【実施例1】
【0043】
有機栽培または減農薬栽培された新潟県産の玄米、黒米及び赤米、山形県産の大麦及びもち麦、鳥取県産のはと麦、静岡産の粟、稗及び黍、宮崎県産のたかきび、茨城県産の大豆、京都府産の黒豆、三重県産の小豆及び北海道産のトウモロコシをそれぞれ購入して用いた。
【0044】
これらを水洗後、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)に精製水とともに粉砕して粉砕物9kgを得た。
【0045】
この粉砕物を乾燥器により乾燥し、穀物粉末を得た。この穀物粉末8.5kgを清浄なステンレス製の寸胴に移し、精製水を15L添加して懸濁した。
【0046】
これらを95℃で1時間煮沸滅菌した。これらを80kg容量の横河電機社製の撹拌式発酵タンク(FP211)に移し、41℃で24時間発酵させた。
【0047】
得られた発酵液の上清を濾過布により粗濾過してろ液を得た。
【0048】
このろ液に塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリン240gを添加して攪拌した。
【0049】
さらに、天野エンザイム製のプロテアーゼM「アマノ」SD20gを添加し、38℃に加温して攪拌した。
【0050】
攪拌は攪拌装置を用いて室温で4時間実施した。得られた反応液を東洋濾紙の濾紙により吸引ろ過し、ろ液を得た。
【0051】
得られた反応液をパールウォーターDX−7000に供し、電気分解し、陰極側からアルカリ還元された溶液を得た。
【0052】
この溶液を凍結乾燥させて目的とする粉末230gを得た。これを検体1とした。この検体1は薄黄色であった。
【0053】
前述の検体1の粉末100gに10%エタノール含有精製水2Lを添加し、ダイアイオン(三菱化学製)500gを5%エタノール液に懸濁して充填したカラムに供した。
【0054】
これに4Lの5%エタノール液を添加して清浄し、さらに、80%エタノール液を1L添加して目的とするウロン酸誘導体を溶出させた。精製されたウロン酸誘導体は減圧蒸留により、エタノール部分を除去してこれを検体2とした。この検体2は無味無臭で透明な水溶性であった。
【0055】
以下に、ウロン酸誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
【0056】
上記のように得られた検体2を精製水に溶解し、精密ろ過後、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
【0057】
さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。構造解析の結果、検体2からウロン酸、アルギニン、スレオニン、アスパラギンが結合した結合体が検出された。
【0058】
また、アミノ酸分析装置(島津製作所製)によりアルギニン、スレオニン、アスパラギンが同定された。
【0059】
以下に、ヒト皮膚細胞を用いた長寿遺伝子Sirt1
の発現量増加の確認試験について述べる。
(試験例2)
【0060】
この試験はヒト由来の皮膚細胞に検体を添加して培養し、長寿遺伝子Sirt1のRNA量をRT−PCR法により分析するという細胞分子学的な方法である。これらの方法は一般的な分析方法として確立されている。
【0061】
すなわち、正常ヒト由来皮膚細胞を専用培養液にて培養した。これに、実施例1で得られた検体2、ウロン酸、アルギニンの0.1mgを5%エタノール含有PBS溶液にて添加し、37℃で、24時間培養した。なお、溶媒対照を設定して対照群とした。
【0062】
細胞数を計数後、細胞懸濁液を超音波破砕して細胞懸濁液を調製した。この細胞液からRNA抽出キット(フナコシ製)によりRNA分画を採取した。
【0063】
このRNA分画をRT−PCR法により長寿遺伝子Sirt1をプローブとして電気移動法により分析し、長寿遺伝子Sirt1含量を定量した。
【0064】
その結果、検体2の処理により、溶媒対照に比して長寿遺伝子Sirt1は452%となり、明らかな増加が認められた。一方、ウロン酸添加の場合は120%、アルギニン添加の場合は103%となり、溶媒対照と同程度であった。
【0065】
以下に、ヒト皮膚細胞を用いたエラスチン分解試験について述べる。
(試験例3)
【0066】
精製エラスチンをSigma社より購入した。エラスチンをトリス緩衝液(pH7.4)に溶解した。これにエラスターゼを処理してエラスチンを分解し、280nmの吸光度の変化を指標としてエラスチンの分解率を計数した。
【0067】
この条件下で検体2の0.1mg/mL溶液を添加してエラスチンの分解率を測定した。
【0068】
その結果、溶媒対照に比して検体2を添加した場合、エラスチンの分解率は55%に低下した。検体2にはエラスチン分解抑制作用が認められた。
【0069】
以下に、ヒト神経細胞を用いた長寿遺伝子Sirt1
の発現量増加作用の確認試験について述べる。
(試験例
4)
【0070】
この試験はヒト由来の神経細胞(クラボウ製)に検体を添加して培養し、長寿遺伝子Sirt1のRNA量を分析した。
【0071】
すなわち、正常ヒト由来神経細胞を専用培養液にて培養した。これに、実施例1で得られた検体2の0.1mgを5%エタノール含有PBS溶液にて添加し、37℃で、40時間培養した。なお、溶媒対照を設定して対照群とした。
【0072】
細胞数を計数後、細胞懸濁液を超音波破砕して細胞懸濁液を調製した。この細胞液からRNA抽出キット(フナコシ製)によりRNA分画を採取した。
【0073】
このRNA分画をRT−PCR法により長寿遺伝子Sirt1をプローブとして電気移動法により分析し、長寿遺伝子Sirt1含量を定量した。
【0074】
その結果、検体2の処理により、溶媒対照に比して長寿遺伝子Sirt1は503%となり、明らかな増加が認められた。