(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下方に開口し上方に突出する凸部と上方に開口し下方に凹む凹部とが軒に沿う方向に交互に形成された凹凸屋根材を備え、この凹凸屋根材が野地板上に設けられて前記凸部と前記野地板との間に通気空間が形成され、前記凹凸屋根材は軒棟方向において前記野地板の軒側端縁よりも屋外側に突出する出代部を有し、この出代部における前記凸部の内側から前記通気空間に外気が導入されるようにした屋根構造であって、
前記出代部における前記凹凸屋根材の下端から下方に昆虫が侵入し難い3mm〜10mm離間して配置される隙間形成片を有する水切りが設けられることを特徴とする屋根構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは、
図9に示すように、下方に開口し上方に突出する凸部31と、上方に開口し下方に凹む凹部32(
図5参照)とが軒に沿う方向に交互に形成されて、凹凸屋根材3が形成される。この凹凸屋根材3が野地板2上に設けられて凸部31と野地板2との間に通気空間30が形成される。凹凸屋根材3は軒棟方向において野地板2の軒側端縁よりも屋外側に突出する出代部33を有し、この出代部33における凸部31の内側の導入口34から通気空間30に外気が導入されるようにしている。
【0005】
図9に示す従来例にあっては、野地板2の軒側の端部上に(図示例では水切り5を介して野地板2の軒側の端部上に)固定部材4が載置されて固定されている。固定部材4は、野地板2の軒側の端部上に載置される載置片41と、載置片41から屋外側に向かって突出するカバー片42とを備える。そして、カバー片42の一部が切り起こされて、カバー片42から起立する面戸部44が設けられ、カバー片42の面戸部44が切り起こされた跡に連通口40が形成されている。
【0006】
また、
図9に示す従来例にあっては、野地板2の軒側端部に、軒方向に長い水切り5が設けられている。水切り5は、野地板2上に載置される板状の載置片51と、載置片51の屋外側縁部から垂れ下がる水切り片54を有している。水切り片54は、野地板2の軒側端面を覆い、その屋外側の面に付着した雨水が水切り片54の下縁から軒樋13に流れ落ちるようになっている。
【0007】
ところで、この従来例にあっては、連通口40および導入口34か
ら昆虫、小動物等が侵入する惧れがあった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、野地板上に設けられる凹凸屋根材の野地板の軒側端縁よりも屋外側に突出する出代部の導入口から
昆虫、小動物等が侵入するのが抑制される屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明を、下記構成を具備した屋根構造とする。
【0010】
即ち、本発明は、下方に開口し上方に突出する凸部と上方に開口し下方に凹む凹部とが軒に沿う方向に交互に形成された凹凸屋根材を備え、この凹凸屋根材が野地板上に設けられて前記凸部と前記野地板との間に通気空間が形成され、前記凹凸屋根材は軒棟方向において前記野地板の軒側端縁よりも屋外側に突出する出代部を有し、この出代部における前記凸部の内側から前記通気空間に外気が導入されるようにした屋根構造であって、前記出代部における前記凹凸屋根材の下端から下方に
昆虫が侵入し難い3mm〜10mm離間して配置さ
れる隙間形成片を有する水切りが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の屋根構造にあっては、野地板上に設けられる凹凸屋根材の野地板の軒側端縁よりも屋外側に突出する出代部の導入口から
昆虫、小動物等が侵入するのが抑制される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の屋根構造における軒部を示す側断面図である。
【
図2】同上の屋根構造の野地板、固定部材、水切りの分解斜視図である。
【
図3】同上の固定部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
【
図4】同上の水切りを示し、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
【
図6】同上において凹凸屋根材を固定部材に固定する前の斜め上方より見た斜視図である。
【
図7】同上において凹凸屋根材を固定部材に固定した状態の斜め上方より見た斜視図である。
【
図8】同上において凹凸屋根材を固定部材に固定した状態の斜め下方より見た斜視図である。
【
図9】従来の屋根構造における軒部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を、添付図面に示す一実施形態に基づいて説明する。まず、本実施形態の屋根構造について説明する。本実施形態の屋根構造は、
図5に示す片流れ屋根を有する建物1に適用したものである。
【0014】
以下の本文中では、傾斜した屋根面に沿って軒と棟を結ぶ方向を軒棟方向D1とし、軒に沿う方向を軒方向D2とする。
【0015】
図5に示すように、建物1の軒側の外壁の上端部には、屋外側に向かって突出する軒部11が形成されている。また、建物1の棟側の外壁の上端部には、屋外側に向かって突出する棟部12が形成されている。
【0016】
建物1の屋根下地は、
図1に示すように、垂木等の建築躯体上に野地板2を設けることで形成されている。野地板2は棟側から軒側に向かって一様な角度で下り傾斜している。野地板2の軒側端部は軒部11よりもさらに屋外側に突出している。野地板2の軒側端面は軒部11の屋外側の面と略平行である。野地板2の棟側端部は、軒棟方向D1において棟部12の屋外側の面よりも屋内側に控えた位置に配置されている。
【0017】
図1、
図2に示すように野地板2の軒側の端部上には、固定部材4が載置されて固定される。これにあたり、本実施形態では、まず野地板2の軒側の端部上に、軒方向D2の略全長に亘って水切り5が載置され、水切り5の上に、板状をした固定部材4が軒方向D2の略全長に亘って載置されている。
図3に固定部材4を示し、
図4に水切り5を示す。水切り5及び固定部材4は鋼板製である。水切り5や固定部材4は軒方向D2に複数並べて設けた部材で構成してもよいし、軒方向D2に亘って一体に形成したものであってもよいし、板状をしたものでなくてもよい。固定部材4および水切り5については後述する。
【0018】
図2、
図3に示すように、固定部材4には面戸部44が設けられる。面戸部44は、固定部材4において、軒方向D2に間隔を介して複数形成されている。各面戸部44は、
図6に示すように、後述する凹凸屋根材3の凸部31の軒側の端部の開口(後述する通気空間30の端部の開口)を略閉塞するように配置される。
【0019】
野地板2の上には、
図5に示すように、凹凸屋根材3が軒方向D2に複数並べて載置されている。各凹凸屋根材3は鋼板製である。各凹凸屋根材3は、下方に開口し且つ上方に突出する凸部31と、上方に開口し且つ下方に凹む凹部32とを、軒方向D2に交互に形成したものである。各凸部31の側面部は、隣接する凹部32の側面部を兼ねている。各凸部31の両側面部は上面部に対して略直角である。
【0020】
各凹凸屋根材3の軒側部分は、
図1に示すように、固定部材4及び水切り5を介して、野地板2上に載置される。
【0021】
図1に示すように、野地板2とこの上に配置された各凹凸屋根材3の間には、通気空間30が形成されている。各通気空間30は、凸部31と野地板2で囲まれた空間であり、
図5に示すように軒方向D2に沿って凸部31と同数形成されている。通気空間30は、軒棟方向D1と直交する断面において、断面矩形状となるように形成されており、凹凸屋根材3の軒棟方向D1の全長に亘って形成されている。
【0022】
凹凸屋根材3の軒側端部は、
図1に示すように、軒棟方向D1において野地板2の軒側端縁よりも屋外側に位置した出代部33となっている。凹凸屋根材3の出代部33における凸部31(すなわち、各凸部31の軒側の端部)は、下方に開口している。これら出代部33における各凸部31の下開口は、軒棟方向D1に長い矩形状に形成されており、この下開口部分が、対応する通気空間30の導入口34を構成している。
【0023】
図1に示すように、水切り5、固定部材4は、対応する凹凸屋根材3と野地板2の間に挟み込まれた状態で、野地板2に対して固定されている。
【0024】
固定部材4の棟側部分は、
図3、
図6に示すように、野地板2の軒側の端部上に(本実施形態では水切り5を介して)載置される載置片41となる。固定部材4の載置片41よりも軒側部分は、軒棟方向D1において野地板2よりも屋外側に向かって突出している。この突出部分がカバー片42を構成し、各凹凸屋根材3の出代部33の下側において、導入口34を覆うように配置されている。カバー片42において各導入口34と重なる部分には、連通口40が形成されている。カバー片42の軒側端部には、板状の水切り片43が下方にむけて突設されている。
【0025】
本実施形態においては、
図2、
図3、
図6等に示すように平板状をした固定部材4が折曲されることで、水切り片43が形成される。そして、カバー片42の一部が切り起こされて、切り起こされた跡に連通口40が形成され、切り起こされた面戸部44がカバー片42から起立している。さらに、面戸部44の上端部が棟側に折曲されて、凸部31の上面を上方より押さえる押さえ片45が形成されている。
【0026】
また、カバー片42の連通口40の棟側の端縁が切り起こされて、位置決め片46が形成されている。位置決め片46の軒方向D2の長さは、凸部31の内面の軒方向D2の距離と略同じかこれより若干短く形成されている。位置決め片46により、凹凸屋根材3の固定部材4に対する軒方向D2の固定位置が決められる。
【0027】
水切り5の棟側部分は、
図1、
図4に示すように、野地板2の軒側端部上に載置される載置片51となる。載置片51の軒側端縁には、野地板2の軒側端面に沿って所定長さ下側に突出する板状の端面覆い片52が形成されている。端面覆い片52は、水切り5の軒方向D2の全長に亘って形成されている。端面覆い片52の下端部からは、野地板2の軒側端面に略垂直となるように軒側に突出する隙間形成片53が形成されている。隙間形成片53の軒側先端からは、下方または軒側斜め下方に向けて水切り片54が形成されている。
【0028】
隙間形成片53は、および固定部材4のカバー片42(および凹凸屋根材3)の下端から所定距離(端面覆い片52の長さと略同じ距離)下方に離間して配置される。これにより、凹凸屋根材3の下端と隙間形成片53との間には、所定の幅(所定距離と同じ長さ)有する隙間7が形成されている。この所定距離は、侵入を阻止する対象を、雀や蝙蝠、小動物とする場合、これらの小動物が侵入し難い長さ(1cm〜3cm程度)に設定される。また、侵入を阻止する対象を、蜜蜂等の昆虫とする場合、これらの昆虫が侵入し難い長さ(3mm〜10mm程度)に設定される。
【0029】
屋外の空気は、カバー片42と隙間形成片53の間の隙間7及び連通口40(導入口34)を順に経て、各通気空間30に導入されるようになっている。この場合、隙間7に入り込んだ空気は、端面覆い片52の屋外側の面と、水切り片43の屋内側の面およびカバー片42の下面に沿って上昇し、連通口40(導入口34)にまで誘導される。連通口40を通じて通気空間30にまで導入された空気は、通気空間30の棟側の端部開口である導出口(不図示)から排出される。これにより、野地板2と凹凸屋根材3の間において、良好な通気性が確保される。
【0030】
図5に示すように、軒部11の屋外側には、軒部11に沿って軒樋13が設けられている。軒樋13は、各凹凸屋根材3の上面から屋外側に流出した雨水を受ける位置に設置されている。より具体的に述べると、この軒樋13は、各通気空間30の導入口34、水切り片54の下端部、及び、水切り片43の下端部の、夫々の下方に位置するように設置されている。これにより、各通気空間30に雨水が浸入した場合に、カバー片42の連通口40から排出された雨水を、軒樋13で受けることができる。また、水切り片54の下端部や水切り片43の下端部から落下した雨水を、軒樋13で受けることができる。
【0031】
本実施形態では、
図5に示すように、複数の凹凸屋根材3で構成される屋根面上に、機能パネルとしての太陽光発電パネル6が設けられている。太陽光発電パネル6は、シリコンを主材料とした半導体素子により太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して出力するものである。太陽光発電パネル6は、上下両面で受光して発電可能な両面受光型のパネルであってもよいし、上面のみで受光して発電可能なパネルであってもよい。
【0032】
図5に示すように、凹凸屋根材3同士を連結する連結具(不図示)または凸部31には、上方に突出するボルト14が設けられている。太陽光発電パネル6は、このボルト14等からなる取付具により、屋根面上に固定されている。
【0033】
図5に示すように、太陽光発電パネル6は複数の凸部31の上面に載置されており、複数の凸部31に跨っている。このため、太陽光発電パネル6とこの下方に位置する凹凸屋根材3の間には、第二通気空間(不図示)が形成されている。第二通気空間は、太陽光発電パネル6と、凹凸屋根材3の凹部32で囲まれた空間であり、太陽光発電パネル6で閉塞された凹部32と同数だけ形成される。第二通気空間は、軒棟方向D1と直交する断面において断面矩形状となるように形成されている。第二通気空間は、太陽光発電パネル6の軒棟方向D1における全長に亘って形成される。
【0034】
ところで、太陽光発電パネル6は、周囲の雰囲気温度が高い場合や、直射日光が長時間照射された場合等に、発電素子が高温になって発電効率(変換効率)が低下する恐れがある。しかし、本実施形態では、前記のように太陽光発電パネル6の下方に第二通気空間を設けたことで、通気空間30および第二通気空間を流れる空気により太陽光発電パネル6を冷却し、太陽光発電パネル6の温度上昇を抑えることができる。したがって、太陽光発電パネル6の発電効率の低下が抑制される。
【0035】
以下においては、凹凸屋根材3を野地板2に固定するための構造や手順について詳述する。
【0036】
上述したように、固定部材4には、凹凸屋根材3が有する各凸部31と対応するように、複数の面戸部44を上方に突出させて設けている。
【0037】
凹凸屋根材3を面戸部44に固定するに際し、まず
図1、
図2に示すように、水切り5の載置片51が野地板2の軒側の端部上に載置されて固定される。釘やビス等の固着具(不図示)が載置片51を介して野地板2に打ち込まれることで、水切り5が野地板2に固定される。
【0038】
次に、
図6に示すように、固定部材4の載置片41が野地板2の軒側の端部上に(本実施形態では水切り5を介して)載置されて固定される。載置片41には、釘やビス等の固着具の挿通孔47が形成されていて、この挿通孔47を介して固着具(不図示)が野地板2に打ち込まれることで、固定部材4が野地板2に固定される。
【0039】
本実施形態では、
図2〜
図4に示すように、固定部材4の載置片41にリベット用孔48が形成されているとともに、水切り5の載置片51にもリベット用孔55が形成されている。このリベット用孔48、55にリベット(不図示)が挿通されて、固定部材4と水切り5とが予め一体に連結可能となる。この場合、固定部材4と水切り5とを別々に野地板2に固定する必要がなく、作業の簡略化が図られる。
【0040】
そして面戸部44は、各凸部31の軒側端部(つまり通気空間30の軒側端部)に一対一で突き合わされ、
図7に示すように、面戸部44が通気空間30の軒側端部の開口を閉塞するように、凹凸屋根材3が固定部材4上に配置される。
【0041】
面戸部44は、凹凸屋根材3の凸部31内の通気空間30の断面形状と略同じ形状で若干小さく形成され、通気空間30の軒側端部の開口内に挿入される。
【0042】
この構造によれば、軒先に強風等の負荷が加えられても、その負荷によって凹凸屋根材3の軒先部分がめくれ上がって外れることや、バタバタと異音を生じさせることが抑えられる。加えて、この構造によれば、軒方向D2に沿って凸部31と凹部32を交互に有する凹凸屋根材3が、固定後に撓みを生じることも抑えられる。
【0043】
以上のような屋根構造においては、隙間形成片53が設けられることで、凹凸屋根材3の下端と隙間形成片53との間に隙間7が形成され、小動物や昆虫が通気空間30に侵入するのが抑制されるものである。
【0044】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、機能パネルを太陽光発電パネル6で構成したが、その他の機能を有するパネルで構成しても構わないし、機能パネルを省略することも可能である。また、本発明は片流れ屋根だけではなく切妻屋根等のその他の形状の屋根にも適用可能である。その他の構成についても、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。