【実施例】
【0026】
以下に実施例および比較例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%は特記しない限り重量基準である。
【0027】
実施例1(ポリアミドポリアミン縮合物(A)の合成)
温度計、冷却器、攪拌機および窒素導入管を備えた反応装置に、重合ロジン(二量体含有率:40%)420部(1モル)、アジピン酸584部(4モル)およびジエチレントリアミン516部(5モル)を仕込み、窒素気流下180℃まで昇温し、生成水を系外に除去しながら約8時間を要して縮合反応させて、重量平均分子量が1600のポリアミドポリアミン縮合物を得た(A−1という)。次いで、所定量の水で希釈し、固形分濃度50%、粘度300mPa・s(25℃)のポリアミドポリアミン縮合物水溶液を得た(A−1’という)。
【0028】
実施例2〜4(ポリアミドポリアミン縮合物(A)の合成)
実施例1において、重合ロジンの種類、その使用割合のいずれかにつき、表1記載のように変更した他は、同様に縮合反応させて各種のポリアミドポリアミン縮合物(A)を得た(順にA−2〜A−4という)。次いで、これらを水で希釈し、各種の縮合物(A)水性液を得た(順に、A−2’〜A−4’という)。これらの重量平均分子量、粘度は表2に示す。
【0029】
【表1】
表1中、重合ロジンNo.1とは実施例1で用いたもの、No.2とは二量化物の含有率が50%のもの、No.3とは二量化物の含有率が40%であって水素化されたものをいう。
【0030】
比較例1(比較用ポリアミドポリアミン縮合物の合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、アジピン酸730部(5モル)およびジエチレントリアミン516部(5モル)を仕込み、窒素気流下180℃まで昇温し、生成水を系外に除去しながら約8時間を要して縮合反応させて比較用ポリアミドポリアミン縮合物を得た(AC−1という)。次いで、所定量の水で希釈し、比較用ポリアミドポリアミン縮合物水性液を得た(AC−1’という)。これらの重量平均分子量、粘度は表2に示す。
【0031】
比較例2(比較用ポリアミドポリアミン縮合物の合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、脂肪酸ダイマー1122部(2モル)、アジピン酸438部(3モル)、およびジエチレントリアミン516部(5モル)を仕込み、窒素気流下180℃まで昇温し、生成水を系外に除去しながら約8時間を要して縮合反応させて比較用縮合物を得た(AC−2という)。次いで、所定量の水で希釈し、比較用ポリアミドポリアミン縮合物水性液を得た(AC−2’という)。これらの重量平均分子量、粘度は表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
実施例5(ポリアミドポリアミン架橋性変性物(B)の合成)
実施例1で用いたと同様の反応装置に、実施例1で得られたA−1’を540部および水238部を仕込み(反応液濃度40%に調整)、系内温度を15℃に保持しながらエピクロロヒドリン92部(エピクロロヒドリンのエポキシ基:ポリアミドポリアミンの第2級アミノ基(当量比)=1.1:1)を2時間かけて滴下した後、30℃で5時間保温した。次いで、水90部を加えた後、60℃に昇温し2時間保温した。更に、水423部、62.5%硫酸50部を加えて冷却し、固形分濃度25%、粘度250mPa・s(25℃)、pH3.0のポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂水性液を得た(変性物B−1という)。
【0034】
実施例6〜8
実施例5において、A−1’と該使用量を、表3に記載のように縮合物水性液の種類および使用量に変えた他は同様に反応を行い、ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン変性物水溶液を得た(順に、変性物B−2〜B−4という)。これらの固形分濃度、粘度およびpHを表4に示す。
【0035】
比較例3〜4
実施例5において、A−1’と該使用量に代えて、表3に記載のように変えた他は同様に反応を行い、比較用ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン変性物水溶液を得た(順に、変性物BC−1およびBC−2という)。これらの固形分濃度、粘度およびpHを表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
以下、本発明の縮合物および架橋性変性物を用いた特定用途における性能評価例を示す。
【0039】
(エポキシ樹脂接着剤組成物の調製)
実施例1〜4で得られた変性物(A−1〜A−4)および比較例1〜2で得られた比較用変性物(AC−1およびAC−2)について、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「EP828」)100部に対して、それぞれ50部および硬化促進剤(トリフェニルフォスフィン)1部を配合し、均一に混合し、硬化条件(150℃×2時間+180℃×8時間)でトランスファー成形して樹脂成形体を得た。これにより得られた硬化物のガラス転移温度(TMA 昇温度速度2℃/分)、熱変形温度(JIS K7207準拠)を測定した。結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
表5から、各実施例の縮合物を用いてなるエポキシ樹脂硬化物は、比較用のエポキシ樹脂硬化物に比べてガラス転移温度、熱変形温度ともに高い値を示し、硬化物特性に優れることが明らかである。
【0042】
(水性接着剤組成物の調製)
実施例5〜8で得られた変性物(B−1〜B−4)および比較例3〜4で得られた比較用変性物(BC−1およびBC−2)について、以下の方法で耐水接着剤を調製し、耐水化剤としての性能を評価した。結果を表6に示す。
【0043】
40℃の温水585部にコーンスターチ240部を懸濁させ、ついで15%水酸化ナトリウム水溶液44.6部を添加し、その後硼酸3.2gを加えて糊液を得た。これに、スチレンブタジエンラテックス(固形分51%、Tg−5℃、平均粒子径130nm)150部、および耐水化剤として前記変性物24部を添加して、耐水接着剤を調製した。得られた接着剤を、坪量200g/m
2、撥水度(JIS P8137)R0の耐水中芯を貼合した片面段ボールの段頂に着糊量が固形分として10g/m
2になるように塗布し、これに耐水ライナーSKを貼り合わせて、熱圧着(160℃×5秒)した。貼合後の段ボールシートは温度23℃、湿度50%で24時間放置し、JIS−Z−0402に基づき常態接着力および耐水接着力(試験片を20℃の水に1時間浸漬後の接着力)を測定した。
【0044】
【表6】
【0045】
表6から、各実施例の変性物を用いてなる水性接着剤組成物は、比較用の水性接着剤組成物に比べて常態接着力、耐水接着力のいずれの点でも優れることが明らかであり、耐水化剤としての優位性が認められる。
【0046】
(湿潤紙力剤としての性能評価)
実施例5〜8で得られた変性物(B−1〜B−4)および比較例3〜4で得られた比較用変性物(BC−1およびBC−2)について、以下の方法で湿潤紙力剤としての性能を評価した。結果を表7に示す。
【0047】
(湿潤紙力強度)
パルプ(L−BKP/N−BKP=1/1)を離解し、濾水量が500mlになるまで叩解したパルプスラリーに、前記の架橋反応物を0.4%(対パルプ固形分換算)加えた。こうして得られたパルプスラリーについて、TAPPIスタンダードシートマシン(角型)にて坪量60g/m
2となるように抄紙した。得られた湿紙を、ロールプレスにて線圧15kg/cmでプレス脱水した。次いで、回転型乾燥機で110℃において4分間乾燥し、23℃、50%R.H.の条件下に24時間調湿して、手抄きシートを作成した。得られた手抄きシートの湿潤紙力強度(裂断長:Km)をJIS P8135に準じて測定した。
【0048】
【表7】
【0049】
表7から、各実施例の変性物を含有する本発明の湿潤紙力剤は、比較例のものに比べて、湿潤強度を向上させうることが明らかである。