(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両側装置は収納位置検出手段を有し、前記収納位置検出手段の検出結果に基づいて、前記タング部が前記収納状態であることを検出した場合に前記給電部を駆動させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシートベルト着脱検知装置。
前記シートベルトが収納状態の場合に、前記給電部の前記1次側コイルと前記充電部の前記2次側コイルとが対向していることを特徴とする請求項5に記載のシートベルト着脱検知装置。
前記車両側装置は車両用バッテリと接続されており、前記車両側装置は前記車両用バッテリの残容量が所定値よりも少ない場合には、前記給電部を動作させないように制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のシートベルト着脱検知装置。
前記車両側装置は報知装置を有し、無線通信によって前記シートベルト側通信部から前記蓄電部の残容量の値を取得し、取得した前記蓄電部の残容量の値が所定値よりも少ない場合には前記報知装置を駆動させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のシートベルト着脱検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来例では、装着する前にベルトを引き出すという予備動作及びタング部をバックル部に挿入するという装着動作によって発電した電力を用いているため、発電できる電力が少ない。このため、発電した電力で送信できる時間や回数を多くすることができず、電磁雑音等の影響で送信した信号が正しく受信できない場合等に、再送信を行うなど、継続的に送信を行って信頼性を確保することが困難であるという課題があった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するもので、継続的に着脱検知信号を送信可能で信頼性を確保することができるシートベルト着脱検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明のシートベルト着脱検知装置は、収納状態と引き出し状態とを有するシートベルトに支持されたタング部と、座席に設けられ、前記タング部を挿入保持することで前記シートベルトを装着状態とするバックル部と、前記タング部と前記バックル部との挿入保持状態を検知する装着検知部と、前記装着検知部の検知結果を無線信号で送信するシートベルト側通信部と、前記シートベルト側通信部と前記装着検知部に接続され、前記検知結果に基づいてシートベルトの装着状態を判別するとともに前記シートベルト側通信部を制御する制御部と、前記シートベルト側通信部に電力を供給する給電手段と、前記シートベルト側通信部と無線通信を行い、前記検知結果を受信する車両側装置と、を備え、前記給電手段は、電力を供給する給電部と、充電及び放電が可能な蓄電部と、前記蓄電部を充電する充電部と、を備え、前記給電部は前記シートベルトが収納状態の場合に前記充電部に電力を供給し、前記蓄電部を充電することを特徴とする。
【0011】
これによれば、蓄電部はシートベルトが収納状態にある場合に充電部によって充電されるので、乗車者がシートベルトを使用していないときは常時充電されることから、通信に必要な電力を供給することができる。このため、電磁雑音等の影響で送信した信号が正しく受信できない場合等に、再送信を行うことや、定期的に状態を送信することができる。従って、継続的に着脱検知信号を送信可能で信頼性を確保することができるシートベルト着脱検知装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記シートベルトを入出可能に支持するベルト支持部を有し、前記給電部は前記ベルト支持部に配置され、前記充電部と前記蓄電部は前記タング部に設けられ、前記シートベルトが収納状態の場合に、前記ベルト支持部と前記タング部とが対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、ベルト支持部に給電部を配置することから、給電部への電力供給は車両の固定配線と接続する容易な構造で可能となる。また、シートベルトが収納状態の場合に、ベルト支持部とタング部とが対向する位置に配置されているので、給電部と充電部を容易に接続することができる。このため、収納状態において容易に蓄電部を充電することが可能となる。
【0014】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記シートベルト側通信部が前記タング部に設けられていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、シートベルト側送通信部をタング部に設けることで、タング部内で蓄電部とシートベルト側送通信部とを簡単に接続することができる。このためシートベルト側通信部への給電を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記車両側装置は収納位置検出手段を有し、前記収納位置検出手段の検出結果に基づいて、前記タング部が前記収納状態であることを検出した場合に前記給電部を駆動させるように制御することを特徴とする。
【0017】
これによれば、タング部が収納状態であることを検出した場合にだけ給電部を駆動させるので、無駄に電力を消費することがなく、効率良く蓄電部を充電することができる。
【0018】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記給電部に1次側コイルが設けられ、前記充電部に2次側コイルが設けられ、前記1次側コイルに交流電流を通電することによって前記2次側コイルに起電力を発生させることを特徴とする。
【0019】
これによれば、1次側コイルと2次側コイルとが誘導結合することによって、給電部から充電部に電力を供給することができる。このためシートベルトが収納状態の場合にベルト支持部に設けられた給電部とタング部に設けられた充電部が近接するので確実に充電することができる。
【0020】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記シートベルトが収納状態の場合に、前記給電部の前記1次側コイルと前記充電部の前記2次側コイルとが対向していることを特徴とする。
【0021】
これによれば、シートベルトが収納状態の場合、1次コイルからなる給電部と2次コイルからなる充電部が対向する位置に配置されているので、乗車者が意識することなく、給電部から充電部への電力供給を確実行うことができる。
【0022】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記車両側装置は車両用バッテリと接続されており、前記車両側装置は前記車両用バッテリの残容量が所定値よりも少ない場合には、前記給電部を動作させないように制御することを特徴とする。
【0023】
これによれば、車両用バッテリの状態に応じて給電を行うことで、車両バッテリの消耗を防ぐことができる。
【0024】
また、本発明のシートベルト着脱検知装置は、前記車両側装置は報知装置を有し、無線通信によって前記シートベルト側通信部から前記蓄電部の残容量の値を取得し、取得した前記蓄電部の残容量の値が所定値よりも少ない場合には前記報知装置を駆動させることを特徴とする。
【0025】
これによれば、蓄電部の残容量の値が少なくなった場合に報知部が駆動されるので、長時間蓄電部が充電されなかったり、蓄電部が劣化して容量が低下したりする現象を使用者に知らせることができる。このため蓄電部の充電状態を適切に保つことや、蓄電部を交換する等の保守を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上により、本発明のシートベルト着脱検知装置によれば、継続的に着脱検知信号を送信可能で信頼性を確保することができるシートベルト着脱検知装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるシートベルト着脱検知装置100について説明する。
【0029】
まず始めに本実施形態におけるシートベルト着脱検知装置100の構成について
図1ないし
図7を用いて説明する。
図1は、シートベルト着脱検知装置100の構成を示すブロック図である。
図2は、タング部10とバックル部20の外観及び設置状態を説明する図である。
図3は、シートベルト60を装着する前のタング部10とバックル部20を示す図である。
図4は、シートベルト60を装着した状態のタング部10とバックル部20を示す図で、
図4(a)は、タング部10がバックル部20に挿入保持された際の外観を示す図で、
図4(b)は
図4(a)に示すA‐A断面を示す図である。
図5は、
図2に示すセンターピラー70の部分拡大図で、ベルト支持部71とタング部10との位置関係を説明する図である。
図6は、ベルト支持部71の内側に備えられた給電部31と収納検知部34の設置位置を説明する図である。
図7は、ベルト支持部71とタング部10との位置関係を説明する図で、
図5に示すB‐B断面を示す図である。
【0030】
シートベルト着脱検知装置100は、
図1に示すように、タング部10と、バックル部20と、車両側装置30と、車両用バッテリ40と、を備えている。また、車両側装置30は、車内LAN50に接続されており、車内LAN50を介して、車両内の少なくとも1つの制御装置200と接続され相互に通信を行い、車両の動作状態についての情報を取得することや、車両側装置30から情報を伝達することができる。
【0031】
タング部10は、
図1に示すように、装着検知部11と、シートベルト側通信部12と、制御部13と、蓄電部14と、充電部15と、第1磁石16と、を有している。また、タング部10は、
図2及び
図3に示すように板状のタング板17と、略直方体の外観形状のハウジング18を有しており、シートベルト60に対するハウジング18の支持位置が移動可能な状態で、シートベルト60に支持されている。タング部10に設けられた装着検知部11とシートベルト側通信部12と制御部13と蓄電部14と充電部15と第1磁石16は、ハウジング18の内部に収納されており、タング板17はハウジング18に固定されている。
【0032】
バックル部20は、
図2に示すように座席80に設けられており、
図1に示すように、第2磁石21を有している。また、バックル部20には、
図3に示すように、タング部10のタング板17が挿入される挿入口20aが設けられている。シートベルト60を装着する際には、
図3に示すようにタング部10のタング板17がバックル部20の挿入口20aに向けられた状態から、
図4(a)に示すようにバックル部20にタング部10を挿入保持することで、シートベルト60を装着状態とする。また、バックル部20には
図4(b)に示すように、タング部10を支持する支持機構22及び、タング部10の支持を解除する解除機構23などが備えられている。
【0033】
車両側装置30は、
図1に示すように、給電部31と、車両側通信部32と、車両側制御部33と、収納検知部34と、報知装置35と、を有している。また、車両側装置30は車両用バッテリ40と接続されている。
【0034】
車両用バッテリ40は、車両側装置30に接続されており、車両側装置30に電力を供給する。
【0035】
シートベルト60は、非装着時に車両のセンターピラー70の内側に設けられた収納部に収納されている収納状態となり、シートベルト60を装着する場合には収納部から引き出された引き出し状態となる。
図2ではシートベルト60の収納状態を示している。
【0036】
センターピラー70には
図5に示すように、シートベルト60が収納部に入出可能に支持するベルト支持部71を有している。ベルト支持部71は、シートベルト60が収納状態の場合に、タング部10が対向する位置に配置されている。
【0037】
タング部10に設けられた装着検知部11は、磁気抵抗素子やホール素子等の磁気検知素子を用いて構成されており、装着検知部11に加わる磁界の状態を検知し、検知結果を出力する。そのため、タング部10がバックル部20に挿入保持された場合、
図4に示すように、バックル部20に備えられた第2磁石21がタング部10に備えられた装着検知部11に接近することで、タング部10とバックル部20との挿入保持状態を検知することができる。また、装着検知部11の出力は制御部13に接続されている。
【0038】
タング部10に設けられたシートベルト側通信部12は、車両側装置30と無線信号で通信するため通信機能を有している。また、シートベルト側通信部12は、制御部13に接続されており、制御部13によって通信動作を制御される。シートベルト側通信部12は、車両側装置30から送信された無線信号を受信し、受信結果を制御部13へ出力し、また制御部13から出力される信号に基づいて送信信号を車両側装置30へ送信する。
【0039】
タング部10に設けられた制御部13は、装着検知部11とシートベルト側通信部12と蓄電部14とに接続されている。制御部13は、装着検知部11の検知結果として出力される検知信号に基づいてシートベルト60の装着状態を判別するとともに、蓄電部14の出力電圧を検知する。また、制御部13は、シートベルト側通信部12を制御し検知結果に基づいて判別したシートベルト60の装着状態や、蓄電部14から取得した出力電圧の値を演算した結果などを車両側装置30へ送信する。また、制御部13にはタイマ機能やメモリ(図示せず)が備えられ、タイマ機能による制御間隔の管理や、取得した蓄電部14の出力電圧の値を演算した結果や検知信号の値を記憶することなどを行うことができる。
【0040】
タング部10に設けられた蓄電部14は、充電及び放電が可能なリチウムイオン電池等の2次電池やキャパシタ等、が用いられる。蓄電部14が充電によって蓄えた電力は、制御部13を介して装着検知部11及びシートベルト側通信部12に供給される。また、蓄電部14には充電部15が接続されている。
【0041】
タング部10に設けられた充電部15には
図5に示すように2次側コイル15aが設けられている。2次側コイル15aはタング部10の内部で、シートベルト60が収納状態の場合に2次側コイル15aがベルト支持部71と向かうように設置されている。充電部15は、蓄電部14に接続されており、車両側装置30に備えられた給電部31と電気的に結合することで給電部31から電力が供給され、供給された電力を蓄電部14に充電するのに適した状態に変換して、蓄電部14を充電する。
【0042】
タング部10に設けられた第1磁石16は、シートベルト60が収納状態の場合に車両側装置30に備えられた収納位置検出手段としての収納検知部34に接近する位置に配置されている。
【0043】
バックル部20に設けられた第2磁石21は
図4(b)に示すように、シートベルト60が装着されている場合にタング部10に備えられた装着検知部11に接近する位置に配置されている。
【0044】
車両側装置30に設けられた給電部31には1次側コイル31aが設けられている。給電部31の1次側コイル31aは、
図6に示すように、センターピラー70の内側にベルト支持部71の内部に配置されている。シートベルト60が収納状態の場合には、
図6及び
図7に示すように、車両側装置30に備えられた給電部31の1次側コイル31aが、タング部10に備えられた充電部15の2次側コイル15aと対向する位置に配置されている。給電部31は、車両側制御部33に接続されており、給電部31は、車両側制御部33の制御に基づいて動作状態または非動作状態に制御される。
【0045】
給電部31が動作状態の場合には、1次側コイル31aに交流電流を通電することによって、タング部10に備えられた充電部15の2次側コイル15aに起電力を発生させることで充電部15に電力が供給される。車両側装置30に備えられた給電部31と、タング部10に備えられた充電部15と蓄電部14とで、タング部10に備えられた装着検知部11、シートベルト側通信部12及び制御部13に電力を供給する給電手段として機能する。
【0046】
車両側装置30に設けられた車両側通信部32は、シートベルト側通信部12と無線通信を行うための通信機能を有している。また、車両側通信部32は、制御部13に接続されており、車両側制御部33によって通信動作を制御される。また、車両側通信部32は、シートベルト側通信部12から送信された無線信号を受信し、シートベルト60の装着状態の検知結果を車両側制御部33へ出力し、車両側制御部33から出力される信号に基づいて送信信号をシートベルト側通信部12へ送信する。
【0047】
車両側装置30に設けられた車両側制御部33は、給電部31と車両側通信部32と収納検知部34と報知装置35と、に接続されている。車両側制御部33は、収納検知部34の検出結果に基づいてシートベルト60の収納状態を判別するとともに、シートベルト60が収納状態であると判断した場合に、充電部15に電力を供給するために給電部31を駆動するように制御する。また車両側制御部33は、車両側通信部32を制御しシートベルト側通信部12と無線通信を行う。車両側制御部33は、車両用バッテリ40と接続され、車両用バッテリ40の出力電圧を検知する。車両側制御部33はまた、車両側制御部33にはタイマ機能やメモリ(図示せず)が備えられ、タイマ機能による制御間隔の管理や、取得した収納検知部34の検知結果を記憶することなどを行うことができる。
【0048】
車両側装置30に設けられた収納検知部34は、磁気抵抗素子やホール素子等の磁気検知素子を用いて構成されており、収納検知部34に加わる磁界の状態を検知し、検知結果を車両側制御部33に出力する。収納検知部34は、
図6及び
図7に示すように、センターピラー70の内側にベルト支持部71の内部に配置されている。シートベルト60が収納状態の場合には、
図6及び
図7に示すように、車両側装置30に備えられた収納検知部34が、タング部10に備えられた第1磁石16とする位置に配置されている。そのため、シートベルト60が収納状態となり、タング部10がベルト支持部71と向かい合う位置に支持されると、収納検知部34にタング部10の第1磁石16が接近するので、シートベルト60が収納状態を検知することができる。このように収納検知部34は収納位置検出手段として機能する。
【0049】
車両側装置30に設けられた報知装置35は、車両側制御部33に接続されており、報知装置35は、車両側制御部33の制御に基づいて音声や表示によって使用者への報知動作を行うように制御される。
【0050】
次に、シートベルト着脱検知装置100のタング部10の動作について、
図8を用いて説明する。
図8は、シートベルト着脱検知装置100のタング部10の動作手順を示したフローチャートである。
図8のフローチャートで示された処理手順は、タング部10に備えられた制御部13に内蔵されているタイマ機能などによって定期的に繰り返して行われる。また、制御部13に含まれるメモリには、動作状態や装着検知部11から取得した検知信号を記憶する記憶領域が設定されているものとして説明を進める。
【0051】
制御部13は、
図8のフローチャートで示された手順S1_1で、制御部13に含まれるメモリの記憶領域に記憶されている検知信号の読み出しを行う。
【0052】
手順S1_2で制御部13は、装着検知部11を制御し検知信号を取得し、手順S1_3に移行する。
【0053】
手順S1_3で制御部13は、手順S1_1で読み出した検知信号と、手順S1_2で取得した検知信号の比較を行い、状態に変化があれば手順S1_4に移行し、同じであれば手順S1_5に移行する。
【0054】
手順S1_4では、手順S1_3で状態の変化があったと判断されたため、制御部13は短い送信間隔として200msecを第1送信間隔として設定し、手順S1_6に移行する。
【0055】
手順S1_5では、手順S1_3で状態の変化がなかったと判断されたため、制御部13は長い送信間隔として60secを第2送信間隔として設定し、手順S1_6に移行する。
【0056】
手順S1_6で制御部13は、手順S1_2で取得した検知信号からシートベルト60の装着状態を判断し、装着状態と判断した場合には手順S1_7に移行し、非装着状態と判断した場合には手順S1_8に移行する。
【0057】
手順S1_7では、手順S1_6でシートベルト60が装着状態であると判断されたため、制御部13はシートベルト側通信部12を制御し、手順S1_4または手順S1_5で設定された時間間隔でシートベルト60の装着を示す装着信号を送信する。制御部13は、シートベルト側通信部12の制御を終了後に手順S1_9に移行する。
【0058】
手順S1_8では、手順S1_6でシートベルト60が非装着状態であると判断されたため、制御部13はシートベルト側通信部12を制御し、手順S1_4または手順S1_5で設定された時間間隔でシートベルト60の非装着を示す装着信号を送信する。制御部13は、シートベルト側通信部12の制御を終了後に手順S1_9に移行する。
【0059】
手順S1_9で制御部13は、手順S1_2で取得した検知信号をメモリの記憶領域に記憶し、手順S1_10に移行する。
【0060】
手順S1_10で制御部13は、蓄電部14の出力電圧の値を取得し、手順S1_11に移行する。
【0061】
手順S1_11で制御部13は、蓄電部14の充電完了を判断するための第1閾値と手順S1_10で取得した蓄電部14の出力電圧の値とを比較し、出力電圧の値が第1閾値以上であれば手順S1_12に移行する。また、比較した結果、出力電圧の値が第1閾値未満の場合には手順S1_13に移行する。
【0062】
手順S1_12では、手順S1_11で蓄電部14が充電完了と判断されたので、制御部13はシートベルト側通信部12を制御し、充電完了を示す充電完了信号を送信し動作を終了する。
【0063】
手順S1_13で制御部13は、手順S1_10で取得した蓄電部14の出力電圧の値と蓄電部14の残容量の値が所定値よりも少ないことを判断するための第2閾値と、を比較し出力電圧の値が第2閾値以下であれば手順S1_14に移行する。また、比較した結果、出力電圧の値が第2閾値より大きい場合には手順S1_13には動作を終了する。
【0064】
手順S1_14では、手順S1_13で、蓄電部14の残容量の値が所定値よりも少ないと判断されたので、制御部13はシートベルト側通信部12を制御し、蓄電部14が穂電状態であることを示す放電状態信号を送信し動作を終了する。
【0065】
次に、シートベルト着脱検知装置100の車両側装置30の動作について、
図9を用いて説明する。
図9は、シートベルト着脱検知装置100の車両側装置30の動作手順を示したフローチャートである。
図9のフローチャートで示された処理手順は、車両側装置30に備えられた車両側制御部33に内蔵されているタイマ機能などによって定期的に繰り返して行われる。また、車両側制御部33に含まれるメモリには、動作状態や収納検知部34から取得した検知信号を記憶する記憶領域が設定されているものとして説明を進める。
【0066】
車両側制御部33は、
図9のフローチャートで示された手順S2_1で、車内LAN50を介して接続されている制御装置200から車両の動作状態の情報を取得し、手順S2_2に移行する。
【0067】
手順S2_2で車両側制御部33は、手順S2_1で取得した車両の動作状態の情報からエンジンの動作状態を判断し、エンジンが動作している場合には手順S2_3へ移行し、エンジンが停止している場合には動作を終了する。
【0068】
手順S2_3で車両側制御部33は、車両用バッテリ40の出力電圧の値を取得し、手順S2_4に移行する。
【0069】
手順S2_4で車両側制御部33は、手順S2_3で取得した車両用バッテリ40の出力電圧の値と、車両用バッテリ40の残容量が所定値よりも少ないことを判断するための閾値と、を比較し出力電圧の値が閾値以上であれば手順S2_5に移行する。また、比較した結果、車両用バッテリ40の出力電圧の値が閾値より低い場合には手順S2_11に移行する。
【0070】
手順S2_5で車両側制御部33は、手順S2_1で取得した車両の動作状態の情報から、キーレスエントリ等の無線通信等が行われているかの確認を行い、動作に影響を与える可能性のある動作が行われていない場合には手順S2_6に移行する。動作に影響を与える可能性がある動作が行われていると判断した場合には手順S2_11に移行する。
【0071】
手順S2_6で車両側制御部33は、収納検知部34を制御し検知信号を取得し、手順S2_7に移行する。
【0072】
手順S2_7で車両側制御部33は、手順S2_6で取得した検知信号からシートベルト60の状態を判断し、収納状態と判断した場合には手順S2_8に移行し、収納状態ではないと判断した場合には手順S2_11に移行する。
【0073】
手順S2_8で車両側制御部33は、無線通信によってタング部10のシートベルト側通信部12から送られた蓄電部14の情報を取得し、手順S2_9に移行する。
【0074】
手順S2_9で車両側制御部33は、手順S2_8で取得した蓄電部14の情報から、蓄電部14が充電完了状態ではない場合には手順S2_10に移行し、充電完了状態の場合には手順S2_11に移行する。
【0075】
手順S2_10では、車両のエンジンが動作しており、車両用バッテリ40の残容量が所定の値以上であり、他の通信など動作に影響を与える可能性のある動作が行われておらず蓄電部14が充電完了状態ではないという条件がそろっている状態である。このため車両側制御部33は給電部31を駆動させて充電部15に電力を供給し、蓄電部14を充電するように制御し、手順S2_12に移行する。
【0076】
手順S2_11では、車両用バッテリ40の残容量が所定の値以下である、または、他の通信など動作に影響を与える可能性のある動作が行われている、あるいは蓄電部14が充電完了状態である、などのいずれか状態である。このため車両側制御部33は給電部31を動作させないように制御し、手順S2_12に移行する。
【0077】
手順S2_12で車両側制御部33は、手順S2_8で取得した蓄電部14の情報から、蓄電部14が放電状態の場合には手順S2_13に移行し、放電状態ではない場合には手順S2_14に移行する。
【0078】
手順S2_13では、手順S2_12でタング部10に備えられた蓄電部14の残容量の値が所定値よりも少ない放電状態と判断されたため、車両側制御部33は報知装置35を駆動するように制御して手順S2_14に移行する。報知装置35が報知動作を行うため、使用者はタング部10の蓄電部14が放電状態であることを認識することができるので、充電を行うことや、蓄電部14の劣化の有無を確認するなど適切な処置を行うことができる。
【0079】
手順S2_14で車両側制御部33は、無線通信によってタング部10のシートベルト側通信部12から送られたシートベルト60の装着信号を取得し、手順S2_15に移行する。
【0080】
手順S2_15で車両側制御部33は、手順S2_14で取得した装着信号が、装着の場合には手順S2_16に移行し、非装着の場合には手順S2_17に移行する。
【0081】
手順S2_16では、手順S2_15でシートベルト60が装着されていると判断されたので、車両側制御部33は車内LAN50を介して接続されている制御装置200にシートベルト60の非装着状態を警告する表示をオフする制御信号を出力し、動作を終了する。
【0082】
手順S2_17では、手順S2_15でシートベルト60が非装着であると判断されたので、車両側制御部33は車内LAN50を介して接続されている制御装置200にシートベルト60の非装着状態を警告する表示をオンする制御信号を出力し、動作を終了する。
【0083】
以上のように、無線通信で取得した、シートベルト60の装着状態を表す信号に基づいて非装着状態を警告する表示をオンまたはオフするシートベルト着脱検知装置として動作する。
【0084】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0085】
本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、シートベルト60に支持されたタング部10と、座席80に設けられ、タング部10を挿入保持することでシートベルト60を装着状態とするバックル部20と、車両側装置30と、を備え、タング部10は装着検知部11と、シートベルト側通信部12と、制御部13と、を有し、給電部31と、蓄電部14と、充電部15と、備えた給電手段を構成し、給電部31はシートベルト60が収納状態の場合に充電部15に電力を供給し、蓄電部14を充電するよう構成した。
【0086】
これにより、蓄電部14はシートベルト60が収納状態にある場合に充電部15によって充電されるので、使用者がシートベルト60を使用していないときは常時充電されることから、通信に必要な電力を供給することができる。このため、電磁雑音等の影響で送信した信号が正しく受信できない場合等に、再送信を行うことや、定期的に状態を送信することができる。従って、継続的に着脱検知信号を送信可能で信頼性を確保することができるシートベルト着脱検知装置を提供することができる。
【0087】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、シートベルト60を入出可能に支持するベルト支持部71を有し、給電部31はベルト支持部71に配置され、充電部15と蓄電部14はタング部10に設けられ、シートベルト60が収納状態の場合に、ベルト支持部71とタング部10とが対向する位置に配置されるように構成した。
【0088】
これにより、ベルト支持部71に給電部31を配置することから、給電部31への電力供給は車両の固定配線と接続する容易な構造で可能となる。また、シートベルト60が収納状態の場合に、ベルト支持部71とタング部10とが対向する位置に配置されているので、給電部31と充電部15を容易に接続することができる。このため、収納状態において容易に蓄電部14を充電することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、シートベルト側通信部12をタング部10に設ける構成とした。
ことを特徴とする。
【0090】
これにより、タング部10の内部で蓄電部14とシートベルト側通信部12とを簡単に接続することができる。このためシートベルト側通信部12への給電を容易に行うことができる。
【0091】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、車両側装置30は収納位置検出手段として収納検知部34を有し、収納位置検出手段の検出結果に基づいて、タング部10が収納状態であることを検出した場合に給電部31を駆動させるように制御するように構成した。
【0092】
これにより、タング部10が収納状態であることを検出した場合にだけ給電部31を駆動させるので、無駄に電力を消費することがなく、効率良く蓄電部14を充電することができる。
【0093】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、給電部31に1次側コイル31aを設け、充電部15に2次側コイル15aを設け、1次側コイル31aに交流電流を通電することによって2次側コイル15aに起電力を発生させるように構成した。
【0094】
これにより、1次側コイル31aと2次側コイル15aとが誘導結合することによって、給電部31から充電部15に電力を供給することができる。このためシートベルト60が収納状態の場合にベルト支持部71に設けられた給電部31とタング部10に設けられた充電部15が近接するので確実に充電することができる。
【0095】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、シートベルト60が収納状態の場合に、給電部31の1次側コイル31aと充電部15の2次側コイル15aとが対向する位置に配置する構成とした。
【0096】
これにより、シートベルト60が収納状態の場合、1次側コイル31aを有する給電部31と2次側コイル15aを有する充電部15が対向する位置に配置されているので、使用者が意識することなく、給電部31から充電部15への電力供給を確実行うことができる。
【0097】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、車両側装置30は車両用バッテリ40と接続されており、車両側装置30は車両用バッテリ40の残容量が所定値よりも少ない場合には、給電部31を動作させないように制御する構成とした。
【0098】
これにより、車両用バッテリ40の状態に応じて給電を行うことで、車両用バッテリ40の消耗を防ぐことができる。
【0099】
また、本実施形態のシートベルト着脱検知装置100では、車両側装置30は報知装置35を有し、無線通信によってシートベルト側通信部12から蓄電部14の残容量の値を取得し、取得した蓄電部14の残容量の値が所定値よりも少ない場合には報知装置35を駆動させるように構成した。
【0100】
これにより、蓄電部14の残容量の値が少なくなった場合に報知装置35が駆動されるので、長時間蓄電部が充電されなかったり、蓄電部14が劣化して容量が低下したりする現象を使用者に知らせることができる。このため蓄電部14の充電状態を適切に保つことや、蓄電部14を交換する等の保守を適切に行うことができる。
【0101】
以上のように、本発明の実施形態に係るシートベルト着脱検知装置100を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0102】
(1)本実施形態において、ベルト支持部71が車両のセンターピラー70に設けられている例を示して説明を行ったが、ベルト支持部を座席80に設けるように変更して実施しても良い。この場合、シートベルト60が収納状態になった場合にタング部10が支持される位置と向かい合う車両側に給電部31が設けられるようにすれば同様の効果を得ることができる。
【0103】
(2)本実施形態において、報知装置35は車両側装置30に設けられる例を示して説明を行ったが、報知装置を車両側装置とは別に設けるように変更して実施しても良い。また、その場合、放置装置を車内LAN50に接続し、車両側装置とは車内LAN50を介して接続するように変更しても良い。
【0104】
(3)本実施形態において、シートベルト側通信部12と充電部15、及び車両側通信部31と給電部31が独立して設けられている例を示して説明を行ったが、シートベルト側通信部と充電部を一体的に構成し、車両側通信部と給電部が一体的に構成しても良い。具体的には、給電部31に備えられた1次側コイル31aと充電部15に備えられた2次側コイル15aとの間で、1次側コイルに供給する電流と、2次側コイル31aの負荷状態を切換えることで近接状態での通信を行うよう構成することができる。この場合、給電部31が定期的に充電部15との通信可否を確認することで、タング部10がベルト支持部71に支持されている収納状態であるか否かが判断できる。このため、収納検知部34及び第1磁石16を省略することも可能となり、少ない部品でシートベルト着脱検知装置を構成することができ、コストを低減することや組立てを簡単にすることができる。