(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048792
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】冷媒循環冷却システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-162312(P2012-162312)
(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-20737(P2014-20737A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】久慈 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 普一郎
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−191236(JP,A)
【文献】
特開平04−174259(JP,A)
【文献】
特開平07−103515(JP,A)
【文献】
特開2006−038288(JP,A)
【文献】
特開2008−175521(JP,A)
【文献】
米国特許第3919858(US,A)
【文献】
米国特許第5088304(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷媒循環冷却システムにおいて、冷媒の蒸発潜熱により冷却を行う冷却器と、該冷却器より上方に設置され、冷媒を受け入れるレシーバーと、前記冷却器から前記レシーバーへ冷媒を戻す戻り配管と、前記レシーバーから前記冷却器へ冷媒を送る送り配管と、を有し、前記戻り配管は、前記冷却器から前記レシーバーに向かう立上がり部を有し、
前記冷却器は、異なる設置レベルに設置されるものが少なくとも存する形態で複数設けられ、前記立ち上がり部は、最下部に設置される前記冷却器より下方レベルから、最上部に設置される前記冷却器より上方レベルで、かつ前記レシーバーより上方レベルまで立ち上がり、
前記立ち上がり部は、複数の前記冷却器それぞれから延びる戻り分岐管と接続され、前記立上がり部の径は、前記戻り配管中で液状冷媒が自重により落下し、ガス状冷媒のみが前記レシーバーへ戻るような径を有するように、前記立上がり部の最下部から上方に向かって、該戻り分岐管との接続部に応じて、拡径化される、
ことを特徴とする冷媒循環冷却システム。
【請求項2】
前記冷媒は、二酸化炭素、フロン系およびアンモニアのいずれかである、請求項1に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項3】
前記戻り配管の最下部には、自重により落下する液状冷媒を溜める液ポットが設けられ、該液ポットと前記レシーバーとを接続する液戻し配管がさらに設けられ、該液戻し配管には、液ポットに溜まる液状冷媒を前記レシーバーに液送する液ポンプが設けられる、請求項1に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項4】
前記戻り配管の最下部には、自重により落下する液状冷媒を溜める液ポットが設けられ、該液ポットと前記冷却器とを接続する液戻し配管がさらに設けられ、該液戻し配管には、液ポットに溜まる液状冷媒を前記冷却器に液送する液ポンプが設けられる、請求項1に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項5】
前記液戻し配管は、前記レシーバーに接続される前記戻り配管と接続され、前記戻り配管には、前記液ポットに溜まる液状冷媒を前記レシーバーに戻すか、あるいは前記冷却器に戻すかの切り替え弁が設けられる、請求項4に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項6】
前記液ポットには、排熱を利用するタイプの加熱源がさらに設けられ、前記液ポットに溜まる液状冷媒を加熱してガス化させ、前記立ち上がり部を介して前記レシーバーに戻す、請求項4に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項7】
蒸発式、空冷式、水冷式のうちの1つまたは複数を組み合わせた方式の凝縮器がさらに設けられ、該凝縮器によって前記レシーバー内のガス状冷媒を凝縮させる、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項8】
二次冷媒を用いるカスケードコンデンサがさらに設けられ、該カスケードコンデンサを介して二次冷媒の蒸発潜熱により、前記レシーバー内のガス状冷媒を凝縮させる、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項9】
前記送り配管には、液ポンプが設置され、前記戻り配管および前記送り配管により、前記レシーバーと前記冷却器との間で冷媒を強制循環させる、請求項1に記載の冷媒循環冷却システム。
【請求項10】
前記戻り配管および前記送り配管により、前記レシーバーと前記冷却器との間で、前記レシーバーと前記冷却器との間の重力による液ヘッド差を利用して、冷媒を自然循環させる、請求項1に記載の冷媒循環冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒循環冷却システムに関し、より詳細には、冷却器の設置数、あるいは冷却器の負荷変動に係らず、冷媒を冷却器からレシーバーに安定的に戻すことが可能であるとともに、コスト低減および設置スペースの削減が達成可能な冷媒循環冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷が小さい点から、二酸化炭素冷媒が、冷却あるいは冷凍用途に多用され、重力による液ヘッド差を利用した冷媒循環システムも採用されている。
このような冷媒循環システムは、冷却器と、二酸化炭素冷媒を受け入れるレシーバーと、液相の二酸化炭素冷媒をレシーバーから冷却器へ送る送り配管と、冷却器において蒸発することにより冷却を行う気相の二酸化炭素冷媒を冷却器からレシーバーに戻す戻し配管とから概略構成され、特に重力を利用した冷媒の循環を行うことから、レシーバーを冷却器より上方に配置している。
【0003】
このような冷媒循環システムは、圧縮機が不要であり、過熱度制御をしていないことから、冷却器からレシーバーへの戻り配管中において、二酸化炭素冷媒が液相と気相との2相混合状態となる場合がある。
このような2相混合状態の冷媒から冷媒ガスのみをレシーバーに戻すのに、従来、以下のような技術が採用されている。
【0004】
第1に、気液分離機能を果たす集中器を冷却器に付設することである。
集中器は、たとえば、一体構造の垂直型液分離器であり、下部に液溜め部、上部に液分離部をそれぞれ有し、液溜め部には、冷却器に接続する液戻し管が接続され、液溜め部には、溜り液を形成する液冷媒が規定レベルに達したか否かを検出するフロートスイッチが設けられる。
このような集中器により、冷却器からの冷媒中、液冷媒を分離し、ガスのみをレシーバーに戻し、液冷媒は、たとえば液ポンプにより液戻し管を介して冷却器に強制的に液送するようにしている。
【0005】
第2に、いわゆるダブルライザー、トリプルライザー等を用いることである。
たとえば、ダブルライザーは、冷却器の最小負荷に対応した細径の第1ライザ管と、第1ライザ管の下部に対してU字状のトラップを介して接続された太径の第2ライザ管とを有し、負荷が小さいときは、トラップに液状冷媒が溜り、第1ライザ管を介して液状冷媒をレシーバーに戻し、一方負荷が大きいときには、第1ライザ管および第2ライザ管を介して液状冷媒をレシーバーに戻すようにしている。
【0006】
しかしながら、このような従来の技術には、以下のような技術的問題点が存する。
第1に、レシーバーへの冷媒戻しが不安定となる点である。
より詳細には、冷却器が複数基設けられたり、冷却器における負荷変動が大きい場合には、それに応じて集中器あるいはライザ管の数が必要となり、その分、運転の信頼性が低下し、場合によりレシーバーへの冷媒戻しが不安定となることがある。
【0007】
第2に、冷却システムのコスト増、および占有スペースが大きくなる点である。
より詳細には、集中器を冷却器ごとに設置するのでは、コスト増となるとともに、その分占有スペースがかさみ、一方、ダブルライザー等により、気液分離せずに、2相のままで冷媒戻しをするとすれば、エネルギーロスが大きく、運転コストの増大が引き起こされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、冷却器の設置数、あるいは冷却器の負荷変動に係らず、冷媒を冷却器からレシーバーに安定的に戻すことが可能であるとともに、コスト低減および設置スペースの削減が達成可能な冷媒循環システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の冷媒循環冷却システムは、
冷媒を循環させる冷媒循環冷却システムにおいて、
冷媒の蒸発潜熱により冷却を行う冷却器と、
該冷却器より上方に設置され、冷媒を受け入れるレシーバーと、
前記冷却器から前記レシーバーへ冷媒を戻す戻り配管と、
前記レシーバーから前記冷却器へ冷媒を送る送り配管と、を有し、
前記戻り配管は、前記冷却器から前記レシーバーに向かう立上がり部を有し、
該立上がり部は、前記戻り配管中で液状冷媒が自重により落下するような径を有する、構成としている。
【0010】
以上の構成を有する冷媒循環冷却システムによれば、レシーバー内の冷媒をレシーバーより下方に設置された冷却器に向かって、循環により送り配管を介して送り、そこで冷媒の蒸発潜熱により、たとえば冷却器の設置されたスペースを冷却することが可能である。
冷却器において冷却を行った冷媒が気相と液相の2相状態である場合、このような冷媒を戻り配管を介してレシーバーに戻す際、戻り配管には、冷却器からレシーバーに向かう立上がり部が設けられ、この立上がり部は、戻り配管中で液状冷媒が自重により落下するような径を有することから、単に戻り配管の径の調整をするだけで、液状冷媒を戻り配管中に溜めてガス状冷媒のみレシーバーに戻すことが可能であり、たとえば冷却器が複数設置され、あるいは冷却器の負荷変動が種々変わる場合にも、冷却器の設置数、あるいは冷却器の負荷変動に係らず、冷媒を冷却器からレシーバーに安定的に戻すことが可能であるとともに、冷却システムのコスト低減および設置スペースの削減が達成である。
【0011】
また、前記冷媒は、二酸化炭素、フロン系およびアンモニアのいずれかであるのがよい。
さらに、前記冷却器は、異なる設置レベルに設置されるものが少なくとも存する形態で複数設けられ、
前記立ち上がり部は、最下部に設置される前記冷却器より下方レベルから、最上部に設置される前記冷却器より上方レベルで、かつ前記レシーバーより上方レベルまで立ち上がり、
前記立ち上がり部は、複数の前記冷却器それぞれから延びる戻り分岐管と接続され、
前記立上がり部の径は、前記立上がり部の最下部から上方に向かって、該戻り分岐管との接続部に応じて、拡径化されるのがよい。
【0012】
さらにまた、前記冷却器は、同じ冷却用スペース内で各冷却器に対する冷却負荷が変動する形態で複数設けられ、
前記立ち上がり部は、最下部に設置される前記冷却器より下方レベルから立ち上がり、
複数の前記冷却器それぞれから延びる戻り分岐管と接続され、
前記立上がり部の径は、該冷却器の負荷変動に応じて、拡径化されるのがよい。
加えて、前記戻り配管の最下部には、自重により落下する液状冷媒を溜める液ポットが設けられ、該液ポットと前記レシーバーとを接続する液戻し配管がさらに設けられ、該液戻し配管には、液ポットに溜まる液状冷媒を前記レシーバーに液送する液ポンプが設けられるのでもよい。
【0013】
さらに、前記戻り配管の最下部には、自重により落下する液状冷媒を溜める液ポットが設けられ、該液ポットと前記冷却器とを接続する液戻し配管がさらに設けられ、該液戻し配管には、液ポットに溜まる液状冷媒を前記冷却器に液送する液ポンプが設けられるのでもよい。
さらにまた、前記液戻し配管は、前記レシーバーに接続される前記戻り配管と接続され、前記戻り配管には、前記液ポットに溜まる液状冷媒を前記レシーバーに戻すか、あるいは前記冷却器に戻すかの切り替え弁が設けられるのでもよい。
加えて、前記液ポットには、排熱を利用するタイプの加熱源がさらに設けられ、前記液ポットに溜まる液状冷媒を加熱してガス化させ、前記立ち上がり部を介して前記レシーバーに戻すのでもよい。
【0014】
さらに、蒸発式、空冷式、水冷式のうちの1つまたは複数を組み合わせた方式の凝縮器がさらに設けられ、該凝縮器によって前記レシーバー内のガス状冷媒を凝縮させるのでもよい。
さらにまた、二次冷媒を用いるカスケードコンデンサがさらに設けられ、該カスケードコンデンサを介して二次冷媒の蒸発潜熱により、前記レシーバー内のガス状冷媒を凝縮させるのでもよい。
加えて、前記送り配管には、液ポンプが設置され、前記戻り配管および前記送り配管により、前記レシーバーと前記冷却器との間で冷媒を強制循環させるのでもよい。
【0015】
さらに、前記戻り配管および前記送り配管により、前記レシーバーと前記冷却器との間で、前記レシーバーと前記冷却器との間の重力による液ヘッド差を利用して、冷媒を自然循環させるのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の第1実施形態の冷媒循環冷却システム10について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
冷媒として、二酸化炭素を用い、倉庫のようなスペース空間SPを被冷却対象物とする。
図1に示すように、冷媒循環冷却システム10は、それぞれ冷媒の蒸発潜熱により冷却を行う複数の冷却器12(図面では、2機)と、複数の冷却器12より上方レベルに設置された二酸化炭素レシーバー14と、複数の冷却器12と二酸化炭素レシーバー14との間を接続する第1配管系16と、カスケードコンデンサ18と、圧縮機20と、凝縮器22と、二酸化炭素レシーバー14とカスケードコンデンサ18との間を接続する第2配管系24と、カスケードコンデンサ18と圧縮機20との間を接続する第3配管系26とから概略構成される。
【0017】
冷却器12は、異なる設置レベルに設置されるものが少なくとも存する形態で複数設けられる。
より詳細には、
図2は、
図1の冷却器12の配置状態をより詳細に説明したものであり、4つのスペース空間SP1ないしSP4それぞれに冷却器12が一基ずつ設置されている状況を示す。より具体的には、上部のスペース空間であるSP1およびSP2において、SP1に対して冷却器12AA、SP2に対して冷却器12ABが設置され、一方下部のスペース空間であるSP3およびSP4において、SP3に対して冷却器12BA、SP4に対して冷却器12BBが設置されている。
第1配管系16は、それぞれの冷却器12から二酸化炭素レシーバー14へ冷媒を戻す戻り配管28と、二酸化炭素レシーバー14から冷却器12へ冷媒を送る送り配管30とを有し、戻り配管28は、冷却器12から二酸化炭素レシーバー14に向かう立上がり部32を有し、立上がり部32は、戻り配管28中で液状冷媒が自重により落下するような径を有する。
より詳細には、戻り配管28は、二酸化炭素レシーバー14の上部の気相部に接続され、後に説明する立上がり部32には、一端がそれぞれの冷却器12に接続される戻り分岐管34が2本接続されており、冷却器12の設置レベルに応じて、2本の戻り分岐管34の立上がり部32への接続レベルが異なる。
【0018】
一方、送り配管30には、調整弁36を介してそれぞれの冷却器12に接続される送り分岐管38が2本接続されている。調節弁36
を設け、その開度を調節することにより冷却器12への送液量を制御できるように構成してある。
送り配管30には、液ポンプ40が設置され、戻り配管28および送り配管30により、二酸化炭素レシーバー14と冷却器12との間で二酸化炭素冷媒を強制循環させるようにしている。変形例として、液ポンプ40を設けることなく、戻り配管28および送り配管30により、二酸化炭素レシーバー14と冷却器12との間で、二酸化炭素レシーバー14と冷却器12との間の重力による液ヘッド差を利用して、二酸化炭素冷媒を自然循環させてもよい。この場合には、複数の冷却器12と二酸化炭素レシーバー14とのレベル差を要求される二酸化炭素冷媒の循環流量の観点から決定すればよい。
【0019】
以上の構成により、二酸化炭素レシーバー14からの液状の二酸化炭素冷媒が、液ポンプ40により送り配管30を介して、各送り分岐管38を経て対応する冷却器12に液送され、各冷却器12において、蒸発潜熱により冷却をしたガス状の二酸化炭素冷媒は、対応する戻り分岐管34を経て、立上がり部32および戻り配管28を介して二酸化炭素レシーバー14に戻され、冷媒循環冷却システム10を形成するようにしている。
【0020】
ここで、立上がり部32について説明すれば、
図2(B)に示すように、立上がり部32は、戻り配管28と一体で、最下部に設置される冷却器12Bより下方レベルから、最上部に設置される冷却器12Aより上方レベルで、かつ二酸化炭素レシーバー14より上方レベルまで立ち上がる。立上がり部32は、前述のように、複数の冷却器12それぞれから延びる戻り分岐管34と接続され、立上がり部32の径は、立上がり部32の最下部から上方に向かって、戻り分岐管34との接続部に応じて拡径化される。
より詳細には、立上がり部32の最下部から冷却器12Bの戻り分岐管34の立上がり部32との接続部42まで、接続部42から冷却器12Aの戻り分岐管34の立上がり部32との接続部44まで、および接続部44より上方それぞれの立上がり部32の径をD1、D2、D3とすれば、D1<D2<D3としている。これにより、冷却器12から対応する戻り分岐管34を介して立上がり部32に戻される二酸化炭素冷媒の流量は、それぞれの冷却器12からの流量が合流することから、立上がり部32のレベルが上になるほど大になるところ、これに合わせて、立上がり部32の径を調整することにより、二酸化炭素冷媒の流速を略一定にすることにより、ガス状の二酸化炭素冷媒に混合する液状の二酸化炭素冷媒が、立上がり部32のどこを流れる場合であっても、立上がり部32の最下部に戻され、液状の二酸化炭素冷媒が二酸化炭素レシーバー14に戻らないようにしている。よって、D1、D2、D3それぞれは、このような観点から決定すればよい。
【0021】
図2に示すように、戻り配管28の立上がり部32の最下部には、自重により落下する液状二酸化炭素冷媒を溜める液ポット46が設けられ、液ポット46と二酸化炭素レシーバー14とを接続する液戻し配管47がさらに設けられ、液戻し配管47には、液ポット46に溜まる液状冷媒を二酸化炭素レシーバー14に液送する液ポンプ43と、切替弁73とが設けられる。また、液ポット46近傍には、レベルスイッチ49が設けられ、液ポット46に溜まる液状二酸化炭素冷媒の量を監視できるようにしている。これにより、液状二酸化炭素冷媒が液ポット46に一定量溜まったら、液ポンプ43により液戻し配管を介して二酸化炭素レシーバー14に戻すようにしてある。なお、液戻し配管47と送り配管30との間には、切替弁71を介してバイパス管75が設けられ、液戻し配管47からの液状二酸化炭素冷媒をバイパス管75を介して送り配管30に適宜送り、二酸化炭素レシーバー14に戻さずに、各冷却器12に送るようにしてもよい。
変形例として、冷却器12が、同じ冷却用スペース内で各冷却器12に対する冷却負荷が変動する形態で複数設けられ、立上がり部32は、最下部に設置される冷却器12より下方レベルから立ち上がり、複数の冷却器12それぞれから延びる戻り分岐管34と接続され、立上がり部32の径は、冷却器12の負荷変動に応じて、拡径化されるのでもよい。より詳細には、冷却器12の負荷変動の範囲を予め把握したうえで、それに応じた二酸化炭素冷媒の流量の変動範囲に応じて、液状二酸化炭素冷媒が液ポット46に向かって、確実に自重により落下するようにすればよい。
【0022】
さらなる変形例として、
図3に示すように、戻り配管28の最下部には、自重により落下する液状冷媒を溜める液ポット46が設けられ、液ポット46と冷却器12BA、BBとを接続する液戻し配管48がさらに設けられ、液戻し配管48には、液ポット46に溜まる液状冷媒を冷却器12BA、BBに液送する液ポンプ41が設けられるのでもよい。この場合、液ポット部46に液状二酸化炭素が一定量溜まった場合には、切り替え弁51を閉じ液ポット46に溜まった液状二酸化炭素を直接冷却器12BA、BBに送り、一方、冷却器12AA,ABには二酸化炭素レシーバー14より液ポンプ40を介して二酸化炭素レシーバー14の液状二酸化炭素を送るようにしてもよい。たとえば、冷却器12の負荷が増大して、液ポット46に溜まった液状二酸化炭素も利用して冷却する場合には、切り替え弁51を開いて、液状二酸化炭素を液ポンプ41により液戻し配管48を介して直接冷却器12AおよびBに液送してもよい。なお、二酸化炭素レシーバー14より液ポンプ40を介してのみ、冷却器12AおよびBに液状二酸化炭素を液送する際、切り替え弁51を開くことにより、液状二酸化炭素が液戻し配管48内に流入しないように、液戻し配管48にも切り替え弁(図示せず)を設けてもよい。
【0023】
別の変形例として、
図4に示すように、液ポット46には、排熱を利用するタイプの加熱源50がさらに設けられ、液ポット46に溜まる液状二酸化炭素冷媒を加熱してガス化させ、立上がり部32を介して二酸化炭素レシーバー14に戻してもよい。これにより、たとえば、加熱源としてヒーターや冷凍機の排熱を利用してもよい。
【0024】
二次側について説明すれば、
図1に示すように、二次冷媒を用いるカスケードコンデンサ18がさらに設けられ、カスケードコンデンサ18を介して二次冷媒の蒸発潜熱により、二酸化炭素レシーバー14内のガス状二酸化炭素冷媒を凝縮させている。二次冷媒としては、従来既知の冷媒を用いればよい。より詳細には、カスケードコンデンサ18において、二酸化炭素レシーバー14からのガス状二酸化炭素冷媒を二次冷媒により冷却し、液状二酸化炭素冷媒を二酸化炭素レシーバー14に戻す一方、加熱された二次冷媒は、圧縮機20により圧縮された後、凝縮器22において冷却水により凝縮され、膨張弁53を介して再びカスケードコンデンサ18に送るようにしている。
以上の構成を有する冷媒循環冷却システム10によれば、二酸化炭素レシーバー14内の冷媒を二酸化炭素レシーバー14より下方に設置された冷却器12に向かって、循環により送り配管30を介して送り、そこで冷媒の蒸発潜熱により、たとえば冷却器12の設置されたスペースを冷却することが可能である。
冷却器12において冷却を行った冷媒が気相と液相の2相状態である場合、このような戻り配管28を介して二酸化炭素レシーバー14に戻す際、戻り配管28には、冷却器12から二酸化炭素レシーバー14に向かう立上がり部32が設けられ、この立上がり部32は、戻り配管28中で液状冷媒が自重により落下するような径を有することから、単に戻り配管28の径の調整をするだけで、液状冷媒を戻り配管28中に溜めてガス状冷媒のみ二酸化炭素レシーバー14に戻すことが可能であり、たとえば冷却器12が複数設置され、あるいは冷却器12の負荷変動が種々変わる場合にも、冷却器12の設置数、あるいは冷却器12の負荷変動に係らず、冷媒を冷却器12から二酸化炭素レシーバー14に安定的に戻すことが可能であるとともに、冷却システムのコスト低減および設置スペースの削減が達成である。
【0025】
以下に、本発明の第2実施形態について、
図5を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、二次側が第1実施形態と異なり、第1実施形態においては二次冷媒を用いるカスケードコンデンサ18がさらに設けられ、カスケードコンデンサ18を介して二次冷媒の蒸発潜熱により、二酸化炭素レシーバー14内のガス状冷媒を凝縮させるものとしたが、本実施形態においては、二次冷媒を使用せず一次冷媒を直接圧縮機20にて圧縮し、蒸発式、空冷式、水冷式のうちの1つまたは複数を組み合わせた方式の凝縮器22がさらに設けられ、凝縮器22によって凝縮された液状一次冷媒を高圧レシーバー62に溜め膨張弁53を介して低圧の液状一次冷媒を低圧レシーバー60に溜め、液ポンプ40を介して冷却器12に液送している。
【0026】
より詳細には、第1実施形態における二酸化炭素レシーバーの代わりに、低圧レシーバー60が配置され、さらに、圧縮機20、凝縮器22、高圧レシーバー62、膨張弁53がこの順に配置され、それぞれが配管55で接続されて、一次側において、各冷却器12において、蒸発した一次冷媒(二酸化炭素)が、戻し配管28を介して低圧レシーバー60に戻されると、ガス状の一次冷媒は、圧縮機20に送られて圧縮され、凝縮器22において、冷却水により冷却されて凝縮し、凝縮した一次冷媒は、高圧レシーバー62に送られて、液状の一次冷媒が膨張弁53を介して、低圧レシーバー60に戻されるようにしている。
なお、第1実施形態と同様に、一次側の立上がり部32には、液ポット46を設け、液戻し管47により液状一次冷媒を直接低圧レシーバー60に戻したり、液ポット46を設け、液戻し管47により液状一次冷媒を冷却器12に戻したり、あるいは液ポット46を設けたうえで、排熱を利用する加熱源50により液ポット46の溜まった液状一次冷媒をガス化して、立上がり部32を介して低圧レシーバー60に戻してもよい。
【0027】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、戻り配管28における立上がり部32を戻り配管28と一体のものとして説明したが、それに限定されることなく、戻り配管28とは別体として設け、たとえば戻り配管28に溶接固定してもよい。
【0028】
たとえば、本実施形態において、設置レベルを異にする複数の冷却器12を用いたり、あるいは設置レベルが同じであるが、それぞれ負荷変動する複数の冷却器12を用いたりする場合を説明したが、それに限定されることなく、設置レベルを異にする複数の冷却器12において、負荷変動が個々に生じる場合に適用してもよい。
たとえば、本実施形態において、室内を冷却する空調システムとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、飲料物等の被冷却対象物を冷却する冷却システムとして利用してもよい。
たとえば、本実施形態において、冷媒として、環境保全の観点から自然冷媒として二酸化炭素を採用するものとして説明したが、それに限定されることなく、蒸発潜熱により冷却可能である限り、フロン系あるいはアンモニアでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷媒循環冷却システム10の全体構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る冷媒循環冷却システム10の戻り配管の詳細を示す部分図であり、
図2(B)は、立上り部32の詳細を示す部分詳細図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る冷媒循環冷却システム10の液戻し配管48の立上がり部32の変形例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る冷媒循環冷却システム10の液戻し配管48の立上がり部32の変形例を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る冷媒循環冷却システム10の全体構成図である。
【符号の説明】
【0030】
D:戻し配管の径
10 冷媒循環冷却システム
12 冷却器
14 二酸化炭素レシーバー
18 カスケードコンデンサ
20 圧縮機
22 凝縮器
28 戻り配管
30 送り配管
32 立上がり部
34 戻り分岐管
36 調整弁
38 送り分岐管
40 液ポンプ
43 液ポンプ
46 液ポット
47 液戻し配管
48 液戻し配管
49 レベルスイッチ
50 加熱源
51 切り替え弁
53 膨張弁
60 低圧レシーバー
62 高圧レシーバー