特許第6048913号(P6048913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048913水溶性高分子顔料分散剤及び水溶性高分子顔料分散剤を含有する水系組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048913
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】水溶性高分子顔料分散剤及び水溶性高分子顔料分散剤を含有する水系組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20161212BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20161212BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20161212BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20161212BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C09B67/20 L
   C09B67/46 B
   C09C1/00
   C09C3/10
   C09D17/00
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-18026(P2013-18026)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-177573(P2013-177573A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-21619(P2012-21619)
(32)【優先日】2012年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 寿子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 良寛
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 巧
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−137309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/20
C09B 67/46
C09C 1/00
C09C 3/10
C09D 17/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)、α,β−不飽和ジカルボン酸(C)及び)一般式(1)又は(2)で表わされる単量体(D)を必須構成成分とする共重合体を含有し、かつ該共重合体における単量体(D)の含有量が5〜15重量%であることを特徴とする水溶性高分子顔料分散剤。
【化1】
(一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数〜6のアルキレン基、フェニレン基、及び、−C(=O)−NH−C(CH−CH−から選ばれるいずれか1種、Mは金属を示す。)
【化2】
(一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基、Mは金属を示す。)
【請求項2】
上記共重合体の25重量%水溶液における粘度が100〜2000mPa・sである請求項1記載の水溶性高分子顔料分散剤。
【請求項3】
上記共重合体の25重量%水溶液における色調が1ガードナー以下である請求項1又は2記載の水溶性高分子顔料分散剤。
【請求項4】
上記窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)がアミド基を有する(メタ)アクリルモノマーである請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性高分子顔料分散剤。
【請求項5】
上記一般式(1)で表わされる単量体(D)がアルカリ金属塩である請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性高分子顔料分散剤。
【請求項6】
上記共重合体の重量平均分子量が7500〜20000である請求項1〜のいずれかに記載の水溶性高分子顔料分散剤。
【請求項7】
水性溶媒中に、請求項1〜のいずれかに記載の水溶性高分子顔料分散剤と色素を含有する水系組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性高分子顔料分散剤及び水溶性高分子顔料分散剤を含有する水系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、印刷インキ、塗料等の分野で用いられている顔料は、高い鮮明性を得るため顔料粒子を高度に微細化する必要がある。しかし、顔料をより微細化していくと、顔料粒子間の凝集力が強くなり、インキや塗料が高粘度を示す場合が多い。
【0003】
これに対しては、顔料分散剤を使用し、顔料とビヒクル間の親和性を良くし、分散体の安定化を図ることが知られており、これまでに様々な顔料分散剤が開示されている。例えば、重合性オリゴマーにおける末端のエチレン性不飽和二重結合と窒素含有モノマーにおけるエチレン性不飽和結合との重合反応によって形成されるグラフト共重合体を含有する顔料分散剤等が挙げられる(特許文献1と2参照)。しかしながら、これらの顔料分散剤は、揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)を使用するため、顔料分散液には多くのVOCが含まれることになる。これに対して一方で環境に配慮した低VOC塗料やゼロVOC塗料が強く求められている。
【0004】
低VOC塗料やゼロVOC塗料として使用可能な顔料分散剤として、水溶性の顔料分散剤が提案されている。具体的には、例えば、芳香族および/または複素環ビニルモノマーユニットと、酸基を有するモノマーユニットと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーユニットと、数平均分子量が150〜1,500のポリアルキレングリコール鎖または該グリコールのモノアルキルエーテル鎖を有するモノマーユニットとから構成される分散剤(特許文献3参照。)や所定の単量体、含窒素不飽和単量体及び不飽和カルボン酸の共重合体である分散剤(特許文献4参照)が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの水溶性の分散剤は、微細化した顔料に対する分散性能がまだ十分ではなかった。そのため、高度な分散性能を有しつつ、優れた粘度適性、及び貯蔵安定性をもつ低VOC塗料に使用可能な水溶性顔料分散剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−47441号公報
【特許文献2】特開平6−211944号公報
【特許文献3】特開2009−24165号公報
【特許文献4】特開昭60−86171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、顔料に対する高い分散性、高い貯蔵安定性、適正な粘度範囲、良好な色調を有する水溶性高分子顔料分散剤及び水溶性高分子顔料分散剤を含有する水系組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の4種類の単量体を必須構成成分として得られる共重合体を含む分散剤とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明1は、窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)、α,β−不飽和ジカルボン酸(C)及び一般式(1)又は(2)で表わされる単量体(D)を必須構成成分とする共重合体を含有し、かつ該共重合体における単量体(D)の含有量が5〜15重量%である水溶性高分子顔料分散剤である。
【化1】
(一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数〜6のアルキレン基、フェニレン基、及び、−C(=O)−NH−C(CH−CH−から選ばれるいずれか1種、Mは金属を示す。)
【化2】
(一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基、Mは金属を示す。)
【0010】
また本発明2は、本発明1において上記共重合体の25重量%溶液における粘度が100〜2000mPa・sである水溶性高分子顔料分散剤である。
【0011】
また本発明3は、本発明1又は2において、上記共重合体の25重量%溶液における色調が1ガードナー以下である水溶性高分子顔料分散剤である。
【0012】
また本発明4は、本発明1〜3のいずれかにおいて、上記窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)がアミド基を有する(メタ)アクリルモノマーである水溶性高分子顔料分散剤である。
【0013】
また本発明5は、本発明1〜4のいずれかにおいて、上記単量体(D)がアルカリ金属塩である水溶性高分子顔料分散剤である。
【0015】
また本発明は、本発明1〜のいずれかにおいて、上記共重合体の重量平均分子量が7500〜20000である水溶性高分子顔料分散剤である。
【0016】
また本発明は、水性溶媒中に、本発明1〜の水溶性高分子顔料分散剤と色素を含有する水系組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水溶性高分子顔料分散剤は、顔料に対する高い分散性、顔料分散液の高い貯蔵安定性、適正な粘度範囲、良好な色調を有する。また、本発明の水溶性高分子顔料分散剤を使用した顔料分散液は、低粘度を有し、顔料の添加量が増えても低粘度を維持することができる。更に、本発明の水溶性高分子顔料分散剤は、優れた分散性を有するため、低VOCである水溶性の塗料、印刷インキ、インクジェット用インキ等に用いることができる。
【0018】
本発明の水溶性高分子顔料分散剤は、水溶性、かつ、高分子の分散剤であり、色素の分散に使用するものである。
【0019】
本発明の水溶性高分子顔料分散剤の必須原料は、窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)、炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)、α,β−不飽和ジカルボン酸(C)及び一般式(1)又は(2)で表わされる単量体(D)である。
【化1】
(一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数〜6のアルキレン基、フェニレン基、及び、−C(=O)−NH−C(CH−CH−から選ばれるいずれか1種、Mは金属を示す。)
【化2】
(一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基、Mは金属を示す。)
【0020】
上記窒素原子を含むラジカル重合性単量体(A)(以下、(A)成分という)は、ラジカル重合性の不飽和結合を有する単量体であれば特に限定されない。顔料の分散剤の吸着性の点から好ましくは、アミド基を有する(メタ)アクリルモノマー、アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマー、含窒素複素環式(メタ)アクリルモノマー、ビニル複素環式アミド、含窒素複素環式ビニルモノマー、含窒素芳香複素環式ビニルモノマー、アミノ基を有するビニルモノマー、アリルモノマーが挙げられる。具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−(2‐ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する(メタ)アクリルモノマー;N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリル酸メチル、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリル酸エチル、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリル酸プロピル、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリル酸ブチル、N,N−ジエチルアミノ(メタ)アクリル酸エチルなどのアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマー;N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどの含窒素複素環式(メタ)アクリルモノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピペリドンなどのビニル複素環式アミド;N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピペラジンなどの含窒素複素環式ビニルモノマー;2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピラジン、N−ビニルオキサゾールなどの含窒素芳香複素環式ビニルモノマー;ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルアミンなどのアミノ基を有するビニルモノマー、アリルモノマーが挙げられる。(A)成分は、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、顔料への分散剤の吸着性を考慮すると、アミド基を有する(メタ)アクリルモノマーが好ましく、中でも特にアクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドが好ましい。
【0021】
上記炭素数1〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)(以下、(B)成分という)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸N−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸N−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。(B)成分は、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも顔料への分散剤の吸着性及び水への分散性の観点から(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルと(メタ)アクリル酸シクロヘキシルの併用が好ましい。
【0022】
上記α,β−不飽和ジカルボン酸(C)(以下、(C)成分という)は、不飽和結合を有し、2つのカルボキシル基を有するものであれば、特に限定されない。具体例としては、例えば、炭素数が4のマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、炭素数が5のイタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、炭素数が10のコリスミ酸等が挙げられる。また、(C)成分のカルボキシル基を塩基によって一部又はすべて中和しても良い。具体的な塩基の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。(C)成分により、本発明の水溶性高分子顔料分散剤に親水性と分散性を付与することができる。親水性と分散性のバランスを良くする点から、炭素数4又は炭素数5のアルキル基を有するα、β−ジカルボン酸が好ましい。より好ましくは、マレイン酸又はイタコン酸である。特に好ましくはイタコン酸である。
【0023】
上記単量体(D)(以下、(D)成分という)は、下記一般式(1)又は(2)で表わされるものであれば特に限定されず、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸(メタリルスルホン酸)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸系ビニルモノマー類のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの中で、水への分散性の点においてアルカリ金属塩(一般式(1)又は(2)におけるMがアルカリ金属)が好ましい。(D)成分は、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも好ましくは、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、又は、メタリルスルホン酸のアルカリ金属塩であり、より好ましくはスチレンスルホン酸ナトリウム、又はスチレンスルホン酸ナトリウムとメタリルスルホン酸ナトリウムの併用である。(D)成分により、本発明の水溶性高分子顔料分散剤に親水性を付与することができ、水溶性高分子顔料分散剤と顔料を含む色素を含有する水系組成物の状態を安定させることができる。
【0024】
【化1】
(一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数〜6のアルキレン基、フェニレン基、及び、−C(=O)−NH−C(CH−CH−から選ばれるいずれか1種、Mは金属を示す。)
【化2】
(一般式(2)において、Rは水素原子またはメチル基、Mは金属を示す。)
【0025】
本発明の水溶性高分子顔料分散剤は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を必須構成成分とする共重合体を含むものである。なお、これらの成分以外に必要に応じて、スチレンなどを含むことができる。これにより、芳香環を持つような顔料に対する分散剤の吸着力を向上させることが可能となる。
【0026】
上記共重合体に用いる各成分の割合は、顔料への分散剤の吸着性及び水への分散性の点から、(A)成分が30〜75重量%、(B)成分が15〜40重量%、(C)成分が5〜30重量%、(D)成分が5〜15重量%であることが好ましい。より好ましくは、(A)成分が35〜62.5重量%、(B)成分が20〜35重量%、(C)成分が10〜25重量%、(D)成分の割合が7.5〜12.5重量%である。スチレン等の(A)〜(D)成分以外のその他の使用量としては、(A)〜(D)成分の合計を100重量%としたときに0〜20重量%であることが好ましい。
【0027】
本発明の水溶性高分子顔料分散剤の製造方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の各種公知の方法を用いることができる。
【0028】
上記溶液重合による場合には、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルイソブチルケトン等の溶媒を使用できる。
【0029】
上記乳化重合方法で使用する乳化剤としては、特に制限はされず、各種の界面活性剤を使用できる。例えばアニオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等を例示でき、ノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びこれら界面活性剤にビニル基またはアリル基、プロペニル基を導入した反応性界面活性剤等が挙げられる。これら界面活性剤は1種または2種以上を適宜選択して使用することができ、その使用量は全仕込単量体に対して通常は0.1〜10重量%程度が好ましい。
【0030】
上記懸濁重合方法で使用する分散剤としては、特に制限されず、各種の分散剤を使用できる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸カルシウム等が挙げられる。これら分散剤は1種または2種以上を適宜選択して使用することができ、その使用量は全仕込単体量に対して通常は0.05〜1重量%程度が好ましい。
【0031】
上記共重合で使用する重合開始剤としては特に限定はされず、過硫酸塩類、過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤などの各種のものを使用でき、分子量を調節するために公知の連鎖移動剤であるイソプロピルアルコール、四塩化炭素、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、チオグリコール酸エステル、アルキルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等を適宜使用することもできる。
【0032】
上記共重合体の重量平均分子量は、顔料の分散性、分散安定性と直接相関するため、通常は重量平均分子量が7500〜20000、好ましくは10000〜13000である。7500以上で分散安定性が向上し、20000以下の場合には顔料への吸着性を向上させることができるとともに、粘度を低下させることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、重量平均分子量はゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリエチレンオキシド換算値である。
【0033】
上記共重合体の25重量%溶液における粘度は、JIS K 7117−2に準拠し、B型粘度計を用いて25℃において測定したとき、ハンドリング性の点から100〜2000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、100〜500mPa・sである。この範囲の粘度とすることで、優れた顔料の分散性、分散安定性を有するだけでなく、分散安定剤へ顔料を分散する際のハンドリング性を向上させることができ、工業的に有用のものとすることができる。
【0034】
上記共重合体の25%溶液における色調は、1ガードナー以下であることが好ましい。これにより、本発明の水溶性高分子顔料分散剤は、色調が低く、インキ・塗料に使用した場合に色味の変化がないため、白色顔料などの明度が高い塗料に好適に利用することができる。
【0035】
水系溶媒中に、本発明の水溶性高分子顔料分散剤と色素を含有し、分散させた水系組成物もまた、本発明の一つである。
【0036】
上記水系溶媒とは、例えば水、アルコール/水混合液が挙げられる。環境問題や安全性の観点から水が好ましい。これにより、低VOC塗料やゼロVOC塗料として使用可能となる。
【0037】
本発明の水系組成物に含まれる色素としては、有機または無機の顔料、染料を単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0038】
上記有機顔料としては、従来公知の種々有機顔料を用いることができる。具体的には、例えば、赤色系有機顔料としては、 C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279が挙げられる。
【0039】
黄色系有機顔料としては、 C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214が挙げられる。
【0040】
橙色系有機顔料としては、C.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73が挙げられる。
【0041】
緑色系有機顔料としては、C.I. Pigment Green 7、10、36、37が挙げられ、青色系有機顔料としては、 C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80が挙げられる。
【0042】
紫色系有機顔料としては、 C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42が挙げられ、茶色系有機顔料としては、 C.I.Pigment Brown 25、28が挙げられ、黒色系有機顔料としては、C.I.Pigment Black 1、7等を挙げることができる。
【0043】
上記無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉や、金属硫化物粉や、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な印刷性、粘度安定性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明の水系組成物において、色調を合わせるためなどの目的で、上記顔料とともに染料を使用することもできる。使用可能な染料としては、特に制限はなく、例えば、特開平7−286107号公報、特開2002−14220号公報、特開平8−179120号公報等に記載の色素である。
【0045】
上記染料を化学構造別に分類すると、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が挙げられる。
【0046】
本発明の水系組成物における色素の割合は、組成物全体を100重量%とした場合に、50〜80重量%であることが好ましい。これにより、塗料やインキにした際に、溶媒の比率が高くなり乾燥時間を短くすることができる。
【実施例】
【0047】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例中、「%」及び「部」は特に断りのない限り「重量%」、「重量部」を意味する。なお、得られた水溶性高分子顔料分散剤の分析は次の方法によって実施した。結果を表1に示す。
【0048】
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、得られた水溶性高分子顔料分散剤をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8320」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSK−GEL GMPWXL」および「TSK−GEL G2500PWXL」を連結)により測定し、ポリエチレンオキシド換算によりを求めた。
【0049】
(粘度)
JIS K 7117−2に準拠し、B型粘度計を用いて25℃において測定した。
【0050】
(色調)
JIS K 0071−2に準拠しガードナー単位で測定した。
【0051】
製造例−1[水溶性高分子顔料分散剤1の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が300mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤1)を得た。
【0052】
製造例−2[水溶性高分子顔料分散剤2の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(10重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(12重量%)、イタコン酸56部(25重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム18部(8重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量10000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が500mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤2)を得た。
【0053】
製造例−3[水溶性高分子顔料分散剤3の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50.8重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(24.9重量%)、イタコン酸24部(12.2重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量10000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤3)を得た。
【0054】
製造例−4[水溶性高分子顔料分散剤4の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の51.8重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(25.4重量%)、イタコン酸24部(12.4重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム20部(10.4重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量10000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が400mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤4)を得た。
【0055】
製造例−5[水溶性高分子顔料分散剤5の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、マレイン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量10000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤5)を得た。
【0056】
製造例−6[水溶性高分子顔料分散剤6の合成]
製造例1と同様の反応装置に、メタクリルアミド100部(単量体の総重量和の50.8重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11.2重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.7重量%)、イタコン酸24部(12.2重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量10000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が500mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤6)を得た。
【0057】
製造例−7[水溶性高分子顔料分散剤7の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50.8重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11.2重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.7重量%)、イタコン酸24部(12.2重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム12部(6.1重量%)、過硫酸アンモニウム7.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量7500(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が100mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤7)を得た。
【0058】
製造例−8[水溶性高分子顔料分散剤8の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(13.5重量%)、過硫酸アンモニウム2.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量17500(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が2000mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤8)を得た。
【0059】
製造例−9[水溶性高分子顔料分散剤9の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、過硫酸アンモニウム2部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量20000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が1750mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤9)を得た。
【0060】
製造例−10[水溶性高分子顔料分散剤10の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(13.5重量%)、過硫酸アンモニウム7.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量7500(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が250mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤10)を得た。
【0061】
製造例−11[水溶性高分子顔料分散剤11の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、過硫酸アンモニウム15部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量1000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が50mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤11)を得た。
【0062】
製造例−12[水溶性高分子顔料分散剤12の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル22部(11重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル27部(13.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(13.5重量%)、過硫酸アンモニウム0.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量100000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が10000mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤12)を得た。
【0063】
製造例−13[水溶性高分子顔料分散剤13の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、N,N−ジメチルアミノメタクリル酸メチル100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤13)を得た。
【0064】
製造例−14[水溶性高分子顔料分散剤14の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が400mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤14)を得た。
【0065】
製造例−15[水溶性高分子顔料分散剤15の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、N−ビニル−2ピロリドン100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤15)を得た。
【0066】
製造例−16[水溶性高分子顔料分散剤16の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、N−ビニルモルホリン100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤16)を得た。
【0067】
製造例−17[水溶性高分子顔料分散剤17の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、2−ビニルピリジン100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が400mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤17)を得た。
【0068】
製造例−18[水溶性高分子顔料分散剤18の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、ジメチルアミノメチルスチレン100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤18)を得た。
【0069】
製造例−19[水溶性高分子顔料分散剤19の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50重量%、以下同様)、メタクリル酸2−エチルヘキシル49部(24.5重量%)、イタコン酸24部(12重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(13.5重量%)、過硫酸アンモニウム4.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量12000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が550mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤19)を得た。
【0070】
製造例−20[水溶性高分子顔料分散剤20の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、メタクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、アクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(12重量%)、過硫酸アンモニウム7.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量7500(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤20)を得た。
【0071】
製造例−21[水溶性高分子顔料分散剤21の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の48.8重量%、以下同様)、メタクリル酸2−エチルヘキシル49部(23.9重量%)、アクリル酸シクロヘキシル22部(10.7重量%)、イタコン酸24部(11.7重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(4.9重量%)、過硫酸アンモニウム7.5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量1000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤21)を得た。
【0072】
製造例−22[水溶性高分子顔料分散剤22の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の45重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(22重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(10重量%)、イタコン酸24部(11重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和するアンモニアを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量10000、25℃における粘度が450mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤22)を得た。
【0073】
製造例−23[水溶性高分子顔料分散剤23の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の66.2重量%、以下同様)、イタコン酸24部(15.9重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(8.9重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(8.9重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量15000(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が750mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤23)を得た。
【0074】
製造例−24[水溶性高分子顔料分散剤24の合成]
製造例1と同様の反応装置に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の66.2重量%、以下同様)、イタコン酸24部(15.9重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(17.8重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%重量平均分子量14500(GPCによる。以下同じ)、25℃における粘度が700mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤24)を得た。
【0075】
製造例−25[水溶性高分子顔料分散剤25の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50.5重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(24.7重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(11.1重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、メタリルスルホン酸ナトリウム13.5部(6.8重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%、重量平均分子量17500、25℃における粘度が800mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤25)を得た。
【0076】
製造例−26[水溶性高分子顔料分散剤26の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の50.5重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(24.7重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(11.1重量%)、スチレンスルホン酸ナトリウム27部(13.6重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、濃度25%、重量平均分子量18000、25℃における粘度が850mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤26)を得た。
【0077】
製造例−27[水溶性高分子顔料分散剤27の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリルアミド100部(単量体の総重量和の51.3重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(25.1重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(11.3重量%)、イタコン酸24部(12.3重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量6000、25℃における粘度が50mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤27)を得た。
【0078】
製造例−28[水溶性高分子顔料分散剤28の合成]
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリルアミド100部(単量体の総重量和の51.3重量%、以下同様)、アクリル酸2−エチルヘキシル49部(25.1重量%)、メタクリル酸シクロヘキシル22部(11.3重量%)、イタコン酸24部(12.3重量%)、過硫酸アンモニウム5部及びイソプロピルアルコール14部、水667部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。さらに水33部を加え、IPAを留去した。その後冷却し、60℃でイタコン酸の50%を中和する水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度25%、重量平均分子量7000、25℃における粘度が75mPa・s、色調が1ガードナーの共重合体の水溶液(水溶性高分子顔料分散剤28)を得た。
【表1】
【0079】
実施例1[水系組成物1の調製]
製造例1で得た水溶性高分子顔料分散剤1を2部及びチタン白顔料(石原産業(株)製CR−90)100部に水94部及びガラスビーズ100部を加え ペイントシェーカーにて1時間、分散を行った。分散工程の後、金網を使用してガラスビーズを除き、分散剤の添加量が0.5%(対顔料 固形分換算(%))の水系組成物1を得た。水溶性高分子顔料分散剤1を4部及びチタン白顔料(石原産業(株)製CR−90)100部に水94部及びガラスビーズ100部を加えペイントシェーカーにて1時間、分散を行った。分散工程の後、金網を使用してガラスビーズを除き、分散剤の添加量が1.0%(対顔料 固形分換算(%))の水系組成物1を得た。水溶性高分子顔料分散剤1を8部及びチタン白顔料(石原産業製CR−90)100部に水94部及びガラスビーズ100部を加えペイントシェーカーにて1時間、分散を行った。分散工程の後、金網を使用してガラスビーズを除き、分散剤の添加量が2.0%(対顔料 固形分換算(%))の水系組成物1を得た。得られた水系組成物1の25℃における粘度を測定した。また、得られた水系組成物1を径16mm、高さ150mmの試験管に入れ、1日後、7日後の経時での分離度を測定した。分離度は(離水層の高さ(mm))÷(全液量の高さ(mm))×100(%)にて求めた。分離度が低いほど、良好な貯蔵安定性を有する。結果を表2に示す。
【0080】
実施例2〜22[水系組成物2〜22の調製]
実施例1における水溶性高分子顔料分散剤を製造例2〜22で得た水溶性高分子顔料分散剤2〜22に変更した以外は同様に分散を行い、分散剤の添加量が0.5%、1.0%、2.0%(対顔料 固形分換算)となる3種類の水系組成物2〜22を得た。この水系組成物2〜22の粘度、分離度を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0081】
比較例1[水系組成物23の調製]
実施例1における水溶性高分子顔料分散剤をディスコートN−14(第一工業製薬製特殊ポリカルボン酸塩)に変更した以外は同様に分散を行い、分散剤の添加量が0.5%、1.0%、2.0%(対顔料 固形分換算)となる3種類の水系組成物23を得た。この水系組成物23の粘度、分離度を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【0082】
比較例2〜7[水系組成物24〜29の調製]
実施例1における水溶性高分子顔料分散剤を製造例23〜28で得た水溶性高分子顔料分散剤23〜28に変更した以外は同様に分散を行い、分散剤の添加量が0.5%、1.0%、2.0%(対顔料 固形分換算)となる3種類の水系組成物24〜29を得た。この水系組成物24〜29の粘度、分離度を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
【表2】