【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、下壁と、上壁と、これら2つの壁を接続する少なくとも1つの補強要素とを有するプラスチック製燃料タンクであって、補強要素が中空のプラスチックピラーを含み、プラスチックピラーはその下部に開口を有し、かつその上部に開口を有し、下部開口と上部開口とがそれぞれピラーの充填とピラーのガス抜きを可能にするような位置に配置されており、少なくとも中空ピラーの一部がタンクで能動的役割を担う付属品の構成要素である。
【0011】
「燃料タンク」という用語は、種々の且つ多様な環境及び使用上の条件下において燃料を貯蔵できる不浸透性のタンクを意味すると解される。このタンクの一例は、自動車両又は自動車に取り付けられるタンクである。
【0012】
本発明の燃料タンクは、プラスチック、即ち、少なくとも1種類の合成樹脂ポリマーで作られる。
【0013】
全ての種類のプラスチックが適している。熱可塑性樹脂の種類に属するプラスチックが、特に適している。
【0014】
「熱可塑性樹脂」という用語は、熱可塑性エラストマーを含む任意の熱可塑性ポリマー並びにこれらのブレンドを意味すると解される。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーとコポリマー(特に、2成分又は3成分コポリマー)の両方を意味すると解される。かかるコポリマーの例は、非限定的に言えば、ランダムコポリマー、リニアブロックコポリマー、他のブロックコポリマー及びグラフトコポリマーである。
【0015】
用いられることが多いポリマーの1つは、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)により優れた結果が得られた。好ましくは、燃料タンクは、燃料を通さない樹脂、例えばEVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートのコポリマー)の層を更に有する。他の選択肢として、燃料に対して不透過性になるようにタンクを表面処理(フッ素化またはスルホン化)に付すことが可能である。
【0016】
本発明によるタンクは補強要素を含み、この補強要素はその下壁(車両において下向きに搭載された壁であり、燃料の重量により変形し得る)をその上壁(上向きに搭載され、使用中殆ど若しくは全く変形しない壁)に接続する。
【0017】
この要素は明らかに剛体、すなわち、タンクの寿命に亘って数mmを超えて変形せず、理想的にはlmm未満の変形である。
【0018】
本発明によれば、この要素は中空ピラー形状、すなわち略筒形状の中空体(それを構成する材料で充填されない内部容積の限界を定める壁)であり、その全長に亘って任意に変わる断面積、及びその全容積に対して無視できる割合(典型的に0.2%〜0.5%)を占める壁厚を有する。好ましくは、それは構造上の意味におけるピラーであり、すなわちその両端でより大きな断面積であり、その中心でより小さな断面積(言い換えれば、両端から中心に向かうにつれて減少する断面積)を有する筒状構造である。
【0019】
本発明によれば、ピラーは、ピラーに燃料が充填されることを可能にする下部開口と、好ましくはタンクの実質的に全範囲に亘って十分なレベルでガス抜きされることを可能にする上部開口とを含む。好ましくは、下部開口は、(製造上の制約とタンクが有効になるのに必要な寸法を考慮に入れて)タンクの下壁にできるだけ接近して位置付けしている。同様に、上部開口は、好ましくはタンクの最大の満杯レベルより上に位置しており、より好ましくは(製造上の制約とタンクが有効になるのに必要な寸法を考慮に入れて)タンクの上壁にできるだけ接近している。
【0020】
前の段落で言及したように、これらのオリフィスの寸法及び形状は、好ましくは、それらが有効に役割を遂行できるように構成される。形状は好ましくは実質的に環状(実際上製造が一般により容易)であるが、他の形状でも特に問題はない。
【0021】
寸法については、好ましくは以下のようなものである。
− 充填は十分な原動力で(過大な圧力低下を引き起こさずに)実行される。5mm〜10mm程度の直径を有するオリフィスが非常に適切である。
− ガス抜きは、充填オリフィスの圧力低下より大きな圧力低下をもたらさない。実際には、10〜15mmの直径は非常に適切である。
【0022】
前述の補強ピラーは、任意の耐燃料性のプラスチックに基づき、また、補強材がタンクに溶接される場合、好ましくは、補強材はタンクの(少なくとも表面の)プラスチックと相溶性のあるプラスチックに基づく。
【0023】
純HDPE、またはガラス繊維若しくは任意の他のタイプの充填剤(天然又は高分子の繊維)が充填されたHDPE、POM、PEEK等が適切であり得る。好ましくは、それらは射出成形によって製造されたプラスチックピラーである。また、それは2つの材料からなるピラーでもよく、1つがHDPEと相溶性のある材料で作られ、もう1つがわずかなゆがみ及び/又は変形しか生じない材料(POM、PA、PEEK、金属等)で作られてもよい。
【0024】
本発明によれば、少なくとも中空ピラーの一部は、タンクにおいて(ガス抜き、計量、燃料逆流防止機能等の)能動的役割を担う付属品の構成要素である。一般に、かかる付属品はチャンバー/ハウジングにおける少なくとも1つの能動部品を含んでおり、好ましくは、少なくとも中空ピラーの一部はこの場合、ハウジングの少なくとも一部を構成する。言い換えれば、中空ピラーの壁は、好ましくは付属品のハウジングの少なくとも一部を構成する。
【0025】
本発明の第1の有利な変形例によれば、中空ピラーは、その内部容積において、少なくとも一部の換気システムを含む。この換気システムは、一般にキャニスター又は別の汚染防止装置を介してタンクの内部を外部に接続する。この部分は、1つ又は2つ以上の構成要素の換気システムを含んでもよい。言い換えれば、この変形例において、中空ピラーが構成要素である付属品はタンクの換気システムの一部である。
【0026】
好ましい下位変形例において、中空ピラーは液体/蒸気分離器(すなわち、LVS(Liquid/vapour separator))、すなわち、燃料蒸気中に存在する蒸気の液滴の減少を促進するような内部幾何構造を有する中空の容積である。有利には、この分離器は、受動的でもよい(すなわち、弁(傘、ROV又はFLVV弁)のように、遮られた液体が例えば重力によって流れることを可能にする)し、能動的でもよい(すなわち、低い位置でポンプ吸引に接続している)排水装置を含む。また、それは、一般に障害物を構成する1セットのバッフルのような軽減レリーフを含む。この下位変形例において、中空ピラーの一部の壁は、好都合にLVSの側壁を構成する。言い換えれば、この変形例において、LVSは、ピラーの側壁の少なくとも一部によって構成される側壁を有するチャンバーによって画定される。
【0027】
別の好ましい下位変形例において、付属品はROV及び/又はFLVVタイプ弁であり、ピラーに組み込まれた能動的な要素はフロートである。この場合、中空ピラーの少なくとも一部は、フロートがスライドするチャンバーを構成する。
【0028】
これらの2つのサブ変形において、分離器と弁とは一般に、少なくとも1つの換気ラインに接続される。
【0029】
本発明の第2の有利な変形例によれば、中空ピラーは過充填予防装置(OPD(overfill prevention device))のためのハウジングとして作用する。この変形例において、中空ピラーの少なくとも一部は、OPDが設置されるチャンバーを構成する。このとき、様々なROVが入口でこのOPD装置に接続されてもよい。
【0030】
一つの好ましい下位変形例において、ピラー内でLVS機能及びOPD機能を組み合わせることが可能である。
【0031】
本発明の第3の有利な変形例によれば、中空ピラーは、燃料逆流防止装置として働き(言い換えれば、付属品は燃料逆流防止装置である)、この目的のために、その内部容積に燃料ポンプ用の少なくとも1つの吸引場所と、非常に特に好ましくは、ポンプが吸引する際に介するフィルターとを含む。
【0032】
本発明の第4の有利な変形例によれば、中空ピラーは容量計量器を含み、この容量計量器用の保護チャンバーとして作用する(すなわち、そのままで保護ハウジングとなっている)。この場合、その機能は以下の通りである。
− (燃料の移動による)波の影響を取り除き、それにより燃料油面測定ノイズを軽減すること。
− (測定要素の材料の選択により)寄生容量から測定要素を保護すること。
− この高感度な要素に堆積する燃料のフィルムの影響を低減すること。
【0033】
様々な前述の変形例が全く同一のタンク内で、又は全く同一のピラー内でさえ、組み合わせられてもよいことは注目されるべきである。
【0034】
また、本発明は上述されるようなタンクを製造する過程に関する。
【0035】
一般に、タンクは、管状パリソンを押し出し吹込成形すること(任意に、さまざまな種類のシートを製造するために2つの平坦な部分に切り分けること)、又は、2枚のシートを熱成形することによって得られるプラスチックタンクである。これらのプロセスはキャビティが2つある型を一般に必要とし、キャビティを組み立てる場合、その内部形状が、タンクの外部形状に実質的に相当する。一般に、適切な装置は、型内にパリソンを維持するか、又はさらに成形を補助するようにパリソン(又はシート)とキャビティの間を真空にすることを可能にする。
【0036】
第1の変形例において、一旦タンクが離型され冷却されたならば、中空ピラーをタンクに導入するための開口部を得るためにタンク
に切断部が設けられる。中空ピラーは、タンクの内面に、好ましくはタンクの下壁及び上壁に存在する、装着用レリーフに固定される。いかなるタイプのレリーフもこの目的に適していると言える。特に、ピラーの両端部が各壁でスライドされるダブテールレリーフは非常に適切である。そのようなレリーフは、例えば出願人名義の欧州特許第875411号明細書に述べられている。その内容は、この目的で、参照によって本明細書に援用される。
【0037】
第2の変形例において、(管状パリソンを任意に切断して得られた)シートが成形される。型は、上述のキャビティ以外にコアを含み、このコアは、タンクの成形中、特に、(特許文献1)に記載されているプロセスのステップd)において、タンクの(上及び下)壁にピラー又はこのピラーのための付属構造の装着を可能にする。
【0038】
用語「コア」は、また(特許文献1)に記載されているプロセスのステップb)〜d)においてキャビティ同士が接合されるのを予防するのにキャビティ間に挿入されるのに、適切なサイズ及び形状の部品を意味すると解される。そのような部品は、例えば英国特許第1,410,215号明細書に述べられている。その内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0039】
上述のプロセスのステップc)において、型のキャビティに対してパリソンを押圧し、タンク内のほとんどの内部要素を装着するために型へ加圧ガスを吹きつけるためにコアが使用されてもよい。
【0040】
第1の下位変形例において、ピラーは、クリップ(又は迅速な結合を可能にする別のレリーフ)を各々備えている2つの部品に分割される。この2つの部品はコアを使用するがクリップ固定することなく、(溶接またはリベット打抜によって)パリソンへ両側を装着される。この場合、離型後、タンクの収縮が2つの部品をクリップ固定するのに十分であるか、又は、タンクの壁に外圧を(手動で又は機械によって)加え、クリップ結合を行なう/増強する。
【0041】
第2の下位変形例において、ピラーは単一の部品である。また、ピラーはパリソンの内部の両側に溶接されることによりパリソンに取り付けられる。しかし、成形後収縮によりピラーがタンクに装着された場所で応力を導入しがちなため、この変形例はそれほど有利ではない。溶接による装着の場合には、コアは、好都合に加熱要素(鏡、フィラメント等)を含むラムを備えている。加熱要素は、補強要素の第1端部が溶接されている間、補強要素の第2端部(2番目に溶接される端部)を、熱い状態に維持することを可能にする。
【0042】
図1〜
図4の目的は、本発明の範囲を決して制限せずに、本発明の具体的な態様をいくつか図示することである。