【実施例】
【0046】
本発明は、以下の具体的なそれらの実施例によって、さらに説明されるが、それらに限定されない。
【0047】
材料
以下のように、化学薬品および試薬を受け取ったままの状態で実施例において用いた。
ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレートをAldrichから入手した。
【0048】
(クロロメチル)ジメチルホスフィンオキシドをVeZerf Laborsynthesen,GmbH,Germanyから入手した。
【0049】
(ヒドロキシメチル)−ジメチルホスフィンオキシド(VeZerf Laborsynthesen,GmbH,Germanyから入手)と塩化チオニル(Aldrichから入手)から、Qureshi,Aら(J.Chem.Res.,1998,355)によって記載される通りに、(クロロメチル)ジフェニルホスフィンオキシドを調製した。
【0050】
以下の化学薬品をSigma−Aldrichから入手した:チタン(IV)イソプロポキシド;ジメチル5−ヒドロキシイソフタレートおよび炭酸カリウム。
【0051】
以下の化学薬品をDuPont Company,Wilmington,DEから入手した:バイオベースの1,3−プロパンジオール(Bio−PDO(商標))およびSorona(登録商標)ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)、ブライト1.02IV。
【0052】
難燃性を測定するのに用いる方法
LOI(limited oxygen index 限界酸素指数)は、ろうそくのような燃焼を継続するのに必要な最少酸素量の尺度である。LOIは、以下の式を用いて、限界酸素指数(limiting oxygen index LOI)予測に対する大気中での熱重量分析(TGA)から決定することができる:
LOI=0.40×δ+17.5〔式中、δは、700℃を超える温度での炭化物収量である〕。
炭化物収量は、加熱処理中に揮発しない所与の温度での試料残渣である。(Krevelen,Polymer,16:615,1975;およびLi et al.,Polym.Adv.Technol.,21:229,2010)。
【0053】
サイズ排除クロマトグラフィーによる分子量
サイズ排除クロマトグラフィー系(Waters Corporation,Milford,MAからのAlliance 2695(商標))に、Waters 414(商標)示差屈折率検出器、多角度光散乱検出器DAWN Heleos II(Wyatt Technologies,Santa Barbara,CA)、およびViscoStar(商標)示差毛管粘度検出器(differential capillary viscometer detector)(Wyatt)を備えた。データ収得および整理用のソフトウェアは、Astra(登録商標)バージョン5.4(Wyatt製)であった。使用したカラムは、排除限界2×10
7および理論段数8,000/30cmを有する、2本のShodex GPC HFIP−806M(商標)スチレン−ジビニルベンゼンカラムと、排除限界2×10
5および理論段数10,000/30cmを有する、1本のShodex GPC HFIP−804M(商標)スチレン−ジビニルベンゼンカラムであった。
【0054】
分析のために、50℃で4時間適度な撹拌で混合することにより、0.01Mのナトリウムトリフルオロアセテートを含有する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)中に試料を溶かした後、0.45μmのPTFEフィルターを介して濾過した。溶液の濃度は、およそ2mg/mLであった。
【0055】
35℃、流速0.5ml/分に設定したクロマトグラフィーを用いて、データを取得した。注入量は、100マイクロリットル(μl)であった。実行時間は、80分であった。上記の3台の検出器からのデータを組み込んでデータ整理を実施した。8個の散乱角を光散乱検出器と併用した。データ処理において、カラム較正に対するいかなる基準も伴わなかった。
【0056】
熱分析
ASTM D3418−08に従って実施される示差走査熱量測定(DSC)により、ガラス転移温度(T
g)および融点(T
m)を測定した。TA器具からのTGA Q 500で熱重量分析(thermogravic analysis)(TGA)を実施した。10℃/分の立上げ速度で、試料を800℃まで加熱した。
【0057】
実施例1
ジメチル5−((ジフェニルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートの調製
【化10】
ドライボックスにおいて、ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(0.525g、0.0025モル)、(クロロメチル)ジフェニルホスフィンオキシド(0.625g、0.0025モル)、炭酸カリウム(0.345g、0.00125モル)およびエチルアセテート(25.0mL)をオーブン乾燥した丸底フラスコ(還流冷却器と撹拌棒を備える)に加えた。ドライボックスから装置を取り出し、窒素下で、内容物を還流下で48時間撹拌した。結果として生成した物質を冷却し、濾過し、濾液を減圧濃縮した。次に、ヘキサン/テトラヒドロフラン(100%THFに対して体積比1:1)を有するシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて、この濃縮物を精製し、溶媒として(ヘキサン/THF(体積比1:1)を用いて薄層クロマトグラフィーにより、溶離物質を分析した。〜0.22のRfを有する化合物を収集し、減圧濃縮し、真空下で乾燥し、所望の物質、ジメチル5−((ジフェニルホスホリル)メトキシ)イソフタレート(0.30g、収量29.71%)を得た。質量分析法および核磁気分光法を用いて、その生成物の構造式を確かめた。
【0058】
実施例2
ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレートの調製
【化11】
ドライボックスにおいて、ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(1.05g、0.005モル)、(クロロメチル)ジメチルホスフィンオキシド(0.315g、0.0025モル)、炭酸カリウム(0.690g、0.005モル)およびエチルアセテート(50.0mL)をオーブン乾燥した丸底フラスコ(還流冷却器と撹拌棒を備える)に加えた。ドライボックスから装置を取り出し、窒素下、還流下で〜24時間撹拌した。結果として生成し冷却した物質を濾過し、濾液を減圧濃縮した。溶媒として5%メタノール/テトラヒドロフランを用いて、この濃縮物をシリカゲルカラムに通過させた。収集した留分を一緒にして、減圧濃縮し、真空下で乾燥し、所望の物質、ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレート(0.30g、収量〜40.0%)を得た。質量分析法および核磁気分光法を用いて、その生成物の構造式を確かめた。
【0059】
実施例3
5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタル酸の調製
【化12】
ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレート(0.60g g、0.002モル)、水酸化カリウム(1.11g、0..7モル)および水(28.6mL)を、還流冷却器と撹拌棒を備える丸底フラスコに加えた。結果として生成した混合物を還流下で一晩中撹拌した。次に、冷却した反応混合物を濃HClで強酸性にした。析出した酸を濾取し、真空で乾燥させ、所望の物質、5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタル酸を0.40g(収量69.32%)を得た。
【0060】
実施例4
ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレートの調製
【化13】
ドライボックスにおいて、ジメチル−5−ヒドロキシイソフタレート(21.00g、0.10モル)、(クロロメチル)ジメチルホスフィンオキシド(6.3g、0.05モル)、炭酸カリウム(13.8g、0.10モル)およびトルエン(1.00L)を、オーブン乾燥した丸底フラスコ(還流冷却器と撹拌棒を備える)に加えた。ドライボックスから装置を取り出し、窒素下、〜13日間還流した。結果として生成し冷却した物質を濾過し、濾液を減圧濃縮した。次に、この濃縮物を、5%メタノール/テトラヒドロフランでカラムクロマトグラフィーに通した。収集した留分を一緒にして、減圧濃縮し、真空下で乾燥させ、ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレート(8.75g、収量58.30%)を得た。質量分析法および核磁気分光法を用いて、その生成物の構造式を確かめた。
【0061】
実施例5
1,3−プロパンジオールとジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートからのホモポリマーの炭化物収量
ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレートを実施例4に記載したように調製した。
【0062】
1,3−プロパンジオールとジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートとのコポリマーの調製
【化14】
ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレート(72.9g、0.24モル)、および1,3−プロパンジオール(33.3g、0.43モル)を、予め乾燥させた250mLの3つ口丸底フラスコに仕込んだ。上部攪拌機および蒸留用冷却器を取り付けた。10回転/分(rpm)の速度で反応物質を撹拌し、反応質量を窒素
(g)(N
2)パージ雰囲気下で保持し、冷却器を23℃に保持した。500mトルまで真空排気して、そしてN
2ガスを補充することにより、内容物を3回脱ガスした。最初の真空排気の後、チタン(IV)イソプロポキシド触媒(88mg)を加えた。160℃に設定した予め加熱した金属浴にフラスコを浸した。160℃で20分間、固形物を完全に溶融して、撹拌速度をゆっくりと180rpmまで増大させた。温度を210℃まで上昇させ、90分間保持して、生成したメタノールの殆どを蒸留により除去した。窒素パージを閉じて、真空立上げ(vacuum ramp)が開始し、約60分後、真空状態は、50〜60mトルの値に達し、反応を3時間保持した。上部攪拌機を止め、真空状態を切る前に反応器のフロアから上部攪拌機持ち上げ、システムをN
2ガスでパージした。形成した生成物を周囲温度まで冷却させて、反応器を取り出し、ハンマーでガラスを注意深く壊した後、生成物を回収した。収量:〜65g(86%)。M
n(SEC)〜1 400D、PDI〜1.39。上で調製したジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートのコポリマー((B)に形成)の炭化物収量をSorona(登録商標)ブライト1.02IV(CE−A)と比較し、結果を下の表1に示す。
【0063】
表1
Bに形成されたコポリマーとSorona(登録商標)ブライト1.02IV(CE−A)との炭化物収量の比較
【表1】
1大気中でのTGA分析から
2 式:LOI=0.40×δ+17.5〔式中、δは、700℃を超える温度での炭化物収量である〕から
【0064】
表1に示すように、ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートのコポリマーの700℃での炭化物収量は、〜13%であり、ポリマーの炭化物形成力を示唆している。
【0065】
実施例6
1,3−プロパンジオール、ジメチルテレフタレート、およびジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートからのコポリマー
実施例4に記載したように、ジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)イソフタレートを調製した。
【0066】
1,3−プロパンジオール、ジメチルテレプタレート、およびジメチル5−((ジメチルホスホリル)メトキシ)−イソフタレートのコポリマーの調製:
【化15】
ジメチルテレフタラート(DMT、60g、0.309mモル)、ジメチル5−((ジメチルホスホリル)−メトキシ)−イソフタレート(3g、0.01モル、DMTに対して5wt%)、および1,3−プロパンジオール(42.4g、0.55モル)を、予め乾燥した500mLの3つ口丸底フラスコに仕込んだ。上部攪拌機および蒸留用冷却器を取り付けた。50rpmの速度で反応物質を撹拌し、反応質量を窒素
(g)(N
2)パージ雰囲気下で保持し、冷却器を23℃に保持した。100トルまで真空排気して、そしてN
2ガスを補充することにより、内容物を3回脱ガスした。最初の真空排気の後、チタン(IV)イソプロポキシド(20mg)を加えた。160℃に設定した予め加熱した金属浴にフラスコを浸した。160℃で20分間、固形物を完全に溶融させて、その後、撹拌速度をゆっくりと180rpmまで増大させた。温度を210℃まで上昇させ、60分間保持して、生成したメタノールを蒸留により除去した。温度を250℃まで上昇させ、その後窒素パージを閉じて、真空立上げが開始し、約60分後、真空状態は、50〜60mトルの値に達した。反応を3時間保持し、その後、熱源を取り除くことにより、重合を停止した。上部攪拌機を止め、真空状態を切る前に反応器のフロアから上部攪拌機を持ち上げ、システムをN
2ガスでパージした。形成した生成物を周囲温度まで冷却させて、反応器を取り出し、ハンマーでガラスを注意深く壊した後、生成物を回収した。収量〜90%、オフホワイトの固形物。以下の詳細を提供する
1Hおよび
31PのNMRにより、生成物を特性決定した。
1H−NMR(tce−d2) δ:8.30(s,ArH,1H),8.20−7.90(m,ArH,4H),7.80(s,ArH,2H),7.65(s,ArH,環状二量体),4.65−4.40(m,−CH
2−COO−,4H),4.30(m,2H,−O−CH
2−P),4.80(m,2H,−CH
2−OH),4.60(m,DPG,4H),2.30−2.15(m,−CH
2−,2H),2.05(m,DPG,4H),1.5(m,6H,−CH
3).
31P−NMR(tce−d2)δppm:39.M
n(SEC)〜22 400D,PDI〜2.02.Tm(DSC)〜226℃,Tg〜57℃.
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 構造式(IV)
【化16】
〔式中、
R2(a)およびR2(b)は、R2(a)の1つのみと、R2(b)の1つのみとがフェニルまたはベンジルでありうる条件で、各々独立してH、CnH2n+1、フェニルまたはベンジルであり;
R3(a)およびR3(b)は、各々独立してCnH2n+1、フェニルまたはベンジルであり;
R4は、C1〜C6のアルキレン基であり;
nは、1〜10の整数であり;
および、
pは、1〜10の整数である〕で表される繰り返し単位を含んでなるポリマー。
2. R2(a)とR2(b)が同一である上記1に記載のポリマー。
3. R3(a)とR3(b)が同一である上記1に記載のポリマー。
4. R4がプロピレンである上記1に記載のポリマー。
5. 構造式(VI)
【化17】
〔式中、Qは、ベンゼン基またはエチレン基またはテトラメチレン基またはナフタレン基またはオクチレン基である〕によって表される繰り返し単位を含んでなる上記1に記載のポリマー。
6. 第一繰り返し単位がジメチル5−((ジメチルホスホリル(dimehtylphosphoryl))−メトキシ)−イソフタレートであり、第二繰り返し単位がジメチルテレフタレートである上記5に記載のコポリマー。