(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048812
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】リレー用ゴムキャップ
(51)【国際特許分類】
H01H 50/02 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
H01H50/02 S
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-275355(P2012-275355)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-120358(P2014-120358A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107320
【弁理士】
【氏名又は名称】高塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】織奥 豊
【審査官】
出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−013444(JP,U)
【文献】
特開平08−212898(JP,A)
【文献】
実開昭63−080746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁リレー本体を収容したハウジング(1)と、前記ハウジング(1)の下面(11)から突出した端子(12)と、前記端子(12)が接続されるプリント基盤(2)と、前記ハウジング(1)を覆うゴムキャップ(3)とより成るリレー用ゴムキャップにおいて、
前記ゴムキャップ(3)が、前記ハウジング(1)の下面(11)と前記プリント基盤(2)の間に相互に密着した状態で配置されると共に、前記端子(12)が貫通する貫通孔(311)を形成した底部(31)と、前記底部(31)の周縁から前記ハウジング(1)の側面(13)全体を覆う筒状部(32)とより構成され、前記貫通孔(311)が前記端子(12)に対し締め代を持って接していることを特徴とするリレー用ゴムキャップ。
【請求項2】
前記筒状部(32)が前記ハウジング(1)の前記側面(13)と密着していることを特徴とする請求項1記載のリレー用ゴムキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー用ゴムキャップに関する。
また、本発明は、例えば、静音化を必要とする車載用や防犯用等に使用されプリント基板に搭載される電磁リレーに使用されるリレー用ゴムキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のリレー用ゴムキャップが使用される電磁リレーの構造は、通常、鉄芯に巻装されたコイルを励磁することにより接極子が鉄芯に吸引釈放される電磁石装置と、その電磁石装置に応動して開閉される接点装置とからなる電磁リレー本体と、電磁リレー本体を収容したハウジングと、ハウジングから突出した端子とを有して電磁リレーが構成されるとともに、その電磁リレーは、一端部を電磁リレー本体に接続してハウジングから突出させた端子が、プリント基板の導電回路にはんだ接続されるよう、ハウジングを直接当接させた状態でもってプリント基板に搭載される取付構造になっている。
【0003】
そして、上記した従来の電磁リレーは、ハウジングから突出させた端子が、プリント基板の導電回路にはんだ接続されるよう、ハウジングを直接当接させた状態でもってプリント基板に搭載されるようになっているから、電磁石装置の接極子が鉄芯に吸引されて衝突したときや接点装置の接点が当接したとき等に電磁リレー本体から発生する動作音が、ハウジングを介してプリント基板に直接伝わり、電磁リレーを搭載したプリント基板ユニット全体として動作音が大きくなり、ひいては、そのプリント基板ユニットが静音化を必要とする車載用や防犯用等の装置に組み込まれると、その動作音が、より外部に漏れ易くなって問題となることがある。
【0004】
そこで、図
5に示す構造のものが提案されている。(特許文献1)
上記した課題を解決するために、本考案の電磁リレーは、電磁石装置及び接点装置を有する電磁リレー本体(図示せず)と、電磁リレー本体を収容したハウジング100と、ハウジング100から突出した端子120とを有し、プリント基板200に搭載される電磁リレーにおいて、ハウジング100全体を樹脂材製カバー400により覆い、プリント基板200と、樹脂材製カバー400の間に、弾性体である振動吸収材300を介在させる構成にしてある。
【0005】
しかし、構造が複雑でコストが嵩むばかりでなく、騒音低減効果も不十分であった。この要因の一つは、端子120と振動吸収材300との接触が不十分である為、端子120を介してプリント基板200側へ伝わる騒音の伝播を有効に阻止できなかった。
【0006】
また、図
5の樹脂材製カバー400の様な形状のゴムキャップにより、ハウジング100の上面及び側面を覆う形状のものが提案されたが、端子120を介してプリント基板200側へ伝わる騒音の伝播を有効に阻止できなかった。
また、樹脂材製カバー400の様に、ハウジング100の上面、下面及び側面の全体を覆う形状も考えられるが、ゴムキャップの生産性が悪く、取付作業にも多くの時間がかかり現実的では無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭60−126954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
端子を介してプリント基板側へ伝わる騒音の伝播を有効に阻止出来ると共に、安価にリレー用ゴムキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリレー用ゴムキャップは、電磁リレー本体を収容したハウジングと、前記ハウジングの下面から突出した端子と、前記端子が接続されるプリント基盤と、前記ハウジングを覆うゴムキャップとより成るリレー用ゴムキャップにおいて、前記ゴムキャップが、前記ハウジングの下面と前記プリント基盤の間に相互に密着した状態で配置されると共に、前記端子が貫通する貫通孔を形成した底部と、前記底部の周縁から前記ハウジングの側面全体を覆う筒状部とより構成され、前記貫通孔が前記端子に対し締め代を持って接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のリレー用ゴムキャップによれば、ゴムキャップが、ハウジングの下面とプリント基盤の間に相互に密着した状態で配置されると共に、端子が貫通する貫通孔を形成した底部と、底部の周縁からハウジングの側面全体を覆う筒状部とより構成され、貫通孔が前記端子に対し締め代を持って接している構成としている為、端子を介してプリント基板側へ伝わる騒音の伝播を有効に阻止出来ると共に、安価に提供することが出来る。
更に、請求項2記載の発明のリレー用ゴムキャップによれば、筒状部がハウジングの側面と密着する構成としている為、ハウジングの側面から伝播する騒音を効果的に阻止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】電磁リレー本体を収容したハウジングの立体斜視図。
【
図2】
図1に示すハウジングに、本発明に係るリレー用ゴムキャップを装着した断面図。
【
図3】
図2に示すものに、天板側カバーを被せた断面図。
【
図4】本発明に係るリレー用ゴムキャップの底部に設けたリレー端子用の孔形状を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための態様について説明する。
本発明に係るリレー用ゴムキャップの態様は、
図1に示される様に、電磁リレー本体を収容したハウジング1と、このハウジング1の下面11から突出した端子12を備えたものが準備される。
【0013】
ついで、
図2に示す様に、この端子12が接続されるプリント基盤2と、ハウジング1を覆うゴムキャップ3とより成るリレー用ゴムキャップに組み立てられる。
このゴムキャップ3は、ハウジング1の下面11とプリント基盤2の間に相互に密着した状態で配置されると共に、端子12が貫通する貫通孔311を形成した底部31と、底部31の周縁からハウジング1の側面13全体を覆う筒状部32とより構成され、この貫通孔311が端子12に対し、一定の締め代を持って接している。
【0014】
この為、端子12を介してプリント基板2側へ伝わる騒音の伝播を有効に阻止出来ると共に、ゴムキャップ3を安価に製造することが出来る。
この貫通孔311の端子12に対する締め代は、0〜0.5mmで、ゴムキャップ3の肉厚は、厚い程、騒音防止の効果が有るが、実用的には7mm以下である。
【0015】
また、貫通孔311の孔形状は、
図4aに示す様に、端子12の形状と相似の矩形に限らず、
図4bに示す様に、複数個の突起312、312を設け、この突起312、312を一定の締め代を持って端子12に接する形としても良い。
更に、
図2に示す様に、筒状部32がハウジング1の側面13と密着する構成とする事により、ハウジングの側面から伝播する騒音を効果的に阻止出来る。
【0016】
また、上記実施態様では、ハウジング1の上面を覆う形としていないが、
図3に示す様にゴムキャップ3と同一材料の天板側カバー33により、ハウジング1の上面を覆う形としても良い。
【0017】
ゴムキャップ3の材質は、天然ゴム(NR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロロプレン等のゴム状弾性材や、ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーから、適宜用途に合わせ選択して使用されるが、減衰効果の大きい硫黄フリーのブチルゴムが好ましい。
また、ゴムキャップ3の材質のtanδは、0.3以上が好ましい。
【0018】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係るリレー用ゴムキャップは、静音化を必要とする車載用や防犯用等に使用されプリント基板に搭載される電磁リレーに使用される。
【符号の説明】
【0020】
1 ハウジング
2 プリント基盤
3 ゴムキャップ
11 下面
12 端子
13 側面
31 底部
32 筒状部
33 天板側カバー
311貫通孔
312突起