特許第6048825号(P6048825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048825印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048825
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   G06F3/12 308
   G06F3/12 344
   G06F3/12 353
   G06F3/12 355
   G06F3/12 356
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-18127(P2013-18127)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-149680(P2014-149680A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114672
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】市川 千枝
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−081555(JP,A)
【文献】 特開2008−042417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントに対する印刷設定を行う印刷設定装置において、
前記印刷設定に基づいて、前記ドキュメントの印刷状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部に表示させる制御部を備え、
前記制御部は、
前記印刷設定が、前記印刷設定装置によって自動で変更された場合とユーザ指示によって手動で変更された場合とで、変更箇所が表示されたプレビュー画像の表示形態を変える、
ことを特徴とする印刷設定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記印刷設定が手動で変更された場合、当該変更が禁則になるかを判断し、
禁則にならないと判断した場合は、前記手動で変更された印刷設定に基づいて生成された変更箇所が表示されたプレビュー画像を第1の表示形態で表示し、
禁則になると判断した場合は、禁則にならない印刷設定に自動で変更し、前記自動で変更された印刷設定に基づいて生成された変更箇所が表示されたプレビュー画像を前記第1の表示形態とは異なる第2の表示形態で表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷設定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2の表示形態では、変更前の印刷設定に基づくプレビュー画像と変更後の印刷設定に基づく変更箇所が表示されたプレビュー画像とを交互に表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷設定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2の表示形態では、変更前の印刷設定に基づくプレビュー画像と変更後の印刷設定に基づく変更箇所が表示されたプレビュー画像とを並べて表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷設定装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の表示形態では、前記プレビュー画像における、前記印刷設定が手動で変更された箇所を第1の色で表示し、
前記第2の表示形態では、前記プレビュー画像における、前記印刷設定が自動で変更された箇所を前記第1の色よりも彩度又は明度が大きい第2の色で表示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷設定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2の表示形態では、印刷設定が自動で変更されたことを示す文字を前記変更箇所が表示されたプレビュー画像に重ねて表示する、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一に記載の印刷設定装置。
【請求項7】
ドキュメントを印刷するシステムで動作するプレビュー表示制御プログラムであって、
前記システムを構成する装置に、
前記ドキュメントに対する印刷設定に基づいて、前記ドキュメントの印刷状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部に表示させるプレビュー処理を実行させ、
前記プレビュー処理では、
前記印刷設定が、前記装置によって自動で変更された場合とユーザ指示によって手動で変更された場合とで、変更箇所が表示されたプレビュー画像の表示形態を変える、
ことを特徴とするプレビュー表示制御プログラム。
【請求項8】
前記プレビュー処理に際して、
前記印刷設定が手動で変更された場合、当該変更が禁則になるかを判断し、
禁則にならないと判断した場合は、前記手動で変更された印刷設定に基づいて生成された変更箇所が表示されたプレビュー画像を第1の表示形態で表示し、
禁則になると判断した場合は、禁則にならない印刷設定に自動で変更し、前記自動で変更された印刷設定に基づいて生成された変更箇所が表示されたプレビュー画像を前記第1の表示形態とは異なる第2の表示形態で表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプレビュー表示制御プログラム。
【請求項9】
前記プレビュー処理に際して、
前記第2の表示形態では、変更前の印刷設定に基づくプレビュー画像と変更後の印刷設定に基づく変更箇所が表示されたプレビュー画像とを交互に表示する、
ことを特徴とする請求項8に記載のプレビュー表示制御プログラム。
【請求項10】
前記プレビュー処理に際して、
前記第2の表示形態では、変更前の印刷設定に基づくプレビュー画像と変更後の印刷設定に基づく変更箇所が表示されたプレビュー画像とを並べて表示する、
ことを特徴とする請求項8に記載のプレビュー表示制御プログラム。
【請求項11】
前記プレビュー処理に際して、
前記第1の表示形態では、前記プレビュー画像における、前記印刷設定が手動で変更された箇所を第1の色で表示し、
前記第2の表示形態では、前記プレビュー画像における、前記印刷設定が自動で変更された箇所を前記第1の色よりも彩度又は明度が大きい第2の色で表示する、
ことを特徴とする請求項8に記載のプレビュー表示制御プログラム。
【請求項12】
前記プレビュー処理に際して、
前記第2の表示形態では、印刷設定が自動で変更されたことを示す文字を前記変更箇所が表示されたプレビュー画像に重ねて表示する、
ことを特徴とする請求項乃至11のいずれか一に記載のプレビュー表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラムに関し、特に、印刷設定を反映したプレビュー画像を表示する印刷設定装置及び当該印刷設定装置で動作するプレビュー表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント端末で作成したドキュメントをMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置に印刷させる場合、クライアント端末にインストールされたプリンタドライバを用いて印刷設定を行い、プリンタドライバが生成した印刷ジョブに基づいて画像形成装置が印刷処理を実行する。また、通信ネットワークに接続されたサーバ(Webサーバと呼ぶ。)が提供するWebアプリケーションを用いて印刷設定を行う方法もあり、この場合は、Webサーバが生成した印刷ジョブに基づいて画像形成装置が印刷処理を実行する。
【0003】
上記の印刷設定において、印刷ミスを未然に防止するために、プリンタドライバやWebサーバが印刷設定を反映した印刷プレビュー表示用の画像(以下、プレビュー画像と呼ぶ。)を生成してクライアント端末に表示させ、実際の印刷物の出来映えを確認できるようにしている。また、ユーザが印刷設定を変更した場合は、プリンタドライバやWebサーバは、変更された印刷設定に従ってプレビュー画像を生成し直してクライアント端末に表示させ、実際の印刷物の出来映えを確認できるようにしている。
【0004】
しかしながら、ユーザは、変更された印刷設定に従って生成されたプレビュー画像を見ても、プレビュー画像のどの部分が変わったのかがわかりにくい。そこで、ユーザが印刷設定を変更した箇所を分かりやすくするために、例えば、下記特許文献1には、ユーザが印字位置の補正を行うために、印刷プレビュー画面において、左マージン、X軸補正率等を設定すると、印字位置補正ソフトは、移動後の印字位置のXY座標を算出して、補正後の印字位置を黒色、補正前の印字位置を赤色で、印刷プレビュー画面において表示する印字位置プレビューシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−149377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、印刷には様々な設定項目があり、その中には利用不可能な設定値の組み合わせ(禁則と呼ぶ。)があるため、禁則が発生しないように制御する必要がある。そこで、クライアント端末やWebサーバなどの印刷設定装置では、現在の印刷設定に対して使用できない機能をグレーアウト状態にして設定できないようにしたり、現在行おうとしている印刷設定を施すと禁則が発生する場合に、禁則となる印刷設定を自動的に変更したりしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、ユーザが印刷設定を変更した場合に、表示色を変えて印刷設定を変更した箇所を分かりやすくするだけであり、印刷設定装置が印刷設定を自動的に変更した場合には、どのように印刷設定が変更されたかを把握することができず、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行されてしまう場合が生じる。また、このような問題は禁則が発生する場合に限らず、コスト削減等のために印刷設定装置がカラー印刷設定をモノクロ印刷設定に自動的に変更するといった場合にも同様に生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、印刷設定を自動的に変更した場合であっても、変更箇所をユーザが容易に認識できるように、プレビュー画像を表示することができる印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、ドキュメントに対する印刷設定を行う印刷設定装置において、前記印刷設定に基づいて、前記ドキュメントの印刷状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部に表示させる制御部を備え、前記制御部は、前記印刷設定が、前記印刷設定装置によって自動で変更された場合とユーザ指示によって手動で変更された場合とで、変更箇所が表示されたプレビュー画像の表示形態を変えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、ドキュメントを印刷するシステムで動作するプレビュー表示制御プログラムであって、前記システムを構成する装置に、前記ドキュメントに対する印刷設定に基づいて、前記ドキュメントの印刷状態を示すプレビュー画像を生成し、表示部に表示させるプレビュー処理を実行させ、前記プレビュー処理では、前記印刷設定が、前記装置によって自動で変更された場合とユーザ指示によって手動で変更された場合とで、変更箇所が表示されたプレビュー画像の表示形態を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラムによれば、印刷設定を自動的に変更した場合であっても、変更箇所をユーザが容易に認識できるように、プレビュー画像を表示することができる。
【0012】
その理由は、印刷設定装置(プレビュー表示制御プログラム)は、印刷設定に基づいてプレビュー画像を生成して表示させる際に、印刷設定が印刷設定装置によって自動で変更された場合と印刷設定がユーザ指示によって手動で変更された場合とで、プレビュー画像の表示形態を変える制御を行うからである。
【0013】
これにより、ユーザは、印刷設定装置が印刷設定を自動的に変更することによってどのような状態で印刷されるかを、事前にプレビュー画像で分かりやすく確認することができ、ユーザの意図した通りの印刷結果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例に係る印刷システムの全体構成を示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る印刷システムのソフトウェア構成を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係るクライアント端末の処理を示すフローチャート図である。
図4】本発明の一実施例に係るクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例(禁則が発生しない場合の例)を示す図である。
図5】本発明の一実施例に係るクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例(自動的に設定が変更された場合の一例)を示す図である。
図6】本発明の一実施例に係るクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例(自動的に設定が変更された場合の他の例)を示す図である。
図7】本発明の一実施例に係るクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例(自動的に設定が変更された場合の他の例)を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係るクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例(設定適用後の例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、印刷ミスを未然に防止するために、クライアント端末のプリンタドライバやWebサーバは、ユーザが印刷設定を行ったり印刷設定を変更したりした場合に、その印刷設定を反映したプレビュー画像を生成してクライアント端末に表示させ、実際の印刷物の出来映えを確認できるようにしている。また、ユーザが印刷設定を変更した場合に、印刷設定を変更した箇所の表示色を変えて変更箇所を分かりやすくする方法が提案されている。
【0016】
しかしながら、印刷設定には利用不可能な設定値の組み合わせ(禁則)があるため、禁則が発生しないように、クライアント端末やWebサーバなどの印刷設定装置が禁則となる印刷設定を自動的に変更する場合がある。そして、印刷設定装置が印刷設定を自動的に変更した場合には、ユーザはどのように印刷設定が変更されたかを把握するのは容易ではないため、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行されてしまう場合があった。また、このような問題は禁則が発生する場合に限らず、コスト削減等のために印刷設定装置側が推奨する印刷設定に自動的に変更する場合にも同様に生じる。
【0017】
そこで、本発明の一実施の形態では、印刷設定装置が印刷設定を自動的に変更した場合でも、プレビュー画像で印刷設定を変更した箇所を容易に認識できるように表示し、更に、ユーザが手動で印刷設定を変更した場合と印刷設定装置が自動で印刷設定を変更した場合とで、プレビュー画像の表示形態を変える。すなわち、印刷設定装置が自動で印刷設定を変更した場合は、ユーザが手動で印刷設定を変更した場合に比べて、変更箇所を強調表示する。例えば、印刷設定装置が自動で印刷設定を変更した場合には、変更された印刷設定を適用する前の状態と印刷設定を適用した後の状態とを同一画面に同時に表示したり、交互に表示したり、変更箇所を目立つ色で表示したりして、変更箇所を認識しやすくする。更に、警告ダイアログを表示して、印刷設定装置によって自動で印刷設定が変更されたことをユーザに通知したりする。
【0018】
そして、ユーザは、変更された印刷設定を確認した後に、その印刷設定の変更を実際に適用するか否かを決定することによって、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行されてしまうといった不具合を未然に防止することができる。
【実施例】
【0019】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る印刷設定装置及びプレビュー表示制御プログラムについて、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、本実施例の印刷システムの全体構成を示す図であり、図2は、印刷システムのソフトウェア構成を示す図である。また、図3は、本実施例のクライアント端末の動作を示すフローチャート図であり、図4乃至図8は、本実施例のクライアント端末におけるプレビュー画面の表示例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例の印刷システム10は、印刷指示に従って画像形成を行う画像形成装置20と、画像形成装置20に印刷を指示するWebサーバ30と、文書などのドキュメントを作成するクライアント端末40と、で構成され、これらは、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを介して相互に接続されている。
【0021】
クライアント端末40及びWebサーバ30は、一般的なコンピュータ装置であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶部、NIC(Network Interface Card)などの通信部で構成される制御部を備え、OS(Operating System)により制御されている。本実施例の印刷システムを司るソフトウェア(Webアプリケーション)は、クライアント端末40及びWebサーバ30のメモリやHDDに格納される。また、クライアント端末40のメモリやHDDには、ドキュメントを作成するプログラムやドキュメントのデータ(ドキュメントファイル)、印刷設定が禁則となるか否かを判定する際に参照する禁則判定情報なども格納される。
【0022】
画像形成装置20は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、HDDなどの記憶部、NICなどの通信部で構成される制御部を備え、Webサーバ30より出力された印刷ジョブの内容に従って画像形成処理を実行する。この画像形成装置20は、印刷出力が可能なプリンタとしてもよいし、プリンタの機能にフィニッシャやスキャン、FAXなどの機能を備えていてもよいし、プリンタを制御するプリンタコントローラとしてもよい。
【0023】
なお、本実施例では、Webサーバ30が提供するWebアプリケーションを用いてクライアント端末40で印刷設定や印刷指示などを行う構成とするが、クライアント端末40にインストールされたプリンタドライバを用いて印刷設定や印刷指示などを行ってもよく、その場合は、Webサーバ30を省略することも可能である。
【0024】
以下、各装置のソフトウェア構成(制御部上で動作するソフトウェアによって実現される機能)について、図2(a)を参照して説明する。
【0025】
[画像形成装置]
画像形成装置20は、制御部上で動作するソフトウェアによって、印刷出力部21などとして機能する。
【0026】
印刷出力部21は、Webサーバ30の印刷ジョブ生成部32から受信した印刷ジョブに基づき、用紙への印刷処理を制御する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから紙媒体に2次転写し、更に定着装置で紙媒体にトナー像を定着させる処理を制御する。
【0027】
[Webサーバ]
Webサーバ30は、制御部上で動作するソフトウェアによって、データ管理部31、印刷ジョブ生成部32などとして機能する。
【0028】
データ管理部31は、Webアプリケーションのプログラム及び画面情報、処理対象のドキュメントファイルの管理などを行う。クライアント端末40は、データ管理部31からプログラム及び画面情報をダウンロードし、Webブラウザを介してWebアプリケーションの内部処理や画面表示を行う。また、データ管理部31で管理されたドキュメントファイルは、印刷ジョブ生成部32に送信される。
【0029】
印刷ジョブ生成部32は、データ管理部31からドキュメントファイルを取得し、クライアント端末40の印刷設定部43cで設定された印刷設定情報に基づき、印刷ジョブの生成を行う。ここで生成された印刷ジョブのデータが画像形成装置20の印刷出力部21に送信され、印刷出力部21で印刷処理が実行される。
【0030】
[クライアント端末]
クライアント端末40は、制御部上で動作するソフトウェア(プレビュー表示制御プログラム)によって、プレビュー画像生成部41、禁則判別部42、画面表示部43などとして機能する。すなわち、本実施例では、クライアント端末40が印刷設定装置として機能する。
【0031】
プレビュー画像生成部41は、ファイル選択部43aで選択されたドキュメントファイルに対して、印刷設定部43cにて設定された印刷設定情報に基づき、印刷結果のシミュレーションを行ってプレビュー画像を生成する。具体的には、Nin1の割り付け処理、ステープル画像やパンチ穴画像の重ね合わせ処理、折りのシミュレーション処理、モノクロ変換処理などを行ってプレビュー画像を生成する。
【0032】
その際、禁則などによって印刷設定が自動的に変更された場合は、ユーザが手動で印刷設定を変更した場合とは異なる表示形態でプレビュー画像を表示し、ユーザに注意を促す。例えば、ユーザが手動でステープル設定を行った場合は、黒のステープル画像の重ね合わせを行い、自動でステープル設定となった場合は、赤色に強調されたステープル画像の重ね合わせを行ったりする。
【0033】
禁則判別部42は、印刷設定部43cにて行われた印刷設定に対して、予め記憶された禁則判定情報を参照して、禁則が発生するか否かを判定する。そして、禁則が発生すると判断した場合は、その旨を印刷設定部43cに通知すると共に、印刷設定部43cから変更された印刷設定を取得し、変更前後の印刷設定情報をプレビュー画像生成部41に通知する。
【0034】
画面表示部43は、表示部に表示されるWebブラウザ上に、印刷設定やプレビュー画像の閲覧のためのプレビュー画面の表示を行う。この画面表示部43には、ファイル選択部43a、プレビュー表示部43b、印刷設定部43cなどが含まれる。
【0035】
ファイル選択部43aは、プレビュー画像の表示対象となるドキュメントファイルをユーザに選択させる。選択されたドキュメントファイルは、Webサーバ30側にアップロードされ、Webサーバ30のデータ管理部31にて管理される。また、選択されたドキュメントファイルは、プレビュー画像生成部41に通知され、プレビュー画像の生成に利用される。
【0036】
プレビュー表示部43bは、プレビュー画像生成部41にて生成されたプレビュー画像を、Webサーバ30のデータ管理部31から取得した画面情報に合成して、Webブラウザ上に表示する。その際、印刷設定部43cによって印刷設定が自動的に変更された場合は、印刷設定の変更前後の差分をアニメーション表示したり、並べて表示したりして、ユーザが変更箇所を容易に認識できるようにする。
【0037】
印刷設定部43cは、Webサーバ30のデータ管理部31から取得した画面情報に基づき、Webブラウザ上に印刷設定用の画面を表示する。また、設定内容の制御とユーザからの入力受け付け/管理を行う。また、禁則判別部42により設定内容が禁則になると判定された場合は、予め定めたルールに従って禁則を回避するように印刷設定を変更し、変更後の印刷設定情報を禁則判別部42に通知する。また、印刷設定が自動的に変更されたことをユーザに通知して注意を促す警告ダイアログを表示するなど、禁則の状況に応じて適切な表示を行う。
【0038】
なお、図2(a)では、クライアント端末40側でプレビュー画像の生成処理と禁則の判定処理とを行う構成としているが、これらの処理は、Webサーバ30の制御部上でプレビュー表示制御プログラムを動作させることによって実現することができる。その場合の印刷システム10のソフトウェア構成は図2(b)のようになる。
【0039】
また、プレビュー画像の生成処理とプレビュー画像の表示処理と禁則の判定処理とは同じ装置で実行してもよいし、各々の処理を別々の装置で実行してもよい。例えば、プレビュー画像の生成処理をWebサーバ30若しくは画像形成装置20で実行し、禁則の判定処理及びプレビュー画像の表示処理をクライアント端末40で実行したり、プレビュー画像の生成処理を画像形成装置20で実行し、禁則の判定処理をWebサーバ30で実行し、プレビュー画像の表示処理をクライアント端末40で実行したりしてもよい。
【0040】
また、本実施例では、印刷設定を反映したプレビュー画像の生成処理をクライアント端末40で実行する構成としているが、この処理を複数の装置で分担して実行することも可能である。例えば、ドキュメントデータをラスタライズしてプレビュー画像を生成する処理はWebサーバ30上で実行し、印刷設定の内容を示す情報をプレビュー画像に合成する処理のみをクライアント端末40で実行することも可能であり、処理を分担することにより、クライアント端末40の負荷を少なくすることができる。
【0041】
以下、図2(a)の構成の印刷システム10におけるクライアント端末40側のソフトウェア処理について、図3のフローチャート図を参照して説明する。
【0042】
まず、ユーザは、クライアント端末40側のWebブラウザを用いてWebサーバ30にアクセスし、Webアプリケーションを起動する(S101)。
【0043】
次に、ユーザが、ファイル選択部43aを用いて、印刷したいドキュメントファイルを選択すると、ファイル選択部43aは、選択されたドキュメントファイルをWebサーバ30のデータ管理部31にアップロードする(S102)。
【0044】
そして、プレビュー画像生成部41は、ファイル選択部43aからドキュメントファイルを取得すると共に、印刷設定部43cから現在の印刷設定情報を取得し、ドキュメントファイル及び現在の印刷設定情報に基づいて、印刷結果のシミュレーションを行い、印刷プレビュー表示用のプレビュー画像の生成を行う。具体的には、Nin1設定のページ割り付け処理のシミュレーション、ステープル画像やパンチ穴画像の重ね合わせ処理、グレースケール化などを行い、生成したプレビュー画像をプレビュー表示部43bに送信し、プレビュー表示部43bは、Webサーバ30のデータ管理部31から取得した画面情報にプレビュー画像を合成して表示する(S103)。
【0045】
次に、印刷設定部43cは、ユーザからの印刷設定変更の命令があるかどうかを確認する(S104)。印刷設定変更の命令がない場合は、印刷設定部43cは、ユーザからの印刷実行命令があるかどうかを確認し(S111)、印刷実行命令がなければS104に戻って印刷設定変更の命令を監視し、印刷実行命令があればWebサーバ30に印刷設定情報を送信して印刷実行命令を行う。Webサーバ30の印刷ジョブ生成部32は、データ管理部31から取得したドキュメントファイルと印刷設定部43cから取得した印刷設定情報とを用いて印刷ジョブの生成処理を行い、生成した印刷ジョブを画像形成装置20に転送する。画像形成装置20の印刷出力部21は、印刷ジョブ生成部32から取得した印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する。
【0046】
一方、S104において印刷設定変更の命令があった場合は、印刷設定部43cは、禁則判別部42に印刷設定情報を通知し、禁則判別部42は、予め記憶した禁則判定情報を参照して、今回の印刷設定変更の命令によって禁則による自動設定変更が発生するか否かを確認する(S105)。なお、本実施例における印刷設定は、画像形成装置20で出力する際に必要な、用紙サイズ、部数、ページ割り付け、ステープル、パンチ等の一般的な印刷設定項目を含む。また、禁則による自動設定変更が発生する場合とは、例えば、ステープルやパンチが設定されている時に製本(Booklet)が設定された場合などである。
【0047】
S105の確認の結果、禁則による自動設定変更が発生しないと判断した場合は、禁則判別部42は、その旨を印刷設定部43cに通知し、印刷設定部43cは、命令通りに印刷設定を適用し(S110)、S103に戻って、プレビュー画像生成部41は、適用された印刷設定に基づいてプレビュー画像を生成し直し、プレビュー表示部43bは、データ管理部31から取得した画面情報にプレビュー画像を合成して表示する。
【0048】
図4は、禁則による自動設定変更が発生しない場合のプレビュー画面の表示例(第1の表示形態)を示している。このプレビュー画面には、例えば、指定されたページ(ここでは2/20ページ)のプレビュー画像と印刷設定情報とが表示される。そして、ここでは左上ステープル及び2穴のパンチが設定されている(”Staple”が”Left Corner”、”Punch”が”2-Hole”に設定されている)ため、プレビュー画像には、ステープルを示す画像(線の両端に黒丸を配置した画像)とパンチ穴を示す画像(2つの黒丸の画像)とが合成される。
【0049】
一方、S105において禁則による自動設定変更が発生すると判断した場合は、禁則判別部42は、その旨を印刷設定部43cに通知し、印刷設定部43cは、予め定めたルールに従って禁則とならないように印刷設定を変更し、禁則判別部42は、変更された印刷設定情報を印刷設定部43cから取得して、プレビュー画像生成部41に通知する(S106)。プレビュー画像生成部41は、禁則判別部42から変更前後の印刷設定情報を取得し、印刷設定変更前後のプレビュー画像を生成してプレビュー表示部43bに送信する(S107)。そして、プレビュー表示部43bは、画面上にプレビュー画像を表示すると共に、印刷設定部43cは、印刷設定が自動的に変更されたことをユーザに警告するダイアログを表示する(S108)。
【0050】
図5は、左上ステープル及び2穴パンチの設定が施されていた状態において、さらにbooklet設定を行おうとした場合のプレビュー画面の一例(第2の表示形態)である。この場合、ステープル設定及びパンチ設定はbooklet設定と禁則関係にあるため、ステープル設定及びパンチ設定がON(”Staple”が”Left Corner”、”Punch”が”2-Hole”)の状態において、booklet設定をON(”Print Type”を”Booklet”)にしようとすると、禁則の発生を防ぐため、印刷設定部43cは、自動的にステープル設定及びパンチ設定をOFFにする。
【0051】
その際、図5に示すように、自動的に設定が変更されるステープル及びパンチを示す画像を、ユーザが設定若しくは設定を変更した場合(図4)に比べて強調表示する。強調表示の方法としては、ステープル及びパンチを示す画像をユーザが設定/設定変更した場合とは異なる色(例えば、ユーザが設定/設定変更した場合は黒や通常トナー色、装置による自動設定変更の場合は赤や蛍光色などの彩度又は明度が相対的に大きい色)で表示したり、自動設定変更前後の状態をアニメーションで交互に表示して差分を示したり(図は、ステープル及びパンチを示す画像が点滅する様子を模式的に示している。)、これらを組み合わせたりする。更に、必要に応じて、装置による自動設定変更を行ってもよいかをユーザに確認する警告ダイアログを表示する。これにより、ユーザは印刷設定が自動的に変更されたことを容易に認識することができ、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行される不具合を未然に防止することができる。
【0052】
上記の例では、装置による自動設定変更によってステープル及びパンチがOFFになるため、アニメーション表示では、ステープル及びパンチを示す画像が点滅する(表示/非表示を繰り返す)状態になるが、例えば、装置による自動設定変更によって3穴のパンチ設定が2穴のパンチ設定に変更されるというような場合は、3穴のパンチを示す画像を含むプレビュー画像と2穴のパンチを示す画像を含むプレビュー画像とが交互に表示されるといった表示形態となる。
【0053】
また、図5では、装置による自動設定変更前後の状態を交互に表示することによって設定変更箇所を強調表示したが、例えば、図6に示すように、装置による自動設定変更前後のプレビュー画像(ステープル設定及びパンチ設定を適用した設定適用前のプレビュー画像とステープル設定及びパンチ設定を解除した設定適用後のプレビュー画像)を並べて表示し、更に、必要に応じて、警告ダイアログを表示することもできる。このような表示形態によっても、ユーザは印刷設定が自動的に変更されたことを容易に認識することができ、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行される不具合を未然に防止することができる。
【0054】
また、図6では、設定適用後のプレビュー画像として、禁則となる印刷設定を解除した状態を示したが、最終的な印刷イメージを表示することもできる。例えば、Booklet設定を適用することによって禁則となるステープル設定及びパンチ設定が解除される場合は、図7に示すように、Booklet設定を適用した状態が認識できるように表示(例えば、見開き状態で表示)することもできる。このような表示形態によっても、ユーザは印刷設定が自動的に変更されたことを容易に認識することができ、ユーザの意図しない印刷設定で印刷処理が実行される不具合を未然に防止することができる。なお、図7では、装置による自動設定変更前後のプレビュー画像を並べて表示する場合の例を示したが、図5のようなアニメーション表示においても、同様に、自動設定変更後のプレビュー画像としてもbooklet設定まで施した状態を表示してもよい。
【0055】
図3のフローチャート図に戻って、ユーザは表示されたプレビュー画像を見て、自動設定変更による差分を確認した上で、装置による印刷設定変更を適用するか否かを判断し(S109)、判断に応じた操作を行う。図5乃至図7の例では、警告ダイアログに表示された「はい」又は「いいえ」のいずれかのボタンを押下することによって、印刷設定変更を適用するか否かを決定する。
【0056】
そして、印刷設定変更を適用する場合は、印刷設定部43cは、設定の変更を適用し(S110)、印刷設定変更を適用しない場合は特に何も行わず、S103に戻って同様の処理を繰り返す。図8は、装置による印刷設定変更を適用し、プレビュー画像を更新した時の表示例である。この例ではステープル設定及びパンチ設定がOFFであり、booklet設定がONになるため、プレビュー画像からステープル及びパンチを示す画像が消去され、booklet状態になったプレビュー画像が表示される。
【0057】
このように、本実施例では、禁則によって印刷設定が自動で変更された場合は、ユーザが手動で印刷設定を変更した場合に比べて、変更箇所(例えば、ステープルやパンチを示す画像)が強調された色で表示され、及び/又は、差分が浮かび上がるように点滅して表示され、更に、必要に応じて、装置による自動設定変更が行われたことを示す警告ダイアログが表示されるため、印刷設定が自動で変更されることによってどのような状態で印刷されるかを、事前にプレビュー画像で分かりやすく確認することができ、ユーザの意図した通りの印刷結果を得ることが可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、印刷システム10の構成や制御は適宜変更可能である。
【0059】
例えば、上記実施例では、装置が自動で印刷設定を変更した場合に、変更箇所の表示色を変えたり、アニメーション表示を行ったりしたが、装置が自動で印刷設定を変更した場合とユーザが手動で印刷設定を変更した場合とで表示形態が異なっていればよい。一例として、ユーザが手動で印刷設定を変更した場合は、変更箇所(例えば、ステープル及びパンチの画像)を第1のサイズで表示し、クライアント装置40が印刷設定を自動で変更した場合は、変更箇所を第1のサイズよりも大きい第2のサイズで表示するといった手法を用いてもよい。
【0060】
また、上記実施例では、Webサーバ30がWebアプリケーションによって生成した画面情報をクライアント端末40に送信し、クライアント端末40で画面情報にプレビュー画像を合成して表示する構成としたが、各々クライアント端末40のプリンタドライバが生成した画面にプレビュー画像を合成して表示する場合に対しても、本発明を同様に適用することができる。
【0061】
また、上記実施例では、禁則が発生した場合の制御について記載したが、例えば、印刷コストを抑えるためにカラー設定を自動的にモノクロ設定変更するなど、装置側が推奨する設定に自動的に変更する場合に対しても、本発明を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、ドキュメントの印刷に際してプレビュー画像を表示させるシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 印刷システム
20 画像形成装置
21 印刷出力部
30 Webサーバ
31 データ管理部
32 印刷ジョブ生成部
40 クライアント端末
41 プレビュー画像生成部
42 禁則判別部
43 画面表示部
43a ファイル選択部
43b プレビュー表示部
43c 印刷設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8