特許第6048864号(P6048864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048864回転ふるい型分別機および回転ふるい目詰まり防止システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6048864
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】回転ふるい型分別機および回転ふるい目詰まり防止システム
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/22 20060101AFI20161212BHJP
   B07B 1/55 20060101ALI20161212BHJP
   E02F 7/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B07B1/22 Z
   B07B1/55
   E02F7/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-526368(P2016-526368)
(86)(22)【出願日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】JP2015085989
【審査請求日】2016年6月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516122106
【氏名又は名称】新西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 昭臣
(72)【発明者】
【氏名】高田 格
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−5346(JP,A)
【文献】 特開2008−215044(JP,A)
【文献】 特開2003−82881(JP,A)
【文献】 特開平3−249960(JP,A)
【文献】 特開2014−223615(JP,A)
【文献】 特開2015−139743(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0153286(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/22
B07B 1/55
E02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上に、回動可能に設置された円筒状の回転ふるい、この回転ふるい中に被処理残土を搬入可能に設置されたフィーダー手段、前記回転ふるいからふるい分けされた土砂を搬出するためのアンダー搬出手段および前記回転ふるい中に残った粗大物を搬出するためのオーバー搬出手段を設けてなる回転ふるい型分別機において、前記円筒状回転ふるいの外側に位置する部分に、複数の吐出ノズルを有するヘッダーと、これと空気配管で連通したレシーバータンクおよびコンプレッサとを設け、前記レシーバータンクと前記ヘッダー間に設けた電磁弁により圧縮空気を間欠的に吐出可能としたことを特徴とする回転ふるい型分別機。
【請求項2】
前記ヘッダーにおける吐出ノズルが、前記回転ふるいの外枠および支持枠に対応する部分に相対的に密に設置されていることを特徴とする請求項1記載の回転ふるい型分別機。
【請求項3】
前記ヘッダーにおける吐出ノズルが、扇状ノズルであることを特徴とする請求項1または2記載の回転ふるい型分別機。
【請求項4】
基台に自走可能な移動手段が設けられたものである請求項1ないし3の何れかの項記載の回転ふるい型分別機。
【請求項5】
基台に複数の車輪が取り付けられ、作業台車に装着可能である請求項1ないし3の何れかの項記載の回転ふるい型分別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ふるいを有する分別機に関し、更に詳細には、特に土木・解体工事等で発生する残土中からコンクリートガラや小石等を効率良く分別除去し、残土の再利用を可能とする回転ふるい型分別機に関する。
【背景技術】
【0002】
都市の再開発に伴い、破壊された建築物の瓦礫を含む残土の処理が大きな問題となっている。このような残土は、郊外に運び出され、埋め立てないしは放置されることも多いが、これはその土地を次に利用する場合の大きな問題となる。
【0003】
そこで、残土中に残存するコンクリートガラや、小石を土壌や砂から分別し、これらをそれぞれ再利用することが求められており、そのための機械として分別機が使用されている。
【0004】
この分別機にはいくつかの種類があり、その一つとして回転ふるいを利用する分別機(トロンメル型分別機)が知られている。
【0005】
この回転ふるい型分別機は、基台上に、先端側が若干下向きとなるよう回転可能な回転ふるいを取り付け、この回転ふるいに残土を送り込み、回転させることで、途中で回転ふるいから落ちる土壌や砂と、最後まで回転ふるい中に残ったコンクリートガラや小石を回転ふるい先端から取り出すことで分別するというものである。
【0006】
この回転ふるいは、単純な回転運動によって分別を行うものであるため機構的に複雑なものでなく、効率も良いが、特に湿気を帯びた残土に適用すると、目詰まりが発生しやすく、作業効率が低下するという問題があった。実際、残土処理においては、数時間の処理で回転ふるいが目詰まりを起こすので、分別操作を中止し、作業員がこの目詰まりを取り除く操作が必要とされていた。
【0007】
そこで、回転ふるいの外側にブラシを設け、これにより回転ふるいに付着した付着物を除去する技術や(特許文献1)、回転ふるいの外側に移動可能な空気吐出口を設け、この吐出口から圧縮空気を吹き出すことにより、付着物を除去するようにした回転ふるいも提案されている(特許文献2)。
【0008】
しかしながら、いずれの技術でも十分な付着物除去効果を得ることができず、回転ふるい型分別機を使用する際の隘路となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−170492号公報
【特許文献2】特開2005−144427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、機械的手段で自動的に目詰まりを防ぎ、連続的に分別作業が行えるような回転ふるい型分別機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、特に圧縮空気を使用する方法に着目して検討を行った結果、吐出方法等を工夫することで、効率よく付着物を除去することができ、連続操作が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち本発明は、基台上に、回動可能に設置された円筒状の回転ふるい、この回転ふるい中に被処理残土を搬入可能に設置されたフィーダー手段、前記回転ふるいからふるい分けされた土砂を搬出するためのアンダー搬出手段および前記回転ふるい中に残った粗大物を搬出するためのオーバー搬出手段を設けてなる回転ふるい型分別機において、前記円筒状回転ふるいの外側に位置する部分に、複数の吐出ノズルを有するヘッダーと、これと空気配管で連通したレシーバータンクおよびコンプレッサとを設け、前記レシーバータンクと前記ヘッダー間に設けた電磁弁により圧縮空気を間欠的に吐出可能としたことを特徴とする回転ふるい型分別機である。
【0013】
また本発明は、前記ヘッダーにおける吐出ノズルが、前記回転ふるいの外枠および支持枠に対応する部分に相対的に密に設置されていることを特徴とする前記回転ふるい型分別機である。
【0014】
更に本発明は、前記ヘッダーにおける吐出ノズルが、扇状ノズルであることを特徴とする上記の回転ふるい型分別機である。
【0015】
更にまた本発明は、コンプレッサ、レシーバータンク、電磁バルブ、複数の吐出ノズルを有するヘッダを含む目詰まり防止システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の回転ふるい型分別機は、回転ふるいの円筒外側に設けられたヘッダーの複数のノズルから間欠的に、0.7MPa以上というような高圧圧縮空気が吐出されるので、回転ふるいに付着した泥やその他の付着物を吹き飛ばすことができ、目詰まりの発生を有効に防ぐことができる。
【0017】
また、回転ふるいでの泥等の付着は、その外枠や支持枠から生成し始めるが、吐出ノズルをこれらに対応する部分に密に設置した場合は、より有効に目詰まりの発生を防ぐことが可能である。
【0018】
更に、吐出ノズルとして扇状ノズルを使用し、回転軸と平行な方向で吐出させると、線状となった圧縮空気の流れが回転ふるい全体に当たるため、例えノズルが少なくても効果的に目詰まりを防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一態様である回転ふるい型分別機の正面図である。
図2図1の平面図である。
図3】回転ふるいとノズルの関係を示す斜視図である。
図4】圧縮空気と出手段におけるノズルの配置を示す図面である。図中、ヘッダーのノズルは、配列状態を明確とするめ正面方向を向けて記載しているが、実際は回転ふるいの方向を向いている。
図5】本発明の目詰まり防止システムを示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様を示す図面と共に本発明を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一態様である回転ふるい型分別機の正面図であり、図2はその平面図である。図中、1は回転ふるい型分別機、2は回転ふるい(トロンメル)、3は処理材ホッパー、4はベルトフィーダー、5はアンダー排出手段、6はオーバー排出手段、7はキャタピラ(登録商標)であり、8はヘッダー、9は吐出ノズル、10はレシーバータンク、11はコンプレッサ、12は空気配管、13は電磁弁である。
【0022】
本発明の回転ふるい型分別機は、図1図2示すような形態のものであり、残土のような処理物は、処理材ホッパー3から投入され、その底部に設置されたベルトフィーダー4によって回転ふるい2中に供給される。
【0023】
この回転ふるい2は、両端が開放された形状であり、外枠2a、支持枠2bおよび金属網2cにより構成され、全体としてベルトフィーダー4側から、排出側に向かって若干下がって行く形状となっている。そして、このものは外部からの動力により、ローター、チェーン等(何れも図示せず)を利用して回動されており、この回転運動によって、処理物のうちの目開きより大きなものと、小さなものがふるい分けされる。
【0024】
この処理物のうち、回転ふるい2の目開きより小さなものは、回転ふるい2の下に設けられた搬送ベルト等の搬送手段(図示せず)によって、アンダー排出手段5に搬送され、再利用可能な土砂として排出される。一方回転ふるい2の目開きより大きなものは、回転ふるい中を徐々に排出側に向かって移動し、最終的に回転ふるい2から排出され、オーバー排出手段6から排出されるのである。
【0025】
このような排出機構で土砂とコンクリートガラ、小石等の粗大物が分離されるのであるが、この際に対象処理物中に土壌、特に湿気を有する土壌を含む場合には回転ふるい2の金属網2cに付着し、次第に目詰まりして行く。この付着は、特に外枠2a、支持枠2bの部分から始まり、徐々に金属網2cの部分に拡大していく傾向がある。
【0026】
図1図2中のヘッダー8および吐出ノズル9は、このような目詰まりを防止するためのものである。より詳しくは、コンプレッサ11で発生した圧縮空気は、高い圧力の状態で一旦レシーバータンク10に収容され、次いで電磁弁13の開閉により、空気配管12を通して断続的な短時間の空気の流れとしてヘッダー8に送り出され、図3に示すように吐出ノズル9から回転ふるい2の外側に吹き付けられるのであり、これにより回転ふるい2の金属網2cや、外枠2a、支持枠2bに付着した土壌を取り去り目詰まりを防ぐのである。
【0027】
上記圧縮空気の吐出間隔としては、2〜7秒程度、好ましくは3秒程度に一回で良く、その吐出時間は、0.01から2秒程度、このましくは0.1秒程度でよい。
【0028】
また、圧縮空気を発生させるために使用するコンプレッサ11は、回転ふるい2の大きさや、その目開きに応じて選択すればよいが、例えば、直径1.8m程度、長さ3.6m程度、目開き2cm程度の回転ふるい2に対しては、25馬力程度で、その圧力が0.7MPa程度のものを使用すればよい。
【0029】
なお、上記コンプレッサ11に連通するレシーバータンク10は、コンプレッサ11で発生した圧縮空気を一時的に収容するものであり、これにより、電磁弁13が開いた際に強い圧力の空気が吐出されるのである。
【0030】
上記ヘッダー8での吐出ノズル9の取り付け方法や取り付け数は、特に制約はなく、実験的に定めることができる。例えば、均等に回転ふるい2上に空気が吹き付けられるようにしても良いが、前記したように回転ふるい2での土壌等の付着は、外枠2a、支持枠2bの部分から始まり、徐々に金属網2cの部分に拡大していく傾向があるので、図4に示すように回転ふるいの外枠2aおよび支持枠2bに対応する部分に密に設置し、この部分に特に空気を強く吹き付けるようにしても良い。なお、全ての吐出ノズル9から均一に空気流を吐出するために、ヘッダー8は、太い孔径のものを利用することが望ましい。
【0031】
また、吐出ノズル9としても、いわゆる直進ノズルでなく扇状ノズルを採用することが好ましく、このようなノズルを用い、回転ふるい2の回転軸と平行な方向で吐出させると、線状となった圧縮空気の流れが回転ふるい2の円周全面に当たるため、例えノズルが少なくても効果的に目詰まりを防止することができる。
【0032】
以上説明した回転ふるい型分別機で使用される目詰まり防止機構は、図5に示す目詰まりシステムとして把握することができる。すなわち、コンプレッサ11、レシーバータンク10、電磁弁13、複数の吐出ノズル9を有するヘッダー8(圧縮空気吐出手段)を含む回転ふるいの目詰まり防止システムとして把握することが可能である。
【0033】
ここでの各構成の機能は、既に上に記載した通りであるが、ほとんどの時間は電磁弁13が「閉」の状態になっているので、レシーバータンク10および空気配管12中の空気の圧力は、コンプレッサ11から継続的に送り込まれる圧縮空気により、上昇する。そして、電磁弁13が「開」の状態になった時に、この圧力が高まった空気は、瞬間的にヘッダー8へ流れ出し、これが吐出ノズル9から回転ふるい2に吹き付けられるので、回転ふるい2に付着を始めた土壌は簡単に飛ばされ、目詰まりは発生しないのである。
【0034】
この本システムにおいては、レシーバータンク10の存在により、高い圧力の空気を多量に保持できるので、コンプレッサ11により発生する空気より強い圧力となって吐出されるという特徴がある。従って、コンプレッサ11の容量が例え低いものであっても十分な高圧縮間欠空気流が得られる。
【0035】
本発明の回転ふるい型分別機は、例えば、野外で利用する基台に自走可能な移動手段が設けられた自走式回転ふるい型分別機において有利に利用される。この形の分別機は基台にエンジン(図示せず)を有し、ここから回転ふるい2を回動させるための動力、コンプレッサを作動させるための動力および自走の際のキャタピラ(登録商標)7を動かす動力を提供する。
【0036】
また別のタイプの回転ふるい型分別機としては、基台に複数の車輪が取り付けられ、油圧ショベル等の作業台車に装着可能であるバケット型回転ふるい型分別機を挙げることができる。
【0037】
以上のように構成される本発明の回転ふるい型分別機は、コンプレッサで発生した圧縮空気をレシーバータンクに蓄積し、電磁弁から高い圧力の短時間の空気の流れとして回転ふるいに吐出するため、従来の技術と比較し、高い効率で土壌の付着を防止することを可能としたものである。
【0038】
従って、従来行われていた、人力による間欠的な回転ふるいの清掃などは不要となり、作業効率を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 … … 回転ふるい型分別機
2 … … 回転ふるい(トロンメル)
3 … … 処理材ホッパー
4 … … ベルトフィーダー
5 … … アンダー排出手段
6 … … オーバー排出手段
7 … … キャタピラ(登録商標)
8 … … ヘッダー
9 … … 吐出ノズル
10 … … レシーバータンク
11 … … コンプレッサ
12 … … 空気配管
13 … … 電磁弁
【要約】
機械的手段で自動的に目詰まりを防ぎ、連続的に分別作業が行えるような回転ふるい型分別機を提供することを目的とする。
基台上に、回動可能に設置された回転ふるい、この回転ふるい中に被処理残土を搬入可能に設置されたフィーダー手段、前記回転ふるいからふるい分けされた土砂を搬出するためのアンダー搬出手段および前記回転ふるい中に残った粗大物を搬出するためのオーバー搬出手段を設けてなる回転ふるい型分別機において、回転ふるい円筒外側に位置する部分に、複数の吐出ノズルを有するヘッダーと、これと空気配管で連通する電磁弁、レシーバータンクおよびコンプレッサとを設け、電磁弁により圧縮空気を間欠的に吐出可能とした。また、ヘッダーにおける吐出ノズルが、回転ふるいの外枠および支持枠に対応する部分に密に設置されるようにした。また、ヘッダーにおける吐出ノズルを、扇状ノズルとした。
図1
図2
図3
図4
図5