(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを生成する時には、各ノード装置は、前記メッセージが前記逆経路テーブルを用いて送信されなければならない宛先である前記エンドポイントを決定する、請求項5に記載の方法。
プログラム可能な装置によって実行される時に請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を実施するために前記プログラム可能な装置にロード可能なプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム。
プログラム可能な装置によって実行される時に請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を実施するために前記プログラム可能な装置にロード可能なプログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを記憶する情報記憶手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してメッシュ通信ネットワークのノード装置を設定する(configure)ことに関する。このノード装置は、リンク障害またはリンク回復を検出する時にはリンクによって相互接続されている。
【0002】
メッシュ通信ネットワークにおいて通信をセットアップできるようにするために、ノード装置はリンク状態ルーティングプロトコルを実装する。リンク状態ルーティングプロトコルは、各ノード装置が転送テーブルを構築するよう導く。転送テーブルは、宛先(addressee)に関する情報を含むメッセージまたはデータパケットを受信した時に、そのメッセージまたはデータパケットがそのノード装置のどの出力ポートに転送されなければならないかをノード装置が決定できるようにする情報を含む。転送テーブルは、しばしば「フィルタリングテーブル」とも呼ばれる。
【0003】
リンク状態ルーティングプロトコルは、メッシュ通信ネットワークにおいてネットワークトポロジー情報を自動的に伝搬させ同期させるために、通信ネットワークにおいて広く用いられる。たとえば、標準規格IEEE802.1aqに詳述されるリンク状態ルーティングプロトコルSPB(短経路ブリッジング(Short Path Bridging))を引用することができる。SPBは、トポロジーおよび論理的ネットワークメンバーシップの双方をアドバタイズするためにリンク状態タイプのルーティングプロトコルを用いるネイティブイーサネット(登録商標)インフラストラクチャー上に論理的イーサネットネットワークを実装できるようにする。SPBと同じ目的を達成するために、その他のリンク状態ルーティングプロトコルも存在する。しかしながら、そのようなリンク状態ルーティングプロトコルは非常に包括的(generic)であるため、同期した転送テーブルに収束するまでに大量のメッセージ交換および著しい遅延を伴う。
【0004】
従来技術の、上述の問題を解消することが望ましい。
【0005】
とくに、メッシュ通信ネットワークにおいてトポロジー変更が発生するたびに最初から(from scratch)転送テーブルを再計算することを回避し、したがってトポロジー変更情報の伝搬を簡素化する解決策を提供することが望ましい。
【0006】
さらに、実施が容易でコスト効率的な解決策を提供することが望ましい。
【0007】
この目的のために、本発明は、メッシュ通信ネットワークのノード装置を設定する方法であって、前記ノード装置はリンクによって相互接続され、前記ノード装置によって実装される転送テーブルが、リンク状態ルーティングプロトコルに従って初期に構築される、方法に関する。本方法は、各ノード装置が、以前に前記ノード装置のポートに接続されていたリンクのリンク障害、または、前記ノード装置のポートに接続されたリンクのリンク回復を検出すると、前記リンク障害によって影響を受けるか、または前記リンク回復によって復旧する、1つ以上のデータ経路をローカル転送テーブルから決定することと、決定されたデータ経路それぞれについて、そのデータ経路のエンドポイントの1つに向けて、前記リンク障害または前記リンク回復を表し前記決定された経路の識別子を含む少なくとも1つのメッセージを送信することと、を実行するものである。また、本方法は、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージ(複数可)を受信した時には、各エンドポイントは、前記受信したメッセージ(複数可)において特定される各データ経路がアクティベートされ得るか否かの指標を記録するものである。また、本方法は、前記受信したメッセージ(複数可)がリンク障害を表す時には、各エンドポイントは、前記受信したメッセージ(複数可)において特定される各データ経路について代替データ経路を選択することと、前記リンク障害の影響を受ける対応するデータ経路の代わりに前記代替データ経路をアクティベートすることを目的として、各選択された代替データ経路について、前記選択された代替データ経路の他方のエンドポイントに向けて経路切替メッセージを送信することとを実行するものである。
【0008】
このように、関連するデータ経路のエンドポイントにリンク障害またはリンク回復を表すメッセージを伝搬することによって、転送テーブルの再計算が回避され、トポロジー変更情報の伝搬が簡素化される。
【0009】
特定の特徴によれば、各転送テーブルは、データ経路識別子と、前記データ経路のエンドポイント1つの識別子と、前記転送テーブルを実装する前記ノード装置の出力ポートのうち、前記データ経路の前記特定されたエンドポイントが到達可能である出力ポートの識別子と、前記特定された経路がアクティベートされ得るか否かを示すフラグと、の間の対応関係からなる。
【0010】
このように、リンク状態ルーティングプロトコル(SPB等)から容易に転送テーブルが取得可能であり、前記フラグの追加により増大される。
【0011】
特定の特徴によれば、各ノード装置は、以前に前記ノード装置のポートに接続されていたリンクのリンク障害、または、前記ノード装置のポートに接続されているリンクのリンク回復を検出すると、さらに、リンク障害の場合には、前記決定された経路がアクティベートされ得ないことを、前記ローカル転送テーブルにおいて示すことと、リンク回復の場合には、前記決定された経路がアクティベートされ得ることを、前記ローカル転送テーブルにおいて示すことと、を実行する。
【0012】
このように、関連するデータ経路を介して伝搬することが期待されるデータを受信した時に、前記ノード装置は適切なフィルタリングを実行することができる。
【0013】
特定の特徴によれば、各ノード装置は、前記リンク障害または前記リンク回復を検出すると、前記ノード装置のどのポートを介して、障害となった前記リンクが接続されていたか、または、回復した前記リンクが接続されているかを決定することと、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージが伝搬しなければならないデータ経路の識別子を、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージにおいて示すことと、障害となった前記リンクが接続されていたポートまたは回復した前記リンクが接続されている前記決定されたポートを除き、前記ノード装置のすべてのポートを介して前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを送信することと、を実行する。本方法は、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを受信した時には、各ノード装置は、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージが伝搬しなければならないデータ経路が、ローカル転送テーブルに存在しているか否かをチェックすることと、前記データ経路がローカル転送テーブルに存在する時には、前記メッセージが受信されたポートを除き、前記ノード装置のすべてのポートを介して前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを送信することと、前記データ経路がローカル転送テーブルに存在しない時には、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを破棄することと、を実行するものである。
【0014】
このように、転送テーブルは、リンク障害またはリンク回復を表すメッセージを伝搬しなければならない宛先であるエンドポイントをアドレシングする情報を含まないが、リンク障害またはリンク回復を表すメッセージの伝搬の実装は容易である。
【0015】
特定の特徴によれば、前記経路切替メッセージを受信した時には、前記メッシュ通信ネットワークの各装置は、当該装置がエンドポイントであるどのデータ経路がアクティベートされるかを示す情報を保持する。
【0016】
特定の特徴によれば、前記リンク状態ルーティングプロトコルに従って各転送テーブルが構築されると、各ノード装置は、少なくとも1つの隣接ノード装置に、前記ノード装置によって実装される各転送テーブルの内容であって、前記隣接ノード装置が前記ノード装置に接続されている前記ノード装置のポートに関連する内容を提供することと、各隣接ノード装置から、前記隣接ノード装置によって実装される各転送テーブルの内容であって、前記ノード装置が前記隣接ノード装置に接続されている前記隣接ノード装置のポートに関連する内容を取得することと、各隣接ノードから取得した前記内容から、少なくとも1つの逆経路テーブルを構築することと、を実行する。
【0017】
このように、リンク障害またはリンク回復を表すメッセージが伝搬しなければならない宛先のエンドポイントをアドレシングするための情報は容易に取得可能である。
【0018】
特定の特徴によれば、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを生成する時には、各ノード装置は、前記メッセージが前記逆経路テーブルを用いて送信されなければならない宛先である前記エンドポイントを決定する。
【0019】
このように、リンク障害またはリンク回復を表すメッセージの伝搬は簡素化される。
【0020】
特定の特徴によれば、前記メッシュ通信ネットワークは入力ノード装置を備え、各転送テーブルにおいて定義されるすべてのデータ経路は、前記入力ノード装置をエンドポイントとして持ち、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを生成する時には、各ノード装置は前記入力ノード装置に前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージを送信する。
【0021】
このように、アップリンクおよびダウンリンク通信が入力ノード装置を介してメッシュ通信ネットワークの装置についてセットアップされるコンテキストにおいて、リンク回復のリンク障害に関連するトポロジー変更は、簡素化された態様で管理される。
【0022】
特定の特徴によれば、前記メッシュ通信ネットワークは、列車内に配置された装置が通信できるようにし、少なくともいくつかのノード装置が前記列車内に配置され、かつ、列車構成変更がある時に、前記ノード装置によって前記リンク状態プロトコルが適用される。
【0023】
このように、大規模なトポロジー変更が発生した時にはリンク状態プロトコルが適用され、転送テーブルが最初から再計算されることを暗示する。
【0024】
特定の特徴によれば、前記メッシュ通信ネットワークはイーサネットタイプであり、前記リンク状態ルーティングプロトコルは最短経路ブリッジングSPBプロトコルである。
【0025】
また、本発明は、メッシュ通信ネットワークのノード装置およびデータ経路エンドポイントを備えるシステムであって、前記ノード装置はリンクによって相互接続され、前記ノード装置は、リンク状態ルーティングプロトコルに従って初期に構築される転送テーブルを備える、システムにも関する。前記システムは、各ノード装置が、以前に前記ノード装置のポートに接続されていたリンクのリンク障害、または、前記ノード装置のポートに接続されたリンクのリンク回復を検出すると、前記リンク障害によって影響を受けるか、または前記リンク回復によって復旧する、1つ以上のデータ経路をローカル転送テーブルから決定する手段と、決定されたデータ経路それぞれについて、そのデータ経路のエンドポイントの1つに向けて、前記リンク障害または前記リンク回復を表し前記決定された経路の識別子を含む少なくとも1つのメッセージを送信する手段と、を実装するものである。本システムは、さらに、前記リンク障害または前記リンク回復を表す前記メッセージ(複数可)を受信した時には、各エンドポイントは、前記受信したメッセージ(複数可)において特定される各データ経路がアクティベートされ得るか否かの指標を記録する手段を実装するものであり、かつ、前記受信したメッセージ(複数可)がリンク障害を表す時には、各エンドポイントは、前記受信したメッセージ(複数可)において特定される各データ経路について代替データ経路を選択する手段と、前記リンク障害の影響を受ける対応するデータ経路の代わりに前記代替データ経路をアクティベートすることを目的として、各選択された代替データ経路について、前記選択された代替データ経路の他方のエンドポイントに向けて経路切替メッセージを送信する手段と、を実装するものである。
【0026】
また、本発明は、通信ネットワークからダウンロード可能であり、および/または、コンピュータによって読み取り可能な媒体に記憶され、プロセッサによって実行可能であるコンピュータプログラムにも関する。このコンピュータプログラムは、そのプログラムがプロセッサによって実行される時に、上述の方法をいずれかの実施形態において実施するための命令を含む。また、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶する情報記憶手段にも関する。
【0027】
システムおよびコンピュータプログラムに関係する特徴および利点は、対応する上述の方法に関連して述べたものと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0028】
本発明の特徴は、以下に示す実施形態の例の記載を読めばより明らかになるであろう。以下の記載は添付の図面を参照して作成されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本発明が実施可能なメッシュ通信ネットワークを概略的に表す図である。
【
図1B】メッシュ通信ネットワークのノード装置によって実装される転送テーブルを概略的に表す図である。
【
図2】ノード装置のアーキテクチャを概略的に表す図である。
【
図3】メッシュ通信ネットワークのトポロジーの変更を発見した時に、ノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図4A】リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを生成する時にノード装置によって実行される第1のアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図4B】リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを生成する時にノード装置によって実行される第2のアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図4C】リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを受信した時にノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図4D】少なくとも1つのローカル逆経路テーブルを作成するためにノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図4E】任意選択でノード装置によって実装される逆経路テーブルを概略的に表す図である。
【
図5】リンク障害メッセージを受信した時にメッシュ通信ネットワークの入力ノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図6】リンク回復メッセージを受信した時に入力ノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【
図7】経路切替メッセージを受信した時に、メッシュ通信ネットワークのノード装置または端末装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す図である。
【0030】
図1Aは、本発明が実施可能なメッシュ通信ネットワークを概略的に表す。メッシュ通信ネットワークはイーサネットタイプであることが好ましい。
【0031】
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークは、メッシュ通信ネットワークが完全に動作している時には、それぞれのリンクによって相互接続された複数のノード装置111、112、113、114、115、116からなるリング部を備える。各ノード装置111、112、113、114、115、116を、リング部の隣のノード装置に接続する各リンクは、有線であってもよく、無線であってもよい。リンクによって相互接続された2つのノード装置を、本明細書では「隣接ノード装置(neighbour node device)」と呼ぶ。
【0032】
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークは、さらに、少なくとも1つの入力ノード装置101を備える。入力ノード装置101は、メッシュ通信ネットワークを、別の通信ネットワーク(たとえばコアネットワークまたは他のタイプのバックボーンネットワーク等)に相互接続できるようにする。メッシュ通信ネットワークがスタンドアローンネットワークである時には、入力ノード装置101は省略されてもよい。
【0033】
好適な実施形態では、入力ノード装置101は、メッシュ通信ネットワークにおいて定義される各データ経路のエンドポイントの1つであるノード装置である。たとえば、入力ノード装置101は、メッシュ通信ネットワークをコアネットワークに相互接続し、メッシュ通信ネットワークのノード装置111、112、113、114、115、116と、または端末装置121、122、123と、アップリンク通信およびダウンリンク通信ができるようにする。アップリンク通信とは、メッシュ通信ネットワークの装置の1つがオリジネーター(originator)であるコアネットワークに向けられたデータ伝送をいう。ダウンリンク通信とは、メッシュ通信ネットワークの装置の少なくとも1つがレシピエント(recipient)であるコアネットワークからのデータ伝送をいう。
【0034】
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークは、さらに、少なくとも1つの端末装置121、122、123を備える。各端末装置は、メッシュ通信ネットワークが完全に動作している時には、リング部のノード装置の少なくとも2つに、それぞれのリンクを介して接続される。好ましくは、各端末装置は、メッシュ通信ネットワークが完全に動作している時には、リング部のノード装置の2つに、それぞれのリンクを介して接続される。各端末装置121、122、123をリング部のそれぞれのノード装置に接続する各リンクは、有線であってもよく、無線であってもよい。
【0035】
すべてのリンクが動作可能である時には、メッシュ通信ネットワークは完全に動作していると考えられる。
【0036】
メッシュ通信ネットワークにおいて通信をセットアップできるようにするために、ノード装置はリンク状態ルーティングプロトコルを実装する。リンク状態ルーティングプロトコルは、各ノード装置が転送テーブルを構築するよう導く。リンク状態ルーティングプロトコルの原理によれば、各ノード装置がメッシュ通信ネットワークに対する接続性のマップをグラフ形式で構築し、どのノード装置が別のどのノード装置に接続されているかを示す。その後、各ノード装置は、各ノード装置からメッシュ通信ネットワーク内の潜在的な宛先ノード装置(destination node device)それぞれまでの、最良データ経路を独立に計算する。その後、ノード装置は、1つ以上の上述の転送テーブルに、最良のデータ経路の集合を記憶する。言い換えると、リンク状態ルーティングプロトコルは、ノード装置が、最初から転送テーブルを構築するよう導く。
【0037】
好適な実施形態では、メッシュ通信ネットワークのノード装置は、リンク状態ルーティングプロトコルSPBを実装する。したがって、SPBの実装は、メッシュ通信ネットワークがコアネットワークまたは他のタイプのバックボーンネットワークに入力ノード装置101を介して接続されている時にはとくに有利である。
【0038】
リンク状態ルーティングプロトコルは、大規模なトポロジー変更(major topology change)を考慮するためにメッシュ通信ネットワーク全体を再構成できるようにする。しかしながら、リンク(アクティブであり転送テーブルの構築時に考慮されるもの)が障害となった時または復旧した時に、トポロジー変更の簡素化されたアドバタイジング(advertising)が適用されてもよい。
【0039】
実際に、リンク状態ルーティングプロトコルが終了する時には、転送テーブル(複数可)が、あるネットワークトポロジーを表す。ネットワークの再構成が要求される時には、リンク状態ルーティングプロトコルが再起動され、転送テーブルを最初から再構築し、リンクが障害となった時または復旧した時には簡素化されたアドバタイジングが実行される。
【0040】
例示的な一例では、
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークは、列車への/列車からの通信を可能にする通信ネットワークに対応する。入力ノード101は、列車コンシスト(consist)に埋め込まれた通信装置が、別のコンシストまたはコアネットワークにアクセスできるようにする。ノード装置111、116は、コンシストの第1の車両に埋め込まれており、同じくこの第1の車両に埋め込まれた端末装置121に通信の弾力性(communications resiliency)を提供することを目的とする。ノード装置112、115は、コンシストの第2の車両に埋め込まれており、同じくこの第2の車両に埋め込まれた端末装置122に通信の弾力性を提供することを目的とする。ノード装置113、114は、コンシストの第3の車両に埋め込まれており、同じくこの第3の車両に埋め込まれた端末装置123に通信の弾力性(communications resilience)を提供することを目的とする。上記ノード装置間のリンクが障害となった時または復旧した時には、後に詳述するように、簡素化されたアドバタイジングアプローチが実施される。しかしながら、新たなコンシストまたは列車構成が適用される時には(新たなコンシストの追加、コンシスト内の車両の追加、コンシスト内の車両の除去、またはコンシストの除去)、新たな列車構成に従って転送テーブルを構築するために、リンク状態ルーティングプロトコルが実施される。言い換えると、メッシュ通信ネットワークは、列車内に配置された装置が通信できるようにし、列車内には少なくともいくつかのノード装置が配置されており、列車構成変更があった時にはノード装置によってリンク状態プロトコルが適用される。
【0041】
図1Bは、各ノード装置111、112、113、114、115、116によって実装される転送テーブルを概略的に表す。転送テーブルは、メッシュ通信ネットワークにわたる各データ経路を表す情報を含む。転送テーブルの各行が1つのデータ経路を表す。
【0042】
図1Bに示す転送テーブルは第1列151を含み、第1列151は、行ごとに、データ経路の第1エンドポイントEP1のアドレスを記憶する。さらに、転送テーブルは第2列152を含み、第2列152は、行ごとに、第1エンドポイントEP1がそのデータ経路にわたってノード装置のどのポートを介して到達可能(reachable)であるかを特定する。さらに、転送テーブルは第3列153を含み、第3列153は、行ごとに、関連するデータ経路の識別子を記憶する。
【0043】
さらに、転送テーブルは、そのデータ経路がアクティベートされ得るか否かを示すフラグを記憶する第4列154を含む。上述のリンク状態ルーティングプロトコルのネットワークディスカバリフェーズを実行した後に、各ノード装置は、転送テーブルにおいて特定される各データ経路についてこのフラグを真(TRUE)にセットし、これによって、そのデータ経路がアクティベートされ得ることを示す。後述するように、このフラグは、リンク障害またはリンク回復が検出された時に、ノード装置によって修正される。
【0044】
転送テーブルの第1列151、第2列152および第3列153には、リンク状態ルーティングプロトコルのネットワークディスカバリフェーズから結果として得られる値が記入される。その後、転送テーブルは第4列154の追加によって増大する。
【0045】
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークのコンテキストにおいて、あるデータ経路の各エンドポイントは、入力ノード101であるか、ノード装置であるか、または端末装置である。好ましくは、各データ経路のエンドポイントのうち1つが入力ノード装置101である。これは、たとえば、入力ノード101が、
図1Aに示すメッシュ通信ネットワークの部分を、コアネットワークまたはバックボーンネットワークまたは他のタイプのバックボーンネットワーク(それを介してすべてのデータ通信がセットアップされると考えられるもの)に相互接続するよう構成されている場合に該当する。各データ経路のエンドポイントの一方が入力ノード装置101である時には、
図1Bに示す転送テーブルには、各データ経路の他方のエンドポイントのみが示される(すなわち第1列151において)。
【0046】
そのような転送テーブルを実装するノード装置のコンテキストにおいて、当該転送テーブルは「ローカル」であると言われる。ノード装置によってメッセージが受信された時には、そのノード装置は、受信したメッセージから、データ経路識別子と、関連するデータ経路エンドポイントの識別子とを取得する。さらに、ノード装置は、そのメッセージが受信された当該ノード装置の入力ポートの指標を取得する。その後、ノード装置は、取得されたデータ経路識別子が第3列153に含まれ、かつ取得されたエンドポイント識別子が第1列151に含まれる行を発見するために、転送テーブルをパースする。ノード装置がそのような行を発見し、かつその行の第2列152に示されるポートが入力ポートと異なっている時には、ノード装置は、そのメッセージを転送するための出力ポートとして、その行の第2列152に示されるポートを用いる。ノード装置がそのような行を発見し、かつその行の第2列152に示されるポートが入力ポートと同一である時には、ノード装置は、そのメッセージを転送するための出力ポートとして、他のポートをすべて用いる。ノード装置がそのような行を発見しない時には、ノード装置は受信したメッセージを破棄する。
【0047】
図2は、メッシュ通信ネットワークのリング部のノード装置の、および/または、入力ノード装置の、および/または、メッシュ通信ネットワークにわたるデータ経路のエンドポイントの、アーキテクチャを概略的に表す。大まかに言えば、このアーキテクチャはノードデバイスを参照する。
【0048】
図示のアーキテクチャによれば、ノード装置は、通信バス210によって相互接続される以下の構成要素を備える:
‐プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはCPU(中央処理装置)200。
‐RAM(ランダムアクセスメモリ)201。
‐ROM(読み出し専用メモリ)202。
‐HDD(ハードディスクドライブ)203または記憶手段に記憶された情報を読み出すよう構成された他の任意の装置。
‐隣接ノード装置と、それぞれのリンクを介して通信を可能にする通信インタフェースのセット204。
【0049】
CPU200は、ROM202から、SD(セキュアデジタル)カードのような外部メモリから、またはHDD203から、RAM201へとロードされた命令を実行することができる。ノード装置の電源が投入された後、CPU200は、RAM201から命令を読み出し、これらの命令を実行することができる。これらの命令は、後述のアルゴリズムの少なくとも1つの、一部のまたはすべてのステップをCPU200に実行させる、1つのコンピュータプログラムを形成する。
【0050】
後述の各アルゴリズムの任意のステップおよびすべてのステップは、プログラム可能な計算機(PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)またはマイクロコントローラ等)による命令の組またはプログラムの実行によるソフトウェアにおいて実装されてもよい。または、そうでなければ、機械または専用の構成要素(FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定アプリケーション向け集積回路)等)によるハードウェアにおいて実装されてもよい。
【0051】
図3は、メッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって、メッシュ通信ネットワークにおけるリンク障害またはリンク回復を検出した時に実行されるアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムは、ノード装置112によって実行されると考えよう。
【0052】
ノード装置112が
図3のアルゴリズムを実行開始する時には、各ローカル転送テーブルはリンク状態ルーティングプロトコルの結果に従って記入されている。
【0053】
ステップS301において、ノード装置112は、自身のポートの1つに取り付けられたリンクが一時的に使用不能になるか、または、自身のポートの1つに取り付けられたリンクが一時的な使用不能から回復することを検出する。
【0054】
ステップS302において、ノード装置112は、トポロジー変更の簡素化されたアドバタイジングを開始する。ノード装置112は、トポロジー変更がリンク回復に関係するか、またはリンク障害に関係するかをチェックする。トポロジー変更がリンク障害に関係する時には、ステップS303が実行される。そうでなければ、ステップS305が実行される。
【0055】
ステップS303において、ノード装置112は、任意選択で、ローカル転送テーブル(複数可)において、リンク障害によって影響を受けるデータ経路をマークする。言い換えると、ノード装置112は、リンク障害によって影響を受けるデータ経路のそれぞれについて、現在そのデータ経路がアクティベートされ得ないことを示す。
図1Bに示す転送テーブルを考えると、ノード装置112は、リンク障害によって影響を受けるデータ経路のそれぞれについて、第4列154のフラグを偽(FALSE)にセットする。
【0056】
ノード装置112は、関連するリンクが直前に接続されていたポートを特定することができる。ローカルノード装置112は、ポートの特定から、ローカル転送テーブル(複数可)をパースすることにより、リンク障害によって影響を受けるデータ経路を決定することができる。
図1Bに示す転送テーブルを参照して、当該データ経路は、特定されたポートが第2列152に存在する行それぞれの第3列153において特定される。
【0057】
続くステップS304において、ノード装置112はリンク障害メッセージを生成する。リンク障害メッセージは、リンク障害によって影響を受けるものとしてノード装置112によって特定される各データ経路の識別子と、そのリンク障害メッセージが宛てられた各データ経路エンドポイントの識別子とを含む。
図1Bに示す転送テーブルを参照して、ノード装置112は、ステップS303においてノード装置112が第4列154のフラグを偽にセットしたデータ経路のそれぞれを、リンク障害メッセージに含める。一変形例では、ノード装置112は、単一の検出されたリンク障害について複数のリンク障害メッセージを生成し、さらに送信してもよい。この場合には、リンク障害によって影響を受ける各データ経路は、複数のリンク障害メッセージのうちで少なくとも1回特定される。
【0058】
その後、ノード装置112は、生成されたリンク障害メッセージ(複数可)を、リンク障害メッセージ(複数可)において特定される各データ経路のエンドポイントの1つに送信する。リンク障害メッセージ(複数可)が送信される宛先のエンドポイント(複数可)のそれぞれは、ノード装置112が、当該エンドポイントと、関連するデータ経路のリンク障害が関連する当該リンクとの間に配置されることが好ましいようなものである。
【0059】
図1Bに示す転送テーブルを参照すると、ノード装置112は、ローカル転送テーブル(複数可)からそのエンドポイントを特定できない場合がある。生成されたリンク障害メッセージ(複数可)が送信される宛先のノード装置をメッシュ通信ネットワークの各ノード装置が知っている(たとえば入力ノード装置101に送信されるべきすべてのリンク障害メッセージ)か、または、ノード装置112は、
図4BおよびADに関連して後述するように、隣接ノード装置から情報を収集する必要があるか、である。
【0060】
ステップS304が実行されると、このアルゴリズムは終了する。
【0061】
ステップS305において、ノード装置112は、任意選択で、ローカル転送テーブル(複数可)において、リンク回復に関連するデータ経路をマーク解除(unmark)する。言い換えると、ノード装置112は、リンク回復に関連するデータ経路のそれぞれについて、当該データ経路が復旧したことを示す。
図1Bに示す転送テーブルを考えると、ノード装置112は、復旧したデータ経路それぞれについて、第4列154のフラグを真にセットする。ステップS303がリンク障害検出に際して実行されると期待される時には、ステップS305はリンク回復検出に際して実行されると期待される。
【0062】
ノード装置112は、関連するリンクが再接続されたポートを特定することができる。
ノード装置112は、ポートの特定から、ローカル転送テーブル(複数可)をパースすることにより、リンク回復によって影響を受けるデータ経路を決定することができる。
図1Bに示す転送テーブルを参照して、当該データ経路は、特定されたポートが第2列152に存在する行それぞれの第3列153において特定される。
【0063】
続くステップS306において、ノード装置112はリンク回復メッセージを生成する。リンク回復メッセージは、リンク回復によって復旧するものとして、ノード装置112によって特定される各データ経路の識別子を含む。
図1Bに示す転送テーブルを参照して、ノード装置112は、ステップS305においてノード装置112が第4列154のフラグを真にセットしたデータ経路のそれぞれを、リンク回復メッセージに含める。一変形例では、ノード装置112は、単一の検出されたリンク回復について複数のリンク回復メッセージを生成し、さらに送信してもよい。この場合には、リンク回復によって復旧する各データ経路は、複数のリンク回復メッセージにおいて少なくとも1回特定される。
【0064】
上述のように、好適な実施形態では、入力ノード101は、ローカル転送テーブルにリストされたすべてのデータ経路のエンドポイントの1つである。その場合には、すべてのリンク回復メッセージは入力ノード101に向けて伝搬される。
【0065】
その後、ノード装置112は、生成されたリンク回復メッセージ(複数可)を、リンク回復メッセージ(複数可)において特定される各データ経路のエンドポイントの1つに送信する。リンク回復メッセージ(複数可)が送信される宛先のエンドポイント(複数可)のそれぞれは、ノード装置112が、当該エンドポイントと、関連するデータ経路のリンク回復が関連する当該リンクとの間に配置されることが好ましいようなものである。ノード装置112は、ローカル転送テーブル(複数可)から当該エンドポイントを特定できない。生成されたリンク回復メッセージ(複数可)が送信される宛先のノード装置をメッシュ通信ネットワークの各ノード装置が知っている(たとえば入力ノード装置101に送信されるべきすべてのリンク回復メッセージ)か、または、ノード装置112は、
図4BおよびDに関連して後述するように、隣接ノード装置から情報を収集する必要があるか、である。
【0066】
ステップS306が実行されると、このアルゴリズムは終了する。
【0067】
好適な実施形態では、リンク障害およびリンク回復メッセージは、OAM(運用、アドミニストレーションおよび管理(Operations, Administration and Management))メッセージの形式である。
【0068】
図4Aは、リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを生成する時にメッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって実行される第1のアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムはノード装置111によって実行されると考えよう。
【0069】
ステップS401において、ノード装置111は、ノード装置111のポートの1つにおいて、リンク障害またはリンク回復を検出する。
【0070】
続くステップS402において、ノード装置111は、ローカル転送テーブル(複数可)から、そのリンク障害またはリンク回復によって影響を受けるデータ経路(すなわち、リンク障害の場合にはもはや使用可能でないデータ経路、リンク回復の場合には再び使用可能であるデータ経路)をそれぞれ特定するデータ経路識別子を少なくとも1つ取得する。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は転送テーブルをパースし、リンク障害またはリンク回復が検出されたポートの識別子が第2列152に含まれる各行を特定する。ステップS402において取得されるデータ経路識別子は、特定された行の第3列153に記憶された識別子である。リンク障害が検出された時には、ノード装置111はそのリンク障害が関連する各データ経路をローカルで非アクティベート化(inactivate)する。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は特定された各行の第4列154のフラグを偽にセットする。リンク回復が検出された時には、ノード装置111はそのリンク回復が関連する各データ経路をローカルで再アクティベートする。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は特定された各行の第4列154のフラグを真にセットする。
【0071】
続くステップS403において、ノード装置111は、ステップS401でリンク障害が検出されていた時にはリンク障害メッセージを生成し、ステップS401でリンク回復が検出されていた時にはリンク回復メッセージを生成する。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は、そのリンク障害またはリンク回復によって影響を受けるデータ経路が関連する各行の第1列151に記憶された識別子を検索する。ステップS402において特定された各データ経路について、ノード装置111は、さらに、ローカル転送テーブル(複数可)から、当該データ経路の関連するエンドポイントの識別子を取得する。したがって、リンク障害メッセージおよびリンク回復メッセージは、影響を受けるデータ経路それぞれの識別子を、当該データ経路識別子に関連付けて含む。
図4Aのアルゴリズムは、リンク障害または回復メッセージが入力ノード装置101に向けて伝搬されなければならない場合に特に適合している。
【0072】
続くステップS404において、ノード装置111は、ノード装置111のポートのうちリンク障害またはリンク回復が検出されたもの(すなわち、回復したリンクまたは障害となったリンクが再接続された(リンク回復)または接続されていた(リンク障害)ポート)を除くすべてのポートに、生成されたリンク障害またはリンク回復メッセージを送信する。隣接ノード装置がそのようなリンク障害またはリンク回復メッセージを受信した時には、その隣接ノードは、受信したリンク障害またはリンク回復メッセージを、
図4Cに関して後に詳述するように処理する。
【0073】
図4Bは、リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを生成する時にメッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって実行される第2のアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムはノード装置111によって実行されると考えよう。
図4Bのアルゴリズムは、
図4Aのアルゴリズムに対する代替物である。
【0074】
ステップS411において、ノード装置111は、ノード装置111のポートの1つにおいて、リンク障害またはリンク回復を検出する。
【0075】
続くステップS412において、ノード装置111は、ローカル転送テーブル(複数可)から、そのリンク障害またはリンク回復によって影響を受けるデータ経路(すなわち、リンク障害の場合にはもはや使用可能でないデータ経路、リンク回復の場合には再び使用可能であるデータ経路)をそれぞれ特定するデータ経路識別子を少なくとも1つ取得する。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は転送テーブルをパースし、リンク障害またはリンク回復が検出されたポートの識別子が第2列152に含まれる各行を特定する。ステップS402において取得されるデータ経路識別子は、特定された行の第3列153に記憶された識別子である。リンク障害が検出された時には、ノード装置111はそのリンク障害が関連する各データ経路をローカルで非アクティベート化する。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は特定された各行の第4列154のフラグを偽にセットする。リンク回復が検出された時には、ノード装置111はそのリンク回復が関連する各データ経路をローカルで再アクティベートする。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は特定された各行の第4列154のフラグを真にセットする。
【0076】
続くステップS413において、ノード装置111は、その特定されたデータ経路を、そのポート(ノード装置111の、リンク障害またはリンク回復が検出されたポート)に関連付けられたローカル逆経路テーブルにおいてサーチする。ローカル逆経路テーブル(複数可)の作成は、
図4Dに関して後に詳述する。データ経路識別子の恩恵により、ノード装置111は、そのリンク障害またはリンク回復が送信されなければならないデータ経路エンドポイントの識別子を、そのポート(ノード装置111の、リンク障害またはリンク回復が検出されたポート)に関連付けられたローカル逆経路テーブルから取得する。
【0077】
続くステップS414において、ノード装置111は、ステップS401でリンク障害が検出されていた時にはリンク障害メッセージを生成し、ステップS401でリンク回復が検出されていた時にはリンク回復メッセージを生成する。
図4Bのアルゴリズムは、リンク障害または回復メッセージが、入力ノード装置101でない可能性のあるノード装置に向けて伝搬されなければならない場合に特に適合している。生成されたリンク障害またはリンク回復メッセージは、ステップS413において取得されたエンドポイント識別子を含む。リンク障害またはリンク回復メッセージを受信した時には、宛先のノード装置は、そのリンク障害またはリンク回復メッセージに含まれている宛先識別子の恩恵により、そのメッセージが当該ノード装置に対して意図されたものであるということを知る。
【0078】
続くステップS404において、ノード装置111は、ノード装置111のポートのうちリンク障害またはリンク回復が検出されたもの(すなわち、回復したリンクまたは障害となったリンクが再接続された(リンク回復)または接続されていた(リンク障害)ポート)を除くすべてのポートに、生成されたリンク障害またはリンク回復メッセージを送信する。隣接ノード装置がそのようなリンク障害またはリンク回復メッセージを受信した時には、当該隣接ノードは、受信したリンク障害またはリンク回復メッセージを、
図4Cに関して後に詳述するように処理する。
【0079】
図4Cは、リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを受信した時にメッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムはノード装置111によって実行されると考えよう。
【0080】
ステップS421において、ノード装置111は、リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを受信する。
【0081】
続くステップS422において、ノード装置111は、受信したリンク障害メッセージまたは受信したリンク回復メッセージから、そのリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージが伝搬しなければならないデータ経路を特定し、また、そのデータ経路識別子に関連付けられたエンドポイント識別子を特定する。
【0082】
続くステップS423において、ノード装置111は、データ経路の識別子とエンドポイントの識別子と(いずれもステップS422において特定されたもの)によって形成される対を、ノード装置111が知っているか否かをチェックする。すなわち、受信したリンク障害またはリンク回復メッセージから取得したデータ経路識別子が、ノード装置111を横切るデータ経路に関連するか否かをチェックする。
図1Bに示す転送テーブルを考慮して、ノード装置111は、取得したデータ経路識別子が転送テーブルの第3列153に存在するか否か、エンドポイント識別子が転送テーブルの第1列151に存在するか否かをチェックする。
【0083】
ノード装置111がデータ経路識別子を知っている時には、ステップS424が実行される。そうでなければ、ステップS425が実行される。
【0084】
ステップS424において、リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージが受信されたポートが転送テーブルの第2列152に示されるものと同一である時には、ノード装置111は、ノード装置111のポートのうち、ノード装置111がそのリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを受信したポートを除くすべてのポートを介して、そのリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを転送する。リンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージが受信されたポートが転送テーブルの第2列152に示されるものと同一でない時には、ノード装置111は、転送テーブルの第2列152に示されるポートを介して、そのリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを転送する。
【0085】
ステップS425において(これは、ノード装置111が、そのリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージが伝搬しなければならないデータ経路上にないということを意味する)、ノード装置111はリンク障害メッセージまたはリンク回復メッセージを破棄する。
【0086】
図4Dは、ローカル逆経路テーブルを作成するためにメッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって実行される、任意選択のアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムはノード装置111によって実行されると考えよう。
図4Dのアルゴリズムは、メッシュ通信ネットワークの各ノード装置が、リンク障害またはリンク回復を検出した時に
図4Bのアルゴリズムを実施する時に有用である。
【0087】
ステップS431において、ノード装置111は、上述のリンク状態ルーティングプロトコルの結果としての更新を検出する。言い換えると、各ローカル転送テーブルは、大規模なトポロジー変更(major topology change)に続いて最初から再計算され終わっている。
【0088】
続くステップS432において、ノード装置111は、各隣接ノード装置から逆経路テーブル情報を取得する。ノード装置111は、当該ノード装置111の各ポートのうち、隣接ノード装置とのリンクが存在するものを決定する。その後、ノード装置111は、当該各隣接ノード装置に、逆経路情報要求を送信する。逆経路情報要求に応答して、ノード装置111は、エンドポイント識別子に関連付けられたデータ経路識別子のリストを受信する。ノード装置111は、各隣接ノードが受信した情報から、ノード装置111のポートのうち当該隣接ノード装置が接続されているものに関連付けられた逆経路テーブルを作成する。したがって、作成された逆経路テーブルは、データ経路識別子とエンドポイント識別子との対応関係を含む。逆経路テーブルの例は、
図4Eに関して後に詳述する。
【0089】
続くステップS433において、ノード装置111は、当該ノード装置111の各隣接ノード装置に転送テーブル情報を提供する。原理はステップS432と同一である(ただしノード装置が引き受ける役割が逆転している点を除く)。したがって、ステップS433において、ノード装置111は、当該ノード装置111の各隣接ノード装置から各逆経路情報要求を受信する。ノード装置111は、逆経路情報要求ごとに、その逆経路情報要求が受信されたポートを決定する。すなわち、対応する隣接ノード装置が接続されているポートを決定する。その後、ノード装置111は、ローカル転送テーブル(複数可)において特定されるどのデータ経路がそのポートを通過するかを決定するために、ローカル転送テーブル(複数可)をパースする。
図1Bに示す転送テーブルを参照して、ノード装置111は、第2列152が当該ポートを示す各行を特定する。特定された各行の第3列153に記憶されたデータ経路識別子および第1列151に記憶されたデータ経路エンドポイント識別子は、その後収集され、逆経路情報要求に応じて提供される。
【0090】
ステップS432およびS433は、逆転してもよく、並列に実行されてもよいということに留意すべきである。
【0091】
図4Eは、メッシュ通信ネットワークの各ノード装置によって任意選択で実施されてもよい通りの、逆経路テーブルの例を概略的に表す。
【0092】
図4Eに示す逆経路テーブルは第1列441を含み、第1列441は、行ごとに、データ経路の第2エンドポイントEP2のアドレスを記憶し、ここで、第1エンドポイントEP1は考慮中のノード装置のローカル転送テーブルの1つに記憶されている。さらに、逆経路テーブルは、第2列442を含み、第2列442は、行ごとに、関連するデータ経路の識別子を記憶する。
【0093】
各逆経路テーブルは、考慮中のノード装置のポートの1つに関連付けられる。一変形例では、単一の逆経路テーブルが作成され、この単一の逆経路テーブルはさらに第3列を含み、第3列には、逆経路テーブルの各行について、関連するポートの識別子が記憶される。
【0094】
図5は、リンク障害メッセージを受信した時に入力ノード装置101によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。好適な実施形態では、
図5のアルゴリズムは入力ノード装置101によって実行される。より一般的なコンテキストでは、
図5のアルゴリズムは、リンク障害メッセージの宛先であるエンドポイントによって実行される。
【0095】
ステップS501において、入力ノード装置101はリンク障害メッセージを受信する。受信されたリンク障害メッセージは、リンク障害によって影響を受ける少なくとも1つのデータ経路(ただし入力ノード装置101がエンドポイントであるもの)の識別子を含む。上述のように、入力ノード装置101は各リンク障害について2以上のリンク障害メッセージを受信してもよい。
【0096】
続くステップS502において、入力ノード装置101は、ローカル転送テーブル(複数可)において、リンク障害によって影響を受けるデータ経路をマークする。言い換えると、入力ノード装置101は、リンク障害によって影響を受けるデータ経路のそれぞれについて、当該データ経路が現在アクティベートされ得ないことを示す。
図1Bに示す転送テーブルを考えると、入力ノード装置101は、リンク障害によって影響を受けるデータ経路のそれぞれについて、第4列154のフラグを偽にセットする。
【0097】
続くステップS503において、入力ノード装置101は、リンク障害によって影響を受けるデータ経路のそれぞれについて、当該データ経路が関連するノード装置または端末装置にデータおよび/またはメッセージを送信するためにそれまでアクティベートされていたか否かをチェックする。実際に、2つのエンドポイント間には複数のデータ経路が存在し得るが、データおよび/またはメッセージを伝送するために有効に(effectively)アクティベートされ得るものは、それらのうちたった1つであるか、またはほとんどない(only one or few)。入力ノード装置101(または、より一般的にはリンク障害メッセージを受信したエンドポイント)は、アクティベートされたデータ経路のそれぞれを特定する情報を保持する。リンク障害メッセージが、それまで有効にアクティベートされていたデータ経路に関連する時には、入力ノード装置101は、そのデータ経路を置き換えるために代替データ経路を選択する。その後、入力ノード装置101は、以前にアクティブだったデータ経路(リンク障害を被ったもの)から、選択された代替データ経路に切り替える。代替データ経路の選択は、恣意的に(arbitrarily)実行されてもよく、事前に定義される基準(ロードバランシング基準等)に従って実行されてもよい。代替データ経路の選択は、アクティベートされ得るデータ経路のうちから実行される。すなわち、
図1Bに示す転送テーブルを参照して、入力ノード装置101は、代替データ経路を、第4列154のフラグが真にセットされているデータ経路のうちから選択する。
【0098】
続くステップS504において、入力ノード装置101は経路切替メッセージを生成する。経路切替メッセージは、リンク障害を被ったデータ経路の他方のエンドポイントの識別子と、選択された代替データ経路の識別子とを含む。その後、入力ノード装置101は、生成された経路切替メッセージを、選択された代替データ経路を介して送信する。代替データ経路はローカル転送テーブル(複数可)に存在しているので、経路切替メッセージが送信されなければならない入力ノード装置101の出力ポートは、ローカル転送テーブル(複数可)から検索可能である。
【0099】
図6は、リンク回復メッセージを受信した時に入力ノード装置101によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。好適な実施形態では、
図6のアルゴリズムは入力ノード装置101によって実行される。より一般的なコンテキストでは、
図6のアルゴリズムは、リンク回復メッセージの宛先であるエンドポイントによって実行される。
【0100】
ステップS601において、入力ノード装置101はリンク回復メッセージを受信する。受信されたリンク回復メッセージは、リンク回復によって復旧する各データ経路(ただし入力ノード装置101がエンドポイントであるもの)の識別子を含む。上述のように、入力ノード装置101は各リンク回復について2以上のリンク回復メッセージを受信してもよい。
【0101】
続くステップS602において、入力ノード装置101は、ローカル転送テーブル(複数可)において、リンク回復によって復旧したデータ経路をマーク解除する。言い換えると、入力ノード装置101は、リンク回復によって復旧したデータ経路のそれぞれについて、当該データ経路が復旧したことを示す。
図1Bに示す転送テーブルを考えると、入力ノード装置101は、リンク回復によって復旧するデータ経路のそれぞれについて、第4列154のフラグを真にセットする。
【0102】
続くステップS603において、入力ノード装置101は、復旧したデータ経路が、リンク障害に続いて選択された代替データ経路を置き換えなければならないか、または、別の現在アクティベートされているデータ経路を置き換えなければならないかをチェックする。これは、事前に定義される基準(ロードバランシング基準等)に従って行われてもよい。復旧したデータ経路が代替データ経路を置き換えなければならない時には、入力ノード装置101は、リンク障害に続いて選択された代替データ経路を置き換えるために、リンク回復メッセージにおいて特定されるデータ経路を選択する。その後、入力ノード装置101は、以前のアクティブなデータ経路から、復旧したデータ経路に切り替える。入力ノード装置101(より一般的には、リンク障害メッセージを受信したエンドポイント)は、アクティベートされたデータ経路をそれぞれ特定する情報を保持する。
【0103】
続くステップS604において、入力ノード装置101は経路切替メッセージを生成する。経路切替メッセージは、アクティベートされるべきデータ経路の他方のエンドポイントの識別子と、アクティベートされるべきデータ経路の識別子とを含む。その後、入力ノード装置101は、生成された経路切替メッセージを、復旧したデータ経路を介して送信する。上述のように、経路切替メッセージが送信されなければならない入力ノード装置101の出力ポートは、ローカル転送テーブルから検索可能である。
【0104】
経路切替メッセージは、さらに、デアクティベート(deactivate)されるべきデータ経路の識別子を含んでもよい(関連するエンドポイントは、アクティベートされるべきデータ経路に対するものと同一である)。これは、入力ノード装置101からそのデータ経路の他方のエンドポイントまでにおいて、2以上のデータ経路が並列的に使用可能である時に、事実上有用である。
【0105】
図7は、経路切替メッセージを受信した時に、メッシュ通信ネットワークの各ノード装置および各端末装置によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。このアルゴリズムはノード装置111によって実行されると考えよう。
【0106】
ステップS701において、ノード装置111は経路切替メッセージを受信する。経路切替メッセージは、アクティベートされるべきデータ経路のエンドポイント1つの識別子と、アクティベートされるべきデータ経路の識別子とを含む。さらに、経路切替メッセージは、デアクティベートされるべきデータ経路の識別子を含んでもよい。
【0107】
続くステップS702において、ノード装置111は、当該ノード装置111がその経路切替メッセージに関連するエンドポイントであるか否かを(すなわち、当該ノード装置111がその経路切替メッセージにおいて特定されるデータ経路エンドポイントであるか否かを)チェックする。ノード装置111が経路切替メッセージに関連するエンドポイントである時には、ステップS703が実行され、そうでなければ、ステップS704が実行される。
【0108】
ステップS703において、ノード装置111は、受信した経路切替メッセージにおいてアクティベートされるべきものとして特定されるデータ経路をアクティベートする。デアクティベートされるべきデータ経路は、受信した経路切替メッセージにおいて示されているか、または、ノード装置111は、どのデータ経路をデアクティベートする必要があるかを現在の状況から演繹することができる。受信した経路切替メッセージにおいて、デアクティベートされるべきデータ経路が示されている時には、ノード装置111はそのデータ経路をデアクティベートする。受信した経路切替メッセージにおいて、デアクティベートされるべきデータ経路が示されていない時には、あるエンドポイントから別のエンドポイントまでただ1つのデータ経路のみがアクティベートされていると想定される。したがって、そのデータ経路は、その関連するエンドポイントに関してそれまでアクティベートされていたものであるので、ノード装置111は、どのデータ経路がデアクティベートされなければならないかを決定することができる。
【0109】
ノード装置111、または経路切替メッセージを受信する端末装置は、アクティベートされるデータ経路をそれぞれ特定する情報を保持する。
【0110】
ステップS704において、ノード装置111は、受信した経路切替メッセージを、その受信した経路切替メッセージにおいて特定されるアクティベートされるべきデータ経路を介して、転送する。