特許第6048869号(P6048869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048869分電盤の調整部材、分電盤の筐体、分電盤、及びそれを用いた分電盤システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048869
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】分電盤の調整部材、分電盤の筐体、分電盤、及びそれを用いた分電盤システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/42 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   H02B9/00 D
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-150706(P2012-150706)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-14236(P2014-14236A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(72)【発明者】
【氏名】南平 智志
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】護持 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】香川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 和弘
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−060217(JP,U)
【文献】 実開昭62−119102(JP,U)
【文献】 特開平10−075508(JP,A)
【文献】 特開2005−045933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置し、
前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることを特徴とする分電盤の調整部材
【請求項2】
前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることを特徴とする請求項1記載の分電盤の調整部材。
【請求項3】
内底面に取り付けるレール部材を備え、前記レール部材は、長手方向に沿って一定の間隔を空けて貫設する複数の孔部を有し、前記孔部には、分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材、又は前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を取付ボルトを介して取付可能であることを特徴とする分電盤の筐体
【請求項4】
前記孔部は、前記取付ボルトの頭部を挿入可能な寸法の大孔部と、前記取付ボルトの軸部を挿入可能な寸法の小孔部とから成り、前記大孔部と前記小孔部とが繋がっていることを特徴とする請求項記載の分電盤の筐体
【請求項5】
前記レール部材は、接合することにより前記内底面に取り付けることを特徴とする請求項3又は4記載の分電盤の筐体。
【請求項6】
前記分電盤の内器用取付部材と、請求項3乃至5の何れか1項に記載の前記筐体とを備え、
前記内器用取付部材は、分電盤に収納する内器を取り付ける取付板と、前記取付板を取り付ける固定台とを備え、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造であり、前記固定台は、最も深さ寸法の小さい前記筐体では、前記筐体の内底面に設けたレール部材に直接取り付け、その他の深さ寸法の前記筐体では、前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を介して前記レール部材に取り付けることを特徴とする分電盤
【請求項7】
前記分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置する前記分電盤の調整部材を備えることを特徴とする請求項記載の分電盤
【請求項8】
前記調整部材は、前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることを特徴とする請求項6記載の分電盤。
【請求項9】
前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることを特徴とする請求項6又は7記載の分電盤。
【請求項10】
互いに異なる深さ寸法の請求項乃至の何れか1項に記載の前記筐体を有する複数種類の分電盤のうち何れかを選択し、前記選択した分電盤は、前記分電盤の内器用取付部材と、前記分電盤の調整部材とを備え
前記内器用取付部材は、分電盤に収納する内器を取り付ける取付板と、前記取付板を取り付ける固定台とを備え、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造であり、前記固定台は、最も深さ寸法の小さい前記筐体では、前記筐体の内底面に設けたレール部材に直接取り付け、その他の深さ寸法の前記筐体では、前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を介して前記レール部材に取り付け、
前記調整部材は、前記分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置することを特徴とする分電盤システム。
【請求項11】
前記調整部材は、前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることを特徴とする請求項10記載の分電盤システム。
【請求項12】
前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることを特徴とする請求項10又は11記載の分電盤システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤の調整部材、分電盤の筐体、分電盤、及びそれを用いた分電盤システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主幹開閉器や分岐開閉器などの内器を収納した分電盤が知られており、例えば特許文献1に開示されている。この分電盤は、縦長の筐体と、筐体内に収納される主幹開閉器及び複数の分岐開閉器と、各開閉器の前面側を覆うように筐体に取着される保護板と、筐体の一端側において開閉自在に枢支され、保護板の前面側を覆う外蓋とを備えている。
【0003】
筐体の背面板の幅方向両端側には、縦長板状の取付部材をねじを用いて取り付けている。各取付部材には、長手方向に沿って複数の取付孔を一定の間隔で設けている。そして、両取付部材には、主幹開閉器を取り付けるための略矩形板状の取付ベースと、分岐開閉器を取り付けるための略矩形板状の取付ベースとがねじを用いて取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例のような分電盤は、その設置スペースによって筐体の深さ寸法に制約がある。例えば、設置スペースが狭い場所では、深さ寸法の小さい筐体を有する分電盤を設置しなければならない。しかしながら、内器を分電盤の筐体内に取り付ける構造は、分電盤の種類毎に異なっている。このため、分電盤の種類毎にそれぞれ専用の内器取付用の部材を製造しなければならず、製造工程が多岐に亘るために製造工程が煩雑になり、更に製造コストも増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたもので、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する分電盤の種類に依らず、共通化した構造で内器を分電盤の筐体内に取り付けることのできる分電盤の調整部材、分電盤の筐体、分電盤、及びそれを用いた分電盤システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の分電盤の調整部材は、分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置し、前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることを特徴とする。
【0010】
この分電盤の調整部材において、前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることが好ましい。
【0011】
本発明の分電盤の筐体は、内底面に取り付けるレール部材を備え、前記レール部材は、長手方向に沿って一定の間隔を空けて貫設する複数の孔部を有し、前記孔部には、分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材、又は前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を取付ボルトを介して取付可能であることを特徴とする。
【0012】
この分電盤の筐体において、前記孔部は、前記取付ボルトの頭部を挿入可能な寸法の大孔部と、前記取付ボルトの軸部を挿入可能な寸法の小孔部とから成り、前記大孔部と前記小孔部とが繋がっていることが好ましい。
【0013】
この分電盤の筐体において、前記レール部材は、接合することにより前記内底面に取り付けることが好ましい。
【0014】
本発明の分電盤は、前記分電盤の内器用取付部材と、上記何れかの筐体とを備え、前記内器用取付部材は、分電盤に収納する内器を取り付ける取付板と、前記取付板を取り付ける固定台とを備え、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造であり、前記固定台は、最も深さ寸法の小さい前記筐体では、前記筐体の内底面に設けたレール部材に直接取り付け、その他の深さ寸法の前記筐体では、前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を介して前記レール部材に取り付けることを特徴とする
【0015】
この分電盤において、前記分電盤の調整部材を備えることが好ましい。前記調整部材は、前記分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置する。
また、この分電盤において、前記調整部材は、前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることが好ましい。
また、この分電盤において、前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることが好ましい。
【0016】
本発明の分電盤システムは、互いに異なる深さ寸法の上記何れかの前記筐体を有する複数種類の分電盤のうち何れかを選択し、前記選択した分電盤は、前記分電盤の内器用取付部材と、前記分電盤の調整部材とを備え、前記内器用取付部材は、分電盤に収納する内器を取り付ける取付板と、前記取付板を取り付ける固定台とを備え、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造であり、前記固定台は、最も深さ寸法の小さい前記筐体では、前記筐体の内底面に設けたレール部材に直接取り付け、その他の深さ寸法の前記筐体では、前記筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を有する調整部材を介して前記レール部材に取り付け、前記調整部材は、前記分電盤の筐体の深さ寸法に応じた長さ寸法の複数の支柱を備え、前記筐体の内底面に設けたレール部材と、前記分電盤に収納する内器を取り付けるとともに互いに異なる深さ寸法の前記筐体を有する複数種類の前記分電盤の何れにも取付可能な共通の構造から成る内器用取付部材との間に前記各支柱を配置することを特徴とする。
また、この分電盤システムにおいて、前記調整部材は、前記各支柱の一端部を固定して前記各支柱を支持する基台部を備え、前記各支柱は、前記筐体の幅方向に沿った前記基台部への取付位置を調整可能であることが好ましい。
また、この分電盤システムにおいて、前記各支柱は、前記筐体の深さ方向に沿った長さ寸法を調整可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、内器を取り付ける内器用取付部材を、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する複数種類の分電盤の何れにも取付可能な共通の構造で構成している。したがって、本発明では、互いに異なる深さ寸法の筐体を有する分電盤の種類に依らず、共通化した構造で内器を分電盤の筐体内に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る分電盤の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】同上の分電盤の分解斜視図である。
図3】同上の分電盤における内器用取付部材を示す分解斜視図である。
図4】同上の分電盤における調整部材の一例を示す図で、(a)は斜視図で、(b)は幅を調整する手段の説明図である。
図5】同上の分電盤における調整部材の他の例を示す図で、(a)は斜視図で、(b)〜(d)は深さを調整する手段の説明図である。
図6】同上の分電盤における調整部材のレール部材への取付例を示す図で、(a)は基台部を用いる場合の平面図で、(b)は基台部を用いない場合の平面図で、(c)はレール部材の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る分電盤の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、図1に示す矢印で上下左右方向、及び前後方向を定めるものとする。本実施形態は、図1,2に示すように、ボックス1(筐体)と、内器4を取り付ける内器用取付部材5と、1対のレール部材6と、調整部材7とを備える。
【0020】
ボックス1は、上下方向に長尺な矩形箱状に形成している。ボックス1の前面には、縦長矩形状の開口部1Aを設けている。ボックス1の内部には、回路遮断器、制御リレー、電磁接触器、電力量計等の電気機器で構成される内器4を収納する。ボックス1には、開口部1Aを塞ぐ形で後述する保護板3を取り付けている。また、ボックス1前面の開口部1Aの周囲には、前方に向かって突出する角筒状の枠体10を全周に亘って設けている。この枠体10には、その開口を塞ぐ形でドア2を取り付けている。
【0021】
ドア2は、後面を開口した扁平な矩形箱状に形成している。ドア2の縦横(上下左右)の寸法は、枠体10の開口の縦横の寸法とほぼ同じである。ドア2は、図示しない取付手段により、枠体10の開口を塞ぐ位置と開放する位置との間で開閉自在となるようにボックス1に取り付けている。
【0022】
保護板3は、ボックス1内に収納した内器4等の充電部を覆い隠すもので、後面を開口した扁平な矩形箱状に形成している。保護板3の縦横の寸法は、ボックス1の開口部1Aの縦横の寸法とほぼ同じである。保護板3は、図示しない取付手段により、開口部1Aを塞ぐ位置と開放する位置との間で開閉自在となるようにボックス1に取り付けている。また、保護板3の前面には、主幹開閉器40、分岐開閉器41、制御リレー42の操作部を外部に臨ませるための窓孔30を複数貫設している。したがって、保護板3を閉じた状態でも、各開閉器40,41及び制御リレー42の操作部を操作することができる。また、内器4としてボックス1内に電力量計を収納する場合には、保護板30を閉じた状態でも、窓孔30を介して電力量計の表示部を視認することができる。
【0023】
内器用取付部材5は、図3に示すように、1乃至複数(本実施形態では3枚)の取付板50と、1対の固定台51とから成る。各取付板50には、図示しないが内器4をねじ止めするためのねじ穴を複数貫設している。各取付板50の前面には、それぞれ内器4を種類毎に分けて取り付ける。例えば、本実施形態では、上側の取付板50に主幹開閉器40を取り付け、下側の取付板50に制御リレー42を取り付け、中間の取付板50に分岐開閉器41を取り付けている。また、各取付板50の左右両端縁には、それぞれ1乃至複数の挿入孔50Aを貫設している。
【0024】
各固定台51は、上下方向に沿って長尺な矩形板状の主板51Aと、主板51Aの左右両端からそれぞれ後向きに突出する矩形板状の側板51B,51Cとから成る。主板51Aには、複数の挿入孔51Dを上下方向に沿って一定の間隔を空けて貫設している。したがって、各取付板50の各挿入孔50Aと、固定台51の挿入孔51Dとを重ね合わせ、取付ねじ(図示せず)を挿入して螺合することで、各取付板50を各固定台51に取り付けることができる。なお、各取付板50の各固定台51への取付位置は、適宜変更することができる。
【0025】
各レール部材6は、図6(a)に示すように、上下方向に沿って長尺な矩形板状の部材である。各レール部材6は、左右方向に一定の間隔を空けてボックス1の内底面に接合する。各レール部材6をボックス1の内底面に接合する手段としては、例えばねじ止め、溶接、カシメ等がある。各レール部材6の前面には、複数の孔部60を上下方向に沿って一定の間隔を空けて貫設している。
【0026】
各孔部60は、図6(c)に示すように、取付ボルト8の頭部80を挿入可能な寸法の大孔部60Aと、取付ボルト8の軸部81を挿入可能な寸法の小孔部60Bとから成る。なお、大孔部60Aと小孔部60Bとは繋がっている。この大孔部60Aに取付ボルト8の頭部80を挿入した後に、小孔部60Bへとスライドすることで、軸部81が小孔部60Bに係合する。これにより、取付ボルト8を孔部60に仮止めすることができる。なお、取付ボルト8を孔部60に仮止めした状態で、軸部81の前端部は各レール部材6の前方へと突出する。この軸部81の前端部は、後述する調整部材7の基台部71の挿入孔71Aに挿入することができる。
【0027】
調整部材7は、図2に示すように、1対の支柱70と、基台部71とから成る。各支柱70は、前後方向に沿って長尺な角筒状の部材である。各支柱70の上端部には、取付ねじを挿入するための挿入孔70Aを貫設している。この挿入孔70Aの内周縁には、取付ねじが螺合する雌ねじ(図示せず)を形成している。この挿入孔70Aと、内器用取付部材5の固定台51の挿入孔51Dとを重ね合わせて、取付ねじを挿入して螺合することで、各支柱70に各固定台51を取り付けることができる。
【0028】
基台部71は、左右方向に沿って長尺な矩形板状の部材である。基台部71の前面には、左右方向に沿って一定の間隔を空けて各支柱70の下端部を固定している。これにより、基台部71は各支柱70を支持している。また、基台部71の左右両端には、取付ボルト8の軸部81を挿入するための挿入孔71Aをそれぞれ貫設している。したがって、各挿入孔71Aを各レール部材6の孔部60に重ね合わせ、取付ボルト8の軸部81を挿入してナット9を締め付けることにより、基台部71を各レール部材6に取り付けることができる(図6(a)参照)。
【0029】
なお、図6(b)に示すように、基台部71を用いずに各支柱70を直接各レール部材6に取り付けてもよい。この構成の場合、各支柱70の下端部には、取付ボルト8の軸部81を挿入するための挿入孔(図示せず)を貫設する。また、この挿入孔の内周縁には、軸部81が螺合する雌ねじ(図示せず)を形成する。したがって、各支柱70下端部の挿入孔を各レール部材6の孔部60に重ね合わせ、取付ボルト8の軸部81を挿入して締め付けることにより、各支柱70を各レール部材6に直接取り付けることができる。
【0030】
調整部材7は、分電盤のボックス1の深さ寸法に応じて各支柱70の長さ寸法を変更したものや、取付板50の左右方向の幅寸法に応じて各支柱70の基台部71への取付位置を変更したものを適宜用意する。
【0031】
その他、図4(a),(b)に示すように、各支柱70の基台部71への取付位置を調整可能な調整部材7’を用いてもよい。この調整部材7’では、図4(b)に示すように、基台部71に複数のねじ穴71Bを長手方向に沿って一定の間隔を空けて貫設している。また、各支柱70の下端部には、取付ねじを挿入するための挿入孔(図示せず)を貫設している。この第2挿入孔の内周縁には、取付ねじが螺合する雌ねじ(図示せず)を形成している。
【0032】
したがって、何れかのねじ穴71Bと支柱70の挿入孔とを重ね合わせて、該ねじ穴71B及び挿入孔に取付ねじを挿入して螺合することにより、各支柱70を基台部71の所望の位置に取り付けることができる。すなわち、この調整部材7’では、ボックス1の幅方向(左右方向)に沿って各支柱70の基台部71への取付位置を変更することができる。
【0033】
また、図5(a),(b)に示すように、各支柱70の長さ寸法を調整可能な調整部材7”を用いてもよい。この調整部材7”では、図5(b)に示すように、各支柱70は、第1支柱72と、第2支柱73とから成る。第1支柱72は、中空の角筒状に形成したもので、その下端部を基台部71に固定する。また、第1支柱72の何れかの側面には、1対のねじ穴72Aを貫設している。第2支柱73は角筒状に形成したもので、第1支柱72の空洞部に挿入可能な寸法である。第2支柱73の上端部には、挿入孔70Aを設けている。また、第2支柱73の側面には、取付ねじを挿入するための1対の挿入孔73Aを貫設している。各挿入孔73Aの内周縁には、取付ねじが螺合する雌ねじ(図示せず)を形成している。したがって、第1支柱72の各ねじ穴72Aと第2支柱73の各挿入孔73Aとを重ね合わせて、取付ねじを挿入して螺合することにより、第2支柱73を第1支柱72に取り付けることができる。
【0034】
ここで、調整部材7”では、ボックス1の深さ方向(上下方向)の寸法に応じて、長さ寸法の異なる第2支柱73に交換することで、ボックス1の深さ方向に沿って各支柱70の長さ寸法を変更することができる。例えば、図5(c)に示すように、第2支柱73よりも上下方向の長さ寸法の小さい第2支柱73’を第1支柱72に取り付けてもよい。更には、第1支柱72を基台部71に固定する代わりに、第2支柱73,73’を直接基台部71に固定してもよい。
【0035】
なお、調整部材7”の各支柱70は、図5(d)に示すように、第1支柱72’と、第2支柱73とで構成してもよい。この第1支柱72’の何れかの側面には、複数対のねじ穴72Aを上下方向に沿って一定の間隔を空けて貫設している。したがって、第1支柱72’の何れかのねじ穴72Aと第2支柱73の挿入孔73Aとを重ね合わせて、取付ねじを挿入して螺合することにより、第2支柱73を第1支柱72’の所望の深さ位置に取り付けることができる。この構成では、第2支柱73を交換する必要がない。
【0036】
ここで、分電盤のボックス1は、その設置スペースに応じて種々の深さ寸法を取りうる。そして、本実施形態の内器用取付部材5は、互いに異なる深さ寸法のボックス1を有する複数種類の分電盤のうち、最も深さ寸法の小さいボックス1を有する分電盤に合わせて設計している。すなわち、内器用取付部材5は、互いに異なる深さ寸法のボックス1を有する複数種類の分電盤の何れにも取付可能な共通の構造となっている。なお、取付可能とは、保護板3を閉じた状態で内器4(例えば、主幹開閉器40や分岐開閉器41)の操作部が窓孔30から突出して操作できるように、内器用取付部材5をボックス1内に配置可能であることを示す。
【0037】
したがって、最も深さ寸法の小さいボックス1を有する分電盤であれば、調整部材7を用いずに、各レール部材6に内器用取付部材5を直接取り付けることができる。また、他の異なる深さ寸法のボックス1を有する分電盤であれば、調整部材7を介して内器用取付部材5を各レール部材6に取り付けることで、ボックス1の深さ寸法に合わせて内器用取付部材5の位置を調整することができる。
【0038】
上述のように、本実施形態では、内器4を取り付ける内器用取付部材5を、互いに異なる深さ寸法のボックス1を有する複数種類の分電盤の何れにも取付可能な共通の構造で構成している。したがって、本実施形態では、互いに異なる深さ寸法のボックス1を有する分電盤の種類に依らず、共通化した構造で内器4を分電盤のボックス1内に取り付けることができる。
【0039】
なお、本実施形態の分電盤の他に、例えば調整部材7を用いない最も深さ寸法の小さいボックス1を有する分電盤や、他の異なる深さ寸法のボックス1を有する分電盤を組み合わせて、分電盤システムを構成することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ボックス(筐体)
4 内器
5 内器用取付部材
50 取付板
51 固定台
6 レール部材
60 孔部
7 調整部材
70 支柱
71 基台部
図1
図2
図3
図4
図5
図6