特許第6048921号(P6048921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048921
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】避難設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20161212BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20161212BHJP
   B63C 9/06 20060101ALI20161212BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   E04H9/14 Z
   E04H1/12 A
   B63C9/06
   B63B21/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-96575(P2012-96575)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-224533(P2013-224533A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】512104937
【氏名又は名称】一般社団法人 日本知的資産業際開発懇談機構
(73)【特許権者】
【識別番号】505394703
【氏名又は名称】三溝 義之
(72)【発明者】
【氏名】三溝 義之
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−174919(JP,A)
【文献】 特開2006−322301(JP,A)
【文献】 特開2004−322939(JP,A)
【文献】 特開2008−074385(JP,A)
【文献】 特開昭53−032596(JP,A)
【文献】 特開2009−208591(JP,A)
【文献】 実開昭59−083200(JP,U)
【文献】 特開2008−014016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0282829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
B63B 21/00
B63C 9/06
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設物として立設された棒状の支柱体と
前記棒状の支柱体に対して中央貫通孔が挿通されることにより当該支柱体に係止される中空密封構造のリング状の浮遊体本体と、
前記リング状の浮遊体本体の下面に設けられ姿勢安定のための重心安定板と
前記支柱体の上部に予め離脱可能に装着され、下方から上方への所定以上の力を受けた場合に前記支柱体から離脱される蓋体部とを備え、
前記リング状の浮遊体本体は、堅牢な材質から形成され、外周面が曲面状に形成されているとともに覗き窓を有しており、
前記蓋体部には、少なくとも高輝度照明装置と防災無線拡声器が具備されており、
前記支柱体の周辺における水量が増加した場合に、前記浮遊体本体が前記支柱体に沿って上下移動するとともに、水位が前記支柱体の高さを超えた場合は、前記浮遊体本体が前記蓋体部を下方から上方に向かって押圧することにより、前記浮遊体本体と前記蓋体部とが固定手段で一体的に結合されるとともに、これら一体的に結合された前記浮遊体本体と前記蓋体部とが、前記支柱体から離脱して、水面を浮遊するように設定したことを特徴とする避難設備。
【請求項2】
前記支柱体は、内側支柱と外側支柱との二重構造であることを特徴とする請求項1に記載の避難設備。
【請求項3】
前記外側支柱と前記浮遊体本体との間には、軸受部材が介在されていることを特徴とする請求項2に記載の避難設備。
【請求項4】
前記浮遊体本体は、複数の分割体が組み立てられることにより前記支柱体の周辺に構築されていることを特徴とする請求項1に記載の避難設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難設備に関するもので、詳しくは平常時の環境空間をそのまま維持しつつ、洪水や津波が発生し避難が必要な時には、生命を守る避難場所として利用することができる避難設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洪水、あるいは地震により津波が生じた場合には、高台に避難することが勧められているものの、地域によっては周囲に高台が存在しない場所がある。また、特に高齢者、子供、あるいは病気療養中の人などは逃げ遅れがちになる傾向があり、これらの人も安全に避難させることが必要である。
【0003】
しかしながら、緊急時には、他の人を助けたくても時間的な制限があることから、十分な援助ができない。
また、海岸近くに生活する人は、津波に対する不安を抱きながら平常時の生活を行っているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、誰もが安心して平常の生活を行うことができるともに、津波などの災害時には、高台に逃げなくても自分自身あるいは援助が必要な人とともに避難することができる避難設備の提供が望まれている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑み、高台が近くに存在しない海岸近くの人、あるいは高齢者、子供、病気療養中の人などが、平常の生活を安心して送るこができ、万が一の津波が生じた場合には、単独であるいは援助者とともに避難することができる避難設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る避難設備は、
既設物として立設された棒状の支柱体と、
前記棒状の支柱体に対して中央貫通孔が挿通されることにより当該支柱体に係止される中空密封構造のリング状の浮遊体本体と、
前記リング状の浮遊体本体の下面に設けられ姿勢安定のための重心安定板と、
前記支柱体の上部に予め離脱可能に装着され、下方から上方への所定以上の力を受けた場合に前記支柱体から離脱される蓋体部とを備え、
前記リング状の浮遊体本体は、堅牢な材質から形成され、外周面が曲面状に形成されているとともに覗き窓を有しており、
前記蓋体部には、少なくとも高輝度照明装置と防災無線拡声器が具備されており、
前記支柱体の周辺における水量が増加した場合に、前記浮遊体本体が前記支柱体に沿って上下移動するとともに、水位が前記支柱体の高さを超えた場合は、前記浮遊体本体が前記蓋体部を下方から上方に向かって押圧することにより、前記浮遊体本体と前記蓋体部とが固定手段で一体的に結合されるとともに、これら一体的に結合された前記浮遊体本体と前記蓋体部とが、前記支柱体から離脱して、水面を浮遊するように設定したことを特徴としている。
【0007】
このような構成の避難設備であれば、平常時には内部の空間を生活空間として使用することができるので、無駄なスペースとならず、有効利用することができるとともに、津波などで水量が増えた場合には、支柱体に案内されて上下方向に浮遊して、水の引けるのを待つことができる。
【0008】
一方、支柱体の高さを超える水位となった場合は、浮遊体本体が支柱体を離れて浮遊することができるので、無理に一カ所に留まらなくても、水の流れに沿って流れていけば良い。
【0009】
しかも、蓋体部に高輝度照明装置と防災無線拡声器が具備されているので、周囲に存在を示したり、避難を呼び掛ける情報を流すこともできる。
さらに、本発明では、前記支柱体は、内側支柱と外側支柱との二重構造であることが好ましい。
【0010】
このような構成であれば、漂流物などが浮遊体本体に衝突したとしても、支柱体の内側支柱の破損を防止することができる。
また、本発明では、前記外側支柱と前記浮遊体本体との間には、軸受部材が介在されていることが好ましい。
【0011】
このような構成であれば、浮遊体本体の外側支柱に対する摺動抵抗を可及的に少なくすることができる。
また、本発明では、前記浮遊体本体は、複数の分割体が組み立てられることにより、前記支柱体の周囲に構築されていることが好ましい。
【0012】
このような構成であれば、支柱体を所定場所に立設した後に、浮遊体本体を構築することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る避難設備によれば、災害前の平常時には内部を生活空間として使用することができるので、日頃から有効利用することができる。
一方、災害時には、内部に待機していれば安全が確保された状態で支柱体の周りを上下方向に浮遊することができる。このとき、浮遊体本体は、自転しながら上下移動することができるので、浮遊体本体にあるいは支柱体に無理な力が作用することもない。
【0014】
また、支柱体の高さを超えるまで水位が上昇した場合は、浮遊体本体が支柱体から離脱するので、浮遊体本体を自由に漂流させることができる。
このような避難設備を観光地などに設ける場合は、災害が生じていない平常時には、展望台などとして利用することができる。
【0015】
また、本発明では、浮遊体本体が水流に沿って自由に漂流されていく場合は、高度照明装置や防災無線拡声器が具備された蓋体部と一体的に結合されて漂流するので、漂流しながら外部に存在を知らせたり、避難を呼び掛ける情報を周囲に流すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の一実施例に係る避難設備を示した概略図である。
図2図2(A)、(B)、(C)は図1に示した浮遊体本体の下面に具備された重心安定板の種々の例を示す概略斜視図である。
図3図3図1に示した支柱体の内管と外管による二重構造の例を示す概略斜視図である。
図4図4図3に示した二重構造の支柱体の軸受構造を示す拡大図である。
図5図5は支柱体の頂部に設けられた蓋体部の設置態様を示す概略斜視図である。
図6図6図1に示した浮遊体本体の内部の様子を示す破断斜視図である。
図7図7(A)は図1に示した避難設備の避難時の内部の様子を人を中心にして示す概略図、同図(B)は、同図(A)から水位が増して浮遊体本体が上方に浮遊していくときの様子を示す概略図である。
図8図8図7(B)の状態から浮遊体本体が支柱体から離脱して、水面を漂流していく状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施例に係る避難設備の概略図である。
本発明に係る避難設備1は、近くに高台などが存在しない公共広場や、建物の屋上、庭先など、人が生活するすぐ近くに設置されるものである。 そして、津波や洪水が押し寄せた場合に、高台に逃げることなく直ちに避難することができる避難設備である。大きさや付帯設備は、避難してくる人の生活環境や人数を想定して適宜決定することができる。
【0018】
本実施例による浮遊体の避難設備1は、主に公共広場などに既設物として予め立設される棒状の支柱体2と、棒状の支柱体2に係止される中空密封構造のリング状の浮遊体本体3とから構成されている。
【0019】
支柱体2は、例えば、コンクリート基礎面4に立設されており、コンクリート基礎面4の上面は、車椅子などが走行できるように、バリアフリーであることが好ましい。また、この支柱体2は、断面円形であることが好ましい。さらに、支柱体2の高さは10〜30メートル程度の高さを有していることが好ましい。
【0020】
浮遊体本体3は、中央部が中空状に形成され、そこに中央貫通孔3aが形成されている。そして、構造的には、この中央貫通孔3aが支柱体2に係止される構造になっている。なお、浮遊体本体3は、複数の分割体から構成すれば良く、浮遊体本体3が分割体であることにより構築が容易で、しかも、分割体同士が着脱可能であれば、組み立て分解が容易である。
【0021】
したがって、浮遊体本体3を、中央貫通孔3aに敢て挿通する必要はないのは勿論である。
一方、浮遊体本体3は密封構造であり、水に浸かっても漏水してくることがないように、分割体のつなぎ目が完全にシールされている。しかも、浮遊物との衝突により破損されることがないように、浮遊体本体3は堅牢に形成されている。また、浮遊体本体3の内部には、人が生活できる居住空間が確保されている(図6参照)。そして、扉5を開閉することにより自由に出入りができるようになっている。
【0022】
浮遊体本体3は、外周面が曲面状に形成され、周面に角となる部位が存在していない。したがって、水の流れから力を受けた場合に、容易に回転することができるように構成されている。
【0023】
さらに、この浮遊体本体3は、浮輪のように浮力で浮くことができる構造となっている。また、覗き窓6により、外部の様子を確認できる構造になっている。
リング状の浮遊体本体3の下部には、水に浮かんだときの姿勢を安定にするため、重心安定板7が設置されている。この重心安定板7により、流れがある海域であるとしても浮遊体本体3の上下の姿勢が逆転してしまうことが防止されている。
【0024】
重心安定板7は、図2(A)〜(C)に示したように、様々なタイプを採用することができる。例えば、図2(A)に示したように4つの翼板7aを放射状に配置して構成したり、図2(B)に示したように半球状の突起体7bにより構成したり、図2(C)に示したように、蛇腹状に配置された連続的な突起体7cにより構成しても良い。
【0025】
さらに、浮遊体本体3の上面には、非常用の脱出口8が設けられている。したがって、この脱出口8から外部に脱出することができる。
支柱体2は、図3に示したように、中実構造の内管2Aと中空構造の外管2Bとから構成され、内管2Aの外側に、外管2Bを配置することにより二重管となっている。
【0026】
また、内管2Aと外管2Bは、それぞれ単一ユニットを複数個用意し、これらを上下に接合していくことにより構成されているが、内外の単一ユニットの長さA,Bを異ならせることで、内外の繋ぎ目の位置をずらすことができる。また、内管2Aの外側面と外管2Bの内周面との間には、図4に示したように、ベアリングなどによる軸受部材9が介在されている。このように二重管の間に軸受部材9が介在されることにより、外管2Bと内管2Aとの間の摩擦抵抗を小さくすることができ、これにより、外管2Bが内管2Aに対し回転し易くなっている。
【0027】
一方、このような支柱体2の最上部には、図5(A)、(B)に示したように、有天筒状の蓋体部10が離脱可能に設置されている。この蓋体部10は、支柱体2の最上部に単に装着されているだけであって、例えば、蓋体部10が下方から上方への所定以上の力を受ければ、支柱体2から離脱されて支柱体2に対して自由となる。したがって、浮遊体本体3が水嵩の増量により支柱体2の上方に移動し、最終的に蓋体部10を下方から押圧したときに、蓋体部10は支柱体2から外れ、浮遊体本体3の上面に移ることになる。
【0028】
なお、浮遊体本体3の上面あるいは蓋体部10の底面に、電磁石あるいは永久磁石などの固定手段を具備させておくことが好ましい。なお、固定手段は、電磁石、永久磁石の他に、室内側から締結する機械的な固定手段を兼用することができる。このような固定手段を具備させることにより、蓋体部10が浮遊体本体3から外れた場合に、蓋体部10を直ちに浮遊体本体3側に吸着させて浮遊体本体3と蓋体部10とを緊密に一体化させて組み付けることができる。
【0029】
蓋体部10の天井部には、LEDによる高輝度照明装置11と、防災無線拡声器12とが設置されていることが好ましい。
このように高輝度照明装置11と防災無線拡声器12とが設置されていれば、避難している最中に高輝度照明装置11で周囲に光を照射して居所を発信したり、防災無線拡声器12により避難の呼びかけを流すことができる。
【0030】
支柱体2の高さは、予想される津波の高さに応じて適宜設定すれば良い。例えば、支柱体2の全高を高く設定すれば、支柱体2により浮遊体本体3を長い時間、一か所に係留しておくことができる。
【0031】
一方、支柱体2の全高を低く設定すれば、浮遊体本体3を比較的に早くから支柱体2から離脱させることができる。この場合には、浮遊体本体3が支柱体2から離脱した後、水の流れに沿って周辺に漂流させることができる。なお、支柱体2の全高が低い場合は、停止した状態での漂流物との衝突を避けることができる反面、水の流れにしたがって遠くに流されてしまうこともある。したがって、支柱体2の全高は、立地条件などを十分考慮して決定することが好ましい。
【0032】
上記のような前記リング状の浮遊体本体3は、堅牢な材質から形成されている。
浮遊体本体3の材質は高強度プラスチックの樹脂の他、金属、樹脂と金属との接合体など、様々な材質が考えられる。
【0033】
これにより、水嵩あるいは水量の増加により、支柱体2に案内されて浮遊体本体3が上下移動する場合であっても、浮遊体本体3が漂流物に衝突して破損してしまうことを極力防止できる。また、浮遊体本体3の外周面が曲面状に形成されているので、支柱体2を支点としてそれ自身回転することができるので、無理な力が作用することによる破損も防止できる。
【0034】
以下に、浮遊体本体3の内部の付帯設備について図6を参照しながら説明する。
浮遊体本体3は、一時的には人が避難してこの中で生活することになるので、非常用の水、食糧、ラジオ、照明器具などが予め収納される。また、病気やけが人などのために簡易ベッド20や簡易トイレ21、長椅子22、手摺23、脱出用はしご24など、様々な人の必要に合わせて備品や付帯設備を具備させることができる。また、これらには、固定金具25や固定ベルト26、シートベルト27などが具備されることが好ましい。
【0035】
浮遊体本体3への出入口となる扉5の開閉は、暗証番号で開閉したり、通常のキーを差し込んで開閉したり、場合によっては、大津波信号を受信した場合に自動で開かせて入室準備を行わせることもできる。
【0036】
また、避難が長期に渡ることを想定して浮遊体本体3の外部にソーラーパネル27を設置しておけば、太陽熱により電源供給を行うことができる。また、GPS28を装着しておけば、漂流地点を内部の人が、あるいは救助隊員などが遠方で確認することができる。
【0037】
以下に作用について説明する。
今、津波による災害が生じたとする。高台に避難することができない人、あるいは援助者などは、浮遊体本体3の扉5を開けることにより、図7(A)に示したように、浮遊体本体3の内部に避難する。津波が到来しても周囲の水位29が支柱体2の全高にまで達しない場合は、図7(B)に示したように、浮遊体本体3は支柱体2に沿って上下方向に浮遊するのみである。このとき、浮遊体本体3は外周面が曲面状であるので、漂流物により大きな衝撃を受けることがない。したがって、衝撃力を受けた場合は支柱体2の周りを回転し、その衝撃力を回転力として発散することができる。しかも、支柱体2が内管2Aと外管2Bとの二重構造であり、内管2Aと外管2Bとの間に軸受部材9が介在されていることから、回転に際し支柱体2の外管2Bに無理な力が作用することもない。これにより、支柱体2の破損を防止することができる。
【0038】
一方、図8に示したように、水位29が支柱体2の全高を超えた場合は、図5に示した蓋体部10が浮遊体本体3の上昇移動により、下方から上方に向かって突き上げられる。すると、支柱体2の最上部に設置されていた蓋体部10が支柱体2を離れて、今度は浮遊体本体3の天井部に磁石などで一体的に固定される。そして、浮遊体本体3と蓋体部10とが一体化された浮遊設備30として、水の流れにしたがって流されていくことになる。なお、蓋体部10には、LEDにより照明装置11が具備されているため、この照明装置11を作動させることにより、浮遊体本体3を外方から識別することができる。さらには、GPS28により常に現在地を発信することができる。そして、避難した人は、救助されるまで内部で待つことになる。
【0039】
その場合、浮遊体本体3の内部には、予め用意された食糧、ベッド20、医療品などが備わっているため、仮の生活を送ることができる。
以上、説明したように本発明に係る避難設備1は、津波の災害時に有効であるが、洪水あるいは台風などの被害でも利用することができる。
【0040】
また、このような避難設備1が湾岸近くに設けられていれば、日常生活において不安を抱かずに生活することができる。
さらに、支柱体2が目印となるので、直接直ぐそばにいない人であっても、その設置場所を確認することができる。
【0041】
このような避難設備は、行楽地などにおいては、平時において展望台としての利用勝手も有効である。
【符号の説明】
【0042】
1 避難設備
2 支柱体
2A 内管
2B 外管
3 浮遊体本体
3a 貫通孔
4 コンクリート基礎面
5 扉
6 覗き窓
7,7a、7b、7c 重心安定板
8 脱出口
9 軸受部材
10 蓋体部
11 照明装置
12 拡声器
20 簡易ベッド
21 簡易トイレ
22 長椅子
24 脱出用はしご
25 固定金具
26 固定ベルト
27 シートベルト
28 GPS
29 水位
30 浮遊設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8