(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気体圧縮機と該気体圧縮機から供給される気体を貯留する気体タンクとの間の供給流路にエアードライヤが配置されており、前記気体タンクと前記エアードライヤとの間の供給流路にエアードライヤ側から気体タンク側への気体の流れを許容するチェックバルブが設けられた圧縮空気供給システムにおいて、
容積室に吸気口及び排気口が設けられ、
前記容積室に連通し、容積室内の圧力に応じて所定の時間開もしくは閉する空気送り時間調整機能を備えたバルブを備え、
前記バルブは前記気体タンクと前記チェックバルブ間および前記エアードライヤの乾燥剤と前記チェックバルブ間を連通するパージ流路を開閉するために設けられていることを特徴とする圧縮空気供給システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、乾燥装置内に上記再生タンクを設けず、乾燥装置外部のエアータンクを利用することが考えられるが、ただ単に、再生タンクを廃止しただけでは、前記エアータンク内の乾燥圧縮空気が逆流し続けてしまう。
そこで、乾燥剤を再生するために必要な乾燥圧縮空気の量だけ逆流するように制限する必要があり、逆流する量を制限するべく、空気送り時間調整機能を備えたバルブ装置が考えられる。
【0005】
図12(A)(B)に示すのは、出願人が考慮している空気送り時間調整機能を備えたバルブ装置40の問題点を示す断面図である。このうち、
図12(A)は弁が閉塞した状態から開放した状態に切り換えられる様子を示す図である。一方、
図12(B)は弁が開放した状態から閉塞した状態に切り換えられる様子を示す図である。
【0006】
図12(A)に示す如く、バルブ装置40は、容積室43と、ピストン41と、弁体44と、弁座部49と、圧縮コイルばね45と、を備えている。このうち、容積室43は、空気の圧力が作用するように構成されている。また、ピストン41は、ピストン41の軸方向に容積室43の内部を摺動することができるように構成されている。具体的には、ピストン41の外周には、Oリング46が取り付けられており、Oリング46が容積室43の内面と接触する構成である。
【0007】
またさらに、弁体44は、ピストン41の一端側(図中下側)にピストン41と一体に移動可能に設けられている。そして、弁体44は、容積室43の前記一端側の開口に設けられた弁座部49と接触することにより、弁(44、49)が閉塞した状態となる。一方、弁体44が弁座部49から離間することにより、弁(44、49)が開放した状態となるように構成されている。また、圧縮コイルばね45は、容積室43におけるピストン41の移動方向の他端側(図中上側)に設けられ、ピストン41を前記一端側(図中下側)へ付勢するように構成されている。従って、容積室43の内部に空気の圧力が作用していない通常の状態では、弁(44、49)は、閉塞した状態になる。
【0008】
また、ピストン41には、空気送り時間を調整するために弁(44、49)が開放して空気が逆流し始めたときから閉塞するまでの時間を制御するために、比較的小径の穴部42が形成されている。穴部42は、ピストン41を基準とした容積室43の内部の前記一端側(図中下側)の空気の圧力と、前記他端側(図中上側)の空気の圧力との差に応じて空気を一方から他方へ流すことができるように構成されている。ここで、空気送り時間調整手段として弁(44、49)が開放して空気が逆流し始めたときから閉塞するまでの時間は、穴部42の開口径によって決まる構成である。
【0009】
またさらに、容積室43の前記一端側(図中下側)における弁座部49は、第1流路47と接続されている。また、第1流路47は、前記エアータンクと接続されている。一方、容積室43の前記他端側(図中上側)は、第2流路48と接続されている。また、第2流路48は、乾燥容器(図示せず)と接続され、さらに乾燥容器を介してエキゾーストバルブ(図示せず)およびコンプレッサー(図示せず)と接続されている。
【0010】
そして、第2流路48からピストン41を基準とした容積室43における前記他端側(図中上側)へ圧縮された空気が送り込まれる。すると、ピストン41を基準とした容積室43における前記他端側(図中上側)の空気の圧力が、前記一端側(図中下側)の空気の圧力より大きくなる。そのため、容積室43における前記他端側(図中上側)の空気が、穴部42を介して、容積室43における前記一端側(図中下側)へ徐々に流れ込む。従って、容積室43における前記一端側(図中下側)に空気が溜まり、該一端側(図中下側)の空気の圧力が徐々に高くなる。
【0011】
すると、容積室43の前記一端側(図中下側)の空気の圧力が、圧縮コイルばね45の付勢力に抗して、ピストン41を前記他端側(図中上側)へ徐々に移動させる。そして、ピストン41が前記他端側(図中上側)へ移動すると、弁(44、49)は、開放した状態となる。弁(44、49)が開放した後、前記エアータンクが設定された圧力に達し、プレッシャガバナ(図示せず)によってエキゾーストバルブが開放される。そのため、第2流路48からの圧縮された空気はエキゾーストバルブから排出される。そして、第1流路47と接続されたエアータンクからの空気が、弁(44、49)、容積室43の前記他端側(図中上側)を介して第2流路48へ逆流し始める。
【0012】
図12(B)に示す如く、弁(44、49)が開放して空気が逆流し始めたときから、空気送り時間調整機能が作用し始める。具体的には、ピストン41を基準とした容積室43における前記他端側(図中上側)の空気の圧力が、前記一端側(図中下側)の空気の圧力より低くなる。そのため、前記一端側(図中下側)の空気が、穴部42を介して、前記他端側(図中上側)へ徐々に流れ出す。従って、前記一端側(図中下側)の空気の圧力が徐々に低くなる。そして、前記一端側(図中下側)の空気の圧力によってピストン41を押す力の大きさが、圧縮コイルばね45がピストン41を押す力の大きさより小さくなると、圧縮コイルばね45の付勢力によって、ピストン41は前記一端側(図中下側)へ徐々に移動する。
【0013】
この間、弁(44、49)は開放した状態であり、第1流路47からの空気が、弁(44、49)、容積室43の前記他端側(図中上側)を介して第2流路48へ送られ続けている。そして、弁(44、49)が開放して空気が逆流し始めたときから所定時間(例えば30秒)経過したとき、弁体44が弁座部49と接触して弁(44、49)が閉塞した状態に切り換えられ、第1流路47からの空気の流れが止められる。このようにして、空気送り時間調整機能として所定時間(例えば30秒)の間、弁(44、49)を介して空気を逆流させることができるように構成されている。
【0014】
しかしながら、ピストン41は、Oリング46が取り付けられた大径の部分と、弁体近傍の小径の部分とを有している。そして、前記大径の部分および前記小径の部分が容積室43の内側等と接触しながら摺動する構成である。径の大きさが異なる箇所で摺動するため、ピストン41の姿勢が移動方向に対して傾く所謂、軸ずれが生じる虞がある。そして、軸ずれにより、こじるようにして摺動負荷が増加する虞がある。またさらに、摺動負荷の増加により一般的にピストン41(軸等の小径の部分含む)に取り付けられるゴムで形成されたOリング46等が著しく早く劣化する虞がある。
【0015】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、空気送り時間調整機能を有する弁の開閉を行うピストンの摺動を考慮したバルブ装置および該バルブ装置を備えたエアードライヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様のバルブ装置は、気体圧縮機と、当該気体圧縮機から供給される気体を貯留する気体タンクと、の間の気体の流路をバイパスするバイパス流路の開閉を行うバルブ装置であって、前記気体圧縮機および前記気体タンクの少なくとも一方から気体が供給されて内圧が上昇し、前記気体圧縮機側の減圧に伴い穴部から気体が所定の時間をかけて流出して内圧が減少する容積室と、前記容積室と連通し、前記容積室が所定圧に達した状態で前記気体圧縮機側が減圧することで前記バイパス流路を開き、その後前記容積室の内圧が減少することで前記バイパス流路を閉じる第1バルブと、を備え、前記第1バルブは、前記容積室から独立して形成された気筒部内をピストンが摺動することで前記バイパス流路を開閉する構成を備えることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記気筒部は、前記容積室から独立した構成である。ここで、前記容積室は所定量の気体を溜める必要があるので、ある程度大きく設ける必要がある。一方、前記気筒部は、前記容積室のように所定量の気体を溜める必要がないので、大きく設ける必要がない。従って、前記ピストンの径を大きく設ける必要がない。そして、前記ピストンにおける同径箇所が前記気筒部の内側と接触して摺動するように、前記ピストンを形成することができる。
【0018】
その結果、径が大きく異なる箇所が接触して摺動するときにピストンの姿勢が移動方向に対して傾く所謂、軸ずれが生じることを防止することができる。また、軸ずれによるこじるようにして摺動負荷が増加することを防止することができる。またさらに、摺動負荷の増加により一般的にピストンに取り付けられるゴムで形成されたピストンリングが劣化する虞を低減することができる。これにより、バルブ装置の耐久性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ピストンの外周に前記ピストンの移動方向に沿って適宜の間隔を空けて少なくとも三つのリング状の封止部材が設けられることにより、前記気筒部内が前記ピストンの移動方向に沿って第1〜第4の空間の順に、少なくとも四つに区画され、前記気筒部の内壁には、前記バイパス流路における前記気体圧縮機側流路へ通じる第1の開口と、前記バイパス流路における前記気体タンク側流路へ通じる第2の開口とが、前記ピストンの移動方向に所定の間隔を空けて形成されており、前記第1の空間は、前記ピストンの位置に拘わらず前記容積室と常時連通する空間であり、前記第4の空間は、前記ピストンの位置に拘わらず前記第1の開口を内側に有する空間であり、前記第2の空間は、前記ピストン内に形成された連通路により前記第4の空間と常時連通する空間であり、前記第3の空間は、閉鎖空間であり、前記ピストンは、付勢手段によって、前記第1バルブを閉じる方向に付勢されており、前記気体圧縮機から気体が供給されている状態では、前記第1の空間において前記ピストンに作用する圧力と、前記第4の空間において前記ピストンに作用する圧力と、のバランスにより前記第2の開口が前記第3の空間内に位置した状態が維持されることで前記第1バルブが閉状態となり、前記気体圧縮機側の減圧により、前記第1の空間において前記ピストンに作用する圧力が、前記第4の空間において前記ピストンに作用する圧力に打ち勝って、前記第2の開口が前記第2の空間内に位置するまで前記ピストンを移動させることで第1バルブが開状態となり、その後前記容積室の内圧の減少により、前記第1の空間において前記ピストンに作用する圧力が減少し、前記付勢手段の付勢力によって前記第2の開口が前記第3の空間内に位置するまで前記ピストンが戻されることで前記第1バルブが閉状態となることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記穴部からの気体の流出が始まる前に、前記気筒部内の前記一端の空間の気圧と前記他端の空間の気圧とが釣り合っている状態となる。この状態では、小さな力のばねでピストンの位置を安定させることができる。
また、前記気筒部内の前記第1の空間の気圧と前記第4の空間の気圧との差が生じることにより、前記ピストンが移動し、前記第1バルブが開状態から閉状態となる。
またさらに、前記所定の時間が経過したとき、前記気筒部内の前記第1の空間の気圧と前記第4の空間の気圧とが再び釣り合っている状態となる。この状態で付勢手段の付勢力によって前記ピストンを移動させるように構成されている。
【0021】
その結果、前記付勢手段の一例であるばねの付勢力は比較的小さくてよい。また、前記ばねの付勢力を比較的小さく設けることができるので、比較的強い付勢力を有していたばねが付勢力を失う所謂、ばねのへたりを考慮する必要がない。
また、前記第2の開口が前記第2の空間内に位置するまで前記ピストンを移動させることで第1バルブが開状態となり、前記第2の開口が前記第3の空間内に位置するまで前記ピストンが戻されることで前記第1バルブが閉状態となる。その結果、簡単な構成で切り換えることができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記容積室へ気体を充填するための第2バルブと、前記穴部を介して前記容積室から気体を排出するための第3バルブと、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記第2バルブおよび前記第3バルブを有さない構成と比較して、短時間で前記容積室に気体を充填させることができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記容積室から前記穴部を介して排出される気体は、大気開放される構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、前記容積室の気体を、残圧がない箇所に排出するので、容積室の気圧を必ず元の気圧に戻すことができる。その結果、一度、前記開状態となってから前記閉状態に確実に戻すことができる。また、前記開状態となったときから前記閉状態に戻るまでの時間の長さのバラツキを小さくし、前記時間の長さを安定させることができる。
【0024】
本発明の第5の態様のエアードライヤは、再生可能な乾燥剤を有する乾燥部と、該乾燥部における流路の一端側に接続された再生用バルブ装置と、を備えたエアードライヤであって、前記再生用バルブ装置は、上記第1から第4のいずれか一の態様のバルブ装置であり、前記乾燥部は、前記気体圧縮機および気体排出バルブと、前記再生用バルブ装置との間に設けられており、前記気体排出バルブが開放され、前記第1バルブがバイパス流路を開いているときに逆流する前記気体タンクの気体を利用して前記乾燥剤を乾燥させることを特徴とする。
本態様によれば、前記エアードライヤの前記再生用バルブ装置は、上記第1から第4のいずれか一の態様の前記バルブ装置である。従って、前記エアードライヤにおいて、上記第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【0025】
本発明の第6の態様に係るバルブ装置は、容積室と、該容積室に設けられた吸気口及び排気口と、前記容積室に連通し、前記容積室の圧力の変化に応じて所定の時間開もしくは閉するバルブとを備えたことを特徴とする。
【0026】
容積室には高圧の気体(エアー)が収容される。高圧の気体は圧縮機から吸気口に供給される。容積室へ供給された高圧の気体は排気口から排出される。容積室にはバルブが連通している。バルブとしてはピストン形式、ボールバルブ形式及びダイアフラム形式を用いることができる。
【0027】
例えばピストンタイプの場合、ピストンの移動方向に対して一方の側の室に容積室から高圧の気体を流入し、他方の側の室にバネやゴム等の付勢手段を配置する。
ピストンは高圧の気体で押されている間は付勢手段による力に抗してピストンを付勢手段側に移動させ、容積室内の高圧の気体が排気口より抜けるに従ってピストンは付勢手段による力に押されて付勢手段と反対側へ移動する。
【0028】
ピストンの移動空間には複数の流路が連通されており、該流路間はピストンの移動により連通と閉塞を選択できる。
例えば、容積室に高圧の気体が充填されてピストンが付勢手段側にあるときは前記流路を連通させ、容積室内から高圧の気体が抜け付勢手段とは反対側へ移動している際には前記流路をピストンで閉じるというバルブを構成することができる。
【0029】
逆に、容積室に高圧の気体が充填されてピストンが付勢手段側にあるときはピストンにより前記流路を閉塞し、容積室内から高圧の気体が抜け付勢手段とは反対側へ移動している際には前記流路を連通させるバルブを構成することもできる。
前記容積室の排気口の大きさを調整することにより容積室内の減圧時間を調整することができるので、前記ピストンの移動時間を調整でき、バルブの開閉時間を制御することができる。
【0030】
また、容積室の排気口と吸気口を共通の口として、圧縮機側で電磁弁等を用いて容積室への高圧の気体の充填及び大気への開放ができるようにしてもよい。容積室は高圧の気体に代えて吸気口へ真空ポンプ(真空源)を接続し真空圧の気体を充填しても良い。
【0031】
真空圧の気体の場合は、容積室の排気口から容積室内へ大気等の気体が流入する。容積室にはバルブが連通している。バルブとしては高圧の気体と同様にピストン形式、ボールバルブ形式及びダイアフラム形式を用いることができる。
【0032】
例えばピストンタイプの場合、ピストンの移動方向に対して一方の側の室を容積室と連通させ真空圧とし、該一方の側の室内にバネやゴム等の付勢手段を配置する。
ピストンは他方の側が大気圧等の真空圧よりも高い圧力で押され、付勢手段による力に抗してピストンを付勢手段側に移動させる。容積室内の真空圧が高くなるに従って、ピストンは付勢手段による力に押されて付勢手段と反対側へ移動する。
【0033】
ピストンの移動空間には複数の流路が連通されており、該流路はピストンの移動により連通と閉塞を選択できる。
例えば容積室が真空圧でピストンが付勢手段側にあるときは前記流路を連通させ、容積室内の圧力が上がってピストンが付勢手段とは反対側へ移動したら前記流路をピストンで閉じるというバルブを構成することができる。
【0034】
逆に、容積室が真空圧でピストンが付勢手段側にあるときは前記流路をピストンで閉塞し、容積室内の圧力が上がり、ピストンが付勢手段とは反対側へ移動している際には前記流路を連通させるバルブを構成することもできる。
【0035】
前記容積室の排気口の大きさを調整することにより、容積室内の昇圧時間を調整することができるので、前記ピストンの移動時間を調整でき、バルブの開閉時間を制御することができる。
また、容積室の排気口と吸気口を共通の口として、真空ポンプ側で電磁弁等を用いて容積室の真空引き及び大気への開放ができるようにしてもよい。
【0036】
本発明の第7の態様に係る圧縮空気供給システム装置は、気体圧縮機と該気体圧縮機から供給される気体を貯留する気体タンクとの間の供給流路にエアードライヤが配置されており、前記気体タンクと前記エアードライヤとの間の供給流路にエアードライヤ側から気体タンク側への気体の流れを許容するチェックバルブが設けられた圧縮空気供給システムにおいて、容積室に吸気口及び排気口が設けられ、前記容積室に連通し、容積室内の圧力に応じて開閉するバルブを備え、前記バルブは前記気体タンクと前記チェックバルブ間および前記エアードライヤの乾燥剤と前記チェックバルブ間を連通するパージ流路を開閉するために設けられていることを特徴とする。
【0037】
前記容積室の吸気口は、気体圧縮機とエアードライヤの乾燥剤間の供給流路もしくはエアードライヤの乾燥剤とチェックバルブ間の供給流路に連通され、容積室内が気体圧縮機からの高圧の気体で満たされる。また、前記容積室の吸気口を、チェックバルブと気体タンク間の供給流路に弁を介して連通されてもよい。弁を介することにより、気体タンク内の高圧の気体が必要以上に容積室の排気口から抜けてしまうことを防止できる。
【0038】
弁としては容積室へ高圧の気体を所定量もしくは所定の圧力に達するまで供給するために開き構成となっており、ピストン方式、ダイアフラム方式、ボールバルブ方式及び電磁方式を用いることができる。該弁は気体圧縮機とエアードライヤの乾燥剤間の供給流路もしくはエアードライヤの乾燥剤とチェックバルブ間の供給流路に連通された容積室の吸気口への吸気流路に設けてもよい。これにより、吸気流路から容積室内の高圧の気体が供給流路側へ逆流することを防止できる。容積室への高圧の気体の供給源としては気体圧縮機とは別の第二の気体圧縮機により供給することもできる。
【0039】
前記バルブとしてはピストン形式、ボールバルブ形式及びダイアフラム形式を用いることができる。
例えばピストンタイプの場合、ピストンの移動方向に対して一方の側に形成された室に容積室から高圧の空気を流入し、他方の側にバネやゴム等の付勢手段を配置する。
【0040】
ピストンは容積室内からの高圧の空気で押されている間は付勢手段による力に抗してピストンを付勢手段側に移動させ、容積室内の高圧の空気が排気口より抜けるに従ってピストンは付勢手段による力に押されて付勢手段と反対側へ移動する。
ピストンの移動空間にはチェックバルブと気体タンクとの間の供給流路に連通するパージ流路及びエアードライヤの乾燥剤とチェックバルブとの間の供給流路に連通するパージ流路とが連通している。
【0041】
前記ピストンの移動空間に連通する2つのパージ流路は、ピストンの移動により連通と閉塞を選択できる。例えば容積室に高圧の空気が充填されてピストンが付勢手段側にあるときはパージ流路を連通させ、容積室内から高圧の空気が抜け付勢手段とは反対側へ移動している際には前記流路をピストンにより閉塞するというバルブを構成することができる。
【0042】
逆に、容積室に高圧の空気が充填されてピストンが付勢手段側にあるときはピストンにより前記流路を閉塞し、容積室内から高圧の空気が抜け付勢手段とは反対側へ移動している際には前記流路を連通させるバルブを構成することもできる。
【0043】
また、前記容積室の排気口の大きさを絞り等を用いて調整することにより容積室内の減圧時間を調整することができるので、前記ピストンの移動時間を調整でき、バルブの開閉時間を制御することができる。
【0044】
容積室の排気口は大気へ開放させておく他に、チェックバルブと気体圧縮機間の供給流路もしくはバルブからエアードライヤ側のパージ流路に連通させることもできる。これにより、エアードライヤのパージにより前記供給流路もしくパージ流路が大気へ開放されるのと連動して容積室も大気へ連通され、該エアードライヤのパージ時間をより簡単な構造で調整できる。
【0045】
また、容積室の排気時間調整のための絞りによる高圧の気体の充填時間が問題にならない場合は、容積室の排気口と吸気口を共通の口(穴)としてもよい。容積室は高圧の気体ではなく、真空圧でもバルブとして構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例のバルブ装置10を備えたエアー処理システム1の配管を示す概略図である。尚、本発明の構成の要部を図示し、その他の部材及び気体の流路の図示は省略してある。
図1に示す如く、本実施例のエアー処理システム1は、空気送り時間調整機能を有するバルブ装置10を備えている。一例として、エアードライヤ(5)の再生用のバルブ装置10として説明する。
【0048】
本実施例のエアー処理システム1は、バルブ装置10と、乾燥部5と、を備えている。本実施例のエアー処理システム1の配管構成は、例えば、トラック等の商用の車両のエアーブレーキシステムや、一般的な自動車の空調システムとして用いることができる。
具体的に、エアー処理システム1は、気体圧縮機であるコンプレッサー2と、システム用の気体タンク7と、バルブ装置10と、乾燥部5と、気体排出部であるエキゾーストバルブ3と、サイレンサー4と、を備えている。
【0049】
このうち、コンプレッサー2は、気体を圧縮し、圧縮した該気体を送ることができるように設けられている。また、気体タンク7は、乾燥した気体を貯蔵することができ、例えば、エアーブレーキシステム等に用いるように構成されている。またさらに、バルブ装置10は、気体の圧力が作用していないとき、詳しくは後述する第1バルブ22(
図2〜
図5参照)が閉塞した状態に設けられている。そして、所謂パイロット指令により、第1バルブ22の開放状態と閉塞状態とを切り換えることができるように構成されている。
【0050】
また、乾燥部5は、内部に乾燥剤6を有しており、通過する気体を乾燥させることができるように設けられている。またさらに、エキゾーストバルブ3は、通常、弁が閉塞した状態に設けられている。そして、図示しないプレッシャガバナからのパイロット指令により、前記弁の開放状態と閉塞状態とを切り換えることができるように構成されている。また、サイレンサー4は、気体を排出する際の音を小さくすることができるように設けられている。
【0051】
そして、バルブ装置10の第1バルブ22を基準とした一方は、第1流路14によって乾燥部5と接続されている。また、他方は、第2流路15によって気体タンク7と接続されている。さらに、第1流路14および第2流路15は、チェックバルブ8によって接続されている。
ここで、「チェックバルブ」とは、一の方向への流れを許し、逆の方向への流れを止めることができるように構成されたバルブをいう。逆止弁ともいう。
【0052】
本実施例では、チェックバルブ8は、乾燥部5から気体タンク7への流れを可能とし、気体タンク7から乾燥部5への流れを止めるように設けられている。
また、乾燥部5におけるバルブ装置10と接続した側と反対側には、コンプレッサー2およびエキゾーストバルブ3が接続されている。またさらに、エキゾーストバルブ3における乾燥部5およびコンプレッサー2と接続した側と反対側には、サイレンサー4が接続されている。
【0053】
以下、エアー処理システム1におけるバルブ装置10の構成および動作について簡単に説明する。
バルブ装置10は、詳しくは後述するように、空気抜きに用いる絞り弁12および大気排気口13と接続されている。
エキゾーストバルブ3が閉塞した状態では、コンプレッサー2から圧縮した気体が乾燥部5へ送られ、乾燥部5によって圧縮した気体が乾燥される。そして、乾燥した圧縮気体は、チェックバルブ8を介して、気体タンク7へ送られる。
尚、この際、乾燥した圧縮気体は、第1流路14からバルブ装置10にも流れ込む。そして、後述する第2ピストン24(
図2〜
図5参照)による第2バルブ25(
図2〜
図5参照)が開く。これにより、気体タンク7の圧縮気体が、第2流路15から第2バルブ25を介して容積室11に流入する。
【0054】
気体タンク7へ送られた乾燥した圧縮気体は、気体タンク7に貯蔵されるように構成されている。そして、気体タンク7の気圧の値が設定された所定の値に達すると、図示しないプレッシャガバナが空気圧信号としての制御圧力を発生させ、エキゾーストバルブ3を開放状態に切り換える。これにより、コンプレッサー2からの圧縮気体は、エキゾーストバルブ3およびサイレンサー4から大気排出される。また、気体タンク7の乾燥圧縮気体が、所定時間だけバルブ装置10を介して乾燥部5へ流れ、乾燥剤6を再生させる。
【0055】
このとき、バルブ装置10は、空気送り時間調整機能を作用させることにより、所定時間だけ乾燥圧縮気体を乾燥部5へ流すことができるように構成されている。詳しくは後述するように、エキゾーストバルブ3が開放状態に切り換えられると、バルブ装置10の第1バルブ22が開放状態となり乾燥圧縮気体が乾燥部5へ流れ始める。すると、容積室11に流入した気体が絞り弁12および大気排気口13を介して大気へ徐々に抜け出る。そして、空気送り時間調整機能として所定時間(例えば30秒)経過したとき、バルブ装置10の第1バルブ22が閉塞状態に切り換えられるように構成されている。
【0056】
そして、再生に用いられた気体は、エキゾーストバルブ3から大気排出される。その後、エアーブレーキ等の使用により、気体タンク7の気圧の値が設定された値を下回ると、図示しないプレッシャガバナが、エキゾーストバルブ3を閉塞状態に切り換える。これにより、前述したように、乾燥圧縮気体が気体タンク7に送られ、気体タンク7の気圧が設定された気圧に達する。
【0057】
続いて、エアー処理システム1におけるバルブ装置10の配管接続と、バルブ装置10の構造について説明する。
図2に示すのは、本実施例のバルブ装置10の概略を示す断面図である。
図2に示す如く、バルブ装置10は、容積室11と、穴部28と、第1気筒部17と、第1ピストン18と、第2気筒部23と、第2ピストン24と、第1流路14と、第2流路15と、第3流路16と、を有している。このうち、容積室11は、前述したように圧縮気体を溜めることができるように設けられている。また、穴部28は、容積室11の圧縮気体を容積室11から流出可能に構成されている。
【0058】
またさらに、第1気筒部17の一端は、容積室11と繋がっている。また、第1ピストン18は、第1気筒部17の内部を摺動可能に設けられている。第1ピストン18の外周には、封止部材としてのOリング21、21、21が三つ取り付けられている。そして、三つのOリング21、21、21が、第1気筒部17の内部空間を第1ピストン18の移動方向に四つに区画するように構成されている。ここで、容積室11と繋がっている前記一端の区画から順に第1区画A、第2区画B、第3区画C、第4区画Dとする。
【0059】
第2区画Bは、第4区画Dと第1ピストン18の内部で繋がるように第1ピストン18が形成されている。一方、第3区画Cは、第4区画Dと繋がらないように構成されている。そして、第4区画Dは、第1流路14と繋がっている。言い換えると、第4区画Dは、第1流路14の開口である第1の開口14aを内側に有する空間である。また、第1ピストン18が摺動することにより、第2区画Bおよび第3区画Cの一方が、第2流路15と繋がるように構成されている。言い換えると、第1ピストン18が摺動することにより、第2区画Bおよび第3区画Cの一方が、第2流路15の開口である第2の開口15aを内側に有するように構成されている。
【0060】
具体的には、第1ピストン18が前記一端側(第1区画A側)と反対側である他端側(第4区画D側)へ摺動し、第2区画Bと第2流路15とが繋がることにより、第2流路15が、第1気筒部17の第2区画B、第1ピストン18の内部および第4区画Dを介して第1流路14と繋がった状態となる。これが、前述した第1バルブ22の開放状態である。一方、第1ピストン18が前記一端側(第1区画A側)へ摺動し、第3区画Cと第2流路15とが繋がることにより、第1ピストン18によって第2流路15と第1流路14との繋がりが遮断された状態となる。これが、前述した第1バルブ22の閉塞状態である。
【0061】
尚、第1気筒部17の他端には、止め部材19が設けられている。そして、止め部材19と第1ピストン18との間に圧縮ばねである第1ばね20が設けられている。第1ばね20は、比較的小さい力で、第1ピストン18を前記一端側(第1区画A側)へ付勢している。従って、第1ピストン18を基準とした前記一端側である第1区画Aの気圧と、前記他端側である第4区画Dの気圧との差が無い場合、第1ピストン18は第1ばね20の力によって前記一端側へ移動した状態となる。つまり、第1バルブ22が閉塞状態となる。
【0062】
またさらに、第2気筒部23の一端は、容積室11と繋がっており、他端は、第3流路16と繋がっている。また、第2ピストン24は、第2気筒部23に沿って移動可能に設けられており、第2気筒部23における容積室11側の空間と、第3流路16側の空間とを区画するように構成されている。また、第2ピストン24によって、第2バルブ25および第3バルブ26が構成されている。
【0063】
このうち、第2バルブ25は、容積室11と第2気筒部23とが繋がった開放状態と、容積室11と第2気筒部23との繋がりを遮断した閉塞状態とを切り換え可能に設けられている。
一方、第3バルブ26は、容積室11と穴部28とが繋がった開放状態と、容積室11と穴部28との繋がりを遮断した閉塞状態とを切り換え可能に設けられている。
【0064】
第2バルブ25の開閉動作は、第3バルブ26の開閉動作と連動している。第2バルブ25が開放状態のとき、第3バルブ26は閉塞状態となる。一方、第2バルブ25が閉塞状態のとき、第3バルブ26は、開放状態となる。
また、第2ピストン24は、第2バルブ25が閉塞状態、第3バルブ26が開放状態となる方向へ第2ばね27の付勢力によって付勢されている。
またさらに、第2気筒部23における第2ピストン24によって区画された容積室11側の空間と、第2流路15とが繋がるように構成されている。
【0065】
また、前述したように、第1流路14は、第1気筒部17の第4区画Dと、コンプレッサー2およびエキゾーストバルブ3とを繋ぐように構成されている。一例として、乾燥部5を介して、コンプレッサー2およびエキゾーストバルブ3に繋がれている。また、前述したように、第2流路15は、第1気筒部17の第2区画Bおよび第3区画Cの一方と、気体タンク7とを繋ぐように構成されている。さらに、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された容積室11側の空間と、気体タンク7とをも繋ぐように構成されている。
【0066】
また、第3流路16は、乾燥部5と繋がる第1流路14と繋がるように構成されている。
またさらに、穴部28は、絞り弁12と接続されており、絞り弁12が単位時間当たりの気体の流量を調整することができるように構成されている。また、絞り弁12は、大気排気口13と接続されており、大気排気口13は、気体を大気に排出することができるように設けられている。
【0067】
尚、気体タンク7は、第1タンク7a、第2タンク7bおよび第3タンク7cを有している。そして、第1タンク7a〜第3タンク7cは直列に接続されており、第1タンク7aと第2タンク7bとの間および第2タンク7bと第3タンク7cとの間には、それぞれバルブ7dが設けられている。
【0068】
続いて、エアー処理システム1におけるバルブ装置10の動作について、詳しく説明する。
図3に示すのは、本実施例のエアー流入開始時におけるバルブ装置10の動作を示す断面図である。
前述したように、エキゾーストバルブ3が閉塞した状態で、コンプレッサー2から圧縮空気が送られると、圧縮空気は、乾燥部5によって乾燥され、チェックバルブ8を介して気体タンク7に送られて貯蔵される。
このとき、
図3に示す如く、第1流路14から第1気筒部17の第4区画Dへ圧縮空気が流れ込む。
【0069】
また、第2流路15から第2気筒部23における第2ピストン24に区画された容積室11側の空間に圧縮空気が流れ込む。これにより、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された容積室11側の空間の気圧が、容積室11の気圧より高くなる。
尚、第2流路15から第1気筒部17の第3区画Cに圧縮空気が流れ込むが、第1バルブ22が閉塞した状態である。従って、第3区画Cに流れ込んだ圧縮空気は、第1ピストン18に対しては何ら作用しない。
【0070】
さらに、第3流路16から第2気筒部23における第2ピストン24に区画された第3流路16側の空間に圧縮空気が流れ込む。これにより、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された第3流路16側の空間の気圧が、容積室11の気圧より高くなる。
そして、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された第3流路16側の空間の気圧および容積室11側の空間の気圧が、第2ばね27の付勢力に抗して、第2ピストン24を移動させる。従って、第2バルブ25が開放状態となり、第3バルブ26が閉塞状態となる。
【0071】
その結果、第2流路15から、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された容積室11側の空間を介して、容積室11へ圧縮空気が一気に流れ込む。そのため、容積室11の気圧が一気に高くなる。このとき、容積室11から第1気筒部17の第1区画Aへ、圧縮空気が流れ込む。ここで、第1気筒部17の第1区画Aの気圧と、第4区画Dの気圧とが等しいため、第1ピストン18は移動しない。つまり、第1バルブ22は閉塞状態のままである。
【0072】
図4に示すのは、本実施例の開放直後のバルブ装置10の動作を示す断面図である。
前述したように、気体タンク7の気圧の値が所定の値に達するとプレッシャガバナ(図示せず)が、エキゾーストバルブ3を開放状態にする。
すると、
図4に示す如く、第1流路14の気圧が一気に低下するため、第1気筒部17の第1区画Aの気圧に対して、第4区画Dの気圧が一気に低くなる。つまり、バランスが崩れる。
【0073】
そのため、第1ピストン18は、第1ばね20の付勢力に抗して第4区画D側へ摺動する。これにより、第2区画Bと第2流路15とが繋がる。つまり、第1バルブ22は開放状態となる。このとき、第2流路15は、気体タンク7と接続されており、気圧が高い状態である。一方、第1流路14は、エキゾーストバルブ3が開放状態であるため、第2流路15と比較して気圧が低い状態である。従って、気体タンク7に貯蔵されていた圧縮空気が、第2流路15から、第1気筒部17の第2区画B、第1ピストン18の内部および第4区画Dを介して、第1流路14へ流れ込む。さらに、乾燥部5へ流れ、乾燥部5の乾燥剤6を再生して、エキゾーストバルブ3およびサイレンサー4を介して排出される。
【0074】
このとき、第3流路16の気圧も、第1流路14の気圧と同様に、一気に低下する。そして、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された第3流路16側の空間の気圧は、容積室11の気圧より急激に低くなる。
そして、第2気筒部23における第2ピストン24に区画された第3流路16側の空間の気圧と、容積室11の気圧との差が、第2ばね27の付勢力と共に、第2ピストン24を移動させる。従って、第2バルブ25が閉塞状態となり、第3バルブ26が開放状態となる。
【0075】
その結果、容積室11から第3バルブ26を介して穴部28へ圧縮空気が流出し始める。流出した圧縮空気は、前述した絞り弁12によって流量を調整されながら、大気排気口13から排出される。ここで、排出先には残圧が作用しないので、容積室11の気圧が大気圧と等しくなるまで、流出し続ける。つまり、何度も流出を繰り返した場合であっても、流出する圧縮空気の量を安定させることができる。
【0076】
尚、気体タンク7からの圧縮空気が第2流路15から第2気筒部23へ流れ込もうとするが、第2ピストン24を、第2バルブ25が開く方向へ移動させるように作用する虞はない。この理由は、第1バルブ22が開放状態であり、第1流路14の気圧が第2流路15の気圧より著しく低く、気体タンク7からの圧縮空気が第2流路15から第1気筒部17を介して第1流路14へ積極的に流れるからである。
【0077】
図5に示すのは、本実施例の空気送り時間調整機能作用時のバルブ装置10の動作を示す断面図である。
図5に示す如く、
図4に示す状態から容積室11の圧縮空気が第3バルブ26、穴部28および絞り弁12を介して大気排気口13から排出され続けると、容積室11の気圧が徐々に低下する。そして、大気圧と等しくなる。ここで、第1気筒部17の第1区画Aは、前述したように、容積室11と繋がっている。従って、第1区画Aの気圧も大気圧と等しくなるまで低下する。
【0078】
そして、第1区画Aの気圧と、第4区画Dの気圧とが釣り合った状態、または、第1区画Aの気圧が第4区画Dの気圧より低い状態となる。すると、第1ばね20の比較的小さい付勢力によって、第1ピストン18は第1区画A側へ摺動する。つまり、第1バルブ22が閉塞状態となる。
その結果、気体タンク7の圧縮空気の第2流路15から第1気筒部17を介した第1流路14への流れが遮断される。
【0079】
以上、説明したように、エキゾーストバルブ3が開放状態となり、圧縮空気が容積室11から穴部28を介して流出し始めたときから、空気送り時間調整機能として、所定時間(例えば30秒)が経過したとき、気体タンク7の乾燥圧縮空気が乾燥部5に対して逆流するように本実施例のバルブ装置10は構成されている。
また、第1バルブ22の開閉状態を切り換える第1ピストン18は、容積室11から独立した第1気筒部17に設けられている。ここで、「独立」は、気体が第1気筒部17および容積室11の一方から他方へ流れることができるように繋がっていてもよい。第1ピストン18が第1気筒部17の内部を摺動し、容積室11の内部を摺動しない関係であればよい。
【0080】
従って、第1ピストン18の形状の自由度を増すことができる。具体的には、大径部分および小径部分の大きく異なる径の部分を構成する必要がなく、略均一な径部分で構成することができる。その結果、第1ピストン18の姿勢が摺動方向に対して傾くといった所謂、軸ずれが生じる虞を低減することができる。さらに、軸ずれによる摺動負荷の著しい増加が生じる虞も低減することができる。
【0081】
また、第1ピストン18を付勢する第1ばね20は、比較的小さい力で、第1区画Aの気圧と第4区画Dの気圧とが釣り合っているとき、第1ピストン18を摺動させる構成である。従って、繰り返し使用した場合であっても、第1ばね20のばね力がへたって第1ピストン18をきちんと移動させることができないといった虞がない。
【0082】
またさらに、第2バルブ25および第3バルブ26を設けることにより、前述した別の構成(
図10参照)と比較して、容積室11(
図10では符号43)に圧縮空気が単位時間当たりに流入する量を大きくすることができる。言い換えると、短時間で容積室11(
図10では符号43)に所定量の圧縮空気を溜めることができる。
【0083】
ここで、前述した別の構成(
図12参照)では、所定量の圧縮空気を溜めるには、開放状態から閉塞状態に切り換える空気送り時間調整機能が作用している時間(例えば30秒)と略同じ長さの時間(例えば30秒)が必要である。乾燥剤の再生に必要な時間は、システムによって様々であり、穴部42(
図12参照)の開口径によって決まる構成であるが、容積室に空気を充填させる時間(弁が開くまでの時間)も穴部42の開口径によって決まる構成である。そのため、乾燥剤の再生のタイミングが空気の充填時間に左右されてしまい、迅速な空気充填という要請と、再生処理のための空気送り時間調整機能の時間設定の自由度とを両立させることができない。例えば、空気を充填させる時間が15秒しかとれない場合、30秒の空気送り時間調整機能を作用させるための十分な空気充填を行うことができず、中途半端に15秒だけ空気送り時間調整機能が作用することとなる。これでは、十分に乾燥剤を再生させることができない。
本実施例の構成では、迅速な空気充填という要請と、再生処理のための空気送り時間調整機能の時間設定の自由度とを両立することができる。
【0084】
尚、上記実施例では、穴部28と、絞り弁12とを別に構成したが、一緒に構成してもよい。
また、上記実施例の第1バルブ22は、通常、閉塞状態であり、所定の動作によって所定時間(例えば30秒)だけ開放状態となり、その後、閉塞状態に戻る所謂、ノーマルクローズであるが、逆の構成でもよい。具体的には、通常、開放状態であり、所定の動作によって所定時間(例えば30秒)だけ閉塞状態となり、その後、開放状態に戻る所謂、ノーマルオープンの構成でもよい。例えば、上記実施例における第3区画Cと第4区画Dとが連通し、第2区画Bと第4区画Dとが連通しないように第1ピストン18を形成することにより構成することができる。
ノーマルオープンの構成としてのバルブ装置(10)は、気体圧縮機(2)と、当該気体圧縮機(2)から供給される気体を貯留する気体タンク(7)と、の間の気体の流路をバイパスするバイパス流路(14、15)の開閉を行うバルブ装置(10)であって、前記気体圧縮機(2)および前記気体タンク(7)の少なくとも一方から気体が供給されて内圧が上昇し、前記気体圧縮機(2)側の減圧に伴い穴部(28)から気体が所定の時間(例えば30秒)をかけて流出して内圧が減少する容積室(11)と、前記容積室(11)と連通し、前記容積室(11)が所定圧に達した状態で前記気体圧縮機(2)側が減圧することで前記バイパス流路(14、15)を閉じ、その後前記容積室(11)の内圧が減少することで前記バイパス流路(14、15)を開く第1バルブ(22)と、を備え、前記第1バルブ(22)は、前記容積室(11)から独立して形成された気筒部(17)内をピストン(18)が摺動することで前記バイパス流路(14、15)を開閉する構成を備えることを特徴とする。
また、前記ピストン(18)の外周に前記ピストン(18)の移動方向に沿って適宜の間隔を空けて少なくとも三つのリング状の封止部材(21、21、21)が設けられることにより、前記気筒部(17)内が前記ピストン(18)の移動方向に沿って第1〜第4の空間(第1区画A、第2区画B、第3区画C、第4区画D)の順に、少なくとも四つに区画され、前記気筒部(17)の内壁には、前記バイパス流路(14、15)における前記気体圧縮機側流路(14)へ通じる第1の開口(14a)と、前記バイパス流路(14、15)における前記気体タンク側流路(15)へ通じる第2の開口(15a)とが、前記ピストン(18)の移動方向に所定の間隔を空けて形成されており、前記第1の空間(A)は、前記ピストン(18)の位置に拘わらず前記容積室(11)と常時連通する空間であり、前記第4の空間(D)は、前記ピストン(18)の位置に拘わらず前記第1の開口(14a)を内側に有する空間であり、前記第2の空間(B)は、閉鎖空間であり、前記第3の空間(C)は、前記ピストン(18)内に形成された連通路により前記第4の空間(D)と常時連通する空間であり、前記ピストン(18)は、付勢手段(20)によって、前記第1バルブ(22)を閉じる方向に付勢されており、前記気体圧縮機(2)から気体が供給されている状態では、前記第1の空間(A)において前記ピストン(18)に作用する圧力と、前記第4の空間(D)において前記ピストン(18)に作用する圧力と、のバランスにより前記第2の開口(15a)が前記第3の空間(C)内に位置した状態が維持されることで前記第1バルブ(22)が開状態となり、前記気体圧縮機(2)側の減圧により、前記第1の空間(A)において前記ピストン(18)に作用する圧力が、前記第4の空間(D)において前記ピストン(18)に作用する圧力に打ち勝って、前記第2の開口(15a)が前記第2の空間(B)内に位置するまで前記ピストン(18)を移動させることで第1バルブ(22)が閉状態となり、その後前記容積室(11)の内圧の減少により、前記第1の空間(A)において前記ピストン(18)に作用する圧力が減少し、前記付勢手段(20)の付勢力によって前記第2の開口(15a)が前記第3の空間(C)内に位置するまで前記ピストン(18)が戻されることで前記第1バルブ(22)が開状態となることを特徴とする。
またさらに、容積室11に流れ込む圧縮空気は、コンプレッサー2から供給される構成でもよいし、気体タンク7から供給される構成でもよい。また、コンプレッサー2および気体タンク7の両方から供給される構成でもよい。
【0085】
本実施例のバルブ装置10は、気体圧縮機であるコンプレッサー2と、コンプレッサー2から供給される気体を貯留する気体タンク7と、の間の気体の流路をバイパスするバイパス流路(14、15)の開閉を行うバルブ装置10であって、コンプレッサー2および気体タンク7の少なくとも一方から気体が供給されて内圧が上昇し、コンプレッサー2側の減圧に伴い穴部28から気体が所定の時間(例えば30秒)をかけて流出して内圧が減少する容積室11と、容積室11と連通し、容積室11が所定圧に達した状態でコンプレッサー2側が減圧することでバイパス流路(14、15)を開き、その後容積室11の内圧が減少することでバイパス流路(14、15)を閉じる第1バルブ22と、を備え、第1バルブ22は、容積室11から独立して形成された気筒部である第1気筒部17内をピストンである第1ピストン18が摺動することでバイパス流路(14、15)を開閉する構成を備えることを特徴とする。
【0086】
また、本実施例において、第1ピストン18の外周に第1ピストン18の移動方向に沿って適宜の間隔を空けて少なくとも三つのリング状の封止部材としてのOリング21、21、21が設けられることにより、第1気筒部17内が第1ピストン18の移動方向に沿って第1〜第4の空間である第1区画A、第2区画B、第3区画C、第4区画Dの順に、少なくとも四つに区画され、第1気筒部17の内壁には、バイパス流路(14、15)におけるコンプレッサー2側流路である第1流路14へ通じる第1の開口14aと、バイパス流路(14、15)における気体タンク7側流路である第2流路15へ通じる第2の開口15aとが、第1ピストン18の移動方向に所定の間隔を空けて形成されており、第1の空間である第1区画Aは、第1ピストン18の位置に拘わらず容積室11と常時連通する空間であり、第4の空間である第4区画Dは、第1ピストン18の位置に拘わらず第1の開口14aを内側に有する空間であり、第2の空間である第2区画Bは、第1ピストン18内に形成された連通路により第4区画Dと常時連通する空間であり、第3の空間である第3区画Cは、閉鎖空間であり、第1ピストン18は、付勢手段である第1ばね20によって、第1バルブ22を閉じる方向に付勢されており、コンプレッサー2から気体が供給されている状態では、第1区画Aにおいて第1ピストン18に作用する圧力と、第4区画Dにおいて第1ピストン18に作用する圧力と、のバランスにより第2の開口15aが第3区画C内に位置した状態が維持されることで第1バルブ22が閉状態となり、コンプレッサー2側の減圧により、第1区画Aにおいて第1ピストン18に作用する圧力が、第4区画Dにおいて第1ピストン18に作用する圧力に打ち勝って、第2の開口15aが第2区画B内に位置するまで第1ピストン18を移動させることで第1バルブ22が開状態となり、その後容積室11の内圧の減少により、第1区画Aにおいて第1ピストン18に作用する圧力が減少し、第1ばね20の付勢力によって第2の開口15aが第3区画C内に位置するまで第1ピストン18が戻されることで第1バルブ22が閉状態となることを特徴とする。
【0087】
またさらに、本実施例において、容積室11へ気体を充填するための第2バルブ25と、穴部28を介して容積室11から気体を排出するための第3バルブ26と、を備えることを特徴とする。
また、本実施例において、容積室11から穴部28を介して排出される気体は、大気排気口13から大気開放される構成であることを特徴とする。
【0088】
本実施例のエアードライヤ(5)は、再生可能な乾燥剤6を有する乾燥部5と、乾燥部5における流路の一端側に接続された再生用バルブ装置10と、を備え、乾燥部5は、コンプレッサー2およびエキゾーストバルブ3と、再生用バルブ装置10との間に設けられており、エキゾーストバルブ3が開放され、第1バルブ22が開状態のときに逆流する気体タンク7の気体を利用して乾燥剤6を乾燥させることを特徴とする。
【0089】
また本実施例のバルブ装置10は、容積室11と、該容積室11に設けられた吸気口(第3流路16により構成される)及び排気口(穴部28により構成される)と、前記容積室11に連通し、前記容積室11の圧力の変化に応じて所定の時間開もしくは閉するバルブ(第1バルブ22)とを備えたことを特徴とする。
【0090】
また本実施例は、気体圧縮機としてのコンプレッサー2と、コンプレッサー2から供給される気体を貯留する気体タンク7との間の供給流路にエアードライヤ5が配置されており、前記気体タンク7と前記エアードライヤ5との間の供給流路にエアードライヤ5側から気体タンク7側への気体の流れを許容するチェックバルブ8が設けられた圧縮空気供給システム(エアー処理システム1)において、容積室11に吸気口(第3流路16により構成される)及び排気口(穴部28により構成される)が設けられ、前記容積室11に連通し、容積室11内の圧力に応じて開閉するバルブ(第1バルブ22)を備え、第1バルブ22は気体タンク7とチェックバルブ8およびエアードライヤ5の乾燥剤とチェックバルブ8間を連通するパージ流路を開閉するために設けられていることを特徴とする。
【0091】
■■■[他の実施例1]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
続いて、他の実施例のエアー処理システム1におけるバルブ装置30の配管接続と、バルブ装置30の構造について説明する。
図6に示すのは、他の実施例のバルブ装置30の概略を示す断面図である。
図6に示す如く、他の実施例のバルブ装置30は、容積室11と、穴部31と、第1気筒部17と、第1ピストン18と、第1流路14と、第2流路15と、を有している。
尚、前述した実施例と同様の構成要素については同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0092】
他の実施例のバルブ装置30において、前述した実施例と異なる点がいくつかある。前述した実施例(
図2〜
図5参照)では、第3流路16を用いていたが、他の実施例では用いない。
また、前述した実施例(
図2〜
図5参照)では、第2気筒部23の第2ピストン24を移動させて、第2バルブ25および第3バルブ26の開閉を切り換えたが、他の実施例では、第2ピストン24を移動させない。他の実施例では、第2バルブ25が閉塞状態のままであり、第3バルブ26が開放状態のままである。つまり、第2バルブ25および第3バルブ26を開閉するバルブとして用いていない。尚、異なる点の理解を容易にするために参考までに図示はする。
【0093】
またさらに、前述した実施例(
図2〜
図5参照)では、穴部28は絞り弁12を介して大気排気口13と接続されていたが、他の実施例では、穴部31は絞り弁12を介して第1流路14と接続されている。
【0094】
続いて、他の実施例のエアー処理システム1におけるバルブ装置30の動作について、詳しく説明する。
図7に示すのは、他の実施例のエアー流入開始時におけるバルブ装置30の動作を示す断面図である。
前述した実施例と同様、エキゾーストバルブ3が閉塞した状態で、コンプレッサー2から圧縮空気が送られると、圧縮空気は、乾燥部5によって乾燥され、チェックバルブ8を介して気体タンク7に送られて貯蔵される。
【0095】
このとき、
図7に示す如く、第1流路14から第1気筒部17の第4区画Dへ圧縮空気が流れ込む。
また、第2流路15から第1気筒部17の第3区画Cに圧縮空気が流れ込むが、第1バルブ22が閉塞した状態である。従って、第3区画Cに流れ込んだ圧縮空気は、第1ピストン18に対しては何ら作用しない。
またさらに、第1流路14、絞り弁12および穴部31を介して容積室11に圧縮空気が徐々に流れ込む。従って、容積室11の気圧が徐々に高くなる。ここで、徐々に流れ込むのは、単位時間当たりに流入する量は絞り弁12によって調整されるからである。
【0096】
このとき、容積室11から第1気筒部17の第1区画Aへ、圧縮空気が流れ込む。ここで、第1気筒部17の第1区画Aの気圧と、第4区画Dの気圧との関係について説明する。穴部31から容積室11に圧縮空気が流れ込み始めた際、容積室11の気圧が徐々に高くなるため、前記流れ込み始めた時は、第1区画Aの気圧は、第4区画Dの気圧より低い。その後、容積室11の気圧が徐々に高くなり、第1区画Aの気圧は、第4区画Dの気圧と等しくなる。第1ピストン18は、当初から第1ばね20の付勢力によって第1区画A側に位置している。従って、第1区画Aの気圧が徐々に高くなり、第4区画Dの気圧と等しくなるまでの間、第1ピストン18は移動しない。つまり、第1バルブ22は閉塞状態のままである。
【0097】
図8に示すのは、他の実施例の開放直後のバルブ装置30の動作を示す断面図である。
前述した実施例と同様、気体タンク7の気圧の値が設定された所定の値に達するとプレッシャガバナ(図示せず)が、エキゾーストバルブ3を開放状態にする。そのため、第1流路14の気圧が一気に低下する。すると、第4区画Dの気圧が一気に低くなる。
一方、容積室11の圧縮空気は、穴部31を介して流出し始めるが、絞り弁12を介するため、単位時間当たりに流出する量が制限される。そのため、容積室11の気圧は徐々に低下する。
【0098】
従って、エキゾーストバルブ3を開放状態にした直後では、第1気筒部17の第1区画Aの気圧に対して、第4区画Dの気圧が一気に低くなる。つまり、バランスが崩れる。
そのため、
図8に示す如く、第1ピストン18は、第1ばね20の付勢力に抗して第4区画D側へ摺動する。これにより、第2区画Bと第2流路15とが繋がる。つまり、第1バルブ22は開放状態となる。
その結果、前述した実施例と同様、気体タンク7に貯蔵されていた圧縮空気が、第2流路15から、第1気筒部17の第2区画B、第1ピストン18の内部および第4区画Dを介して、第1流路14へ流れ込む。さらに、乾燥部5へ流れ、乾燥部5の乾燥剤6を再生して、エキゾーストバルブ3およびサイレンサー4を介して排出される。
【0099】
尚、気体タンク7からの圧縮空気が第2流路15から第2気筒部23へ流れ込もうとするが、第2ピストン24を、第2バルブ25が開く方向へ移動させるように作用する虞はない。この理由は、第1バルブ22が開放状態であり、第1流路14の気圧が第2流路15の気圧より著しく低く、気体タンク7からの圧縮空気が第2流路15から第1気筒部17を介して第1流路14へ積極的に流れるからである。さらに、第2ばね27の付勢力が作用しているからである。また、容積室11の気圧が高いからでもある。
【0100】
図9に示すのは、他の実施例の空気送り時間調整機能作用時のバルブ装置30の動作を示す断面図である。
図9に示す如く、
図8に示す状態から容積室11の圧縮空気が穴部31および絞り弁12を介してエキゾーストバルブ3から排出され続けると、容積室11の気圧が徐々に低下する。そして、大気圧と等しくなる。
【0101】
従って、前述した実施例と同様、第1区画Aの気圧と、第4区画Dの気圧とが釣り合った状態となる。すると、第1ばね20の比較的小さい付勢力によって、第1ピストン18は第1区画A側へ摺動する。つまり、第1バルブ22が閉塞状態となる。
その結果、気体タンク7の圧縮空気の第2流路15から第1気筒部17を介した第1流路14への流れが遮断される。
【0102】
以上、説明したように、エキゾーストバルブ3が開放状態となり、圧縮空気が容積室11から穴部31を介して流出し始めたときから、空気送り時間調整機能として、所定時間(例えば30秒)が経過したとき、気体タンク7の乾燥圧縮空気が乾燥部5に対して逆流するように、他の実施例のバルブ装置30は構成されている。
また、第1バルブ22の開閉状態を切り換える第1ピストン18は、容積室11から独立した第1気筒部17に設けられている。従って、第1ピストン18の形状の自由度を増すことができ、この点については、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
また、第1ピストン18を付勢する第1ばね20は、比較的小さい力で、第1区画Aの気圧と第4区画Dの気圧とが釣り合っているとき、第1ピストン18を摺動させる構成である。従って、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。
尚、他の実施例では、前述した実施例で用いた第2気筒部23、第2ピストン24、第2バルブ25および第3バルブ26を図示したが、これらを用いていない。前述した軸ずれ等を低減するための技術的思想としては、第3流路16、第2気筒部23、第2ピストン24、第2バルブ25および第3バルブ26が無くてもよい。
【0104】
■■■[他の実施例2]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
続いて、更に他の実施例に係るバルブ装置50について
図10及び
図11を参照しつつ説明する。ここで
図10、
図11は、他の実施例に係るバルブ装置50を搭載したエアードライヤ5’の断面を模式的に示した図である。尚、
図10及び
図11に示すエアードライヤ5’及びバルブ装置50において、既に説明した実施形態と同一構成には同一符号を付してあり、以下ではその説明は省略する。
【0105】
図10及び
図11に示すバルブ装置50は、既に説明した実施例とは異なり、止め部材19を廃止し、また当該止め部材に設けられるOリングや前記止め部材19を取り付ける為の固定リングも廃止して、部品点数の削減と低コスト化を図っている。
より詳しくは、
図10及び
図11において符号51はバルブ装置50の基体(エアードライヤ5’の基体)を構成するベース部材を示しており、このベース部材51に、容積室11と、第1気筒部17とが形成されている。
【0106】
第1気筒部17には第1ピストン18が収容され、その上で第1気筒部17の開口に蓋部材52が図示を省略する固定手段によって取付固定される。尚、蓋部材52に形成された開口部52aは、第1気筒部17と容積室11とを連通させる開口である。そして、容積室11が、図示を省略するねじによってベース部材51に取付固定され蓋部材53によって閉塞される様になっている。
【0107】
以上の構成を有するバルブ装置50は、既に説明したバルブ装置10と同様に、コンプレッサー2から圧縮空気が送られると、乾燥剤6によって乾燥処理された圧縮空気が気体タンク7に充填されるとともに、容積室11に圧縮空気が充填される(
図10の矢印)。尚、このとき第1バルブ22は閉じている。
【0108】
その後、気体タンク7内の圧力が所定の値に達し、エキゾーストバルブ3が開くと、第1バルブ22が開き、そして容積室11内の圧縮空気が絞り弁12を介して乾燥剤6の側に所定時間流れる(
図11の矢印)。その間、第1バルブ22が開いているので、その間に気体タンク7内の乾燥空気が乾燥材6を経由してエキゾーストバルブ3に向かって流れ、これにより乾燥剤6の乾燥処理が行われる。この様に、バルブ装置50を含めた全体の動作は、既に説明した実施例と同様である。
【0109】
そして本実施例におけるバルブ装置50によれば、
図2に示した実施例における止め部材19に代えてベース部材51(第1気筒部17の底部51a)それ自体を利用する構成であるので、止め部材19や止め部材19を取り付ける為の固定リング等も廃止して、部品点数の削減と低コスト化を図ることができる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。