(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の自動水栓は、発光窓と受光窓がそれぞれ独立して設けられているため、これらの間に凹部を設けることができるが、送信信号及び受信信号の両方を透過させるカバー部材を備えた自動水栓においては、上述のような凹部を設けることはできないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の自動水栓では、発光窓と受光窓は、これらの周囲がそれぞれ吐水口部材によって覆われるようになっているので、異なる部品の境界である窓と周囲の吐水口部材との境界に水滴が留まってしまうおそれがあった。そして、これら境界に留まった水滴は、発光窓と受光窓の間の凹部に積極的に誘導されることなく留まったままとなり、検知性能の低下が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、センサを用いて吐水及び止水を自動制御する自動水栓において、センサのカバー部材に付着する水滴を積極的に外部へ誘導して、水滴に起因する検知性能の劣化を防止することが可能な自動水栓を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、センサによる信号検知によって吐水及び止水を制御する自動水栓において、吐水管に設けられた吐水口と、センサによる信号の送受信のために信号を通過させるための信号通過面と、この信号通過面を塞ぐためのカバー部材と、を備え、信号通過面から外部へ水滴を誘導する水滴誘導手段が設けられて
おり、水滴誘導手段は、自動水栓の表面において前記カバー部材から延びる溝である。
このように構成された本発明では、信号通過面を塞ぐカバー部材に水滴が付着しても、水滴誘導手段により、信号通過面から信号の通過に影響のない外部へ水滴が積極的に誘導されるので、水滴に起因したセンサの検知性能への影響を抑制することができる。
【0009】
また
、本発明では、カバー部材の周辺から外部へ延びるように溝を形成することにより、毛細管現象により溝へ積極的に水滴を引き込んで、水滴を外部へ誘導することができる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、溝の底面が、信号通過面から外部へ水滴を重力の作用によって誘導するように、水平方向に対して傾斜している。
このように構成された本発明によれば、溝の底面を水平面に対して傾斜させることにより、重力に従って水滴が溝内で移動し易くなるので、水滴の外部への誘導を促進することができる。
【0011】
また、
上述した課題を解決するために、本発明は、センサによる信号検知によって吐水及び止水を制御する自動水栓において、吐水管に設けられた吐水口と、センサによる信号の送受信のために信号を通過させるための信号通過面と、この信号通過面を塞ぐためのカバー部材と、を備え、信号通過面から外部へ水滴を誘導する水滴誘導手段が設けられており、吐水口は、吐水管の外面から突出するように延びる筒状部材を有し、水滴誘導手段は、吐水口と信号通過面との間にある水滴と接触するように吐水口の筒状部材の吐水端部付近に設けられた拡径部である。
このように構成された本発明によれば、
信号通過面を塞ぐカバー部材に水滴が付着しても、水滴誘導手段により、信号通過面から信号の通過に影響のない外部へ水滴が積極的に誘導されるので、水滴に起因したセンサの検知性能への影響を抑制することができ、カバー部材付近に付着した水滴を筒状部材の拡径部と接触させることにより、表面張力によって水滴を積極的に筒状部材側へ引き込み、水滴を外部へ誘導することができる。
【0012】
また、
上述した課題を解決するために、本発明は、センサによる信号検知によって吐水及び止水を制御する自動水栓において、吐水管に設けられた吐水口と、センサによる信号の送受信のために信号を通過させるための信号通過面と、この信号通過面を塞ぐためのカバー部材と、を備え、信号通過面から外部へ水滴を誘導する水滴誘導手段が設けられており、吐水口は、吐水管の外面から突出するように延びる筒状部材を有し、
この筒状部材を通して水流が吐水されるように構成されており、水滴誘導手段は、吐水口の筒状部材の側壁を貫通するスリットであ
り、筒状部材は、この筒状部材を通して水流が吐水されることにより、スリットを通して筒状部材内部へ空気を引き込む負圧を筒状部材内に生じさせるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、
信号通過面を塞ぐカバー部材に水滴が付着しても、水滴誘導手段により、信号通過面から信号の通過に影響のない外部へ水滴が積極的に誘導されるので、水滴に起因したセンサの検知性能への影響を抑制することができ、吐水中には筒状部材内で水流が上流から下流へ移動している状態となっており、これにより筒状部材内部に発生した負圧がスリットを通して筒状部材内部へ空気を引き込む力を生じさせる。これにより、本発明では、この空気引き込み力によって、吐水口に隣接して設けられたカバー部材からスリットへ向けて水滴を積極的に誘導することができる。
【0013】
また、本発明において好ましくは、筒状部材は、吐水される水流を通過させる水流通過部材を内部に有し、スリットが、水流通過部材の先端よりも上流側に位置する。
このように構成された本発明によれば、水流通過部材から放出される水流がスリットからカバー部材側へ逆流することを防止することができる。
【0014】
また、
上述した課題を解決するために、本発明は、センサによる信号検知によって吐水及び止水を制御する自動水栓において、吐水管に設けられた吐水口と、センサによる信号の送受信のために信号を通過させるための信号通過面と、この信号通過面を塞ぐためのカバー部材と、を備え、信号通過面から外部へ水滴を誘導する水滴誘導手段が設けられており、カバー部材は、自動水栓の斜面又は鉛直面に沿うように取り付けられており、カバー部材には、斜面又は鉛直面に沿って、信号通過面よりも鉛直方向下側に向けて拡大された拡大部が設けられ、水滴誘導手段は、カバー部材の拡大部である。
【0015】
このように構成された本発明によれば、信号通過面を塞ぐカバー部材に水滴が付着しても、水滴誘導手段により、信号通過面から信号の通過に影響のない外部へ水滴が積極的に誘導されるので、水滴に起因したセンサの検知性能への影響を抑制することができる。
カバー部材が斜面又は鉛直面に沿うように設けられている場合、カバー部材に付着した水滴は、重力によってカバー部材表面を伝って移動する。しかしながら、カバー部材と吐水管のように異なる部品の境界を水滴が乗り越えることができずに、水滴は境界領域に溜まり易い。
そこで、本発明では、カバー部材に拡大部を設けることにより、カバー部材表面における水滴の移動距離を長くし、水滴の移動速度を大きくして、水滴が境界領域を乗り越え易くしている。また、本発明では、水滴が境界領域を乗り越えられなくても、水滴を拡大部上の信号通過面の外部まで移動させることができるので、水滴に起因したセンサの検知性能への影響を抑制することができる。
なお、ここでいう鉛直方向下側とは、重力によって水滴が移動する方向をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センサを用いて吐水及び止水を自動制御する自動水栓において、センサのカバー部材に付着する水滴を積極的に外部へ誘導して、水滴に起因する検知性能の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1乃至
図7を参照して、本発明の第1実施形態による自動水栓を説明する。
本実施形態の自動水栓は、マイクロ波センサによる検出信号に基づいて、制御部が使用者の存在の有無を検知し、使用者が存在するときに吐水し、使用者が存在しないときに止水するように、止水弁の開閉動作を制御するように構成されている。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の自動水栓1は、例えば、洗面台等の基台2に取り付けられた断面矩形状の管状部材である吐水管10を有している。この吐水管10は、L字状であり、基台2から垂直に延び、途中で直角に折れ曲がって水平方向に延びている。吐水管10の先端部の下面には、吐水口20が設けられている。
【0020】
図2に示すように、吐水管10の先端部の下側には、吐水口20と、この吐水口20から吐水管10の先端側に離間してセンサカバー(カバー部材)30とが設けられている。また、センサカバー30から吐水口20へ向かうように、吐水管10の外面には3本の溝19が形成されている。
【0021】
図3及び
図4に示すように、吐水管10は、吐水管本体11と、下カバー部材15とを備えている。吐水管本体11は、水平に延びる上壁12と、上壁12の両側の側辺から下方へ延びる両側の側壁13と、上壁12と両側の側壁13の先端側端部を塞ぐように鉛直方向に延びる平面状の前壁14を備えており、下側が開放されている。この下側の開口を塞ぐように、平面状の下カバー部材15が取り付けられており、この下カバー部材15は水平方向に延びている。
【0022】
マイクロ波センサ本体(図示せず)は、吐水管10の基端部付近に設けられており、マイクロ波センサ本体に接続された同軸ケーブル32が、吐水管10内を通って吐水管10の先端部まで延びている。同軸ケーブル32の先端には、アンテナ33が接続されており、このアンテナ33は防水のため樹脂34でモールドされている。
【0023】
アンテナ33は、モールド樹脂34の先端部が吐水管10の前壁14の内面に設けられた取付部14aに配置されることにより位置合わせされ、さらにアンテナ取付部材35により吐水管10に固定される。
アンテナ取付部材35は、板金加工により形成された断面略L字状の金属部品であり、信号(電波)反射性を有する。アンテナ取付部材35は、上片35aと、上片35aの前端から下方へ折れ曲がり上下方向に延びる平面状の下片35bとを有する。上片35aには、上方へ起立する取付片35cが設けられており、取付片35cの切欠き35dに、同軸ケーブル32が嵌め込まれる。アンテナ取付部材35の上片35aが吐水管10の上壁12の内面にネジ留めされることにより、アンテナ33は吐水管10内に固定される。
【0024】
アンテナ33は、マイクロ波センサ本体から同軸ケーブル32を介して送られてきた送信電波(マイクロ波)を外部空間へ向けて送信し、外部空間を伝播してきた受信電波(反射波)を受信して、同軸ケーブル32を介してマイクロ波センサ本体へ伝達する。
アンテナ33は、下方へ向けて送信波を放射するように指向性が設定されている。アンテナ33から放射された送信波及び使用者からの反射波は、アンテナ取付部材35の下片35bと吐水管10の内面(すなわち、前壁14の内面と、両側の側壁13の内面)によって形成された信号通路を導波管として伝播する。
【0025】
下カバー部材15の先端部には、センサカバー30が配置される長円形状の信号通過孔16と、吐水用孔17が設けられている。
センサカバー30は、信号(電波)透過性の材料で形成されており、電子部品であるアンテナ33へ水滴が浸入することを防止するものである。センサカバー30は、信号通過孔16に下カバー部材15の上側から嵌めこまれ、シール部材18により水密的に覆われる。信号通過孔16に嵌め込まれたセンサカバー30は、下カバー部材15の表面からわずかに下方へ突出する。また、センサカバー30の周囲には、信号通過孔16との間にわずかな隙間が形成される。
シール部材18は、信号(電波)透過性の材料で平面状に形成された部材であり、吐水用孔17と同様な開口部18aを有する。
【0026】
したがって、送受信波は、シール部材18及びセンサカバー30を透過して、下カバー部材15の信号通過孔16を通過する。信号通路(導波管)の下カバー部材15への投影面(この例では、信号通過孔16)が信号通過面33aとなる。この信号通過面33aに水滴が存在すると、検知性能が低下するおそれがある。
【0027】
吐水管10の内部空間には、止水弁に接続された通水管(ホース)21と、通水管21の先端にクランプ部材22で接続された吐水継手23とが配置されている。
この吐水継手23は、下カバー部材15との間にセンサカバー30及びシール部材18を挟み込んだ状態で、下カバー部材15にネジ留めされる。
【0028】
吐水継手23には、下カバー部材15の吐水用孔17を通して外部から吐水キャップ25を取り付け可能となっている。本実施形態では、吐水キャップ25は、吐水継手23に螺合され、吐水管10の下カバー部材15から下方へ突出した状態となる。本実施形態では、吐水口20は、下カバー部材15に設けられた吐水用孔17、及び、吐水用孔17を通して配置された吐水キャップ25を含んで構成されている。
本実施形態の吐水キャップ25は、細かい気泡を含んだ水流を吐水する泡沫キャップである。なお、吐水キャップ25は、整流キャップ等の他の機能を有するものであってもよい。
【0029】
吐水キャップ25は、略円筒状の筒状部材26と、筒状部材26内に同心円状に取り付けられた水流通過部材27を有している。筒状部材26の内周面と水流通過部材27の外周面との間には、空気を取り込むための通路28が設けられている。
水流通過部材27は、通水管21から圧送されてきた水流に、通路28を介して取り込んだ空気の泡を含ませて放出するように構成されている。水流通過部材27から放出された水流は、筒状部材26の下端部からシンクへ向けて吐水される。
【0030】
次に、
図5乃至
図7に基づいて、第1実施形態の自動水栓1の作用について説明する。
水滴がセンサカバー30の表面に付着すると、マイクロ波である送受信波は、水滴により減衰し易くなり、自動水栓1は所定の検知性能を発揮できなくなるおそれがある。
このため、本実施形態では、センサカバー30に付着した水滴を信号通過孔16又は信号通過面33aの範囲外へ積極的に誘導するための水滴誘導手段が設けられている。
【0031】
まず、第1の水滴誘導手段について説明する。
センサカバー30と下カバー部材15は異なる部材であるので、これらの境界領域を水滴は乗り越え難く、境界領域に水滴が留まり易い。特に、異なる材料で形成されたセンサカバー30(例えば樹脂製)と下カバー部材15(例えば金属製)との境界領域に水滴は留まり易くなる。
【0032】
図5に示すように、下カバー部材15には、信号通過孔16と吐水用孔17との間に、これらを連結するように溝19が形成されている。なお、溝19は、信号通過孔16に連通していることが好ましいが、信号通過孔16に連通していなくても、センサカバー30の縁部に連続するように、又はセンサカバー30の縁部の近傍から形成されていればよい。
また、この溝19の底面19aは、信号通過孔16側よりも吐水用孔17側の方が下側に位置するように傾斜が設けられている。
【0033】
本実施形態では、このように水滴誘導手段としての溝19が形成されているので、センサカバー30と下カバー部材15との境界に存在する水滴Wは、表面張力の作用により溝19に直接的に引き込まれ、また、センサカバー30の周囲を伝って溝19へ間接的に引き込まれ、信号通過孔16から外部へ誘導される。このとき、センサカバー30の表面に付着した水滴も、溝19に引き込まれた水滴に誘導されて、溝19へ引き込まれる。
【0034】
さらに、本実施形態では、溝19に傾斜が設けられているので、一旦、溝19に水滴Wが引き込まれると、重力の作用により、水滴Wは傾斜に沿って吐水用孔17へ向けて移動が促進される。
なお、本実施形態では、溝19が、信号通過孔16から吐水用孔17へ向けて形成されているが、これに限らず、水滴を信号通過孔16から外部へ誘導するために、信号通過孔16から前壁14や側壁13へ向けて形成してもよい。
【0035】
図6及び
図7は、計算機シミュレーションにより得られた水滴の挙動の時間変化を示している。
図6は溝19が形成されている場合であり、
図7は溝19が形成されていない場合である。
図6及び
図7では、初期状態(
図6(A),
図7(A))、0.25秒後(
図6(B),
図7(B))、0.5秒後(
図6(C),
図7(C))を示している。
【0036】
図7に示すように、溝19がない場合は、センサカバー30と下カバー部材15との境界部分に水滴が溜まり、落下により水滴の量が減らない限り、同じ場所に留まったままとなる。これに対して、
図6に示すように、溝19がある場合は、センサカバー30上の水滴は、溝19により引き込まれ、水量が速やかに減少する。
このように、溝19を設けることにより、水滴Wを信号通過孔16から効率的に素早く外部へ誘導することができる。
【0037】
次に、第2の水滴誘導手段について説明する。
本実施形態では、
図5に示すように、吐水キャップ25の筒状部材26は、下カバー部材15の表面から下方に突出する部位に、径方向外側に拡大された拡径部26aが設けられている。この拡径部26aは、その基端部と下カバー部材15の表面との間が距離Lだけ離間している。
【0038】
水滴Wは、溝19を伝って吐水用孔17付近に至ると、溝19の端部に留まり易くなる。しかし、本実施形態では、水滴誘導手段としての拡径部26aが設けられているので、溝19の端部に留まった水滴Wは、拡径部26aと接触して表面張力によって吐水キャップ25側に引き込まれる。このとき、溝19の端部に溜まった水滴Wが当初は小さくても、水滴Wが成長して大きくなることにより、拡径部26aと最終的には接触するようになる。
【0039】
なお、本実施形態では、拡径部26aの基端部の一部が溝19の下方に位置しているが、これに限らず、拡径部26aの基端部は、溝19を伝ってきた水滴Wが接触可能なように位置していればよく、溝19の下方からわずかに側方へ離れた位置にあってもよい。
【0040】
また、本実施形態では、水滴誘導手段としての拡径部26aが溝19と共に設けられているが、これらはいずれか一方のみであってもよい。溝19を設けない場合、拡径部26aは、センサカバー30と吐水用孔17との間に付着した水滴Wを表面張力で引き込むために、センサカバー30側へ張り出すように設けることができる。
【0041】
次に、第3の水滴誘導手段について説明する。
本実施形態では、
図3及び
図5に示すように、筒状部材26には、径方向に貫通するようにスリット26bが周方向に複数設けられている。このスリット26bは、水流通過部材27の下端(吐水端)よりも上流側(上方)に設けられている。また、スリット26bは、拡径部26aの上流側(上方)で、下カバー部材15の表面、特に溝19と面するように設けられている。
【0042】
吐水中は、水流通過部材27の吐水端から気泡と共に水流が放出されるので、水流通過部材27と筒状部材26との間の通路28は負圧になる。この負圧により、筒状部材26の外部から通路28へ向けてスリット26bを介して空気の流れが形成される。
したがって、水流誘導手段としてのスリット26bによって形成される空気の流れによって、センサカバー30から筒状部材26のスリット26bへ向けて水滴Wが誘導される。これにより、水滴Wは、スリット26bを通って、通路28内を上方又は下方へ移動し、最終的に吐水口20から外部へ吐水される。
【0043】
次に、
図8乃至
図11を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
第1実施形態では、吐水管が断面矩形状に形成されていたが、本実施形態では、吐水管はその下面が湾曲状に形成された断面略半円状であり、より薄型化されている。
なお、本実施形態では、第1実施形態と異なる構造について主に説明し、共通する要素についての重複する説明は省略する。
【0044】
図8に示すように、本実施形態の自動水栓101の吐水管110は、断面略半円形であるが、第1実施形態と同様に、L字状であり、基台から垂直に延び、途中で直角に折れ曲がって水平方向に延びている。
図9に示すように、吐水管110の先端部の下側には、吐水口120と、この吐水口120から離間して、センサカバー130とが設けられている。
【0045】
図10及び
図11に示すように、吐水管110は、吐水管本体111と、平面状の上カバー部材115とを備えている。吐水管本体111は、断面略半円状の下壁112と、下壁112の先端側端部を塞ぐ曲面状の前壁114を備えており、上側が開放されている。この上側の開口を塞ぐように、平面状の上カバー部材115が取り付けられており、この上カバー部材115は水平方向に延びている。
【0046】
同軸ケーブル132に接続されたアンテナ133は、モールド樹脂134の先端部が吐水管110の前壁114の内面に設けられた取付部114aに配置されることにより位置合わせされる。さらに、アンテナ133は、アンテナ取付部材135が吐水管110の前壁114の内面に2本のネジでネジ留めされることにより、アンテナ取付部材135と前壁114の内面との間に挟まれた状態で吐水管110内に固定される。
【0047】
吐水管本体111の下壁112の先端部分には、湾曲面の最下部に吐水用孔117が設けられている。吐水用孔117は、下壁112の底部からさらに下方へ突出するように形成されている。
【0048】
吐水管本体111の前壁114には、長円形状の信号通過孔116が上下方向に貫通するように設けられており、この信号通過孔116が信号通路(導波管)を構成すると共に、吐水管本体111に信号通過面133aを形成している。信号通過面133aは、信号通過孔116を吐水管本体111の表面へ投影した面である。アンテナ133は、この信号通過面133a上に配置されている。したがって、信号通過孔116は、その下端部が前壁114の傾斜面に開口している。
また、前壁114には、信号通過孔116の開口部を傾斜面に沿って下側(すなわち吐水用孔117側)に拡張するように段部114bが形成されている。
【0049】
センサカバー130は、信号通過孔116に嵌め込むためのカバー本体130aと、前壁114の段部114bに嵌め込むための拡大部130bとを有している。センサカバー130は、吐水管本体111の下側から、O−リング118を介して信号通過孔116内に水密的に嵌めこまれる。
【0050】
本実施形態では、センサカバー130が取り付けられた状態では、センサカバー130の下面は、吐水管本体111の曲面状の前壁114の表面と略面一となっている。しかしながら、これに限らず、センサカバー130が、信号通過孔116の周囲において前壁114の表面よりも下方へ突出していてもよい。
【0051】
吐水管110の内部空間には、止水弁に接続された通水管(ホース)121と、通水管121の先端にクランプ部材122で接続された吐水継手123とが配置されている。この吐水継手123は、吐水管本体111にネジ留めされる。
【0052】
吐水継手123には、下壁112の吐水用孔117を通して外部から吐水キャップ125を取り付け可能となっている。本実施形態では、吐水キャップ125が吐水継手123に螺合され取り付けられると、吐水キャップ125の下端部は、吐水用孔117の下端部と略面一となる。本実施形態では、吐水口120は、下壁112に形成された吐水用孔117、及び、この吐水用孔117を通して配置された吐水キャップ125を含んで構成されている。
【0053】
吐水キャップ125は、第1実施形態と同様に泡沫キャップであり、略円筒状の筒状部材126と、筒状部材126内に通路128を介して同心円状に取り付けられた水流通過部材127を有している。
【0054】
次に、
図11に基づいて、第2実施形態の自動水栓101の作用について説明する。
本実施形態では、センサカバー130は、その表面が吐水管110の傾斜した前壁114と略面一となるように取り付けられているので、センサカバー130の表面も水平方向に対して傾斜面となっている。
【0055】
センサカバー130に水滴Wが付着すると、水滴Wは、重力の作用によりセンサカバー130の表面上を斜面に沿って下側へ移動していく。このとき、上述のように、異なる部品の境界(すなわち、センサカバー130と吐水管本体111との境界)に水滴Wが留まり易くなる。この境界が信号通過孔116の投影面である信号通過面133aと一致すると、境界に留まった水滴Wによって送受信信号が減衰してしまう。
【0056】
そこで、本実施形態では、センサカバー130に拡大部130bを設けている。すなわち、拡大部130bを設けることにより、センサカバー130と吐水管本体111との境界を、前壁114の斜面に沿って信号通過面133aから外れた下方に位置させている。
図11に示すように、センサカバー130に付着した水滴Wは、重力の作用によりセンサカバー130の表面を伝って移動する。このとき、本実施形態では、センサカバー130に拡大部130bが設けられているので、水滴Wの移動距離が長くなり、水滴Wの移動速度を大きくすることができる。これにより、水滴Wはセンサカバー130と吐水管本体111との境界領域を乗り越え易くなるので、水滴Wのセンサカバー130の外部への誘導を促進することができる。
【0057】
また、水滴Wが境界領域を乗り越えることができない場合でも、水滴Wを拡大部130bまで移動させることができる。これにより、水滴Wを信号通過面133aの外部まで移動させることができるので、水滴Wによる電波の減衰を抑制することが可能となる。さらに、水滴Wが成長することにより、水滴Wは、重力によって境界を乗り越えて前壁114を伝って吐水用孔117付近から下方のシンクへ排水される。
【0058】
なお、第2実施形態では、センサカバーが吐水管の傾斜した下面に設けられた例を示したが、これに限らず、センサカバーが吐水管の鉛直面に設けられた構成であってもよい。
また第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、センサカバーと吐水口との間に誘導用の溝を設けてもよいし、さらに、誘導用のスリットや拡径部を設けてもよい。
また、上記実施形態では、マイクロ波センサを用いた例を示したが、これに限らず、赤外線センサ等を用いてもよい。