(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
建物を建造する際に地盤中に設けられる基礎としては、ベタ基礎、布基礎、杭基礎など種々のものがある。これらは、建物の種類、地盤の状況、必要な費用などの諸条件に適したものが選択されるが、軟弱な表層土の厚みが相対的に深い箇所については、杭基礎が採用されることが多い。そして、杭基礎に用いられる杭としては鋼管杭やコンクリート杭があり、その設置方法としては、前者では回転圧入工法、後者では現場打設工法が用いられる例が多い。
【0003】
これらのうち、鋼管杭の回転圧入工法においては、施工中は回転による圧入を容易にし、施工後は地盤の支持力を高めるため、鋼管杭の地盤側端部にフィン(翼)を装着することが有効な手段として知られている。これは、施工中は回転モータの回転力がフィンによる推進力となること、施工後は地盤の支持力を鋼管杭の本体のみならずフィンにも受けることによる。結果として、工期の短縮や杭の数を減ずることができ、コストの低減化にとって有用な手段となっている。
【0004】
しかし、施工後の所定の支持力を得られる範囲内で、鋼管杭として可能な限り細いものを採用してコストの低減化を図る場合、回転圧入工法においては、地盤からの反力を受けるため、一定以下の径の鋼管杭を使用すると、地盤の状況によっては、回転モータによる回転力と地盤からの反力によりひずみを生じ、最悪の場合には、ねじ切れてしまうことがある。本発明者らは、このような状況を解決するため、フィンをロッド側に着脱可能に設けておき、掘削後、径の細い鋼管杭をロッド内に挿入して地盤中においてフィンに係合せしめてフィン付き鋼管杭とし、ロッドを回収する手段を提案した経緯がある。
【0005】
この提案において、その一例として、ロッドの外周にフィンとは別に連続する螺旋翼を設けておき、掘削時にはその効率を図るとともに、フィン付き鋼管杭が形成された後、ロッドを逆回転させつつ地上に引抜く際には、鋼管杭の周囲に掘削した土砂を締め固めて鋼管杭の支持力を向上させる役割を担わせるものがあった。しかし、掘削現場の地質などの条件によっては、掘削した土砂の締め固めが必ずしも十分でない場合も起こり得ることが判明し、本発明者は、その改善に鋭意取り組んできたところである。そして、以下に述べるように、ロッドの外周面に設けた螺旋翼に所定の切欠きを設けることによって、相応の効果を得ることができることを見出した。
【0006】
ところで、鋼管杭については、
図15(a)及び(b)に示すように、例えば特開平11−140869号号公報(特許文献1)において、(1)翼を利用して大きな地盤支持力が得られること、(2)翼を鋼管に取付ける手間と費用が低減できること、(3)翼から伝達される曲げモーメントにより、鋼管杭に過大な応力を発生させないこと、及び(4)強固な地盤まで鋼管杭をねじ込みにより埋設できることを目的とした翼付きねじ込み式鋼管杭が開示されている。この鋼管杭は、
図15に示すように、鋼管2の外周面に取付けた翼を利用してねじ込みにより地中に埋設する鋼管杭1において、鋼管杭1を構成する鋼管2の外周面の仮想螺旋3に沿って、複数の鋼製翼10a,10bを所定の間隔を隔てて取付けたものである。なお、本段落及び
図15において各要素に付された符号は、特許文献1の
図1及び
図16において記載されたものであり、本願明細書では本段落限りのものである。
【0007】
しかしながら、特開平11−140869号号公報(特許文献1)に記載の発明は、前述のとおり、ロッドではなく鋼管杭に関するものであり、本発明に係るロッドの外周面に設けた螺旋翼に関するものではない。すなわち、鋼管杭は地盤の掘削後、そのまま地盤中に残置され上部構造物を支持するものであるのに対し、ロッドは地盤の掘削後に地上に引き抜かれるものである。従って、このロッドを逆回転して引抜く際の土砂の鋼管杭周囲への締め固めを効果的に行うための螺旋翼への改善は、依然として望まれるところである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
1.第1の実施形態
図1(a)及び(b)は、本発明に係る第1の実施形態を示している。ロッド1は、中空のロッド本体2と、ロッド本体の外周面に所定の傾斜をもって取付けられた複数の羽根81とを備えている。複数の羽根81は、それらを連接したときに、ロッド本体2の外周面に連続する仮想的な螺旋翼82が形成されるように配置されている。ここで、羽根81は、ロッド本体2に固定されており、掘削対象の地盤の土質やロッド1の製造条件などに応じて任意の形状とすることができる。例えば、
図1(a)に示すような略長方形のものであってもよいし、
図1(b)に示すような略半月形のものであってもよい。図には記載していないが、切り欠いた略扇形などのものでも差し支えない。また、羽根が取付けられている傾斜も、特に限定されない。掘削対象の地盤の土質やロッド1の製造条件などに応じて任意の傾斜とすることができる。
【0018】
さらには、複数の羽根81を取り付ける間隔についても、種々の変形が可能である。
図1(a)及び(b)では、個々の羽根81は、仮想的な螺旋翼82をロッド本体2の長手方向に沿って周回ごとに一定の箇所を切り欠くことによって形成されているが、これに対し、例えば切り欠く箇所を周回ごとにずらすようにしてもよい。
【0019】
複数の羽根81は、連続する仮想的な螺旋翼82を形成しているが、その長手方向のピッチは任意に設定してよい。
図1(a)及び(b)では、螺旋翼の長手方向のピッチはロッド本体2の全長にわたって均一の場合を示しているが、これに限定される必要はなく、不均一とすることもできる。例えば、ピッチが相対的に密になっている区間と相対的に疎になっている区間が混在していてもよいし、また、第1の端部2aから第2の端部2bへ向かう方向に、ピッチが相対的に疎から密へ変化するようにしてもよい。
【0020】
また、仮想的な螺旋翼82の外周縁をロッド本体2の長手方向に結んでできる仮想的な立体形状は、ロッド1を用いる地盤などの条件に従って、好適なものを選択することができる。
図1(a)及び(b)では、仮想的な立体形状が円柱を形成する場合を示しているが、例えば、ロッド本体2から仮想的な螺旋翼82の外周縁までの直線距離を徐々に変化させることによって、円錐を形成するようにしもよい。
【0021】
以上のように、仮想的な螺旋翼82を切り欠いて形成した複数の羽根81を有することによって、ロッド1を地中に正回転しながら挿入する際には、複数の羽根81による土砂の掘削が円滑に行われるとともに、逆回転して引き抜く際には、羽根81同士の間に設けられた空間から掘削された土砂が地中に落下し、土砂が地上に掻き出されてしまうことを軽減することができる。連続する螺旋翼82の場合、掘削された土砂が付着する螺旋翼の面積が広いこと、あるいはピッチを隔てて隣り合う螺旋翼同士の間に掘削された土砂が挟まれた状態となることなどから、掘削された土砂の少なからぬ量がロッド1の引き抜きとともに地上に掻き出されてしまうが、第1の実施形態に係るロッド1は、このような問題を軽減することができる。
【0022】
2.第2の実施形態
次に、第2の実施形態について、
図2に基づいて第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図2では、複数の羽根81がロッド本体2の外周面に蝶番83を介して取り付けられている。蝶番83は、羽根81がロッド本体2の外周面に所定の傾斜をもって取り付けられるようにその外周面に固定されている。そして、その開度はいわゆる半開きのものであり、羽根81は、その傾斜軸に沿った平面と、その平面に直交する平面であって第1の端部2a又は第2の端部2bのいずれかの側(地盤を掘削する際の地中側)との間で自由に折り畳み可能となるように軸支されている。
【0023】
羽根81を折り畳む方向は、上方向であってもよいし、下方向であってもよい。掘削現場の地質構造に合わせて、いずれかを採用することができる。例えば、羽根81を上方向に折り畳み可能に取り付けた場合には、掘削を終わってロッド本体2を逆回転させて引き抜く際、羽根81が開いた状態となり、掘削した土砂を地中に締め固めることに貢献できる。この場合、羽根81は、掘削時には、土砂の圧力を受けて上方向に折り畳まれた状態となる。他方、羽根81を下方向に折り畳み可能に取り付けた場合には、羽根81は、ロッド1を地中に挿入する際、羽根81が開いた状態となり、地盤の掘削に貢献する。この場合、羽根81は、掘削を終了してロッド1を逆回転させながら引抜く際には、地盤の圧力から解放され、下方向に折り畳まれた状態となる。これにより、掘削された土が羽根81に付着して地上に掻き出されてしまうことを軽減する。
【0024】
3.第3の実施形態
次に、第3の実施形態について、
図3に基づいて第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図3では、ロッド本体2は、その第1の端部2aの内側にロッド本体2の長手方向と直交する方向に付勢された連結ピン23aを有する雄部23を、第1の端部2aとは反対側の第2の端部2bの内側に連結ピン23aの挿通孔24bを有する雌部24とを有している。あるロッド本体2の雌部24に他のロッド本体の雄部23を嵌合して連結ピン23aを挿通孔24bに係合することにより、それらのロッド本体2同士が互いに連結される。
【0025】
連結ピン23aは、図示していない付勢部材によってロッド本体2の長手方向と直交する方向であって外側に付勢されており、雌部24の外縁すなわちロッド本体2の外縁の範囲内で雄部23より突出するところでロックされるように形成されている。連結ピン23aは、雄部23を雌部24に嵌合すると雌部24の外縁によって内側に押込まれ、雌部24に設けられた挿通孔24bの位置に達したときに付勢部材によって外側に突出復帰し、挿通孔24bに係合する。
【0026】
このように構成することにより、あるロッド本体2が地中に存在する状態であっても、次のロッド本体2を地中に挿入することにより、深度に応じて、ロッド1の長さを調整することができる。
【0027】
4.第4の実施形態
上記した第1ないし第3の実施形態に係るロッド1に、地盤を掘削するための種々のフィンを取り付けた場合の形態について、以下、説明する。
【0028】
(第一例及び第二例)
図4及び
図5に示すように、第4の実施形態に係るロッド1は、中空の管であるロッド本体2と、ロッド本体2の地盤側端部の外周に固定して取り付けられた第1のフィン3と、ロッド本体の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4と、第2のフィン4をロッド本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構5とから構成されている。フック機構5の詳細は後述するが、
図4(a)並びに
図5(a)及び(b)は、フック機構5が第1のフィン3の表面下部に設けられている第一例を、
図4(b)並びに
図5(c)及び(d)は、フック機構5がロッド本体2の内部から外部に延在して設けられている第二例を示している。なお、
図4(a)並びに
図5(a)及び(b)では、煩雑さを避けるためフック機構5を可視できる手前側のみを図示しているが、反対側の第1のフィン3にも同様のフック機構5を対に設けている。また、仮想的な螺旋翼82を形成する複数の羽根81として、ここでは略長方形の形状をした羽根であって蝶番83を介してロッド本体2の外周面に取付けられているものを図示しているが、このタイプのものに限定されることを意味するものではない。ロッド本体2の外周面に固定されたものや半月形や扇形の形状のものであってもよい。この点、後記する第三例ないし第八例を説明する各図においても、図示したものに限定されないという点で同様である。
【0029】
ここでは、ロッド本体2は円筒形状をなしているが、中空の筒状をなしている限り、ロッド本体2の横断面は円形には限定されない。例えば、丸角の正方形などであってもよい。また、ロッド本体2を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製であってもよい。塩化ビニル製のロッド本体2の強度は、例えば鋼管からなるロッド本体2の強度よりも若干低いが、工事現場の地盤の状況などに適応したものを選択すればよい。
【0030】
第1のフィン3は、ロッド本体2の地盤側端部の外周に2葉の略扇形状の翼状部31,32が所定の角度をもってロッド本体2を中心として対称的に配置されている。第1のフィン3の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、1葉の環形状のものを螺旋に設けてもよい。さらに、上下に複数の段にわたって設けてもよい。また、第1のフィン3を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製などであってもよく、ロッド本体2の材質を勘案して適切なものを選択すればよい。さらにまた、
図4及び
図5に示すように、第1のフィン3はロッド本体2の地盤側端部の外周に蝶番35を介して折畳み可能に取付けられていてもよいし(
図4(a)並びに
図5(a)及び(b)参照)、固定されていてもよい(
図4(b)並びに
図5(c)及び(d)参照)。掘削している地盤の状況に応じて、より適した態様を採用することができるが、折畳み可能に設けた場合には、前述したロッド本体2の周囲に設けられた折畳み可能な羽根81と協働して、掘削現場の地質条件に応じて、より好ましい効果を得ることができる。第1のフィン3を折り畳む方向は、上方向であってもよいし、下方向であってもよい。掘削現場の地質構造に合わせて、いずれかを採用することができる。例えば、第1のフィン3を上方向に折り畳み可能に取り付けた場合には、掘削を終わってロッド本体2を逆回転させて引き抜く際、第1のフィン3が開いた状態となり、掘削した土砂を地中に締め固めることに貢献できる。この場合、第1のフィン3は、掘削時には、土砂の圧力を受けて上方向に折り畳まれた状態となる。他方、第1のフィン3を下方向に折り畳み可能に取り付けた場合には、ロッド1を地中に挿入する際、第1のフィン3が開いた状態となり、地盤の掘削に貢献する。この場合、第1のフィン3は、掘削を終了してロッド1を逆回転させながら引抜く際には、地盤の圧力から解放され、下方向に折り畳まれた状態となる。これにより、掘削された土が羽根81に付着して地上に掻き出されてしまうことを軽減する。なお、蝶番35を介した第1のフィン3を第一例に係る
図4(a)並びに
図5(a)及び(b)に図示し、第二例に係る
図4(b)並びに
図5(c)及び(d)に図示していないが、これは種々の態様が可能であることを示す趣旨であって、それぞれ図示されている態様に限定する趣旨ではない。この点、後記する第三例ないし第八例における第1のフィン3、3’、33において、固定されたものを図示のうえ説明しているが、これらについても、蝶番35を介して取り付けたものを採用できることはもちろんである。
【0031】
第2のフィン4は、ロッド本体2の地盤側端部の底面に当接してその開口を覆う略正方形をなす中央部41と、中央部41の4つの辺の各々から外側に延びる4個の翼状部42とから構成されている。中央部41のロッド本体側の面の中央には略三角形の突出部43が突設されている。後述するように、突出部43は、小さい径の鋼管杭6をロッド本体2の中に挿入する際のガイドとなるものである。
【0032】
4個の翼状部42の各々は中央部41に対して交互に上方及び下方に曲折されているが、やや詳しく説明すると、第1の翼状部42aは中央部41に対して上方に、第1の翼状部42aに隣接する第2の翼状部42bは中央部41に対して下方に、第2の翼状部42bに対向する第3の翼状部42cは中央部41に対して上方に、第3の翼状部42cに対向する第4の翼状部42dは中央部41に対して下方に、それぞれ曲折されている。換言すると、対角線上に位置する翼状部42が同じ方向に、すなわち、第1及び第3の翼状部42a、42cはともに中央部41に対して上方に、第2及び第4の翼状部42b、42dはともに中央部41に対して下方に、それぞれ曲折されている。
【0033】
発明者が行った実験によれば、翼状部42が中央部41に対して曲折する角度は15度乃至45度の範囲内にあることが好ましく、15度乃至30度の範囲内にあることがより好ましい。なお、第2のフィン4の形状はここで述べた形状に限定されるものではなく、例えば、中央部41は正方形でなくても、ロッド本体2の開口を覆うことができれば、任意の形状で差し支えない。翼状部42についても、長方形を斜めに曲折した形状でなくても、扇形状や環形状であってもよく、翼状部の枚数も適宜とすることができる。また、第2のフィン4を形成する材質は、金属製(例えば、鋼製)や塩化ビニル製などであってもよく、ロッド本体2の材質を勘案して適切なものを選択すればよい。
【0034】
フック機構5は、ロッド本体2と第2のフィン4を着脱可能に係合するためのものであって、前述したとおり、ここでは2つの例を記載している。すなわち、
図5(a)及び(b)は、フック機構5が第1のフィン3の表面下部に設けられている第一例を、
図5(c)及び(d)は、フック機構5がロッド本体2の内部から外部に延在して設けられている第二例を示している。
【0035】
第一例は、フック機構5が、第1のフィン3の表面下部に取付けられた基体部55と、基体部55の先端に設けられ第2のフィン4を係合する爪部56とから構成されている。ロッド1が回転圧入工法によって地盤中に回転圧入する際には、その正回転によって爪部56は自動的に第2のフィン4に係合し、ロッド1が地上に引き抜かれるため逆回転する際には、爪部56は自動的に第2のフィン4から離脱する。
【0036】
これに対し、第二例は、ロッド本体2の内部の支点54に垂直方向に回動可能に軸支された第1の腕部51と、第1の腕部の外側の端部51aに関節結合されロッド本体の外側に延伸する第2の腕部52と、第2の腕部の先端に設けられ第2のフィンを係合する爪部53とから構成されている。ロッド1を回転圧入工法によって地盤中に回転圧入する際、及び、何らかの理由により中途でロッド1を逆回転させて引き抜く際には、このフック機構5によって係合された第2のフィン4はロッド本体2とともに同一方向に回転することとなる。
【0037】
第二例では、第1の腕部51の内側の端部51bは、小さい径の鋼管杭6が第2のフィン4の中央部41に突設された突出部43にガイドされた際に、鋼管杭6の円周部が接触するように位置決めされている。従って、ロッド1が地盤中の所定の位置に達し、鋼管杭6がロッド本体2の中空部分に挿入されると、鋼管杭6の円周部が第1の腕部51の内側の端部51bを押し込むことにより、第2の腕部52が持ち上がり、爪部53が第2のフィン4から離脱することとなる。
【0038】
ここでは、第一例及び第二例いずれの場合もフック機構5が2つある例を示しているが、地盤の状況、第2のフィン4の形状などを勘案して、フック機構5を1つ又は3つ以上としてもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係るフィン付きロッド1を用いてフィン付き鋼管杭を設置し、地盤を改良する工法を説明する。
【0040】
先ず、ロッド本体2の地盤側端部の外周に第1のフィン3を蝶番35を介して取り付けた又は固定したロッド1を用意する。固定にあたっては、ロッド本体2及び第1のフィン3の材料に応じ、溶接等の方法を適宜に選択できる。
【0041】
次いで、ロッド本体2の地盤側端部の底面に第2のフィン4をその中央部41がロッド本体2の開口を覆うように当接させる。そして、フック機構5の爪部53を第2のフィン4の翼状部42に係合させる。
【0042】
次に、重機A(図示せず)に搭載された回転圧入装置B(図示せず)にロッド1の杭頭部を連結する。ここまでが、準備行為である。
【0043】
以上の構成及び準備行為を踏まえて、以下の方法により、フィン付きロッドを用いてフィン付き鋼管杭を設置する。
図6及び
図7を参照しつつ、フック機構5が第二例の場合について説明する。
図6及び
図7では、
図4及び
図5とは異なり、羽根81及び第1のフィン3の双方がそれぞれ蝶番83及び蝶番35を介してロッド本体2に取付けられている例を示している。
ここで、まず、
図6(a)について説明する。中空の管であるロッド本体2と、ロッド本体2の地盤側端部の所定の位置に蝶番35を介して取り付けられ
固定された第1のフィン3と、ロッド 本体2の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4 と、第2のフィン4をロッド本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構5とを、備えるロッド1を地盤中に回転圧入する(ステップ(a))。このときの状態 を
図6(a)に示す。ねじ込みに際しては、第2のフィン4の中央部41によってロッド 本体2の地盤側端部の底面は覆われているため、土砂はロッド本体2の中空部分にほとんど侵入することはない。また、この際、ロッド本体2の外周面には、複数の羽根81が仮想的な螺旋翼82を形成され開いた状態で設けられていることから、掘削する土砂を切込みなが ら正回転するため、掘削を効果的に行うことができる。この点、羽根81は、蝶番83によって軸支され、下方からの土砂の圧力によりロッド本体に
開いた状態で軸支され、蝶番83の開度の限界に達した 時点で所定の傾斜の状態に維持され、これにより、掘削を効果的に進行させることができる。
【0044】
次いで、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭6をロッド本体2の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィン4に当接するまで、第2のフィン4のロッド本体側の面の中央に突設されロッド本体の内部に貫入された突出部43に差し込む(ステップ(b))。鋼管杭としては、ロッドの中に挿入できる径を有し、施工後の強度を保てるものであれば特に限定はないが、例えば、単管パイプを好適な一例として使用することができる。そして、ステップ(b)の過程において、鋼管杭6がフック機構5を解除することにより、第2のフィン4をロッド本体2から解放する(ステップ(c))。
【0045】
次に、第2のフィン4とそれに当接した鋼管杭6を残置したまま、ロッド本体2を逆回転させつつ引き抜く(ステップ(d))。ステップ(d)の過程において、ロッド本体2と鋼管杭6の間の空間に土砂を埋戻す(ステップ(e))。このときの状態を
図6(b)に示す。引抜いたロッド1は再使用することができる。また、この際、ロッド本体2の外周面には複数の羽根81が仮想的な螺旋翼82を切り欠いた状態で設けられていることから、掘削された土砂を羽根81の間の空間から下方に落下させながら逆回転するため、地上に排出される土砂の量を軽減することができる。さらに、羽根81は、蝶番83によって軸支されており、この過程において、土砂からの圧力から解放され自重によって下方に折り畳まれている状態となるため、より一層の効果を発揮できる。さらにまた、第1のフィン3も、同様に、自重によって下方に折り畳まれることから、掘削した土砂が地中に容易に落下していくこととなる。
【0046】
ここで、フック機構5が解除されるプロセスは次のとおりである。鋼管杭6が、突出部43に差し込まれる過程で、突出部43の近傍に位置決めされた第1の腕部51の内側の端部51bをその円周部によって押し込むことにより、第2の腕部52が持ち上がり、爪部53が第2のフィン4から離脱する。
【0047】
図6では、フック機構5が前述した第二例の場合を図示したが、第一例の場合も、前述したフック機構5と第2のフィン4との係合及び離脱に係る具体的構成を除き、ロッド1を回転圧入及び引き抜いている状態は同様である。すなわち、フック機構5が第一例の場合にあっては、ロッド本体2が逆回転することにより爪部56は第2のフィン4から自動的に離脱してフック機構5が解除されることにより、第2のフィン4をロッド本体2から解放する(ステップ(c))。
【0048】
これにより、地中に残置された第2のフィン4とそれに当接した小さい径の鋼管杭6は、フィン付き鋼管杭として作用することとなる。
【0049】
次に、
図7について説明する。
図7(a)は、前述のとおり、第1のフィン3は
上方向に折り畳まれ、羽根81はロッド本体に
折り畳まれた状態に設けられている場合を示している。この場合、
図7(a)に示すように、ロッド本体2が正回転して土中に侵入していく際には、第1のフィン3及び羽根81がともに土砂の圧力を受けて折り畳まれている(ステップ(a))。従って、土 砂の掘削は、この場合、第2のフィン4によって行われることとなる。次いで、所定の位置に達して 回転圧入を止めた後、鋼管杭6をロッド本体2の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィン4に当接するまで、第2のフィン4のロッド本体側の面の中央に突設されロッド本体 の内部に貫入された突出部43に差し込み(ステップ(b))、鋼管杭6がフック機構5を解除することにより、第2のフィン4をロッド本体2から解放され(ステップ(c))、第2のフィン4とそれに当接した鋼管杭6を残置したまま、ロッド本体2を逆回転させつつ引き抜く(ステップ(d))。
図7(b)は、このステップ(d)の過程において、ロッド本体2と鋼管杭6の間の空間に土砂を埋戻す(ステップ(e))ときの状態を示すものである。
【0050】
図7(b)に示すように、この場合には、ロッド本体2を逆回転して引き抜く際に、第1のフィン3及びロッド本体2の外周に設けられている羽根81の双方が開いた状態となる。土中においてはロッド本体2の周囲に掘削された土砂が存在しているが、開いた状態の第1のフィン3と羽根81の作用により、掘削された土砂が下方に押し付けられ、土中に残置した第2のフィン4や鋼管杭6の周囲に締め固められていくこととなる。掘削現場の地質が相対的に支持力が低いような場合であっても、このような手段により支持力の改善を図ることができる。
【0051】
(第三例)
上述の第4の実施形態において、第1のフィン3を、ロッド本体2の地盤側端部の底面に固定されており、ロッド本体2の開口のうち中央の所定の範囲に対応する貫通口3aを有する第1のフィン3’としたこと以外は、第4の実施形態と同じである。以下に、第4の実施形態と異なる点のみを説明する。
【0052】
この形態では、第1のフィン3’を現場でロッド本体2に固定できる。例えば、
図8に示すように、ロッド本体2の地盤側端部の底面にボルト21を取り付けておき、ボルト21を貫通させる孔34を予め設けてある第1のフィン3’をボルト21に貫通させ、反対側をナット22で締め付けることにより固定することができる。
【0053】
ボルト21に対するナット22の締め付けは、溶接と比較して、作業としてははるかに容易であり、かつ、より短い時間で行うことが可能である。本願発明に係るロッド1そのものは鋼管杭として地盤中に残置されるものではなく、原則として何回も使用可能なものであり、現場あたり必要となるその本数は鋼管杭よりも少なくて済む。しかし、多くのロッドが必要となるような工事現場であるときには、外周にあらかじめフィンが固定されたロッドよりも、本実施形態ではロッド本体2と第1のフィン3’をそれぞれ別個に運搬できることから、運搬効率の向上を図ることができる。
【0054】
第1のフィン3’に設けられた貫通口3aは、第2のフィン4の突出部43をロッド本体2の中空部分へ挿入するのに妨げとならないようにするため設けられているものである。
【0055】
第1のフィン3’の形状は所望のものとすることができ、特に限定されない。例えば、上述の第2のフィン4と同じ形状のものであっても差し支えない。また、第1のフィン3’をロッド本体2に固定する手段も、回転圧入する際や逆回転させて引き抜く際にロッド本体2から脱落しない手段であれば、特に限定されることはなく、上述のボルト・ナットによる締め付けのほか、適切なオス・メスを設けて嵌合させてもよい。
【0056】
(第四例)
次に第四例について説明する。第四例は、上述の第4の実施形態において、第2のフィン4を略長方形の平板である第2のフィン4’とし、さらに第1のフィン3に蝶番71を介して回動可能に軸支された第3のフィン7を配置したものである。以下に、第4の実施形態と異なる点のみを説明する。
【0057】
この形態では、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくものである。すなわち、
図9(a)に示すように、第3のフィン7は、その第1の端部7aが蝶番71を介して回動可能に第1のフィン3に取り付けられており、反対側の第2の端部7bの先端が第2のフィン4’よりも下方に位置するように配置されている。後述するように、第2のフィン4’は第3のフィン7に係合されており、ロッド1が回転すると、第3のフィン7に押されて第2のフィン4’も一緒に回転する。第3のフィン7の取付け角度は掘削する場所の地質条件などを考慮して設定することができるが、水平方向に対し概ね60度の設定が好適である。第3のフィン7の所定の位置には、第2のフィン4’を係合するための凸部72が設けられており、この形態のフック機構を構成している。
【0058】
図9(b)は、ロッド1を逆回転させて引抜いている状態を示している。逆回転することによって第2のフィン4’は第3のフィン7から離脱し、挿入された鋼管杭6とともに土中に残留する。引抜いていく状態では、蝶番71が回動可能なことにより第3のフィン7はほぼ水平位置をとる。この際、第1のフィン3は鋼管杭6の周辺の土を下方に締め固める働きをする。
【0059】
第2のフィン4’は、
図10に示すように、その中央部44に突出部45を有している。突出部45はロッド1の開口内に挿入されるが、本形態の突出部45は、小さい径の鋼管杭6がロッド1に上方から差し込まれた際に、鋼管杭6を係止するための逆L字型の係止部45aが設けられている。鋼管杭6として、その内部の所定の位置に内径方向に跨るピンが設けられているものを用いれば、当該ピンをこの係止部45aに嵌合させることができる。当該ピンを設けている鋼管杭6は図示されていないが、一般的に知られているものを使用すればよい。この嵌合により、所定の深度まで掘削した後、鋼管杭6をロッド1内に挿入させ、鋼管杭6を土中に残留させたままロッド1を掘削時とは逆回転させて引抜く際、逆L字の横辺の延長方向と同じ方向に逆回転させることにより、鋼管杭6は突出部45から外れることはない。
【0060】
また、第2のフィン4’には、所定の方向に延伸部46が設けられている。この延伸部46を第3のフィン7の凸部72に係合させることにより、第2のフィン4’はロッド1から脱落せずに一緒に回転していく。
図10では、底面側の短辺方向に棒状のものを差し渡して延伸部46を設けているが、その形成方法はこれに限るものではない。例えば、第2のフィン4’の一部を一体成型して同様の延伸部46を設けてもよい。また、
図10では、延伸部46に水平方向に対し傾きを設けているが、これは、逆回転させたときに延伸部46が第3のフィン7の凸部72から外れやすくするためである。傾きを設けなくても外れるが、掘削対象の地質状況などに応じて設定すればよい。
【0061】
(第五例)
次に第五例について説明する。第五例は、
図11及び
図14に示すように、上述の第四例において、略長方形の平板である第2のフィン4’の下面の長手方向に、第2のフィン4’との交差状態を略T字状となるようにして縦板47を配置したものである。以下に、第四例と異なる点のみを説明する。
【0062】
この形態でも、第四例と同じように、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくのであるが、掘削する地層の土質によっては第2のフィン4’が撓んでしまうことがある。すなわち、第2のフィン4’の短辺周辺が土の圧力に負けて塑性変形し、めくれ上がるような状態を呈することがある。そのようになると、第2のフィン4’の短辺によって土を掻くことが困難となり、掘削効率に悪影響を与えるばかりでなく、掘削終了後の第2のフィン4’による支持力にもマイナスの要因となる。
【0063】
そこで、
図11及び
図14に示すように、第2のフィン4’の撓みを防止又は抑制するため、その下面の長手方向に、第2のフィン4’との交差状態を略T字状となるようにして縦板47を配置したものである。
図11では、縦板47は、第2のフィン4’の長手方向の中心線に沿って2つの短辺に接するように配置されている。その形状は略長方形であり、第2のフィン4’に接する上部端面の中央部は切欠けとなっており、第2のフィン4’の延伸部46を跨いでいる。
図14に縦板47を配置した第2のフィン4’の斜視図を示した。
【0064】
縦板47の上部端面を第2のフィン4’の下面に固定する手段としては溶接が好適であるが、実施にあたっては溶接に限る必要はなく、例えば縦板47をフランジ付きのものとし、フランジを第2のフィン4’にボルトによって取り付けてもよい。また、縦板47の形状や数量はそれぞれ略長方形や1枚に限るものではなく、第2のフィン4’の撓みを防止するに十分な形状や数量を掘削現場の状況に応じて適宜選択することができる。さらに、ここでは、第2のフィン4’の延伸部46を跨ぐために縦板47の上部端面に切欠けを設けているが、延伸部46が第2のフィン4’と一体成形され、その下面に張出していないような場合には、縦板に切欠けを設ける必要はない。
【0065】
(第六例)
次に第六例について説明する。第六例は、
図12に示すように、上述の第五例において、複数の別々の螺旋片で構成されている第1のフィン3を1枚の連続する螺旋形状の第1のフィン33とし、その下部端を複数ある第3のフィン7の少なくとも1つに当接して配置したものである。以下に、第五例と異なる点のみを説明する。
【0066】
この形態でも、第五例と同じように、第3のフィン7が第2のフィン4’に代えて又は加えてその他のフィンと協調して土を掘削していくのであるが、掘削する地層の土質によっては掘削の速度が低下することがある。
【0067】
そこで、
図12に示すように、地層の土質に応じて第1のフィン33と第3のフィン7との協調を促進させるため、第1のフィン33を第五例に比して大きな1枚の連続する螺旋形状としたものである。このように構成することにより、第五例では相対的に困難な掘削現場であっても、第1のフィン33の螺旋形状によってロッド本体2を下端方向へ押し込む力が強化され、ひいては第3のフィン7の掘削力も強化されることとなる。第1のフィン33の最終的な大きさや螺旋の角度などは掘削現場の状況に対し適宜対応することができるが、大きさはロッド本体2を一周する程度、その螺旋角度は40°ないし50°が好ましい。
【0068】
以上の構成を踏まえて、以下の方法により、フィン付きロッドを用いてフィン付き鋼管杭を設置する。
図9を参照しつつ、説明する。中空の管であるロッド本体2と、ロッド本体2の地盤側端部の所定の位置に固定された第1のフィン3と、ロッド本体2の地盤側端部の底面にその開口を覆うように着脱可能に係合された第2のフィン4’と、第1の端部が第1のフィン3に蝶番71を介して回動可能に軸支され、反対側の第2の端部の先端が第2のフィン4’よりも下方に位置するように配置された第3のフィン7と、第2のフィン4’をロッド本体2に着脱可能に係合するための少なくとも1つのフック機構とを備えるロッドを地盤中に回転圧入する(ステップ(f))。ねじ込みに際しては、第2のフィン4’の中央部44によってロッド本体2の地盤側端部の底面は覆われているため、土砂はロッド本体2の中空部分にほとんど侵入することはない。また、この際、ロッド本体2の外周面には複数の羽根81が仮想的な螺旋翼82を切り欠いた状態で設けられていることから、掘削する土砂を切込みながら正回転するため、掘削を効果的に行うことができる。この点、羽根81は、ロッド本体2の外周面に固定して設けられている場合はもちろんのこと、蝶番83によって軸支されている場合も、下方からの土砂の圧力により上方に開き、蝶番83の開度の限界に達した時点で所定の傾斜の状態に維持され、これにより、掘削を効果的に進行させることができる。
【0069】
次いで、所定の位置に達して回転圧入を止めた後、鋼管杭6をロッド本体2の地上側端部の開口から挿入し、第2のフィン4’に当接するまで、第2のフィン4’のロッド本体2側の面の中央に突設されロッド本体2の内部に貫入された突出部45に差し込み、突出部45に設けられた係止部45aに鋼管杭6を嵌合させる(ステップ(g))。鋼管杭6としては、ロッドの中に挿入できる径を有し、施工後の強度を保てるものであれば特に限定はないが、例えば、単管パイプを好適な一例として使用することができる。
【0070】
次に、フック機構を解除することにより第2のフィン4’を前記ロッド本体2から解放し、第2のフィン4’とそれに当接した鋼管杭6を残置したまま、ロッド本体2を逆回転させつつ引き抜く(ステップ(h))。ステップ(h)の過程において、ロッド本体2と鋼管杭6の間の空間に土砂を埋戻す(ステップ(i))。この際、第3のフィン7は、フック機構が解除されることにより、蝶番71の働きによってほぼ水平の位置をとる。また、この際、ロッド本体2の外周面には複数の羽根81が仮想的な螺旋翼82を切り欠いた状態で設けられていることから、掘削された土砂を羽根81の間の空間から下方に落下させながら逆回転するため、地上に排出される土砂の量を軽減することができる。さらに、羽根81は、蝶番83によって軸支されている場合にあっては、この過程において、土砂からの圧力から解放され自重によって下方に折り畳まれている状態となるため、より一層の効果を発揮できる。
【0071】
フック機構が解除されるプロセスは次のとおりである。フック機構が、第2のフィン4’の所定の位置に水平方向に延伸させた延伸部46と、延伸部46を係合するため第3のフィン7の所定の位置に設けられた凸部72を備えており、ロッドが逆回転することにより延伸部46と凸部72が離脱する。
【0072】
これにより、地中に残置された第2のフィン4’とそれに当接した小さい径の鋼管杭6は、フィン付き鋼管杭として作用することとなる。
【0073】
(第七例)
地中に残置された第2のフィン4’は、前述のとおり、建物等の基礎として支持力を提供するものであるが、地盤の状況の変化に伴い設置場所を変更したり、不要となったものを再利用したりするなどのため、回収の必要が生じることがある。このような場合、
図13に示すように、地中の第2のフィン4’の下面に差し込めるように構成した遠位端部92を有する脚部91を備えたロッド本体9を活用することができる。第2のフィン4’は地上と鋼管杭6を介して地上と繋がっており、ロッド本体9をこの鋼管杭6に被せるように地中に回転しながら挿入し、脚部91の遠位端部92が第2のフィン4’の下面に差し込まれた後も引き続き回転を加えることにより、第2のフィン4’を回収することができる。
【0074】
図13では、第三ないし第六例に採用している第2のフィン4’を回収するためのものとして図示しているが、第七例は第一及び第三例に採用している第2のフィン4を回収するためにも適用できることはもちろんである。すなわち、第一及び第三例に係るステップ(e)又は第三ないし第六例に係るステップ(i)の次に、第七例に係るロッド本体9を用いた第2のフィン4又は4’を回収するステップ(j)を行うことができる。
【0075】
(第八例)
以上述べた第一ないし第七例では、第2のフィン4又は4’とともに鋼管杭6が地中に残置されることにより、基礎地盤が改良されることとなる。ところで、このためには、ロッド本体2を逆回転させて地中から引き抜く際に、例えば、異物の混入などの理由により鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱してしまい、ロッド本体2とともに地上に回収されてしまうような事態は避けねばならない。地盤改良の意味がなく、また第2のフィン4又は4’も無駄になってしまうからである。鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱していないことを確認するためには、例えばその内部にCCDカメラを挿入して確認することなどが考えられるが、そのコストや手間を考えると、工事現場でそのような手段を採用することは現実的でない。
【0076】
そこで、例えば
図5(b)及び(d)に模式的に図示したように、鋼管杭6の地上側端面に確認棒61をロッド本体2の内部を介して載置し、鋼管杭6が第2のフィン4又は4’から離脱してロッド本体2の逆回転に伴い回転すると確認棒61も合わせて回転するようにすれば、地上にいる作業員が鋼管杭6と第2のフィン4又は4’との離脱の有無を容易に視認できることとなる。確認棒61が回転していないときは、鋼管杭6も回転しておらず第2のフィン4又は4’から離脱していないと判定することができる。このようにすれば、
図6(b)及び
図7(b)に示したように、鋼管杭6の地上側端面と地盤の表面とがほぼ面一な関係にあるためロッド本体2に遮られて視認できない鋼管杭6の動きを確認棒61を通じて確認でき、ロッド本体2が引き抜かれた後に鋼管杭6も回収されてしまっていたことが判明するような事態を予め避けることができる。確認棒61は、鋼管杭6と同じ材質や径のものを採用することができるが、それに限定される必要はなく、鋼管杭6に同調して回転するように構成されたものであればよい。確認棒61の頭部には、作業員が視認しやすいように、例えば色違い及び/又は大きさ・形状違いのキャップ61aを被せればより好ましい。なお、ここでは
図5(b)及び(d)のみに確認棒61を図示して説明したが、前述のとおり、確認棒61はすべての実施形態に適用できることは当然である。