(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマッサージ装置においては、ネジ軸の両端が軸受ユニットにより回動可能に固定支持されているため、ネジ軸の寸法や軸受ユニットに挿通するネジ軸端部の加工などに高い精度が要求され、ネジ軸の芯出しの精度が劣ると、ネジ軸が適切に回動せず、台車の円滑な走行に支障を来たしたり、あるいは回動用モータの動力がウォームホイールに確実に伝動せず結果として歯車の回動に悪影響を与えてしまう、という問題点を有していた。
【0007】
加えて、芯出しの精度が劣っている状態で移動用または回動用のモータを駆動し続けると、モータに規定値以上の負荷がかかり、焼損等によるモータ故障につながるという問題点も有していた。
【0008】
さらに、マッサージ装置の製造工場内での組立作業時においてネジ軸の芯出し調整の作業に非常に時間を要し、これがマッサージ装置の組立作業性を悪化させる要因の1つとなっており、組立作業性の改善も望まれていた。
【0009】
また、噴射口移動機構を短辺方向に回動させるために用いられるネジ軸は、回動用モータの駆動時に、ネジ軸の一端側で回動用モータと連結する側の軸受ユニットに加わるスラスト負荷を軽減させるために、ネジ軸の他端側の端面を樹脂製のエンドブロックで回動用モータの方向に押圧する工夫をしているが、これが部品点数の増大を招き、コストアップの要因となっているばかりでなく、ネジ軸の回動による摩擦でエンドブロックが摩耗し、次第に押圧力が減退するという問題点も有していた。
【0010】
本発明においては、噴射口の移動に用いる軸の芯出し作業に要する時間を短縮しマッサージ装置の組立作業性を向上すると共に、噴射口の移動に支障を来たすことなく、コストダウン化が図れるマッサージ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る本発明のマッサージ装置は、液槽内で噴射液の噴射口を移動および回動させるマッサージ装置であって、回転駆動部と、一端側が前記回転駆動部に回転駆動可能に連結されると共に軸受で支持されかつ他端側が前記液槽内一方向に延在する軸と、前記軸にスライド移動可能に装着されて前記回転駆動部により前記軸と共に一体回転可能なギア部材と、前記ギア部材と共に前記軸に沿って移動可能でかつ上部に前記噴射口を有しかつ前記ギア部材の回転により回動可能な噴射部と、前記軸の他端側を非固定状態で支持する支持機構と、を有したことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、軸は、一端側が固定的に支持される一方、支持機構により他端側が非固定状態で支持されているので、マッサージ装置の組立作業時において、軸の芯出し調整の作業に必要以上に時間を要することなくマッサージ装置の組立を行えるので、組立作業性を向上することができる。また、本発明によれば、従来構造のように軸の他端側を固定する必要がないため、この固定に要するカラーや軸受が内部に組み込まれた軸受等の部材が不要となり、さらに軸の他端側の端面の加工精度を過度に高める必要がなくなるうえに、端面の精密加工をも不要にでき、その分、コストダウンが図れる。
【0013】
請求項2の態様は、前記支持機構が、前記軸の他端側を前記ギア部材との間でクリアランスを持たせた状態で支持する機構となっている。
【0014】
この請求項2の態様では、軸の芯出しの微調整を簡便に行える。また、モータ等の回転駆動部の駆動力を軸からギア部材に確実に伝動させることができるので、ギア部材を円滑に回動させるうえで好ましいものとなる。また、モータ等の回転駆動部に対して規定値以上の負荷がかかることがなくなるので、このような過負荷に起因する焼損等の回転駆動部の故障を軽減することができる。
【0015】
請求項3の態様は、前記軸の前記一端側を支持する前記軸受を前記軸に取着した取着部材により軸心方向で受けることにより、前記軸心方向へのスラスト負荷を抑制する。なお、前記一端側は、前記軸の一端とその近傍を含む意味である。軸の他端側も同様に軸の他端とその近傍を含む意味である。
【0016】
従来構造のマッサージ装置において、カラーや軸受で軸の他端側を支持すると共に、樹脂製のエンドブロックおよびエンドブラケットの部材で軸他端側の端面を軸心方向(駆動モータ側方向)に押圧することで、軸に加わるスラスト負荷を抑制していたが、請求項3の態様では、軸の一端側またはその近傍において軸に取着した取着部材(具体的にはナット)を一端側の軸受で受ける構成にすることでスラスト負荷を抑制したので、その分、部品点数を削減でき、コストダウンが図れることになる。さらには、従来の構成で生じていた、樹脂製のエンドブロックが磨耗して次第に押圧力が減退してスラスト負荷の抑制作用がなくなる、という問題点も解消できる。
【0017】
請求項4の態様は、前記液槽が、平面視ほぼ長方形状ないし平面視ほぼ楕円形
状の液槽であり、前記噴射部は、前記液槽の短辺方向において二つ一対で一組とされ、かつ、前記液槽の長辺方向にわたって二組設けられ、前記軸には、前記各組の噴射部に対応して前記ギア部材が配設されている。
【0018】
従来構造のマッサージ装置においては噴射部を二個配置しようとすれば、噴射部を一個だけ設ける場合に比して軸の芯出し精度がさらに要求されることになり、これに伴って芯出し調整作業の時間も増加することが予想されるが、請求項4の態様では、この調整作業の時間を大幅に削減できることになる。
【0019】
請求項5の態様は、前記二組の前記噴射部に対して、それらのうちの一組あるいは二組のいずれかに切り替える噴射部切替手段を備える。
【0020】
請求項5の態様では、例えば、肩や背中の面積が広い部位(筋肉)をマッサージするときは、二組の噴射部それぞれが有する噴射口の全てから同時に噴射液を噴射することで、施療時間の短縮化になり効率的なマッサージが実現できる。逆に、首などの狭い部位をマッサージするときは一組の噴射部が有する噴射口からの噴射に切り替えることで施療対象の部位に対してピンポイントに噴射液を噴射してマッサージをすることができ、不必要な部位にまで噴射液を噴射しマッサージ受療者に不快感を与えるという好ましくない状況を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、軸の芯出し作業に要する時間を短縮しマッサージ装置の組立作業性を向上させ、噴射口の移動に支障を来たすことなく、コストダウン化が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るマッサージ装置を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るマッサージ装置の概略平面図である。
図2は、
図1のCーC線に沿う横断面図である。
図3は、
図1のA−A線に沿う部分断面図である。なお、
図1のA1−A1線に沿う部分断面図も、
図3と同様になる。
図4は、軸の一端側の部分断面図である。
図5は、
図1のB−B線に沿う部分断面図である。
図6は、
図5の要部拡大図である。
図7は、噴射部切替えのための概略構成図である。
【0024】
マッサージ装置100は、液槽1と、移動台車2と、第1〜第4の噴射部3A〜3Dと、噴射液供給部4と、可撓性シート5と、可撓性補強帯6と、台車移動機構7と、ケーシング8と、を備えている。
【0025】
液槽1は、平面視ほぼ長方形状ないし平面視ほぼ楕円形
状をなし、その上面に開口1aを有して水等の液体Qが貯留される内容積を有している。ケーシング8は、全周にわたって液槽1の側面を覆っている。
【0026】
移動台車2は、
図3に示すように、転動輪2a1,2a2を有している。移動台車2は、転動輪2a1,2a2を液槽1内の底部で転動させることで、液槽1の長辺方向1bに沿って水平移動可能となっている(
図1参照)。
【0027】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、液体Qを噴射液Bとして液槽底部側から開口1aに向かって噴射している。噴射液供給部4は、第1〜第4の噴射部3A〜3Dに噴射液Bを供給している。
【0028】
可撓性シート5はゴムシート材からなり、液槽1に、開口1aを覆って取り付けられており、マッサージ受療者(図示略)が治療部位を可撓性シート5の上面に当接させて座臥状態で乗込可能となっている。
【0029】
可撓性補強帯6は、シート状ないしは網状の部材からなり、可撓性シート5の上側にあって液槽1の長辺方向1bと交差する短辺方向に沿って開口1a上に架設されている。可撓性補強帯6は、マッサージ受療者が可撓性シート5に乗降する際に、マッサージ受療者の臀部が当接する部位に設けられている。
【0030】
噴射液供給部4は、噴射液発生部12と、台車内流路26とを備えている。噴射液発生部12は、吸液ポンプ部13と曲折配管14(14a,14b)とを備えている。吸液ポンプ部13は、液槽1から液体Qを吸液して噴射液Bにして圧送する。曲折配管14a,14bは、吸液ポンプ部13によって吸液された噴射液Bを、移動台車2まで圧送する。
【0031】
台車内流路26は、移動台車2の底部2bに設けられている。台車内流路26は、移動台車2の底部2bを液密に封止することで形成されている。台車内流路26は、曲折配管14a,14bに連通接続されている。なお、台車内流路26は、移動台車2の内部の隙間であればどの位置に設けてもよい。本実施形態では、移動台車2の底部2bに台車内流路26を設けているがこれは一例にすぎない。
【0032】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、移動台車2に装着されている。第1の噴射部3Aと第2の噴射部3Bとは互いに連動する組構成となっている。第3の噴射部3Cと第4の噴射部3Dとは互いに連動する組構成となっている。第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、それぞれ、第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dと、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dと、噴射ノズル22A〜22Dとを、それぞれ、備えている。
【0033】
第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、軸心を垂直にして移動台車2上に据え付け配置されている。具体的には、第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、台車内流路26の天井面26aに立設配置されている。ここで、第1、第2の噴射軸部20A、20Bは、その対向方向αを液槽1の長辺方向1bと直交する方向(短辺方向)の向きにして配列されている。同様に第3、第4の噴射軸部20C、20Dは、その対向方向αを液槽1の長辺方向1bと直交する方向の向きにして配列されている。
【0034】
第1の噴射軸部20Aの外周側には第1の回転筒18Aが第1の噴射軸部20Aと同軸に外嵌配置されている。第1の回転筒18Aは、両端にある軸受19を介して第1の噴射軸部20Aに対して同軸でかつ相対回転可能に装着されている。同様に、第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dの外周側には第2〜第4の回転筒18B〜18Dが、軸受19を介して第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dと同軸にかつ相対回転可能に外嵌配置されている。第1の回転筒18Aの上端には第1の連結ギア23Aが同軸かつ回転一体に取り付けられている。同様に第2〜第4の回転筒18B〜18Dの上端には第2〜第4の連結ギア23B〜23Dが同軸かつ回転一体に取り付けられている。
【0035】
第1の連結ギア23Aと第2の連結ギア23Bとは互いに噛合して連動連結している。同様に、第3の連結ギア23Cと第4の連結ギア23Dとは互いに噛合して連動連結している。
【0036】
第1の噴射部本体21Aは平面視卵形形状をしており、第1の連結ギア23Aの上面に取り付けられている。第1の噴射部本体21Aはその主軸を第1の連結ギア23Aと同軸にして回転一体に第1の連結ギア23Aに取り付けられている。同様に、第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dは平面視卵形形状をしており、第2〜第4の連結ギア23B〜23Dの上面に取り付けられている。第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dはその主軸を第2〜第4の連結ギア23B〜23Dと同軸にして回転一体に第2〜第4の連結ギア23B〜23Dに取り付けられている。
【0037】
噴射ノズル22A〜22Dは、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの上面に装着されている。噴射ノズル22A〜22Dは、液体Qを噴射液Bとして液槽1の底部から開口1aに向かって噴射する機能を有している。
【0038】
第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dの内部には、その軸方向両端にわたって軸内流路20Aa〜20Daが形成されている。第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの内部には、噴射部内流路21Aa〜21Daが形成されている。
【0039】
軸内流路20Aa〜20Daの下端は台車内流路26に連通している。軸内流路20Aa〜20Daの上端は噴射部内流路21Aa〜21Daに連通している。噴射部内流路21Aa〜21Daは、噴射ノズル22A〜22Dに連通接続されている。これにより、噴射ノズル22A〜22Dは、噴射部内流路21Aa〜21Daと軸内流路20Aa〜20Daとを介して台車内流路26に流路連通している。
【0040】
第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの下面には、第1〜第4の連結ギア23A〜23Dが形成されている。第1の連結ギア23Aと第2の連結ギア23Bとは互いに噛合して連動連結している。第3の連結ギア23Cと第4の連結ギア23Dとは互いに噛合して連動連結している。
【0041】
第1の回転筒18Aの周面には、ねじ歯車からなる第1の受動ギア24Aが形成されている。第1の受動ギア24Aには、第1のねじギア25A(ギア部材)が噛合して連動連結している。第1のねじギア25Aの軸心は水平配置されている。第1のねじギア25Aは、第1のナット30Aの外周面に形成されている。第1のナット30Aは、断面矩形の軸9にスライド移動可能に挿通されている。
【0042】
第3の回転筒18Cの周面には、ねじギアからなる第2の受動ギア24Bが形成されている。第2の受動ギア24Bには、第2のねじギア25B(ギア部材)が噛合して連動連結している。第2のねじギア25Bの軸心は水平配置されている。第2のねじギア25Bは、第2のナット30Bの外周面に形成されている。第2のナット30Bは、第1のナット30Aと同様、断面矩形の軸9にスライド移動可能に挿通されている。
【0043】
台車移動機構7は、軸9と、チェーン駆動部10と、回転駆動部11と、を備えている。軸9は、液槽1の底部上を長辺方向1bに沿って水平配置されている。回転駆動部11は、液槽1の底部の一端側に配備されている。回転駆動部11は、
図4に示すように、液槽1外に設けられるステッピングモータからなる駆動モータ11aと、モータ軸11bとからなり、軸9の一端側9aは、回転駆動部11のモータ軸11bに連結機構(軸継手等)Mにより連動連結されており、これにより、軸9は液槽1の底部に長辺方向1bに沿いかつ回転駆動部11によって回転駆動可能に配置されている。
【0044】
軸9は、移動台車2を長辺方向1bに沿って次のようにして直線反復移動可能に案内している。すなわち、移動台車2の上部には、第1、第2の受動ギア24A、24Bと、第1、第2のナット30A,30Bそれぞれの第1、第2のねじギア25A、25Bとが設けられている。第1、第2の受動ギア24A、24Cを有する第1、第3の回転筒18A、18Cは、軸心を垂直にして相対回転可能に移動台車2上に据え付け配置されている。
【0045】
第1、第2のねじギア25A、25Bは、軸心を水平にしかつその軸心を軸9の軸心と一致させた状態で第1、第2の受動ギア24A、24Bに噛合している。第1のナット30Aの軸心には、軸9の横断面形状と同等形状を有する連結孔30Aaが形成されている。同様に、第2のナット30Bの軸心には、軸9の横断面形状と同等形状を有する連結孔30Baが形成されている。
【0046】
軸9の他端側9bは第1、第2のナット30A,30Bの連結孔30Aa、30Baを貫通配置されている。これにより、第1、第2のナット30A,30Bは、軸9に対してその軸方向に沿って相対的に反復直線移動可能で、かつ、軸9に対して回転一体に連動連結されている。同時に軸9の他端側9bは、後述するように非固定状態で支持されている。
【0047】
チェーン駆動部10は、駆動モータ10aと、駆動ギア10bと、従動ギア10cと、チェーン10dと、を備えている。駆動ギア10bと従動ギア10cとは、軸9と平行な方向に沿って配列されている。駆動ギア10bは、駆動モータ10aにより回転駆動される。チェーン10dは、駆動ギア10bと従動ギア10cとの間に架け渡されており、チェーン10dの両端は、移動台車2に連結されている。駆動モータ10aにより駆動ギア10bが回転すると、駆動ギア10bと従動ギア10cとの間に架け渡されているチェーン10dが、軸9の軸方向と平行に直線移動し、これにより、チェーン10dの両端に連結された移動台車2が軸9に案内された状態で、長辺方向1bに沿って直線反復移動する。
【0048】
移動台車2における台車内流路26の天井面26aには、
図5、
図6に示すように、軸心方向の貫通孔を有するブラケット31A,31Bが第1、第2のナット30A,30Bの軸心方向両側で移動台車2に固定され、軸心方向両側のブラケット31A,31Bの貫通孔を介してブッシュ32A,32Bが軸心方向両側で固定されている。
【0049】
ブッシュ32A,32Bは、半径方向のフランジ32Aa,32Baと、軸心方向の円筒部32Ab,32Bbとを有する。ブッシュ32A,32Bは、そのフランジ32Aa,32Baがブラケット31A,31Bの内側面と第1のナット30Aのナット本体部30Abの外側面との間で位置決めされて固定される。
【0050】
第1のナット30Aは、ナット本体部30Abと、ナット本体部30Abの両側面から軸心方向円筒状に延びるナット円筒部30Ac,30Bcとを有する。
【0051】
ブッシュ32A,32Bの円筒部32Ab,32Bbの内径は、第1のナット30Aのナット円筒部30Ac,30Bcの外径より大きい。そのため、ブッシュ32A,32Bの円筒部32Ab,32Bbと、第1のナット30Aのナット円筒部30Ac,30Bcとの対向間にはクリアランス33A,33Bがある。そして、軸9の他端側9bは、クリアランス33A,33Bを持たせた状態で支持されている。これにより、ブラケット31A,31Bおよびブッシュ32A,32Bは、軸9の他端側9bの支持機構を構成する。
【0052】
なお、図示を略するが、外周面に第2のねじギア25Bが形成される第2のナット30Bも、第1のナット30Aと同様の構造であり、軸心方向両側で移動台車2に固定され、軸心方向両側のブラケット31A、31Bの貫通孔を介してブッシュ32A、32Bが軸心方向両側で固定され、軸9の他端側9bの支持機構を構成する。
【0053】
図4に示すように、軸9の一端側9aは、液槽1の底壁1cに立設した軸受ブラケット1dの貫通孔1eに挿通されると共に、貫通孔1e内に配置した軸受27で回転自在に固定支持され、軸受ブラケット1dの側面に取着した取着部材としての座板28、歯付き座金29、およびナット41で、回転駆動部11方向のスラスト負荷が抑えられるようになっている。
【0054】
以上により、軸9は、一端側9aが軸受27により固定支持される一方、他端側9bは、前記支持機構により非固定状態で支持されることとなる。
【0055】
次に以上の構成を備えたマッサージ装置100の動作を説明する。マッサージ装置100の可撓性シート5の上面にマッサージ受療者が、治療部位をシート上面に当接させて座臥(例えば横臥)する。この状態で、マッサージ受療者もしくは、マッサージ施療介添者がマッサージ装置100の動作を開始するスイッチをオンにする。
【0056】
すると、吸液ポンプ部13が駆動して液槽1から液体Qを吸液し、吸液した液体Qを加圧して噴射液Bにし、さらにこのようにして発生させた噴射液Bを曲折配管14a,14bを介して移動台車2の台車内流路26に圧送する。台車内流路26に圧送された噴射液Bは、軸内流路20Aa〜20Daと噴射部内流路21Aa〜21Daを経て、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dまでさらに圧送される。
【0057】
各噴射ノズル22A〜22Dは、圧送されてきた噴射液Bを開口1aに向かって液槽1内の液体Qに噴射する。噴射された噴射液Bは、可撓性シート5の裏面に突き当たったうえで液槽1内の液体Q中に拡散する。その際、可撓性シート5が噴射液Bの噴射によって部分的に上方側に屈曲変形し、屈曲シート部位に位置するマッサージ受療者の体表部位をマッサージする。
【0058】
以上の噴射液Bの噴射を行いながら、チェーン駆動部10の駆動モータ10aが任意に正逆回転することで、移動台車2が長辺方向1bに沿って反復直線移動する。
【0059】
このとき、移動台車2は、第1、第2のナット30A,30Bの連結孔30Aa,30Baが軸9に挿通することで、その直線移動が案内される。これにより、移動台車2に装着されている第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの噴射ノズル22A〜22Dが反復直線移動する。
【0060】
さらに、この状態で、回転駆動部11が、軸9を正逆回転駆動することで、軸9によって第1、第2のナット30A,30B(第1、第2のねじギア25A,25B)が正逆回転される。
【0061】
すると、第1、第2のナット30A,30Bの外周面の第1、第2のねじギア25A、25Bに連動連結された第1、第2の受動ギア24A、24Bが回転駆動され、これにより、第1、第3の回転筒18A,18Cが回転する。これに伴い、第1、第3の連結ギア23A,23Cおよび第1、第3の噴射部本体21A,21Cが回転し、さらに第1、第3の連結ギア23A、23Cに連結している第2、第4の連結ギア23B、23Dおよび第2、第4の噴射部本体21B,21Dが回転する。そして、第1、第3の噴射部本体21A,21Cと第2、第4の噴射部本体21B,21Dは、互いに逆方向に回転し、これに伴い、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの噴射ノズル22A〜22Dは、長辺方向1bに沿って複雑な移動軌跡を描きながら、液槽1内を移動する。これによりマッサージ受療者は、複雑な移動軌跡を描きながら移動する噴射ノズル22A〜22Dが噴射する噴射液Bによって念入りかつ丁寧にマッサージされる。
【0062】
このとき、第1、第3の回転筒18A、18Cと第2、第4の回転筒18B、18Dとは互いに逆方向に回転する。これにより、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dが回転し、さらに第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dに装着されている噴射ノズル22A〜22Dが第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの軸心を中心にして回動する。
【0063】
以上の反復直線移動/反復回動移動を受けた噴射ノズル22A〜22Dは、長辺方向1bに沿って複雑な移動軌跡を描きながら、液槽1内を移動する。これによりマッサージ受療者は、複雑な移動軌跡を描きながら移動する噴射ノズル22A〜22Dが噴射する噴射液Bによって念入りかつ丁寧にマッサージされる。
【0064】
そして、本実施形態では、軸9の一端側9aが軸受27で固定支持された状態で、他端側9bが非固定状態で支持されているので、マッサージ装置100の組立作業時において、軸9の芯出し調整の作業に必要以上に時間を要することなく、マッサージ装置100の組立を行えるので、組立作業性を向上することができる。したがって、本実施形態では、従来構造のように軸9の他端側を固定する必要がないため、この固定に要するカラーや軸受が内部に組み込まれた軸受等の部材が不要となり、さらに軸9の他端側の端面の加工精度を落としたり、端面の精密加工を不要にしたりすることができ、それらの加工コストを削減することができる。
【0065】
また、軸9の一端側9aの軸受27を、軸9に取着した座板28、歯付き座金29、およびナット41(取着部材)で軸心方向で受けることで、軸9に対して回転駆動部11方向に作用するスラスト負荷を抑制することができる。これにより、カラーや軸受で軸の他端側を支持すると共に、樹脂製のエンドブロックおよびエンドブラケットの部材で軸他端側の端面を軸心方向(駆動モータ側方向)に押圧することで、軸に加わるスラスト負荷を抑制していた従来とは異なり、部品点数を削減でき、コストダウンが図れることになると共に、従来のように樹脂製のエンドブロックが磨耗し、次第に押圧力が減退してスラスト負荷の抑制作用がなくなるという問題点も解消できる。
【0066】
また、本実施形態では、
図7に示すように、第1〜第4の噴射部3A〜3Dそれぞれは、液槽1の短辺方向の第1、第2の噴射部3A,3Bで二つ一対、第3、第4の噴射部3C,3Dで二つ一対でそれぞれ一組とされ、かつ、液槽1の長辺方向にわたってこれら第1、第2の噴射部3A,3Bの一組、第3、第4の噴射部3C,3Dの一組が長辺方向に二組設けられている。
【0067】
そのため、第1〜第4の噴射ノズル22A〜22Dの数を第1、第2の噴射部3A,3Bの一組または第3、第4の噴射部3C,3Dの一組あるいは、第1、第2の噴射部3A,3Bと第3、第4の噴射部3C,3Dとの二組のいずれかに切り替える噴射部切替手段を備える。この噴射部切替手段は、噴射ノズル(噴射口)の数を2つにするか、4つにするかを切り替える噴射口数切替手段と称することもできる。
【0068】
すなわち、吸液ポンプ部13は、液体Qの吸込口13aから液体Qを吸い込んで噴射液Bとしたうえで、2つの吐出口13b,13cから曲折配管14a,14bを介して噴射部3A〜3Dに噴射液Bを吐出する。その際、例えば一方の曲折配管14bの途中に電磁弁40を前記噴射部切替手段として設ける。
【0069】
第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dの数を2つとする場合は、電磁弁40を閉じると、第3、第4の噴射部3C,3Dの噴射ノズル22C,22Dの一組から噴射液Bの噴射が行われる。噴射ノズル22A〜22Dの数を4つとする場合は、電磁弁40を開くと、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dの二組から噴射液Bの噴射が行われる。こうすることにより、例えば、肩や背中の面積が広い部位(筋肉)をマッサージするときは、二組の噴射ノズル22A〜22Dから同時に噴射液Bを噴射することで、施療時間の短縮化になり効率的なマッサージが実現できる。逆に、首などの狭い部位をマッサージするときは一組の噴射ノズル22C,22Dに切り替え絞ることで施療対象の部位に対してピンポイントに噴射液Bを噴射してマッサージをすることができ、不必要な部位にまで噴射液Bを噴射しマッサージ受療者に不快感を与えるという好ましくない状況を防止することができる。
【0070】
なお、本実施形態では軸9は断面矩形であったが、これに限定されず、長方形、六角形、八角形等の多角形でもよい。また、ねじギアの替りにウォームギアを用いてもよい。
【0071】
また、本実施形態の軸9は、断面矩形であったが、これに限定されず、断面円形とし、その軸心方向に溝が形成された円形状の軸でもよく、ナットは、この軸の溝に嵌合できる突出部を有するナットであってもよい。さらに、軸9を、スプライン軸とし、ナットをスプラインナットとしてもよい。また、噴射部切替手段として、電磁弁ではなく電動弁を用いてもよい。