16A,16Bは、係合爪15の下方以外のガーニッシュ3の下端部3Bに配置され、係合爪15の下方が開放している。
【0030】
一方の支持リブ16Aは、前側側壁12の下端部の裏面と、縦壁11の前側下端部の裏面とから立ち上がり、他方の支持リブ16Bは縦壁11の下端部の幅方向中間部の裏面から立ち上がっている。従って、ガーニッシュ3の下端部3Bの周方向における前記一方の支持リブ16Aの長さが、前記周方向における他方の支持リブ16Bの長さよりも長く設定されている。係合爪15は、一対の支持リブ16A,16Bの間の空間(切り欠き)の上方に位置する。これにより、上記のように係合爪15の下方が開放している。
【0031】
図6に示すように、前記支持リブ16B(16A)の頂部16T(頂面)とドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1(連結部2J1の車室内側W1の面)との間に隙間Sが形成されている。
【0032】
図3(a),図3(b)に示すように、前記係合爪15はクッション材20の上方に位置し、支持リブ16A,16Bと係合爪15の根元部15A(図5参照)とが前記クッション材20を上下方向で挟み込んでいる。
【0033】
[ドアトリム2とガーニッシュ3のドアパネル5への組み付け方法]
ドアトリム2とガーニッシュ3のドアパネル5への組み付け方法は次の通りである。
(1) ドアトリム2を車室内側W1から車室外側W2に向かって移動させて、複数のクリップでドアパネル5の本体部5Aに取り付ける。クリップのクリップ孔への挿入方向(差込み方向)はドアパネル面に垂直な方向である。
その後に、
(2) ガーニッシュ3を車室内側W1から車室外側W2に向かって移動させて複数のクリップ19でドアパネル5の窓枠5Bの下部の取り付けフランジ6に取り付ける。クリップ19は前記取り付けフランジ6に形成されたクリップ孔6H(図4参照)に挿入される。(2)の工程においても、クリップ19のクリップ孔6Hへの挿入方向はドアパネル面(取り付けフランジ6のフランジ面)に垂直な方向である。(2)の工程において、ガーニッシュ3を窓枠5Bの下部に車室内側W1から取り付けるに伴って、係合爪15がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合する。
【0034】
つまり、
(2−1) ガーニッシュ3を車室内側W1から車室外側W2に向かって移動させてドアパネル5の窓枠5Bの前記取り付けフランジ6に近づけていくと、爪部15Bの車室外側W2の傾斜面15B1(図5参照、車室外側W2ほど上方に位置する傾斜面)がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1(詳しくは、ドア前後方向に延びる連結部2J1の連結壁)に当接する。
(2−2) ガーニッシュ3をさらに同じ方向に移動させると、係合爪15が上方に弾性変形する。前記連結部2J1は、車室外側W2が開放した断面コの字状に形成されて剛性が高いので、係合爪15を上方に円滑に弾性変形させることができる。
(2−3) ガーニッシュ3をさらに同じ方向に移動させると、係合爪15がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1を乗り越えて弾性復元する。これにより、爪部15Bの車室内側W1の傾斜面15B2(車室内側W1ほど上方に位置する傾斜面)がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に当接して係合する(図5参照)。
【0035】
ドアトリム2とガーニッシュ3をドアパネル5に組み付けた状態で、ガーニッシュ3の後壁14のフランジ14Aの端縁は、ドアパネル5の窓枠5Bの車室内側W1の面に当接する(図4参照)。また、ガーニッシュ3の下端部3は、ドアトリム2の前記連結部2J1にクッション材20を介して嵌合(外嵌)する。図2に示すように、ガーニッシュ3のドア前方側Frの前半部は、前記窓枠5Bの取り付けフランジ6からドア前方側Frに張り出す。
【0036】
上記の構成によれば、
(1) ガーニッシュ3を窓枠5Bの下部に車室内側W1から取り付けるに伴って、ガーニッシュ3の下端部3Bの係合爪15がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合する。
従って、前記係合爪15をドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合させるための専用の取り付け操作が不要になる。また、前記係合爪15をドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合させるためのドアトリム2の係合操作は不要である。これにより、ガーニッシュ3とドアトリム2の組み付け作業(ガーニッシュ3とドアトリム2のドアパネル5への組み付け作業、及び、ガーニッシュ3とドアトリム2を互いに組み付ける組み付け作業)の作業性を向上させることができる。
そして、係合爪15がドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に係合することで、ガーニッシュ3の下端部3Bとドアトリム2の上端部2Jとにクッション材20が挟圧される。これにより、ガーニッシュ3とドアトリム2の両部品のガタつきを抑制することができる。また、ガーニッシュ3とドアトリム2の間に隙間が無くなり、車室内の外観を向上させることができ、車室外からドアパネル5に進入した騒音に対する遮音性能を向上させることができる。
【0037】
(2) 支持リブ16A,16Bと前記係合爪15の根元部15Aとがクッション材20を挟み込んでいるから、クッション材20を上下方向で規制することができ、クッション材20の上下方向の位置ずれを防止することができる。これにより、クッション材20がガーニッシュ3の下端部3Bとドアトリム2の上端部2Jの間から車室内側W1にはみ出すことを防止できて車室内の外観を向上させることができる。
また、ガーニッシュ3の下端部に支持リブ16A,16Bを設けたことで、ガーニッシュ3の下端部3Bの剛性が向上するので、ガーニッシュ3の形状の寸法精度をより向上させることができる。その結果、ドアトリム2の上端部2Jとガーニッシュ3の下端部3Bとの間に隙間が生じることを防止することができる。
【0038】
(3) 前記係合爪15の下方が開放しているから、係合爪15を成形するスライド型を前記係合爪15の下方に抜くことができる。その結果、複雑な構造の型を用いることなく係合爪15を成形でき、成形コストを低廉化することができる。
【0039】
(4) 前記ドアトリム2の上端部2J側へのガーニッシュ3の位置ずれが前記隙間S(図6参照)の長さになると、支持リブ16A,16Bの頂部16Tがドアトリム2の上端部2Jの連結部2J1に当接する。これにより、ガーニッシュ3のリブ高さ方向の位置ずれを規制することができる。
【0040】
[別実施形態]
(1) 前記支持リブ16A,16Bはガーニッシュ3の下端部3Bの全域に渡って形成されていてもよい。
(2) 上記の実施形態では、前記係合爪15は1個設けられているが、前記縦壁11に複数設けられていてもよい。
(3) 本発明は、前記ドアパネル5の窓枠5Bの前下側コーナー部に取り付けられるガーニッシュにも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
2 ドアトリム
2J ドアトリムの上端部
3 ガーニッシュ
3B ガーニッシュの下端部
5 ドアパネル
5A ドアパネルの本体部
5B ドアパネルの窓枠
15 係合爪
15A 係合爪の根元部
16A,16B 支持リブ
16T 支持リブの頂部
20 クッション材
S 隙間
W1 車室内側
図1
図2
図3
図4
図5
図6