特許第6049089号(P6049089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6049089
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20161212BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20161212BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F02M55/02 360A
   F02M55/02 350D
   F02M37/00 C
   F02M63/00 D
   F02M63/00 J
   F02M63/00 R
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-555891(P2013-555891)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-510226(P2014-510226A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012053664
(87)【国際公開番号】WO2012119957
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2013年10月15日
【審判番号】不服2015-13806(P2015-13806/J1)
【審判請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】102011005096.5
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ヴァグナー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・マイクスナー
【合議体】
【審判長】 中村 達之
【審判官】 松下 聡
【審判官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−520887(JP,A)
【文献】 特開2000−110692(JP,A)
【文献】 特開2001−173537(JP,A)
【文献】 特開2003−193937(JP,A)
【文献】 特開2000−27739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M55/02
F02M37/00
F02M63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1つの燃料噴射装置(120)が備えられている複数の燃焼シリンダを有する内燃機関(1,1a)であって、
各燃焼シリンダには、該燃焼シリンダに燃料供給するためにそれぞれの該燃焼シリンダに配設されている前記燃料噴射装置(120)に、複数の第1燃料導管(110)の1つを介して、接合されている燃料貯蔵器(20)がそれぞれ1つずつ組み込まれた、前記燃焼シリンダ固有の前置ユニット(10,10a−10g)が備わっており、
予め決められた燃圧を用意するための、燃料源と接合可能な燃料ポンプ(50)が、前記前置ユニット(10d)の少なくとも1つに組み込まれており、
各前置ユニット(10,10a−10g)の前記燃料貯蔵器(20)は、前記燃料ポンプ(50)から給送された燃料を、圧力に耐えてそれぞれ付属の前記燃料噴射装置(120)に確実に供給するようにされており、
前記前置ユニット(10,10a−10g)のそれぞれの前記燃料貯蔵器(20)は、複数の第2燃料導管(100)を介して、互いに接合されている内燃機関(1,1a)。
【請求項2】
前記前置ユニット(10d)の複数に、燃料源と接合可能なそれぞれ1つの燃料ポンプ(50)が組み込まれている、請求項1に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項3】
前記前置ユニット(10,10a−10g)の少なくとも1つに、付属の前記燃料噴射装置(120)に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ(30)が組み込まれている、請求項1あるいは2に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項4】
燃料ポンプ(50)が組み込まれた少なくとも1つの前置ユニット(10d)に、付属の前記燃料噴射装置(120)に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ(30)が組み込まれている、請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項5】
前記前置ユニット(10b,10c)の少なくとも1つに、燃圧を制限するための圧力制限バルブ(60)が組み込まれている、請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項6】
前記前置ユニット(10b)の少なくとも1つに、付属の前記燃料噴射装置(120)に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ(30)と、燃圧を制限するための圧力制限バルブ(60)とが組み込まれている、請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項7】
前記燃焼シリンダの少なくともいくつかが、互いに直列に設けられており、燃焼シリンダ列の一端を形成する燃焼シリンダの前記前置ユニット(10f)に、洗浄バルブ(70)が組み込まれている、請求項1から6のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項8】
洗浄バルブ(70)が組み込まれた前記前置ユニット(10f)に、さらに燃圧を制限するための圧力制限バルブ(60)が組み込まれている、請求項7に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項9】
前記前置ユニット(10g)の少なくとも1つに、該当する前置ユニット(10g)の前記燃料貯蔵器(20)における燃圧を測定するための少なくとも1つの燃圧センサを接続するための少なくとも1つの圧力測定箇所(80)が組み込まれている、請求項1から8のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【請求項10】
前記第1燃料導管(110)はすべて互いに同一に形成されており、前記第2燃料導管(100)はすべて互いに同一に形成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の内燃機関(1,1a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ1つの燃料噴射装置が備えられている複数の燃焼シリンダと、予め決められた燃圧を用意するための少なくとも1つの燃料ポンプとを有する内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような内燃機関は、コモンレール燃料システムが装備されていてもよく、当該コモンレール燃料システムは、本質的に、燃料ポンプ、燃圧貯蔵器もしくは燃料貯蔵器、燃料噴射装置もしくは燃料インジェクタおよび燃料導管といったコンポーネントから成る。
【0003】
特に中速で動くディーゼル機関のような、いくつかの内燃機関では、構造上、製造技術上、ロジスティック上の理由から、機関の長さ全体を超える燃料貯蔵器1つを備える代わりに、それを複数の小さな燃料貯蔵器に分割し、これらの複数の燃料貯蔵器を燃料導管で互いに接合することが合理的である。燃圧は、ポンプベンチに設けられた複数の燃料ポンプ(たとえば高圧ポンプのような)によって作られてもよい。
【0004】
特許文献1と特許文献2とにおいて、コモンレール燃料システムを有する内燃機関が、それぞれ記述されている。これらの内燃機関では、1つの燃圧貯蔵器から原則的に2つの燃焼シリンダに燃料が供給され、それゆえシリンダの数が奇数の場合には、たった1つの燃焼シリンダに燃料供給するために、1つの燃圧貯蔵器を用意しなくてはならない。その上、これらのコモンレール燃料システムでは、複数の別個の(高圧)燃料ポンプと燃圧貯蔵器とから構成されているので、高圧用に設計された、異なる湾曲線と長さとを有する多数の燃料導管が必要となり、それによって製造コストが高くなり、かつ、交換部品の供給が困難になる。
【0005】
上述の文献に記述されたコモンレール燃料システムでは、燃料ポンプは、高圧用に設計された1つあるいは2つの燃料導管を介して燃圧貯蔵器に給送するので、各燃料導管は、それ1つで絞り箇所となる。これは、それぞれ接続された燃料ポンプにおける高い圧力ピークをもたらす。それによって、構成部材の過負荷と高圧密封箇所での漏れの危険性が増す。燃料ポンプの不連続な給送は、燃料ポンプから出ている燃料導管における激しい振動の誘発をもたらす。それによって、大きな振動負荷の結果、固定箇所でのフレッティング現象もしくは摩耗による導管破断の危険性が増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第10157135号明細書
【特許文献2】欧州特許第0959245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、それぞれ1つの燃料噴射装置が備えられている複数の燃焼シリンダと、予め決められた燃圧を用意するための少なくとも1つの燃料ポンプとを有する内燃機関を用意して、燃料ポンプにおける圧力ピークと振動の誘発とを減少させ、もしくは最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これは、請求項1に記載の内燃機関によって達成される。本発明のさらなる形態は、従属請求項において規定されている。
【0009】
本発明に従えば、それぞれ1つの燃料噴射装置が備えられている複数の燃焼シリンダを有する内燃機関が用意され、各燃焼シリンダには、燃焼シリンダに燃料供給するために、それぞれの燃焼シリンダに配設されている燃料噴射装置と、複数の第1燃料導管の1つを介して、好ましくは直接的に(さらなるコンポーネントが間に接続されずに)接合されている燃料貯蔵器が組み込まれた自らの前置ユニットが備わっており、予め決められた燃圧を用意するための、燃料源と接合可能な燃料ポンプが、前置ユニットの少なくとも1つに組み込まれていて、燃料は直にもしくは直接的に、該当する前置ユニットの燃料貯蔵器に給送され、各前置ユニットの燃料貯蔵器は、燃料ポンプから給送された燃料を、圧力に耐えて(所定の噴射圧公差を維持しつつ)それぞれ付属の燃料噴射装置に確実に供給するようにされており、前置ユニットのそれぞれの燃料貯蔵器は、複数の第2燃料導管を介して、好ましくは直接的に(さらなるコンポーネントが間に接続されずに)互いに接合されている。
【0010】
燃料ポンプが組み込まれて形成されている各前置ユニットでは、燃料が直接的にもしくは直に、該当する前置ユニットの燃料貯蔵器(圧力貯蔵器)に給送されることによって、燃料ポンプにおける圧力ピークと、燃料導管における振動の誘発とが、明らかに減少もしくは最小限に抑えられる。
【0011】
燃料貯蔵器は、好ましくは、接続されたそれぞれの燃料噴射装置による燃料減少に対して充分なバッファ量と、ひいては、圧力に耐える燃料供給を保証するためのバッファ圧とを提供する容積を有する貯蔵室を備える。
【0012】
好ましくは、内燃機関は、ディーゼル機関として形成されており、特に、たとえば海での使用および/あるいは発電所での使用のための大型ディーゼル機関として形成されている。その上、好ましくは、各燃料ポンプは、高圧ポンプとして形成されており、第1燃料導管と第2燃料導管とは、好ましくは、高圧用に設計され、たとえば圧力パイプとして形成されている。
【0013】
当業者にとって認識可能なように、前置ユニットと、第1燃料導管と、第2燃料導管と、燃料噴射装置とは、本発明に係る内燃機関のためのコモンレール燃料噴射システムを実現する。
【0014】
本発明に従えば、モジュール式に構成されたコモンレール燃料噴射システムを有する内燃機関は、当該システムが、特に中速で動くディーゼル機関の、シリンダによる機関実施に最適に適合できるように準備される。中心的な要素は、好ましくは、高圧が印加された燃料システムにおける圧力振動の緩和を引き起こす圧力貯蔵器もしくは燃料貯蔵器がそれぞれ組み込まれ、かつ少なくとも1つの前置ユニットに付加的に組み込まれた燃料ポンプを有する前置ユニットである。
【0015】
前置ユニットは、本発明に従えば、圧力貯蔵機能のほかに様々な、さらなる機能を実現するように構成されていてよい。そのような前置ユニットもしくは機能ユニットは、たとえば燃料貯蔵器と高圧ポンプとを有して、燃料貯蔵器と圧力制限バルブとを有して、燃料貯蔵器と洗浄バルブとを有して、燃料貯蔵器と圧力測定箇所とを有して、燃料貯蔵器と量制限バルブとを有して、あるいは燃料貯蔵器のみを有して、さらなる機能要素を有さずに形成されていてもよい。
【0016】
本発明に従えば、前置ユニットにおける複数の機能の組み合わせ、たとえば洗浄バルブと圧力制限バルブの組み合わせも可能である。
【0017】
本発明に従えば、噴射を制御するためのスイッチユニットを各前置ユニットに組み込むことも可能である。
【0018】
内燃機関では、本発明に従った、これらの前置ユニットもしくは機能ユニットは、各燃焼シリンダもしくは各シリンダユニットの上流に設けられる。原則的に各種の前置ユニットは各燃焼シリンダの上流に配置され得るので、同じもしくはほとんど同じ前置ユニットに基づいて、あらゆるシリンダ数に対するコモンレール燃料噴射システムの最適な構造が実現可能である。それによって、たとえば燃料貯蔵器と高圧ポンプとを一体的に備える前置ユニットは、油圧式の設計に応じてシステム全体の最適な機能が達成されるように設けられ得る。
【0019】
重油を用いる内燃機関(ディーゼル機関)では、本発明に従った機能技術上の理由から好ましいのは、燃料貯蔵器と洗浄バルブとを一体的に備える前置ユニットを、シリンダ列もしくは燃料給送流の最初の燃焼シリンダあるいは最後の燃焼シリンダの上流に配置することである。
【0020】
前置ユニット相互の接合は、本発明に従えば、好ましくは、圧力パイプとして形成されている第2燃料導管を介して行われる。しかも、本発明に従えば、前置ユニットと燃料噴射装置との間の接合は、好ましくは圧力パイプとして形成されている第1燃料導管によって行われる。それによって、あらゆるシリンダ数が、たった2つの圧力パイプを実施することでカバーされる。当該システム構造は、振動技術上かつ製造技術上有利な、一平面で曲げられた燃料導管の使用を可能にする。
【0021】
好ましくは、本発明に従えば、前置ユニットの複数に、燃料源と接合可能なそれぞれ1つの燃料ポンプが組み込まれており、当該燃料ポンプは、燃料を直にもしくは直接的に、該当する前置ユニットの燃料貯蔵器に給送する。
【0022】
その上、好ましくは、本発明に従えば、前置ユニットの少なくとも1つに、付属の燃料噴射装置に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブが組み込まれている。
【0023】
好ましくは、本発明に従えば、燃料ポンプが組み込まれた少なくとも1つの前置ユニットに、付属の燃料噴射装置に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブが組み込まれている。
【0024】
さらに、本発明に従えば、好ましくは、前置ユニットの少なくとも1つに、燃圧を制限するための圧力制限バルブが組み込まれている。
【0025】
本発明に従えば、好ましくは、前置ユニットの少なくとも1つに、付属の燃料噴射装置に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブと、燃圧を制限するための圧力制限バルブとが組み込まれている。
【0026】
その上、本発明に従えば、好ましくは、燃焼シリンダの少なくともいくつかが、互いに直列に設けられており、燃焼シリンダ列の前端あるいは後端を形成する燃焼シリンダの前置ユニットに、洗浄バルブが組み込まれている。
【0027】
好ましくは、本発明に従えば、洗浄バルブが組み込まれた前置ユニットに、さらに燃圧を制限するための圧力制限バルブが組み込まれている。
【0028】
さらに本発明に従えば、好ましくは、前置ユニットの少なくとも1つに、該当する前置ユニットの燃料貯蔵器における燃圧を測定するための少なくとも1つの燃圧センサを接続するための少なくとも1つの圧力測定箇所が組み込まれている。
【0029】
しかも本発明に従えば、好ましくは、第1燃料導管はすべて互いに同一に(同じ材料、同じ形状、同じ断面、同じ長さ)形成されており、その上、第2燃料導管はすべて互いに同一に形成されている。
【0030】
本発明は、請求項の明確な引用の特徴の組み合わせによってもたらされていない実施形態をも明らかに対象としており、それによって、本発明の開示された特徴は、技術的に合理的である限り、互いに任意に組み合わされていてもよい。
【0031】
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づいて、かつ、添付の図に関連して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態に従った、内燃機関の前置ユニットの実施例の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に従った、内燃機関の前置ユニットのさらなる実施例の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に従った、内燃機関の前置ユニットのなおさらなる実施例の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に従った、付属の前置ユニットを有する内燃機関の概略的部分図である。
図5】本発明のさらなる一実施形態に従った、付属の前置ユニットを有する内燃機関の概略的部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に従って構成された、本発明に係る内燃機関1もしくは1a(図4図5参照)のための前置ユニットもしくは機能ユニット10を示している。
【0034】
前置ユニット10には、貯蔵室21を有する燃料貯蔵器(圧力貯蔵器)20と、内燃機関1もしくは1aを無制御の噴射から保護する量制限バルブ30とが組み込まれている。その上、前置ユニット10は蓋40を備え、当該蓋40内には、本発明のこの実施形態に従えば、空間拡張部として貯蔵室21の部分室21aが形成されており、かつ、蓋40は、燃料貯蔵器20もしくはその貯蔵室21を閉鎖する。
【0035】
燃料貯蔵器20には、隣り合う前置ユニットに対する2つの燃料導管100,100(図4もしくは図5参照)のための、貯蔵室21と接合された2つの導管接続部23,24がある。燃料貯蔵器20には、その上、直接的に前置ユニット10に接続された、ここではインジェクタもしくは噴射ノズルの形状で形成されている燃料噴射装置120に対する燃料導管110(図4もしくは図5参照)のための、(量制限バルブ30を介して)貯蔵室21と接合された、さらなる導管接続部25がある。
【0036】
図2は、本発明の第2実施形態に従って構成された、本発明に係る内燃機関1もしくは1a(図4図5参照)のための前置ユニットもしくは機能ユニット10aを示している。図2の前置ユニット10aは、いくつかの相違点を除いて、図1の前置ユニット10と同一に構成されている。それゆえ図2においては、同じあるいは類似の符号は、図1と同じあるいは類似のコンポーネントを指している。
【0037】
前置ユニット10aに、貯蔵室21を有する燃料貯蔵器(圧力貯蔵器)20と、内燃機関1もしくは1aを無制御の噴射から保護する量制限バルブ30と、予め決められた燃圧を用意するための、燃料タンクのような燃料源(図示されず)と接合可能な燃料ポンプ50とが組み込まれている。燃料ポンプ50は、フランジ取り付けによって燃料貯蔵器20と接合されているので、当該燃料ポンプ50は、燃料を直接的にもしくは直に、燃料貯蔵器20の貯蔵室21に給送でき、かつ(蓋40の代わりに)燃料貯蔵器20もしくはその貯蔵室21を閉鎖する。それによって、燃料ポンプ50と、燃料貯蔵器20の貯蔵室21とを接合するための、付加的な燃料導管(たとえば圧力パイプの形状の)は必要ない。
【0038】
燃料貯蔵器20には、隣り合う前置ユニットに対する2つの燃料導管100,100(図4もしくは図5参照)のための、貯蔵室21と接合された2つの導管接続部23,24がある。燃料貯蔵器20にはその上、直接的に前置ユニット10aに接続された、ここではインジェクタもしくは噴射ノズルの形状で形成されている燃料噴射装置120に対する燃料導管110(図4もしくは図5参照)のための、(量制限バルブ30を介して)貯蔵室21と接合された、さらなる導管接続部25がある。
【0039】
図3は、本発明の第3実施形態に従って構成された、本発明に係る内燃機関1もしくは1a(図4図5参照)のための前置ユニットもしくは機能ユニット10bを示している。図3の前置ユニット10bは、いくつかの相違点を除いて、図1の前置ユニット10と同一に構成されている。それゆえ図3においては、同じあるいは類似の符号は、図1と同じあるいは類似のコンポーネントを指している。
【0040】
前置ユニット10bに、貯蔵室21を有する燃料貯蔵器(圧力貯蔵器)20と、内燃機関1もしくは1aを無制御の噴射から保護する量制限バルブ30と、燃圧を制限するための圧力制限バルブ60とが組み込まれている。その上、前置ユニット10bは蓋40bを備え、当該蓋40b内には、貯蔵室21と接合されている、圧力制限バルブ60のための接続部41bが形成されており、かつ、蓋40は、燃料貯蔵器20もしくはその貯蔵室21を閉鎖する。
【0041】
燃料貯蔵器20には、隣り合う前置ユニットに対する2つの燃料導管100,100(図4もしくは図5参照)のための、貯蔵室21と接合された2つの導管接続部23,24がある。燃料貯蔵器20にはその上、直接的に前置ユニット10bに接続された、ここではインジェクタもしくは噴射ノズルの形状で形成されている燃料噴射装置120に対する燃料導管110(図4もしくは図5参照)のための、(量制限バルブ30を介して)貯蔵室21と接合された、さらなる導管接続部25がある。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に従った、付属の前置ユニットを有する内燃機関1の概略的部分図を示している。
【0043】
図4に表わされた内燃機関1は、前置ユニットのさらなる実施形態を備え、当該実施形態は、以下において簡単に説明されるはずであり、かつ図1から図3に関連して記述された前置ユニット10,10a,10bに代替的にあるいは付加的に用いられていてよい。
【0044】
図4において左から1番目の前置ユニット10cは、図3の前置ユニット10bと類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図4において左から2番目の前置ユニット10dは(右から2番目の前置ユニット10dと同様に)、図2の前置ユニット10aと類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図4において真ん中の前置ユニット10eは、図1の前置ユニット10と類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図4において右から1番目の前置ユニット10fは、図3の前置ユニット10bと類似して構成されているが、圧力制限バルブ60の代わりに洗浄バルブ70を備え、かつ、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。
【0045】
内燃機関1は、それぞれ1つの燃料噴射装置120が備えられている複数(ここでは5つ)の燃焼シリンダ(詳細に図示されず、それゆえ別個に説明されず)を備える。
【0046】
各燃焼シリンダに対して、燃料貯蔵器20が組み込まれた自らの前置ユニット10c,10d,10e,10f(あるいは望ましいのであれば、付加的にあるいは代替的に、図1から図3に示された前置ユニット10,10a,10bの1つ)が備わっており、燃料貯蔵器20は、端面側の導管接続部25(図1から図3参照)を介して、燃焼シリンダに燃料供給するためにそれぞれの燃焼シリンダに配設されている燃料噴射装置120と、直接的に燃料導管110を介して接合されている。
【0047】
本発明に従えば、前置ユニット10c,10d,10e,10fの少なくとも1つ(ここでは、前置ユニット10dの2つ)に、予め決められた燃圧を用意するための、(図示されていない燃料タンクのような)燃料源と接合可能な燃料ポンプ50(図2参照)が組み込まれている。
【0048】
図1から図4に示された前置ユニット10c,10d,10e,10fの各々の燃料貯蔵器20はそれぞれ、1つもしくは複数の燃料ポンプ50から給送された燃料を、圧力に耐えてそれぞれ付属の燃料噴射装置120に確実に供給するようにされている。
【0049】
図4に示された前置ユニット10c,10d,10e,10f(あるいは望ましいのであれば、付加的にあるいは代替的に、図1から図3に示された前置ユニット10,10a,10b)のそれぞれの燃料貯蔵器20は、その側面の導管接続部23,24(図1から図3参照)を介して、かつ複数の燃料導管100を介して、直接的に互いに接合されている。
【0050】
好ましくは、内燃機関1は、重油を用いるディーゼル機関として形成されており、特にたとえば海での使用および/あるいは発電所での使用のための大型ディーゼル機関として形成されている。その上好ましくは、各燃料ポンプ50は、高圧ポンプとして形成されており、すべての燃料導管100,110は、好ましくは高圧用に設計され、たとえば圧力パイプとして形成されている。
【0051】
図4から明らかなように、前置ユニット10c,10d,10e,10fと燃料噴射装置120との間の接合を構築する燃料導管110は、すべて互いに同一に形成されており、隣り合う前置ユニット10c,10d,10e,10f間の接合を構築する燃料導管100は、同様にすべて互いに同一に形成されている。
【0052】
図5は、本発明のさらなる一実施形態に従った、付属の前置ユニットを有する内燃機関1aの概略的部分図を示している。
【0053】
図5に表わされた内燃機関1aは、前置ユニットのさらなる一実施形態を備え、当該実施形態は、以下において簡単に説明されるはずであり、かつ図1から図4に関連して記述された前置ユニット10,10a,10b,10c,10d,10fに付加的に用いられていてよい。
【0054】
図5において右から1番目の前置ユニット10gは、図4の真ん中の前置ユニット10eと類似して構成されているが、そこに付加的に組み込まれて、該当する前置ユニット10gの燃料貯蔵器20における燃圧を測定するための燃圧センサ(図示されず)を接続するための2つの圧力測定箇所80,80を備える。
【0055】
図5の内燃機関1aは、いくつかの相違点を除いて、図4の内燃機関1と同一に構成されており、それゆえ図5においては、同じあるいは類似の符号は、図4と同じあるいは類似のコンポーネントを指している。
【0056】
図5において左から1番目の前置ユニット10fは、図3の前置ユニット10bと類似して構成されているが、圧力制限バルブ60の代わりに洗浄バルブ70を備え、かつ量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図5において左から2番目の前置ユニット10dは(真ん中と右から2番目の前置ユニット10dと同様に)、図2の前置ユニット10aと類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図5において左から3番目の前置ユニット10eは、図1の前置ユニット10と類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。図5において右から3番目の前置ユニット10cは、図3の前置ユニット10bと類似して構成されているが、量制限バルブ30なしに実施されていてよい。
【0057】
内燃機関1aは、それぞれ1つの燃料噴射装置120が備えられている複数(ここでは7つ)の燃焼シリンダ(詳細に図示されず、それゆえ別個に説明されず)を備える。
【0058】
各燃焼シリンダに対して、燃料貯蔵器20が組み込まれた自らの前置ユニット10c,10d,10e,10f,10g(あるいは望ましいのであれば、付加的にあるいは代替的に、図1から図3に示された前置ユニット10,10a,10bの1つ)が備わっており、燃料貯蔵器20は、端面側の導管接続部25(図1から図3参照)を介して、燃焼シリンダに燃料供給するためにそれぞれの燃焼シリンダに配設されている燃料噴射装置120と、直接的に燃料導管110を介して接合されている。
【0059】
本発明に従えば、前置ユニット10c,10d,10e,10f,10gの少なくとも1つ(ここでは、前置ユニット10dの3つ)に、予め決められた燃圧を用意するための、(図示されていない燃料タンクのような)燃料源と接合可能な燃料ポンプ50(図2参照)が組み込まれている。
【0060】
図4と同様に、図5に示された前置ユニット10c,10d,10e,10f,10gの各々の燃料貯蔵器20はそれぞれ、1つもしくは複数の燃料ポンプ50から給送された燃料を、圧力に耐えてそれぞれ付属の燃料噴射装置120に確実に供給するようにされている。
【0061】
図5に示された前置ユニット10c,10d,10e,10f,10g(あるいは望ましいのであれば、付加的にあるいは代替的に、図1から図3に示された前置ユニット10,10a,10b)のそれぞれの燃料貯蔵器20は、その側面の導管接続部23,24(図1から図3参照)を介して、かつ複数の燃料導管100を介して、直接的に互いに接合されている。
【0062】
好ましくは、内燃機関1aは、重油を用いるディーゼル機関として形成されており、特にたとえば海での使用および/あるいは発電所での使用のための大型ディーゼル機関として形成されている。その上好ましくは、各燃料ポンプ50は、高圧ポンプとして形成されており、すべての燃料導管100,110は、好ましくは高圧用に設計され、たとえば圧力パイプとして形成されている。
【0063】
図5から明らかなように、前置ユニット10c,10d,10e,10f,10gと燃料噴射装置120との間の接合を構築する燃料導管110は、すべて互いに同一に形成されており、隣り合う前置ユニット10c,10d,10e,10f,10g間の接合を構築する燃料導管100は、同様にすべて互いに同一に形成されている。
【0064】
コモンレール燃料噴射システムにおける、圧力制限バルブと、量制限バルブと、洗浄バルブと、燃料貯蔵器と、燃料ポンプもしくは高圧ポンプの機能に関しては、付加的に、たとえば特許文献1が指摘され、必要であれば、当該特許文献から、これに関するさらなる詳細が明らかとなる。
【0065】
要約すれば、本発明に従えば、前置ユニット10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10gの少なくとも1つに、付属の燃料噴射装置に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ30が組み込まれていてよい。さらに、燃料ポンプ50が組み込まれた前置ユニット10dに、付属の燃料噴射装置120に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ30が組み込まれていてよい。その上、前置ユニット10b,10cの少なくとも1つに、燃圧を制限するための圧力制限バルブ60が組み込まれていてよい。しかも、前置ユニット10bの少なくとも1つに、付属の燃料噴射装置120に時間単位ごとに供給可能な燃料量を制限するための量制限バルブ30と、燃圧を制限するための圧力制限バルブ60とが組み込まれていてよい。
【0066】
図4図5から明らかなように、燃焼シリンダの少なくともいくつかが、互いに直列に設けられていてよく、燃焼シリンダ列の一端を形成する燃焼シリンダの前置ユニット10fに、洗浄バルブ70が組み込まれていてよい。それだけでなく、洗浄バルブ70が組み込まれた前置ユニット10fに、さらに燃圧を制限するための圧力制限バルブ60が組み込まれていてよい。
【0067】
さらに、前置ユニット10gの少なくとも1つに、該当する前置ユニット10gの燃料貯蔵器20における燃圧を測定するための少なくとも1つの燃圧センサを接続するための少なくとも1つの圧力測定箇所80が、組み込まれていてよい。
【0068】
最後に述べておくべきことは、前置ユニットもしくは機能ユニットは、任意のもしくはそれぞれ望ましいあるいは必要な順序で配置され得、それによって、コモンレール燃料噴射システムは、各シリンダ数に対し、構造上、技術上、油圧上の要求に最適に応じて編成され得るということである。
【符号の説明】
【0069】
1 内燃機関
1a 内燃機関
10 前置ユニット
10a−10g 前置ユニット
20 燃料貯蔵器
21 貯蔵室
21a 部分室
23 導管接続部
24 導管接続部
25 導管接続部
30 量制限バルブ
40 蓋
40b 蓋
41b 接続部
50 燃料ポンプ
60 圧力制限バルブ
70 洗浄バルブ
80 圧力測定箇所
100 燃料導管
110 燃料導管
120 燃料噴射装置
図1
図2
図3
図4
図5