特許第6048903号(P6048903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ガルツの特許一覧

<>
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000002
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000003
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000004
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000005
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000006
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000007
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000008
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000009
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000010
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000011
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000012
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000013
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000014
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000015
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000016
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000017
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000018
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000019
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000020
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000021
  • 特許6048903-水平保持袋およびその製造方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6048903
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】水平保持袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/28 20060101AFI20161212BHJP
   B65D 33/10 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B65D33/28
   B65D33/10
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-80688(P2016-80688)
(22)【出願日】2016年4月13日
【審査請求日】2016年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-128173(P2015-128173)
(32)【優先日】2015年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514174903
【氏名又は名称】株式会社ガルツ
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】宮元 武壽
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−136602(JP,A)
【文献】 米国特許第5568979(US,A)
【文献】 実開昭59−134416(JP,U)
【文献】 特開昭49−72069(JP,A)
【文献】 特開2010−194038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/28
A45C 11/20
B65D 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁に長手部材(20)が一対の基端部(22)において接合されて、把手部(2)が形成されている一方、
前記袋本体(1)の底面(12)近傍の周縁には長手部材(30)が接合されて、前記把手部(2)の下方における、袋本体(1)の側面(13)と長手部材(30)との間に挿通部(3)が形成されており、
前記袋本体(1)の底面(12)の上に収容物を載置した状態で、前記把手部(2)を挿通部(3)に挿通して、
当該把手部(2)を頂点(21)に向けて鉛直上方に引き上げることによって、
収容物が自重によって静止した状態で、把手部(2)の基端部(22)同士が近接して開口部(11)が閉塞されるとともに、
長手部材(30)の接合部(31)同士が底面(12)の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体(1)の底面(12)ないし側面(13)に支持されて、
当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できることを特徴とする水平保持袋。
【請求項2】
長手部材(20・30)が細幅シート状であって、これらの長手部材は互いに平行に配設されており、少なくとも長手部材(30)の接合部(31)は、袋本体(1)の側面(13)に対して曲線状境界で熱融着されていることを特徴とする請求項1記載の水平保持袋。
【請求項3】
袋本体(1)の底面(12)の端部における底接合部(12B)が、長手部材(30)を含めて一体に熱融着されて、かつ、この底接合部(12B)に沿って切断されていることを特徴とする請求項1または2記載の水平保持袋。
【請求項4】
熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁に沿って切込部(23)が設けられており、この切込部(23)の上縁側に把手部(2)が形成されている一方、
前記袋本体(1)の底側近傍の周縁に沿って切込部(32)が設けられており、この切込部(32)の上縁側が二列に止着されて底面(12)が形成され、かつ、下縁側に帯部(30a)が形成されており、この切込部(32)によって、前記把手部(2)の下方における、袋本体(1)の底面(12)近傍の挿通部(3)が構成されており、
前記袋本体(1)の底面(12)の上に収容物を載置した状態で、前記把手部(2)を挿通部(3)に挿通して、
当該把手部(2)を頂点(21)に向けて鉛直上方に引き上げることによって、
収容物が自重によって静止した状態で、把手部(2)の端部同士が近接して開口部(11)が閉塞されるとともに、
帯部(30a)の端部同士が底面(12)の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体(1)の底面(12)ないし側面(13)に支持されて、
当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できることを特徴とする水平保持袋。
【請求項5】
熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁に沿って切込部(23)が設けられており、この切込部(23)の上縁側に把手部(2)が形成されている一方、
前記袋本体(1)の底面(12)近傍の周縁には長手部材(30)が接合されて、前記把手部(2)の下方における、袋本体(1)の側面(13)と長手部材(30)との間に挿通部(3)が形成されており、
前記袋本体(1)の底面(12)の上に収容物を載置した状態で、前記把手部(2)を挿通部(3)に挿通して、
当該把手部(2)を頂点(21)に向けて鉛直上方に引き上げることによって、
収容物が自重によって静止した状態で、把手部(2)の端部同士が近接して開口部(11)が閉塞されるとともに、
長手部材(30)の接合部(31)同士が底面(12)の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体(1)の底面(12)ないし側面(13)に支持されて、
当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できることを特徴とする水平保持袋。
【請求項6】
熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、
袋本体(1)の開口部(11)近傍の周縁に長手部材(20)が一対の基端部(22)において接合されて、把手部(2)が形成されている一方、
前記袋本体(1)の底側近傍の周縁に沿って切込部(32)が設けられており、この切込部(32)の上縁側が二列に止着されて底面(12)が形成され、かつ、下縁側に帯部(30a)が形成されており、この切込部(32)によって、前記把手部(2)の下方における、袋本体(1)の底面(12)近傍の挿通部(3)が構成されており、
前記袋本体(1)の底面(12)の上に収容物を載置した状態で、前記把手部(2)を挿通部(3)に挿通して、
当該把手部(2)を頂点(21)に向けて鉛直上方に引き上げることによって、
収容物が自重によって静止した状態で、把手部(2)の基端部(22)同士が近接して開口部(11)が閉塞されるとともに、
帯部(30a)の端部同士が底面(12)の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体(1)の底面(12)ないし側面(13)に支持されて、
当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できることを特徴とする水平保持袋。
【請求項7】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(10)の側方を内側に折り込んで、長手部材(30)の配設部位近傍を山折り線とするガゼット(12A)を形成して、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材(20・30)を前記基材シート(10)の進行方向に並行してそれぞれ挿入して、この基材シート(10)の表面に互いに平行に配設し、
前記長手部材(20)の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート(10)の表面に熱融着して把手部(2)を成形する一方、
長手部材(30)の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート(10)の表面に熱融着して挿通部(3)を成形するとともに、
前記長手部材(20・30)およびガゼット(12A)の側縁部(14)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着して底面(12)を形成し、
前記側縁部(14)を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することを特徴とする水平保持袋の製造方法。
【請求項8】
長手部材(20・30)を細幅シート状にして、これらの長手部材を互いに平行に配設し、少なくとも長手部材(30)の接合部(31)を、袋本体(1)の側面(13)に対して曲線状境界で熱融着することを特徴とする請求項7記載の水平保持袋の製造方法。
【請求項9】
袋本体(1)の底面(12)の端部における底接合部(12B)を、長手部材(30)を含めて一体に熱融着して、かつ、この底接合部(12B)に沿って切断することを特徴とする請求項7または8記載の水平保持袋の製造方法。
【請求項10】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(10)の側方を内側に折り込んで、山折り線とするガゼット(12A)を形成して、
基材シート(10)の開口部(11)側の近傍の周縁に沿って切込部(23)を設けて、この切込部(23)の上縁側に把手部(2)を成形する一方、
基材シート(10)の底側近傍の周縁に沿って切込部(32)を設けて挿通部(3)を成形するとともに、
この切込部(32)の上縁側を二列に止着して底面(12)を形成して、かつ、下縁側に帯部(30a)を形成して、
ガゼット(12A)の側縁部(14)近傍および切込部(32)の両端部のシート重畳部を一体に熱融着して底面(12)を形成し、
前記側縁部(14)を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することを特徴とする水平保持袋の製造方法。
【請求項11】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(10)の側方を内側に折り込んで、長手部材(30)の配設部位近傍を山折り線とするガゼット(12A)を形成して、
基材シート(10)の開口部(11)側の近傍の周縁に沿って切込部(23)を設けて、この切込部(23)の上縁側に把手部(2)を成形する一方、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材(30)を前記基材シート(10)の進行方向に並行して挿入して、この基材シート(10)の表面に互いに平行に配設し、長手部材(30)の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート(10)の表面に熱融着して挿通部(3)を成形するとともに、
前記長手部材(30)およびガゼット(12A)の側縁部(14)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着して底面(12)を形成し、
前記側縁部(14)を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することを特徴とする水平保持袋の製造方法。
【請求項12】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(10)の側方を内側に折り込んで、山折り線とするガゼット(12A)を形成して、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材(20)を前記基材シート(10)の進行方向に並行して挿入して、この基材シート(10)の表面に互いに平行に配設し、
前記長手部材(20)の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート(10)の表面に熱融着して把手部(2)を成形する一方、
基材シート(10)の底側近傍の周縁に沿って切込部(32)を設けて挿通部(3)を成形するとともに、
この切込部(32)の上縁側を二列に止着して底面(12)を形成して、かつ、下縁側に帯部(30a)を形成して、
ガゼット(12A)の側縁部(14)近傍および切込部(32)の両端部のシート重畳部を一体に熱融着して底面(12)を形成し、
前記側縁部(14)を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することを特徴とする水平保持袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用の簡易な袋体の改良、更に詳しくは、平たい弁当の容器と比較的重量な飲料容器とを同時に収容した場合などであっても、袋体が圧縮して収容物を締め付け、抱き込むように確実に固定して重心偏倚を防止し、略水平姿勢に保持することができる水平保持袋およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の小売店で持ち帰りの弁当を購入した場合には、この平たい弁当の容器が傾いて中身が乱れないように、できるだけ水平姿勢を保持しながら運搬する必要がある。
【0003】
従来、かかる運搬用の袋体は、ポリオレフィン系などの熱可塑性樹脂の薄手のシート材で作製した簡易なものが多く、収容物の安定性が十分でなかったことから、袋の四隅に圧着部を設けることで弁当容器を水平に保持しようとするものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる構造の袋体では、ペットボトルなどの飲料容器も同時に収容する場合に、この飲料容器は比較的重量であるため、この飲料容器が袋内で転がったり横滑りしたりして移動した場合には、収容物の重心が中心から偏倚してしまうため、弁当の容器が傾いて中身が乱れたりこぼれてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−130632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の運搬用の簡易な袋体に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、平たい弁当の容器と比較的重量な飲料容器とを同時に収容した場合などであっても、袋体が圧縮して収容物を締め付け、抱き込むように確実に固定して重心偏倚を防止し、略水平姿勢に保持することができる水平保持袋およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0008】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、袋本体1の開口部11近傍の周縁に長手部材20を一対の基端部22において接合して、把手部2を形成する一方、前記袋本体1の底面12近傍の周縁には長手部材30を接合して、前記把手部2の下方における、袋本体1の側面13と長手部材30との間に挿通部3を形成し、
前記袋本体1の底面12の上に収容物を載置した状態で、前記把手部2を挿通部3に挿通して、当該把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部2の基端部22同士が近接して開口部11が閉塞されるとともに、長手部材30の接合部31同士が底面12の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体1の底面12ないし側面13に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できるようにするという技術的手段を採用したことによって、水平保持袋を完成させた。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、長手部材20・30を細幅シート状にして、これらの長手部材を互いに平行に配設して、少なくとも長手部材30の接合部31を、袋本体1の側面13に対して曲線状境界で熱融着するという技術的手段を採用することもできる。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、袋本体1の底面12の端部における底接合部12Bを、長手部材30を含めて一体に熱融着して、かつ、この底接合部12Bに沿って切断するという技術的手段を採用することもできる。
【0011】
また、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、袋本体1の開口部11近傍の周縁に沿って切込部23を設けて、この切込部23の上縁側に把手部2を形成する一方、
前記袋本体1の底側近傍の周縁に沿って切込部32を設けて、この切込部32の上縁側を二列に止着して底面12を形成して、かつ、下縁側に帯部30aを形成し、この切込部32によって、前記把手部2の下方における、袋本体1の底面12近傍の挿通部3を構成し、
前記袋本体1の底面12の上に収容物を載置した状態で、前記把手部2を挿通部3に挿通して、当該把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部2の端部同士が近接して開口部11が閉塞されるとともに、帯部30aの端部同士が底面12の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体1の底面12ないし側面13に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できるようにするという技術的手段を採用したことによっても、水平保持袋を完成させた。
【0012】
更にまた、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、袋本体1の開口部11近傍の周縁に沿って切込部23を設けて、この切込部23の上縁側に把手部2を形成する一方、前記袋本体1の底面12近傍の周縁には長手部材30を接合して、前記把手部2の下方における、袋本体1の側面13と長手部材30との間に挿通部3を形成し、
前記袋本体1の底面12の上に収容物を載置した状態で、前記把手部2を挿通部3に挿通して、当該把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部2の端部同士が近接して開口部11が閉塞されるとともに、長手部材30の接合部31同士が底面12の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体1の底面12ないし側面13に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できるようにするという技術的手段を採用したことによっても、水平保持袋を完成させた。
【0013】
更にまた、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、袋本体1の開口部11近傍の周縁に長手部材20を一対の基端部22において接合して、把手部2を形成する一方、前記袋本体1の底側近傍の周縁に沿って切込部32を設けて、この切込部32の上縁側を二列に止着して底面12を形成して、かつ、下縁側に帯部30aを形成し、この切込部32によって、前記把手部2の下方における、袋本体1の底面12近傍の挿通部3を構成し、
前記袋本体1の底面12の上に収容物を載置した状態で、前記把手部2を挿通部3に挿通して、当該把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部2の基端部22同士が近接して開口部11が閉塞されるとともに、帯部30aの端部同士が底面12の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体1の底面12ないし側面13に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支できるようにするという技術的手段を採用したことによっても、水平保持袋を完成させた。
【0014】
また、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の側方を内側に折り込んで、長手部材30の配設部位近傍を山折り線とするガゼット12Aを形成して、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材20・30を前記基材シート10の進行方向に並行してそれぞれ挿入して、この基材シート10の表面に互いに平行に配設し、
前記長手部材20の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して把手部2を成形する一方、
長手部材30の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して挿通部3を成形するとともに、
前記長手部材20・30およびガゼット12Aの側縁部14近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着して底面12を形成し、
こうして完成した袋基材の側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形するという技術的手段を採用したことによって、水平保持袋の製造方法を完成させた。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、長手部材20・30を細幅シート状にして、これらの長手部材を互いに平行に配設し、少なくとも長手部材30の接合部31を、袋本体1の側面13に対して曲線状境界で熱融着するという技術的手段を採用することもできる。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、袋本体1の底面12の端部における底接合部12Bを、長手部材30を含めて一体に熱融着して、かつ、この底接合部12Bに沿って切断するという技術的手段を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の側方を内側に折り込んで、山折り線とするガゼット12Aを形成して、
基材シート10の開口部11側の近傍の周縁に沿って切込部23を設けて、この切込部23の上縁側に把手部2を成形する一方、
基材シート10の底側近傍の周縁に沿って切込部32を設けて挿通部3を成形するとともに、
この切込部32の上縁側を二列に止着して底面12を形成して、かつ、下縁側に帯部30aを形成して、
ガゼット12Aの側縁部14近傍および切込部32の両端部のシート重畳部を一体に熱融着して底面12を形成し、
前記側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形するという技術的手段を採用したことによって、水平保持袋の製造方法を完成させた。
【0018】
更にまた、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の側方を内側に折り込んで、長手部材30の配設部位近傍を山折り線とするガゼット12Aを形成して、
基材シート10の開口部11側の近傍の周縁に沿って切込部23を設けて、この切込部23の上縁側に把手部2を成形する一方、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材30を前記基材シート10の進行方向に並行して挿入して、この基材シート10の表面に互いに平行に配設し、長手部材30の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して挿通部3を成形するとともに、
前記長手部材30およびガゼット12Aの側縁部14近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着して底面12を形成し、
前記側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形するという技術的手段を採用したことによって、水平保持袋の製造方法を完成させた。
【0019】
更にまた、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10の側方を内側に折り込んで、山折り線とするガゼット12Aを形成して、
熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材20を前記基材シート10の進行方向に並行して挿入して、この基材シート10の表面に互いに平行に配設し、
前記長手部材20の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面に熱融着して把手部2を成形する一方、
基材シート10の底側近傍の周縁に沿って切込部32を設けて挿通部3を成形するとともに、
この切込部32の上縁側を二列に止着して底面12を形成して、かつ、下縁側に帯部30aを形成して、
ガゼット12Aの側縁部14近傍および切込部32の両端部のシート重畳部を一体に熱融着して底面12を形成し、
前記側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形するという技術的手段を採用したことによって、水平保持袋の製造方法を完成させた。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、袋本体の開口部近傍の周縁に長手部材を一対の基端部において接合して、把手部を形成する一方、前記袋本体の底面近傍の周縁には長手部材を接合して、前記把手部の下方における、袋本体の側面と長手部材との間に挿通部を形成して構成したことによって、
前記袋本体の底面の上に収容物を載置した状態で、前記把手部を挿通部に挿通して、当該把手部を頂点に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部の基端部同士が近接して開口部が閉塞されるとともに、長手部材の接合部同士が底面の上方で互いに寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体の底面ないし側面に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支することができる。
【0021】
したがって、本発明の水平保持袋によれば、平たい弁当の容器と比較的重量な飲料容器とを同時に収容した場合などであっても、袋体が圧縮して収容物を締め付け、抱き込むように確実に固定して重心偏倚を防止し、略水平姿勢に保持することができることから、産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態の水平保持袋を表わす斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす断面図である。
図3】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす断面図である。
図4】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図5】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図7】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図8】本発明の第1実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図9】本発明の第1実施形態の水平保持袋の変形例の製造工程を表わす上面図である。
図10】本発明の第1実施形態の水平保持袋の変形例の製造工程を表わす上面図である。
図11】本発明の第1実施形態の水平保持袋の使用状態を表わす上面図である。
図12】本発明の第1実施形態の水平保持袋の使用状態を表わす斜視図である。
図13】本発明の第1実施形態の水平保持袋の使用状態を表わす斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態の水平保持袋を表わす斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす断面図である。
図16】本発明の第2実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす断面図である。
図17】本発明の第2実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図18】本発明の第2実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図19】本発明の第2実施形態の水平保持袋の製造工程を表わす上面図である。
図20】本発明の第3実施形態の水平保持袋を表わす斜視図である。
図21】本発明の第4実施形態の水平保持袋を表わす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図13に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは袋本体であり、また、符号2で指示するものは把手部であり、符号3で指示するものは挿通部である。
【0024】
<水平保持袋の構成>
まず、本実施形態の水平保持袋の構成について以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の水平保持袋は、熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体である。使用材料としては、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を採用し、薄手のシート材からなる。
【0025】
そして、袋本体1の開口部11近傍の周縁に長手部材20が一対の基端部22において接合されて、これら基端部22・22間に把手部2が形成されており、使用者はこの把手部2を持つことができる。本実施形態における長手部材20には細幅シート状のものを採用するが、ロープ状の厚みのあるものを採用することもできる。
【0026】
また、前記袋本体1の底面12近傍の周縁には長手部材30が接合されて、前記把手部2の下方における、袋本体1の側面13と長手部材30との間に挿通部3が形成されている。本実施形態における長手部材30には細幅シート状のものを採用する。また、挿通部3の間隔は、基端部22・22の間隔(把手部2の長さ)よりも狭くなっている。
【0027】
なお、本実施形態では、長手部材20・30の終端部を、袋本体1の側縁部14に一体に熱融着することができ、長手部材と袋本体1との結合を強固にすることができて、負荷による剥離を防止することができる。
【0028】
また、本実施形態では、袋本体1の底部12の底接合部12Bを熱融着することによって、底面12の端部の傾斜を滑らかにして、綺麗な方形状にすることができる。この底接合部12Bは、長手部材30も含めて一体に熱融着することができ、長手部材30の剥離を防止することができる。更に、この底接合部12Bに沿って切断することができ、底接合部12Bを設けた方が袋の底側であることが一目瞭然に識別できるため、使用者がスムースに収容作業を行うことができる。
【0029】
<水平保持袋の製造方法>
次に、本実施形態の水平保持袋の製造方法について以下に説明する。本実施形態では、公知の製袋機を用いて、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10をコンベア等で移送される製造ラインに送り出す。
【0030】
本実施形態においては、連続的に送り出される基材シート10における1製造単位(袋1枚分)のみを図示しており、更に、より効率的に袋体を製造することができるように、左右対称的に袋2枚分を同時成形できるものについて表している。
【0031】
まず、この基材シート10の側方を内側に折り込んで、長手部材30の配設部位近傍を山折り線とするガゼット12Aを形成する。
【0032】
この際、基材シート10は、一枚もののシートを採用することもできるが、成形の容易性から筒状のものを採用して上面中心線を切開することもできる。また、側方から当て板Aを挿入して折り込んで、この際に初めてガゼット12Aを形成するものではなく、熱融着(ヒートシール)加工する製袋機に送り出す前に予めガゼット12Aが形成された基材シート10を使用することもできる。
【0033】
次いで、図2および図3に示すように、熱可塑性樹脂材料からなる細幅シート状の長手部材20・30を前記基材シート10の進行方向に並行してそれぞれ挿入して、この基材シート10の表面に互いに平行に配設する。
【0034】
そして、図4に示すように、前記長手部材20の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面(基端部22)に熱融着して把手部2を成形する一方、長手部材30の一部を所定間隔でそれぞれ基材シート10の表面(接合部31)に熱融着して挿通部3を成形する。
【0035】
この熱融着部分は、使用時に長手部材が直交方向等にねじれて引っ張られることを考慮して、長手部材の配設方向に対して所定の角度(例えば45度)に傾斜させた直線状のものにしたり、後述する曲線状境界にすることができる。なお、これらの熱融着加工の際には、別部位への誤融着防止のために当て板Aを裏側に挿入して加工する。
【0036】
袋本体に挿入されたこの当て板Aにより、当て板Aの上面と下面の両方から各長手部材重畳部を独立して熱融着することができ、かつ、不要な袋本体との融着を防止することができる。なお、本実施形態では、熱融着部分は、一直線状のものを1本形成するが、複数本形成したり、曲線、破線などの形状にすることもできる。
【0037】
更に、図5および図6に示すように、底接合部12Bを熱融着することによって、底面12の端部の傾斜を滑らかにして、綺麗な方形状にすることができる。この底接合部12Bは、長手部材30も含めて一体に熱融着することができ、長手部材30の剥離を防止することができる。これら図3図6に示した工程は、それぞれ独立して行うこともできるが、同時に行うこともできる。
【0038】
そして、前記当て板Aを除去(基材シート10の移送により、当て板A設置位置を通過)して、前記長手部材20・30およびガゼット12Aの側縁部14近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着して底面12を形成する(図7参照)。
【0039】
こうして完成した袋基材の側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することができるのである。この切り離し工程と図7に示す側縁部14近傍の熱融着工程とは、それぞれ独立して行うこともできるが、同時に行うこともできる。なお、1袋単位の両端を基準に図示してきたが、隣り合う次の袋体の端部を同時に成形加工しながら袋基材の側縁部を切り離していくこともできる(図8参照)。
【0040】
本実施形態の変形例として、図9に示すように、長手部材20・30が細幅シート状であって、これらの長手部材は互いに平行に配設して、少なくとも長手部材30の接合部31を、袋本体1の側面13に対して曲線状境界で熱融着することができる。この曲線状境界は略円弧状が好ましく、熱融着部分は、境界を曲線状にすれば、線状や面状にすることができる。こうすることにより、使用時に長手部材が引っ張られる際に、融着部に局部的な負荷が集中することがないので、剥離を効果的に防止することができる。
【0041】
また、図10に示すように、底面12の端部における底接合部12Bを、長手部材30を含めて一体に熱融着して、かつ、この底接合部12Bに沿って切断することができ、底面12の端部の傾斜を滑らかにすることができる。また、底接合部12Bを設けた方が袋の底側であることが一目瞭然に識別できるため、使用者がスムースに収容作業を行うことができる。更にまた、使用材料の減少に繋がる上に、この際に発生した切れ端をリサイクル原料にすることもできて、非常に経済的である。
【0042】
なお、本発明の水平保持袋は、連続的でなくとも良く、1袋単位ずつ成形することもできるし、製造工程において基材シート10の進行方向が90度異なる方向の場合でも、1袋単位のものを成形することが可能である。
【0043】
<水平保持袋の使用方法>
次に、本実施形態の水平保持袋の使用方法について以下に説明する。まず、図1に示したように、袋本体1の上面を開口する。そして、この袋本体1の底面12の上に収容物を載置した状態で、前記把手部2を挿通部3に挿通し、挿通させながら把手部2を反対方向に引っ張ると、開口部11は、各縁部が互いに寄り合って閉じる(図11参照)。この収容物とは、小売店で提供される持ち帰り弁当用の平たい容器などのほか、同時に購入されることの多いペットボトルなどの飲料容器も含まれる。
【0044】
そして、図12に示すように、当該把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物が自重によって静止した状態で、把手部2の基端部22同士が近接して、開口部11が閉塞される。
【0045】
この際、把手部2が挿通部3(両長手部材の重なり部分)を引き上げることにより、挿通部3両端の接合部31同士が寄り合い、かつ、握る際に把手部2の頂点21同士が上方で寄り合わされることによって両側面に設けられた長手部材30同士も引き寄せられるため、底面12の四方の隅角部に位置する長手部材30の接合部31同士が、底面12の上方で互いに内側に向かって引っ張られて持ち上げられて寄り合うことによって、収容物の下面周縁が袋本体1の底面12ないし側面13に支持されて、当該収容物を略水平姿勢に保持して吊支することができる。
【0046】
こうして吊支した収容物は、袋本体1の上部が圧縮して締め付けた状態で支持されていて非常に安定的であるため、弁当容器の上に飲料容器を載置する場合などにおいても、飲料容器がズレにくくて安定的であり、仮に、飲料容器が中心から動いて重心が偏倚した場合であっても、確実に固定して弁当容器を水平に保持することができる。
【0047】
なお、袋本体1の開口部11の閉塞作用については、通常、袋本体1の開口部11から収容物が突出していない場合には略完全に閉塞することができるが、図13に示すように、カップ等の収容物が、弁当容器の上面に載置されるなどして開口部11から突出した場合は、この収容物(カップ)の外周面と開口部11の縁部とが密接することによって閉塞することができ、四方から挟持して安定的に起立保持することができる。
【0048】
『第2実施形態』
本発明の第2実施形態を図14から図19に基づいて説明する。本実施形態では、長手部材20・30を袋本体1(基材シート10)に付加することなく、把手部2および挿通部3をそれぞれ形成するものであり、1枚の基材シート10のみで本発明の機能および効果を発揮する袋体1を一体に構成できる点に特徴を有するものである。
【0049】
<水平保持袋の構成>
本実施形態の水平保持袋の構成について図14に基づいて以下に説明する。本実施形態では、袋本体1の開口部11近傍の周縁に沿って切込部23が設けられており、この切込部23の上縁側に把手部2が一体に形成されている。
【0050】
そして、前記袋本体1の底側近傍の周縁(具体的には5cm程度)に沿って切込部32が設けられており、この切込部32の上縁側がそれぞれ独立的に二列に止着(本実施形態では熱融着)されて(底止着部12Cが成形されて)底面12が形成され、かつ、下縁側に帯部30aが形成されている。こうして二つの底止着部12C・12Cと、ガゼット12AとがW型に一体化されて底面12が形成される。また、本実施形態では、帯部30aの切断面を切りっ放しにしてあるが、熱融着により適宜止着することもできる。
【0051】
そして、この切込部32によって、前記把手部2の下方における、袋本体1の底面12近傍の挿通部3を構成する。このようにして袋体1を一体成形することができる
【0052】
<水平保持袋の製造方法>
次に、本実施形態の水平保持袋の製造方法について以下に説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様に、公知の製袋機を用いて、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート10をコンベア等で移送される製造ラインに送り出す。
【0053】
本実施形態においては、連続的に送り出される基材シート10における1製造単位(袋1枚分)のみを図示しており、更に、より効率的に袋体を製造することができるように、左右対称的に袋2枚分を同時成形できるものについて表している。
【0054】
まず、この基材シート10の側方を内側に折り込んで、山折り線とするガゼット12Aを形成する。
【0055】
この際、基材シート10は、一枚もののシートを採用することもできるが、成形の容易性から筒状のものを採用して上面中心線を切開することもできる。また、側方から当て板Aを挿入して折り込んで、この際に初めてガゼット12Aを形成するものではなく、熱融着(ヒートシール)加工する製袋機に送り出す前に予めガゼット12Aが形成された基材シート10を使用することもできる。
【0056】
次いで、図15に示すように、基材シート10(後の袋本体1)の開口部11側の近傍の周縁に沿って切込部23を設けて、この切込部23の上縁側に把手部2を成形する。
【0057】
そして、基材シート10(後の袋本体1)の底側近傍の周縁に沿って切込部32を設けて挿通部3を成形するとともに、この切込部32の上縁側を上下それぞれ独立的に二列に止着して底面12を形成して(W型を構成し)、かつ、下縁側に帯部30aを形成する(図16および図17参照)。
【0058】
また、本実施形態では、図18に示すように、袋本体1の切込部32および底止着部12Cの側縁部において底接合部12Bを熱融着することによって、底面12の端部の傾斜を滑らかにして、開いた時に綺麗な方形状の底面にすることができる。
【0059】
然る後、図19に示すように、前記当て板Aを除去(基材シート10の移送により、当て板A設置位置を通過)して、ガゼット12Aの側縁部14近傍および切込部32の両端部のシート重畳部を一体に熱融着して底面12を形成することができる。
【0060】
こうして完成した袋基材の側縁部14を順次切り離すことによって、袋体を連続的に成形することができるのである。この切り離し工程と図18に示す側縁部14近傍の熱融着工程とは、それぞれ独立して行うこともできるが、同時に行うこともできる。なお、1袋単位の両端を基準に図示してきたが、隣り合う次の袋体の端部を同時に成形加工しながら袋基材の側縁部を切り離していくこともできる。
【0061】
また、図示しないが、この底接合部12Bに沿って切断することができ、底接合部12Bを設けた方が袋の底側であることが一目瞭然に識別できるため、使用者がスムースに収容作業を行うことができる。
【0062】
<水平保持袋の使用方法>
本実施形態の水平保持袋の使用方法にあっては、第1実施形態における把手部2および挿通部3の成形における長手部材の有無のみが構成の相違点であるため、第1実施形態と同様にして、把手部2を挿通部3に挿通して、把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物を略水平姿勢に保持して吊支することができる。
【0063】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図20に基づいて説明する。本実施形態では、第1実施形態の構成のうち、下側に長手部材30を設けて挿通部3を形成する点を採用する一方、上側は第2実施形態の構成のうち、切込部23によって把手部2を形成した点を採用することによって構成したものである。
【0064】
この第3実施形態の袋体1であっても、第1実施形態および第2実施形態と同様の使用方法を用いて、弁当の容器等を袋体1の内部に収容した後、把手部2を挿通部3に挿通して、把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物を略水平姿勢に保持して吊支することができる。
【0065】
『第4実施形態』
更に、本発明の第4実施形態を図21に基づいて説明する。本実施形態では、第1実施形態の構成のうち、上側に長手部材20を設けて把手部2を形成する点を採用する一方、下側は第2実施形態の構成のうち、切込部32によって挿通部3を形成した点を採用するものである。
【0066】
この第4実施形態の袋体1であっても、第1実施形態および第2実施形態と同様の使用方法を用いて、弁当の容器等を袋体1の内部に収容した後、把手部2を挿通部3に挿通して、把手部2を頂点21に向けて鉛直上方に引き上げることによって、収容物を略水平姿勢に保持して吊支することができる。
【0067】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、袋本体1と長手部材との融着箇所および範囲は、設計強度に応じて増加することができる。
【0068】
また、袋本体1の色と長手部材の色とを異なるものにして、把手部の挿通部への挿通作業性を向上させることもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0069】
1 袋本体
10 基材シート
11 開口部
12 底面
12A ガゼット
12B 底接合部
12C 底止着部
13 側面
14 側縁部
2 把手部
20 長手部材
21 頂点
22 基端部
23 切込部
3 挿通部
30 長手部材
30a 帯体
31 接合部
32 切込部
【要約】
【課題】 平たい弁当の容器と比較的重量な飲料容器とを同時に収容した場合などであっても、袋体が圧縮して収容物を締め付け、抱き込むように確実に固定して重心偏倚を防止し、略水平姿勢に保持することができる水平保持袋およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂材料からなる変形自在な袋体であって、袋本体1の開口部11近傍の周縁に長手部材20を一対の基端部22において接合して、把手部2を形成する一方、前記袋本体1の底面12近傍の周縁には長手部材30を接合して、前記把手部2の下方における、袋本体1の側面13と長手部材30との間に挿通部3を形成する。
【選択図】 図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21