(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振動発生手段は、前記土砂分離用容器を前記支持フレームに水平移動可能に支持する可動支持部と、本体部が前記支持フレーム又は浮体に固定され、且つ、ロッド先端が前記土砂分離用容器に連結された水平シリンダとを備え、該水平シリンダの動作により前記土砂分離用容器が水平方向で振動するようにしてなる請求項1〜3又は4に記載の土砂分離装置。
水上に設置される浮体と、該浮体上に上下移動可能に支持された支持フレームと、該支持フレームを上限位置と下限位置との間で上下移動させる上下駆動手段と、前記下限位置において下部が水中に没するように前記支持フレームに支持され、且つ、前記支持フレームに対し相対移動可能な有底筒状の土砂分離用容器と、前記土砂分離用容器を振動させる振動発生手段とを備えるとともに、前記土砂分離用容器が少なくとも底面部に網状の土砂透過部を備えてなる土砂分離装置を使用し、
前記土砂分離装置を所望の水域に設置した後、
前記土砂分離用容器に異物が混在した浚渫土砂を投入する浚渫土砂投入工程と、前記上下駆動手段による前記支持フレームの上下移動に連動して前記土砂分離用容器を上下移動させるとともに、前記振動発生手段により前記土砂分離用容器を振動させる分離工程とを繰り返し、前記土砂分離用容器に投入された前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記分離された土砂成分を前記土砂透過部より水底部に沈降させ、然る後、前記土砂分離用容器内に残存した異物を回収することを特徴としてなる浚渫土砂の分離方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、浚渫土砂には、木片やその他の不法投棄物等のそれぞれ大きさや比重の異なる異物が含まれ、上述の如き従来の技術では、浚渫土砂を異物と土砂成分とを十分に分離させることが困難で、その為、上述の如き分離作業とは別に、別途人力等による分離を必要とする場合が生じ、その分の作業時間、作業費用が嵩むと共に、異物の分離効率が低下するおそれがあった。
【0007】
また、陸域に設置されたトロンメルや振動篩等の篩を用いた分離装置では、分離作業を進めるうちに木片等の異物が網目部分に絡みついたり、篩の網目に目詰まりを生じたりするため、その除去に手間がかかり、その分の作業時間が嵩み効率が悪いという問題があった。
【0008】
一方、上述の如き水中での土砂分離方法においては、更なる作業性や安全性の向上が望まれている。
【0009】
更に、回収された異物混在土砂又は土砂成分が付着したままの木片等は、陸域では産業廃棄物として扱われ、運搬・処理・再利用を行う上で様々な関係法令に基づく規制を受ける。よって、土砂成分と木片等の異物とは、陸揚げ前の段階の水域で分離し、再利用(リサイクル)し易い状態にしてそれぞれ回収することが望ましい。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、所望の水域で浚渫土砂を効率よく木片やゴミ等の異物と砂等の土砂成分とに分離することができる土砂分離装置及び浚渫土砂の分離方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、所望の水域にて異物が混在した浚渫土砂を前記異物と土砂成分とに分離するための土砂分離装置であって、水上に設置される浮体と、該浮体上に上下移動可能に支持された支持フレームと、該支持フレームを上限位置と下限位置との間で上下移動させる上下駆動手段と、前記下限位置において下部が水中に没するように前記支持フレームに支持され、且つ、前記支持フレームに対し相対移動可能な有底筒状の土砂分離用容器と、該土砂分離用容器を振動させる振動発生手段とを備えるとともに、前記土砂分離用容器が少なくとも底面部に網状の土砂透過部を備え、 前記土砂分離用容器の移動により生ずる水流及び前記振動発生手段による振動を利用して前記土砂分離用容器内に投入された前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離し、且つ、分離された土砂成分のみを前記土砂透過部を通して前記水底部に沈降させるようにした土砂分離装置にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記土砂分離用容器は、前記上限位置において前記底面部が水上に露出するように前記支持フレームに支持されてなることにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記土砂分離用容器の底面縁部にテーパ筒状の水流調整用笠体を備えてなることにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3の構成に加え、前記土砂分離用容器は、該土砂分離用容器内に空気を噴射する空気供給手段を備えてなることにある。
【0015】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜3又は4の構成に加え、前記振動発生手段は、前記土砂分離用容器を前記支持フレームに水平移動可能に支持させる可動支持部と、本体部が前記支持フレーム又は浮体に固定され、且つ、ロッド先端が前記土砂分離用容器に連結された水平シリンダとを備え、該水平シリンダの動作により前記土砂分離用容器が水平方向で振動するようにしてなることにある。
【0016】
請求項6に記載の発明の特徴は、水上に設置される浮体と、該浮体上に上下移動可能に支持された支持フレームと、該支持フレームを上限位置と下限位置との間で上下移動させる上下駆動手段と、前記下限位置において下部が水中に没するように前記支持フレームに支持され、且つ、前記支持フレームに対し相対移動可能な有底筒状の土砂分離用容器と、前記土砂分離用容器を振動させる振動発生手段とを備えるとともに、前記土砂分離用容器が少なくとも底面部に網状の土砂透過部を備えてなる土砂分離装置を使用し、前記土砂分離装置を所望の水域に設置した後、前記土砂分離用容器に異物が混在した浚渫土砂を投入する浚渫土砂投入工程と、前記上下駆動手段による前記支持フレームの上下移動に連動して前記土砂分離用容器を上下移動させるとともに、前記振動発生手段により前記土砂分離用容器を振動させる分離工程とを繰り返し、前記土砂分離用容器に投入された前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記分離された土砂成分を前記土砂透過部より水底部に沈降させ、然る後、前記土砂分離用容器内に残存した異物を回収する浚渫土砂の分離方法にある。
【0017】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項6の構成に加え、前記分離工程において、前記上限位置を前記土砂分離用容器の底面が水面上に露出する位置としたことにある。
【0018】
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項6又は7の構成に加え、前記分離工程において、前記土砂分離用容器内に空気を噴射することにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る土砂分離装置は、上述したように、所望の水域にて異物が混在した浚渫土砂を前記異物と土砂成分とに分離するための土砂分離装置であって、 水上に設置される浮体と、該浮体上に上下移動可能に支持された支持フレームと、該支持フレームを上限位置と下限位置との間で上下移動させる上下駆動手段と、前記下限位置において下部が水中に没するように前記支持フレームに支持され、且つ、前記支持フレームに対し相対移動可能な有底筒状の土砂分離用容器と、前記土砂分離用容器を振動させる振動発生手段とを備えるとともに、前記土砂分離用容器が少なくとも底面部に網状の土砂透過部を備え、前記土砂分離用容器の移動により生ずる水流及び前記振動発生手段による振動を利用して前記土砂分離用容器内に投入された前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離し、且つ、分離された土砂成分のみを前記土砂透過部を通して前記水底部に沈降させるようにしたことにより、所望の水域にて効率よく異物混在土砂を土砂成分と木片等の異物とに分離することができ、更に、高い分離効果によって木片等の異物と土砂成分とがそれぞれ再利用可能に分離された状態で回収できるので、関係法令に基づく規制の影響が軽減され、該回収物を資源として再利用(リサイクル)することが容易になる。更に、水中で土砂分離用容器を振動させることで土砂透過部を構成する網状材が洗浄され、目詰まりを防止することができる。
【0020】
また、本発明において、前記土砂分離用容器は、前記上限位置において前記底面部が水上に露出するように前記支持フレームに支持されてなることにより、上下移動の際に土砂分離用容器の底面部が水面を通過し、その際の衝撃が土砂透過部を通して異物混在土砂に作用し、異物と土砂成分との分離が促進される。また、土砂分離用容器の底面部を水面上に上げることにより、分離された土砂成分が土砂分離用容器内の水とともに効率良く容器外に排出される。
【0021】
更に、本発明において、前記土砂分離用容器の底面縁部にテーパ筒状の水流調整用笠体を備えてなることにより、土砂分離用容器の上下移動に伴って発生する水流が調整され、その水勢が増すことにより異物と土砂成分との分離が促進される。
【0022】
更にまた、本発明において、前記土砂分離用容器は、該土砂分離用容器内に空気を噴射する空気供給手段を備えてなることにより、土砂分離用容器が水上に位置する際には、エアブローによる剥離効果によって異物と土砂成分との分離が促進され、土砂分離用容器が水中に位置する際には、エア噴射により水中に気泡が発生し、その気泡の分離効果により異物と土砂成分との分離が促進される。
【0023】
また、本発明において、前記振動発生手段は、前記土砂分離用容器を前記支持フレームに水平移動可能に支持する可動支持部と、本体部が前記支持フレーム又は浮体に固定され、且つ、ロッド先端が前記土砂分離用容器に連結された水平シリンダとを備え、該水平シリンダの動作により前記土砂分離用容器が水平方向で振動するようにしてなることにより、土砂成分を好適に篩落とすことができる。
【0024】
本発明に係る浚渫土砂の分離方法は、水上に設置される浮体と、該浮体上に上下移動可能に支持された支持フレームと、該支持フレームを上限位置と下限位置との間で上下移動させる上下駆動手段と、前記下限位置において下部が水中に没するように前記支持フレームに支持され、且つ、前記支持フレームに対し相対移動可能な有底筒状の土砂分離用容器と、前記土砂分離用容器を振動させる振動発生手段とを備えるとともに、前記土砂分離用容器が少なくとも底面部に網状の土砂透過部を備えてなる土砂分離装置を使用し、前記土砂分離装置を所望の水域に設置した後、前記土砂分離用容器に異物が混在した浚渫土砂を投入する浚渫土砂投入工程と、前記上下駆動手段による前記支持フレームの上下移動に連動して前記土砂分離用容器を上下移動させるとともに、前記振動発生手段により前記土砂分離用容器を振動させる分離工程とを繰り返し、前記土砂分離用容器に投入された前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記分離された土砂成分を前記土砂透過部より水底部に沈降させ、然る後、前記土砂分離用容器内に残存した異物を回収することにより、所望の水域にて効率よく異物混在土砂を木片等の異物と砂等の土砂成分とに分離させ、分別した状態で回収することができ、関係法令に基づく規制の影響が軽減され、該回収物を資源として再利用(リサイクル)することが容易になる。
【0025】
また、本発明において、前記分離工程において、前記上限位置を前記土砂分離用容器の底面が水面上に露出する位置としたことにより、上下移動の際に土砂分離用容器の底面部が水面を通過し、その際の衝撃が土砂透過部を通して異物混在土砂に作用し、異物と土砂成分との分離が促進される。
【0026】
また、本発明において、前記分離工程において、前記土砂分離用容器内に空気を噴射することにより、土砂分離用容器が水上に位置する際には、エアブローによる剥離効果によって異物と土砂成分との分離が促進され、土砂分離用容器が水中に位置する際には、エア噴射により水中に気泡が発生し、その気泡の分離効果により異物と土砂成分との分離が促進される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明に係る土砂分離装置の実施の態様を
図1〜
図3に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号Aは水底、符号Bは水面、符号1は土砂分離装置である。
【0029】
この土砂分離装置1は、水上に設置される浮体2と、浮体2上に上下移動可能に支持された支持フレーム3と、支持フレーム3を上下移動させる上下駆動手段と、支持フレーム3に相対移動可能に支持された有底筒状の土砂分離用容器4と、土砂分離用容器4を振動させる振動発生手段とを備え、所望の水域で土砂分離用容器4に投入された異物5が混在した浚渫土砂(以下、異物混在土砂6という)を木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに分離できるようになっている。
【0030】
浮体2は、上下方向で貫通した分離作業部10を中央部に有する矩形枠状に形成され、枠状内部に空隙11を有することにより浮力で水面B部に浮かべられるようになっている。
【0031】
尚、浮体2は、台船等に連結することにより水面B部で安定させ、上下駆動手段が動作する際の安定した反力を確保するようにしてもよい。
【0032】
また、浮体2の下方には、下縁が水底Aに着底するように可撓性を有する網目状シート材により円筒状やスカート状等の筒状に形成された汚濁防止膜12が設置され、分離された土砂成分7が周囲の水域に飛散しないようにすることが好ましい。
【0033】
この浮体2には、上面部に平坦な作業台部2aが形成され、この作業台部2a上に上下駆動装置を介して上下移動可能に支持フレーム3が支持されている。
【0034】
上下駆動手段は、作業台部の四隅に上下に向けて立設された油圧シリンダ等の昇降用シリンダ13,13...を備え、作業台部2aに固定されたシリンダ本体部に対しロッド13aが上下方向で出入り動作することによりロッド13aの上端に固定された支持フレーム3が所定の上限位置Puと下限位置Pdとの間で上下移動するようになっている。
【0035】
尚、昇降用シリンダ13,13...のストローク量は、上限位置Puにおいて支持フレーム3に支持された土砂分離用容器4の底面が水面B上に露出し、下限位置Pdにおいて支持フレーム3に支持された土砂分離用容器4の下部が浮体2の分離作業部10を通して水中に没するように設定されている。
【0036】
支持フレーム3は、互いに間隔を置いて平行に配置された一対のコ字状支持体15,15を備え、両コ字状支持体15,15間に土砂分離用容器4の上端部が相対移動可能に架設され、支持フレーム3の上下動に連動して土砂分離用容器4も上下移動するようになっている。
【0037】
各コ字状支持体15,15は、各昇降用シリンダ13のロッド13a上端部に固定された一対の固定部16,16と、各固定部16,16の側縁より鉛直下向きに延出した形状の一対の吊り板部17,17と、両吊り板部17,17の下縁部間に架け渡した形状の支持軌道板部18とを備えて正面視上向きコ字状に形成され、支持軌道板部18が固定部16,16より低い位置に配置されたことにより、支持フレーム3に支持された土砂分離用容器4が下限位置Pdにおいて下部が浮体2の分離作業部10を通して水中に没するようになっている。
【0038】
また、支持フレーム3には、支持軌道板部18と交差する方向で互いに隣り合う固定部16,16に両端部が支持された上向きコ字状の振動発生手段設置部19を備え、この振動発生手段設置部19に支持されて振動発生手段が支持フレーム3と共に上下移動するようになっている。
【0039】
土砂分離用容器4は、上面が開口した有底筒状の容器本体部20と、容器本体部20の上端開口縁部より外向きに張り出したフランジ状の被支持鍔部21とを備え、被支持鍔部21を両支持軌道板部18,18間に架設することにより、支持フレーム3に支持されるようになっている。
【0040】
尚、被支持鍔部21と支持軌道板部18との間には、被支持鍔部21の下面部又は支持軌道板部18上に回転可能に支持された複数のローラー22a,22a...等からなる可動支持部22を備え、この可動支持部22を介在したことにより支持フレーム3に対し土砂分離用容器4が水平方向で相対移動可能に支持されるようになっている。
【0041】
容器本体部20は、鋼製の骨組み材を格子状に組み合わせて上端が開口した有底筒状に形成され、骨組み材間の隙間を塞ぐように鋼製の網状材23を固定することにより筒状の周壁部全周及び底面部全面に亘ってそれぞれ土砂成分7のみが透過可能な土砂透過部24が形成されている。
【0042】
土砂透過部24を構成する網状材23は、木片等の異物5が透過不能で、且つ砂等の土砂成分7が透過可能な大きさに網目が形成されている。
【0043】
この容器本体部20は、底面縁部に水底A側に拡開したテーパ筒状の水流調整用笠体25を備え、この水流調整用笠体25により土砂分離用容器4の上下移動に伴い容器内に生じる水流が調整され、水勢が増すようになっている。
【0044】
また、容器本体部20内には、内側面部に支持させた複数のエアノズル26,26からなる空気供給手段を備え、エアノズル26,26より圧縮空気を土砂分離用容器4内に噴射することにより容器内に空気を供給できるようになっている。
【0045】
振動発生手段は、上述した被支持鍔部21と支持軌道板部18との間に介在させた可動支持部22と、振動発生手段設置部19に固定された支持軌道板部18の長手方向と平行な方向に向けた油圧シリンダからなる水平シリンダ27,27とを備え、水平シリンダ27,27のロッド27a先端が土砂分離用容器4の被支持鍔部21に連結され、水平シリンダ27,27のロッド27aが振動発生手段設置部19に固定されたシリンダ本体部に対し出入り動作することにより土砂分離用容器4が水平方向で振動するようになっている。
【0046】
尚、上述の実施例では、上下駆動手段を油圧シリンダからなる昇降用シリンダ13,13...により構成した例について説明したが、上下駆動手段の構成は、上述の実施例に限定されず、例えば、油圧シリンダに換えて電力により伸縮動作する電動シリンダを用いてもよく、また、浮体上に立設されたガイドレールに支持フレーム3をガイドさせ、電動モータの駆動により支持フレームがガイドレールに沿って上下移動するような構造であってもよい。
【0047】
また、上述の実施例では、振動発生手段を水平シリンダにより構成した例について説明したが、上述の如き構成に拘泥されず、例えば、油圧シリンダに換えて電力により伸縮動作する電動シリンダを用いてもよく、土砂分離用容器4を支持フレーム3にリンク機構を介して支持させ、モータ等の駆動装置によりリンク機構を動作させることにより土砂分離用容器4が振動するようにしたものであってもよい。
【0048】
次に、上述の如き土砂分離装置1を使用した浚渫土砂の分離方法について
図4、
図5に基づいて説明する。上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0049】
また、図中符号30は、グラブ浚渫船であって、複数のシェルを開閉可能に有するグラブバケット31がクレーン装置32で昇降自在に吊り持ち支持されている。
【0050】
本発明方法では、まず、土砂分離装置1を所望の水域、ここでは、浚渫対象水域に曳航等により移動させ、
図4(a)に示すように、グラブ浚渫船30を挟んで浚渫区域の反対側の水域に土砂分離装置1を設置する。尚、当該浚渫区域の水底A部には、木片等の異物5が混在した土砂(以下、異物混在土砂6という)が堆積している。
【0051】
そして、設置作業完了後、浚渫工程と連動して土砂分離用容器4に異物混在土砂6を投入する浚渫土砂投入工程を行う。
【0052】
浚渫土砂投入工程は、例えば、シェルを開いた状態でグラブバケット31を浚渫区域の水底A部に着底させ、その状態からシェルを閉鎖させつつ吊り上げて水底A部に堆積した異物混在土砂6を掴み取り、更にクレーン装置32により海上まで吊り上げ、その状態から、ジブ33を水平方向に反転させグラブバケット31を土砂分離用容器4上に移動させ、土砂分離用容器4上でグラブバケット31を解放し、土砂分離用容器4内に異物混在土砂6を投入する。
【0053】
次に、
図5(a1)〜
図5(a3)に示すように、上下駆動手段による支持フレーム3の上下移動に連動して土砂分離用容器4を上下移動させるとともに、振動発生手段により土砂分離用容器4を振動させる分離工程を行い、異物混在土砂6を木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに分離する。
【0054】
この分離工程は、まず、
図5(a1)に示すように、上下駆動手段の各昇降用シリンダ13,13...を伸長動作させ、上限位置Pu、即ち、土砂分離用容器4の底面部が水面B上に露出する位置まで支持フレーム3を上昇させる(原位置)。
【0055】
次に、
図5(a1)〜(a2)に示すように、昇降用シリンダ13,13...を収縮動作させて、支持フレーム3を上限位置より下限位置Pdまで下降させ、それに連動して土砂分離用容器4を下部が水中に没する位置まで下降させる。
【0056】
その際、支持フレーム3の上限位置Puを土砂分離用容器4の底面部が水面B上に露出する位置に設定しておくことにより、下降の際に土砂分離用容器4底面部が水面Bを通過し、その際の衝撃が土砂透過部24を通して容器内の異物混在土砂6に作用し、その衝撃により木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに分離される。
【0057】
また、土砂分離用容器4が水中を下降する場合、その下降に伴って土砂分離用容器4内に上向きの水流が生じ、水流により容器内の異物混在土砂6が攪拌され、攪拌による分離効果により異物混在土砂6が木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに分離される。
【0058】
尚、この土砂分離用容器4の下降により生じる水流は、水流調整用笠体25により調整されて水勢が増し、それにより高い攪拌・分離効果が得られ、木片等の異物5と砂等の土砂成分7との分離が促進される。
【0059】
そして、
図5(a2)〜(a3)に示すように、昇降用シリンダ13,13...を伸長動作させ、再度、支持フレーム3を下限位置Pdより上限位置Puまで上昇させ、それに連動して土砂分離用容器4を底面部が水面B上に露出する位置、即ち、原位置まで移動させる。
【0060】
この土砂分離用容器4の上昇に伴い、土砂分離用容器4が水中を上昇することにより、土砂分離用容器4内には、相対的に下向きの水流が作用し、当該水流により容器内の異物混在土砂6が攪拌され、攪拌による分離効果により異物5と土砂成分7とに分離される。
【0061】
更に又、土砂分離用容器4の底面部が水面Bを通過し、その際の衝撃が土砂透過部を通して籠内の異物混在土砂6に作用し、その衝撃により異物混在土砂6が土砂成分7と異物5とに分離される。
【0062】
そして、分離された土砂成分7は、土砂分離用容器4の上昇に伴う下降水流に運ばれつつ自重により土砂透過部24を透過し、土砂分離用容器4内の水とともに効率良く容器外に排出され、水底A部に向けて沈降する。
【0063】
一方、外形の大きい木皮等の異物5は、土砂透過部を通過できずに、土砂分離用容器4内に残存する。
【0064】
この
図5(a1)〜(a3)に示す動作を順次繰り返し、異物混在土砂6を異物5と土砂成分7とに分離しつつ、分離された土砂成分7を土砂分離用容器4の底面部の透過部24より水底部に沈降させる。
【0065】
また、この分離工程においては、
図5(a1)〜(a3)に示す上下移動を繰り返す間、振動発生手段により支持フレーム3に対し土砂分離用容器4を振動、即ち、水平シリンダ27,27の出し入れ動作を繰り返すことにより土砂分離用容器4を支持フレーム3に対し水平往復運動させる。
【0066】
この土砂分離用容器4の振動によって、土砂分離用容器4内の土砂成分7が土砂透過部24を通して篩落とされ、土砂成分7と異物5との分離が促進されるとともに、土砂分離用容器4の下部が水中に没した状態にあれば、土砂分離用容器4の上下移動により生じる水流に加え、土砂分離用容器4の振動による水流が土砂分離用容器4内に生じ、攪拌による分離効果が増して土砂成分7と異物5との分離が促進される。
【0067】
また、水中で土砂分離用容器4を振動させることにより、土砂透過部24を構成する網状材23が洗浄されるので、土砂透過部24の網目の目詰まりを防止することができるようになっている。
【0068】
更に、分離工程においては、土砂分離用容器4内に空気供給手段、即ちエアノズル26,26より圧縮空気を噴射することにより、土砂分離用容器4が水上に位置する際には、エアブローによる剥離効果によって異物5と土砂成分7との分離が促進され、土砂分離用容器4が水中に位置する際には、エア噴射により水中に気泡が発生し、その気泡の分離効果により異物5と土砂成分7との分離が促進されるようになっている。
【0069】
そして、
図4(a)に示す浚渫土砂投入工程と、
図5(a1)〜(a3)に示す土砂分離工程とを所望の回数だけ繰り返し、土砂分離用容器4内に木片等の異物5がある程度溜まったら、上下駆動手段及び振動発生手段を停止する。
【0070】
次に、
図4(b)に示すように、グラブ浚渫船30を挟んで土砂分離装置1とは反対側の水域に異物回収船34を移動させ、この異物回収船34に土砂分離用容器4より異物5を積み替えることにより異物5の回収を行う(異物回収工程)。
【0071】
この異物回収工程は、土砂分離用容器4内に土砂成分7より分離された状態で残存した木片等の異物5をグラブバケット31により掴み、それをクレーン装置32で吊り上げるとともにジブ33を反転させて異物回収船34上に移動させ、その位置でグラブバケット31を解放して木片等の異物5を異物回収船34上に積み替える。
【0072】
次に、異物回収工程が完了したら異物回収船34を移動させ、然る後、その位置に土砂回収船35を移動させるとともに、土砂分離装置1を曳航等により移動させて撤去し、水底A部に沈降した土砂成分7の回収作業を行う(土砂回収工程)。
【0073】
この土砂回収工程では、シェルを開いた状態でグラブバケット31を土砂分離装置1が設置されていた水域の水底A部に着底させ、その状態からシェルを閉鎖させつつ吊り上げて水底A部に堆積した土砂成分7を掴み取り、それをクレーン装置32により吊り上げるとともに、ジブ33を水平方向に反転させ、グラブバケット31を土砂回収船35上に移動させ、その位置でグラブバケット31を解放して土砂成分7を土砂回収船35に積み替える。
【0074】
そして、この浚渫工程から土砂回収工程まので一連の各工程を、グラブ浚渫船30を移動させながら行い、所望の水域を浚渫しつつ、その水域で異物混在土砂6を木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに再生可能な状態に分離し、且つ、分離された異物及び土砂成分を分別された状態で回収する。
【0075】
このように構成された浚渫土砂の分離方法では、土砂分離用容器4の上下移動及び水平移動(水平振動)で生じる水流の攪拌・分離効果に加え、振動による篩い落とし効果によって、異物混在土砂6を木片等の異物5と砂等の土砂成分7とに、所望の水域で効率よく分離することができる。
【0076】
そして、浚渫工程と連動して分離工程を行い、且つ、高い分離効果によって木片等の異物5と土砂成分7とがそれぞれ再利用可能に分別された状態で回収できるので、関係法令に基づく規制の影響が軽減され、回収物、即ち土砂成分7と木片等5とをそれぞれ資源として再利用(リサイクル)することが容易になる。
【0077】
また、異物・土砂回収工程において異物5及び土砂成分7の回収作業を浚渫工程で使用したグラブ浚渫船30を使用して行うことにより、浚渫から異物・土砂回収までの一連の工程をグラブ浚渫船30と土砂分離装置1とで行うことができるので、大幅に工期の短縮と設備費を含めた作業費用の低減を図ることができる。